安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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電力小売自由化始まる~「選択権」行使し、脱原発へ前進しよう

2016-04-25 20:38:58 | 原発問題/一般
(当エントリは、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」2016年5月号に発表した原稿をそのまま掲載しています。)

 4月1日、いよいよ電力の小売り自由化がスタートした。これまで、地域独占・総括原価方式の下で、市民の希望を無視して原発再稼働を強行してきた電力会社の支配体制に風穴を開ける最大のチャンスだが、課題も多い。脱原発社会を実現するため、どのような選択をすればいいのか。

 ●「原発以外」都民7割

 そもそも電気は、どの企業のどのような設備を使って発電しても品質に差がなく、送電線も共有のため、特定の会社の電力だけが送電中に劣化するということもない。そのため価格だけが重視される傾向が強いが本当にそれでいいのか。

 福島原発事故経験後、市民の脱原発の意思は強く、あらゆる世論調査で脱原発に賛成が常に過半数を占める。特に今回、事故を起こした東京電力の営業区域である東京、東電柏崎刈羽原発のある新潟で行われた世論調査では、いずれも7割が脱原発を支持。「原発の電気を使わない」を電力会社の選択基準にするとの回答は「価格」の次に多かった。東京都民に限れば「東電以外への切り替え」を検討する人は6割に上った。

 脱原発を電力会社の選択基準にすることには大義があるが、問題は多くの新電力会社が原発の電気を使用しているか否かを含め、電源構成を開示していないことだ。消費者団体は電源構成の開示を義務化するよう求めたが、原発を維持したい経産省は努力目標にとどめ義務化は行わなかった。

●原発維持のからくり

 今回の自由化は、あくまでも電力の小売り部門に限られ、最も抜本的な改革である発送電分離は行われなかった。送電網を電力会社から分離、電力会社含めすべての発電事業者が使用料を払い、送電網を借りて使用する発送電分離が行われるまでの間は、電力会社が送電網を持ち、新電力は電力会社の送電網を借りて送電する現在の体制が続く。

 電力会社は新電力各社から「託送料」を徴収するが、原発の延命のため、核燃料サイクルや廃炉費用が託送料に上乗せされる可能性もある。託送料には国の規制が設けられる予定だが、過去、同様に規制とされてきた電気料金も電力会社の申請通り認可されてきたことを考えると、「政府―電力結託体制」の下で実効ある規制とはいえない。

 国は、発送電分離が行われ、総括原価方式(電力会社のあらゆる経費を電気代に上乗せできる制度)も廃止となる2020年以降を見据え、原発「救済」策を次々に打ち出している。こうした動向にも関心を持ち、原発救済にノーの声を上げる必要がある。

 ●情報開示と見極めが鍵

 新電力会社のすべてが自分で発電設備を持っているわけではなく、持っている場合でもすべての電力を自家発電の電気でまかなうわけではない。誰かがどこかで発電した電気を転売するだけの新電力会社も多い。

 新電力の「セット料金」の中には一定期間、解約ができないものもある。このため、電力会社を慌てて選ぶのではなく、半年程度じっくり見極めて選ぶ方がいいとアドバイスするのは門間淑子(ひでこ)さんだ。反原発自治体市民連盟エネルギー担当で、東京都羽村市議も務める。電力会社を選ぶ鍵は、電源構成と電力会社との提携の有無を見極めることにあるという。大規模な発電設備を自分で持っている会社ほど電力会社の電気に頼る必要がなく、原発比率も低いからだ。

 現在、九州電力管内を除き原発は停止しているが、再稼働されれば、原発を動かしている電力会社と提携している新電力会社の電気には必ず原発の電気が交じることになる。セット割引を売り出しているソフトバンク、au(KDDI)も電力会社と提携している。

 一方、反原発自治体議員市民連盟が主要37社に対してアンケート調査をした結果、F―POWER、エネット、中央セントラルガス、JX日鉱共石エネルギー、みんな電力、洸陽電機、東急パワーサプライ、シナネンの8社は原発の電気を使わないと回答した。

 これらの中には、電源の一部を市場から調達すると回答した社も含まれる。送電線は電力会社も新電力各社も共有のため、市場からの調達電力には原発の電気が交じる可能性があり、完全な脱原発は容易ではない。だが、再稼働にまい進する電力会社からこれらの会社など新電力に切り替えることで、再稼働ノーの意思を示し、原発比率を下げることができる。

 安倍政権支持者の支持理由1位が「他に選択肢がないから」であることは世論調査ですでに明らかになっている。有権者に「選ばせない」ことで政権に就いている安倍首相が、消費者に「選ばせない」ことで市場を独占している電力会社を利用して、市民の反対する原発再稼働を強行する――日本社会のそんな構造が見え隠れしている。有力な選択肢が提供されれば、電力支配も安倍支配も覆すことができる。情報開示に消極的な新電力会社には情報開示を求め、適切に電力会社を見極める市民が増えるほど、脱原発の実現に近づく。

参考資料:レイバーネットTV第99号「緊急企画「電力自由化」どこを選んだらいいのか?
(以下の動画の、1時間12分頃から)

レイバーネットTV第99号「緊急企画「電力自由化」どこを選んだらいいのか? ゲスト:門間ひで子さん(東京都羽村市議会議員)」

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衆院北海道5区補選の結果について(コメント)

2016-04-25 01:14:02 | その他社会・時事
衆院北海道5区補選の結果について、レイバーネット管理部よりコメントを求められたので、以下の通り書き送った。以下、当ブログにも掲載しておきたいと思う。

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 野党共闘の今後を占う選挙として注目を集めた衆院北海道5区補選は、野党統一候補、池田まき候補(民進、共産、社民、生活推薦)が惜しくも敗れた。選管最終確定結果はまだ出ていないが、この選挙を分析すると、野党共闘の今後の希望も見えてくる。

 そもそも今回の選挙は、自民北海道連の「ドン」であった町村信孝・前衆院議長の死去によるものであった。選挙が行われることはその時点でわかっていたし、自民が町村の娘婿である和田よしあき候補(自民公認、公明、新党大地推薦)を擁立することも初めからわかっていた。

 これに対し、昨年9月の戦争法(安保法)強行成立以降、野党共闘への気運が急速に盛り上がりながらも、実際の共闘態勢はなかなか確立しなかった。野党共闘の枠組みができたのは今年に入ってから、池田候補の擁立決定は2月になってからで、明らかに出遅れていた。

 それにもかかわらず、和田、池田両候補の得票は、率にして10%程度(24日午後11時現在)。昨年4月に行われた北海道知事選の得票は、勝った現職、高橋はるみ知事(自民、公明推薦)が1,496,915票、敗れた佐藤のりゆき候補(民主、社民、大地推薦、共産支援)が1,146,573票。率にして24%という大幅な差があった。

 この知事選は与党対全野党という構図になっていた。地域政党、新党大地が野党から与党サイドに移ったことを除けば今回の補選と極めて似た枠組みで行われており、比較の対象になると思う。そこで、新党大地の「裏切り」、池田候補の擁立の出遅れというマイナス要因があったにもかかわらず、これだけの僅差に持ち込んだことは、敗れたとはいえ、野党共闘の今後に多くの希望をつなぐものといえる。

 投票率は、補選では50%を切ることも珍しくないが、今回は異例の54.99%(午後8時現在)を記録した。昨年の知事選の投票率が59%だったことと比べると、有権者の関心は高かったといえる。現在、様々な投票率アップのための施策が行われているが、「魅力ある候補者がいれば投票率は上がる」ことが証明された形となった。

 今回、選挙が行われた5区のうち千歳、恵庭の両市は航空自衛隊千歳基地などを抱え、住民の3割が自衛隊関係者といわれる厚い保守地盤である。注目すべきは、その千歳市で期日前投票が前回を下回ったことだ。最近の選挙では、期日前投票は本投票の「先行指標」の傾向が強いが、厚い保守地盤があり、かつ基地の町である千歳市で期日前投票率が下がったことは、戦争法成立以降、基地の町で不安が広がっていることを裏付けるものだ。

 加えて、昨年の知事選より5%近く投票率が下がり、かつ保守政党である新党大地が自民支援に「寝返った」にもかかわらず、池田候補が和田候補との得票率の差を半分以下に縮めたことは、前回と比べて保守層、与党支持層の多くが棄権に回った一方、過去数回の選挙ですっかり政治をあきらめていたリベラル層の投票率が前回より上がったことを示唆する結果である。共産党との共闘にアレルギーを示す民進党内の保守勢力がしばしば口にする「共産党との共闘は、得る票より逃げる票の方が多い」という言説が完全に間違っていることを示した。実際には、民進党には逃げるほどの保守票は初めからなく、むしろ同党がリベラル勢力によって支えられていることが明らかになったのである。

 私は、今年3月に発表したレイバーコラム第25回「いま改めて考える打倒自民の可能性」で次のように指摘した。すなわち、「NHK放送文化研究所年報」2015年版に掲載された同研究所世論調査部の河野啓氏による論考「2度の政権交代をもたらした有権者の政治意識」の中で、「日本の政党のあり方」に関する調査結果を見ると、「政策が近い2大政党」「政策に差がある2大政党」のうち、前者が33%(2012年)→29%(2013年)と減少しているのに対し、後者が28%(2010年)→32%(2012年)→34%(2013年)と、緩やかながら着実に増加していることがわかる。2013年にはついに両者が逆転し、「政策に差がある2大政党」を求める有権者のほうが多くなっている。

 こうした調査結果、また今回の補選に現れた民意の細かい分析の結果は、有権者が安倍自民政治に代わる新たなオルタナティブを切実に、かつはっきりと求めていることを示している。今回の池田候補の善戦は、民主党政権崩壊以降、行き場を失ったまま漂流を続けてきたリベラル勢力、安倍政権に強い不満を抱きながらも、どこに投票すべきかわからず、投票所から遠のいてきたリベラル勢力の受け皿として、野党共闘が有力な回答であることを見せつけた。安倍自民は、何とか勝つには勝ったが、この結果にはまったく満足していないだろう。

 野党各党は、今回の選挙結果に一喜一憂することなく、野党共闘を今後とも進めていくことが必要である。今後、十分な準備期間が与えられれば、安倍自民1強を掘り崩す大きな力として、野党共闘は間違いなく機能する。安倍首相の長年の野望であった憲法改悪を阻止し、安倍政権を打倒する可能性が、北の大地から見えてきた。池田候補はあと一歩及ばず敗れたが、私たちに改憲阻止への希望を与える選挙結果だったと言っていい。

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【管理人よりお知らせ】組織罰を実現する会総会・公開シンポ「組織罰を実現するために」にご参加ください

2016-04-21 21:17:32 | 鉄道・公共交通/安全問題
管理人よりお知らせです。

来る4月23日(土)、兵庫県伊丹市内で「組織罰を実現する会」主催の公開シンポ「組織罰を実現するために」が開催されます。同時に、この集会で「組織罰を実現する会」が正式に発足します。

この会は、JR福知山線脱線事故遺族らが、企業犯罪の際、法人に罰金刑を科することのできる「組織罰」を法制度として実現するために、広く国民運動を起こそうとの趣旨で設立するものです。福知山線脱線事故をめぐる歴代社長の裁判などを通じて、企業役員を「個人罰」で裁くことしかできない現行刑法の限界が、広く指摘されるようになってきました。

その後、福知山線脱線事故の遺族たちは、組織罰を実現するため、2年前から勉強会などを続けてきました。その成果を踏まえ、いよいよ組織罰法制の整備に向けた運動が、この会を通じて正式に始まることになります。

公開シンポ「組織罰を実現するために」は、パネリストに柳田邦男さん(作家)、郷原信郎さん(元検事)をお迎えし、組織罰法制の必要性と、その実現のための方策を議論していただきます。柳田さんは、企業が引き起こす事故などの問題に詳しく、JR福知山線脱線事故に関しても積極的な提言を続けてきました。また、郷原さんは、企業法務、コンプライアンス分野に詳しく、また元検事でもあることから刑事司法分野にも明るい方です。

集会は、以下の日時、場所で開催されます。詳しくは、チラシ(サムネイル写真:クリックで拡大)もご覧ください。

日時:2016年4月23日(土)14:00~16:30(開場13:30)
場所:伊丹スワンホール地図

入場無料・予約は不要です。なお、「組織罰を実現する会」については、併せて、以下のニュース記事をご覧ください。

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<JR福知山線脱線>「組織罰」制定へ署名活動 遺族ら表明(2016.4.13 毎日)

 JR福知山線脱線事故の遺族らが13日、大阪市内で記者会見し、重大事故を起こした企業や法人の刑事責任を問う「組織罰」の制定に向け、署名活動や国会への働きかけなどを始めることを明らかにした。今月23日に「組織罰を実現する会」を発足させる予定で、代表に就く大森重美さん(67)は「多くの人の命が奪われた事故で、組織の誰も責任を問われない事態はおかしい。組織罰の必要性を訴えたい」と話した。

 遺族らは2014年に「組織罰を考える勉強会」を設立。専門家の意見を聞くなどして約2年議論し、企業などが起こした事故で職員らに業務上過失致死罪が成立する場合、法人自体に罰金を科す両罰規定を取り入れた特別法の制定案をまとめた。対象を死亡事故に限った特別法とし、処罰対象の拡大を抑えた。安全対策が十分だったと立証できた場合は免責されるようにし、安全対策の進展や真相解明に役立てる。

 23日には勉強会を衣替えして「組織罰を実現する会」を発足させ、兵庫県伊丹市のスワンホールで午後2時から組織罰の実現を考えるシンポジウムを開く。他の事故遺族との連携やホームページでの情報発信も進める。

 脱線事故では業務上過失致死傷罪で起訴されたJR西日本元社長は無罪が確定。同罪で強制起訴された歴代3社長は1審で無罪、検察官役の指定弁護士側が控訴したが棄却され上告中。【田辺佑介】
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衆院北海道5区補選 原発自主避難者の集会で「再稼働は必要」と主張する不良候補、和田義明を落選させよ!

2016-04-20 22:02:24 | 原発問題/一般
終盤に入った衆院北海道5区補選は、和田よしあき(自民公認、公明、大地推薦)と池田まき(民進、共産、社民、生活推薦)の両候補が、激しい競り合いを続けている。投票日まであと4日となったが、最新の情勢調査でも無党派層の2割が態度を決めていないとされ、勝敗の行方はまったく予断を許さない状況だ。

そんななか、与党の組織的な支援を受け、当初は優勢とみられていた和田候補の、公職の候補者としての資質に根本的な疑問を抱かせる重大情報を当ブログは入手した。和田候補が、今年2月13日、千歳市(北海道5区の大票田のひとつ)で開かれた原発「自主」避難者の集会で、避難者たちを前に、原発の再稼働を「必要」と主張していたのだ。

以下、発言内容とともに証拠動画を示す。

2016/02/16 衆院道5区補欠選挙 - 3陣営、政策語る 札幌でお話を聞く会


この中で和田候補は、原発依存は「基本的に減らすべき」「原発は危ないものだということに疑いの余地はない」としながらも、脱原発は主張しなかった。それどころか、まったく逆の驚くべき発言をしている。

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(以下、33秒頃から)

原発をすぐに止めてしまうというやり方には、私は疑問を感じております。原発は、動いておりましても、止まっておりましても、危険であるということに変わりはございません。で、一方、いま原発が止まっていることによって、例えばですけれども、北海道電力の従業員の方々は、大変厳しい処遇に甘んじておられます。また、地元の商業、工業をやられている方々、電気代が大変上がっておりまして、本来であればもっともっと稼げるにもかかわらず、それが20%、30%減っているという状況でございます。仮にその、安全、何と言いますか、原発を止めて安全が確保されるのであれば、止める価値はあると思うんですけれども、そうでないのであれば、少しでも地元の経済をよくして、先ほどの話ではないですけれども、少しでも税収を増やす。皆様方の暮らしをよくする。そういった現実的な・・・が大事なのではないかと私は思っております。(・・・部分は、よく聞き取れず)

結論を申し上げますと、いまは、安全を確認した上で、稼働させる。
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それにしても、「原発は止まっていてもどうせ危険なのだから、原発を動かしてカネを儲け、北電社員の待遇を上げろ」とは、開いた口がふさがらない。原発推進派の御用学者たちでも、ここまで露骨な発言をする人はそう多くない。「原発ムラ御用新聞」産経ですら、例えば「地元のホテルが、作業員が泊まってくれなくて困っている」というふうに、もっとうまく推進を主張するだろう。福島原発事故の直接の加害者でないとはいえ、原発ムラの一員である北電の名前を出した時点でアウト、ということもわからないような候補が、国政を担うにふさわしくないことはもちろんだ。

このあと、和田候補は「中長期的には、少しでも早いタイミングで原発をやめて、代替エネルギーに移行することが重要」などと言い訳をしてはいるが、それが「野党に違いを強調されないための争点潰し、ごまかし」であることは当然である。和田候補がもし当選すれば、この日の発言などコロリと忘れたかのように、泊原発を初め、各地の原発再稼働に向け動き出すことは必至であろう。

地元紙「苫小牧民報」の報道(3陣営、政策語る 札幌でお話を聞く会-衆院道5区補欠選挙)によれば、この発言が飛び出したのは札幌市厚別区内で開催された「立候補予定者のお話を聞く会」だ。この会の主催は「こだまプロジェクト」。福島からの原発「自主」避難者で組織する会である。避難者団体主催の会で、原発避難者を前にして、「原発動かしてカネ稼げ」と平然と言い放つ神経は、私にはとうてい理解できない。

私は、原発に反対している人はもちろんだが、無党派層、とりわけ「自分ひとりが投票に行ったって、何も変わらない」と思って政治をあきらめている多くの人にこの事実を伝えたいと思う。自民党が2014年総選挙で獲得した票は、民主党に政権を明け渡した2009年の総選挙よりはるかに少ないという事実を併せてみなさんに知ってほしい。それでも自民が政権に復帰し、「1強」を築き、憲法さえ白昼公然と破壊して恥じないでいられるのは、みなさんが政治をあきらめ、選挙に行かなかったからである。

安倍政権は、みなさんの「あきらめ」を栄養にして膨れあがり、成長し、憲法破壊のモンスターと化した。いま、みなさんが「あきらめ」を捨て、「自分の1票で政治は変えられる」「安倍政権を打倒すれば、希望が生まれる」との確信を胸に抱くなら、状況を変えられる。憲法改正しか眼中になく、アベノミクスも原発再稼働も「憲法改正」という刺身のツマ程度にしか考えていない安倍首相は、私たちが衆参で改憲派の3分の2を阻止し、憲法改正が不可能になったと悟れば、心が折れ、勝手に政権を投げ出すだろう。

池田まきさんは、「投票所に行けない子どもたち、認知症の方々、弱者のための政治」を訴える統一候補だ。みずからどん底から這い上がり、ソーシャルワーカーとして、福祉行政の最前線で「切り捨てられる人々」に寄り添ってきた。声も上げられないでいる人たち、権力に虐げられる以前に「虐げられていること自体が誰にも知られていない」多くの人たちを、池田まきさんは、明るい光で照らすだろう。「ずっと平和を もっと安心を」――池田まきさんのスローガンは私たちの心を打つ。

4月10日、千歳市での池田まきさん(衆院5区補選予定候補)の訴え


対して、和田候補が口にしているのは「経済の和田」だが、その経済とは誰のためなのか。原発動かして北電にカネ稼ぎをさせるのが「経済の和田」だとするならば、そんな腐りきった「経済政策」など死んでも願い下げだ。みなさんがあきらめ、投票所に行かないことで、このような不良候補が当選することになってもいいのか。

今回、池田候補を支える野党各党には様々な意見の違いや対立もあったと聞く。それでも各党は、立憲主義、平和主義破壊の安倍政権を倒すため、小異を捨て、断腸の思いで統一候補樹立を果たした。今度は政治をあきらめていたみなさんがこの努力に応える時だ。「命よりカネ」か「カネより命」か。「ずっと平和を もっと安心を」と「どうせ危険な原発なら、早く動かしてカネ稼げ」――私たちの未来をどちらに委ねるべきかは、もはや言うまでもないだろう。みなさんの1票、みなさんの「虐げられている人々に贈るかけがえのない1議席」を、あきらめることなく池田まきさんに与えてほしい。

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九州地震、未曾有の事態に

2016-04-16 10:23:46 | 気象・地震
熊本で始まった九州の地震は、昨夜になって、14日の最初の地震を上回るM7.3の地震を記録した他、大分でも大きな地震を観測した。震源地が東に広がりながら連鎖的に発生していく。今生きている日本人の誰も経験したことのない新しい段階に入った。

14日の地震はM6.5だったから、昨夜の地震が本震で、14日の地震は前震だったことになる。最大震度は14日が7、昨夜の地震が6強だったが、地震はあくまでマグニチュードで判断するものだ。

注目いただきたいのは、強い地震の震源が日本最大の地震帯である中央構造線に沿って起きていることだ。この構造線は九州から四国、紀伊半島を経由して長野付近まで達している。この構造線に近い地域では今後、突然地震活動が活発化するおそれがあり、厳重に警戒してほしい。

中央構造線(Wikipediaより:赤い線の部分)


なお、当ブログ管理人は現在、外にいて携帯電話から書き込みしている。気象庁の報道発表などに関しては、パソコンからネットにアクセスできるようになってから改めて述べたい。

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【管理人よりお知らせ】ノーモア尼崎事故! 生命と安全を守る4.17集会にご参加ください!

2016-04-15 22:06:55 | 鉄道・公共交通/安全問題
管理人よりお知らせです。

直前のご案内になってしまいましたが、あさって4月17日(日)、尼崎市で「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る4.17集会」が開催されます。尼崎事故以降、毎年この時期に開催されている集会です。昨年は統一地方選のため5月の開催となりましたが、今年は再び以前の開催時期に戻っています。

今年の集会では、「公共鉄道を守る労働組合の役割~JR関連企業での組織拡大の経験」と題して、国労東日本前執行役員の青柳義則さんが講演します。長野でのバス事故など、相次ぐ公共交通の安全崩壊を踏まえ、職場段階から利用者の命を守るため、物言う労働組合の拡大が必要との視点からお話しします。

なお、当ブログ管理人が、JR北海道の安全問題、ローカル線廃止問題について、短い報告を行うかもしれません(実現するかどうかは不明です)。詳しい開催内容は、チラシ(サムネイル:クリックで拡大)をご覧ください。

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熊本で震度7の巨大地震 さらなる地震に厳重警戒を

2016-04-15 00:19:56 | 気象・地震
今夜9時26分頃、熊本でM6.5、震度7の巨大地震が発生した。地震の震度が現在の9段階制になって以降、最大の7が観測されたのは2011年3月11日の東日本大震災以来である。

それにしても、この地震、余震活動が過去の地震で類を見ないほど活発だ。すでに現在まで、震度6強1回、6弱2回、5弱1回、震度4は9回も起きている。この状況から考えて、地震を引き起こした断層の移動は現在も続いているものと考えられる。これくらいの巨大地震になると、断層の移動が数時間から十数時間近く続くこともある。今後もこの程度の余震は起こりうるものと考えて厳重に警戒をして欲しい。

また、プレート境界型地震であった3.11と、今回の地震は単純比較できないが、3.11の直前、2011年3月9日に三陸沖を震源とするM7.2(震度5弱)の地震が起きている。その後、いったん余震が収まりかけたように見えた後、3.11の巨大地震につながった。「後で思えば、あの地震が前震だったよね」と振り返られることになるような巨大な本震が、2~3日後に来ることも考えられる。1週間程度は気を抜かず、あらゆる可能性に備えるべきだ。

念のため、気象庁の報道発表を確認しておこう。

地震の規模はM6.5、震源地は熊本県熊本地方、震源深さは11km、発震機構(地震のメカニズム)は南北方向に張力軸を持つ横ずれ断層型(速報)である。横ずれ断層型は巨大な断層帯が動くときに多く、阪神・淡路大震災も横ずれ断層型だったとされている。

今回、きわめて活発な余震活動が続いているが、M6.5は日本周辺では1ヶ月に1回程度は起きている規模。阪神・淡路大震災(M7.2)よりもかなり小さい(マグニチュードが1大きくなるごとに、地震のエネルギーは32倍になる)が、今回に限って言えば、余震活動がきわめて活発であり、今後の推移を見守る必要がある。

取り急ぎ、強い揺れが続いている各地では、古い木造家屋に留まっているよりは、広くて不安定な構造物の少ない公園などの場所に移動した方がいい。真冬だった阪神・淡路大震災や、東北地方を襲った3.11と異なり、九州地方の4月はかなり暖かい。毛布などで暖を取れる環境があれば、古い木造家屋よりは屋外のほうが安全だ。しばらくの間、互いに助け合い、この苦境を乗り切って欲しい。

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第88回選抜高校野球大会を振り返って

2016-04-01 22:33:04 | 芸能・スポーツ
当ブログ恒例の高校野球大会講評。少し時間が経ってしまったが、大会の余韻が残っているうちに書き留めておくことにしよう。

まず、智弁学園(奈良)の優勝が春夏を通じて初めてというのは、長年高校野球をウォッチしている身としては意外な気がする。甲子園と言えば智弁、智弁と言えば甲子園というくらいに両者の関係は深く、甲子園を縦横無尽に駆け回る智弁の赤い文字なくして球史を語ることはできないくらい、高校野球ファンにはおなじみだからである。「智弁=常勝チーム」の印象が強いのは、兄弟校である智弁和歌山のイメージも大きい。甲子園での対戦成績も、智弁和歌山が上回っている。

今大会は、久しぶりに西日本勢が気を吐いた大会だった。8強が智弁学園(奈良)、滋賀学園(滋賀)、龍谷大平安(京都)、明石商(兵庫)、秀岳館(熊本)、木更津総合(千葉)、高松商(香川)、海星(長崎)。木更津総合以外の7校はすべて西日本勢だった。8強に西日本勢が7校、うち4校が近畿勢というのは、いずれも近年では珍しい。このどちらも前回はいつだったか、球史をかなり遡らなければ見つけられないと思う。特に、近畿勢は最近では8強にまったく残れないことも少なくなかっただけに、この成績は特筆すべき出来事だ。1回戦段階で西日本勢同士の対戦が多かったことが原因かとも思ったが、21世紀枠同士の対戦となった大会3日目の小豆島(香川)―釜石(岩手)戦のように、東西対決となった試合も一定程度、西日本勢が勝っている。

だが、この結果をもって「西日本勢の復権」と結論づけるのは早そうだ。どちらかといえば、西日本勢の優位というより、東日本勢のレベルが例年ほど高くなかったことが、相対的に西日本勢を浮上させたのではないか。ここ数年、飛ぶ鳥を落とす勢いだった東北勢も早々と敗退する学校が目立った。暴投など記録に表れないプレーも目立ち、完成されていないチームが多かった印象だった。ここ10年ほど、高校野球は東日本勢優位の大会が続いており、東日本勢の地方大会を含めたレベルの底上げもはっきり見えている。今大会に出場した東日本勢の多くは、チームの強化に努めなければ、このままではほとんどが夏の大会には出場できないだろう。

相対的に東日本勢のレベルが例年より低かったとする当ブログの分析にはそれなりの根拠がある。今大会2日目(3月21日)、1回戦の八戸学院光星(青森)―開星(島根)戦で、2回裏の攻撃中、1塁走者が2盗した際、2塁に投球しようとした開星の捕手の前に、三振を喫した光星の打者が立ちふさがり、守備妨害となるシーンがあった。同様のシーンは、大会7日目(3月26日)の第3試合、2回戦の木更津総合―大阪桐蔭戦でも見られ、木更津総合の打者が守備妨害でアウトとなった。

こうした守備妨害などの反則行為で打者がアウトにされるのは、甲子園の高校野球では通常、1大会に1度あるかないかの珍しいプレーだ。当ブログ管理人は平日日中は仕事のため、甲子園大会をリアルタイムで観戦できるのは土曜、日曜、祝日に限られる。当ブログ管理人が観戦した日に限っても、今大会、東日本勢の随所にこうした巧拙以前の雑なプレー、対戦相手への敬意やフェアプレー精神に欠けるプレーが見られたことは、東日本勢のレベルが例年より低かったことを示す何よりの証拠である。勝つチーム、勝てなくても観客席のファンに爽やかな印象を残すチームは、ひとつひとつのプレーをていねいにこなすことから生まれる。守備妨害などの反則行為をしたチームは、心してていねいなプレーをするよう、チームを再建してほしい。

1~2回戦段階では、ロースコアの接戦が多かったが、一部に極端なワンサイドゲームもあった。ロースコアの試合が多かったことは、総じて、打撃力が完成されていないことを意味している。

今大会は、春の選抜としては好天に恵まれた。風の強い日、雨に見舞われた日もあったが、総じて日程消化は順調に進み、雨天順延は1試合もなかった。球児にとってはプレーしやすい環境だったといえよう。

当ブログの高校野球大会講評では、毎回、甲子園の中だけでなく、それを取り巻く社会情勢などにもコメントしている。高校野球大会も社会の一部であり、社会と遊離しては存在できないとの思いからだ。その中で、触れておかなければならない残念な出来事が今大会でも2つあった。

ひとつは、大会直前になって発覚したプロ野球での賭博問題だ。職業野球、商業野球と教育活動の一環としての高校野球ではそのあり方が異なるとはいえ、同じ「野球」という名称を使用している以上、プロ野球の影響は陰に陽に高校野球にも及ぶ。最初に賭博問題が発覚した巨人の球団編成代表が「お金をかけなければモチベーションが上がらない」などと賭博に関わった選手を擁護する発言をしていることも、一般社会の感覚とはかけ離れている。賭けた金額が少額であれば良いとの擁護論もあるが、日本の刑法は1円でも賭ければ賭博罪が成立することを規定しており、警察当局も賭け事をしないようたびたび呼びかけている。法律違反の賭博行為が蔓延するプロ野球界の実態もさることながら、選手も、球団上層部も、そして日本プロ野球機構も、ほとんど誰も責任を取らず、何食わぬ顔でシーズンに突入していくプロ野球界の腐敗に、そろそろ誰かがメスを入れる時期に来ていると思う。プロ野球界に自浄能力がないならば、当局にその解決を委ねることも今後は考えなければならないだろう。こうしたプロ野球の実態を見て、高校球児たちがどのように感じているのか気がかりだ。

もうひとつは、滋賀県議による滋賀学園の選手たちへの暴言事件だ。開会前の3月16日、激励会のために滋賀県庁を訪れた同校送迎バスの停車位置に激怒し、吉田清一滋賀県議が滋賀学園の選手たちに向かって「お前らなんか1回戦負けしろ」と暴言を吐いた問題だ。本人は「叱り方の一形態」だと弁明しているようだが、選手たちを成長させる上では何も好影響を与えない鬱憤晴らし的表現に過ぎないし、そもそも滋賀学園のバスがその場所に停車していたのは県教委の指示だったとする報道もある。全都道府県から代表校が送られる夏の大会ほどではないが、春の選抜も出場校は郷土代表であり、地元の人たちはそれを誇りに思っている。吉田県議は自民党会派所属だが、地元と郷土を何よりも重んじる保守政党の議員とは思えない。事実関係を確認もせず、短絡的に発言をする人物が地元政界にふさわしくないことは自明だ。

もともと滋賀県議会の自民党議員団は、嘉田由紀子前知事への対応をめぐって揺れた後、分裂騒動も起きた。嘉田知事の引退後は勢力を回復しつつあり、県議会のサイトを見ると、いつの間にか単独過半数に1議席足りないだけの最大会派に復帰。公明党県議団と合わせれば、中央の与党(自公)の枠組みで過半数を制している。嘉田知事与党だった地域政党「対話でつなごう滋賀の会」(対話の会)は2015年9月に解散、県議会の「対話の会」は民主党県議団と合流し、第2会派「チームしが」となっている。嘉田知事時代の苦しい状況から一転、県議会過半数に復帰できた現状が吉田県議の失言の背景にあるとしたら、中央での安倍政権と同じ「1強自民の緩み」を指摘しなければならない。

いずれにしても、今大会も終わりを告げた。球児たちにはまた打撃、守備、走塁の腕を磨き、甲子園のグランドに戻ってきてほしい。

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