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アベノミクス新3本の矢・・・ちょっと待て、私は騙されない その9

2015年10月22日 | 新3本の矢

   昨日、世田谷区ゴルフ連盟の第44回ゴルフ大会に参加してきました。場所は河口湖のそばにある富士レイクサイドゴルフ倶楽部。結果は、男子シニアの部57人中グロスで3位、ネットで2位と上々でした。しかし驚いたのは豪華商品です。地元山梨の山の幸をたくさんいただきました。

1. 山梨産こしひかり新米 5kg

2. 甲州ワイン・ビーフ ステーキ用300gX4=1.2kg

3. 甲州ぶどう 1kg

   この世田谷区ゴルフ連盟の大会ですが、区の健康福祉事業の一環でもあるそうです。ということは、もしかして補助金あり?喜んで賞品をいただいていいのかな?そんなことは忘れて、おいしくいただくことにします(笑)。

  あっそうだ、ワイン・ビーフって何?と言う質問がありそうですね。和牛をビールでマッサージすると素晴らしいステーキに肉ができるという話があるので、もしかして甲州ワインでマッサージかとおもいきや、さにあらず(笑)。ワインの搾りかすを飼料にして育った牛肉で、とてもエコで栄養価に富んだおいしいビーフとのことでした。いただきまーす。


  さて新3本の矢、今回はまず「2020年頃にGDP600兆円」の目標から見ていきます。この目標を達成するには現在約500兆円の名目GDPを、2020年までの5年間で100兆円の上積みをする必要があります。19日、月曜日の日経新聞には「GDP600兆円、意外と近い?」というタイトルの記事がありました。

内容は、

・国連がGDPの計算方法を見直したのに合わせると、約20兆円上積みが可能となる

・それを前提とすれば、安倍首相の言う「名目3%で成長していけば十分到達可能だ」は現実味がある

  新基準の主な内容は研究開発費を単なる経費ではなく、付加価値を生む投資とみなしてGDPに算入するというものです。それ自体は世界で採用されはじめているため、早目に算入することに異を唱えるものではないのですが、それを目標達成の材料に組み入れるのはおかしいと思います。

  すでに日銀のクロちゃんが、インフレ率2%は達成できそうもないので、足を引っ張るエネルギーを物価統計から除外した新指標を示しているのと同じたぐいです。私がよく批判の例えで使う次のやり方と似ています。ティーショットを打ってボールを探していたらボールがOB杭の外に出ていたので、OB杭を引っこ抜いてボールの外に移動。これでOBを免れるセコイやりかたです。

  それに目をつぶって研究開発費の算入を許したとしても、名目成長率3%の達成は容易ではありません。GDPの成長率を実質(物量)とインフレ率に分けて考えましょう。名目GDPとは簡単に言えば、消費した物量の増加率に、ものの値段の増加率を足し上げて作ります。例えば実質が1%でも、インフレが2%なら合計で3%成長になります。名目値を作ためのインフレ率は変動が激しく、インフレだけでGDPが成長したといっても、国民はただ物価上昇により窮乏化するだけなので、普通は物量の増加に重きをおきます。それが本来の成長率の意味で、通常GDPは実質でものを見るのです。

  しかし現在のアベノミクスは物価を上昇させないと日本の成長はない、という「デフレ克服論」で動いています。このため物価の上昇にこだわり、今回の目標も名目値にしています。ということは、たとえ目標を達成してもそれが物価上昇だけによる達成であれば、国民は不幸になるだけという矛盾を抱えた目標になっているのです。

   解説しなおします。これまでも何度か指摘していますが、そもそも日本の実質潜在成長率はたいへん低下していて、民間エコノミストの試算ではゼロから0.5%だという人が多くなっています。人口減少が足を引っ張っています。もしそれがゼロだとすると、インフレ分だけで100兆円増やさないといけません。すると「600兆円への成長とはGDPが100兆円増えるという喜ばしいことではなく、国民が100兆円分貧しくなるということだ」となるのです。

  もし100歩譲って政府の「希望」成長率3%が、実質1%+インフレ2%で達成できたとすると、「GDPの100兆円増加とは、国民がインフレ分66兆円不幸になることだ」と言い替えることもできます。

  そして2020年までの間にハイパーインフレにでもなろうものなら、「目標の超過達成で国民は不幸のどん底に」の見出しが躍ることになります。


  私は明日から3日間、高知にでかけますので、しばらくの間アップデートはお休みとさせていただきます。

  またゴルフかって、ハイ、そうです(笑) 

   ゴルフ・バカが全国から集合するスクラッチ選手権に参加します。

コメント (3)
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