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 クリティカル11、飛行機旅行の心得

2024年01月04日 | ニュース・コメント

 羽田の事故が大惨事にならなかったのは本当に不幸中の幸いです。

みなさんの意識が「燃えている飛行機からの脱出」ということに集中した今、私から一言アドバイスを差し上げたいと思います。

 それがタイトルにある「クリティカル11と、飛行機旅行の心得」です。旅行中はみなさん楽な服装に合わせてカジュアルな靴を履いていることと思います。一部ビジネストリップをされる女性の方がヒールのある靴を履いているのを見かけることがありますが、これはご法度です。今回のような事故でシュートでの脱出時に邪魔になったり、自分の足がひっかかり怪我をするおそれがあります。CAはもしかすると脱出時にハイヒールを脱げという指示を出すかもしれません。

 そして何より、乗っていた飛行機が今回よりひどく炎上している時は、シュートで降りてから猛ダッシュで逃げる必要が出ます。それも滑走路脇にある軟弱な芝生の上を走ることも多いにあるのです。

 

  いま一つのアドバイスは、機内でリラックスするために履き替えるスリッパについてです。スリッパの着用は、水平飛行中だけにしましょう。表題のクリティカル11とは、離陸時の3分と着陸時の8分に航空機事故が集中するので使われる言葉です。私はある時、自分のいた会社の社長とロンドンまで行く機会がありました。その方は機内に座るや否や靴を脱ぎ、備品のスリッパに履き替えたのです。その時私は、「上昇が終わるまでは靴のままでいたほうが安全ですよ」と言いました。理由は「クリティカル11」だからということです。

 離陸時がわずか3分で、着陸時は何故11分なのか。理由はスピードによる飛行機の安定性の違いです。離陸時は加速する必要からアクセル全開、パイロット用語で言えばフル・スロットルにして推力が増すため、飛行機は非常に安定します。それに対して着陸時はスロットルを絞りつつスピードをどんどん下げるため、飛行機は非常に不安定になり、その状態は結構長く続きます。特に危険なのは着陸までの11分と言われます。3分の上昇時とプラスしてクリティカル11分なのです。

 横風が強い状態でも着陸せざるを得ない場合、飛行機がフラフラしながら飛んでいるという体験をされた方もいらっしゃると思いますし、最近はその様子を動画に撮ってアップしている方もいますので、ご覧になった方も多いと思います。

 かつて機体にカメラが設置され、機内のモニターが前方を映していた時代は、その様子がよくわかりました。横風で着陸をする場合、パイロットは機体の向きを風が来る方向に少し向け、しかし機体は直進する状態を保とうとします。つまり機体の向きを滑走路とは違う方向に向かせるのです。すると機体が横にスライドしながら着地するという際どい状態になります。着陸時のスピードは250㎞―300㎞くらいあるのですが、後輪が着地したとたん、機体の向きが風の来る方向から滑走路と並行にグイと変わる瞬間があります。これぞパイロットの腕の見せ所です。

 そして強風で不安定だと着陸寸前にゴーアラウンドといって加速し直し、旋回をして着陸をやり直すということもままあるのです。そうした不安定状態にある飛行機はちょっとした気象条件などで事故に見舞われる可能性があるのです。

 

 ですので、みなさんもクリティカル11の間は靴を履いておいてください。以上、元JALからの飛行機旅行の心得でした。

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