安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

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●管理人の著作(いずれも共著)
次世代へつなぐ地域の鉄道——国交省検討会提言を批判する(緑風出版)
地域における鉄道の復権─持続可能な社会への展望(緑風出版)
原発を止める55の方法(宝島社)

●管理人の寄稿
月刊『住民と自治』 2022年8月号 住民の足を守ろう―権利としての地域公共交通
核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

●安全問題研究会が、JRグループ再国有化をめざし日本鉄道公団法案を決定!

●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

さようなら原発首都圏集会報告

2021-03-28 19:30:44 | 原発問題/一般
3月27日、東京・日比谷野外音楽堂で開催された「福島原発事故10年 さようなら原発首都圏集会」に参加してきた。報告記事をレイバーネット日本に書いたのでぜひご覧いただきたい。

なお、当日、福島原発刑事訴訟支援団事務局長が行った報告全文は以下のとおり。

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 おととい福島県Jビレッジから、オリンピックの聖火リレーが強行されました。東京電力福島第一原発の事故は未だ収束しておらず、原子力緊急事態宣言が今も発令中です。放射性汚染物は、今も環境中に放出されています。「福島はオリンピックどごでねぇ」、そして世界中もそれどころではない状況です。先日起きた東北地方の地震で、1号機、3号機の格納容器の水位が下がっている、注水を増やしたと報道がありました。大きな地震や台風の度に、全国各地の原発を心配しなければいけない状況は、いつまで続くのでしょうか? 10年たっても、事故の実態解明も十分にできていないのに、各地で原発を再稼働しようとしています。事故後もかわらぬ安全管理に対する悪質さも浮き彫りになっています。

 日本はもともと、放射性物質を総量規制する法律はなく、薄めればいくらでも環境中に放出することができるシステムになっています。そして核燃料デブリにふれた汚染水についても、性能が不十分な処理施設で処理し、薄めて海に流そうとしています。海洋放出に反対する多くの声は無視されています。原発事故後、様々な規制値や基準値は、命と環境を守る最低限の役目を奪われ、恣意的に変更されました。厳重に管理することが当然であった核廃棄物の規制基準が80倍に引き上げられました。また、汚染土を再生資源と呼び、全国に拡散しようとしています。原発を推進するため、情報は隠し、過小評価し、ウソをつき、お金をばらまき、調べない、教えない、助けないという体質は、事故後もかわっていません。

 次に、原発事故を巡る裁判についてお話します。福島原発刑事訴訟は、2019年9月に旧経営陣全員無罪という不当な判決が出ました。事故前は「原発事故は絶対に起こらない。五重の壁に守られている。安全だ、心配する方がおかしい」と、さんざんいわれていました。しかし裁判では、東電の社員が危機感を持ち津波対策の必要性が指摘されていたにもかかわらず、元経営陣らが多額の費用がかかることなどを理由に、ほとんどなんの対策もしないまま原発事故に至った過程など、これまで隠されていた驚くべき事実が次々と明らかになりました。ところが、原子力行政に忖度した判決は、「原発には絶対的安全性は求められていなかった」として、双葉病院の患者遺族や被害者を踏みにじり、再び傷つけました。そこには悲惨な原発事故は二度と起こしてはならないという反省はなく、誰の責任も問わず、原発の安全性を切り下げる不当な判決でした。

 民事裁判は、集団訴訟だけでも約30件、原告は1万人を超えています。仙台高裁と東京高裁で、国の責任も厳しく認める判決が出ましたが、損害賠償額は低く、被害の甚大さに対して十分ではありません。特に避難者の方々はこの10年、ご自身の必死の努力によって生活の再建を目指してきましたが、中には避難先の公営住宅の提供が終了しても、経済的、精神的な理由などから新しい住まいを探すことができない方々もいます。その人たちに対して、福島県は退去を促すために2倍の家賃を請求したり、裁判に訴えようとしたりしています。親族の住所を調べあげ、通知を出し、訪問して、暗に圧力をかけるという事件もありました。また3月1日には「子ども脱被ばく裁判」の判決が福島地裁で出ましたが、被ばくにさらされた子どもたちを守るのではなく、国や福島県に忖度した不当な判決でした。

 先日、「3・11甲状腺がん子ども基金」のシンポジウムがありました。当事者アンケートの結果報告や、甲状腺がんを経験した若者たちの話がありました。体調不良や将来への不安のほか、県民健康調査検討委員会などで過剰診断論やスクリーニング効果と言われていることについての批判や反発も率直に語られていました。そして検査の縮小ではなく、検査と支援制度の拡充を望んでいる方や、自分の経験を伝え、周囲の人に検査を勧めている方もいました。また、他の当事者を思いやり、患者を支援する職業につくことをめざし、勉強している方もいました。

 原発事故の被害の上に次々と人権侵害が起きます。被害者抜きに、加害者である国や東電が、一方的に様々なことを決めています。被害は見えなくさせられ、重要な情報ほど、報道がなくなります。負の連鎖を断ち切り、あきらめではなく、希望を積み重ね、子どもの目をまっすぐに見て、未来を語れるように、今一歩、力を尽くしていきましょう。

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 集会の動画は、以下のところにアップされている。

〔手話付〕「福島原発事故10年 3.27さようなら原発首都圏集会」2021.3.27 @日比谷野音


銀座サイレントデモ「福島原発事故10年 3.27さようなら原発首都圏集会」2021.3.27 @銀座数寄屋橋交差点

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【管理人よりお知らせ】久しぶりの原発問題講演を行いました

2021-03-22 21:55:22 | 原発問題/一般
管理人よりお知らせです。

3月21日(日)、札幌市内で久しぶりに原発問題での講演を行いました。当ブログ管理人は、JR北海道の「10路線13線区」問題が深刻化して以降、鉄道問題では何度も講演をしてきましたが、妻が反原発市民団体の役員をしていることもあり、原発問題での講演は妻のほうが専らで、私自身は2014年9月に「さっぽろ自由学校 遊」で行ったのを最後に機会がありませんでした。

今回、福島第1原発事故から10年を迎えるのを機会に、久しぶりに講演の声がかかりました。当ブログ管理人としては、実に6年半ぶりです。本当は事前告知をしたかったのですが、新型コロナウィルス変異株の拡大が続く中、事前告知をして会場が満員になるようなことがあってはまずいとの判断から、今回は当ブログ管理人としては一切、事前告知を行いませんでした。しかし、主催者の地道な努力のおかげで、講演会には、ソーシャル・ディスタンスを確保しつつ17名の方が参加しました。

当日、使用したスライド資料「原発事故からもう(まだ)10年~福島の現状とこれから」を安全問題研究会サイト内「原発問題資料集」コーナーに掲載しました。大手メディアが報道できない内容を中心にしています。甲状腺がん問題など、賛否が大きく分かれる問題にも踏み込んでいます。

今、菅政権は脱炭素を旗印に原発再稼働を狙っています。「二酸化炭素さえ出さなければ何でもグリーン電力だ」として、原発さえも「グリーン電力」に加えるようなごまかしが始まろうとしています。多くの子どもたちを初めとする福島県民を病気や不安、ストレスや分断に追いやり、何万人もの県民がふるさとも生活の糧も失ったまま、避難生活を続けたい人は無理やり居住先から追い出される一方、帰りたい人は帰れない。こんな事態を生み出し、10年経っても解決の糸口すら見いだせない状態に追いやった原発がグリーン電力などということは間違ってもあり得ません。

どんなに脱炭素が重要であっても、原発という選択肢だけはあり得ないのだということを理解していただくために、この資料を作成しました。当日の会場のみなさんの反応を見る限り、当ブログ管理人のこの目的は達成できたと考えます。

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【重要発表】当ブログ管理人初の著書「地域における鉄道の復権~持続可能な社会への展望」が発売になりました!

2021-03-13 12:30:12 | 書評・本の紹介
管理人よりお知らせです。

当ブログ管理人として、雑誌への寄稿を除けば人生初の著書がこのたび出版されました。ただし、単著ではなく共著です。執筆者は当ブログ管理人を含め13人に上ります。

書名は「地域における鉄道の復権─持続可能な社会への展望」(緑風出版)です。都内では、神田神保町の「書泉グランデ」等ですでに販売されているのを確認しています。北海道内でも、紀伊國屋書店札幌本店ではすでに在庫を確認しています。

JR北海道が、自社単独で維持困難な10路線13線区を公表してから、この秋で丸5年となります。バス転換が相当とした5線区のうち、3線区(石勝線夕張支線、札沼線北海道医療大学~新十津川、日高本線鵡川~様似)はすでに転換済みか転換決定済みです。

鉄道事業開始に当たって収支見積書の添付を義務づけている現在の鉄道事業法を廃止し、ローカル線を公共財として維持できるような新たな法体系をゼロベースで構築しない限り、もはや日本でローカル線を維持することはできません。安全問題研究会は、そのための抜本的対案として、JRを再国有化するための「日本鉄道公団法案」をすでに公表しています。

このようなお寒い状況がなぜ引き起こされたのか、背景にある新自由主義思想はどのように生まれ、この社会を侵食し、持続不可能な状態へ日本と世界を追い込んできたのかの考察も試みています。そうした考察の中から、ローカル線が廃止に怯えることなく、生き生きと輝きながら存続、発展できるようにするための方策も提示しています。「道路は災害に遭ってもすぐ復旧するのに、鉄道だけが国の支援も受けられず、台風や洪水のたびに消えていくのはおかしい。なんとかしたいが、どうしたらいいかわからない」と感じている多くの人々にとって、この本は大きな示唆を与えてくれると思います。

本書中、第2章「JR北海道の経過と現状」の第2節「廃止対象路線と住民・自治体」及び第5章「持続可能な社会の形成と鉄道の再生の可能性」の第2節「北海道の鉄道の再生プラン」の部分を当ブログ管理人が執筆しました。

価格は3,200円と学術書並みとなっていますが、当ブログ管理人を通じて購入いただくと著者割引(2割引)が適用されます。当ブログ管理人と面識のある方は、ご連絡いただければ対応します。また、当ブログ及び安全問題研究会ホームページに、申込専用メールアドレス等を設けられないか検討しています。これらの部分は改めてお知らせします。

緑風出版は、社の方針としてAmazonによる本の取り次ぎに反対しており、Amazonへの出荷を拒否しているため、Amazonでは購入できません。すぐにお読みになりたい方はお近くの書店にお申し込みいただくか、少しお待ちいただける方は、当ブログ管理人にご連絡いただいても構いません。

当ブログ管理人にとっては、自分の名前で出版する初の著書です(雑誌を除く)。ボロボロになってしまった日本の鉄道の再建のため、ひとりでも多くの方が、本書を手に取られることを希望しています。

以下は、緑風出版社による本の紹介です。

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 北海道の鉄路は全路線の半分に当たる10路線が維持困難として廃線の危機に直面している。国鉄の「分割・民営化」から30年、JR各社では不採算路線の廃止などで、全国的な鉄道網の分断が進行している。鉄道は安全性、定時性、高速性で高く評価され、地域社会の発展に不可欠であるのに、政府の自動車・航空偏重政策の前に危機を迎えている。

 本書は、JR北海道の危機的状況にたいして、新自由主義による従来の「分割・民営化」路線の破綻を総括し、「持続可能な社会」の考え方を基本に、鉄道路線の存続・再生、地域経済・社会の再生の道を提起する。(2021.3)

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福島原発事故から10年! 関西電力前行動へのメッセージ

2021-03-11 23:23:21 | 原発問題/一般
(このメッセージは、福島第1原発事故から10年を迎えるに当たって、11日に関西電力本社前で行われた「全交関電前プロジェクト」による原発廃炉のための行動に寄せたメッセージをそのまま掲載しています。)

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●3.11 全交関電前プロジェクト 福島10周年関電前行動へのメッセージ

 みなさん、こんにちは。

 10年前の3月11日、私は福島県西郷村に住んでいました。停電、断水した職場、余震はやまず、物資の供給が止まったスタンドでは1回10Lまでに給油が制限され、車の列が続く中、原発が次々爆発していくという異常な状況は今も忘れることができません。

 事故から数ヶ月経っても混乱は続きました。「子どもが水のようなサラサラとした鼻血を出し、ティッシュが1箱、空になってもまだ止まらない。これ以上ここには住んでいられない」と、親が子どもを抱えたまま避難説明会に殺到、私の周辺からスーッと人が引くように「自主避難」して消えていくという状況は、1年以上続きました。草刈り機で刈られた後、自宅近くの小さな神社の境内に積み上げられた草や、側溝の泥を測定してみると、10μSv/時までしか計れない私の簡易線量計が振り切れました。福島市内のヤマダ電機の駐車場では、110μSv/時という数値が計測されていました。年間では96mSv、原発作業員でも現場離脱しなければならないほどの放射線量の中、避難指示も出されずに200万福島県民が汚染地に放置されたのです。

 あれから10年経ちました。健康被害、食品や土壌など環境の汚染、情報隠蔽やウソ・ごまかし、賠償問題、区域外避難者問題など、解決に至ったものは何ひとつありません。誰ひとり責任を取らないまま、すべての問題が10年後の今日も続いています。

 この間、良かったこともあります。裁判所の決定で何度も原発が止まるようになったこと、役立たずの「もんじゅ」が廃炉になったこと、10年間、世論調査で原発を「なくすべき」が1度も6割を割ったことがないことなどです。少しずつでも社会は事故の教訓を読み取り、変わりつつあることを信じたいと思っています。

 関電本社前に集まったすべての市民のみなさんに私は訴えます。これから先の10年は、日本のみならず世界の市民の力で先送りされた問題を粘り強く解決し、事故を引き起こした関係者に責任を取らせる時代にする必要があります。脱炭素に名を借りた原発再稼働や汚染水放出、北海道への核のごみ押しつけなどの動きに警戒し、原子力の時代を終わらせる10年にしなければなりません。被ばくによる苦難の経験を福島で最後にするため、今後も頑張りましょう。

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【転載記事】〔週刊 本の発見〕『武建一が語る 大資本はなぜ私たちを恐れるのか』

2021-03-05 21:02:30 | 書評・本の紹介
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」の書評コーナー「週刊 本の発見」に寄稿した内容をそのまま転載したものです。)

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労働運動の「神髄」見せる関生労組の清々しさ 『武建一が語る 大資本はなぜ私たちを恐れるのか』(武建一 著、旬報社、1,500円+税、2020年12月)評者:黒鉄好

 一切の虚飾のないストレートなタイトルと裏腹に、本書は、囚われの身となった著者が拘置所で迎えた保釈の日の描写から始まる。ドラマか映画でも見るかのように一気に引き込まれる。

 戦後、高度成長の波に乗った日本の歩みにみずからを重ねるように頭角を現す全日建連帯労組関西生コン支部委員長の武さん。権利獲得、ヤクザとの闘争、経営者との対決と協調。破天荒だが正義の炎を絶やさず、大きな敵に敢然と立ち向かう武さんのスケールの大きさが、読者の心を捉えて離さない。

 資本家が資本家たり得るのは、単に生産手段を所有することのみにとどまらず、価格、生産量や出荷量などの決定権――言い換えれば経営権を独占するからである。しかし、武さんの率いる関生労組は、経営者・資本家のこの「聖域」にズカズカと平気で踏み込む。過当競争による値崩れを防ぎ、適正価格での販売を通じて得た利益を労働者に還元する。あるいはコンクリートの品質を確保して建築物の安全を守る。そのような大義名分を掲げ、生産・流通のコントロールに乗り出す。原材料のセメントを少しでも高く売り暴利をむさぼるメーカーと、買い叩こうとするゼネコン。前門の虎、後門の狼という状況の中で、生き残りを賭け、利害が一致する局面では生コン経営者と共闘もする。大資本が関生労組を恐れる理由は、経営権を侵食する存在だからである。

 『法律など守っていたら組合をつぶすことはできない』――かつて財界の労務担当といわれた日経連が開催した講演会で、元役員の講師が放った言葉を本書は暴露する。それを読んで私は身震いがしたが、衝撃は受けなかった。同じような例は歴史書をひもとけばいくつでも見つけられるからだ。私がすぐに思い出したのは『国労を崩壊させる、その一念で(国鉄「改革」を)やってきたわけです』という中曽根康弘の言葉である。資本家の聖域である経営権に踏み込んでくる者は誰であろうと許さない。どんな手段を使ってでもつぶすという資本側の「不退転の決意」がそこに込められている。

 私は、関生労組にかけられている攻撃がかつて国労に向けられたそれと同じであることを理解した。この攻撃から関生労組を守るためには、あのときと同じように、すべての労働者が考え方や立場の違いを越えひとつにならなければならない。

 この闘いに関生労組は勝てるだろうか? 長く複雑な過程を経るとしても、最終的に勝てると私は判断する。どんな乱暴な経営者もどん欲なハゲタカも「全体の利益」という経済原則を越えることはできないからだ。他人を犠牲にして自分だけがいい思いをしようとする者は、社会各層の利害を調整し、全体の利益を図るという経済の自己調節機能によって手痛い反撃を受ける。武さんの波瀾万丈の人生ドラマからはそんな未来への希望も覗く。自分だけの利益ではなく労働者、社会全体のためになるように行動する。日本社会が久しく忘れてしまっている労働運動、社会運動の「神髄」を見せてくれる1冊である。

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