世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

バスも船も不便なダイヤですが、着いた御手洗地区には時間が止まったような街並みがありました

2018-01-07 08:00:00 | 日本の町並み
 国東半島の付け根に城下町の名残や金山で築いた財で建てられた的山荘、それに鏝絵が描かれた民家が散在するのが日出でした。この的山荘は浅見光彦シリーズの「姫島殺人事件」のロケ地になりました。浅見シリーズのロケ地は全国に広がっていますが、その中の「はちまん」のロケ地の一つが御手洗地区です。また、最近ではオランジーナのCMのロケ地としても使われています。今回は、重伝建にも指定されている御手洗地区を紹介します。

 
 御手洗は、広島県呉市豊町御手洗と呉市の一部なのですが、呉からはるか離れた芸予諸島の一つ大崎下島の南東端に位置します。島々をつなぐ橋ができて、広島を起点に呉を経由する路線バスの「とびしまライナー」が走り、呉から約1時間半ですが、午前と午後に各2本とかなり不便です。一方、船の方は呉線の竹原から午前に2便と午後に4便と出ていて、40分で到達しとかなり俊足です。ところが午前便と午後便との間は4時間ほど開いていて、どちらのダイヤも観光客用ではなく生活路線といった感じです。

 古い街並みは、北と東が海に面した東西200m、南北300mほどのこじんまりとした集落で、時間が止まったようにひっそりとたたずんでいます。以前に、同じ瀬戸内海の塩飽本島の笠島地区を紹介しましたが、同じ汐待港のせいか似たような感じがします。

 
 
 
 御手洗港から少し西に行くと海寄りに駐車場があり、その前に観光協会があって散歩のためのマップがもらえます。そこから東南東に路地を入っていくと常盤町とおりで格子や板壁、それに土蔵造の古民家が続きます。通りの途中には、伊能忠敬が測量の途中に宿泊したという家も残っています。民家の壁には竹筒の花入れに花が生けられ俳句が添えられているところもあります。

 

 しばらく行くと右手にオリーブグリーンに塗られた下見板張りの床屋さんが現れます。「どこかで見たような??」風景は、オランジーナのCMのロケ現場です。通りを挟んだ郵便局の前には、真っ赤な丸いポストが良く似合います。右に曲がってすぐに若胡子屋敷跡があります。風待ち港の名残の色街の遺構である茶屋の跡です。折り返して、郵便局を通り過ぎると左手に時計屋さん、こちらもCMでみたような。さらに行くと乙女座跡は、昭和初期の映画館の遺構です。

 
 時計屋の前を南に行くと満舟寺で加藤清正が築いたと言われる石垣があります。さらに南に突き当りを海岸に出ると、住吉神社で、その北側には江戸末期に建てられ台風で倒壊したものを1992年に再建された高灯篭があります。ここから海沿いに岬を回って御手洗港に戻ります。途中には江戸時代の船宿の名残を残す町家があり、この道はオランジーナ先生が自転車で走り抜けた道です。

 御手洗はオランジーナのCMが流れた後に観光客がドッと押し寄せたそうです。筆者の訪問した時は、そのほとぼりも冷めて、通りで人と出会うことはほとんどありませんでした。最近はTVやネットで話題になると、とんでもない場所に観光客が津波のように押し寄せ、その辺をかき回し、去った後は、荒れた街並みという現象をよく見かけます。御手洗は、変なお土産屋などができなかったので良かったかなと思います。どうも、我が国はブームに弱いようで、音声だけで使う場合はガラケーの方が安くて使い勝手が良いのに、スマホを持たされます、それもiの付く機種が多いようです。キャリアが作ったブームにそそのかされて、必要でもないものを高い使用料で持たされているように思ってなりません。