ふるさと加東の歴史再発見

少し気をつけて周囲を見回してみると、身近なところにふるさとの歴史を伝えるものがある。

稲尾の虫送り今年も-実盛さんのご上洛

2012年07月02日 05時18分48秒 | Weblog
 1日(日)、朝から雨が降って昼を過ぎても降ったり止んだりのはっきりしない天気でした。加東市稲尾地区伝統の「虫送り」の行事ができるのかどうか気になっていました。夕方になってようやく日も射すようになり、稲尾に出かけると、集会所前の広場には地区の皆さん総出で賑やかにバーベキューを楽しんでおられました。
 この「虫送り」の行事は今年で10回目を迎えるということで、昭和初期まで行われていたものの、その後途絶えていた伝統行事を復活し、地域おこしに取り組もうという趣旨で行われてきました。ゲストには「斧」俳句会の皆さんが招かれ、虫送りの俳句が紹介されました。

 午後7時を回った頃、稲尾地区の八幡神社境内に移動し、虫送りの行事が始まりました。薄暗くなった境内で神事が行われ、火が松明に灯されて「虫送り」の列が出発しました。
 先頭はわらで作られた「馬に乗った実盛(さねもり)人形」。これに「虫送り」「豊年祈願」などの言葉が書かれた幟、松明、そして太鼓や鉦の鳴り物の列が神社から出て、暗くなった地区の田圃の中の道を歩きます。「実盛さんのご上洛、稲の虫はお供せい」と鉦太鼓を鳴らしながらみんなで唱えながらあるきます。
 「実盛さん」とは斉藤実盛のことで、戦さの最中に田の稲株に足をとられてころび、これが原因で敵にやられてしまったということで、その霊が田の虫となって被害をもたらすという言い伝えがあり、その実盛さんの名を呼びながら田の虫を松明の灯で誘い出して追い出すということです。ただ、「サネモリ」は実盛の名であるというほか、早苗、さなぼり、早乙女などの田に関係する「早」「サ」という音、言葉によるものという話も聞きました。わらでつくられた実盛人形は稲尾地区の方がこの人形に詳しい人から教えてもらって作ったそうです。
 地区を一回りして、地区の東の池まで、約1時間。空には月が出ていました。今年もこうして伝統の虫送りの行事が無事済みました。
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