今回からアベノミクス新3本の矢を取り上げます。旧3本の矢については、まず内閣府のHPに示されている説明書きに沿ってレビューをしました。その結果を簡単に要約しますと、
1. 金融政策・・・世の中に出回るオカネは2倍にはならず、ただただ日銀にブタ積みされているだけ。物価のプラス2%は遠のき、ゼロになっている
2. 財政政策・・・累積赤字の解消など、まっとうな議論さえされず放置
3. 成長戦略・・・一般の方に何を挙げますかと聞くと、みんな「?ポカーン」
私は「唯一TPPに取り組み、合意に至らしめたことだけは評価する。評価のポイントは選挙の地盤をみずから壊し始めたことだ」と申し上げました。しかし同時に「政府が守ると言う国益とは業界益であって国民にとっては不利益だ」とも言っています。
TPPの実質的合意内容は、コメはかすかな隙間を開けたくらいで解放には程遠く、牛肉もコメよりましだが、解放ははるかかなたにある。本日、関税が完全に撤廃される品目などの内容が発表されましたが、実は完全撤廃される品目は現在の関税率が2~3%であってほとんど精神的撤廃にすぎず、針小棒大なる宣言内容です。
実際の日本農業は決して弱くなく、過保護ゆえの弱さである。およそ明治以来黒船が来るたびに日本はそれをはねのけ強くなっている。農業だけではなく、円高による日本の製造業壊滅論もかなりの程度はねのけている。以上がレビューのおさらいです。
では、新3本の矢を見ていきましょう。私は常に原典にあたるのが信条ですので、旧3本の矢と同様に内閣府の大本営発表資料を見に行ったのですが、そこには何もありませんでした。???
グーグルで「アベノミクス 新3本の矢」と検索しても報道がひっかかるだけです。内閣府のHPの検索欄で同じ言葉を入れて検索をすると、答えは、
【アベノミクス新3本の矢】の検索結果は、0件です。
???似たキーワードを入れても何も出て来ません。
9月19日にあの安保法案を強行採決した安倍政権が、5日後の24日に記者会見で首相自ら発表した新3本の矢ですが、強行採決を消そうとする目晦ましだったのでしょうか。しかたないので自民党のサイトにいきますと、以下の文章があったので、ちょっと長いですがそれを載せます。
引用
『新3本の矢』アベノミクス第2ステージへ
安倍晋三総裁は9月24日、「党大会に代わる両院議員総会」終了後、党本部で記者会見に臨み、新体制でのスタートにあたり、未来を見据えた新たな国づくり を進める意欲を示し「ニッポン一億総活躍プラン」を提唱、アベノミクス第2ステージとして『新3本の矢』の実現に向け、全力を尽くす決意を熱く語りまし た。
安倍総裁は、
第1の矢に『希望を生み出す強い経済』を掲げ、「経済最優先」で「戦後最大の国民生活の豊かさ」に向け、GDP600兆円達成を目指します。
第2の矢として「夢をつむぐ子育て支援」を挙げています。希望出生率1.8を目指し、待機児童ゼロの実現や幼児教育の無償化の拡大、多子世帯への重点的な支援などによる子育てにやさしい社会を創り上げます。
第3の矢は『安心につながる社会保障』。介護施設の整備や介護人材の育成、在宅介護の負担軽減など仕事と介護が両立できる社会づくりを本格的にスタートさせる一方、意欲ある高齢者が活躍できる「生涯現役社会」構築を目指します。
希望と、夢と、安心の「新・3本の矢」でアベノミクスによる果実を、国民に届けることを目指します。
引用終わり
記者会見にあったはずの3本目の矢の「介護離職ゼロ」の旗は静かに降ろしています。介護が理由で離職する人を統計的に把握するのは初めから無理があると思いますので、それ以上の追及はやめておきます。
まずこの新3本の矢ですが、最初の反応で「これは3本の矢ではなく、3つの的だろう」という批判に対して自民党は反論できないので、これまた静かに無視しています(笑)。強行採決に疲れ切ったまま拙速で作ったためか、矢と的を取り違えてしまったのでしょう(爆)。