ふるさと加東の歴史再発見

少し気をつけて周囲を見回してみると、身近なところにふるさとの歴史を伝えるものがある。

和食と伝統の食文化-やしろ食文研

2014年04月13日 06時07分38秒 | Weblog
 昨日紹介したやしろ食文化研究会編の「郷土の食文化-伝えたいハレとケの食」は郷土の伝統食が材料や調理の仕方とともに紹介されている貴重な冊子ですが、食文化にまつわる貴重な体験談も収録されています。その中の一つ、「箱膳の思い出」(依藤さつ子)を紹介します。

 箱膳の思い出    依藤さつ子

 先日、テレビ開局50周年記念でドラマ「おしん」の再放送があり、箱膳で食事をしている場面が放映されました。とてもなつかしくて、昭和生まれの嫁に「あんたら箱膳知っとてか」と聞きますと「全然知りません」とのこと、昔の記憶をたどり思い出をたぐり寄せました。
 私が物心ついた頃、殆どの家は箱膳で食事をしていました。
 祖父母、父母、姉と妹の大家族でした。炊事部屋の片隅に大きな戸棚があり、その中に各自の箱膳がしまってありました。食事毎に自分自分の箱膳を持ち決まった場所に坐ります。先ず箱の蓋を取り、裏返しておき、その上に飯碗と箸箱を出し、ご飯、汁碗を小さな盆で母に給仕してもらいます。
 父の「いただきます」の言葉に合わせ静かに一礼します。静かによく嚙んで食べ、最後に茶瓶のお茶を飯碗に入れて箸先を洗い、飯碗もきれいに洗って、その茶を飲んで箱の中に仕舞います。父の「ごちそうさんでした」の言葉で箱膳を戸棚に仕舞ったことなどが思い出され、亡き母の苦労を改めてしのびました。
 女学校入学の頃、近くの指物屋さんに注文した飯台が出来上がり、家族が一つの飯台を囲み食事をすることが出来て大変うれしかった事などが、今更ながら走馬燈のごとく重い出され、なつかしく思います。その後、生活改善が叫ばれ、飯台に足を継ぎ椅子での食事、炊事部屋の改善、さらに新築と大変便利なありがたい時代になりました。でも、今は家族がそろって食事をすることが減っているそうで、さびしい時代になってきているように感じます。食卓を囲んで親が子供に伝えなければならない生活文化があるような気がいたします。
コメント
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