シャツのほころび涙のかけら

昔よく聞いたNSPのタイトルを拝借。…趣味や日常を綴っています。基本はガンバレ自分!時々覗いてみてください。

『ダナエ』藤原伊織

2011-04-09 | 日常のできごと

10年ほど前になるが、当時の上司と同僚がハードボイルド系の小説にハマっていて、お互いに本を買っては貸し合っていた。

面白いから読んでみたら!と言われ、私も借りて読むようになった。まずは、新宿鮫シリーズ(大沢在昌)から始まり、大沢さんの他の書や他の作者の本も読んだ。当時、短い期間にかなりのハードボイルド系の小説を読んだと思う。


2007年の師走の頃から続いている図書館通い(文庫本を借りている)で、作者名の“た行・な行”の棚から始まり、昨年の秋頃から“は行”もつまむようになり、今年に入ってからは、ほぼ“は行”だ。

借りる時には全く意識していなかったが、先週読んだ『ダナエ』は、藤原伊織さんの著書で、前述した10年ほど前に数冊かは読んだことのある著者だった。

見返しの著者紹介で『テロリストのパラソル』『雪が降る』などの著書に覚えがあったのだ。おもしろかったことも思い出した。
しかし、紹介の最後には「平成19年5月逝去。」とあった。

そして、解説を読んだら本書『ダナエ』は、存命中に刊行された最後の作品だという。驚いた。


本書も堪能させてもらった。おもしろさを言葉にできないので、小池真理子さんの解説から引用すると。

「物語構成の見事さ、濃厚に漂うハードボイルドの香り、人物描写の繊細さ、会話の作り方の上手さ、洗練された文章の美しさ・・・」である。

「博打を愛し、酒を愛し、煙草を愛し、放蕩と逸脱を愛し、しかし同時にきわめて礼儀正しい、照れ屋の正義感でもあった。」そうだ。

環境が違うといえばそれまでだが、今後、このような方が輩出することは少ないだろう。
また、藤原さんの別の書を読もうと思う。

コメント (2)
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