ストレスフリーの資産運用 by 林敬一(債券投資の専門家)

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Puffinさんの投資指針 その4

2015年08月29日 | Puffinさんの投資指針

【Ⅱ】投資信託

(1)投資信託の選び方

私が行っているのは、投資信託の定期購入です。投資信託と言っても、それこそ無数にあって次々と新しいものが販売されていますが、私が買うのは、購入手数料が0円(一般に「ノーロード」と呼ばれます)のもので、株価指数・債券指数などの指数に連動する、パッシブ・インデックスファンドと呼ばれるものです。いわゆる市場全体に投資するので短期間であまり大きく値動きする事は少なく、また個別株式のような倒産リスクもありません。市場の成長に合わせて徐々に基準価額が上昇していくことが多いです。一方、特定の銘柄を恣意的に運用会社が選んで保有するアクティブファンドと呼ばれるものは、証券会社が派手に宣伝して熱心に勧めますが、大体最初に払う購入手数料が3.24%以上取られる(その分、購入金額が少なくなり、手数料分を取り返すには時間がかかります)上に、運用管理費の信託報酬も高く、コストだらけです。しかも運用成績は常に激しく変動しており、購入時は好調でも翌年には暴落、を繰り返すので長期保有には向きません。10年間の運用成績上位10ファンドは、同じファンドが顔を出したことがかつて一度も無いのが証拠です。

投資信託の手数料は、①販売手数料、②信託報酬、③信託財産留保金、の3種類があります。①は、購入時に全額が販売した金融機関(証券会社や銀行など)に入ります。これを取られると上述のように最初から損をした状態で始まってしまうので、ゼロが望ましいです。私はノーロードのものしか購入しません。インデックスファンドは、殆どがノーロードです。なお、この販売手数料は、運用会社は上限を決めるだけで、実際にいくら徴収するかは、販売する金融機関の裁量に任されています。従って全く同じ投資信託なのに、販売する証券会社によって、ノーロードのところもあれば、数%取るところもあるので、注意が必要です。②の信託報酬は、一見運用会社に全額入るように思われますが、実際は販売した金融機関に約2/3もキックバックされています。これは投資信託を保有し続ける限り毎年支払うものなので、各金融機関が血眼になって販売合戦を繰り広げるのもこうしたカラクリがあるからです。長期にわたって保有するとわずかの差でも大きなパーフォーマンスの違いになってきますので、これもなるべく安いものが望ましいです。③は、投資信託を中途解約する場合に徴収されます。あまりたくさん解約が続くと、安定した運用に支障が出るので、一部を残る投資家の為に残しておくことが慣習になっています。

何れも、限りなくゼロに近いものが理想です。インデックスファンドは指数に連動するべく設計されているものなので、基本的には銘柄による違いはあまりありません。ただ、純資産総額が少ないものは、指数に近い動きをするためにはほぼ全部の個別投資対象を購入すべきところ、投入資金が不足することがあって、指数の動きに対して乖離した動きをするものもあるため、避けた方が良いかもしれません。

こうした、各投資信託の比較には、総合金融情報サイトのモーニングスター社の投資信託サイトhttp://www.morningstar.co.jp/fund/ が定評あります。投資信託は各金融機関によって扱う銘柄数が大きく違い、逆に、ある銘柄が欲しい場合、当然買える金融機関は限定されます。すべての金融機関を自力で調べることは不可能です。ここのスクリーニング機能は非常に充実していますので、参考にしてください。

 

(2)投資信託の買い方

投資信託は、購入申し込みをした営業日の終了したのちに基準価額(実際の購入価額)が決まります。従って、多くの投資信託は、購入総額を先に支払って購入申し込みしたあとで何口買えたかがわかります。大体、1万円から購入できるところが多いです。

買い方は、1回大金を纏めて払って購入するのではなく、毎月できれば日を決め一定金額を定めて口座引き落としなどで自動的に購入し続ける「ドルコスト平均法」と呼ばれるやり方が、一番利益になります。基準価額というファンドの価格が高い時は自然と購入数が少なく、安い時には購入数が多くなります。価格がひたすら下がり続けると損になりますが、いわゆる市場平均に投資するので、資本主義の原理である、常に主役は代わっても拡大し続ける仕組みが機能する限り、最終的には利益が出るはずで、それが駄目になったときは何に投資しても無意味です。ただ、指数の対象が今後発展する要素の低いものは避けるべきで、今後の状況を鑑みると、日本国内の指数よりも、海外先進国の株価・債券などの指数に連動するファンドが望ましいと思います。日本の証券会社で買う場合は当然日本円で売買しますが、海外指数が対象ならば投資対象が外貨建てになるので、前述のように確実に円安の進行が予想される場合、為替差益も乗ってより利益が大きくなります。指数が下がる不況時にも買い続けるのは勇気が必要ですが、その分安く変えるので、むしろ今が買い場の好機と考えて、より多くの口数を保有しておくと、好況になった時に大きく利益が出ます。景気は必ず変動を繰り返すので、こちらも目先の利益にこだわらず、数十年先を見越したスタンスで臨むことが大切です。例え万一、自分が必要とする期間内では、景気がただ循環するだけで一定の幅を行ったり来たりするだけに終わったとしても、安い時により多い口数を購入しているので、その分が利益となって沈殿していきます。景気が右肩上がりにならなくても、利益が積み上がるところが「ドルコスト平均法」の真骨頂です。

投資信託の購入は、かつてはSMBC日興証券の子会社の投信スーパーセンターという投信専門会社があって、豊富な品揃えとノーロードが多いので私はよく使っていました。今は本体に吸収されて投スパ支店となっていて、本体では買えないのにここでのみ買える投信も多いのですが、投スパ支店の新規の口座開設はできなくなっているので、そのうち消滅すると思います。現在私は、投信専門で全世界を対象にするノーロードのバランスパッシブファンドのみに特化していて信託報酬などの手数料も非常に安いセゾン投信と、ノーロード投信の多いマネックス証券、IPOの裁量配分を時々くれるSMBCフレンド証券もお付き合い程度、でノーロードの投信購入に利用しています。

 

(3)投資信託の売り方

 投資信託には、債券同様に満期償還日が設けてあるものと、無期限運用のものがあります。満期償還日があるものは、その時期が来ると自動的に、その時点での基準価額に保有口数をかけた金額が償還されます。満期償還なら、先程の(1)の③信託財産留保金は、不要です。ノーロードのインデックスファンドは、殆どが無期限運用ですので、現金化する際には解約申し込みを行って中途売却することになります。還ってくる金額は、上記の金額と同じ計算ですが、こちらは信託財産留保金を取られるものが多いです。インデックスファンドの場合は安くて、大体0.1~0.3%程度です。

 税金に関しては、特定口座扱いになっていれば、現行では源泉分離課税されますので手続き不要ですが、やはり2016年1月からは、特定口座でも「申告分離課税」20.315%になります。

 

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