世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

古代ローマの植民地ニームには円形闘技場などが残り世界遺産でないのが不思議です(フランス)

2016-02-21 08:00:00 | 世界の町並み
 アフリカ大陸の最北端の都市で、チュニジアの植民地支配をしたフランスが最後まで手放さなかった都市がビゼルトでした。その旧宗主国のフランスの、ビゼルトと地中海を挟んで向かい合う都市で、かつてはローマの殖民都市であったのがニームです。今回は、町中にローマ時代の遺跡が数多く残るフランス南部のニームの町を紹介します。

 
 
 ニームはアヴィニョンの西南西40km、アルルの北西30kmほどで、3地点を結ぶとアヴィニョンを頂点とする二等辺三角形のような場所にあります。この三都市の中で最も人口が多いといっても15万人足らずで、東京の多摩市や広島の尾道市くらいの人口で、のんびりした感じは、人が少ないからかもしれません。街中には、ニームのシンボルの椰子に繋がれた鰐をあしらった噴水があり、教会も数多くあります。また、ヨーロッパの町並みでよく見かけるロンドンのリージェント通りのような微妙なカーブのある通りなど散歩に楽しい町並みが続きます。

 


 
 ニームは古代ローマの植民地の一つで、周辺を含めて古代ローマの遺跡が数多く残っています。その中で、アヴィニョンとの中間には世界遺産の水道橋ポン・デュ・ガールがありますが、すでにご紹介をしているので、今回はニームの市街地を紹介します。ローマ遺跡の最大のものは、SNCFのニーム駅近くにある円形劇場で、現在も闘牛やコンサートに使われる現役の劇場です。アルルの円形劇場も現役で、観客席などを改造していて興ざめしましたが、こちらも似たり寄ったり。現役で観客を入れて使うためにはこうなるのでしょうか。

 
 円形劇場から北に少し行くとメゾン・カレと呼ばれるローマの神殿が残っています。現代までの間に、いろんな用途で使われ、周辺の建物と複合体を構成していた時もあるようです。20世紀末に修理が加えられ、元の形に近い現在の姿になったそうです。現用の建物として使い続けられ、手入れが行き届いたたためか、真新しく感じます。コリント様式の列柱が立った建物は、ギリシャの神殿を思わせ、ここがフランスであることを忘れさせます。

 
 
 
 メゾン・カレを西に行くと、気持ちのよい水路沿いの並木道を通ってフォンティーヌ公園に出ますが、この一郭にもローマの神殿跡があります。こちらの方は、かなり傷んでいて、あちこちが崩れ、いかにも遺跡って感じです。メゾン・カレとは建築様式が違うように感じ、こちらの方が古く感じるのは傷んでいるからかもしれません。神殿のある、フォンティーヌ公園は18世紀に作られたヨーロッパでも元雄も古い公園の一つで、聖なる泉の跡にあるのだそうです。

 
 公園の北にあるカヴァリエの丘に登ると、こちらにもローマ時代の遺跡が残されていて、石造りの望楼らしきマーニュの塔があります。こちらもフォンティーヌ公園の神殿同様にかなり痛んで上部は欠落しているように見えます。この塔のところまで上ってくると、ニームの市街地がよく見えます。麓からビルなどが立て込む景色が広がりますが、そのすぐ先には広大な緑の平野が広がっています。フランスって農業国でもあって、果物など驚くほど安く売ってるんですよね。

 フランスは、エアバスやTGVなど最先端の工業製品を作り出す工業国の顔とワインやチーズなどを含む農産物を輸出する農業大国の両面の顔を持ちます。ヨーロッパで日本より広い3カ国の一つで、平野の多い広大な国土は農業に適しているのですが、統計数字を見た限りでは、農業人口やGDPに占める比率は低くちょっと疑問のところもあります。ただ、小麦、とうもろこし、牛肉などの生産高はEU一を誇っているのも事実です。農産物って、単価が低いのでGDPの割合が低いのかな?とも思ったりします。それかといって、ITを駆使して、年中季節感の無い野菜や果物を作って、高く売りつけられるのはゴメンです。


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