メドレー日記 Ⅱ

by 笠羽晴夫 映画、音楽、美術、本などの個人メドレーです

紅白歌合戦におけるパブリック・ドメイン

2014-01-03 09:34:49 | 雑・一般

年末のNHK紅白歌合戦、今年はもうあまり「合戦」の雰囲気がなく、製作側がやりたいようにやっていて、それなりに楽しめるものになっていた。

 

さて、今回は歌そのもののほか、応援やにぎやかしで登場したものも含めて、昨今の著作権事情の典型的な事例を見ることができた。つまり、この権利にぴりぴりしているネットワーク全盛時代において、むしろ権利をオープンにし、パブリック・ドメインを広げていくことによって、よりエンターテイメントの世界を広げていく、面白くしていく、ということである。

 

まずは公認ゆるキャラの「くまモン」、これの利用は申請があれば無料である。

 

芸人の「鉄拳」、この人のパラパラ漫画「振り子」はたいへん評判になったが、バックの音楽は彼がMUSE(英)の曲を無断で使用。ところが「振り子」のYou Tubeアップを見た当のMUSEが感激してこれを許可したどころか、自身の新アルバムのPVでの使用を鉄拳に依頼した。

紅白では、ちょっと出て時間切れでニュースになってしまい残念だったが。

 

そして「AKB48」の「恋するフォーチュンクッキー」、多くの団体、企業がそのふりをまねたパーフォーマンス映像を勝手にアップし、連帯感やイメージのアップを狙っている。AKBはこれを放任しており、さらに公式サイトで紹介までしている。

 

これにクリエイティブ・コモンズ の使用を宣言している「初音ミク」が入ると、さらにいい事例陳列になるのだが。もうそろそろボーカロイドが紅白に入ってくる時代のはず。

なおNHKは初音ミクをずいぶん取り上げてはいる。

 

パブリック・ドメインとはちがうけれども、デジタルアーカイブの観点で目新しいのはPerfumeの場面で使われたプロジェクション・マッピング。改装なった東京駅のイルミネーションなどで話題になっているこの技術は静止している凹凸がある建物などに効果を発揮している。一方Perfumeに使われているものは、彼女たち3人の動きをセンシングして、それに対応するプログラム・マッピングになっている。おそらく世界最先端のはず。

 

これ、見方を変えると、動体のモーション・キャプチャー、つまり無形文化財の記録に将来使えると考えられる。身体のいくつかのポイントにセンサーをつけてモーションを記録することは、すでに格闘技を題材にしたゲーム映像製作などで盛んで、むしろそれで文化財記録がある程度できるところにまで来ていることを考えると、エンターテイメント領域の技術開発は、今後も注目の価値がありそうだ。

 

 


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