人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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●管理人の寄稿
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ローカル鉄道に国・自治体・住民はどう向き合うべきか(月刊『住民と自治』 2022年8月号掲載)
核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

●安全問題研究会が、JRグループ再国有化をめざし日本鉄道公団法案を決定!

●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

郵政事業崩壊の実態

2011-02-28 21:23:19 | その他社会・時事
(この記事は、当ブログ管理人がインターネット新聞向けに執筆した原稿をそのまま掲載しています。)

●ある呆れた光景

 当研究会では、毎年、安全問題やローカル線問題を写真にした鉄道カレンダーを製作、限定発売している。2010年も年の瀬になり、2011年版の注文を受けた私は、カレンダーを郵送するため自宅近くの福島県内S郵便局に出かけた。今日は2010年12月23日(祝)。営業しているのは特定集配局(今もこういう言い方をするのかわからないが)であるこの局くらいだから、ここに来たのだが、郵政事業は本当に大丈夫なのかと思わされる出来事に遭遇したのはこのときのことである。

 郵便局に着くとすぐ、普段と様子が違うと思ったら、なんと「ゆうゆう窓口」待ちの行列が外まで延びている。東北地方の中でもここは関東に近いとはいうものの、やはり東北である。行列の中には子どもたちの姿もあり、5度を下回る気温の中、寒風に小さな身体を震わせながら順番を待っている。

 その列の一番後ろに回り、並ぶこと十数分。ようやく外から中に入れたと思ったら、そこには呆れた光景が展開していた。休日でも郵便や切手を取り扱ってもらえる「ゆうゆう窓口」には非正規従業員とおぼしき職員1人だけ。その1人が、行列に並んだ客の切手購入、不在中に届けられたゆうパックの受け取り、書留の差し出しといった様々な注文に応えながら、油で揚げられる天ぷらのように跳ね回っているのだ。

 たかだか切手ひとつ取り出して販売するのに2分も3分もかかる窓口職員の力量に問題があることはすぐに理解できたが、私はそれを問題にしたいのではない。行列となっている客のすぐ横に設置された年賀はがき販売ブースには、2人の局員(制服から判断する限りでは正規職員)が手持ち無沙汰で突っ立っているにもかかわらず、救いの手を差し伸べるでもなく事態を傍観している。そのうちの1人に至っては、私が行列に並んでいた30分ほどの間に二度も携帯電話の呼び出し音が鳴り、社用か私用かわからない電話をしている始末である。

 そのうち、待ちくたびれて業を煮やした行列の男性客が「2人で対応することはできないんですか!」と年賀はがきコーナーの局員に声を荒らげる場面があった。だが、年賀はがきコーナーの局員は悪びれる様子もなく「すみません、会社が違うんで」と弁解しただけ。その後も行列は延々と続いた。

 郵政民営化がこの事態を招いたなどと今さら説明するまでもない。3事業(郵便・貯金・保険)が一体運営だった公社時代なら、年賀はがきコーナーの職員は迷うことなく窓口職員を助けただろう。郵政がはじめから在野で創業された純然たる民間企業であったなら、「自分の仕事でなくても、同じ郵政グループの社員の手際が悪いせいで企業イメージが悪くなったら結局は自分たちの誇りにも傷がつく」と考え、年賀はがきコーナーの職員はやはり窓口職員を助けたに違いない。官のようなセクショナリズム・非効率と、民のようなコスト削減ありきの非正規化。目の前に展開されているのは、官と民の悪いところだけ貼り合わせたような、民営化企業によくある最悪の事態だった。

 この郵便局は、公社時代、週末・祝日は午後5時までゆうゆう窓口が開いていた。それが民営化後は午後1時までに短縮されてしまった。それ以降、窓口が営業しているわずかな時間に多くの利用客が集中するようになった。郵便局の窓口営業時間の短縮がこうした事態を招いた原因であることも指摘しておかなければならない。

 会津地方にある別の特定集配郵便局では、公社時代、郵便貯金のATMが週末は午後5時まで開いていたが今では午後3時で閉まってしまう。この地方では、郵便貯金と農協以外、ほとんど金融機関がないにもかかわらず、過疎地のお年寄りや社会的弱者へのインフラとしての郵便局の役割は投げ捨てられてしまった。

●崩壊する郵政は日本の縮図

 郵政は、2011年1月7日に開いた斉藤社長の記者会見で、社員の給与カットの方針を明らかにした。2010年9月期決算が928億円もの営業赤字となったというのだ。そのうち約400億円は、2010年7月の「ゆうパック大遅配騒動」で生じたものだという。

 ゆうパックはきちんと届かず、切手を買うのでさえ寒風吹きすさぶ東北の空の下、30分近くも待たされる。文句を言っても「会社が違いますから」と言われるだけ…。まともな神経を持った人間なら、二度と郵政なんて使うものかと思うだろう。現に、遅配騒動以降、我が家でも荷物の発送はすべてヤマト運輸を使っている。

 非正規職員がボロ雑巾のようになり、能力の何倍もの仕事を抱えて悲鳴を上げているのに正規職員が手持ち無沙汰にしている矛盾。会社分割、正規と非正規、コスト削減ありきの労働強化がもたらす矛盾。それにもかかわらず、「経営努力」をあざ笑うように顧客は流出していく。

 郵政の職場は今、労働者の権利と「ゲンバの力」が崩壊していく日本の縮図といえる。このままでは「郵政倒産」さえ現実になりかねない。多くの読者は一笑に付されるかもしれないが、JRや電力など、倒産しても他に受け皿がない独占事業と異なり、郵政にはヤマト運輸などのライバルがいて、いざとなれば郵政事業の受け皿になることもできる。金融事業だって受け皿はいくらでもある。倒産は決して絵空事ではないのだ。

 この悲劇は一体、いつになったら終わるのか。

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日本社会を滅亡に導くTPP~菅直人よ、ふざけるのもいい加減にせよ!

2011-02-25 22:34:26 | その他社会・時事
(当エントリは、当ブログ管理人が月刊誌に発表した原稿をそのまま掲載しています。)

 菅内閣は、昨年11月、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加に向け協議を始めるとの方針を閣議決定した。10月の菅首相の参加表明からわずか1ヶ月あまりでのスピード決定である。

 内閣改造では、TPPに積極的でなかった大畠章宏経産相を推進派の海江田万里に交代させ、菅首相は「平成の開国」などと異様にはしゃぎ回っている。

 しかし、TPPは経済界をぼろ儲けさせる「究極的自由貿易システム」として日本農業ばかりでなく、農村の生活と文化、さらには雇用も破壊する危険きわまりないものだ。

 ●TPPとはなにか?

 TPPは、シンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4ヶ国が2006年に発足させた環太平洋地域のEPA(経済連携協定)の一種である。その後、アメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが参加を表明し、拡大してきた。原則として全ての品目について関税を撤廃し、例外なく自由化に移行させる。他の貿易協定が重要品目については高関税を認めるなどの例外を含んでいるのに対し、TPPはそうした例外を一切認めない点に大きな違いがある。

 この時期になってTPPが浮上してきた背景には、WTO(世界貿易機関)の失敗がある。1995年に発足したWTOは、自由貿易によって損失を被る発展途上国の猛反発を受け、13年間の協議は決裂を繰り返した。そして、ついに2008年7月、最後の交渉といわれたドーハ・ラウンドも決裂、解体した。

 この失敗を打開し、よりいっそうの新自由主義を推し進めるため、経済界が持ち出してきたのがTPPなのだ。

 ●自給率は14%、失業者340万人

 TPP参加となった場合、最も深刻な影響を受けるのが農業である。現在、「重要品目」として自由化の例外となっている米は、700%を超える関税によって内外価格差を埋める措置がとられており、なんとか自給体制を維持している。農水省の試算によれば、TPP参加で食糧自給率(カロリーベース)は現在の40%から14%に低下。関連産業を含めた実質GDPは1・6%(7・9兆円)、雇用は340万人も減少する。

 それだけではない。この試算には、数字には現れない環境保全や保水などによる水害防止、地域社会の維持といった農業の「多面的機能」の価値は含まれていないのだ。こうした多面的機能は年間8兆円にもなる(日本学術会議による2001年の試算)。TPPはこうした多面的機能をも崩壊させる。雇用喪失もさらに大きなものになるかもしれない。

 農水省のこの試算発表に慌てた経済界の忠犬・経産省は、なんとかこれを否定するため「TPP参加でGDPは0.65%、3兆2000億円押し上げる」という試算を発表した。しかし、林業の前例を見れば、1955年時点で94.5%あった日本の木材自給率は、1964年に輸入が自由化されて以降、急激な低下が始まり、2004年には18.4%に低下した(林野庁「木材需給表」による)。日本がTPPに参加するなら、農業と食糧は木材と同じ運命をたどるに違いない。

●食糧危機前に自由化の愚

 世界的な干ばつにより20ヶ国が穀物輸出を禁止するなど深刻な不作に見舞われた2008年、小麦、トウモロコシなどの穀物が高騰し、日本でも小麦製品の値上げなどの大きな影響が出た。近年の環境破壊の進行に伴う異常気象のため、食糧危機の危険は以前よりも増大している。世界的食糧危機に適切に対処するには、各国が地理的・気候的条件に最も適した農産物をできる限り自給することが大切だ。

 日本のTPP参加はこれと全く逆の結果をもたらす。世界の食糧需給がひっ迫しているときに、日本の農業を解体させながら食糧危機と自給率低下が同時進行する。現在でも世界で約10億人が栄養不足に直面しているが、TPPは食料の収奪を強める先進国・多国籍資本によって、発展途上国の女性や子どもたちの飢餓を加速させるだろう。

 菅政権がTPP参加を打ち出した直後、2010年10月に内閣府が実施した「食糧供給に関する世論調査」によれば、「将来の食料輸入に不安がある」86%、「食糧自給率を高めるべきだ」91%という結果が示されている。菅政権のTPP参加は、こうした圧倒的民意を踏みにじるものだ。

 結局、TPPは政府によるあらゆる産業保護政策を撤廃させることで、弱肉強食の新自由主義を隅々まで貫徹させる「自由貿易協定の最終的形態」というべきものだ。

 農業に限らず、この協定が発効すれば、グローバル企業は安い原材料と人件費を求めて海外に移転し、いっそう多くの利益を得るようになる。先進国ではいっそうの失業と賃下げ、発展途上国においては環境破壊と先進国資本による経済的植民地化が推し進められ、労働者や社会的弱者は破滅の底に突き落とされる。

●一方的なマスコミ報道

 新自由主義を推し進めようとする政府・経済界の意を受けた商業メディアは、TPP参加に世論誘導するため、一方的な報道を繰り返している。「TPPに参加しないと日本は世界の孤児になる」などと恫喝し、国民を際限のない自由競争原理に従わせようとしているのだ。

 多くの商業メディアは、参加者が800人に過ぎない経済界主催のTPP推進の集会(2010年11月1日)は大々的に報道する一方、全国農業協同組合中央会(全中)と全国農業者農政運動組織連盟(全国農政連)が主催し、TPP反対を決議した全国集会(2010年10月19日)には、参加者が1000人だったにもかかわらず一言も触れなかった。経済界の利益のためならなりふり構わない、呆れた「偏向報道」といえるが、これには、TPPの真実が暴かれることに対する経済界の恐れも反映されている。

●燃え上がる反対

 メディアの一方的偏向報道とTPP推進キャンペーンにもかかわらず、TPP反対の声は急速に拡大している。2010年10月19日の全中、全国農政連主催の集会では「自由化と食料安全保障の両立は不可能だ」「TPP参加を検討すること自体が許せない」などと激しい反発の声が相次いだ。全中は、茂木守・会長名で「TPP交渉への参加には反対であり、絶対に認めることはできない。断固反対していく」とする談話を発表。11月10日、全中と全国漁業協同組合連合会(全漁連)が共催した集会は、農業者たちが会場の日比谷野音を埋め尽くした。

 全国の都道府県・政令指定都市66の議会のうち、46議会がすでにTPPに関する意見書を議決した。そのうち、北海道、沖縄県など14が反対、秋田県、神奈川県など32が「慎重な対応」を求めるもので、合計で7割に上る。和歌山県議会の意見書は、「1次産業は壊滅的ダメージを受け、関連産業は衰退し、地域経済は崩壊する」と指摘している。

 2011年1月18日、農水省が行った市町村長との意見交換では、TPP参加反対一色となった。水沼猛・北海道別海町長は、1次産業だけでなく、地域の商業や観光、建設業などもTPPに反対していることを報告した。加藤秀光・群馬県昭和村長は「TPP参加は、(農業を地域産業とする)村の将来ビジョンを根本から覆す」と反対姿勢を強調した。

 全国農業会議所は、TPP参加反対を訴える1000万人署名に2月から取り組むと発表した。

●途上国の市民と手を取り合って

 チュニジアのベンアリ政権崩壊に端を発した中東のドミノ革命はエジプトに波及し、1981年以来、30年続いたムバラク政権をなぎ倒した。商業メディアのほとんどは、一連の独裁体制崩壊の原因を「フェースブック革命」などとネットの普及に求めようとしている。もちろんそれもひとつの要素には違いないが、中東政変の背景には食料価格の高騰があることを指摘しておかなければならない。

 昨年11月頃から始まった食糧高騰によって、途上国の市民を中心に生活は苦しさを増す一方だった。そんな中、2010年末にチュニジアで若者の焼身自殺事件が起きた。チュニジアでは若者に職がなく、その若者も、野菜や果物を街頭で売り、1日わずか500円程度の収入を得てなんとかぎりぎりの生活をしていた。しかし、この若者の露店が無許可営業だったことから、警官が商売に必要な機材を押収し、「返してほしければ賄賂をよこせ」と要求したため、怒った若者がこの警官の目の前で自分の身体に火をつけたのだ。

 結局、この焼身自殺がネットを通じて市民の知るところとなり大規模な反政府デモに発展。ベンアリ大統領一家は国外に逃亡し政権は崩壊したが、こんな若者からさえ賄賂をむしり取るような政権は倒れて当然だろう。

 「日本農業新聞」も次のように報じている――『穀物をはじめとした世界の食料需給動向が、再び緊迫感を強めている。シカゴ穀物相場は、食料危機が叫ばれた2008年以来の高値水準に達した。国連食糧農業機関(FAO)の調査によると、世界の食料価格は08年水準をさらに上回り、2カ月連続で過去最高を更新した。世界の食料需給は高騰前の05年以前とは大きく変化し、逼迫(ひっぱく)、価格高止まりの様相を色濃くしている実態を直視しなければならない』(2011年2月9日付論説)。

 このような事態を迎えているときに、TPP参加を検討するよう指示した菅首相、「GDPの1.5%しかない農業のために他の98.5%が犠牲になっている」と発言した前原外相は、冗談抜きで一度病院に行った方がいいのではないか。

 元内閣府大臣政務官を務めた田村耕太郎氏は、最近の食料高騰について、米国FRB(連邦準備制度理事会;日本銀行に相当)が大量のドル紙幣を増刷してばらまいたため、余った投機マネーが食料に流れ込んだことが原因だと指摘する(日経ビジネスオンライン)。いま日本がなすべきことは、食料高騰に苦しめられている途上国の市民と手を取り合って、食料に流れ込んでいる投機マネーを規制し、食料品取引に秩序を取り戻すことだ。

●時代錯誤の経産省と経団連は博物館へ

 TPPに反対する闘いは、農業を「産業」とし、ビジネス=儲けの道具としか捉えてこなかった農政を民主化する闘いでもある。農業は有史以来、文化として地域社会と結びつき、健康で文化的な社会生活のあり方を規定してきた。人間が人間らしく生きるための社会基盤として、もう一度農業を国民の手に取り戻すことが必要である。

 時代の役目を終えたグローバリズムにしがみつくことでしか生きることができない経産省、経団連、自民党、民主党、みんなの党などの始末に困る粗大ゴミは、まとめて博物館にでも展示しておけばいい。

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JR不採用問題:国労組合員らが再雇用訴える

2011-02-24 23:32:43 | 鉄道・公共交通/交通政策
JR不採用問題:国労組合員らが再雇用訴える 国会内で(毎日新聞)

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 87年の国鉄分割・民営化に伴う国労組合員ら1047人のJR不採用問題で、不採用となった組合員らが24日、国会内で集会を開き、民主党などに対し、政治解決に盛り込まれた「JR各社などへの再雇用の要請」を訴えた。

 昨年4月、民主、社民、国民新、公明の各党は(1)旧国鉄側が総額約200億円の解決金を支払い、組合員側は全訴訟を取り下げる(2)政府はJR各社に55歳未満の200人程度の雇用を要請する--などの解決案を示し、政府、組合員側が受け入れた。組合員側によると、これまで政府は(2)については実現しておらず、JR各社も再雇用に否定的という。

 集会では、組合員から「解決案には菅首相(当時は財務相)も小沢(一郎)元代表(当時は幹事長)も署名した。ほごにしないで」などの声が出た。北海道・音威子府村の千葉真貴子さん(52)は「夫がJR北海道に戻ることは悲願」と訴えた。
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政治和解のきっかけとなったNHKの報道があってから1年が経った。時の流れの速さをつくづく感じる。

相変わらず、JR各社の態度はかたくなで状況は好転していないようだが、日本航空で労働法を無視した「国策解雇」が再び大手を振ってまかり通っている今、解雇を行う者たちに打撃を与える意味からも、1人でも多くの被解雇者をJRに戻せる闘いが求められている。

この闘いには、政府・JRの他にもうひとつ大きな「見えざる敵」がいる。それは「時間」だ。被解雇者の多くが60歳代あるいは50歳代後半を迎えている。4者・4団体指導部は、もう少し状況の厳しさを認識しなければならない。解雇がいかに不当であっても、JRはあと5年も粘り続ければ、被解雇者が解雇撤回を勝ち取ったとしてももう60歳を過ぎてしまい、職場復帰できなくなる。あとは適当に「手切れ金」を払って終わり、となりかねない。

内部でダラダラしているうちに事態を深刻化させてしまうのが国労のお家芸というか、ある意味文化のようになってしまっているが、被解雇者は高齢化しており、今までのようなダラダラ争議を続ける時間はない。4者・4団体指導部は腹を決めて、JR6社のどこでもいいから突破口をまず築いてほしい。そうすれば、あとはどこかの政治党派ではないが「一点突破・全面展開」の道が開かれるだろう。

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ムバラク政権崩壊…エジプト激動の2週間

2011-02-16 23:54:34 | その他社会・時事
エジプト、進化した蜂起の形(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース

後日アップ予定。

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【管理人より】カテゴリ再編のお知らせ

2011-02-16 23:44:28 | 運営方針・お知らせ
管理人よりお知らせです。

久しぶりにカテゴリ再編を行いましたのでお知らせします。

・廃止したカテゴリ
「鉄道(尼崎事故報告書問題)」

JR西日本による尼崎事故報告書の漏えい問題が、2009年秋の最終報告書とりまとめをもって区切りとなったことから、このカテゴリは役目を終えたものと判断し、廃止しました。このカテゴリに収められていた記事は「鉄道(安全問題)」カテゴリに移動しました。

ただし、今後も尼崎事故報告書の漏えい問題に関する過去記事を見たいという要望もあると思いますので、当ブログトップの「当サイトについて」にこの問題の過去記事をまとめたパンフレットをアップしました(PDF形式)。今後はこちらをご覧ください。(時折、パンフレットのPDFに飛べないことがありますが、この場合は「ブックマーク」から安全問題研究会サイトに飛んでいただくと、パンフレットを公開しています。)

・新設したカテゴリ
「鉄道(尼崎事故裁判)」

山崎正夫・JR西日本元社長の裁判が昨年末から始まっており、春からは検察審査会の2回の起訴議決を受けて強制起訴された歴代3社長の裁判も始まる予定になっています。これから、日航問題と並んで当ブログの最もホットな話題になるものと考え、専用カテゴリを設けました。山崎社長の裁判、3社長裁判とも原則としてこのカテゴリで取り扱います。

この結果、総カテゴリ数はこれまでと変わりません。

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食糧危機再び?~こんな時にTPP参加を熱望する最低の菅「無能政権」

2011-02-13 21:57:03 | その他社会・時事
食料高騰再び/世界の実態を直視せよ(日本農業新聞論説)

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 穀物をはじめとした世界の食料需給動向が、再び緊迫感を強めている。シカゴ穀物相場は、食料危機が叫ばれた2008年以来の高値水準に達した。国連食糧農業機関(FAO)の調査によると、世界の食料価格は08年水準をさらに上回り、2カ月連続で過去最高を更新した。世界の食料需給は高騰前の05年以前とは大きく変化し、逼迫(ひっぱく)、価格高止まりの様相を色濃くしている実態を直視しなければならない。

 食料価格高騰は、ロシアやオーストラリア西部の干ばつ、米国の大雨など、世界各地で起きた異常気象によるものが大きい。米国ではトウモロコシの収穫量が予想を下回り、年間の需要量に対する期末在庫量の比率(在庫率)は、過去2番目に低い水準になる見通しだ。

 シカゴ相場は昨年11月以降急騰。12月には、小麦が1ブッシェル(約27キロ)7ドル台後半、トウモロコシは同(約25キロ)6ドル前半、大豆は同(27キロ)13ドル超に達した。05年に比べると、小麦は2.5倍、トウモロコシは3倍、大豆は2倍の水準だ。2月に入っても高騰は続き、小麦は8ドル半ば、トウモロコシは6ドル後半、大豆は14ドルを突破した。

 この水準は今年の北半球での作柄が見通せる6月ごろまで続くとの見方が強い。仮に、今年も異常気象の影響を受ければ、さらに相場が上昇する可能性もある。先高感が強まれば投機資金がさらに流入し、価格を押し上げることも想定される。また、為替レートが08年当時のように1ドル100円を超える水準になれば、6割を輸入に頼る日本国内の食料品が値上がりし、国民生活に大きな影響を及ぼすことは必至だ。FAOが毎月発表する世界食料価格指数(02~04年を100)を見ると、昨年12月は215と、ついに08年6月の214の水準を超え、統計を取り始めた1990年以来の最高を更新。今年1月は231となり、2カ月連続で過去最高を更新した。

 食料価格の高騰は、チュニジア、エジプトなどの中東、北アフリカ各地で起きている市民デモや暴動が一因との見方も強い。ロシア産小麦が禁輸で手に入らなくなり、価格が高い米国産を買わざるを得ない状況にある。食料の高騰で、政治に対する国民の不満が一挙に噴出しているのだ。

 食料自給率が低く、経済がかつての勢いを失いつつある日本にとっても、この状況は対岸の火事では決してない。穀物自給率(07年)は28%で、世界177カ国・地域中124位。1億人以上の人口を抱える国で、50%を切っている国は日本以外にない。昨年3月に閣議決定した食料・農業・農村基本計画は、食料自給率目標50%を明記した。この目標を早期に実現し、国内生産を基本にした食料の安定確保を推進すべきだ。不安定感を増す世界的な食料需給情勢の中で、食料自給は政策的な重みをさらに増している。
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高騰する食料価格がついに2008年の水準を超えた。2008年といえば、燃料高騰と食料高騰のダブルパンチに見舞われ、国内では飼料価格の高騰に悲鳴を上げた畜産農家の廃業や、燃料高騰に怒った漁業者の「一斉休漁闘争」が起こった年だ。世界的な異常気象が背景にあるとはいえ、その水準さえ超えたというのだから、まさに異常事態である。

食料価格の高騰を「世界的な異常気象が原因」のひとことで片付け、物事の本質を見ようとしない(というより、支配層にとって都合が悪いので隠している)商業マスコミの報道にだまされてはならない。なぜならこの食糧高騰は一過性の現象ではなく、構造的なものだからだ。

2008年夏、レギュラーガソリンが1リットル180円に高騰し、小麦の価格も高騰してパンやパスタなどの価格が相次いで引き上げられた「悪夢の夏」をご記憶の方は多いだろう。この悪夢の夏が終わった直後にリーマン・ショックが訪れ、金融バブルが崩壊したのは決して偶然ではない。なぜなら両者はつながっているからだ。

安倍政権時代に内閣府大臣政務官を務めた田村耕太郎氏が、「FRB(米国連邦準備制度理事会)が大量に増刷してばらまいたドルが世界の商品市場に向かい、食糧価格を引き上げた」という興味深い論考を行っている(日経ビジネス)。田村氏は自民党と民主党を渡り歩くなど、政治的には評価に値する人物とは思わないが、この論考での指摘はきわめて的確である。

アメリカは強大な軍事力で戦後世界に君臨してきたが、一方ではベトナム戦争による大量のドル垂れ流しが原因でブレトン=ウッズ体制(金本位制)が崩壊するなど、戦争のたびに高い代償を支払ってきた。ベトナム戦争が終わって以降、イラク戦争までの間、アメリカ経済が小康状態を保っていられたのは大戦争を起こさなかったからである。アメリカは今回、アフガニスタン・イラクでの戦争によって再び高い代償を要求されている。この2つの戦争によって再びドルの大量垂れ流しが始まったことが、ドルの信認を大きく低下させ、基軸通貨を揺さぶっている。行き場がなく、さまよえるドルが投機先として向かった先が燃料、そして食料だった。2008年の燃料・食料のダブル高騰はこうした事態によって引き起こされたと見るべきである。だからこそ、この金融バブルが崩壊して燃料・食料の高騰が一段落した2008年秋に、リーマン・ショックが起きたのである。

こうして金融バブルは崩壊したが、アフガニスタン・イラク戦争によるドルの大量垂れ流しという現実がそれによって改善されたわけではなく、危機は依然として続いている。このところの食料の高騰は、迫り来る再度の危機の明らかな前兆である。これに、年明けからの中東ドミノ革命が追い打ちをかける。目ざとい投機筋はこの危機さえ利用して、石油でひと儲け企んでいるだろう。これから先、恐るべき燃料高騰が再び世界を襲うことは間違いない。

繰り返しておくが、これは構造的危機であり、異常気象による一過性の現象などでは決してない。こういう世界情勢の中、菅政権はTPPに参加して、生き馬の目を抜く投機の世界にのこのこと出て行こうとしている。ポリシーも物事の本質を見る目もない政権に、この世界的危機の時代の舵取りを任せるわけにはいかない。やはり菅政権には明日といわず、今日にでも退陣してもらうしかない。

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稲盛和夫・日航会長「160人を残すことは可能だった」と口滑らせる

2011-02-11 23:07:35 | 鉄道・公共交通/交通政策


稲盛和夫・日航会長による2月8日、日本記者クラブでの記者会見。ここで、仰天発言が飛び出した。

稲盛会長「(被解雇者)160人を残すことが経営上不可能かと言えばそうではないのはみなさんもお分かりになると思います、私もそう思います。しかし、一度約束をし、裁判所も債権者も、みんなが大変な犠牲を払って、これならよろしいと認めたことを、1年も経たないうちにですね、反故にしてしまう。いままで、JAL経営者というのは、すべてそうやって反故にしてきたと。そのために、信用ならないんだと言われ続けてきたと。(中略)一度(更生計画を)認めてもらったものを・・・(中略)やめるわけにはいかない」

この発言が収録されているのは、1時間08分12秒頃からである。日航トップみずから「整理解雇は不要だった」と認めてしまった。裁判所や債権者の手前、メンツでやってしまったということらしい。しかし、メンツで首切りされ、路頭に迷ってしまう160人にしてみればたまったものではない。

どうしても経費節減が必要なら、日航から月に580万円もの報酬を受け取っている片山英二・管財人、月に280万円もの報酬を受け取っている石嵜信憲・管財人代理がまず率先して報酬を返上してはどうか。彼らは日航のためを思い、熱い思いで再建を引き受けたのだから、それくらい簡単だろう。

首切りしたのが企業再生支援機構という国家権力だけに、裁判の行方を楽観はできない。しかし、この発言が整理解雇を巡る2労組(乗員組合・CCU)との裁判で会社側を一層苦しい立場に追い込んだことは確かだ。

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日航被解雇者ら、ILOに申し立て

2011-02-05 22:35:03 | 鉄道・公共交通/交通政策
整理解雇でILOに申し立て(毎日新聞)

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 経営再建中の日本航空が昨年末、実施した整理解雇について、日本航空キャビンクルーユニオン(CCU)と日本航空乗員組合が4日、政府への是正勧告を国際労働機関(ILO)に申し立てたことを明らかにした。

 申し立ては2日付。年齢を理由に解雇された客室乗務員のほとんどがCCUの組合員で、内田妙子CCU代表は「年齢の高い順に解雇したのは事実上、組合所属による差別待遇で、結社の自由や団結権の保護に関するILO87号条約に違反する」と主張している。

 このほか、会社側は解雇回避努力のため労働組合との協議を尽くさなかった▽日本航空の管財人・企業再生支援機構が整理解雇に対する争議権確立を妨害した--として、同98号条約に違反すると主張している。
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ちなみに、ILO87号条約、98号条約の内容をご紹介しておこう。

1948年の結社の自由及び団結権保護条約(第87号)

 労働者及び使用者は、事前の許可を受けないで、自ら選択する団体を設立し、加入することができる。労使団体(連合体も含む)は、規約を作り、完全な自由のもとにその代表者を選び、管理・活動を決めることができる。行政機関はこれらの権利を制限したり、その合法的な行使を妨げたり、また、労使団体を解散したり、活動を停止させたりしない。労使団体は以上の権利を行使するに際してはその国の法律を尊重しなくてはならない。他方、その国の法律は、この条約に規定する保障を害するようなものであってはならない。

1949年の団結権及び団体交渉権条約(第98号)

 労働者は、労働組合に加入しない、または労働組合から脱退することを雇用条件としたり、組合員であるという理由や労働時間外、または使用者の同意を得て労働時間中に、組合活動に参加したという理由などで解雇されたり、その他の不利益な取り扱いをされたりするような差別待遇から十分な保護を受ける。

 労働者団体及び使用者団体は、その設立・任務遂行・管理などに関して、それぞれ相互に、干渉を行うこと(直接・間接を問わず)がないように保護を受ける。特に、労働者団体を使用者またはその団体の支配の下に置くためにする行為(例えば、使用者またはその団体に支配される労働組合の設立促進・労働組合に対する経理上、その他の援助)に対する十分な保護をする。労使間の自主的交渉のための手続きの発達や利用の奨励のため、必要がある場合には国内事情に適する措置をとる。

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この条約は、もちろん日本も批准している。この内容を読めば、それ以上論評する必要はないであろう。日航の行った整理解雇は明白にこれら条約に違反する不当なものである。国際社会に積極的に訴え、国際機関の支持を取り付けるというのは、外圧に弱い日本で闘いを有利に進めるためには必要なことのひとつだろう。

この問題に関する当ブログの立場は、1月23日の安全問題研究会コメントのとおりである。

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可部線廃止区間一部復活へ JR線初の快挙

2011-02-04 23:27:50 | 鉄道・公共交通/交通政策
JR廃線、初の復活…広島市の可部線(読売新聞)

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広島市は、8年前に廃止されたJR可部線の可部―旧河戸間(安佐北区)約2キロを電化して復活させる方針を固めた。

 2011年度に着工、13年度の完成を目指し、JR西日本の事業化判断を待って運転を開始する見込み。国土交通省によると、廃止路線の復活はJRでは初という。

 市などによると、可部駅から西に延びる廃線敷を活用し、新駅は終点と中間の2駅を設置。この区間で1日平均約2000人の利用を見込んでいる。事業費の3分の1を国が負担し、残りを市とJR西で負担する方向で協議する。可部線は赤字のため、03年11月末、未電化区間の可部―旧三段峡(46・2キロ)間が廃止に。旧河戸駅周辺は商業施設や住宅地などの開発が進んでおり、住民から再開を望む声が上がっていた。市とJR西などは08年に協議会をつくり、10年2月、電化延伸案をまとめていた。
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2003年11月30日限りで廃止となった可部線の可部~三段峡間のうち、可部~河戸間が電化の上、既存の横川~可部間に接続する形で復活することになった。記事にもあるように、廃止されたJR線の復活は史上初めてであり、在来線に関しては久しぶりに明るいニュースである。

廃止された区間46.2kmに対し、復活する区間はたったの2kmに過ぎないが、当ブログはこれを無駄なことだとは思わない。在来線に関しては縮小・廃止しか考えていなかったJR、「儲かる区間は自分が取り、儲からない区間は地方移管」で23年間、地方に痛みを押しつけ続け、地域崩壊と「買い物難民」発生の主犯であり続けてきたJRに、初めて地域住民の意思を強制することができたのだ。鉄道史に燦然と輝く巨大な前進といえよう。

可部線の歴史は赤字との闘いでもあった。1968年、総裁の諮問を受けた「国鉄諮問委員会」が、歴史的使命を終えたローカル線として83線の廃止を答申した「赤字83線問題」が発生したとき、その1つに選定されたのが可部線だった。この答申には法的強制力がなかったため、実際に廃止されたのは15線にとどまり、可部線も生き残った。その後、国鉄再建法成立(1980年)に伴い、浜田(島根県)への延長を目指して進められていた工事は凍結となったが、可部線自体は特定地方交通線への選定は行われなかった。しかし、90年代末から可部~三段峡間46.2kmの廃止が表面化した。

沿線では、2003年の部分廃止後も、太田川流域鉄道再生協会による復活運動が2005年まで続いた。この団体が募集した復活費のカンパはわずか720万円しか集まらず、1両数億円といわれるレールバス購入費にさえ遠く及ばなかった。2005年、太田川流域鉄道再生協会は復活運動を中止、カンパを出資者に返還して解散したが、可部~河戸間だけは広島市街地の郊外への延伸に伴い、復活を求める運動が続いていた。

今回復活する可部~河戸間に関しては、2003年の部分廃止の際に、広島市とJR西日本との間で「いずれ復活させる」との密約が交わされていたと主張する声もある。しかし、たとえそのような密約が存在したとしても、地域住民の粘り強い運動なくして復活はあり得なかったに違いない。私たちは地域住民の運動を決して過小評価してはならないのである。

たとえ不採算であろうとも、公共交通として地域住民が必要だと判断するならそれは残らなければならないし、地域住民が復活を望むならそれは復活しなければならない。そんな当たり前のことが当たり前のこととして実現するまでに「民営化」から実に四半世紀もの時間を必要とした。そのような地域社会と公共交通の徹底的な破壊をもたらした国鉄「民営化」の本質をもう一度考え、公共の福祉に適合する新たな経営形態を確立する運動につなげなければならないと当ブログは考える。

今、政権交代への期待は急速に衰え、菅民主党政権は小泉・竹中ラインですら踏み込めなかった究極の市場原理主義へまっしぐらに突き進んでいる。国民の願いをかなえるためには、もはやこの内閣が倒れるまで徹底的に対決する以外にないというところまで来ている。そうした逆流の嵐の中で、市場原理主義の象徴だったJRに公共交通としての役割を強制した広島市民の運動はかけがえのない価値を持っている。それは、法人税減税と消費税増税、TPPによる農業・地域社会破壊へ突き進む菅政権に対し、地方から示された「明らかな回答」である。

さて、当ブログ管理人は鉄道ファンとして全国全線完全乗車に取り組んでいるが、完乗ルールでは廃止路線の復活は全く想定しておらず、可部~河戸間が復活した場合にこの区間を「乗り直し」の対象とすべきかどうか考えなければならない。すでに当ブログ管理人は部分廃止区間も含めた可部線全線に乗車しており、復活する区間がかつて廃止された区間の一部と完全に重複している以上、乗車記録の補正を行えば乗り直しの必要はないように思える。一方、復活区間を新規開業と考えるなら、乗り直しをすべきだという考えもまた説得力を持っている。

最終結論はいずれ出したいと思うが、JR史上初の廃止区間一部復活であり、復活区間とその沿線住民に謝意を示す必要があること、また復活区間に乗車しなかった場合、一定程度の鉄道ファン仲間から「全線完乗と認めない」という意見が出るおそれがあることを考慮すれば、将来は乗り直しに行くことになるだろう。

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東京メトロと都営、今回も結局統合見送り

2011-02-02 22:26:04 | 鉄道・公共交通/交通政策
東京メトロ・都営地下鉄、経営統合見送りへ

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 東京地下鉄(東京メトロ)と都営地下鉄の経営統合を協議してきた国土交通省と東京都などは、統合についての結論を見送り、乗り継ぎの際の利便化など、サービス改善を優先的に進める方針を固めた。

 今週中にも協議会を開催して正式合意する。都が「サービス改善の前提として必要」としてきた経営統合だが、都営地下鉄が多額の債務を抱えていることなど課題も多く、今後、さらに議論を進める。

 東京メトロ(9路線、1日の輸送人員630万人)と都営地下鉄(4路線、同230万人)の経営統合は、都側が「利用者の利便性向上」を理由に提案。東京メトロ半蔵門線と都営新宿線の九段下駅の両ホームが、壁を挟んで隣り合っている例を挙げ、「壁のせいで乗り換え客が迂回しなければならない。経営を一元化すれば、壁がなくなり便利になる」と主張した。
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戦後、GHQによる解体を免れた営団が再スタートし、営団・都営の二元体制となった敗戦直後から、営団・都営の統合話は幾度となく浮かんでは消えた。統合に反対し続けたのが運輸省~国土交通省だという点も相変わらずだ。これまでの経緯から考えてできるはずもないのに、また性懲りもなく持ち出してきたのかという気がする。

旧営団時代から東京都は45%を出資してきたこともあり、経営権を手に入れたいという願望は根強いようだが、財務諸表が真っ黒の東京メトロと、真っ赤な都営とではあまりに「格」が違いすぎ、どう見てもメトロによる都営の「救済合併」にしかならないことははっきりしている。都側が持ち出している「利便性向上」にしても、話が九段下駅のホームの壁ではあまりにショボ過ぎて話にならないし、壁がじゃまなら取り壊せばいいだけの話だ。それをいきなり経営統合に持って行くとは、あまりに論理が飛躍しすぎである。

とはいえ、都営が京急と京成を結んで空港間輸送のネットワークの一翼を担うなど重要な役割を果たしていることに変わりはない。東京都はまず、こうしたネットワークとしての利便性を生かせる分野でのサービス向上から始めるべきだと考えるが、いかがだろうか。

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