安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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【夏休み】南会津保養記2~ミニ尾瀬公園で尾瀬の雰囲気を味わう

2011-08-31 23:16:42 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
朝7時過ぎ、ゲストハウスダーラナで目覚める。すぐ目の前を国道289号が通っているが、さすがに夜間は交通量は少なかった。雨との予報に反して窓の外は薄日が差している。この季節、本来なら奥会津は涼しいはずなのだが、台風が接近しているせいか蒸し暑い。

宿を出て、少し散策する。水田には稲が穂を垂れ始めている。今年、福島県内で放射性物質による汚染を気にせず米を出荷できるのは、南会津地域だけになるだろう。

朝食は南郷トマトをふんだんに使ったサラダ。やはり甘い味が口いっぱいに広がる。トマトが苦手で、「赤い悪魔」と呼んでいる声優がいるが、このトマトなら彼女のトマト嫌いも治るかもしれない。

朝9時過ぎ、ダーラナを出て、さらに車を西に走らせる。今日は雨天でなければ、ミニ尾瀬公園に行くと決めていたので、その目的通りに進む。午前10時過ぎ、ミニ尾瀬公園に着く。

ここは、本物の尾瀬に行く暇がない人など向けに、地元の檜枝岐村が1999年に設置したものだ。本物の尾瀬はここから西南西に約10kmの地点にあり、本州では最大規模の湿原として国立公園に指定されている。福島のほか、新潟・栃木、群馬の4県にまたがっている。唱歌「夏の思い出」はあまりに有名だ。公園内にもこの曲の歌碑がある(サムネイル写真)。

ミニと名がついているとはいえ、周辺を歩くと40~60分かかる。花のピークは6~7月で、8月末のこの時期になるとほとんど花が終わっているが、それでもいくつか見ることができた。東北の高原地帯であるここ尾瀬は、1年の半分が冬といっても過言ではなく、早くも秋の気配が漂い、トンボが飛んでいた(写真)。

散策を終えて戻ったところで武田久吉メモリアルホール(写真)を見る。武田は、尾瀬の環境保護に貢献した人で、彼にまつわる展示物がホール2階に展示されている。

それはともかく、武田久吉メモリアルホールの建物の外壁に、「農林水産省補助事業 山村振興等農林漁業特別対策事業 ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策」という大きな看板(写真)が掲げられているのには笑ってしまった。

1993年、細川政権下でGATT(関税・貿易に関する一般協定;現在のWTOの前身)ウルグアイ・ラウンド協定により、米の輸入全面禁止政策の見直しに道を開く関税化が行われた。このとき、「国際競争に耐える足腰の強い農業づくり」のため、1994~2001年度の8年間で6兆円という気の遠くなるような予算が農水省に配分された。ウルグアイ・ラウンド対策事業というのは、この6兆円を使った事業のことなのだが、当事者の農水省関係者の間でさえ「ゲップが出るほどの予算額で、使い切れない」と囁かれていた。この6兆円もの予算がどこに使われていたのかと言えば、結局はこんなハコモノ造りだったのだ。農水省の報告書「ウルグアイ・ラウンド関連対策の検証」によれば、武田久吉メモリアルホールが建設された平成10(1998)年度はウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策事業の5年目。全国で3,763億円が投じられている。

それから10年。TPP(環太平洋経済連携協定)への参加が大きな政治的対立軸となる中で、このときの6兆円が本当に「足腰の強い農業作り」のために使われていれば、農業と地方はこれほど苦しまなくて済んだだろう。だが、この国の常として、補助金は利権体制の中でハコモノに消え、農業の体質改善は行われなかった。それでも、この施設はまだ使われているだけましかもしれない。ウルグアイ・ラウンド農業合意関連対策事業で建設された施設の中には、10年あまりでもう使われなくなっているものがたくさんあるというのだ。未曾有の財政危機といわれながら、日本は一体いつまでこんな無駄遣いを続けるのだろうか。

正午過ぎ、ミニ尾瀬公園を出て今度は昭和村に向かう。ここも放射能汚染のほとんどない地域だ。今日の宿泊先は昭和館という歴史を感じさせる宿である。チェックインするには早すぎる時間なので、奥会津博物館南郷館を見る。ここは、実をいうと昨日、入浴に訪れた「さゆり荘」の隣。その時に訪れてもよかったのだが、閉館時間を過ぎていたため今日再訪となった。展示物は決して多くはないが、山村としての奥会津地方の人々の素朴な暮らしが見えてくるものだった。

昭和館に入る。ここは温泉宿ではないので入浴は18~21時と決められている。ビールを飲みながら軽く乾杯をする。今日は寝室にテレビもあり、携帯電話も通じるのでそれほどの退屈は感じなかった。でも、こんな時くらいネットやテレビから離れるほうが本当はいいかもしれないのだが。

夜になり、雨が降ってきた。雨音を聞きながら就寝。

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