世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

スファックの城壁は、その内外で景色ががらりと変化して落差に驚かされます(チュニジア)

2012-10-21 08:00:00 | 世界の町並み
 焼失してしまったソウルの南大門に似た巨大な城門の豊南門が残るのが韓国南西部の全州でした。韓国や日本、中国の城門は石垣の上に楼閣が乗っているものが多いのですが、ヨーロッパなど城門は石の城壁に穴を開けただけというものが多いように思います。木造の楼閣より、火災に遭いにくく、より実戦的なつくりなのでしょうか。今回は、ヨーロッパを思わせる町並みの中に旧市街を囲む城壁と城門が残るチュニジア第2の都市スファックスを紹介します。

 スファックスは、チュニジアの中央部、弓なりになったガベス湾の北辺に面した人口35万人ほどの都市です。首都のチュニスから南に270kmほど離れていて、1日に2本の列車で約3時間半ほどの距離です。この列車は、もちろん非電化単線で、砂漠の端のような場所をひた走ります。車窓からは、オリーブの群生が見られるのですが、周りには人の気配がまったく無く、どのようにして収穫してるんだろうと思います。途中、町らしい所はスースくらいで、どちらの駅の近くも砂漠のような風景から突然家並みが現れて駅になります。エジプトのカイロからアスワンに向かう列車でも同じような車窓の風景でした。砂漠の中に、忽然と町が現れる様子は、アメリカのラスベガスにも似ているでしょうか。

 
 
 さて、スファックスの城壁ですが、駅の西側に東側を鉄道に接するような形で東西500m、南北400m程度の旧市街のメディナを取り囲んでいます。このメデイナは、映画の「イングリッシュ・ペイシャント」のロケに使われ、カイロの市場という設定だったそうです。

 
 筆者は南西隅の城門からメディナを覗きましたが、かなり迷路状態のようです。時間があまり無かったので、覗くだけになってしまいましたが、城壁を隔てた景色の落差は面白いものでした。城門の外には近代的なビルが並び、城門内は城壁ができた9世紀とあまり変わっていないような家々と石畳が続きます。夜には、城壁がライトアップされて、なかなかきれいですが、手前の明るい町並みに比べて、城壁の向こうは真っ暗で対照的でした。

 スファックスはチュニスからジェルバ島への移動の中継点として宿泊した町で、観光施設はメディナくらいしかなさそうでした。あまり英語は通じなくって、少し不便ですが、日常のチュニジアの姿が垣間見られる町なのかもしれません。通りには観光馬車が走っていたり、城壁以外にも市役所もライトアップされていて、1泊しても飽きさせないだけの魅力がありそうです。

 メディナを囲む城壁は、高くて厚くて頑丈そうで、城門も小さくしか作られていません。それだけ、外敵が多くて、防備をしなければならなかったのかもしれません。世界遺産にも登録された、中国の平遥でも巨大な城壁が町を囲んでいます。物理的な攻撃に対しては、このような城壁が有効だったのでしょうが、世界中に張られたインターネット経由の攻撃を防ぐのは大変そうです。城壁に類するファイアウォールも不完全で、防御されているはずの官公庁のホ^ムページの改ざんは日常茶飯事です。物理的な攻撃は、時間が掛かりますが、サイバー攻撃は瞬時にダメージを受けてしまいます。インターネットは、大学や研究機関を結ぶネットとして性善説でできたネットですが、仕組みをそのままで一般の商用に開放してしまった弊害でしょうか。


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