安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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新幹線・特急列車にあったらいいと思うものランキング

2008-10-28 22:06:11 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
新幹線・特急列車にあったらいいと思うものランキング(gooランキング)

ほら、「食堂車」が5位に入ってる。
最近は何でもかんでも効率一辺倒で、食堂車のようなコストがかかる設備はもってのほかという鉄道会社が多いけれど、乗客の要望は強いのだ。

儲けばかり考えていないで、乗客が列車をくつろぎの空間と考え、車内でホッとできるような空間を、もっともっと広げる努力をしてほしい(特にJR各社)。

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引き続き東武線乗り潰し

2008-10-26 20:59:42 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
東京での所用が終わった後、昨日に引き続いて東武線乗り潰しへ。今日は亀戸線に乗る。亀戸線は短い路線なので、簡単に完乗を終えた。

この亀戸線が複線で、野田線が一部単線って、やはり釈然としない。

【完乗達成】東武亀戸線

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東武線乗り潰し

2008-10-25 19:48:02 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
今日は、所用で東京東部へ行かなければならなかったが、昼間時間があったため、未乗区間である東武野田線乗り潰しに出かけた。

大宮で東北本線を降り、野田線へ。首都圏東部を外環状に回る重要路線でありながら、普通列車のみの運転で、大部分の区間が単線という状況に改めて驚かされた。

【完乗達成】東武野田線

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結婚記念日

2008-10-15 22:39:18 | 日記
鉄道記念日に入籍した私たち夫婦にとって、10月14日は結婚記念日。ということで、妻と食事に出かけた。

訪れたのは那須にあるイタリア料理店。妻がバイト先の同僚から聞きつけてきた評判の店だ。地元産の豚肉がとても柔らかくておいしかった。

私たち夫婦も結婚2年を過ぎ、3年目に入る。これからも夫婦互いに助け合い、円満に過ごしていきたい。

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今日も1日鉄道三昧

2008-10-14 23:35:51 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
鉄道記念日ということで、NHK-FMで「今日も1日鉄道三昧」という番組が放送された。13:00~25:00まで12時間のロングランで、NHKきっての鉄アナウンサーとスーパーベルズのメンバーらがひたすら鉄ネタを繰り出しつつ、鉄道にまつわる曲を流すというものだ。何よりも鉄道唱歌をフルコーラス流すところが凄い。

駅メロや走行音もリクエストできるという、痒いところにきちんと手が届く内容になっており、実際、SL走行音のリクエストもあった。

私は結局、12時間ぶっ通しでこの番組を全部聴いた。全部聴き終わった後、妻が私に言った。「これ多分来年の鉄道記念日にもやるだろうね。こんな番組が普通に成り立つ世の中になったんだね」。

私は、妻のこのコメントが一番おもしろかった。

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仙石線乗り潰し

2008-10-13 22:57:06 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
朝寝坊してまたもや陸羽東線「みのり」撮影に間に合わなくなったので、方針変更して未乗区間である仙石線乗車に挑むことにした。

(それにしても陸羽東線は遠い。沿線のロケーションがいいのでいい写真を撮ろうと欲張り車で出発してみたものの、仙台を過ぎてからがものすごく遠く感じる。今後は新幹線で古川まで来てから動くほうがいいようだ)。

昼過ぎ、石巻しみん市場の看板を見つけ、ここなら海の幸が食べられると期待したが、予想に反して生鮮食品販売のみ。飲食はなく、結局石巻駅を目指すが、ここにも居酒屋チェーン店ばかり。ようやく小さな飲食店を見つけて入るが、どう見ても地元産と思えない刺身が申し訳程度に出てきたのみだった。がっかりすると同時に疑問がわいた。

石巻市民は地元産の海産物を食べないのだろうか? 地元産の海産物はどこに行ったのか? それとも東北の他の地域同様、単に宴会以外の外食の習慣がないだけなのか?

気を取り直し、石巻駅へ。妻は私と違って全線完乗はしなくていいらしく、私の乗る列車を追いかけて車で走るという。私は「さてはこやつ、仙石線が非電化単線で、すぐ追いつけるくらいに思ってるな」と内心ニヤリとした。仙石線は、実際は電化されている。気動車ならともかく、電車を一般国道で追いかけるのはまず無理なのだが、仙台到着後に折り返さなくてすむのはありがたく、申し出を引き受ける。

ところが、秋の行楽シーズン真っ只中の松島沿線は大渋滞で、妻の車は電車を追いかけるどころではなかった。私の電車から遅れること1時間、ようやく待ち合わせ場所の南仙台駅に着いたが、ヘトヘトだったようだ。

結果的に、「みのり」撮影に失敗、おいしい海の幸にもありつけず、渋滞に巻き込まれながらのほろ苦い乗り潰しとなった。妻に一番申し訳なかったと思っている。やはり無計画はいけない。

【完乗達成】仙石線

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完売なのに空席多数 初日運行の「SL」「みのり」

2008-10-12 21:26:14 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
完売なのに空席多数 初日運行の「SL」「みのり」

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 仙台・宮城デスティネーションキャンペーン(DC)に合わせ、1日にJR陸羽東線を走った観光列車「リゾートみのり」と東北線を走った蒸気機関車(SL)に空席が目立ったことから、沿線の自治体や観光関係者ががっかりしている。指定席券は事前に売り切れたものの、ファンが収集目的で購入、実際は乗車しないケースが出たことなどが影響したとみられる。

 この日、みのりは小牛田―新庄間を、SLは仙台―小牛田間を1往復した。いずれも全席完売したが、古川駅から下りのみのりに乗った大崎市関係者は「実際に乗っている人は半分に満たなかった」、松山町駅から上りのSLを利用した地元関係者も「完売と聞いた割には空席が目立った」と口をそろえる。

 みのりは初運行、SLの東北線運行は21年ぶりだった。JR東日本仙台支社は「実際に乗車した人の数は分からない」とした上で、「一番列車の切符を記念に保管する目的で購入したファンや途中下車した人がいたのではないか」とみる。

 伊藤康志大崎市長は「初日の特殊事情だとは思うが、DCの特別列車の趣旨は観光客に実際に利用してもらい、地元を訪ねてもらうこと。当日乗らない人には記念切符だけを販売するような形を取れないだろうか」と話し、JRに対策を求めている。

 同支社は「切符を売るたびに実際に乗車するかどうかを聞くわけにもいかない」と頭を悩ませている。
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一部のマナーの悪い鉄道ファンの行為が、観光地の振興に水を差してしまった。「ちゃんと切符代は払っているからいいだろう」という問題ではない。特に、今回デスティネーションキャンペーンの対象となっているのは岩手・宮城内陸地震で大きな痛手を受けた宮城県だ。被災地にとって一番の復興は観光客がひとりでも多く訪れ、少しでも多く地元にカネを落とすことである。そんなことも理解できない人には切符を買ってほしくないというのが私の正直な気持ちだ。

同時に、過去ログでさんざんJR東日本主催のツアーによる指定席券の囲い込みを批判してきた当ブログだが、こんなことをするファンがいる現状では鉄道会社がツアーで指定席を囲い込みたくなる気持ちが少しはわかった気がした。

このような問題が発生しているのは、すべて指定席料金の安い快速列車だ。乗車券に510円プラスするだけで指定席券が買えるという快速列車制度が悪用されているといえる。JRとしては、できるだけ多くの人に乗ってもらうため料金は安いに超したことはない。しかし、このような事態が起きるようなら何らかの対策が必要だろう。

実質値上げになってしまうが、イベント列車の急行列車化などの手を打つべき時が来ているのかもしれない。

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杉原幸子さん死去 故杉原千畝氏の妻

2008-10-11 20:58:28 | その他社会・時事
杉原幸子さん死去 故杉原千畝氏の妻(共同通信) - goo ニュース

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 杉原 幸子さん(すぎはら・ゆきこ=ナチス・ドイツの迫害から逃れる多数のユダヤ人難民に査証を発給し命を救った元駐リトアニア領事代理、故杉原千畝(ちうね)氏の妻)8日死去、94歳。岩手県出身。自宅は神奈川県藤沢市獺郷1591の7。お別れ会は11月9日午後1時から東京都港区南青山2の33の20、青山葬儀所で。喪主は次男千暁(ちあき)氏と四男伸生(のぶき)氏。(共同)
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杉原千畝の妻・幸子さんが亡くなった。
杉原氏は「日本のシンドラー」といわれている外交官だ。日独伊三国同盟を結んでいた日本政府は、ユダヤ人に査証を発給してはならないとの指示を出したが、杉原は人道的見地から査証を発給した。しかし、そのことをとがめられ、戦後になってから外務省を追われた。

1991年になってから、鈴木宗男・外務政務次官が幸子夫人に対し、当時の外務省の対応を「非公式に謝罪」した。このとき、杉原千畝は事実上の「名誉回復」をしたと考えられている。

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JR西の捜査続く~尼崎事故

2008-10-10 22:26:05 | 鉄道・公共交通/安全問題
井手元社長を参考人聴取 神戸地検(毎日新聞)

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 JR福知山線脱線事故(05年4月)を捜査している神戸地検は5日、事故当時のJR西日本取締役相談役だった井手正敬氏を参考人として事情聴取した。井手氏は96年、事故現場を急カーブに変更した時の社長。同地検は当時の経緯や、自動列車停止装置(ATS)を設置しなかった判断などについて聴いたものとみられる。

 兵庫県警は今年9月、急カーブ変更時にATSを設置しなかったなどの疑いで、JR西日本の山崎正夫社長ら幹部経験者と運転士(死亡)計10人を業務上過失致死傷容疑で神戸地検に書類送検。井手氏は書類送検されていないが、県警は今年1月、参考人として事情聴取した。

 井手氏は国鉄民営化に携わり、87年のJR西日本発足と同時に副社長に就任、92年社長に昇格した。同社の「中興の祖」と称されたが、事故の責任をとるかたちで辞任した。
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JR西日本を捜索=社長室など-福知山線事故で神戸地検(時事)

 乗客106人が死亡した2005年4月のJR福知山線脱線事故で、神戸地検は8日までに、JR西日本本社(大阪市北区)の社長室など数カ所を業務上過失致死傷容疑で家宅捜索した。同事故での同社の捜索は初めて。

 関係者によると、捜索は7日で、同地検の係官約20人が社長室や法務室などを対象に実施した。

 同地検は近く山崎正夫社長からも事情聴取する方針で、同社幹部らの事情聴取の結果と押収資料を分析した上で、起訴の可否を検討する。 
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JR西の山崎社長から聴取 神戸地検(毎日新聞)

 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故(05年4月)を捜査している神戸地検が、業務上過失致死傷容疑で書類送検されたJR西日本の山崎正夫社長を事情聴取していたことが10日分かった。地検は年内にも起訴の可否を判断する見通し。

 兵庫県警は、同社が96年、事故現場を急カーブに変更した際、自動列車停止装置(ATS)を設置しなかったなどの疑いで先月、山崎社長ら幹部経験者と運転士(死亡)の計10人を書類送検。山崎社長は急カーブ変更時の鉄道本部長で、地検は当時の経緯やATS設置を見送った判断などについて聴取したとみられる。

 県警の調べに、山崎社長らは「ATS未設置が事故につながるとは思わなかった」などと予見可能性を否定している。

 地検は今月7日、同容疑で本社を捜索。事故当時の取締役相談役だった井手正敬氏を既に参考人聴取した。【山田泰蔵】
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関係者の書類送検によって警察の捜査が終了した尼崎事故だが、今度は神戸地検による捜査が大詰めを迎えている。

通常の刑事事件だと、検察による事情聴取は警察の捜査の補充程度のことが多いが、今回、書類送検の対象に含まれていなかった井手元社長の聴取も行うなど、地検の捜査は「警察の捜査の補完」の域を超えた本格的なものだ。地検の「起訴できるならぜひしたい」という意欲を感じる。

言うまでもないことだが、検察庁には独自捜査権があるから、警察が書類送検しなかった参考人や被疑者に関しても、自分で独自に捜査して起訴することは法的に全く可能である(検察庁法第6条及び刑事訴訟法第191条に定めがある)。現に政治家の大規模な汚職事件などは、ほとんど検察が自分で捜査し立件している。

私はかねてから、井手氏が送検されなかったのはおかしいと考えてきた。国鉄分割民営化を指揮した「三羽ガラス」のひとりと言われた井手氏こそ、JR西日本の今日の「企業体質」を作り上げてきた当の本人である。尼崎事故が起きた2005年(平成17年)の大阪支社長方針のトップが「稼ぐ」であったことは、今では広く知られている。そんな「企業体質」を作り上げたのも井手氏である。

もっとも、神戸地検は「犯罪捜査」をしているのであり、地検は速照ATSを設置しなかった「不作為による安全確保義務違反」や、安全性の検討なくR300の急カーブを設置させた「積極的不法行為」の責任を問おうとしているに違いない。このような理由で、しかも現場に精通していなかった経営トップの責任を問うことには多大な困難を伴うに違いないが、「みんなが少しずつ悪くて、だから誰にも責任を問うことができない」などという不合理な結末にならずにすむよう、「司法のプロ」たちの奮闘を期待したい。

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「衆院解散狂想曲」に関する一考察

2008-10-07 23:53:15 | その他社会・時事
麻生首相に解散の気配なし 解散日程を勝手に捏造したマスコミの困惑(ダイヤモンド・オンライン)

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 10月1日、新聞・テレビは一斉に解散・総選挙の日程が「先送り」されたと報じた。

 わずか1日前、TBSと産経新聞は「10月3日の解散が確定した」と報じたばかり。思えば、当初、総選挙は10月26日で決まった、と報じられていたはずだ。9月18日付の朝日新聞一面トップ記事によれば、「3日解散」で与党合意が為されたとある。

〈来月26日 総選挙へ 3日解散 自公合意〉(朝日新聞/9月18日)

 前日には、読売新聞が観測的な記事を書いていたが、この朝日新聞の報道を受けて、他紙、及びテレビメディアも一気に後追いを開始した。この瞬間、マスコミによって作られた「解散風」は突風になったのである。

 与野党問わず、多くの衆議院議員が走り出す。選対事務所の賃貸契約を結ぶ議員が続出し、永田町は解散モードに突入した。

 それにしても、まだ総裁選の最中である。麻生首相誕生を見込んだとしても、あまりにも気の早い話だ。

 朝日新聞にこうした記事が載った日、たまたま、まったく間逆の記事が世に出た。

〈麻生「新総理」解散せず〉(週刊文春/9月25日号)

 手前味噌だが、これは筆者の記事である。何も特別な記事を書いたわけではない。またそれを誇っているわけではない。政治のルールと永田町の常識からすれば、じつに当たり前の記事なのである。

――補正予算案の提出、給油継続法の成立、党首討論などでの小沢民主党との対決。

 麻生首相が解散しない根拠として、筆者の挙げた根拠はこのようなものだった。ついでに言うならば、少しでも麻生陣営を取材していれば、これらは、当然に行き着く結論なのである。

 現在、日本での解散権の行使は、内閣総理大臣をおいて他にできないことになっている。憲法(第三条第七項)によればそうある。

 にもかかわらず、首相が誕生する前から、あたかも新しい首相は、就任直後に「解散しなければならない」というような「流れ」ができてしまっていた。

麻生首相は一度も解散日を明言していない

 9月24日、麻生首相が誕生した。

 だが、解散を打つ気配はない。それもそのはず、麻生首相はただの一度も解散日について言及したことはない。繰り返すが、ただの一度もだ。

 困り果てた新聞・テレビの政治部は、「解散」の流れを止めないために、再び「先送り」論を展開する。

〈11月2日投開票 衆院選 首相意向〉(読売新聞/9月25日)

 まったくもって麻生首相が気の毒に思えてくる。決めてもいない解散日程を勝手に作られた挙句、今度は勝手に「先送り」されるのであるから。

 なんのことはない、マスコミは自分たちで捏造した「解散日」を勝手に動かして、麻生首相の解散への意欲がぶれている、と言っているだけなのだ。

 思い出すことがある。昨年暮れ、福田前首相が中国に外遊した時のことだ。内政懇(外遊した首相が国政について同行記者団と懇談すること)で、内閣改造を問われた福田前首相は、「年明けに改造をするかどうするか考える」と答えた。

 翌日、新聞各紙には「年明け内閣改造へ」という文字が躍る。福田首相はぶら下がり会見で否定する。だがもはや「流れ」は止まらない。

 結果、新年になっても内閣改造をしなかった福田首相に対して、新聞・テレビは次のように書いたのだ。

「首相、内閣改造、断念へ」

 考えてもいない内閣改造を報じられ、勝手に「断念」させられた福田前首相も気の毒だが、麻生首相の場合はもっとひどい。なにしろ、首相になる前から「新聞辞令」を出されていたのだ。しかもそれは執拗に続いている。

 いずれにせよ、最初の「新聞辞令」を誤報に終わらせた新聞・テレビの報道は、次の辞令である「11月2日総選挙」で一斉に走り出したのだ。

 そして今回の「先送り」である。

自らの誤報をごまかすマスコミ

 新聞とテレビによれば、今回の「先送り」の理由は、世界同時株安と米下院議会の金融安定化法案否決だそうである。

 ついに、日本の衆議院の解散・総選挙は、米議会の法案成立の是非に連動するようになってしまったようだ。これはあまりに見え透いた言い訳ではないか。

 繰り返し書くが、麻生首相の度重なる「方針転換」の背景にはそもそも、そのような理由はない。なぜなら、麻生首相はただの一度も解散日を特定したことがないからだ。

 これまで、新聞・テレビなどの政治部は、自らの誤報を他者に転嫁することでその責任を免れてきた。だが、もはやそうした手段は通用しないだろう。

 一週間毎に解散日を延ばすごまかしはそろそろ止めた方がいいのではないか。

 言い訳がなくなったとき、果たして、新聞・テレビはどうするつもりだろうか。
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どうやら、今回の「解散・総選挙」騒ぎは、マスコミの暴走で幕が閉じられようとしているようだ。事態は案外、この上杉氏の論評が真実に最も近いのかもしれない。

しかし、それならば麻生首相にも言いたいことがある。どうせ今の自民党に国民の信を問う力がないのはわかっている。総選挙をやるつもりがないなら、「やらない」とハッキリ宣言したらどうか。曖昧な態度を取るからいつまでも憶測報道をされるのだ。

今回の一連の「解散騒ぎ」から見えてきたことがある。

1.マスコミの「取材能力」が見る影もなく崩壊している。記者クラブという特権を与えられる中で、ぶら下がり取材というもたれ合いの構図の中ですら何も真実を引き出す力がない。

2.やはり自民党の「選挙恐怖症」は深い。それと同時に、自民党の終わりもやはり近い。

3.自民党、公明党、民主党のいずれにも「決め手」がない。

1については説明は不要だろう。大手新聞は、自分で取材もせず、ネットのニュースをコピペして記事を作るだけの「サラリーマン記者による剽窃大会」に堕した。ぶら下がりという特権を与えられていながら、彼ら「番記者」たちは何を取材し、書いているのか。「大本営発表」もまともに書けない記者など、戦前の御用新聞以下である。自分のことを言うのもなんだが、当ブログのほうがよほど社会の真実を見通し、正確に予測しているという自信がある。

次に2について。
自分を麻生首相の立場に置き換えれば、解散したくない気持ちはよくわかる。何せ、今の「衆院与党3分の2」は、自民公認・推薦がついていればサルでも当選しかねない勢いだった、あの「100年に1度の異常な選挙」の結果もたらされたものだ。どんな首相がどんな政治状況で選挙をやっても今より議席が増えるなどあり得ないし、3分の2を失えば再議決という最終奥義も使えなくなる。自民党政権があと1年の命かもしれないことをわかっていても、すべての法律を60日待てば再議決で通せる今の状況を自ら捨てたいとは思わないだろう。

このままの状態であれば総選挙は大幅にずれ込む。補正予算、2次補正と来てその後に来年度予算審議が来れば、早くても選挙は来年4月以降ではないか。過去の実例を見ても、選挙は秋から冬には少なく、春から夏に多い。東北、北海道が雪に閉ざされる冬は、そもそも選挙向きの季節ではない。

同時に、やはりここ数年の政治状況は「自民党の耐用年数切れ」を感じさせるに十分である。今回のねじれ国会は、自公与党の参院選大敗が原因だが、いつ解散があるかわからない衆院と比べ、参院はいつ選挙があるか予測できるから、政権与党であれば、選挙の時期に合わせて国民に「リップサービス」ができるはずだ。

時期がわかっているのに対処できないというのは、言うなれば「文化祭は2学期にあるのが1学期の初めからわかっているのに、2学期に体制が作れない」というのと同じことだ。このような状態にある学級は、普通「学級崩壊」と言われる。自公政権の政権担当能力は、やはり崩壊したと見るべきだろう。

次に3について。

(1)自民党は首相を通じて間接的に解散権を持っているが、選挙をやれる自信がない。

(2)公明党は、都議選と総選挙が重なるのは嫌だから早めに選挙をしてほしいが、あまり自民党を追い詰め過ぎれば、自民党が民主党の切り崩しに走り、仮にそれが参院で成功した場合、公明党は与党からはじき出されかねない。

(3)民主党は、自公政権の評判が悪いうちに公明党を攻撃して自公政権崩壊を早めたいが、自分たちに解散権があるわけではない。

以上3つの理由により、どの党にも「決め手」がない。いわばグーチョキパーのような関係で3すくみになっている。このことも解散時期が決まらない理由のひとつである。

このような場合、気もそぞろの議員たちはどう対処するのがよいか。
「解散があろうとなかろうと、(任期満了で)1年後までに選挙は来る。自分たちはできることをやっていくだけ」と諦観し、できることから準備を進める、が正しい対応になる。と言うより、それ以外に対処のしようがない。

<最後にまとめ>
以上、政局的な観点からいろいろ書いてきたが、選挙の時期は政治の本質にはそれほど関係がない。政局的な観点を抜きにし、国民側の視点に立てば、全く別の本質が見えてくる。

誰がどう考えても、国民は解散総選挙を望んでいる。望んでいるなどという生ぬるいレベルでなく、渇望していると言ってもよいだろう。2005年の郵政選挙は間違いであり、他人の意見に聞く耳を持たなくなった自公政権を変えたいと今や誰もが考え始めている。

「衆議院の優越」を憲法が保障しているのは、社会科の教科書的な考えに立てば「参議院より任期が短いため選挙の間隔が短く、またいつでも解散で国民の信を問うことができる衆院のほうがそのときどきの国民の意思を反映している」からだということになっている。

しかし、衆院の解散権を持っているのは日本人でただひとり内閣総理大臣だけである。内閣不信任案可決または内閣信任案否決の場合、首相は自分が辞めたくなければ嫌でも解散するしかないが、議院内閣制は多数派が内閣を構成し、国会に対して責任を持つ仕組みだから、多数派が多数派であり続ける限り(大規模な与党からの造反がない限り)不信任案可決などという事態は起こりようがない。

多数派が内閣を構成して国会に責任を持ち、しかも解散権は多数派の頂点に立つただひとりの日本人の手に握られているということは、つまり衆院の解散権は多数派(与党と言い換えてもよい)によって専断的、独裁的に行使されるということを意味する。もっと端的に言えば、与党は常に自分が最も有利な時を狙って選挙ができるわけだ。「参議院より任期が短いため選挙の間隔が短く、またいつでも解散で国民の信を問うことができる衆院のほうがそのときどきの国民の意思を反映している」などという教科書的俗説がいかにデタラメかわかるだろう。与党ではなく国民が真に望んでいる時期を選んで衆院解散が行われていれば、日本はこんなに悪くはならなかったはずである。

そろそろまとめよう。
「参議院より任期が短いため選挙の間隔が短く、またいつでも解散で国民の信を問うことができる衆院のほうがそのときどきの国民の意思を反映している」から「衆院の優越」を与える、という考え方は間違っている。どうしても衆院に、第1院としての優越的地位を与えたいと考えるなら、与党ではなく国民が真に望む時期に解散ができるよう制度を改めるべきである。

地方議会のように、衆議院に「解散請求」(リコール)制度を設けてはどうだろうか。国民の50分の1の署名を集め、集まったら選管に提出。選管は厳正に審査し、50分の1を超えていると認めた場合はリコール投票を実施。投票の結果、解散賛成が有効投票数の過半数となった場合、衆院は即日解散し、出直し総選挙を行う。日本の人口が1億3千万人、未成年者を除けば約1億人のうち、50分の1は200万人。決して非現実的な数字ではないし、今の日本の社会状況なら、この程度の署名数は2~3週間で集まるだろう。

「日本国にはカネもないのに、そんなばかげたコストがかけられるか」という人もいるかもしれない。しかし、後期高齢者医療制度のように、国民のためにならない制度がどんどん作られ、国民が変革を望んでいるのに、野党にも国民にも衆議院の議席構成を変える手段がないという状況(まさに今のような状況)になったとき、それによって国民が被る不利益を考えれば、決して高いコストとはいえない。

国会改革といえば、これまで「衆院のカーボンコピー」といわれる参院の改革ばかりが論じられてきたように思う。しかし、今のこの状況を考察すれば、あまりにもすべてが与党と多数派に都合よくできている衆院こそ改革が必要ではないだろうか。

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