安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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【管理人よりお知らせとお礼】目標額1000万円を達成しました。感謝!「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」クラウドファンディング

2024-07-18 23:36:22 | 原発問題/一般
当ブログでも呼びかけてきた「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」クラウドファンディングは、7/18(木)23:00に締め切られ、最終目標1000万円を達成しました。

汚染水放出を続ける政府・東京電力に、市民の反対の根強さを知らしめるという目的は十分果たせたと思います。

ご協力いただきました皆さんに、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。

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【管理人よりお知らせ】「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」クラウドファンディングが第1目標、500万円を突破しました

2024-06-22 11:06:36 | 原発問題/一般
管理人よりお知らせです。

当ブログでも呼びかけてきた「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」クラウドファンディングが、昨日、第1目標の500万円を突破しました。実施期間を27日間も残した時点での達成です。これまでのご支援に感謝申し上げます。

子ども甲状腺がん裁判を支援するためのクラウドファンディングも、目標額1000万円を早々に超え、最終的に1762万円を集めて原発事故への怒りの大きさを示しましたが、今回のクラウドファンディングの早々の達成からも、改めて原発事故と、傍若無人な原子力ムラへの強い怒りが示されました。大手メディアが最高裁ヒューマンチェーンについて一言も報道しなくても、原発事故は風化などしていませんし市民・被害者の怒りも収まっていません。

このクラウドファンディングは、第2目標800万円、最終目標1000万円に向け、7月18日(木)までの残り26日間(本日時点)、全力疾走を続けます。このクラウドファンディングの動きは、当然、政府、原子力ムラも注目しており、彼ら原発推進派に市民の怒りを見せつける必要があります。引き続き、友人・知人に拡散していただき、最終目標達成に向けたご支援をお願いします。

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6.17最高裁ヒューマンチェーン大成功! 今世紀最大の950人が「最低裁」を完全包囲

2024-06-20 21:24:47 | 原発問題/一般
13年以上経った今なお4万人近い人々が住み慣れたふるさとを追われ、呻吟している福島第1原発事故に関し、「国に責任はない」とした最高裁は、いまや最高裁判所などと呼ばれる資格はない。国民の利益を踏みにじり、政府・東京電力に擦り寄る「最低裁判所」だ。

6月27日に行われた「原発事故は国の責任 6・17判決を正す 司法の劣化を許さない最高裁共同行動」には950人が集まり、最高裁を完全包囲した。最高裁包囲行動は、これまでも労働運動などではしばしば行われてきているが、950人という人数を集めた事例は近年ない。最高裁前行動としては21世紀に入ってから最大の参加者数になった。

これだけの意義ある大行動なのに、朝日・毎日なども含め、大手全国紙は一切報道していない。伝えたのは地元メディアの福島中央テレビと市民メディアだけだ。その中からいくつかをご紹介したい。

原発事故は国の責任!最高裁を950人のヒューマンチェーン(レイバーネット日本)
瀬戸大作さんのスピーチ「原発事故は国の責任 6・17判決を正す 司法の劣化を許さない最高裁共同行動」(レイバーネット日本)

映像付きニュースはこちら。以下の映像・写真を見ると、最高裁が「完全包囲」されていることがわかる。

「原発事故は終わっていない」950人が裁判所前で抗議 国の責任否定、最高裁判決から2年 福島(TBS/テレビユー福島制作)
6・17最高裁共同行動 ヒューマンチェーン(福島・発チャンネル)




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【訃報】伴英幸さん(原子力資料情報室共同代表)死去 反原発運動に半生捧げる

2024-06-15 17:23:02 | 原発問題/一般
共同代表 伴英幸 逝去のお知らせ(原子力資料情報室公式ホームページ;2024年6月11日)

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伴英幸さん死去 72歳 原子力資料情報室の共同代表(毎日)

 脱原発の立場から国の原子力政策を批判、点検してきたNPO法人原子力資料情報室の伴英幸(ばん・ひでゆき)・共同代表(72)が10日、がんのため死去した。葬儀、告別式は近親者のみで営む。

 1951年生まれ、早稲田大卒。生活協同組合専従を経て、90年に原子力資料情報室のスタッフになり、95年に事務局長、98年から共同代表。

 原子力政策大綱を策定する原子力委員会の有識者会議の委員や、東京電力福島第1原発事故後に中長期のエネルギー政策を見直す経済産業省の有識者会議の委員を歴任。国の原子力政策に批判的な立場で発言を続けてきた。著書に「原子力政策大綱批判――策定会議の現場から」(七つ森書館)。
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伴英幸さんが遺したバトンとは…「脱原発社会」目指し対話続けた原子力資料情報室共同代表 悼む声が広がる(東京)

 脱原発の実現を訴える市民団体「原子力資料情報室」(東京)の共同代表、伴英幸(ばん・ひでゆき)さんが10日、亡くなった。72歳だった。チェルノブイリ原発事故をきっかけに、脱原発の運動に参加。経済産業省や国の原子力委員会の会合でも委員を務め、「原発推進」側とも粘り強く議論した。「こちら特報部」の取材にも丁寧に応じてくれた。その人柄と功績に関係者から悼む声が広がっている。(宮畑譲)

◆「政府と折り合いがつかない時も対話を」

 「温和な人だったが、内に熱いものを持っていた。あと5年は一緒に活動してもらえると思っていた」

 情報室事務局長の松久保肇さんが悔やむ。松久保さんによると、伴さんは今年3月に入っても講演活動をこなしていたが、腰痛を訴え、精密検査を受けたところ、がんが進行していることが発覚し、入院した。

 見舞いに訪れた松久保さんに、伴さんは「政府と折り合いがつかない時も対話は大事」「なるべく現場に通うように」と対話と現場の大切さを伝えたという。

◆チェルノブイリを契機に市民運動へ

 伴さんは旧ソ連ウクライナで1986年に起きたチェルノブイリ原発事故を契機に、脱原発の市民運動に参加し、90年に情報室のスタッフになった。情報室は75年、物理学者の高木仁三郎さん(故人)らが、市民の側から原子力に関する情報収集や調査・研究をしようと設立。伴さんは95年に事務局長、98年から共同代表に就いた。

 「高木さんが亡くなった2000年から11年3月11日の東京電力福島第1原発の事故まで、脱原発の市民運動や情報室にとっては厳しい時代だった。その時代に、しぶとくしなやかに運動をつないでこられた」

 NPO法人「環境エネルギー政策研究所」の飯田哲也所長は、そう功績を振り返り、伴さんがつないだバトンを受け継ぐ重要性を訴える。「高木さんの後を伴さんが埋めたように、これからみんなで何ができるのか。伴さんをイメージしながら次のステージをつくっていかなくてはいけない」

◆福島事故後の混乱に「灯台」の役割

 3.11直後、前例のない事故に日本中が混乱を極めた。東電と経産省原子力安全・保安院(現原子力規制委員会)の説明は難解。楽観的な見立てを語る専門家もいた。そんな中、情報室に取材が殺到した。飯田さんは「あの時、日本中のほとんどの人が何が起きているのか分からなかった。情報室と伴さんは『灯台』の役割を果たした」と評する。

 エネルギー政策を議論する総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の委員も務めた伴さんは、脱原発・反原発の強い思いを持ちながら、原発を推進する政府・国とも粘り強く「対話」をした。

◆いろんな人をつなげる人だった

 原子力市民委員会の座長を務める龍谷大の大島堅一教授(環境経済学)は「脱原発を目指す地域の人や研究者など、いろんな人をつなげる人だった。一方で、意見が違う政府とも話ができる。そんな人はなかなかいない。大きな存在を失った」と残念がる。

 ただ、大島さんは「松久保さんら若い世代が育った。これも伴さんがいたからだろう。彼らの個性、やり方で伴さんの意思は引き継がれていくと信じている」と強調する。

◆「このままではいけないと思ったはず」

 一方の政府は3.11から10年以上がたち、原発推進に回帰する。岸田文雄首相は昨年2月、原発の60年超運転や次世代型原発への建て替えを柱とする基本方針を閣議決定した。

 原発事故でもたらされた教訓はどこに行ってしまったのか。伴さんは18年、「こちら特報部」の取材にこう答えている。

 「3.11の直後に感じた原発への不安は拭われていない。誰もが、このままではいけないと思ったはずだ。その危機感をあらためて共有することから、脱原発社会は始まる」
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福島第1原発事故以降、当ブログの「ブックマーク」にもずっと登録したままになっている「原子力資料情報室」共同代表、伴英幸さんが死去した。私は直接の面識はなかったが、3月の入院後、がんが全身に転移し厳しい状態にあるとの情報は、反原発運動筋を通じて私も3月中には聞いていた。3.11以降の激務の中で、自分をいたわる時間はほとんど取れなかったのではないだろうか。

「福島事故後の混乱に「灯台」の役割」という東京新聞記事は、まさに3.11直後の空気を誤りなく表現している。電力業界からのおびただしい広告収入と、電通による支配が行き届いた商業メディアはこの未曾有の事態に当たっても福島の危険性をまったく報じなかった。当時、私が住んでいた福島県西郷村でも震度6強の強い揺れを記録。一時的に停電したが、数時間後、停電から復旧し使えるようになったネットで頼りにしたのが、原子力資料情報室の記者会見動画だった。会見は毎日、また福島第1原発に大きな動きがあったときは1日複数回、行われることもあった。

私たち夫婦が、福島から関西方面へ、1ヶ月にわたる避難を決断できたのも、原子力資料情報室の会見を随時チェックしていたからである。これがなければ、福島の危険に気づかず、避難を決断することはできなかったに違いない。福島第1原発からの放射能の流出は、3月12~13日頃と3月15~16日頃に大きなピークがあった。この時期に福島を離れていたことは、私たちが無用の被ばくから身を守ることにつながった。

政府から原子力関係の委員会・審議会などの就任依頼があれば積極的に引き受けた。通常、国のこの種の委員会・審議会は15人くらいの委員で構成されるが、反対派は1~2人のことが多く、しょせんは「反対派の意見も聞いた」というアリバイ作り、セレモニーに過ぎない。「多勢に無勢」の中で折れずに自分の主張を貫き通すにはかなりの覚悟を必要とする。「負け戦」とわかっていて、脱原発実現のために原発推進派と対話をし続けるのは並大抵のメンタルではできない。

加えて、この種の委員に反対派から就任する人にはもうひとつ、超えなければならない「壁」がある。それは仲間からの「裏切り」批判だ。「負け戦」とわかっていても、あえて反対派から委員が就任するのにはいくつかの大きな理由がある。①委員会・審議会の議事録として国の公文書に原子力政策への反対意見を残すことができる ②将来、国が政策転換をするときのために重要な政治的・社会的・経済的・技術的知見を提供する--などである。こうした意義を理解し、かつメンタルが強く、覚悟も持っている人が反対派から委員となるが、この種の人に対しては、一緒に反対運動をしてきた仲間から「あいつは権力・政府に取り込まれた」「裏切り・寝返り」などと批判されることがある。献身的に頑張ってきた運動家が、この手の「裏切り」批判で潰されていった実例(原子力と別の分野だが)を私は知っている。

そのような事情から、反対派でこのような委員を務めてもいいという人はごく限られていて、伴さんのような人は結果的にいくつもの委員を掛け持ちすることになる。孤軍奮闘できる人、仲間も一目置き、「裏切り・寝返り」批判が起きない程度には反対運動内部で実績を積んでいる人であることが求められる。伴さんはそんな希有な人材だった。

放射性物質の性質など技術的なことはもとより、放射能の健康への影響、核ごみ問題、原発の安全性や経済性、海外の原子力政策の動向など、原子力に関するあらゆる分野に精通し、適時適切な批判を行うことができるという意味では他の追随を許さなかった。私が反原発運動団体の役員にも就いていないのに、各地で講演ができるほど「兵隊として最強」になれたのは原子力資料情報室によるところが大きい。原子力資料情報室以外にも反原発運動団体はあるが、「たんぽぽ舎」が現場行動重視なのに対し、原子力資料情報室は理論・政策面に強く、またFoE Japanはグローバルな視野を持ち海外とつながっているなど、各団体にはそれぞれの特徴がある。

72歳はあまりに若く、松久保さんは「あと5年頑張ってほしかった」と述べているが、私はあと10年頑張っていただきたかったと思う。それでも福島第1原発事故から13年、後進は全国各地に育ってきている。確かに反原発運動にとって、巨大な支柱が折れたような喪失感はある。高木仁三郎の最後の言葉「せめてプルトニウム最後の日くらいは生きているうちに見たかった」との思いは伴さんの胸にも去来していただろう。その思いは私たちが引き継ぎ実現していかなければならない。

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原発関係 各種行動にご参加ください!

2024-06-12 21:16:16 | 原発問題/一般
管理人よりお知らせです。

直前のご案内になりますが、原発裁判関係で以下の行動があります。ぜひご参加ください。

【福島地裁・6月13日(木)】ALPS処理汚染水差止訴訟・第2回口頭弁論

13:00  福島地裁前集会
13:30頃 傍聴整理券配布(見込み)
14:30  開廷(~16:00頃 閉廷見込み)
※傍聴されない方、傍聴抽選に外れた方は14時30分からの並行集会にご参加ください。
 とうほう・みんなの文化センター(福島県文化センター)小ホールに移動
14:30  裁判並行集会 開会
16:30頃 裁判報告&記者会見開会 予定
※裁判終了時刻が未定のため、開始時刻が前後する場合があります。
17:30頃 閉会

裁判報告会のみYoutube「福島・発チャンネル」でライブ配信します。
※地裁前集会、並行集会はライブ配信しません。

【東京・最高裁・6月17日(月)】原発事故は国の責任 6・17判決を正す 司法の劣化を許さない最高裁共同行動(最高裁前&衆議院第一議員会館)
 
最高裁は人権を守っているか。裁判官の良心と独立、三権分立は保たれているか・・・いま、最高裁を頂点とする司法の現状を憂う声が全国に満ちています。

2年前、福島第一原発事故に対する国の責任を否定し、原発回帰政策を下支えする最高裁第2小法廷判決が出された6月17日、最高裁に係る訴訟関係当事者をはじめ、多くの市民が結集してこの声を届けましょう。

日時:6月17日(月)
場所:衆議院第一議員会館大会議室

【プログラム】
10時30分~最高裁請願行動
12時~  最高裁判所を取り囲むヒューマンチェーン
14時30分~報告集会&シンポジウム 
登壇者:大島堅一さん(龍谷大学教授)、樋口英明さん(元裁判官)、後藤秀典さん(ジャーナリスト)、長谷川公一さん(東北大学名誉教授)、黒澤弁護士

呼びかけ:6・17最高裁共同行動実行委員会
連絡先:03-6380-5442(斎藤)  iwakisimin@outlook.jp

古いですが、大変参考になる映画です。

映画「日独裁判官物語」1999年制作(制作・普及100人委員会)


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【管理人よりお知らせ】「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」クラウドファンディングにご協力下さい

2024-05-26 10:58:37 | 原発問題/一般
管理人よりお知らせです。

「ALPS処理汚染水の海洋放出を差し止める会」によるクラウドファンディング「ALPS処理汚染水を海に捨てないで!海洋投棄を止める活動にご支援を」が5月20日から始まりました。

活動目的はリンク先の呼びかけ文の通りです。呼びかけ文には「いくら薄めても、海に捨てられる量は変わりません。また、最終的にどれだけの量の放射性物質を海に流すことになるのかは、政府も東京電力も発表していません。」とあります。これに関しては、当ブログ2021年11月22日付記事「「スプーンおじさん」にご用心! 面白くてためになる「希釈」と「濃縮」のお話」で詳しく解説していますので改めてお読み下さい。

目標金額はクラウドファンディング成立のための第1次が500万円、最終目標は1000万円です。実施期間は開始から60日間(本記事掲載時点で残り53日間)です。本記事執筆時点で116万円が集まっていますがまだまだ足りません。

支援金の使用目的は「海洋投棄による環境・健康・漁業・国際関係等への影響について、専門家に調査・研究を委託し、その調査結果や関係者の声などを広く知らせ、問題提起する活動」のためです。ぜひリンク先に飛んでいただきご支援をお願いします。

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被害者切り捨てでつながる「水俣」と「福島」~水俣病患者説明会「マイク切り事件」で見えた環境行政の冷酷非道

2024-05-22 18:51:37 | 原発問題/一般
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」に寄稿した内容をそのまま転載したものです。)

 ●環境省きっての冷酷非道な「独裁官僚」

 5月1日、熊本県水俣市で開催された伊藤信太郎環境相と水俣病の被害者団体などとの懇談会で、水俣病患者が発言中にもかかわらず、制限時間3分が経過したことを理由に環境省側がマイクの電源を切った問題は、被害者のみならず世論の広範な怒りを引き起こしている。この「マイク切り事件」をめぐって驚くべき事実が判明した。

 当日、説明会で進行役を務めたのは、環境省大臣官房環境保健部企画課特殊疾病対策室の木内哲平室長である。環境省組織規則によると、特殊疾病対策室は公害健康被害の認定・補償給付、予防、公害保健福祉事業の他、水俣病に対する業務を担当する部門である。木内室長は、懇談会終了後に来場者から上がった「マイクの電源を切ったのか」との質問には直接答えず「事務局の不手際」としたが、このことも環境省への反発をさらに拡大することになった。この木内氏、一体どういう人物なのか。

 同じ環境保健部企画課に、アスベスト被害を担当する石綿健康被害対策室がある。木内氏がここの室長を務めていた昨年7月、患者団体「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」が「木内室長の着任以来、異質な事務局運営」をされてきたとして、抗議文をホームページで公開する事態になっている。環境省に設置された中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会の席上、患者と家族の会メンバーが修正意見を述べたにもかかわらず、それらの意見が「事務局で全く検討されず、議事録も公開されていない」として「木内哲平室長をはじめとする事務局の運営姿勢、およびそれを承認した小委員会の浅野直人委員長の判断に対し、強い憤りを持って抗議」するとの声明を発表している。

 声明全文は現在も「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」ホームページで読むことができる。木内氏は今回の件に限らず、環境省歴代担当者が曲がりなりにも続けてきた「公害病患者に一定程度寄り添う姿勢」を各分野で次々に壊し、患者の意見を恒常的に無視して人権蹂躙を続けてきた「独裁官僚」なのだ!

 ●木内氏の上司は「福島」切り捨てに!

 驚くべき事実をもうひとつ指摘しておこう。現在、木内氏の上司に当たる環境省大臣官房環境保健部長の職にあるのが神ノ田昌博氏だ。ほとんど知られていないが、神ノ田氏は福島第1原発事故と甲状腺がんの関係について調査する福島「県民健康調査検討委員会」(以下「検討委員会」)の委員を務める。

 5月10日、福島市内で開催された検討委員会では、5巡目の検査を受けた対象者のうち2人が新たに甲状腺がんの疑いと公表された。これまでに、悪性疑いと診断された子どもは330人となり、がん登録で把握された2018年までの集計外の患者43人をあわせると、事故当時、福島県内に居住していた18歳以下の子どもの甲状腺がんは372人に上る。通常、子どもの甲状腺がんは100万人に1人といわれる中、福島県内の発生率は、1巡目受診者300,472人に対し「がん」102人、5巡目でも113,950人の受診者に対し「がん」36人と明らかに異常な水準だが、原発事故との因果関係を認めてこなかったこれまでの検討委員会の姿勢に変化の兆しは見られない。

 甲状腺がんをめぐっては2022年1月、事故当時6~17歳だった若者6人が東京電力に賠償を求めて提訴している(その後、原告は1人増え現在7人)。患者がこうした裁判に訴えざるを得ないのも検討委員会の頑なな姿勢が原因だ。水俣病患者との懇談会で「マイク切り」を行う官僚の上司に当たる人物が検討委員会委員に送り込まれている人事を見ると、原発事故での健康被害をめぐるこのような冷酷非道な環境行政も環境省主導で進められているとの疑念を持たざるを得ない。

 神ノ田氏が甲状腺検査の縮小を主張してきたことを問題視した福島県の母親らが「被害者救済とは正反対の姿勢」だとして神ノ田氏の委員辞任を求める要望書を5月10日、検討委員会開催に合わせて重富秀一座長に提出している。「マイク切り事件」は単なる木内氏の個人的暴走などではなく、最近の環境省による「組織ぐるみの患者無視、人権蹂躙」を象徴する事件といえる。3.11を福島県で迎え、いつ健康被害が起きるかと怯えながら日々を生きなければならない元福島県民のひとりとして、私もあらん限りの怒りをもってこの「犯罪官庁=環境省」を告発したいと思う。

<参考資料・記事>
環境省「マイク切り」司会の慶大医学部卒の官僚にも視線 前任「石綿被害」対策でも患者団体抗議(2024.5.9付け「日刊スポーツ」)  

中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会 「石綿健康被害救済制度の施行状況及び今後の方向性について」 取りまとめ報告書の撤回と見直しに関する緊急要求および抗議声明(「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」ホームページ)

「県民健康調査」検討委員会 委員名簿(福島県ホームページ)

福島県民が環境保健部長の退任要求〜福島県・検討委員会(OurPlanet-TV)

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「学校現場で”汚染水”使うな」福島県議会がトンデモ意見書採択 主導したのは自民「統一協会」汚染県議

2024-03-23 17:14:04 | 原発問題/一般
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」に寄稿した内容をそのまま転載したものです。)

 学校教育の現場で「汚染水」の用語を使うな--いわゆる「ALPS処理水」なるものは「安全」だとして福島第1原発から出るALPS汚染水の海洋投棄を進める国・東京電力。その方針に学校教育現場の教職員を従わせようとする「トンデモ意見書」が2月28日、福島県議会に提出された。福島県民有志はこの間、意見書の採択をしないよう、この問題を担当する県議会商労文教委員会所属県議に対する要請行動や署名提出などあらゆる行動を続けてきた。だが、こうした努力にもかかわらず、意見書は3月18日に委員会で、また県議会最終日となる19日には本会議で、自民などの賛成多数で採択された。

<写真=自民党福島県議会議員団が入居する福島市「中町ビル」>


 事の発端は1月下旬、日教組(日本教職員組合)が札幌市で開催した教研集会にさかのぼる。教研集会はコロナ禍のため過去3年、オンライン開催が続いてきたが、今年、4年ぶりの集合形式での開催に戻った。その集会で、神奈川県内の中学校教員が汚染水の用語を使った教育実践例を報告。地元との同意がない限り、汚染水を放出しないとの約束を反故にして、国・東京電力が放出を強行したという正しい内容を教えるものだった。

 これに対し、産経新聞が噛みついた。「社会科教材に「汚染水」表記 日教組集会で授業実践例を発表「放出を強行」記載も」(1月27日付)で「汚染水」攻撃ののろしを上げた。他紙の社説に当たる「主張」でも「「汚染水」授業 日教組は偏向指導やめよ」(1月29日付)と相次いで攻撃をヒートアップさせた。

 「コンビニで買える自民党機関紙」産経が進軍ラッパを鳴らし、それを合図に自民党が「本隊」として進軍するという「使い古されたいつものやり口」で、呼応して福島県議会自民党が動いた。提出された「教育現場におけるALPS処理水の理解醸成に向けた取組の更なる強化を求める意見書」は、放射性物質の含まれた水で海を汚してほしくないという素朴な思いから海洋放出に反対している市民に対し、産経新聞の報道を引きながら「科学的根拠もないまま、処理水を「核汚染水」と称して虚偽の情報を世界中へ発信している中国と同様」だと決めつけている。その上で、福島県内にとどまらず、全国の教育委員会に対し「科学的な根拠に基づいた正確な情報による適切な教育」のため「適切な資料等の活用」による教育を行うよう求めている。

 処理が適切なプロセスに基づいて行われたとのIAEA(国際原子力機関)の評価を受けた「処理水」が放出されている、とする政府側の見解を含め、あらゆる立場の意見が学校現場で議論されること自体を、もちろん私は否定するものではない。問題は、県議会自民党が政府見解だけを唯一絶対の「正解」とし、これ以外の異論を排除するよう白昼公然と介入していることである。それこそ中国共産党の見解だけが唯一絶対の正解とされ、異論を唱えれば弾圧される中国と同じではないか。

 安倍元首相殺害直後の2022年9月、朝日新聞が全都道府県議会議員に対して行ったアンケートで、福島県議会議員56人のうち10人が世界平和統一家庭連合(旧「統一協会」)と接点があったと回答。このうち鈴木智県議は、県議選の直前や期間中に教団信者の前であいさつしていたと関係を認めている。西山尚利県議に至っては教団の集会などに出席し、関連団体から「平和大使」に任命されていたことが判明している。今回の意見書は鈴木智県議が「提出者」になっており、県議会議長を務める西山県議は意見書を受け取る立場にある。

 今回の「トンデモ意見書」採択はこんな連中によって行われたのである。法的拘束力のない意見書に過ぎず、まともな神経を持った議員によるものでもないから、福島県、そして全国の教育現場は萎縮せず子どもたちに国・東京電力の本当の「罪」を教えてほしい。

<参考記事>
旧統一教会系のイベント出席、推薦状… 自民の福島県議10人が接点(2022年9月18日付「朝日」)

(取材・文責:黒鉄好/ALPS処理汚染水放出差止訴訟原告)

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【管理人よりお知らせ】「国内避難民の人権に関するダマリー国連特別報告者による訪日調査報告書」日本語訳が公開されました

2024-03-17 19:26:05 | 原発問題/一般
管理人よりお知らせです。

1年半近く前の記事になりますが、当ブログ2022年11月1日付け記事「【国連特別報告者セシリア・ヒメネス・ダマリーさん】調査終了後のステートメント~国内避難民の人権に関する特別報告者の日本国における調査 2022年10月7日」で、福島原発事故避難者に関する国連特別報告者によるステートメント(声明)発表についてお知らせしました。

この際に行われた調査については、翌2023年6月、セシリア・ヒメネス・ダマリーさんみずから国連人権理事会に報告しましたが、報告書は英語版のみという状況でした。もともと受け入れに消極的だった外務省は、岸田首相の判断で訪日調査を受け入れたものの、こうした経緯もあって日本語訳をしていません。そのため、市民の手による日本語訳が待たれていました。

このたび、市民団体「国内避難民の人権に関する国連特別報告者による訪日調査を実現する会」メンバー有志の手による日本語訳が完成し、関西で人権問題を扱う一般財団法人「ヒューライツ大阪」公式サイト上に掲載していただくことができました。

当ブログの文字数制限(1記事あたり3万字)を超える可能性があるため、全文掲載は行いません。見たい方は、ヒューライツ大阪公式サイト内の「国内避難民の人権に関するダマリー国連特別報告者による訪日調査報告書(2023)」に飛んでください。なお、印刷に適したPDF版も公開されています。

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ALPS処理汚染水差し止め訴訟、第1回口頭弁論~平気で約束を破る東電に漁業者、市民は怒り 国側「反論」は支離滅裂

2024-03-12 20:54:09 | 原発問題/一般
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」に寄稿した内容をそのまま転載したものです。)

 福島第1原発事故から13年を迎えようとする中、福島県内を中心に漁業者・市民363人が汚染水の海洋投棄の差し止めを求める「ALPS処理汚染水差止訴訟」は3月4日、福島地裁(小川理佳裁判長)で第1回口頭弁論が行われ、漁業者2人、市民2人の計4人が意見陳述した。この裁判を支えようと、福島地裁前には200人が集結。並行集会・報告集会が行われた福島市市民会館4階会場はもちろん、サテライト会場として設置した5階まで参加者で埋まった。





 裁判は、14時開廷予定のところ、進行協議が大幅にずれ込み14時35分にようやく開廷。福島県新地町の漁師・小野春雄さんが陳述。「私たちがめぐみを得る『宝の海』は未来へひきつがれるべきもの。海洋投棄に大義はなく、相馬双葉漁業組合員の全員が反対した。私たちが求めているのは、海を汚さず、放射能汚染に悩まされず、子々孫々漁業を続けることだ」と福島の漁業者全体の思いを代弁した。



 茨城県北茨城市で水産加工業を営む男性は「福島原発事故前の2010年、私の会社の商品は兵庫県淡路の業者に評判となったが2011年以降、取引がなくなった。豊洲市場でも取引価格は3~4割も下落した」と『風評被害』(実態は実害)を訴えた。「東京電力から水産加工業者に対する説明は一切なかった。(国・東電は)漁業者との理解のないまま放出はしないと約束したが、私たちは説明も受けていないのだから理解などしようもない」と、対話もないまま汚染水海洋投棄に踏み切った国・東電への怒りを述べた。「ALPS処理汚染水の放出が続けば自分たちの先行きも見通せず、子どもにも仕事を継がせられない」。言葉のあちこちに怒り、悔しさ、苦悩がにじんでいた。

 「これ以上海を汚すな!市民会議」共同代表の織田千代さんは「海洋投棄は意図的に放射能拡散を続けること。今すぐやめてほしい。そもそも国・東電は漁業者との理解のないまま放出はしないと約束したはず。漁業者との約束はどうなったのでしょうか」。声を荒げ、被告席をにらみつける小田さんに小川裁判長が「裁判所の方を向いて陳述して下さい」と求める一幕があったが、私も事故当時の県民としてこの怒りはよく理解できる。私が陳述に立ったとしても小田さんと同じように行動しただろう。



 いわき市在住の千葉由美さんは、子どもを海で遊ばせる楽しみを奪われた怒りを語った。

 4人の原告全員が口にしたのが、東電による「約束違反」への怒りだった。海を汚されたことへの怒りはもちろんこの裁判の原告になった363人に共通のものだ。だがそれ以上に激しい怒りを呼び起こしたのが「地元漁業者の理解がないまま放出はしない」と文書で約束までしておきながら、東電が平然とこれを破り捨てたことである。こんなことを平気でしでかす連中がいくら「志賀原発は能登地震でも壊れていませんので信じてください」などと言ったところで誰が信じるか!

 被告側からは、国が棄却を求める陳述。「処理水放出は着実な廃炉を実現するための措置として許可した」との主張だが、そもそも国・東電は海洋放出以外の代替案(モルタル固化など)をまったく検討もせず「安上がりな解決策」である放出ありきで事を進めてきた。代替策を検討していれば今日の事態はなかったはずで、汚染水を海洋投棄せざるを得なくなったこと自体、廃炉の失敗を意味するものだ。それを「着実な廃炉」のために許可とは黒を白と言いくるめるものだ。

 「汚染水放出の審査は廃炉措置の完了や環境保護などの『一般的公益』を守るためであり、原告の個人的利益を守るためではない」という主張も詭弁に過ぎない。一般市民の健康を守ることが一般的公益に含まれないというなら、国が主張する一般的公益のひとつとしての「環境保護」とはそもそも何なのか。私たちの健康を守ることを抜きにして実現する「環境保護」に環境保護たる意味があるのか。疑問しかない。

 国側は、陳述の冒頭で「原告代理人のプレゼン資料の中に、意見陳述に書いていない内容が含まれている」とどうでもいい揚げ足を取ってきた。閉廷後の報告集会で、海渡雄一弁護士は「内容で勝負ができないから、そんなことしか言えないんでしょう……ま、これから気をつけますよ」と笑っていた。

 驚いたことに、東電はこの第1回公判で反論書面すら準備していなかった。原告側は半年も前に訴状を提出しているのにまさか読んでいないわけでもなかろう。何があっても国が守ってくれると甘えているのか。それとも反論も書けないほど企業体質が劣化しているのか。その両方ではないかというのが、法廷で双方の陳述を聞いた私の率直な感想である。

 判決後の報告集会では、避難先の群馬からいわき市に戻ってきた原告団事務局長の丹治杉江さんが「私がいわき市に戻ってきたのは闘うため。死に場所を求めて戻ってきたわけではありません」と元気よくあいさつ。意見陳述した4人の原告がそれぞれの思い、決意を報告した。次回公判は6月13日(木)、福島地裁で行われる。

(取材・文責:黒鉄好/ALPS処理汚染水差止訴訟原告)

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