そんなにまめにJ-POPを聴くわけではないけれども、今年の一曲を選ぶとすれば、絢香「三日月」 だろうか。
今年デビューしてこれと「I believe」、大したものだが、とりわけこの「三日月」は曲も歌唱も傑出している。
特に、歌詞に注意しだして、びっくりというか、文字通りぶっとんだのは、「電池」という単語である。
展開して後半にかかるところで、
今度いつ会えるんだろう それまでの電池は
抱きしめながら言った あなたの「愛してる」の一言
会えるまでのパワーの源ということだろう。
これはケイタイから来る語感だし、だから
そのまま放っておいたら切れる
いつまでもつんだろう
充電しなければ、充電すれば、、、
という思いが、この言葉につながっている。
まさに「いま」であり、作詞をした絢香の感覚がここに煮詰められていて見事。 ここのところの歌唱も凄い!
電池という言葉が現代詩で使われていないということはないだろうが、こういうヒットすることを目的とした歌に使われたことはなかったのではないだろうか。
こうやって歌のボキャブラリーは追加されていくのだろう。
絢香は作詞はしても、作曲はほとんど専門家に任せているようだ。彼女のように歌唱がうまい人はそれがいいかもしれない。いろいろな人の歌の中で、より彼女のいいところが出てくるから。
「三日月」も西尾芳彦という人の作曲。うまく三つの部分が続き、それぞれに良いさわりがあって、「電池」の大きな展開部になる。 まるでソナタのよう。