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「悪魔の兵器」クラスター爆弾製造企業に融資する悪徳日本企業はここだ!

2017-05-29 08:08:33 | その他社会・時事
すでにニュースが流れてから数日経っているが、このような情報が公になったのは今回が初めてのことだと思う。重要なことなので、ここに紹介しておきたい。

当ブログをご覧の皆さまは、ここに名前が挙がっている三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、オリックス、第一生命との付き合いは、極力控えることで抗議の意思を表明していただきたいと思う。また、できるだけこの情報を大勢の人に知らせていただきたい。

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クラスター爆弾の製造企業へ投融資 金融機関を発表(テレビ朝日)

「非人道兵器」と呼ばれるクラスター爆弾を製造する企業に対して、投融資を行っている世界各国の金融機関をNGO(非政府組織)団体が発表しました。

 調査・報告はオランダのNGOが行ったもので、クラスター爆弾を製造しているアメリカ、中国、韓国の6社に対して世界の金融機関が投融資を行っているか、あるいは禁止しているかなどがまとめられています。調査報告は、2013年から今年3月までに世界で166の金融機関が310億ドル、約3兆4000億円を投融資したことが明らかになったとしています。日本の金融機関では三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、オリックス、第一生命がリストに挙がっています。2010年に発効したクラスター爆弾の禁止条約は日本を含む101カ国が批准していますが、そのなかで、日本は製造企業へ投融資を行っている金融機関の数が最も多くなっています。投融資額は合わせて20億ドル、約2200億円に上るということです。報告書に挙がった4社は「個別の件についての回答は差し控える」としています。

 オランダの国際NGO、マイカ・ベネスさん:「クラスター爆弾は何百もの子爆弾を含む巨大な爆弾です。ほとんどの犠牲者は一般市民です。ですから、製造企業への投資は許されません。兵器製造に貢献することになるからです」

 クラスター爆弾は空中で容器が開いて広範囲に無数の小型爆弾をばらまき、無差別に市民を攻撃することから「非人道兵器」と呼ばれています。また、爆発しなかった小型爆弾は事実上の地雷となることから、戦争が終結しても多くの一般市民を巻き込みます。
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日本企業・GPIFがクラスター爆弾の製造企業に投融資 その背景は(Ameba Times)

■被害者は94%が民間人

 23日、"非人道兵器"といわれるクラスター爆弾を製造している企業に対し、日本企業が投融資をしていたことが明らかになった。

 調査したオランダのNGO団体によると、米中韓の6社に対し、2013年から今年3月までに世界で166の金融機関が310億ドル、およそ3兆4000億円を投融資したとされている。このうち日本企業は「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「三井住友フィナンシャル・グループ」「オリックス」「第一生命」の4社で、その投融資額はあわせて20億ドル、日本円でおよそ2200億円に上るという。

 同団体に所属しているマイカ・ベネス氏は「ほとんどの犠牲者は一般市民です。製造企業への投資は許されません。兵器製造に貢献することになるからです」と話す。

 クラスター爆弾は空中で容器が開き、広範囲に無数の小型爆弾をばらまくことで、地上の人々を無差別に殺傷することから"非人道兵器"と呼ばれる。統計によれば被害者の内訳は民間人が94%、戦闘員が3%、除去作業員が3%となっており、非戦闘員の被害者が非常に多いことがわかる。

■3社は「個別の件についての回答は差し控える」

 クラスター爆弾の非人道性を訴え続けている目加田説子氏(中央大学教授、地雷廃絶日本キャンペーン・JCBL理事)によると、投下されたもののうち、数%〜30%ほどが不発弾として残り、"地雷"として民間人、とくに子どもたちを傷つけてしまっている現実があるのだという。

 2010年に発効、すでに日本を含む101カ国が批准しているクラスター爆弾禁止条約(通称・オスロ条約)では、生産、貯蔵、使用、移譲を禁止しているほか、被害者本人だけでなくその家族や地域までも対象にした支援を義務として明文化。

 目加田氏によると、オスロ条約にはクラスター爆弾製造企業への投融資をしてはならないという明確な規定はないが、28カ国で禁止、法律で禁じているのが10カ国に上るという。

 今回、日本企業が投融資をしていたのがわかった企業は「テキストロン」「オービタルATK」の2社。どちらもクラスター爆弾製造以外にも、航空機やミサイルなどを幅広く手がけるメーカーだ(テキストロン社は去年、製造中止を発表)。

 経済ジャーナリストの川口一晃氏は、「融資」となっている「三菱UFJフィナンシャル・グループ」「三井住友フィナンシャル・グループ」の場合、クラスター爆弾製造とは別の事業に対して貸し出した可能性もあると指摘する。一方、「株式保有」の「オリックス」「第一生命」については、「第三者割当で買った場合、どの部門でもお金を使っても良いという判断をしたことになる。これだけ大きな投資額であれば、経営者も事業内容を把握しているはず」と話す。

 発表を受け、オリックスは「今後社内にて慎重に検討してまいります」とコメント、他3社は「個別の件についての回答は差し控える」としている。

■年金が兵器製造に?背景は

 今回の発表では、日本の公的年金を運用する「GPIF」も上記企業の株式を保有していることが明らかになった。

 GPIFとは年金積立金管理運用独立行政法人のことで、国民の年金積立金の管理・運用し、収益を挙げることで年金事業の安定を図っている。今回、問題となっている企業の株も、2015年度末時点でおよそ192万株保有しているが、実運用は委託先の金融機関に任されており、銘柄の選定も株式指数に基づいてほぼ自動的になされているのだという。

 GPIFを所管している厚生労働省の塩崎恭久大臣は会見で「政府やあるいはGPIFが特定の企業を投資対象としたり、逆に投資対象から外したりという指示はできない仕組みになっている。国民の皆さんからお預かりした大事な財産、資産でありますので、従来からこのような原則に従って、運用をしておりますので、この点は今後も守っていくべき」とコメントしている。

 目加田氏は「ノルウェーやスウェーデン、オランダは除外する企業をちゃんと選んでいる。とりわけ先進国ではESG投資と言って、環境、社会、統治に配慮した銘柄に投資していこうという動きがある」と指摘。日本でも議論がなされていくべきと訴えた。(AbemaTV/AbemaPrimeより)

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「国策に反対する者はバカで非常識」? パネリストの差別暴言でNUMO説明会紛糾~「非国民あぶり出し」の共謀罪体制が始まった

2017-05-28 21:23:35 | 原発問題/一般
「全国の原発から出る高レベル放射性廃棄物の“適正”な処分を推進する」という国・原子力ムラの政策に「理解」を求めるため行われているNUMO(原子力発電環境整備機構)主催の一般向け説明会。筆者も参加した「全国シンポジウム いま改めて考えよう地層処分」と題されたシンポ形式の説明会(5月27日、札幌会場)では、パネリストのひとりから恐るべき「差別暴言」が飛び出し、一時紛糾した。

NUMOは発言を陳謝したが、発言したパネリストは撤回せず、NUMO側は「(問題となった)資料はいったん保留としたい」としたものの、こちらも撤回表明はないまま、逃げるように立ち去った。福島第1原発事故以降、さんざん市民を欺き、ウソ、隠蔽、ごまかし、はぐらかし、脱原発を求める市民への誹謗中傷の限りを尽くしてきた原子力ムラのことだ。資料が「保留」となることで、このままこの許しがたい差別暴言がなかったことにされる恐れがある。誰かがこの事実を告発しなければならない。

前置きが長くなったが、発言はパネリストのひとりで、科学技術についての“対話”“情報提供”を目的としているNPO法人「パブリック・アウトリーチ」理事の木村浩から飛び出した。論より証拠だ。問題となった資料をご覧いただこう。

資料全体版(PDF、4.2MB)

●問題となった部分(4ページより抜粋)はこれだ


資料は、2014年に原子力文化財団が実施した調査結果をまとめたものである。原子力を推進する側にとっては確かに興味深い結果を示すものではあろう。木村はこの資料を説明。「自宅近隣に処分場計画されたら反対」の項目で、放射性廃棄物の処分に対する知識量が「高」の人より「中」の人の方に、また「最終処分場で大事故が起きないか心配」の項目で「高」より「中」「低」の人に反対が多かったことをやり玉に挙げ、「知識のない人による誤解が見られる」と発言した。

この発言に会場は一時騒然となった。発言の指名を受けた男性が「国策に反対するだけでこんなことを言われるのか。許せない」と怒りの発言をすると、「そうだ!」というヤジが飛んだ。木村はその後、「誤解があったとすれば申し訳ない。この会場におられる皆さまは社会性の高い方だと思っています」と「釈明」したが、この発言がさらに怒りを呼んだ。後列から、「そういう問題じゃないんだよ!」という声が確かに聞こえた。

筆者は、後方から聞こえたこの声に全面的に同意する。文字通りそういう問題ではない。政府や公的機関が、国の重要政策に関する一般市民向け説明会という公の場で、公然と市民をランク付けし、見下す言動をとること自体が差別なのだという「差別の基本」を、この木村なる人物はまったくわかっていない。

怒りの収まらなかった筆者は、「木村の発言は差別であり、撤回と謝罪を要求する」とアンケート用紙に記載して退場した。解散後も、メディアを相手に怒りを表明する参加者の姿があちこちに見られた。

筆者はNUMOの説明会に過去2回参加し、2回とも指名されている。前回、2016年11月の説明会では、「この説明会をなぜ福島で開催しないのか。事故の最大の被害者である福島県民の中に飛び込みもしないで何が対話活動か」と資源エネルギー庁・NUMO側を質した。これに対する回答は「仙台では開催しており、福島からも多くの方の参加をいただいている。処分地が正式に決まったら改めて福島を含め、各地で説明させていただく」というものであった。

この回答に筆者は納得していないが、再質問を認めない形式でありそれ以上の追及はできなかった。今回の説明会も、全国9会場に福島は含まれておらず、指名を受ければ改めてこの点を質す予定にしていた。原発事故の最大の被害者である福島県民の中に飛び込み、対話し、寄り添う姿勢もなく、「言いたいことがあるなら仙台まで来い」という「対話活動」で、放射性廃棄物の処分に対する国民の理解が得られるとは思わない。

この説明会は、今後、高松(6/3)、仙台(6/4)、名古屋(6/11)、広島(6/17)、大阪(6/18)の5会場が残されている。もしこの記事をお読みの方で、参加予定の方がいるなら、このような不見識極まるパネリストを徹底的に追及してほしい。

そもそも、木村の所属する「パブリック・アウトリーチ」なるNPO法人は福島原発事故後に設立されている。研究員は木村含め2名いるが、驚くことに、もうひとりはあの斑目春樹氏だ。3.11当時、内閣府原子力安全委員長だった斑目氏は事故に対して何ら有効な手が打てないまま、支離滅裂な言動を繰り返し、インターネットを中心に「デタラメハルキ」と呼ばれたことをご記憶の方も多いだろう。現在は、漫画で原子力に関する情報発信を行っている。漫画がすべて悪いなどと言うつもりはないが、事故当時、国の原子力政策の中心にあり、事故の被害を拡大させた最高責任者のひとりでもある斑目氏が採るべき手法でないことは明らかだ。このような人物を「対話と理解活動」の中心に据えていること自体、「御用NPO」の思慮の浅さを物語っている。

パブリック・アウトリーチでは、このほかにも関村直人のような許しがたい原発御用学者が理事を務めている。関村は、東日本大震災発生翌日の2011年3月12日に出演したNHKで、1号機の原発建屋が水素爆発する映像を見た直後、「爆破弁の操作」によるベントであり問題はないという、歴史に残る「迷解説」で御用学者の地位を確固たるものにした人物だ。その後、原発メーカー・電力関連企業から学者への献金としては最高額となる研究費、計3277万円を受領していたことも判明。献金していたのは三菱重工業と電力関係団体の電力中央研究所だ(関連記事)。学者として最高額の献金を受け取った御用学者が、支離滅裂の珍解説をしてまで原子力ムラを必死に擁護しようとしていたことを、筆者は決して忘れていない。

同時に、今回の木村の発言を聞いて、共謀罪法案の成立を先取りした「非国民あぶり出し」政策がいよいよ始まったことを肌で感じた。政府がみずからは手を汚さず御用NPOを先兵にしていることも、町内会や隣組を使って非国民をあぶり出した戦前を想起させる。人権を蹂躙し、生命を危険にさらす国策に対し「黙らない」「屈しない」「あきらめない」の姿勢が今後はますます重要になるだろう。

一方で、今回の説明会では、資源エネ庁・NUMO側の「覇気のなさ」が印象に残った。前々回、15年10月に開催された説明会で、「放射性廃棄物の地層処分をやめ、暫定保管に切り替えるべきとした提言を日本学術会議から受け取った、当時の内閣府原子力委員会委員長・近藤駿介氏が地層処分を前提としたNUMOの理事長に就任しているのを見ると、日本学術会議の提言を軽視しているとしか思えない。この人事をどう考えているのか」と質した筆者に対し、「近藤氏は能力・見識ともにこの問題にふさわしいと考えて起用した」としてこれを一蹴したエネ庁・NUMO側の自信は失せ、説明の際の声も心なしか当時より小さかったように思えた。

かつて、放射性廃棄物処分地選定のためのボーリング調査に応じただけで20億円が交付されるという、究極の「札ビラ民主主義」政策を全国の地方自治体に示したにもかかわらず、応募はどこからも現れなかった。福島第1原発事故の発生を受けて、菅民主党政権によって内閣官房参与に起用された田坂広志・多摩大学教授は原発推進派だったが、高レベル放射性廃棄物の処分地が決まらないまま推移すれば、あと6年で日本中の原発の使用済み燃料プールがいっぱいになり、運転が継続できなくなるとする見通しを公表。脱原発に転換するよう訴えてきた。推進派の学者でも、事実ときちんと向き合う人の中からこのような人も現れている。

エネ庁・NUMO側を意気消沈させた原因が、昨年秋の高速増殖炉「もんじゅ」の廃炉決定にあることは疑いがない。高レベル放射性廃棄物の処分地が未だ決まらない上に、かすかな期待をかけていた「再処理」と核燃料サイクルも崩壊に追い込まれた。政府の方針と違うことを口にできない立場ながら、彼らも薄々は気づいているのだろう。「もはや日本の原発に明日はない」という現実に――。

高レベル放射性廃棄物の処分地を決めるため、これまでひたすら平身低頭を装いながら(実際には平身低頭でなく慇懃無礼だが)「ご説明」を続けてきたエネ庁・NUMOはついに今回、馬脚を現した。この醜態を見て、彼らの「対話活動」が実る日は永久に来ないと確信した。田坂氏の描いたシナリオ通り、あふれかえる使用済み核燃料の持ち出し先がなくなり、日本の原発が次々と停止に追い込まれてゆく未来が、筆者の中で急速に現実味を帯びてきた。筆者は断言しよう――「日本の原発は必ず止まる。脱原発の未来は明るい」と。子どもたちから健康な生活と未来を奪い去る忌まわしい原発がなくなるなら、私は、「国策に反対する非常識なバカ」の汚名を着せられてもかまわない。これからも、子どもたちの未来を切り開く正しい非国民でありたい。

(文責・黒鉄好)

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国鉄分割民営化から30年~今、改めて「改革」を検証する

2017-05-25 22:51:48 | 鉄道・公共交通/交通政策
(当エントリは、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」2017年6月号に発表した原稿をそのまま掲載しています。なお、当エントリは「原稿アーカイブ」ではなく、「鉄道・公共交通政策」カテゴリで掲載することとしました。)


 国鉄を民営7社に分割する1987年4月1日の国鉄「改革」から30年を迎えた。国は、本州3社が莫大な利益を上げていることを理由に、相変わらず民営化成功神話を振りまいているが、30年を経たJRグループの現状はどうなっているのか検証する。

 ●徹底した労働者いじめと「全員解雇・選別採用」

 「国労が崩壊すれば総評も崩壊することを明確に意識してやったわけです」。

 1996年12月、分割民営化を実行した中曽根康弘元首相が雑誌の取材に対しこう答えている。特定の労働組合を狙い撃ちした解雇は昔も今もあらゆる労働法令を踏みにじる不当労働行為だ。にもかかわらず、中曽根は違法行為という認識もなく、白昼公然と首切りを自慢している。分割民営化に反対する国労(国鉄労働組合)の労働者らを「人材活用センター」と称する労働者いじめ組織に送り込む。草むしりなど鉄道と無関係な仕事をさせ、労働者から鉄道員としての誇りを奪う。いったん全員を解雇し、会社への「忠誠」を誓った者だけを選別して新会社に採用する――国鉄分割民営化は最初から国家的不当労働行為のオンパレードだった。JR本州3社は労働者を減らしすぎ、発足当初から定員割れで発足。解雇し国鉄清算事業団に送ったはずの国労組合員らを採用せざるを得なかったのは皮肉というほかない。

 この間自殺に追い込まれた国鉄労働者は少なく見積もっても100人を超えた。物言う労働組合は解体され、日本の全労働者を「賃金定額制使い放題」のどん底に追い込む新自由主義「構造改革」のきっかけとなった。

 国鉄職員全員をいったん解雇、国鉄清算事業団に移籍させた後、国鉄当局が事前に新会社の採用候補者名簿に掲載した者だけを「選別」して新会社に採用する――国鉄改革法23条に巧妙に盛り込まれた「全員解雇・選別採用」方式は、裁判所から国鉄総裁室法務課調査役に「出向」していた江見弘武判事が考案したものだったことが後に突き止められた(注1)。国鉄「改革」関連法案が1986年11月28日、参院本会議で可決・成立する際には、「各旅客鉄道株式会社等における職員の採用基準及び選定方法については、客観的かつ公正なものとするよう配慮するとともに、本人の希望を尊重し、所属労働組合等による差別等が行われることのないよう特段の留意をすること」とする附帯決議が採択されたが、気休めにもならなかった。この「全員解雇・選別採用」方式はその後の社会保険庁、JAL(日本航空)の不当解雇でも繰り返された。

 被解雇者がJRを訴えた解雇撤回訴訟は、最高裁で5人の裁判官の評決が3対2となる僅差で惜しくも敗訴した。国鉄を法的に継承したのは国鉄清算事業団であり、JR「新会社」は新規に設立されたものであるから国鉄とは無関係で責任はない、とする国鉄改革法の条文によって被解雇者はJRへの復職を阻まれた。それでも裁判長を初めとする2裁判官は「国鉄の鉄道業務を実質的に引き継いだのはJR各社なのに、その責任をJRが負わないでよいとする論理はおかしい」としてJRの責任を認めた。JRの責任がないとした3裁判官も、国鉄清算事業団は責任を免れないと異例の言及をした。

 それならば、と被解雇者らは国鉄清算事業団を引き継いだ日本鉄道建設公団を相手に解雇撤回を求める裁判を起こした(鉄建公団訴訟・鉄道運輸機構訴訟)。分割民営化に賛成・協力した組合と、反対・非協力だった組合の間にあまりに大きな新会社採用率の差があるのを裁判所も不審に思ったようだ。2008年6月2日、筆者が仕事を休んでまで傍聴した鉄建公団訴訟控訴審(東京高裁)での証人尋問では、元国鉄職員局で職員の新会社採用業務を担当していた葛西敬之証人(現・JR東海代表取締役名誉会長)に対し、裁判官が次のように尋ねた。

 「JR九州について見ると、〔分割民営化賛成の〕鉄労、動労の採用率は100%で、〔反対の〕国労は40%であるが、これはどのように理解したらいいのか」。

 この質問に対し、葛西は「国労組合員には様々な規律違反や、妨害行為などがあったため、そのようになったと認識している」としらばっくれ、組合差別を否定した。「本人の知識、技能、適性等を総合的に評価して、本当にこれほどの差になると証人は思っているのか」との裁判官の追加質問にも、葛西は「そう思っている」と平然と証言した。

 結局、この裁判では、原告1人当たり500万円の支払いを命じた1審判決が維持された。裁判所は葛西の「組合差別否定」を信用せず、事実に基づいて組合による採用差別があったことを認めた。

 ●凄まじい会社間格差

 民営化初年度(1987年度)決算で、JR7社の営業収入全体に占めるJR北海道の割合はわずかに2・5%。JR北海道全体の営業収入(919億円)は東京駅の収入(約1000億円)より少なく、JR東日本1社だけでJR7社の営業収入の43・1%を占めていた。

 この経営格差は、30年を経てさらに拡大している。JR東海の鉄道事業営業収益は5556億円であるのに対し、JR北海道はマイナス483億円。3島会社とJR貨物を合わせた4社の営業損失は741億円だが、本州3社で最も収益構造が脆弱なJR西日本でさえ1242億円と4社合計の営業損失を大幅に上回る営業収益を上げている。これは、3島+貨物の全体をJR西日本だけで救済でき、お釣りが来ることを示している。30年で強い会社はより強く、弱い会社はより弱くなった。

 この凄まじい格差の象徴がJR北海道だ。2016年11月、島田修社長が記者会見し、全路線の営業キロの半分に当たる1200キロメートルが同社の「単独では維持できない」と発表した。分割民営化に伴って全営業キロの3分の1が廃止となった北海道で、今また残った路線の半分が切り捨てられようとしている。

 北海道では、存続している路線でも駅無人化、減便などの徹底的な合理化が進む。JRの減便で沿線の高校では部活動はもちろん、授業もまともに成立しないケースも出ている。病気の人や高齢者が通院さえあきらめざるを得ない深刻な事態も各所で起きている。廃線が提案された路線の沿線では「JRがなくなったら北海道から出て行かざるを得ない」という住民もいる。地域にとって最後の公共交通であるJRの廃線は、地域社会を崩壊に追い込むものであり、認めることはできない。

 ●北海道に次ぎ四国でも

 JR四国でも、会社側が路線別の収支を公表する構えを見せている。北海道に続きローカル線廃止が問題になるのは確実だ。

 2月8日の衆院予算委では、麻生太郎副総理兼財務相が「7分割して黒字になるか。なるのは(本州の)3つと当時からみんな言っていた。根本に手を付けずに解決するのは無理」と答弁するなど、自民党内からさえ分割民営化の誤りを認める発言が出ている。だが政府与党は分割民営化は成功との立場を崩さず、具体的な見直しには言及しない。環境破壊をもたらすだけのリニア新幹線に投入する3兆円の予算があるなら、JRローカル線の救済と分割民営化の見直しにこそ配分すべきだ。

 国民の公共交通であった国鉄を解体し、新自由主義を社会の隅々にまで浸透させ、労働者、乗客・利用者、地方にすべての犠牲を押しつけ、利益はJR株主・経営者と財界が総取りしてきた「犠牲のシステム」。これこそ30年を通じて見えてきたJRの真実だ。


分割民営化直前、自民党が新聞各紙に掲載した意見広告。「ローカル線もなくなりません」「ブルートレインなど長距離列車もなくなりません」の約束は破られた

 ●矛盾集中した西日本

 安全問題に話を移そう。国鉄分割民営化後、JRが関係する乗客死亡事故は4件発生している。中央線東中野駅事故(1988年、死者2名)、信楽高原鉄道事故(1991年、死者42名)、尼崎脱線事故(2005年、死者107名)、そして羽越線列車転覆事故(2005年、死者5名)だ。事故の件数、死者数いずれを見てもJR西日本が圧倒的に多い。

 信楽高原鉄道は、国鉄再建法に基づく第1次特定地方交通線、信楽線を転換した第三セクター鉄道だ。14・8キロメートルの全線に行き違いのできる設備はなく、1本の列車が往復するだけのミニ鉄道は、91年に開催された「世界陶芸祭」で一変。JR西日本からの臨時直通列車を運転させることになり、すれ違いができる設備(小野谷信号場)を途中区間に設けた。だが、信号設備の設置にミスがあり、上下列車が正面衝突する大惨事を招いた。

 この事故では、遺族への補償金32億円をJR西日本と信楽高原鉄道が折半して支払ったが、JR西日本は「赤信号のまま列車を発車させた信楽高原鉄道に事故の責任がある」として民事調停を提起。訴訟までちらつかせながら賠償負担を信楽高原鉄道に押しつけようとした。

 赤字線として一度は切り捨てたはずの信楽線を金儲けイベントの時だけ徹底的に利用し、事故が起きると責任・賠償から逃れようとしたJR西日本の姿勢は断じて許されない。

 ●「稼ぐ」が方針 「株式会社としてのあるべき姿」でむき出しの利益優先経営に

 「株式会社としてきちんとした経営をやった方が利用者や株主のためになるというあるべき姿を示すことが大切。今世紀中には何とか完全民営化が実現するとみている」。

 民営化後、JR西日本の第2代社長として新会社を「軌道に乗せた」井手正敬氏から経営を引き継いだ南谷昌二郎社長(当時)が1997年7月、このように述べている。当時、京都新聞で連載されていた企業経営者のインタビュー特集「私の経営論」でのことだ。信楽高原鉄道事故からわずか6年、事故遺族の心の傷もまだ癒えない時期に、南谷氏は株式会社としてのきちんとした経営(別の言葉で言い換えるならば利益最優先の経営)こそがあるべき姿だと言い切ったのだ。

 当然、そのようなトップの下で、信楽事故の反省をしないJR西日本ではその後も事故が続発する。2002年には、列車にはねられ負傷した中学生を救助するため線路内にいた救急隊員が別の列車にひかれる事故が発生。2005年4月には、ついにJR最大の悲劇となる尼崎脱線事故が起きた。

 この事故は、塚口~尼崎間で、制限速度70キロメートルの急カーブを120キロメートル近い速度で通過した速度超過が主因とされた。違反を起こした運転士を運転業務から外し、1日中反省文を書かせるなどの懲罰的「日勤教育」が、労働者締め付けとしてクローズアップされ、JR西日本は再び批判を浴びた。

 JR西日本は、事故が起きた2005(平成17)年度の大阪支社長方針のトップに「稼ぐ」を掲げていた。安全のためであっても、労働者が列車を遅らせたり止めたりすれば懲罰的日勤教育を受けさせられる。乗客・労働者の生命より金儲け優先の企業体質が事故を招いたことは明らかだ。

 この方針を決めた事故当時の責任者、橋本光人大阪支社長は、引責辞任したように見せかけながら、事故からわずか1年後の2006年7月には子会社「JRサービスネット金沢」の専務として天下り。JR西日本役員が国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(事故調、現在の運輸安全委員会)の委員に接触、最終報告書案を事前に聞き出そうとする「事件」も2009年に起きている。尼崎事故遺族から「反省が全く感じられない」との声が上がったのは当然だ。


尼崎事故が起きた2005年度の大阪支社長方針。「稼ぐ」がトップだ

 同じ年に起きたJR東日本の羽越線列車転覆事故は、暴風警報が発令されるほどの状況で、減速もせず列車を100キロメートル近い高速で走らせたことが原因とされた。JR東日本では、強風で危険と判断される場合に列車を止める権限が現地の駅長に与えられていたが、事故直前の2002年、この権限を奪う運転規則の改悪を実施する。尼崎事故の教訓は生かされなかった。

 2011年には、JR北海道の石勝線のトンネル内で特急列車が出火、全焼する事故が発生。奇跡的に死者が出なかったが、JR北海道の経営危機を受けて社内に設けられた「JR北海道再生推進会議」は、民営化後30年間、JR北海道が安全投資に回すべき費用を、高速バスや航空機との競争のため高速化に充てていたことを認めた。

 JR史上最悪の悲劇となった尼崎脱線事故では、兵庫県警が業務上過失致死傷容疑でJR本社などを強制捜査。2009年、神戸地検は事故当時の本社安全本部長だった山崎正夫社長を起訴。同じ年に導入された強制起訴制度(注2)に基づいて、事故遺族が行った告訴・告発を受け、2010年3月、神戸第1検察審査会は井手、南谷両氏に垣内剛氏を加えた歴代3人の社長を「起訴相当」とする2回目の議決を公表。3社長は強制起訴制度の適用を受けることになった。国鉄を分割して生まれた「国策企業」JR西日本は、神戸地検に起訴された山崎氏と合わせ、第2代から第5代までの4社長が揃って刑事被告人となるという前代未聞の事態を迎えることになった。

 JR西日本社長の裁判は、山崎氏が1審・神戸地裁で無罪、検察側の控訴断念で確定する。検察審査会の議決によって強制起訴となった3社長は1審・神戸地裁、控訴審・大阪高裁がいずれも無罪となり、現在、検察官役の指定弁護士が上告し最高裁で係争中だ。事故の予見可能性を指定弁護士側が証明しなければならないことに加え、「疑わしきは被告人の利益に」(最高裁白鳥決定)の原則が「社会的強者」である企業の犯罪にも適用される刑事裁判の困難さも浮き彫りになった。だが、たび重なる事故とローカル線切り捨てによってJR民営7社体制は今や風前の灯火に見える。今後の裁判の行方はなお予断を許さないが、どのような判決になるとしても、私たちが国鉄分割民営化について「失敗」との結論を変える必要性はないであろう。

 ●JRだけの責任か?

 安全向上のためJRを指導する立場にありながら、国は数々の安全規制を緩和した。特に2002年の「改正」では省令からほとんどの数値規制がなくなり行政通達に「格下げ」。安全確保も国の責務から鉄道会社の「企業努力」に格下げされた。こうした国の姿勢もJRの暴走の背景にある。国の責任も重大だ。

 利益のために民営化・規制緩和を推進する新自由主義政策では生命も安全も地域公共交通も守れない。新自由主義を葬り去り、真の「公共交通」を復権させることが必要――JR30年の歴史から私たちが汲み取るべき教訓だ。

注1)ついでに述べておくと、江見弘武はこの「功績」が認められ、裁判官を退官後は葛西が支配するJR東海の常勤監査役に「天下り」している。2016年現在も常勤監査役を継続中(参考:JR東海サイト「役員体制」より)。

注2)起訴議決制度 司法制度改革の一環として裁判員制度と同時に導入された。検察が不起訴とした事件について、被害者や第三者による審査申し立てを受け、検察審査会が審査。起訴相当との議決後、検察が再び不起訴とした場合には検察審査会が再審査。再び「起訴相当」の議決が出た場合、被審査対象者は強制的に起訴される。起訴後は裁判所の指定した弁護士が検察官としての職務を行い、有罪の立証、論告、求刑などの訴訟事務を行う。

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強制起訴された元東電経営陣の初公判、6月30日に決定

2017-05-24 23:59:40 | 原発問題/一般
東電元会長ら、6月30日初公判 原発事故巡り強制起訴(朝日)

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 2011年に起きた東京電力福島第一原発事故をめぐり、検察審査会の議決を受けて業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電元会長の勝俣恒久被告(77)ら元幹部3人について、東京地裁(永渕健一裁判長)は24日、6月30日に初公判を開くことを決めた。

 ほかに強制起訴されているのは、いずれも元副社長で原子力部門のトップだった武藤栄被告(66)と武黒一郎被告(71)。震災当時に東電幹部が、原発を襲う巨大な津波の発生を予見できたかや、対策をしていれば事故が防げたのかが主な争点になる。

 起訴状によると、元幹部3人は、巨大な津波による重大事故の発生が予見できたのに対策を怠り、11年3月の東日本大震災で10メートル超の津波に襲われて原発の建屋が浸水し、炉心損傷などの事故を起こして、近隣病院の入院患者を避難中に死亡させるなどしたとされる。

 元幹部3人の刑事責任をめぐっては、検察が2度にわたって不起訴処分とし、15年に市民でつくる検察審査会が2度目の「起訴相当」を議決。検察官役の指定弁護士が16年2月に強制起訴した。(志村英司)
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検察審査会の2度にわたる「起訴相当」議決によって強制起訴となった元東電経営陣3被告の刑事裁判。初公判がいよいよ6月30日に東京地裁で開催されることが決まった。3被告とその弁護側の猛烈な抵抗と遅延戦術により、これまで公判前整理手続ばかりが延々と続いてきた刑事訴訟がいよいよ動き出す。

なお、この初公判決定を受け、福島原発刑事訴訟支援団の佐藤和良団長のコメントが発表された。その全文は以下の通りである。当ブログは、この支援団のメンバーとして、今後も訴訟の行方を注視するとともに、必要な支援を行っていく。

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福島原発刑事訴訟支援団 団長コメント

初公判が決まった! 今こそ支援団に結集し、福島原発事故の原因と刑事責任を明らかにしよう!

ようやく、東京電力福島第一原発事故の刑事裁判の初公判が決まりました。

東京地裁刑事4部(永淵健一裁判長)は、5月24日、第1回公判期日を6月30日10時、東京地裁104号法廷と指定しました。

思えば、あの2011年3月11日の福島第一原発事故から6年、福島原発告訴団14,716人の集団告訴から5年、昨年2月の検察官役の指定弁護士による勝俣恒久元東京電力会長ら3名の強制起訴から1年が過ぎました。

福島原発刑事訴訟支援団は、昨年1月の結成以来、「一日も早く裁判を!」と東京地裁刑事4部に、公正かつ早期の公判開始を申し入れ、東京地裁前の要請行動を続けてきました。厳しい現実にあきらめず、みんなで、ここまできたのです。

翻って、未だ政府の原子力緊急事態宣言は解除されず、なおも10万余の人々がふるさとを追われ、長期の低線量被曝の受忍の強制の中で、生存権を脅かす福島第一原発事故の深刻かつ甚大な被害に苦しんでいます。

福島第一原発事故の原因究明と東京電力旧経営陣の刑事責任を明らかにして、真の被害者救済の道を開くために、私たちは東京地裁が公正な訴訟指揮と公正な裁判を行うよう、あらためて求めます。

6月6日の第四回目の公判前整理手続きにあわせ、東京地裁への要請行動を行います。そして、6月30日の初公判には、万余の人々で東京地裁を埋めましょう。みなさまのご参集を呼びかけます。一緒に声をあげ続けましょう。

2017年5月24日 福島原発刑事訴訟支援団 団長 佐藤和良

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【管理人よりお知らせ】安全問題研究会サイトに「オープンアクセス制導入の提案」について掲載しました

2017-05-21 13:16:52 | 鉄道・公共交通/交通政策
管理人よりお知らせです。

安全問題研究会サイトに「オープンアクセス制導入の提案」についての資料を掲載しました。

JR北海道は、路線維持にまったくやる気を見せず、儲ける気もありません。ローカル線問題が深刻化して以降、北海道ではコスト削減と「下」をどうするかの議論ばかり続き、増収策と「上」をどうするかの議論は皆無の状況でした。

しかし、こんな疑問を感じないでしょうか。「JR他社も私鉄も、それどころか国鉄が見捨てた路線を引き継いだ転換三セクでさえ、大部分が上下一体のまま経営できているのに、なぜJR北海道にだけそれができないのだろうか」と。

この提案は、JR北海道が適正な利益を確保することを通じて鉄路維持につなげるための増収策について、真剣に考えたものです。なお、以下の資料2では、旧国鉄の経営破たんの原因についても分析しています。

安全問題研究会サイト内「深刻化するJRローカル線問題」コーナーからも見ることができますが、資料を直接見るには以下のリンクをクリックしてください。いずれもPDF版です。

◆資料1:北海道の鉄道の「未来」に向けて~上下分離+オープンアクセス方式の提案~

◆資料2:国鉄破たんの原因とJR北海道の現状分析~オープンアクセス制の提起に当たって~

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法令違反で書類送検された「ブラック企業」一覧を晒し上げます

2017-05-10 23:47:46 | その他社会・時事
<厚労省>書類送検“ブラック企業”334件 HPに初公表(毎日)

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 厚生労働省は10日、労働基準関係法令に違反したとして最近半年間に書類送検し、社名を公表した全国334件の一覧表を初めて作成し、同省ホームページ(HP)に掲載した。

 昨年末に発表した「過労死等ゼロ」緊急対策の一環で、担当者は「一覧表にすることで社会に警鐘を鳴らす狙いがある」と説明する。従来は47都道府県にある労働局のHPに載せてきたが、報道発表で社名を明らかにしたのにHPでは伏せた事例もあったほか、掲載期間もまちまちで統一基準がなかった。同省は送検を公表した日から約1年間掲載し、毎月更新すると決めた。

 10日に掲載されたのは昨年10月から今年3月までの計334件で、(1)企業・事業所名(2)所在地(3)公表日(4)違反した法律(5)事案概要などを県別に並べた。

 内訳は、企業が安全対策を怠った労働安全衛生法違反209件▽賃金未払いなど最低賃金法違反62件▽違法な長時間労働をさせるなどした労働基準法違反60件▽労働者派遣法違反19件。労基法違反では、女性社員が過労自殺した広告最大手・電通の社名も掲載された。【早川健人】
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上記ニュースに報道されている通り、厚労省が書類送検に踏み切った「悪質法令違反企業」334件のリストを公表した。このような取り組みはどんどん進めるべきだ。

ところで、厚労省のサイトを見ても、このリストがどこに載っているのかわからず、探すのに苦労した。日本の官公庁サイトは、とにかく政府・経済界にとって都合の悪い情報はわかりにくく、発見されにくいように掲載するという姑息な手を使ってくる。

そういうわけで、当ブログが検索でようやく探し当てた「ブラック企業一覧」を、ここに晒し上げておく。この間、報道で盛んに取り上げられた日本屈指のブラック企業、電通は東京労働局のページ(PDFのページ数で15ページ)に記載されている。

労働基準関係法令違反に係る公表事案(厚生労働省労働基準局監督課)・PDF形式

<参考資料>労働基準関係法令違反に係る公表事案のホームページ掲載について(厚労省労働基準局長から都道府県労働局長宛て通知文書)・PDF形式

特に、就活中の若者の皆さんにとっては必見の資料だと思う。就活への思いは人それぞれだと思うが、つい数年前まで「就職氷河期」といわれていた就職戦線はここに来て大きく様変わりした。少子高齢化の進展で労働力人口が減り、労働集約型産業(人海戦術でこなさなければならない産業。運輸、流通、建設、小売、外食、医療・福祉・介護などの産業が典型)からすでに深刻な人手不足が始まっており、企業側から見て「採用氷河期」と評する関係者もいるほどだ。

当ブログ管理人が苦しい就活をしていた頃と比べると隔世の感があるが、ここしばらくの間、学生の皆さんにとっては企業に自分を「高く買ってもらえる」有利な情勢が続く。好きこのんで犠牲を払ってまでこのようなブラック企業に入る必要はないし、このようなブラック企業には「倒産」で市場から退場してもらうか、そうでなければ「脱ブラック」に向け改革を促す絶好の機会といえよう。

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「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る4.22集会」での遺族・藤崎光子さんの訴え

2017-05-05 22:39:41 | 鉄道・公共交通/安全問題
管理人よりお知らせです。

4月22日、兵庫県尼崎市で開催された「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る4.22集会」での遺族・藤崎光子さんの発言内容の動画をYoutube「タブレットのチャンネル」にアップロードしましたのでお知らせします。なお、関連記事も併せてご覧ください。

170422JR福知山線脱線事故遺族の訴え 藤崎光子さんノーモア尼崎集会

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デビュー直後の豪華列車「四季島」を撮影してきました&動画アップロードのお知らせ

2017-05-04 23:26:07 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
管理人よりお知らせです。

今月デビューしたばかりのJR東日本の豪華列車「TRAIN SUITE 四季島」を、5月3日、東室蘭駅で撮影しました。その際の写真・動画を以下の通りご紹介します。動画について、PCでご覧の方は、左フレーム内のリンク集の「タブレットのチャンネル」からご覧になれますが、以下のサムネイル画像をクリックいただいてもかまいません。




170503TRAIN SUITE 四季島 東室蘭発車

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北海道勤務5年目に~管理人の近況など

2017-05-01 23:38:15 | 日記
新年度を迎えて早くも1ヶ月が経過した。この4月はJR発足30年の節目のせいか、例年にない慌ただしさで、近況をブログに書く暇もないまま4月が過ぎ去った。

結局、当ブログ管理人は部署換えこそあったものの、勤務場所は変わらず、北海道5年目に入った。現在の会社へ2007年4月に出向してからも10年を経過。昨年末、出向を解除し、出向前の職場に戻すという話もあったものの、結局は立ち消えになった。当ブログ管理人の職場で1月末に突然、退職者が出たこと、家庭の事情のある人が優先されたことなど、いくつかの要因が重なったようだ。

少子高齢化で「一億総介護」「一億総要介護」時代になり、家庭の事情を抱えていない人は人事異動ではきわめて不利な時代が来た。子どももなく、親の介護もない当ブログ管理人のような「便利社員」は、家庭の事情のある人を希望の勤務地、部署に配置した後の「残り部署」に配置されることになる。人事からは「来年、また希望を出してください」といわれたが、福島第1原発事故による被曝の心配をしなくていい北海道は割に気に入っていて、もうこのままでもいいと思っている。

九州の実家の両親からは、ここ数年、会うたびに少しでも実家に近いところに戻ってきてほしいといわれ、率直に言って辟易している。自分の力で決められるなら、是非ともそうしたいが、もともと九州は「特殊」な土地柄だ。地元出身者が居座り続け「独立王国」といわれるほどで、以前、九州から動きたくない人を無理に異動させた結果、退職する事例が相次いだこともあり、人事もかなり及び腰になっている。当ブログ管理人は、採用で最初に配属になった九州から1998年に首都圏に異動する際、「九州から出たら、当分戻れないぞ」と半分冗談、半分本気で当時の上司から言われたものだが、まさかそれから20年近く、一度も九州勤務に戻れないとは夢にも思っていなかった。九州に戻るには、もはや転職以外にないと最近はかなり達観している。

昨年8月に公表した胃がんの予後症状はあまりなく、回復は順調だと思う。ただ、この間、体重はなんと20kgも減少。学生時代の体重より軽くなってしまった。ダイエットに挑戦しては失敗を繰り返している女子の皆さんにはうらやましく思われるかもしれないが、痩せたくて痩せたわけでもなく、また健康的な痩せ方でもないだけにあまり気分のいいものではない。

4月下旬、「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る4.22集会」参加時に、関西の胃がん経験者と会食したが、その人たちは数年経過しても、時々何も食べられない日があるという。当ブログ管理人は、まだ術後9ヶ月、職場復帰からは8ヶ月しか経っていないが、まったく食べられない日は1日もなく、極度に脂っこい物を除けば割と何でも食べることができている。胃の切除手術経験者の中では、どうやら私のほうが「順調すぎる例外」のようだ。

「入院患者が退院後に一番食べたいと言うのが焼肉、ラーメン、お寿司なんです。でもこれらは脂っこかったり、生ものだったりするので、退院直後しばらくは控えてください」と、退院時の栄養指導で栄養士から言われた。このうち、寿司はとっくに食べられるようになった。肉類は、鍋物など油を切った調理法であれば食べられるようになったが、脂が乗ったまま口に入れる焼肉などはまだ恐ろしくて一度も食べていない。ラーメンも一度食べかけたが気分が悪くなり、以降は口にしていない。胃がんになるまでは最も好きなもののひとつだったが、最近は食べられるものだけ食べればいいと考えを改め、粗食を大量に食べる生活からおいしいものを少量食べる生活に切り替え、何とか過ごしてきた。

手術以降、最も困るのがなんと言っても外出先での外食だ。外食産業の極端な人手不足もあって、店舗自体が激減しているのに加え、残った店も焼肉やラーメンなど当ブログ管理人が食べられないものばかりで本当に困っている。その上、期待をかけていた厚労省の受動喫煙防止政策による飲食店「全面禁煙化」も自民党の「老害」どもに覆されそうな気配だ。最近は外食に行く気がまったくせず、出先でもデパ地下やコンビニで弁当を買って済ませることがほとんどになってしまった。

このあたりの事情は、過去に地方駅前の「食」事情として記事を書いたこともあるが、外食産業の衰退と反比例するように、スーパーやデパ地下の弁当・総菜の充実ぶりはすばらしい。カリスマ社会派ブロガー「ちきりん」さんの、4月19日の記事「モノは安く・ヒトは高く」における考察は外食と弁当・総菜の場合にもまったくそのまま当てはまる。客が1人でもいる限り、従業員を張り付け、サービス提供させなければならない外食産業と、その日の分を工場で製造し、出荷してしまえば「仕事は終わり」で従業員が解放される弁当・総菜では、もうスタートラインから違いすぎてまったく勝負にならないのである。外食産業の味やサービス水準が低下しているのに対し、弁当・総菜が充実してきているのは合理的なのだ。当ブログ管理人の外出先での食事は今後も弁当・総菜中心になるだろう。

手術前は大好きだったアルコールも、術後はまったく口にしないまま9ヶ月が過ぎた。退院直後は飲みたくて仕方なく、いつ飲酒を「解禁」しようかと、そればかり考えていたが、飲めない日々が続くうち、だんだん欲がなくなってきた。先月くらいからは、もうこのままずっと解禁せず、断酒もいいかな、と思い始めている。

ギャンブルは、自分には賭け事の才能が全くないと悟り、もう20年以上前に足を洗った。このまま断酒に成功すれば、酒、たばこ、ギャンブルの一切ない健全極まる私生活になる。これくらい健全な私生活をしていれば、脱原発、「税金無駄遣い公共事業」批判の主張も説得力を持つだろう。これまで酒に充てていたお金を、唯一残った趣味の鉄道に回せるなら、それはそれでありがたいことかもしれない。

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