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初歩の投資教室 14  ポートフォリオに意味はあるか

2012年10月01日 | 初歩の投資教室

  リスクを分散してパフォーマンスを長期であげるためにポートフォリオを組んだはずが、年金の例ではどうもそうはなっていません。もう少し具体的にみなさんもご記憶に新しいリーマンショックの時のことを考えてみましょう。

あのショック時に売られたのは、

・日本株、先進国株、新興国株・・・要するに株は全部

・REIT(会社型不動産投信)・・・不動産

・格付けの低い社債、新興国債券・・・債券のうちでもリスクが高いもの

・証券化された債券・・・モーゲージ債などで格付けが高いものも含めて

・原油をはじめとする商品全般

では、買われたのは

・米国債、日本国債、ドイツ国債・・・信用力の極めて高い債券、国際機関を含む

・ゴールド



  こうしてみますと、超の付く安全資産以外はことごとく売られたことに気が付きます。

  何故そうなるかの大きな原因の一つは金融市場のグローバル化です。

  グローバル化の進展以前(およそ20世紀中)だと、各国の経済はけっこうマチマチな動きになっていて、景気循環も完全にはシンクロしていませんでした。ところが世界経済のリンケージが深まり、情報が均一化し、金融市場の自由化によりマネーの動きも自由になると、世界の金融市場の連携が深まり、市場の動きがシンクロしてくるのです。

  要は実体経済が好調なところには実物投資のカネが集まり、金融市場も活発となり投資マネーも世界中から集まる。不調なところにカネは集まらない。こうした集中は当然バブルを作りやすくし、崩壊したときも度合いがはげしくなります。

  このマネーの集中化傾向は今後ますます強まりこそすれ衰えることなないでしょう。

  とすれば、一般的ポートフォリオが本当にリスク分散になるのか、極めて懐疑的にならざるをえません。


コメント (6)
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