クロちゃん、あなたは10年前の就任演説では「異次元」という言葉を最初に使って威勢よく公約しましたね。この言葉、その後政治家を始め多くの方が使う流行り言葉になりました。ですが、それと同時に謳い上げた「2年でマネタリーベース(資金供給)を2倍にし、物価上昇率2%を達成する」ハズが、いまだもって達成できず去るのはさぞ心残りと思います。今の物価上昇はコロナとロシアのおかげです。
今を去ること10年前、13年4月クロちゃんの就任記者会見の古い記事を引用します。会見の質疑応答部分です。
引用
記者;黒田総裁にお伺いします。総裁は、国会の所信聴取の席などで、 2%の物価目標に関して、「2 年程度で達成は可能である」という趣旨の発言を されていると思います。この点について、改めて、総裁の決意をお伺いします。 また、具体的にその目標に到達するために、どのような手段を講じて いく考えがあるのかということも伺います。
黒田総裁; (前任の)白川前総裁のもとで、政策委員会が、既に 2%の消費者物価上 4 昇率を目標・ターゲットと定め、それをできるだけ早期に実現するよう、金融緩和を推進することを決めているわけですから、当然、これに沿って、最大限努力することになると思います。この 2%という物価安定目標は、「政府と日銀との共同声明」に明記されているわけですが、共同声明の中では、金融緩和とともに、機動的な財政運営あるいは成長戦略、そして中期的な財政健全化の取組みが、政府の役割として示されています。 日本銀行としては、2%の物価安定目標をできるだけ早期に実現することに尽きると思いますが、その場合、各国の状況をみると、物価安定目標の達成に向けて 2 年程度を一種のタイムスパンと考えている中央銀行が多いようです。そうしたことも十分勘案し、2 年程度で物価安定の目標が達成できれば 非常に好ましいと思っています。
次に、そのための手段ですが、これはまさに、さらに量的ならびに質的な緩和を進めることに尽きると思います。量的な緩和が不可欠であることは事実ですが、単に、マネタリーベースを増やすことにとどまらず、資産側で、 イールドカーブ全体の引下げや、必要に応じてリスクプレミアムの引下げを促していくことを通じ、量的ならびに質的な両面から大胆な金融緩和を進めていくことで、2%の物価安定目標を達成すべきであるし、達成できると確信して います。
引用終わり
こうして白川氏は石をもって追われ、クロちゃん公約の2年が始まりました。バズーカをぶっ放しながら国債を買いまくり資金供給をしましたが、その資金は国債を売却した銀行を通じて産業界、ひいては国民に回るはずが一向に回らず、ひたすら銀行から日銀の当座預金勘定に還流するだけでした。
2年経って辞めるのかとおもいきや、何の反省や弁解の言葉もなく同じようなペースでなんと10年も続き、日銀の資産勘定には国債が565兆円にも積み上がってしまいました。つまり年間50兆、2年で100兆円のつもりが、10年続いて565兆になってしまったことになります。
そして3月10日の事実上のサヨナラ会見でも「私の不徳の致すところです」など反省の言葉はいっさいありませんでした。ここまでくると巻き戻しなどできようはずもなく、お気の毒に「失敗でした」という言葉すら発することができません。そんなことを言おうもんなら株式は大暴落し、人々は銀行に走り、もちろん日本人の性であるトイレットペーパー買いが猛然と始まるでしょう(笑)。しかしこの影響は笑い事では済まされません。なぜなら破綻規模からいって世界中が「日銀ショック」に見舞われるからです。
一方では、日本国債を空売りしていた海外勢が、泣いて喜び、大儲けするにちがいない。しかしもう一つ、安堵するグループが日本人の中にもいます。それは私のこれまでの主張を真に受けて、米国債をしこたま買っていた人たちです。
こんなひどい日銀ショックなどなくとも、この10年クロちゃんに疑問を感じ米国債投資を続けていた方々は、すでに密かにほくそ笑んでいるに違いないと思います。
「異次元緩和の結果がこのまま平穏で済むなら警察はいらない」。日本では政府を含む国全体が、永続することなどありえない超低金利を享受し、それを前提としたさまざまな財政運営、投資や経済活動が行われています。いったん日本でも金利が本格上昇しはじめるとアメリカのシリコンバレー・バンク(SVB)と同じような「破綻の教科書」ケースが出てくる可能性があります。
そもそも銀行業務の基本中の基本は、短期の低金利で調達して長期の貸し出をし、長短金利差を利益の源泉にするビジネスです。短期の低金利の多くは、何も文句を言わない我々の預金です。そのビジネスの前提が金利上昇により崩れると銀行に破綻のおそれが出ます。
SVBの破綻で混乱したアメリカの例を見てみましょう。SVBの破綻は短期の調達金利がFRBの利上げで高金利となり、運用利ザヤが逆ザヤになったのです。そして長期債をシコタマ抱えて運用していたSVBが破綻しました。
先週、アメリカ上院の銀行委員会がFRB副議長のバー氏を呼び公聴会を行いました。その席上バー氏が証言したのは「SVBは破綻の教科書だ」という言葉でした。要はFRBが金利を引き上げたら破綻するなんて、銀行にあるまじき初歩的経営ミスだということです。
私は3月14日の投稿で「SVBは金利上昇にヘッジで対処できていない」と書きましが、同じことです。もし日銀が破綻に瀕したら、「日銀は破綻の教科書だ」と言ってあげましょう。
さらに私は、「日本の場合、低金利への悪乗りナンバーワンは政府だ」とも言っておきます。政府は日銀とグルになって低金利をエンジョイし借金をしまくり、後の世代に大きな負の遺産を残してくれています。
そこで私から団塊ジュニア世代のわが息子・娘たちへは、次の言葉を送ります。
「トイレットペーパーを買わずに、米国債を買え!(爆)
時代の移り変わりと私の物忘れ進捗が激し過ぎてマジ困ってますが元気です
そんな中、ななしはネット情報に翻弄されてるだけかもしれませんがちょっとした不安が出てきて・・
林様ブログが始まって私の記憶では10数年以上。
その頃はデジタル通貨なんて聞いたことも無かったけど、近頃ではIMFが国際CBDCを発表した話や、基軸通貨である米国債離れが地味に進んでる話がネットから耳に入り・・
数年前は「暗号資産?ビットコイン?ふーん」ってな感じでしたが今回ばかりは・・
①これまでのように米ドルは基軸通貨であり続けられる?っておっちょこちょいな不安も出てきました。
ななしは「卵を一つの籠に盛るな」のことわざは林様お薦めの米国債トレジャリーゼロ運用に関しては例外と考えてました。
今回も「トイレットペーパーを買わずに、米国債を買え!」でしたもの!
これらの世の中の動きの中、不安解消の為にも、林様の出版を楽しみにしてる最中ですが・
ここの読者の中で、ななしのおっちょこちょい的不安のある方はいらっしゃいますか?
林様、ひょっこり出てきて、相変わらずアホな質問ばかりですみません
ところでPuffin様お元気かなあ・・
お元気そうでなにより。
ななしさんの疑問は、ほかの方も興味を持つでしょうから、回答は本文にて。