世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

屋久島は縄文杉以外にも滝や野生のサルなど島全体が自然の宝庫のようです(日本)

2022-03-06 08:00:00 | 世界遺産
 錦江湾の向こうに桜島を望む仙厳園には反射炉の跡や水力発電の遺構まであるのが産業文化遺産の旧集成館でした。鹿児島県には3つの世界遺産があり、文化遺産が旧集成館を含む明治日本の産業革命遺産、残り2件は自然遺産の奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島と屋久島になります。自然遺産の西表島は本ブログで紹介済みなので、今回は屋久島を紹介します。

 屋久島はわが国が世界遺産会議に参加して最初に登録された文化遺産2件と自然遺産2件のうちの1件で、わが国で最も登録の古い世界遺産です。世界遺産に登録されているエリアは屋久島の面積の20%程度ですが、登録エリア以外も島全体が原生林に覆われています。今回は、世界遺産の登録エリアになっている西部林道など海岸から近い自然を紹介し、次回は島の内部の屋久杉が生い茂る原生林を紹介する予定です。屋久島の自然遺産登録は、縄文杉などがある標高2,000mほどの島の中央の針葉樹林帯から西側に下っていき西岸の亜熱帯の照葉樹林帯までに広がり年間4,000~10,000mもの雨量のある湿潤な原生林が残されていることによります。ただ、観光客の多い縄文杉はエリア内ですが、屋久杉の原生林が広がっている屋久杉ランドや白水雲水峡などはエリア外になります。

 
 
 屋久島は、世界遺産の登録外になる東側が開けていて、民家や宿泊施設も東側、飛行場も港も東側、路線バスの運行も東半分です。逆に島の西側は、人家がほとんどなく手付かずの亜熱帯照葉樹林の広がる地域で、登録エリアの西の端には西部林道が南北に通っています。この林道は部分的には車1台がやっとの幅で、対向車が来ると、どちらかの車は退避場所までバックですが、その可能性は少ないようで。車よりは野生動物と遭遇することの方が多く、野生のサルは他の観光地と違って、観光客慣れしてなく、目が合っても危害を加えることはありません。人間も自分たちの仲間の一部と思っているようだ、とのことでした。動物注意の交通標識も猿が主役なのか、猿の絵が描かれています。猿ほどではありませんが野生の鹿も見かけます。

 
 
 西部林道を北に抜けると少し人家がある永田いなか浜に出ます。花崗岩が風化した白砂の浜が1km近くも続き民宿もある浜ですが、風が強いせいか、屋根にはびっしりと石が載せられています。このいなか浜を有名にしているのはウミガメの産卵地で5月から8月の産卵期には、おびただしい数のウミガメが上陸してくるそうです。逆に西部林道の南側の中間集落の近くには樹齢500年巨大なガジュマルがあります。三木から数多くの気根が伸び、格好の撮影ポイントになっています。

 


 
 中間集落を挟んで東西に2つの滝があります。東側にあるのが千尋の滝で、誇大な一枚岩から流れ落ちる滝です。この一枚岩の大きさが、一千尋(両手を広げた長さの一千倍)あるということから命名されています。滝を見る展望台とは別に、手間家の展望台に上ると東南に太平洋が輝いています。逆に西側にある大川の滝は落差が88mあり、日本の滝百選にも入っているそうで、滝つぼ近くまで歩いて行けます。大雨が降った後には、逆に滝までの遊歩道まで水没するくらいの流量になるそうです。

 屋久島は1か月にに35日も雨が降ると言われるくらい雨が多く、年間降水量は海沿いの平地でも5,000mm程度、山間部では10,000m近くにもなるそうです。奈良県の大台ケ原でも、1週間に10日降ると言われ3日間のトレッキングの間の1日は雨でした。一方の屋久島は、比較的雨の少ない11月だったせいでしょうか、雨には遭いませんでした。縄文杉のある中央の高山は2,000m級の山々が連なり、気温は平地と13度も低く、小さな島に亜熱帯から亜寒帯までが存在します。研究所にいる頃に人工気候室という施設がありました。設定した気温や雨量などが人工的に作り出せる部屋でしたが、雪までは降らせなかったように思います。縄文杉のあたりでは、冬に2m近くも積雪のある屋久島の自然にはかなわないようです。