メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

時効前夜~ある女の告白~

2014-10-05 09:10:46 | 映画
時効前夜~ある女の告白~(Arretez Moi、2013仏、100分)
監督:ジャン-=ポール・リリアンフェルド、原作:ジャン・トゥーレ
ソフィー・マルソー(犯人)、ミュウ=ミュウ(ポントワーズ)、ヤン・エボンジェ(ジョリヴォー)

 
身支度をして部屋を出て夜の街に出ていく女(ソフィー・マルソー)、フィルム・ノワールの雰囲気、と思ったら着いたところはある警察署で、朝まで当直のベテラン女性警官ポントワーズと警備の若い部下ジョリヴォー。一晩のストーリーでほぼこの3人だけ、特に女性二人のやりとりでできていて、その他は回想場面が話に応じて入ってくるだけである。

 
女は郵便局勤めで夫と息子一人だったがひどいDVを受けていて、10年前に夫が乱暴したあとベランダの端から飛び降りると挑発したところつい軽く押してしまい夫は墜落死する。警察の捜査で自分が押したと言いそびれてしまったが、夫が心療を受けていたことや状況証拠から自殺となった。しかしその後悩み続け、まさに時効前夜で12時までにどうなるかである。
ところがポントワーズは話をきくと、そんなDV男が死んだって妻のせいだとは信じないし、たとえそうだとしてもそれでいいではないかと、熱が入り女に攻撃的になる。二人の動作も入った攻防がすごく、これは劇場でやってもいいようなドラマである。

 
ソフィー・マルソーとミュウ=ミュウはまさにはまっていて、単調に見えて最後まで一気に見てしまった(ビデオ録画、日本未公開)。
さて結末は、少し意外な展開となるのだが、それはこのやとりを経て女がなんとか生きていけるだろうと判断したから、ある処置をとったのだろう。その背景には自身もDVをうけた過去がある。

 
女性二人の争いにときどき息継ぎみたいに入ってくる若いジョリヴォーもなかなかいい。

 
フランスあたりでないとこういう映画は作られないだろう。最初の設定がありえないという感じがあるとしても、そのあとがよければ映画はそれでいい。ソフィー・マルソーが好きで、一応全部チェックしているから出会えたともいえる。久しぶりに見た甲斐があった映画。

 
なおソフィーの役はクレジットでもLa coupable(犯人)となっていて、名前は書かれていない。

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