世界遺産と日本/世界の町並み w/IT

世界遺産と日本/世界の個性的な町並みをITを交えた筆致で紹介します。

古い町並みの郊外には金魚やアジサイ寺もある大和郡山

2005-10-16 16:33:52 | 日本の町並み
 前回は光秀の出身地の明智を紹介しましたが、光秀を討った秀吉の弟の秀長が城主のときに城下町の発展をみたのが大和郡山です。光秀も郡山城の築城の時に普請見舞いに訪れているようです。
 JRと近鉄に挟まれた紺屋町あたりの町並みは、道路の中央に水路があって、ちょうど中央分離帯のような格好をしています。かつて、この水路は、藍染物屋が染めた布をさらすのに使ったそうです。現在はとおりに面して旧奥野家住宅が箱本館紺屋として藍染めの様子を復元して公開されています。
 紺屋町からお城に向かう古い町並みには、筆屋さんや骨董屋さんなど格子戸のあるような家並みが続きます。その中に和菓子の本家菊屋があり、店先で名物の「御城之口餅」を食べることができます。かつては御城の入り口近くに店があったとかでの命名ですが、甘党ならずとも、町並み散歩の途中にゆっくりとお茶とお菓子をいただけ、ホッとするひと時ではないでしょうか。
 大和郡山といえば、金魚の産地としても全国に名前が知られています。近鉄郡山駅の南西方向の田んぼや畑の広がる中に、金魚を養殖する池が点在しています。遠くから見ると、これから田植えをする田んぼのようにも見えますが、近づいてみると大小、色とりどりの金魚が群れて泳いでいます。えさをやっている時に間違って池に落ちると食べられてしまうのでは、と思うくらい食欲旺盛で元気な金魚が出荷を待っています。この金魚を使って、毎年恒例の金魚すくい選手権大会があるそうです。チャンピオンのすくった記録が公表されていますが、2000年までは30~40匹程度だったのですが、2001年の記録はなんと160匹だったそうです。
 童謡に「雨が雨が降っている・・・・・金魚はどうしているかしら」というのがありましたが、梅雨に濡れたアジサイの花が美しい季節です。大和郡山の郊外にある矢田寺は、バスの便も悪く訪れる人もさほど多くないお寺ですが、アジサイの咲くころだけは臨時バスも運行される賑わいになります。起伏のある境内の所狭しといろいろな種類のアジサイが咲き乱れます。
 アジサイの学名は「オタクサ」といい命名はシーボルトに由来しています。帰国後に日本人妻の「おたきさん」をしのんでつけたものが学名になったようです。江戸時代にヨーロッパと日本との移動には大変な苦労を伴ったものでしょうし、日本に残した「おたきさん」の様子を知るのも簡単ではなかったと思います。現在では国境を越えてのコミュニケーションは、必要なら相手の顔を見ながらだって簡単にできるようになりました。シーボルトの頃にこのような環境だったなら、日本とヨーロッパに離れていてもコミュニケーションを蜜に取れたでことでしょう。その場合「オタクサ」の名称はどうなっていたことでしょう。