世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

小高い丘の上の迷路が入り混じる古い町並みの中にお城や教会が建っているトレドです(スペイン)

2011-10-23 08:00:00 | 世界遺産
 ユネスコの世界遺産の制度が出来たときに最初の12の登録リストに載った文化遺産の一つがドイツ北西部のアーヘン大聖堂でした。このアーヘンと姉妹都市を結んでいる都市の一つがスペインのトレドです。今回は、15年も昔に訪問したトレド旧市街を紹介します。

 トレドは首都のマドリッドの南南西60kmほどのところにある丘の上の城壁に囲まれた都市です。現在はマドリッドからAVANTに乗れば旧市街の麓まで30分ほどで着いてしまうようですが、20年前の鉄道駅は、旧市街からだいぶ離れており、列車の速度も遅かったようです。パッケージ・ツアーの午後半日の自由行動のという制約だったので、近くまで速く行けるバスで往復しました。

 
 バスでトレドに旧市街に近づくと、丘の上に城壁に囲まれたトレドの町並みが見えてくるのですが、写真で撮るのはちょっと無理です。そうこうしていると、丘の麓のバスセンターに着いてしまい、そこからでは近づきすぎて城壁しか見えませんので、残念ながら絵葉書のような写真はありません。だらだら坂を上ると、城壁に囲まれた旧市街に入りますが、直行している道が無くって、アナログ的に交差していて、迷路状態です。どうかすると、かなり歩いて、元いた場所に戻ってしまいます。おまけに、マドリッドでは晴れていた空が、散歩の途中で雨です。傘はホテルに置いてきたので、大聖堂で雨宿りです。

 
 その大聖堂は15世紀に作られたゴシック建築で、ステンドグラスも美しいのですが、教会内の聖具室では金ぴかの器具に加えて、エル・グレコの絵も見ることが出来ます。エル・グレコはギリシャ生まれですが、活躍の中心がトレドだったようです。日本では、大原美術館の「受胎告知」のスリムなマリア像の絵でファンも多いのですが、このグレコというのはイタリ語でギリシャ人という意味だそうで、それがそのまま通称名になってしまったようです。トレドの町中には、グレコの家も再建されていましたが、雨に阻まれて大聖堂のステンドグラスと金ぴかの聖具とのにらめっこが続きました。

 雨に遭うまでに、もう一箇所訪れたのがアルカサルでした。こちらはローマ時代の宮殿跡にアルフォンソ6世などによって16世紀に現在のような形の宮殿に修復されたものです。平面図は、外形がほぼ正方形の回廊で、中庭を囲んだ形をしていて、この中庭に面した回廊の連続アーチが印象に残っています。ところで、アルカサルというのは、スペイン語でお城の意味で、中でも有名なものがマドリッドの北にあるセゴビアのアルカサルで、弾劾の上に張り出すように作られた白いお城は優美そのものです。この姿が美しいことから、ディズニー映画の「白雪姫」のお城のモデルといわれています。ちなみにシンデレラのお城のモデルは、ドイツはロマンティック街道南端のノイシュヴァンシュタイン城といわれています。

 トレドのような迷路の町で迷わないように旅行には方位磁石を持って出掛けるようにしています。ただし、日本で買った磁石は外国では必ずしも快適に使えるとは限りません。磁力線の仰角が、経度や緯度によって変わってしまうためで、日本で水平になる磁針も、外国では傾いてしまう可能性もあります。最近では携帯にもほとんど付いているGPSを使うのが、このような悩みに遭わなくっていいのかもしれません。ただ、旅先で迷うのも、旅の楽しみの一つかもしれませんし、位置情報を発信してしまい、居所を把握されてしまうよりも、いいかもしれません。