世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

世界一小さな独立国の、偉大な遺産、バチカン

2005-11-23 15:52:54 | 世界遺産
 今年の4月2日に26年間在位したローマ法王のヨハネ・パオロ2世が亡くなられたのは記憶に新しいところです(写真はそのヨハネ・パオロ2世)。そのローマ法王を国家元首とする世界一面積の小さな国がバチカン市国です。その面積は0.44平方キロで新宿御苑よりも狭い独立国です。
 国の収入は観光と信者からの寄付とのことですが、放送局、新聞社、郵便局それに銀行もあり独自の紙幣の発行も行っています。ただ、イタリアの紙幣も使用でき、観光客はイタリア紙幣を使って美しい切手をお土産に買っているようです。
 一方、大出力を誇る放送局の方は、短波を使って世界の数多くの言語によりカソリック布教の番組放送を行っています。昨年の3月までは日本語のプログラムもありましたが、経費の削減のために他のいくつかの言語プログラムとともに廃止されてしまいました。いまからウン十年前に、一般のラジオで聞こうとしましたが、ヨーロッパのかなたから届く電波なので、なかなか受信できなくてベリカード(その放送局を受信したことを証明するカード)はもらい損ねました。
 世界遺産のサン・ピエトロ大寺院は帝政ローマ時代に殉教した聖ペテロ(ピエトロ)の墓の上に建てられたとされており、現在の建物はルネッサンス華やかりし頃の16世紀に建築が開始され100年以上もかけて完成されたものです。建物の中心に位置するサン・ピエトロ広場に立つと、広場を囲むような両翼の回廊の大きさに圧倒されます。回廊を支える真っ白な列柱は3本一組が一点を中心にして放射状に並んでいます。広場のこの中心位置に立ってみると、柱が完全に重なって、柱の数が本来の本数の1/3に減って見えてしまいます。
 付属のバチカン美術館は世界3大美術館の一つで、バロック芸術の宝庫です。1日かけても見切れないほどボリュームのある美術館ですが、筆者は閉門時間にせきたてられ駆け足で回らなければならなかったのが残念です。中でも圧巻はシスティナ礼拝堂の壁画で、ミケランジェロの「最後の審判」と「天地創造」が描かれています。「天地創造」の「アダムの創造」の絵ではアダムと神とが指を差し出しあっていて、ETの有名なシーンはこの絵をヒントにしたのではないかとも思います。これらの壁画は礼拝堂の上のほうに描かれているので、立って見ていると首が疲れます。「床に座らないように!」との注意書きがあったように思いますが、いっそ床に寝転がって見たくなります。
 バチカンの放送を始め、かつては各国が短波放送で数多くの言語による放送を行っていましたが、最近は減ってきたように思います。広報、宣伝の媒体がWebに移ってきたからでしょうか。