赤いハンカチ

夏草やつわものどもが夢のあと

▼無題

2008年04月24日 | ■芸能的なあまりに芸能的な弁証法
ああ、いやだ、いやだ、いやだ。どうしたなら人の声も聞こえない物の音もしない静かな、静かな、自分の心も何もぼうっとして物思いのないところへ行かれるであろう。つまらぬ、くだらぬ、面白くない、情けない悲しい心細い中に、いつまでも私は止められているのかしら。これが一生か、一生がこれか、ああいやだ、いやだ・・・仕方ない、やはり私も丸木橋を渡らずばなるまい。父さんも踏みかえして落ちてお仕舞いになされ、お祖父さんも同じことであったという。

「にごりえ」より・・・樋口一葉
コメント (2)
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