メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

ロシュフォールの恋人たち

2018-09-28 21:25:09 | 映画
ロシュフォールの恋人たち(Les Demoiselles de Rochefort、1966仏、123分)
監督・脚本:ジャック・ドゥミ、撮影:ギスラン・クロケ、衣装:ジャクリーヌ・モロー/マリー・クロード・フーケ、振り付け:ノーマン・メーン、音楽:ミシェル・ルグラン
カトリーヌ・ドヌーブ、フランソワーズ・ドルレアック、ジーン・ケリー、ジョージ・チャキリス、グローヴァー・デイル、ミシェル・ピコリ、ダニエル・ダリュー、、ジャック・ペラン
 
ジャック・ドゥミが「シェルブールの雨傘」の3年後に作ったミュージカル映画。前作は台詞がすべて歌になっていたが、こちらは通常のスタイルで、ダンスの入り方、群舞など、ここにも出ているジーン・ケリーが主演したアメリカのミュージカルに共通する部分が多い。
 
海辺のリゾートのロシュフォールのお祭りに出演するためにやってきた若者二人(チャキリスとデイル)が入ったカフェの女主人(ダニエル・ダリュー)には双子の娘(ドルレアックとドヌーブ)がいて、それぞれ音楽家とダンサーを目指している。二人の女優は実際に姉妹である。これに少し年配の楽器屋(ミシェル・ピコリ)と音楽学校時代の友だちで売れているピアニスト(ジーン・ケリー)、兵役の休暇で来ている若い画家(ジャック・ペラン)、この人たちの一部は過去に互いにいろいろあったらしいのだが、その恋慕が交錯する。
 
祭りの準備の中でいくつ入る歌とダンスのシーンは楽しいが、そこにペーソスがあるわけではない。
もちろんここでも主役はミシェル・ルグランの音楽ともいえて、前作以上に好きなようにやっており、ジャズの要素も今回の方が多く、その部分は快調である。もっとも一番目立つ場面では自身の作曲ではなくて、デューク・エリントンの「スイングしなけりゃ意味ないね」(It Don't Mean a Thing)、このアレンジは効果的である。
 
本作は当時の新旧、仏米の華やかな配役で、見世物を狙ったのだろう。それ以上でも以下でもないと言えばそうだが、娯楽映画としては悪くない。何人もの相互の恋模様のジグゾーパズルとまではいかないはめ絵が、半分くらいは予想どおり出来上がっていき、最後のピースはそのままか、とおもわせて、やはりというか多分というか、映像では明に示さないで終わるところ、後味はいい。
 
ドルレアックとドヌーブはドラマの設定、流れとうまくあった配役だが、二人とも美人ではあるけれど、日本人が見るからか役の年齢より大分上に見える。それにしてもドルレアックが翌年交通事故でなくなってしまったのは悲しい。
二人に比べ驚きは母親役のダニエル・ダリュー(1917-2017)で、映画の中でも二人の姉と間違えられ、また惚れられるのももっともである。100歳まで生きたらしい、、、
 
ミシェル・ピコリとジーン・ケリーはそれぞれの味を出しているが、ケリー(もうけ役?)はちょっと若作りか。
ジョージ・チャキリスは「ウェストサイド物語」(1961)よりむしろ甘いマスクで柔らかい感じがあった。
 
そして1960年代のフランスだから、衣装、インテリア、道具などモダン・デザインというか、今見ても特に画面の中で映える良さがある。車もルノーの大型トラック、フィアットのオープン・スポーツカーときて、バイクは?というとホンダ・ドリームというのはうれしかった。

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