世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

町の喧騒から離れた場所にひっそりと建つシトー会修道院はストイックな魅力です(フランス)

2013-07-21 08:00:00 | 世界遺産
 人口が7万人程度の都市に17世紀には大学が創設され大学都市となったのがバンベルクでした。その大学はいったんは廃止されましたが神学・哲学の大学として生まれ変わっています。神学は、大学だけではなく修道院など研究などが行われてきましたが、その修道院も、本来の信仰と研究の場から権力の中枢となっていきました。この流れに反旗を翻して、本来の質素で敬虔な信仰の場として生まれた教団の一つがシトー会で、フォンテネーにそのシトー会修道院が残されています。


 フォントネー修道院は、フランスの中央東部にあって、パリからTERで2時間半ほどのモンバール駅からフォントネー川沿いにタクシーで15分/4kmほど川上に入った所にあります。駅の周りは、普通の地方都市ですが、修道院の周辺は緑の森が連なり、修道院以外の建物は見当たりません。

 修道院は12世紀に設立され、ローマ教皇や時の権力者からも保護を受けてきました。しかし、その後は凋落が続き、18世紀のフランス革命のときに売りに出され、製紙工場に転用されたそうです。20世紀初頭に銀行家の所有になり、修復が行われ、現在のような姿になり、現在も個人の所有が続いているそうです。

 
 
 
 
 修道院は、西向きに小さな門があり、門の内側は、東西が200mほど、南北が150mほどの敷地の中に、教会やその付属の建物それに庭園などがあります。華美を嫌うシトー会の修道院なので、装飾をそぎ落とした建物は、そっけないほど簡潔ですが、ストイックな美しさがあります。教会の内部や修道士の部屋も、がらんとした空間が広がるばかりで、マリア像が無ければ倉庫のような感じもします。このマリア像は、もともと修道院にあったわけではなく、隣接する村の墓地に野ざらしになっていた像なのだそうです。簡素な造りの建物の中にあって、中庭を囲む回廊はアーチが美しく、色数を抑えた幾何学模様のステンドグラスもいつまでも見ていたい魅力があります。

  
 教会関連の建物に混じって、ちょっと異質な鍛冶場の建物が入り口の右手奥に建っています。裏側には、フォントネー川から分流した流れを利用した水車も回っています。これは、修道院が所有する山から産出する鉄鉱石を利用するための施設だったのだそうです。まさか、その鉄を利用して武器は作ってはいなかったと思いますが。

 建物の装飾は、実現技術の発展と共に派手になり、美しさを競ってきたように思います。壁一面のレリーフは、すべてを鑑賞するためには一日かかっても難しいといった教会堂も珍しくありません。一方の、シトー会修道院は装飾を抑えた、建築の構造美とでもいうのでしょうか、建築物本来の美しさが魅力です。最近のパソコンのOSは、次々と機能が増えてパソコンにもより大きな能力を必要とします。パソコンを普通に使うユーザがこれらの機能の何5を使っているか疑問です。次々とOSを変えていかないと商売にならないのかもしれませんが、もっと簡素なOSで十分と思うのは筆者だけでしょうか。