安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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●管理人の著作(いずれも共著)
次世代へつなぐ地域の鉄道——国交省検討会提言を批判する(緑風出版)
地域における鉄道の復権─持続可能な社会への展望(緑風出版)
原発を止める55の方法(宝島社)

●管理人の寄稿
月刊『住民と自治』 2022年8月号 住民の足を守ろう―権利としての地域公共交通
核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

●安全問題研究会が、JRグループ再国有化をめざし日本鉄道公団法案を決定!

●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

【管理人よりお知らせ】「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」クラウドファンディングにご協力下さい

2024-05-26 10:58:37 | 原発問題/一般
管理人よりお知らせです。

「ALPS処理汚染水の海洋放出を差し止める会」によるクラウドファンディング「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」が5月20日から始まりました。

活動目的はリンク先の呼びかけ文の通りです。呼びかけ文には「いくら薄めても、海に捨てられる量は変わりません。また、最終的にどれだけの量の放射性物質を海に流すことになるのかは、政府も東京電力も発表していません。」とあります。これに関しては、当ブログ2021年11月22日付記事「「スプーンおじさん」にご用心! 面白くてためになる「希釈」と「濃縮」のお話」で詳しく解説していますので改めてお読み下さい。

目標金額はクラウドファンディング成立のための第1次が500万円、最終目標は1000万円です。実施期間は開始から60日間(本記事掲載時点で残り53日間)です。本記事執筆時点で116万円が集まっていますがまだまだ足りません。

支援金の使用目的は「海洋投棄による環境・健康・漁業・国際関係等への影響について、専門家に調査・研究を委託し、その調査結果や関係者の声などを広く知らせ、問題提起する活動」のためです。ぜひリンク先に飛んでいただきご支援をお願いします。

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【管理人よりお知らせ】「にほんブログ村」に登録してみましたが、取りやめました

2024-05-25 22:24:34 | 運営方針・お知らせ
管理人よりお知らせです。

当ブログは、5月11日、アクセス向上を目的として、「にほんブログ村」への登録をしてみました。炎上は望まないものの、ブロガーである以上、アクセスが少ないよりは多い方がいいと思うのは当然のことです。同日以降の数日間、当ブログ記事に「にほんブログ村」へのリンクバナーが表示されているのを確認した方も多いと思います。

しかし、結果は思いがけないものでした。増えると思っていたアクセス数がリンク以降、減ったように感じたからです。アクセス解析をしてみると、実際、減少したことがクリアに示されていました。

アクセス解析結果


これだけ明確にデータで示された以上、「にほんブログ村」への登録は失敗でした。このため5月16日以降はリンクを解除し、元に戻しています。

にほんブログ村へのリンクが逆に当ブログのアクセス数を減らした理由については推測の域を出ませんが、これによって当ブログの「読者層」が図らずも明らかになった気がします。大きく分けて、当ブログの読者層は、①金や社会的地位・名誉などを嫌う「反権力志向」の市民や、ネットスラングで「嫌儲」と呼ばれる層、②活動家などの「プロ左翼」、そして③活動家・プロ左翼の動向を監視し、情報収集や破壊を企てるネット右翼や公安などの関係者(②の敵対陣営)ーーであることが見えてきました。③の層が多いと判断している根拠は、一定規模でのアクセス数が継続しているにもかかわらず、記事末尾の「いいね」「応援」「続き希望」「役立った」への反応が極端に少ないことです。

これら①②③の層は一件ばらばらに見えますが、「利益目的で行動する人々に反感を抱いている」という点で共通しています。こうした読者層に当ブログが読まれている事情が今回、明らかになったことから、当ブログとしては今後はこのようなアクセス向上目的のスタンドプレーは行わず、記事の内容で地道にアクセスを得るという本来の姿勢に立ち戻って続けていきたいと思います。③の陣営の人々に読まれることは気持ちいいものではありませんが、ネット空間がオープンな場であり、そこで情報発信をする以上は避けがたいものです。

基本的運営方針(2018年4月9日付記事)でも述べているとおり、当ブログは「差別排外主義と戦争・軍拡に反対し、まじめに汗を流して働いている人、社会的に弱い立場にある人も尊重され、人間らしく生きることができるような社会的経済的条件を作る」という目標にかなうよう、記事の取捨選択や記述は「高度な政治的判断」に基づいて行っています。今後もこの方針に基づいて発信を行っていく姿勢に変わりありません。

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被害者切り捨てでつながる「水俣」と「福島」~水俣病患者説明会「マイク切り事件」で見えた環境行政の冷酷非道

2024-05-22 18:51:37 | 原発問題/一般
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」に寄稿した内容をそのまま転載したものです。)

 ●環境省きっての冷酷非道な「独裁官僚」

 5月1日、熊本県水俣市で開催された伊藤信太郎環境相と水俣病の被害者団体などとの懇談会で、水俣病患者が発言中にもかかわらず、制限時間3分が経過したことを理由に環境省側がマイクの電源を切った問題は、被害者のみならず世論の広範な怒りを引き起こしている。この「マイク切り事件」をめぐって驚くべき事実が判明した。

 当日、説明会で進行役を務めたのは、環境省大臣官房環境保健部企画課特殊疾病対策室の木内哲平室長である。環境省組織規則によると、特殊疾病対策室は公害健康被害の認定・補償給付、予防、公害保健福祉事業の他、水俣病に対する業務を担当する部門である。木内室長は、懇談会終了後に来場者から上がった「マイクの電源を切ったのか」との質問には直接答えず「事務局の不手際」としたが、このことも環境省への反発をさらに拡大することになった。この木内氏、一体どういう人物なのか。

 同じ環境保健部企画課に、アスベスト被害を担当する石綿健康被害対策室がある。木内氏がここの室長を務めていた昨年7月、患者団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」が「木内室長の着任以来、異質な事務局運営」をされてきたとして、抗議文をホームページで公開する事態になっている。環境省に設置された中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会の席上、患者と家族の会メンバーが修正意見を述べたにもかかわらず、それらの意見が「事務局で全く検討されず、議事録も公開されていない」として「木内哲平室長をはじめとする事務局の運営姿勢、およびそれを承認した小委員会の浅野直人委員長の判断に対し、強い憤りを持って抗議」するとの声明を発表している。

 声明全文は現在も「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」ホームページで読むことができる。木内氏は今回の件に限らず、環境省歴代担当者が曲がりなりにも続けてきた「公害病患者に一定程度寄り添う姿勢」を各分野で次々に壊し、患者の意見を恒常的に無視して人権蹂躙を続けてきた「独裁官僚」なのだ!

 ●木内氏の上司は「福島」切り捨てに!

 驚くべき事実をもうひとつ指摘しておこう。現在、木内氏の上司に当たる環境省大臣官房環境保健部長の職にあるのが神ノ田昌博氏だ。ほとんど知られていないが、神ノ田氏は福島第1原発事故と甲状腺がんの関係について調査する福島「県民健康調査検討委員会」(以下「検討委員会」)の委員を務める。

 5月10日、福島市内で開催された検討委員会では、5巡目の検査を受けた対象者のうち2人が新たに甲状腺がんの疑いと公表された。これまでに、悪性疑いと診断された子どもは330人となり、がん登録で把握された2018年までの集計外の患者43人をあわせると、事故当時、福島県内に居住していた18歳以下の子どもの甲状腺がんは372人に上る。通常、子どもの甲状腺がんは100万人に1人といわれる中、福島県内の発生率は、1巡目受診者300,472人に対し「がん」102人、5巡目でも113,950人の受診者に対し「がん」36人と明らかに異常な水準だが、原発事故との因果関係を認めてこなかったこれまでの検討委員会の姿勢に変化の兆しは見られない。

 甲状腺がんをめぐっては2022年1月、事故当時6~17歳だった若者6人が東京電力に賠償を求めて提訴している(その後、原告は1人増え現在7人)。患者がこうした裁判に訴えざるを得ないのも検討委員会の頑なな姿勢が原因だ。水俣病患者との懇談会で「マイク切り」を行う官僚の上司に当たる人物が検討委員会委員に送り込まれている人事を見ると、原発事故での健康被害をめぐるこのような冷酷非道な環境行政も環境省主導で進められているとの疑念を持たざるを得ない。

 神ノ田氏が甲状腺検査の縮小を主張してきたことを問題視した福島県の母親らが「被害者救済とは正反対の姿勢」だとして神ノ田氏の委員辞任を求める要望書を5月10日、検討委員会開催に合わせて重富秀一座長に提出している。「マイク切り事件」は単なる木内氏の個人的暴走などではなく、最近の環境省による「組織ぐるみの患者無視、人権蹂躙」を象徴する事件といえる。3.11を福島県で迎え、いつ健康被害が起きるかと怯えながら日々を生きなければならない元福島県民のひとりとして、私もあらん限りの怒りをもってこの「犯罪官庁=環境省」を告発したいと思う。

<参考資料・記事>
環境省「マイク切り」司会の慶大医学部卒の官僚にも視線 前任「石綿被害」対策でも患者団体抗議(2024.5.9付け「日刊スポーツ」)  

中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会 「石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性について」 取りまとめ報告書の撤回と見直しに関する緊急要求および抗議声明(「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」ホームページ)

「県民健康調査」検討委員会 委員名簿(福島県ホームページ)

福島県民が環境保健部長の退任要求〜福島県・検討委員会(OurPlanet-TV)

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レイバーネットTV : 日本の空は大丈夫か?−羽田衝突事故とJAL解雇争議

2024-05-18 18:42:46 | 鉄道・公共交通/安全問題
安全問題研究会代表・黒鉄好が、2024年5月15日放送のレイバーネットTV 「日本の空は大丈夫か?−羽田衝突事故とJAL解雇争議」に出演しました。

レイバーネットTV : 日本の空は大丈夫か?−羽田衝突事故とJAL解雇争議



なお、出演後、番組を振り返る記事「レイバーネットTV 第200回放送を終えて」をレイバーネット日本に寄稿しました。リンク先に飛べば全文を見ることができますが、以下、当ブログにも転載します。

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黒鉄好@安全問題研究会です。

レイバーネット第200回特集「日本の空は大丈夫か?-羽田衝突事故とJAL解雇争議」の放送を無事終えホッとしています。私にとっては第187回「どうする?どうなる?今世紀最悪の国策事業「リニア」を斬る」(2023.6.28放送)以来、約11か月ぶりの出演でした。司会もそのとき以来ですが、1度や2度の経験で慣れるほど司会業は簡単ではありません。放送後のスタジオは熱気に包まれ、全身に汗をかいていたのも前回と同じでした。

司会に当たって心がけたのは主に以下の3点でした。

1.ゲストに自分より専門の方をお招きしている関係上、自分が出過ぎないようにする
2.いまだ謎の多い日航123便事故の話題が出た場合は事実ベースの解説に留め、憶測による発言は避ける
3.争議終結の道を選んだ2労組(日本航空乗員組合・日本航空キャビンクルーユニオン(CCU))に対する批判は避ける

3については私も最後まで悩みました。「争議が解決していないのに中途半端な和解案に応じた2労組は批判すべき」「労働者同士の分断を招けば喜ぶのは政府・自民党・財界だけ」という2つの考え方が労働運動内部にあることを感じたからです。ただ、ネットの文字媒体と異なりレイバーネットTVには「尺」(放送時間枠)という物理的制約があります。その制約の中で、何に重点を絞って打ち出すべきか。労働組合や労働者の立場、考え方の違いを超え、連帯していける「安全問題」を前面に打ち出すことに関しては、ゲスト・司会・スタッフの考えは一致しており迷いはありませんでした。

視聴者から「司会の方の博学にびっくり」したという身に余るご感想をいただいたことに関しては、この放送をやった甲斐があり疲れも吹き飛びました。ゲストから番組のテーマに沿った有益なコメントを引き出すためには、司会者自身が問題に精通まではしていなくても、要点をつかむ程度には知っていなければなりません。司会者が問題を知らない単なる聞き役、進行役では糸の切れた凧のように話がどこに行ってしまうかわからないからです。私自身は前回のリニア、今回いずれに関しても、安全含む公共交通問題に四半世紀近く取り組んできており、単なる司会者を超えた「3人目のコメンテーター」としても番組を進められるよう準備を進めてきました。とはいえ、本業含め非常に忙しく、放送前に「絶対に観ておくべき」だと言われたJAL青空チャンネル第21回「羽田衝突事故を考える」(2024.2.1放送)を観ることができたのは、放送出演のため北海道から羽田に向かう飛行機の中というギリギリの状態でした。

機長・山口宏弥さん(彼ら彼女らが職場復帰できる日が必ず来ると信じているので、あえて「元」はつけません)の発言内容は以前「あるくラジオ」第19回放送「たたかいなくして安全なし~山口宏弥さんに聞く」(2021.12.5)でお話しいただいた内容と重複する部分もありましたが、何度聞いても面白く、飽きることがありません。生きた牛を固定せず貨物室に乗せていたため、牛が暴れてバランスを崩し、墜落に至ったアンカレジ事故の話もそのひとつです。生体動物が輸出国から輸入国へ無事に送り届けられるのが当たり前のようであっても、それが当たり前でない時代があり、山口さんたちの闘いでその「当たり前」が作り上げられてきたことを次の世代に継承していかなければならないと感じました。

ちなみに、私は農業関係の仕事をしています。動物(特に牛)を生きたまま輸入する例は今でもありますが以前ほどではなくなりました。番組中でもお話ししましたが、外国で肥育された牛でも、生きたまま輸入し、国内で屠殺・解体した場合は国産牛として販売できるルールのため、畜産業界では生きたまま牛を輸入するのが主流の時代がありました。もちろん、パッケージに「輸入牛」より「国産牛」と書いた方が高く売れることが背景にありますが、ここ最近は急激に進む円安・ドル高のため米国産牛肉が急激に値上がりし、すでに一部小売店では国産のほうが米国産より安くなる「逆転現象」も起き始めていると聞いています。

JALは昔も今も、ベテランの安全運行への貢献を評価せず、ベテランから順に解雇するという宝地戸百合子さんのお話を聞き、JALは改めて怖い会社だと思いました。極端に言えば「物言う労働者を排除するか抑え込むことで労務対策が成功すれば、乗客が何人死のうが知ったことではない」と考えているかのようです。JALの社長は歴代、労務畑で「功績」をあげた人が就任してきました。今回、初めて労務畑でなくJAL生え抜きでもない(旧JAS~日本エアシステム出身)元客室乗務員の鳥取三津子さんが社長に就任しましたが、役員時代の「客室乗務員削減」の功績を買われての就任という報道も一部にあります。今回の事故を契機に、現場経験をいい意味で活かす方向に舵を切ることで「目先の刷新感を出すための女性起用」という声を跳ね返していただくことを望みます。

JAL123便事故の話題は、避けることはできないだろうと思ったらやはり話題に上りました。これに関しては上の2で書いたとおり、憶測に基づく発言は避けるという方針で臨みました。この事故から来年で40年になりますが、私は今も運輸省航空事故調査委員会(事故調、現在の運輸安全委員会)が公表した「圧力隔壁崩壊説」にはまったく納得していません。事実ベースで言えば、ドーンという大きな破裂音がして圧力隔壁に穴が空いたとされる1985年8月12日午後6時25分35秒以降に死亡した乗客が撮影していたとされる機内の写真が遺族によって公開されていますが、その写真ではほとんどの乗客が下りてきた酸素マスクを着用していないどころか、客室内で立ち歩く人もいたことが示されています。

これに対して、運輸安全委員会は「日本航空123便の御巣鷹山墜落事故に係る航空事故調査報告書についての解説」を2011年7月に公表しています。日本中が東日本大震災と福島第1原発事故で混乱の極致にあったこの時期に公表すること自体にも疑問を感じますが、それ以上に疑問なのはその内容です。「解説」は『「急減圧があったならばパイロットは酸素マスクを付けるように訓練されているのに付けていないのはなぜか」等の疑問が寄せられています』(解説i「はじめに」)とみずから認めつつ、その疑問に答えることを目的とした公表であるとしていますが、その内容は自己矛盾、支離滅裂そのものです。『酸素マスクの着用についての教育訓練を受けている運航乗務員が酸素マスクを着用しなかった理由を明らかにすることはできなかったとしながらも、同機に生じた程度の減圧では操縦操作を優先したものと考えられる』(解説P.13)と事故調報告を引用してその内容が正しいと強弁するだけです。「酸素マスクを着用するより他に優先すべきことがある」と操縦席が判断していたとすれば、これこそ「生死に直結するような大規模な減圧は起きていなかった」と運輸安全委員会みずから「告白」するに等しいものです。

総じて、この事故に関しては、国土交通省、運輸安全委員会が何か説明しようとすればするほど、ますます矛盾が露わになり、謎がかえって深まるということが繰り返されています。当研究会は改めて運輸安全委員会に聞きます。「ドーンという破裂音がしてからしばらくの間、123便は7000m近い高度で飛行しています。エベレストの山頂より少し低いくらいの高度です。こんな高度で機体に穴が空いているのに、乗務員はもちろん乗客ですら酸素マスクをつけていないなら、大規模な減圧はなかったのではないか?」と。国交省、運輸安全委はいつまでもくだらない言い訳ばかりしていないで質問に答えろ!

すみません、ついヒートアップしてしまいました。123便御巣鷹事故は私が飛行機に興味を持つようになった最初の出来事でした。この記事を読んでいる方でご存じの方がいるなら情報提供を求めたいことがひとつあります。1985年8月の事故直後、ある雑誌にこんな記事が掲載されていた記憶があります。「運輸省からJALに天下っていた社長か副社長(?)が、犠牲者の棺が何百人分も安置されていた群馬県・藤岡市立体育館を事故直後に訪問したとき、最初に発したひとことが犠牲者へのお悔やみでも反省でも再発防止への誓いでもなく『暑いな。ここにクーラーはないのか』だった」ーーというものです。「こんな会社に自分のひとつしかない命は預けられない。大人になってもJALなんて絶対に乗るか!」と当時、中学生だった私に固い決意を抱かせる出来事でした。

残念ながら当時は週刊誌を買う金がなく、立ち読みで済ませてしまったため、どの雑誌の何月号だったか思い出せません。国立国会図書館などで探し続けていますが、掲載誌名もタイトルも不明の状態ではお手上げで、行き詰まっています。この件に触れた当時の雑誌を「手元に持っている」「知っている」等の情報をお持ちの方がいましたら、私まで提供をお願いします。

今回は、レイバーネットTVとして200回の記念放送でした。この回に私の出演が決まったのはスケジュール上の偶然で、狙って出てきたわけではありません。普段は19:30~20:40の放送枠が19:30~21:00に20分(ダイジェスト映像を除けば実質、10分)延長されましたが、これでも羽田事故、御巣鷹事故に関して言いたいことの半分も言えませんでした。その多くをここで述べさせていただきました。

冒頭に流された200回記念ダイジェスト映像は好評で、200時間を優に超える映像の中から10分に編集した堀切さとみさんには改めて謝意を表します。ダイジェストに反映される映像は全体から見ればほんのわずかで、どれを選ぶかは苦悩の連続だったと想像します。

200回の放送で原発関係が33回あったとのことでこれには納得でした。大手メディアが政治や利権や数多の理由でこの問題に再び沈黙する中、レイバーネットが果敢に取り上げることで明らかにできた問題は多くあります。私自身、2011年3月には福島県に住んでいて、あの世紀末としか表現しようのない混乱ぶりをつぶさに見てきました。

私たちが生きている間にこの問題が終わることはありません。原発事故に人生を狂わされた元福島県民のひとりとして、今後も原発問題は徹底的に追及していきます。私の現在の人生目標は「自分の葬式が出る前に、原発の葬式を出すこと」です。ダイジェスト映像にも出てきた益永スミコさんの言葉を借りるなら、私に「死んどるヒマはない」のです。死んだ後はいくらでも休息を取れるので、生きている間は自分に悔いのないように走り続けたいと思います。

(文責:黒鉄好)

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【管理人よりお知らせ】安全問題研究会代表が「レイバーネットTV」(5/15放送)に出演します

2024-05-11 12:40:52 | 鉄道・公共交通/安全問題
管理人よりお知らせです。

5/15(水)放送のレイバーネットTVに、管理人(安全問題研究会代表)が出演します。内容は、「日本の空は大丈夫か?-羽田衝突事故とJAL解雇争議」です。詳細は番組予告(レイバーネット日本)をご覧下さい。レイバーネット・サブチャンネルにも同じ内容が掲載されていますが、以下、転載します。

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レイバーネットTV(5/15)放送 : 日本の空は大丈夫か?-羽田衝突事故とJAL解雇争議

■レイバーネットTV・第200号放送
 みんなでつくる!みんなで変える!レイバーネットTV
  〜アクティブ、ラジカル、現場から〜

・放送日 2024年5月15日(水)19:30〜21:00(第200号/拡大放送)
・視聴サイト https://www.labornetjp2.org/labornet-tv/200/
<YouTube配信サイト> https://youtube.com/live/tsTPRUdUFzw?feature=share
・配信場所 郵政共同センター特設スタジオ(東京・末広町)

<テーマ 日本の空は大丈夫か?-羽田衝突事故とJAL解雇争議>

 ことし1月2日に起きた「羽田衝突事故」は衝撃的でした。海保機の5人は亡くなりましたが、JAL機は衝突後に激しい火災を起こしたものの、乗務員の誘導により搭乗者全員379人が脱出しました。「羽田の奇跡」とも言われました。

 では衝突事故の本当の原因・問題点は何だったのでしょうか? 「羽田の奇跡」を実現できたのはなぜだったのでしょうか?

 番組では、元機長の山口宏弥さんと元客室乗務員の宝地戸百合子さんが、「羽田衝突事故」について現場の眼から迫ります。また、国交省の航空行政をウォッチしてきた黒鉄好さんが、事故の背景を語ります。

 今回の「羽田衝突事故」は氷山の一角と言われています。以前から日本の空は、米軍や自衛隊がわがもの顔で飛び回っていましたが、近年では「民間空港の軍事利用」など軍事色がいっそう強まっています。2020年からは羽田新飛行ルートが始まりましたが、山口さんは「航空事故のほとんどは離着陸の11分間に起きていて、魔の11分と言われている。その時間帯がすっぽり都心に入っている。とても危ない」と警告しています。

 ベテラン乗務員のお二人は組合活動家で、安全よりも利潤を優先するJAL経営にしっかりものを言ってきました。チェック機能を果たしてきたのです。だからこそ嫌われ、2010年の「JAL165人整理解雇」でクビを切られました。この長期争議では、一部メンバーが2022年に闘争終結をしましたが、納得いかない33名がJAL被解雇者労働組合(JHU)に結集して、14年目のたたかいに挑んでいます。公共交通はどうあるべきなのか? そして労働組合の役割はどこにあるのか? 一緒に考えてみませんか。

 今号は記念すべき200号放送です。番組の冒頭で10分のダイジェスト映像を流します。お見逃しなく。

・企画 松原明
・出演 山口宏弥(元機長・JAL被解雇者労働組合委員長)
    宝地戸百合子(元客室乗務員・JAL被解雇者労働組合副委員長)
    黒鉄好(司会/安全問題研究会)   
・200号記念映像(解説/堀切さとみ)
*ジョニーと乱の5ミニッツあり

■ギャラリーは5名限定(要申込み)。ツイッターコメント歓迎。ハッシュタグは #labornettv。
 お問い合わせ=レイバーネットTV 070-5545-8662
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2024年は、物流業界の残業「年960時間上限」が適用される「2024年問題」に当たり、もともと公共交通と貨物輸送に焦点が当たる年になることは予測されていました。しかし、1月2日に起きた羽田空港事故や、リニア、北海道新幹線札幌延伸の相次ぐ「延期」がこれに加わり、年明け早々から安全問題研究会は多忙を極めています。

4月以降、「リニアの通る村」大鹿村での報告(4/13)、「ノーモア尼崎事故・生命と安全を守る4.27集会」での記念講演(4/27)と続いており、ほぼ半月に1度のペースで著述活動をするという状況になっています。これほどの多忙は、JR福知山線脱線事故が起きた2005年以来だと思います。

安全問題研究会のレイバーネットTV出演は、2023年6月28日放送の第187号「どうする? どうなる? 今世紀最悪の国策事業「リニア」を斬る」以来、約1年ぶりです。レイバーネットTVとしても通算200回の記念放送となります。ぜひご覧ください。

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【管理人よりお知らせ】「客室乗務員を航空従事者に位置付け、全ての脱出扉に乗務員の配置を義務化する請願」にご協力下さい!

2024-05-05 21:06:11 | 鉄道・公共交通/安全問題
管理人よりお知らせです。

2024年1月2日、羽田空港でJAL機と海上保安庁機が衝突し、海上保安庁機の乗務員5名が死亡した事故は国内外に大きな衝撃を与えました。この事故では、JALの乗客・乗員は全員が炎上する機体からの脱出に成功しましたが、その背景として、旅客機のドア数と同じ人数の客室乗務員(CA)が配置されていたことが指摘されています。旅客機のどのドアを脱出に使用できるかを判断する際、1つのドアに1人の乗務員がついていれば、当該乗務員は自分が担当するドアの使用可否のみを判断すれば良いからです。

しかし、日本の現在の法制度では、ドア数以上の乗務員を客室内に配置することは運航上の絶対条件とはされていません。そのため、実際にはドア数に満たない客室乗務員数で運航されている航空便も多く見られるのが現状です。もしそのような状況の旅客機で同じような事故が起きた場合、今回のような“奇跡”はあり得ません。

これに加え、日本では客室乗務員は国家資格とはされておらず、一般の接客業従事者と法制度上は同じ扱いです。諸外国では客室乗務員を航空安全従事者に位置付け、国家資格の取得を就業条件としている国も多く見られます。この意味でも日本の航空行政は大きく立ち後れています。

この請願署名は、こうした現状を抜本的に改め、客室乗務員を航空従事者に位置付けること、全ての脱出扉に乗務員の配置を義務づけることを国に求めています。安全問題研究会でも、請願の趣旨は大いに理解できるとともに、正当なものであるため、協力することとしました。2024年1月2日の再来を避けるため、1人でも多くの方の署名をお願いします。

署名用紙ダウンロード
・第1次集約 2024年8月31日
・連絡先 ジャパンキャビンクルーユニオン jcuhonbu2018@gmail.com
・送付先 〒144-0043 東京都大田区羽田5丁目11-4 フェニックスビル 航空連気付 ジャパンキャビンクルーユニオン

 なお、上記の他、安全問題研究会宛てに連絡いただいてもかまいません。

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〔週刊 本の発見〕『戦後日本の対米従属とFRB/日銀・財務省・「特別会計」体制』

2024-05-01 23:03:30 | 書評・本の紹介
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」の書評コーナー「週刊 本の発見」に寄稿した内容をそのまま転載したものです。)

【週刊 本の発見】日米金融資本「利権」の実態を全暴露!
『戦後日本の対米従属とFRB/日銀・財務省・「特別会計」体制』(森健一・著、オレアの実書房、本体2,000円、2024年1月)評者:黒鉄好


 読んでいて心配になってくる。内容ではなく、著者・森さんの身の上に対してだ。ここまで書いて本当に大丈夫か。石井紘基代議士(民主党:当時)が2002年10月、暴漢に刺殺されたのは、政府・財界の利権の「本丸」特別会計の闇に切り込もうとしたことが原因だと森さんが考えていることが一読してわかる。同じことが森さんの身にも起きないか。それほど本書が暴露していることは重大で、これを多くの日本の市民が知れば、怒りは物価高や裏金問題程度ではすまないだろう。

 前著「戦後日本の対米従属と官僚支配~特別会計体制」と同じように、膨大な数の事実や証言を積み上げることで背後の闇に光を当てる。読み手によっては散らかっているとの印象も受けてしまう可能性があるが、戦後史の闇という巨大なものの正体を明らかにするうえでこれに勝る手法は存在しないと思う。

 政府の特別会計や財政投融資のために国債が発行されると、そこに発行益が生まれる構造の解明に取り込んでいる。特に闇が深いのは財務省が管理する外国為替資金特別会計(外為特会)だ。為替介入や金利操作、内外金利差などを利用して巨額の内部留保(2014年度決算で27兆円)を溜め込み、財務省が「官営マネーゲーム」をしていることを示している。

 日本の市民を物価高に追い込み苦しめている最近の急激な円安ドル高の進行について、メディアは日米金利差が原因と繰り返す。だがそれは事実の一側面に過ぎないし、日米金利差を誰が何の目的で作り出しているのかには誰も触れない。だがそこに本書は忖度なく切り込む。日米金利差は官営マネーゲームで儲けるためなのだ。

 このからくりが明らかにされた以上、私は日銀が利上げで円安を沈静化させる「量的緩和脱却シナリオ」を採用することは絶対にないと確信した。輸入品とりわけエネルギーや食料品など生活必需品の値上げはこのまま徹底的に放置されるだろう。

 日米金利差を縮めても円安ドル高は改善されないと見るエコノミストも多い。通貨の本当の実力がわかるとされる「実質実効為替レート」では、日本円の実力はすでに固定相場制時代の1ドル=360円にも劣るとの説さえ唱えられている。1990年代末に韓国で起きた通貨危機が今度は日本で起き、円は紙くずになるかもしれない。

 特別会計のマネーゲームで得た資金の多くを、政府・日銀は米国に貢いでいる。しかも米国債に投資されるということは、米国政府のウクライナ・イスラエル支援にも充てられることを意味する。日米が軍事だけでなく財政金融でも一体化し世界の危機を深化させていることが見えてくる。

 森さんは、膨大な外為特会の内部留保を一般会計に入れて市民生活のために使うべきだと当然すぎる指摘をする。同時に、中央銀行が発行した通貨に政府が信用を与える「信用貨幣」から脱却し、発行益を社会的共通資本への投資に振り向けさせる「公共貨幣」への転換を訴える。しかもそれは世界規模でなければならないという。夢物語にも思えるが、それでも人類はこの大プロジェクトを実現させなければならない。人間を幸せにしない腐った資本主義に別れを告げ、滅亡を免れるために。

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