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七つの湖水の街のシュヴェリーンには、おとぎばなしのようなお城があります(ドイツ)

2011-12-04 08:00:00 | 世界の町並み
 紺碧の湖に浮かぶ小島が幻想的な風景を作っていたのがフィンランドのコリ国立公園でしたが、青い湖水の向こうの小島に絵に描いたようなお城が建っているのがシュヴェリーンです。今回は、フランスのシャンボール城を手本にして作られたというシュヴェリーン城のあるシュヴェリーンの町を紹介します。




 
 シュヴェリーンは、ドイツ北部バルト海沿岸にある世界遺産の町ヴィスマールから30kmほど内陸に入った、かつては東ドイツ側の都市です。ドイツ東北部には湖水が多く、シュヴェリーンは七つの湖の街と言われています。シュヴェリーン城も最大の湖のシュヴェリーン湖に浮かぶ周囲が600mほどの小島に建てられています。駅からお城までは1.5kmほどで、歩いてもさほどの距離ではありませんが、大聖堂や州立劇場などの建物などを眺めながら行くと、ほどほどの時間がかかります。駅を東に出ると、そこにも小さな湖があって、湖に影を映す大聖堂の姿も湖水の街シュヴェリーンらしい風景かもしれません。

 
 シュヴェリーン大聖堂は19世紀後半に建てられた教会ですが、完成までに700年以上を要したという聖堂です。北ドイツには、ケルン大聖堂など高い尖塔を持つ教会が多いのですが、シュヴェリーンは9番目に高い約118mの高さを誇っています。訪問したときには、町中がお祭りのようで、大聖堂の周りにも露店がたくさん出て、子供達がお菓子やおもちゃを買ってもらっていました。 このお祭り騒ぎは、シュヴェリーン城の周りでも行われていて、貴族の衣装で着飾った人たちが、観光客と一緒に写真に収まったり、模擬砲が撃たれたりとにぎやかでした。

 さて、シュヴェリーン城ですが、北のノイシュヴァンシュタインと呼ばれているそうですが、ノイシュヴァンシュタインと比べ日本人観光客にはあまり馴染みがないようです。かつては東ドイツに属していて、訪問には制約があったことや、周辺に大きな観光地が無かったからかもしれません。ノイシュヴァンシュタインが山の頂上に緑に囲まれて建っていることに比べ、シュヴェリーンは湖水の中の青さの中に建っています。お城の原型は16~17世紀にネオ・ルネッサンス様式で建てられ、19世紀に現在のような姿に改築されました。ドーナツ状の中央部に中庭を持ちずいぶんと大きなお城です。現在は州議会として使用されているようで、一部が博物館として公開されています。英国議会がウエストミンスター宮殿を使っている湖とは有名ですが、かつての権力者の館が、民主主義の権力の館に転用されたことになるのでしょうか。

 
 お城が建っている島は小さくて、お城の周りにはあまり余白が無く、まさしくお城の島といった感じです。対岸から見ると、まるでお城そのものが湖水に浮かんでいるように見えることになります。州議会の入り口となる正面と、裏手とに橋があって陸地とつながっており、裏手の陸地側には運河が掘られて緑豊かな付属の庭園が広がっています。お城の島には、広大な庭園を造るほどのスペースはありませんが、お城周辺にも花がたくさん植えられていて、お城を際立たせていました。

 お城は、城主の住まいとしてだけではなく、外敵からの防御拠点としての役割も重要だったはずです。しかし、シュヴェリーンなどの優雅なお城を見ていると、無骨な役割は無くなってしまったのでは無いかと思ってしまいます。サイバー攻撃ならば、物理的な防備は不要、という時代はまだ到来していなかったでしょうが。
 シュヴェリーン城は、歴史が新しいせいなのか世界遺産には登録されていません。そういえばノイシュヴァンシュタイン城も未登録ですが、ノイシュヴァンシュタインを建てたルードヴィッヒ2世の従弟のフェルナンド2世が建てたペーナ宮殿は世界遺産になっています。世界遺産には登録されていないシュヴェリーンですが、北ドイツに行かれたときには、ぜひ立ち寄って損はしない美しい町の一つです。


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