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Puffinさんの投資指針 その8

2015年09月08日 | Puffinさんの投資指針

(3)株式の売り方

 長期保有の場合は、十数年のスパンで考えますので、積極的には売りません。

ただ、相場は常に変動しており、特に前述の「2020年問題」も想定して、不測の事態には常に対応できる体制を取っています。

 そのやり方は、購入した株式が順調に上昇してきたら、それに合わせて売りの逆指値も徐々に引き上げていきます。そのうち、逆指値が買値を越えて、その後株価が下がっても逆指値が自動的に発動して約定しそれでも利益が出ます。「トレイリングストップ」と呼ばれるものです。常に相場を監視していなくても、これによって、十分な利益を確実に確保することが可能になります。

「尻尾と頭はくれてやれ」という投資格言がありますが、底値で買って天井で売り切ることは、プロでも無理です。着実に資産を減らさずに積み上げていくと、投資金額が増えることで、より多くの銘柄にリスクを分散させることが可能になり、更に累進的に利益の絶対値が増えるので、目先の利益にこだわらない事が肝心です。

このやり方は、後述する株式の短期売買でも同様です。

 

税金の問題は、特定口座ならば、現行では源泉分離課税で20.315%ですが、2016年1月からは申告分離課税で20.315%になります。株式を以前からされている投資家の方は、大抵、確定申告して損益通算・繰り越しを既にされていると思いますので、大きな変更ではないと思います。

 

 

【コラム】株主優待タダ取り法

 「株主優待」とは、日本独特の制度です。株を購入して「権利確定日」と呼ばれる日の営業終了時点でその銘柄を保有している投資家が、当該会社の株主名簿に載り、配当の出る企業は配当金が支払われるのですが、更にその名簿に載った株主に対して、企業が優待品という品物や金券を配る制度です。1000社を超える上場企業が採用しています。これ欲しさに株を買う投資家も多いです。権利確定日1日だけ保有していれば貰えるのですが、翌日は、「権利落ち日」と呼ばれ、配当金や株主優待品相当額前後、株価が下落します。これでは貰っても元が取れないので、「株主優待タダ取り法」なる手法があります。

 具体的には、現物株取引の買いと、証券会社自身から株を借りて行う一般信用取引のカラ売りを、同時注文する両建て注文を行います。優待を受け取れる権利日が過ぎたら、「現渡し」という、買って保有した現物株を借りていた信用売り株の返済に充当する手続きを取ることで、株価の変動に関係なく手数料のみの負担で株主優待を受け取ることができます。信用取引は制度信用取引と一般信用取引があって、どこの証券会社でも可能なのは、他所から株を借りてのカラ売り注文ができる制度信用取引の方です。但し、制度信用取引はカラ売り注文が多いと逆日歩という高額の貸し株料が別途かかるので、株主優待のタダ取りどころか損をすることもあります。一般信用取引は、自社からの株貸しなので逆日歩がかかりませんが、今、一般信用取引のカラ売り注文ができるのは限られていて、松井証券・カブドットコム証券・大和証券・岩井コスモ証券と最近SBI証券が加わりました。

 かなりマニアックな投資方法ですが、これに嵌って生活のほとんどを株主優待品で賄う人までいるようです。やってみると、意外と楽しいので、興味のある方はどうぞ。

 ここまでは、長期投資でした。


この後が、短期売買です。興味のない方は読み飛ばしてください。

まず、一般的な株式売買の管理手法から。

私の短期売買は、数日から数週間のスパンで、上限20銘柄まで。それ以上買う時は、何か適当に保有銘柄を処分して、自分が管理できる範囲内に留めています。管理方法は、スマホでカブドットコム証券が提供している、「Kabu smart」と言う無料アプリを使っています。Androidならgoogle  play、iPhoneならApple storeからダウンロードできます。カブドットコムに口座を持っていなくても、自由に使えます。銘柄登録は、ポートフォリオ10枠のそれぞれに10個、合わせて100銘柄登録できます。下段の「マーケット」をクリックして銘柄検索して購入銘柄のチャートを出し、右上の「登録」をクリック、取引区分と購入株価・株数・どの枠に入れるか・購入証券会社(ほぼ全ての証券会社がOK)を入力して「登録」をクリックすれば、ポートフォリオの指定した枠内に登録されます。あとは、下段の「ポートフォリオ」をクリックすると、リアルタイムで各株価の現在値・個別の損益とそのポートフォリオ枠内の合計損益が瞬時に表示され、刻々と変化していきます。どこの証券会社で保有する銘柄か、も表示されるので、複数の証券会社を利用している方に最適です。

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