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北欧のヴェルサイユといわれるドロットニングホルム宮殿は現役の王宮でもあるのです(スウェーデン)

2009-11-08 08:00:00 | 世界遺産
 ハプスブルグ帝国の首都として芸術の花が咲いたのがウィーンでしたが、ハプスブルグの女帝マリア・テレージアの娘のマリ-・アントワネットが、嫁ぎ先のフランスで愛した宮殿が他ならぬヴェルサイユです。ヴェルサイユ宮殿は、ヨーロッパの王室や貴族に影響を与え、これを真似た宮殿がいくつか造られました。今回は、これらの中から北欧のヴェルサイユと称されるドロットニングホルム宮殿を紹介します。ただし、正確にはドロットニングホルム宮殿はヴェルサイユを真似たものではないようです。

 ドロットニングホルム宮殿はスウェーデンの首都のストックホルムの郊外にあり、地下鉄とバスとを乗り継いで30分あまりで到着します。船でアクセスすることもできますが、1時間ほどかかるようです。船でアクセスできるということは、宮殿がメーラレン湖に面しているからで、最寄のバス停で降りて、宮殿への道を歩いていくと湖畔に出て、その向こうに宮殿の建物が建っています。

ヴェルサイユと比較すると、さすがに規模は半分以下ですが、こちらはスウェーデン国王が住まいする現役の王宮なのです。したがって、公開されているのは、王宮として使われている部分を除いたところですが、それでも廊下を歩いて廻るとかなりの距離になります。

 ヴェルサイユでは、宮殿の後方に広大な庭園を持ち、中央には2kmほどにもなる大運河が掘られていますが、ドロットニングホルムでも宮殿の後方には緑が広がっています。大運河こそありませんが、1kmほどにもなる芝生の庭が伸びていて、ところどころには彫刻をあしらった泉や付属の建物があり、周辺は緑豊な森が広がっているところもヴェルサイユ的です。
 
ただ、何処となく雰囲気が凛としているのは、高緯度に位置しているためかもしれません。

 付属の建物のうち、中国館は宮殿からかなり離れた庭園の中に建てられています。外観は中国風といわれるのですが、そういわれれば屋根の形がロスのチャイニーズシアター風ってところでしょうか。宮殿の壁が一色でシンプルな仕上がりになっているのに対して、こちらは金色も使って、ちょっとおとぎの国風になっています。

建物の、内部も中国の工芸品などで統一されているようですが、この中にも日本製と思しきものがまぎれていました。

 宮殿の入り口の横には宮廷劇場があります。18世紀に建てられ、現在も現役の劇場として使い続けられています。内部は、ガイデッドツアーでのみ見ることができ、作られた当時と変わらない舞台装置の仕組みを見ることができます。この仕組みは、歴史が古いにもかかわらず、10秒程度でシーンの変更ができ、舞台の奥行きも国内最大のタイトルを保持しているようです。ただ、これらの情報はガイドブックなどからで、ガイドさんの説明はまるっきり解りませんでした、時間の都合で英語のツアーではなくスウェーデン語のツアにのっかたためです。

 宮廷劇場の照明は、現在ではさすがに蝋燭の形をした電球になっていましたが、かつては蝋燭そのものだったわけです。日本の内子座などの古い歌舞伎舞台でも感じたのですが、さぞや暗かったのではないかと思います。舞台化粧がど派手なのは、暗くても目立つように行われた伝統でしょうか。ただ、ほの暗い中で演じられる芝居は、見えない部分に想像をかき立てられ、創造にも結びつく良さがあるかもしれません。あらゆる情報が、ネットを介して詳細な部分まで見えてしまう現在は、便利ではあっても、創造力の欠落した人間を多く作り出してしまうのかもしれません。


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