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敗戦を認めない日銀総裁

2015年03月19日 | ニュース・コメント

  昨日の日経新聞朝刊のトップは昨日の日銀の金政策決定会合後の黒田日銀総裁の記者会見をカラ―写真入りで報じていました。

大見出し;脱デフレ半歩前進

小見出し;日銀総裁「物価、着実に改善」

  しかし小さい字で始まる記事の最初に書いてあることは、黒田総裁は物価について「若干のマイナスになる可能性も排除できない」です。

こういうのを普通は、看板に偽りありと言います(笑)。クロちゃんもお気の毒ですが、日経新聞もお気の毒さまです。

  期限があと1ヶ月に迫った「2年で2倍にして2%」は達成できないことを認めようとしません。エネルギー云々と言い訳しても、エネルギー・食料除きの指数も低下一方で前年比0.4%程度です。彼は一方で2%の達成時期を2年ではなく「15年度を中心とする期間」と微妙な言い回しで修正を始めています。岩田副総裁のようにまず素直に敗北を認めてから、改めて目標を設定し直せばよいのです。

  普段は経済統計の発表や要人の発言などにいちいち反応しない私が、何故こうした黒田発言を時々ブログで取り上げるのかといいますと、約束が達成できなかったことを素直に認めない人間は、何をするかわからない怖さがあるからです。

  市場関係者は提灯を持ちながら「バズーカ3号」はいつ発射されるかと催促を始めています。クロちゃんにはこれ以上打つ手が残されていないにもかかわらず、市場を驚かすためにきっと次のサプライズを考えているのでしょう。国債をこれ以上買うことはできないし買い取り数字だけ増やしても意味はないので、株式や円安狙いで外貨資産でも買うのでしょうか。しかし政府関係の金融機関や年金を使ってつり上げている株価を日銀がさらに人為的につり上げれば、あとの崩壊はまたまた悲惨なものになります。

  

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10 コメント

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Unknown (Owls)
2015-03-19 22:44:35
こんにちは。

疑問に思うのが物価が上がらないと叫ばれてますが、
食品をはじめ生活必需品はしっかり値上がりしています。
値段据え置きのものでも、中身がしっかり減らされています。
ポペトチップスなんて凄いですよ、スーパーで手にとった瞬間に中がスカスカとわかります(笑)
本当に黒ちゃんがいうインフレ率2%が達成された時は、
生活必需品の値段はどうなってるかと思ってしまいます。
日銀がいう物価とは何ぞやということを知っておいたほうがよいかもしれません。

話は変わりますが、個人の金融資産が1690兆になったと報道されていました。
記事を読んでみると、個人とj企業の預貯金の総計と
地方公共団体を含む政府債務の総額が同じくらいになってました。
これを単純比較をしてはいけないとは思いますが、
流石に日本は預貯金が多いから大丈夫とは言えないように思います。
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Unknown (ミケ)
2015-03-20 21:52:46
前回「名前が一番悩む人」という名前で投稿したものです。悩んだ結果名前をもじって「ミケ」というHNにしました。

さてインフレについてですが、2014/11/13と古い情報ですが「円安以上のインフレは起こっていない」という情報があります。
http://japanese.joins.com/article/673/192673.html

今後も2%どころか1%のインフレすら起こらないと思っています。
その理由として、いつまでたっても消費できるお金が増えないことです。
消費税以外にも保険料やら何やら増額されていますし、またすぐ消費税の増税がやってきます(今後毎年1%弱のペースで上がりそうです)。
賃金がほんの少し増えてもそれ以上に他の部分から取られてしまいます。これでは買える物の量は増えません。

インフレを起こすなら、減税し、最低賃金を引き上げ、可処分所得を増やしてやれば良いと思います。
特に最低賃金の引き上げは重要だと思います。
人件費が増えれば物価に反映されますし、労働者は同時に消費者ですから、労働者の賃金が増えれば消費されるお金も増えます。
失業率が増えると主張する人もいますが、最近ではそれほど影響ないという話も聞くようになりました。

先進国は今、最低賃金の引き上げが動き始めています。最低賃金を増やせば内需が拡大し、景気が良くなるのではないかという考えです。
アメリカは7.25ドル→10ドル(約1200円)へ、イギリスは3%引き上げて時給6.7ポンド(約1200円)へ、ドイツは時給8.5ユーロ(約1220円)で法律が新設されるそうです。

本当にインフレを目指すなら、円安で企業が儲かっている(ことになっている)今そこ最低賃金を時給1000円にするすべきですが、その気は全くないようです。
私にはアベクロコンビのインフレを目指すという言葉は嘘だとしか思えません。
黒田総裁の言う「デフレマインド」は、国民ではなく政府にあると思います。
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Unknown (用心棒)
2015-03-20 22:20:37
 こんばんは。

 本来のインフレを起こしたいなら、景気改善のために現役世代にかけている所得税だったり、社会保険“税”を下げればいいのでは。

 それと質問なのですが、大手の証券会社で国債銘柄を探していると、どこの会社にも2032年から2035年までの銘柄在庫がまったく見つかりません。

 2032年償還だと発行は2002年でしょうから、エンロン破綻の年ですし、2035年くらいまでの銘柄が長期債として出回ったのは2007年くらいでしょうから、サブプライムで大やけどをした強欲たちが買い集めていたのでしょうか。

何か特別な理由があるのでしょうか。
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Unknown (Owls)
2015-03-21 13:23:38
こんにちは。

たぶん日銀の建前と本音は違うでしょう。
建前はインフレ期待で景気回復とか言ってますが、
本音は国債を大量に買うことの方がメインだと思います。
多少は一時的な景気回復は期待したかもしれませんが。
アベちゃんはともかく、クロちゃんはそれほど馬鹿ではないと思います。

明らかにおかした建前に拘ろうとするのは、
もっと切迫した理由の本音があると考える方が妥当です。
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Unknown (通りすがりの傍観者)
2015-03-21 13:56:57
2002年から2005年には35年米国債は発行されていませんよ
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Unknown (通りすがりの傍観者)
2015-03-21 13:58:10
30年米国債でした 訂正します
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Owlsさんへ (林 敬一)
2015-03-21 16:21:16
値上がりしているものは印象に残り、値下がりしているのは残らないのでしょう。

あと以前も指摘しましたが、3%の消費増税分も除いての話です。

総務省の物価統計のページに行くと中分類くらいで見て値下がりしているものがわかります。

例えば、衣料、耐久財、家賃、飲料、穀類などです。
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ミケさんへ (林 敬一)
2015-03-21 16:24:08
名前を思いついて、よかったですね。

賃上げ、いいですね。ついでに年金も上げてもらわないと、年金生活者は困ります(笑)。

物価の上昇は賃金上昇によって起こる比較的健全な上昇であれば問題ないのですが、そうばかりとは限りません。

例えばブラジルのように常に物価上昇を賃上げが追いかける国があります。

日本もオイルショック時の物価は賃上げ前に年3割も上昇しました。戦後も賃上げなどない中で数十5%上昇しています。

私の心配しているインフレも健全かつマイルドな上昇ではなく、こうしたとんでもない上昇です。
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用心棒さん、通りすがりの傍観者さんへ (林 敬一)
2015-03-21 16:25:34
そのとおり、アメリカは財政黒字でした。
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Unknown (用心棒)
2015-03-21 23:59:06
 林様、通りすがりの傍観者さま。

 なるほど。黒字だったら、国債発行する必要がないですね。買いたい立場からすると、良いのだか、悪いのだか何とも言えませんね。
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