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能登半島での地震について

2024-01-01 21:30:04 | 気象・地震
管理人から新年のご挨拶を申し上げます・・という記事も書かないうちから、元日早々、能登半島で巨大地震が発生してしまった。地震の規模は、すでに1995年1月の阪神・淡路大震災を超えており、共通点もみられることから、いくつかこの地震について書いておくことにしたい。なお、正月気分なんてこれで吹き飛んでしまったので、新年あいさつの記事は取りやめる。

<1.地震全般について>

令和6年1月1日16時10分頃の石川県能登地方の地震について(気象庁報道発表)

大津波警報(高さ3m以上が発表基準)の発表は、2011年の東日本大震災以来になると思う。この記事の投稿時点で、大津波警報の地域はなくなり津波警報(高さ1m以上~3m未満が発表基準)に切り替えられたが、それでも警報が発表中であることに変わりない。海岸線に近づく行為は、たとえ人命救助など必要なものであったとしても、自身が巻き込まれるなどの二次災害となる恐れもある。発表中の警報が解除されるまでは厳に慎んでほしい。

報道発表を見ると、地震規模はM7.6(速報値)で、1995年1月17日未明に起きた阪神・淡路大震災のM7.3を上回った。マグニチュードは、2違うと地震のエネルギーが千倍違うので、今回の地震のエネルギーは阪神・淡路大震災をやや上回る一方、M9.0だった東日本大震災と比べれば約1000分の1である。今後、より大きな規模の「本震」の発生がなければ、被害は東日本大震災より少ない範囲にとどまると思う。ただし、今後の推移によっては阪神・淡路大震災に匹敵する規模になるかもしれない。

発震機構解(地震のメカニズム)は、北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型(速報)。昨年5月5日にも今回の震源からわずかに南側で最大震度6強の地震が発生している(気象庁報道発表)が、これとまったく同じである(下の画像は、昨年5月5日の地震の解説記事を書いた際に作成したもので、震央の位置は5月5日とほぼ同じ)。震源深さは昨年5月5日が12㎞、今回の地震が16㎞とこれもほぼ同じ(気象庁報道発表(第3報))。ここ数年、能登半島沖で起きていた群発地震と関連がないと考えるほうが難しい。



<2.北陸電力志賀原発について>

今回の地震では、石川県志賀町で震度7を記録したが、この観測地点は北陸電力志賀原発のほぼ直下である。東日本大震災発生以降、この原発は新規制基準に適合するかどうかの審査が続けられていたため稼働はしておらず、停止中なのは不幸中の幸いだった。とはいえ、福島第1原発4号機のように、停止中の原発でも使用済み燃料プールの損壊が起きれば、稼働中の原発以上に深刻な事故が起きる可能性は否定できない。

今回の地震でも、早速、「志賀原発で使用済み燃料プールの冷却水の一部があふれ出るが冷却に問題なし モニタリングポストにも異常なし 原子力規制庁」(FNN)という記事が配信されている。記事を読む限り、一部が漏れ出たものの、燃料棒よりも冷却水の水位が高い状態で維持されているため冷却が継続できているものと判断するが、今後、震度5弱~5強クラスの地震でも、何度も続けば大規損な損壊が起きる可能性がある。私としては引き続き状況を注視したい。

志賀原発に関しては、原子力規制委員会が2016年4月、1号機の直下を通る断層が活断層に当たるとした評価書の案を決定した。新規制基準では、重要施設は活断層の上に建ててはならないため、志賀原発はこのまま廃炉になる可能性が高いと報じられた(参考記事:石川・志賀原発、活断層で廃炉か 規制委が評価書受理、確定(2016年4月27日付け千葉日報))。しかし、岸田政権が原発回帰へ向け圧力を強める中で、2023年3月、「活断層ではない」とする北陸電力の主張を丸のみし、2016年の評価書の内容を180度覆す不当決定を行った(参考記事:志賀原発「活断層なし」 規制委、評価妥当と判断 8年越し、再稼働へ前進(2023年3月4日付北國新聞)。

だが、今回の地震が志賀原発の真下で起きたことは、2016年4月の評価書が科学的であり、正しかったことを証明した。規制委は、2023年3月のでたらめだらけの決定を取り消し、2016年の評価書に立ち戻り、志賀原発の廃炉を決めるべきだと思う。

<3.猛暑と地震の関係について>

「猛暑の後には大地震が来る」という説があり、オカルト界隈では根強い支持がある。当ブログでも過去に一度、この説について取り上げている(2013年8月17日付記事「これは真夏の夜の怪談か?~「猛暑の後には大地震が来る」説について」)。10年半も前に書いたものだが、猛暑が史上最悪レベルと騒がれ始めた昨年8月ごろからこの記事へのアクセスが急増した。

当ブログには、毎日、「前日に最もよく読まれた記事」のランキングをPC版表示では5位まで、スマホ・タブレット版表示では10位まで表示する機能があるが、この記事が昨年7月下旬ごろからたびたびランキング入りし始め、8月は2~3日に1回はランキング入りする人気ぶり。秋以降も、気温が平年を大幅に上回るたびにランキング入りした。間違いなく「2023年、当ブログで最もよく読まれた記事」になると思う。

思えば1995年の阪神・淡路大震災の前年(94年)も、2011年の東日本大震災の前年(2010年)も記録的猛暑と言われた。昨年も史上最高の猛暑となり、この正月も、帰省先の実家では暖房も要らないほどの異常な温かさが続いている。この年末も「本当に異常な温かさだね。阪神大震災が起きた95年1月も、神戸で真冬なのに19度を記録したりして異常な温かさだったので、この冬も大地震が来るかもしれないね」と妻にだけこっそり話したくらいなのだ。

まさか、本当に来るとは思いもしなかった。しかも元日から・・

「猛暑の後には大地震が来る」説、オカルト界隈のお遊び的言説だと笑い飛ばしていたが、どうやら本気で研究しなければならないようだ。

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いつまでも続く「終わらない猛暑」と、当ブログのアクセス急増

2023-09-05 23:52:59 | 気象・地震
北海道に住むようになって丸10年。国連が「地球温暖化の時代は過ぎた。今は地球沸騰の時代」と言うように、2023年の夏はかつてなく異常だ。道内では、お盆を過ぎると朝晩は肌寒くなり、上着がほしいと思うのが普通だが、今年は9月に入ったのにまだ深夜に半袖でも汗がにじみ出てくる。北海道らしいカラッと乾燥した快晴の日は、7月上旬に一度くらいあったような気がするが、それを最後にもう2ヶ月以上、本州のような蒸し暑く寝苦しい毎日が続いている。

新型コロナ感染拡大以降、私は週1回のテレワークを続けてきたが、ここ数週間は取りやめている。冷房のない自宅よりも、冷房のある職場事務所のほうがはるかに能率が上がるからだ。いまはコロナより熱中症の危険のほうが高い。実際、冷房がないので窓を全開にして寝ていると(お盆を過ぎても窓を全開にして寝なければならないこと自体がかつてない異常事態なのだが)、一晩中救急車のサイレンが鳴りっぱなしで眠りが浅いまま目が覚めるということもある。8月21日~27日の1週間に限れば、熱中症搬送者は北海道が最多との報道もある。

日頃、低温で乾燥した気候に合わせて身体が調節されるようになっている北海道民にとって、サウナに入ったような高温多湿の日が2ヶ月以上も続くなどというのはかつてない事態だと思う。このままでは、北海道内の病院はコロナではなく熱中症患者でパンクしかねない。

とはいえ、個人の肌感覚なんて当てにならないので、このような場合はデータを当たるに限る。気象庁公式ホームページを見ると、今日、9月5日の最高気温は札幌市手稲区で平年より5.9度も高い。だが驚くのはまだ早い。同じ手稲区で、最低気温に至っては平年よりなんと6.2度も高いのだ。

昼間の暑さもさることながら、とにかく最低気温が下がらず、夜が異常に暑く寝苦しい。結果として体力を消耗し、疲労が取れない。一体この異常な夏はいつになったら終わるのだろうか。

そんな中、8月下旬から当ブログのアクセス数が急増している。増えだしたのは汚染水放出が決まった8月22日頃からで、8月27日に放送されたNHK「日曜討論」でこの問題が取り上げられてから急増した。特に、「日曜討論」に出演したNPO法人「福島ダイアログ」の安東量子理事長なる人物に関しては、大半の視聴者にとっては初めて聞く名前だっただろう。どんな人物か、そもそもNHKに出演するに値するのか。ネット検索をかけていたら、当ブログ2019年3月18日付記事「福島「エートス」首謀者を人物紹介に堂々登場させた北海道新聞」に行き着き、ここで彼女の「本当の姿」を知った、という人も多いようだ。

だが、この安東量子さんという人、「原発・放射能」界隈ではかなり早い段階から知る人ぞ知る存在だった。リンク先の記事でも書いているが、ICRP(国際放射線防護委員会)勧告の執筆者であり、同委員会第4委員長ジャック・ロシャール氏を日本に招請し、対話集会を開くなどということが、福島の「一介の植木屋」ふぜいにできるはずがなく、彼女の背後には明らかに「国際原子力ロビー」の強力な支援が付いているのである。

私は「日曜討論」はもとより、NHKの報道番組自体、最近はほとんど見ない。見るのは政府方針を知る必要があるときで、まさに政府広報としてしか用をなしていない。「中国人民なら党・政府の方針を知る上で見ておくべきで、この番組を見ずに政府方針の変更を知らなかったと主張しても通らない」と言われている中国の国営放送「中国中央テレビ」と最近は大して変わらない。総合テレビの画面右上には「NHK G」と表示されている。NHK GENERAL(総合)の略だが、最近の私にはNHK GIMIN(自民)の略に見えて仕方がない。そろそろ公共放送などという実態とかけ離れた看板は捨てて、NHKも「日本中央テレビ」にでも名称変更してはどうか。

安東量子さんのおかげでアクセスが急増したところに、汚染水放出開始が続いた。最初は「汚染水」という単語を検索して、ヒットした「非国民」「反日」サイト狩りが行われているのだろうと思っていた。だがアクセス解析をしてみると様子が異なる。2013年8月17日付記事「これは真夏の夜の怪談か?~「猛暑の後には大地震が来る」説について」が、もう10年も前の記事なのに異常に読まれているのだ。気象庁がこの8月を「観測史上最も暑い8月だった」と公式発表(「8月の天候」「夏(6~8月)の天候」)したことが原因らしい。

リンク先の記事をお読みいただくとわかるので、ここでは繰り返さないが、過去、記録的猛暑の翌年に大震災というケースがあり、注目が集まっているようだ。確かに、猛暑日続出の異常な暑さが9月になってもまったく収束する気配のない状況を見ていると、来年あたり、首都圏直下型地震か南海トラフ大地震、あるいはその両方が来るのではないかと思いたくなる心理状態はわからなくもない。因果関係が証明できるような性質のものでなく、あくまで都市伝説やオカルトの域を出ないので、この説を信じるのはほどほどにしておいていただきたいと思う。

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本日夕方の浦河沖の地震について【千歳市で震度5弱を観測】

2023-06-11 23:57:14 | 気象・地震
令和5年6月11日18時55分頃の浦河沖の地震について(気象庁報道発表)

この地震発生当時、千歳市内のスーパーで買い物をしていた。北海道内では、今年春以降、鳥インフルエンザが史上最悪規模で拡大した影響で鶏卵が極端に不足しており、まともな方法ではもはやまったく入手できない(参考記事:朝一番に行かないと買えない… 続く卵不足、安定供給まで1年超か(毎日))。こんな状況の中、店舗の隅に一瞬、卵のような白いものが見えた気がしたので、確認するため、一緒に歩いていた妻と離れたところだった。目指した場所にあったものが鶏卵ではないことを確認してがっかりした瞬間、緊急地震速報が鳴った。

すぐに、妻の元に戻って緊急地震速報の画面を見せ「(地震が)来るよ」と妻の衣服をつかみ、踏ん張った次の瞬間、グラグラッと大きな横揺れが来た。緊急地震速報が鳴り始めてから、強い横揺れまでは10秒くらいあった。少し離れたところで、ガシャンと、何かが割れる音がした。

地震直後の店内の様子=2023年6月11日午後6時55分過ぎ、千歳市内で


こんなに緊急地震速報が早いのは珍しく、①震源はかなり深い、②震源が深ければ、広域に揺れが及んでいるはず--と見たが、2つとも予想通り。揺れの範囲は東海地方にまで及んだ。日本の地震観測地点がないだけで、サハリンやロシア・沿海州で揺れが観測されていても不思議ではない。

気象庁報道発表を見る限り、当ブログが解説記事を書く基準にしている「嫌な感じのする地震」ではない。震央の位置は、2018年、北海道全域停電を招いた胆振東部地震に近いが、震源の深さは胆振東部の37kmに対し、今回の地震は136kmと3倍も深い。胆振東部地震との関連は、ほぼないと考えている。

ところで、最近の災害報道をめぐるNHKの報道姿勢には疑問がある。今日の地震では、震度5弱という大きな揺れを観測したにもかかわらず、NHKは夜7時からのニュースを延長することもなく、7時20分(ラジオ第1)、7時30分(総合テレビ)には通常放送に戻してしまった。去る6月2日(金)の夜から翌3日(土)にかけても、私は台風が接近する中、どうしても外せない所用で首都圏にいたが、3日朝、宿泊していたホテルでテレビを見ても、都民が最も知りたいであろう台風情報は字幕で流すだけ。延々とウクライナ情勢について報道していた。

もちろん、ウクライナ戦争が重要でないというつもりはない。無辜の一般市民が傷つき、倒れ、死んでいるウクライナ戦争の行方は日本国民の生活にも大きな影響を与えている。戦争は最大の命の浪費であり「初めは亡くなった人が名前とともに報道される。そのうち死者は数字でしか報道されなくなる。さらに時が経過すると、死者の数もわからなくなる」といわれる。その意味では報道すべき最重要事項のひとつではあろう。

だが、それは目の前で日本国民に死者が出るかもしれない台風情報に優先してまで延々とやるべき報道だろうか。そんな疑問がぬぐえないのである。最近のNHKは、政権にとって不利な内政問題(最近では、岸田首相の息子による官邸忘年会問題など)が出てくると、そこから市民の批判をそらすため、都合よくウクライナ戦争を利用しているだけではないかと思わざるを得ない。日本の市民にとって何が優先課題かを、間違えないようにしてもらいたい。

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5月に入ってからの地震について

2023-05-11 22:15:44 | 気象・地震
令和5年5月5日14時42分頃の石川県能登地方の地震について
令和5年5月5日21時58分頃の石川県能登地方の地震について
令和5年5月11日04時16分頃の千葉県南部の地震について
(いずれも気象庁報道発表)

気象庁が報道発表を行うような大きな地震は、2022年11月9日の茨城県南部の地震以来、しばらく途絶えていたが、5月に入ってから、まるで新たな活動期を迎えたかのごとく大きめの地震が続いている。石川県能登地方の最初の地震はM6.3・震度6強、2回目の地震はM5.9・震度5弱を記録。今朝の千葉県南部地震でもM5.2・震度5強を記録した。

ここしばらく、当ブログでは気象庁が記者会見を開き、報道発表するような大きめの地震があっても、解説記事を書くことがなかった。最後に記事を書いたのは2022年3月16日の福島県沖地震だが、これは東日本大震災以降では最大の地震だった上、新幹線が1ヶ月近くも運休するなどきわめて社会的影響が大きかったからだ。これに対して、これ以降の地震は大きな特徴のないものが多かった上、そこから特段、差し迫った危険があるとも感じなかったからである。

今回の地震も解説記事は書かないつもりでいた。だが、能登地方の連続地震の分析をした結果、解説記事を書く必要があるのではないかと気が変わった。同じ5月5日に、わずか7時間間隔でM6級の地震が2度、立て続けに発生した上、震央をプレート図の上にプロットしてみると、かなりまずい状況にあるような気がしてきたからである。



能登地方の2回の地震と、今朝の千葉県南部地震の震央の位置を、プレート図の上にプロットしてみたら、上のとおりとなった。どちらもプレート境界にきわめて近い位置で発生している。能登地方の地震に至っては、プレート境界上で起きた地震と言ってもいい。

能登地方の連続地震は、震央が同じ位置であることに加えて、発震機構(地震のメカニズム)も同じで、北西―南東方向に圧力軸を持つ逆断層型である。能登地方では、2022年6月19日にも最大震度6弱を記録する地震が起きているが(気象庁報道発表)、このときの震央の位置、発震機構いずれも今回とまったく同じである。

震源の深さも、3回とも12~14kmのほぼ同じ深さで起きており、いずれもプレート境界とされる深さ30~50kmよりやや浅い場所で起きている。昨年6月の地震がM5.4、今回の連続地震がM6級で、今回のほうがワンランク大きくなっている。

注目されるのは、今朝の千葉県南部の地震も、発震機構が「北西―南東方向に張力軸を持つ型」で、方向に関しては能登地方の地震とまったく同じであることだ。地震には正断層型、逆断層型、横ずれ断層型の3タイプがあり、気象庁の報道発表ではいずれの型かは記載されていないが、「張力軸」を持つタイプは正断層型か横ずれ断層型のどちらかであり、少なくとも逆断層型ではない。

能登地方の連続地震が「逆断層型」である一方、千葉県南部地震は逆断層型以外ということになる。この地震の両方に関係している北米プレートを基準にしてみると、千葉県南部地震はプレートのやや内側、一方の能登地方の地震はほぼプレートの真上になるが、あえて内側か外側かで分けるのであれば、わずかに外側に出ているように見える。プレート内側の地震が「逆断層型」、一方で力の向きが逆になるプレート外側の地震が「正断層型」と、逆の型になっているのは整合性がとれている。

要するに、5月5日の能登地方連続地震と、今朝の千葉県南部地震は同じプレートの同じ動きによって引き起こされた「関連地震」かもしれないということである。

そして、さらにまずいのは、この両方がプレート境界のほぼ真上(能登地方地震)または境界にきわめて近い場所(千葉県南部地震)で起きていることである。特に、能登地方は昨年6月とまったく同じ震央の場所であり、3回連続、プレート境界のほぼ真上で起きたことになる。震源の深さもほぼ同じで、規模だけが昨年6月より1ランクアップしているというきわめてまずい状況だ。能登地方の地震は、どう考えてもプレートのひずみが限界に達しつつあることによって引き起こされているとみるしかなく、しかも地震発生のたびに規模が大きくなっていることは、プレートが沈降から「反転」する瞬間が差し迫っていることを示している。

以上の分析結果から、能登地方地震の震源域に近い地域に住んでいる人々(能登半島全域)に、当ブログは強く警告する。北米プレートとユーラシアプレートがぶつかっている能登地方の直下におけるプレートのひずみは限界に近づいており、2020年から続いている一連の地震は、プレートの反転に伴う海溝型巨大地震の発生が近いことを告げている。巨大地震の発生時期は、長くても5年以内だろう。プレート境界型地震なので、発生すればその規模は東日本大震災と同程度になる。今回の地震で自宅が倒壊して住めなくなった方は、建て直すくらいなら別の場所への移住を強くお勧めする。少なくとも、能登地方での自宅再建はとてもお勧めできない。

北陸電力志賀原発は、東日本大震災以降、止まったままだ。直下に活断層があるとする評価書の案を、原子力規制委員会がいったん決定し、廃炉不可避というところまで来ていたのに、あろうことか規制委は北陸電の主張を認め、いったん決めていた評価書案を撤回。志賀原発の直下にある断層は活断層に当たらないとして再稼働にゴーサインを出した。信じられないことだ。当ブログの分析が正しければ、5年以内に襲来するプレート境界型巨大地震により、志賀原発は福島第1原発と同じ運命をたどることになる。再稼働などあまりにふざけている。今すぐ廃炉にすべきだ。

もし、このまま志賀原発が再稼働し、その後に巨大地震で志賀原発が「第2の福島第1原発」になったら、当ブログは北陸電力だけでなく、規制委の責任も問う。規制委を、東京電力に対してしたのと同じように、刑事告発することになろう。規制委にその覚悟はあるのか。あるなら志賀原発の廃炉を直ちに決定すべきだ。ない場合は? 規制委は税金の無駄なので解散してよいと思う。

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3月16日の福島県沖の地震について

2022-03-18 22:54:57 | 気象・地震
令和4年3月16日23時36分頃の福島県沖の地震について (気象庁報道発表)

16日夜、福島県沖で発生した地震は相当の規模だった。当ブログ管理人の住む北海道内でも震度3を記録。揺れは優に1分以上続いた。揺れを感じ始めてから、感じなくなるまでに、2分くらいはあったかもしれない。東日本大震災以降では間違いなく最大規模だった。

若干の解説をしておきたい。

気象庁の報道発表資料9ページに、過去、周辺地域で起きた地震と今回の地震の震源地をプロットしたものが示されているが、昨年2月14日に起きた地震(気象庁報道発表)とまったく同じ震源地である。

そればかりではない。両方とも地震の規模はM7.3、発震機構(地震のメカニズム)は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型でまったく同じ。震源深さも昨年2月の地震が55kmで今回が60kmとほとんど同じである。今後の解析を待たなければならないが、昨年2月の地震が今回の地震の前震だったと評価されることになるかもしれない。

また、資料最終ページには、地震調査研究推進本部(地震本部)による三陸沖地震についての長期評価が転載されている。それによると、宮城県沖でのひとまわり小さいプレート間地震はM7.0~7.5で、12.6~14.7年周期のものもある。しかも、前回の発生が東日本大震災と同時となっており、現時点で11年経過している。

今回の地震が、その規模、周期から見て、この「宮城県沖でのひとまわり小さいプレート間地震」の発生として、後日、評価される可能性もあるように思う。一方で、そのように評価するには若干発生時期が早すぎ、また震源が南に寄りすぎで、プレート境界からも内側に寄りすぎている。

この記事を読まれたみなさんは、今後、地震本部がどのような評価をするか注目してほしい。もし、「宮城県沖でのひとまわり小さいプレート間地震」に該当しないと評価された場合には、今後、遠くない時期に宮城県沖地震がもう一度来ることになる。私たちは改めて、地震の巣の上に住んでいるのだという自覚を持ってほしい。

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北海道内、本日も異常豪雪

2022-02-23 23:27:12 | 気象・地震
全国ニュースでも報道されているようだが、この冬の豪雪はちょっと……どころではなく、かなり異常だ。

連日、横なぐりの暴風雪が続き、さっき除雪作業をしたばかりなのに、半日もするとまた20~30cmも新雪が積もるという状態で、ついにここ千歳市では積雪が120cmを超え、観測史上最高となった。

除雪をしてもすぐにうずたかく新雪が積もるので、駐車場から車も出せず、買い物にすら行けずついに冷蔵庫の食料が底をついた。大地震に備えて備蓄しておいた非常食に手を付けざるを得ないかと話していたところ、今日正午頃、丸2日半続いた暴風雪がようやく収まり、晴れ間が覗いた。この隙に、除雪作業をしたらようやく駐車場から車が出せるようになったので、食料の買い出しに行ってきた。

終日運休となり、案内が消えた新千歳空港の発車表示板(2/21 17:55)




新千歳空港駅で運休を伝える液晶パネル(2/21 17:55)


駅の券売機も販売中止 せっかくの「2022.2.22」の2並び入場券も買えなかった(2/21 17:55)


除雪を終え、3日ぶりに車で出た千歳市街 除雪された雪がうず高く積まれ1階部分はほぼ見えない(2/23 13:30)


千歳駅前も、雪がうず高く積まれ駅名板まで届きそう(2/23 13:30)


雪で看板も見えない(2/23 14:20)


イオン千歳店駐車場にて 雪の壁の向こうのマクドナルドの看板は、かろうじて上の部分が見えるだけ(2/23 14:20)


暴風雪状態が丸2日半も続くというのは、道内でも道北やオホーツク海沿岸、日本海側では珍しくないが、札幌近郊では珍しい。こうした状態を招いたのは強い冬型気圧配置だ。23日21時現在の天気図を確認しておこう。



注目いただきたいのは、ベーリング海に中心を持つ「爆弾低気圧」(960hPa)と中国大陸に中心を持つ高気圧(1036hPa)の気圧差がなんと86hPaもあることだ。天気図では、等圧線は4hPa当たり1本ずつ引くことになっているので、この間に等圧線が21本ある計算になる。風速や暴風雪は気圧差が大きければ大きいほど強くなる。風は気圧の差によって生まれるからである。

気圧の差が風を生み出すということを考えると、今回の暴風雪の原因は、単に爆弾低気圧の威力だけにあるのではない。中国大陸の高気圧が異常に強いことにも原因があるわけだが、12月~2月頃は大陸高気圧も毎年、この規模に発達することを考えると、それほど珍しい現象ではない。

豪雪といえば、今でも語り草になっているのが昭和38(1963)年1月豪雪で、「サンパチ豪雪」と呼ばれている。このときの社会状況を描いた「豪雪とのたたかい」という優れた記録映画があるが、これに近い状況をまさか自分が経験することになるとは思っていなかった。この冬の出来事を、おそらく当ブログ管理人は一生忘れないだろう。

豪雪とのたたかい(昭和38(1963)年1月豪雪(サンパチ豪雪)記録映画)


こちらは鉄道とその周辺の人々に対象を絞っているが、音威子府村を中心に豪雪と闘う鉄道員の姿を描いた名作。

興味深いのは、制作が機関車労働組合(機労)であること。機労はその後、国鉄動力車労働組合(動労)に名称を変える。最も戦闘的な労働組合になった後、一転して国鉄分割民営化賛成に態度を変え、現在はJR北海道の最大労組、JR北労組に続いている。時の社会情勢に合わせて、ヒラヒラと身を翻す「軽さ」こそ彼らがしぶとく生き残ってきた強さの源泉であると同時に、一度決めた方針を貫けない彼らの「限界」でもある。

記録映画「雪と闘う機関車 (昭和32年、機労制作)」

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【速報】津波到達後に警報発表 気象庁、歴史的大失態

2022-01-16 00:30:10 | 気象・地震
南太平洋のトンガ沖で発生した海底火山の噴火で、気象庁は「津波のおそれはない」といったん発表しておきながら、今夜(16日)0時15分になって突如、奄美地方・トカラ列島に津波警報を発表した。NHKの報道によると、奄美大島・小湊では警報水準(1m以上)に当たる1.2mの津波を警報発表前の15日23時55分に観測している。気象庁にとって歴史的大失態だと思う。

「若干の海面変動」が見込まれる地域でも、津波注意報の発表基準(30cm)に達していないだけで、30cm未満の津波がすでに到達している可能性がある。膝まで海中に浸かっていた場合、20cm程度の海面変動でも成人男性が流されるほどの威力がある。津波警報・注意報が発表された地域では海岸線から一刻も早く退避してほしい。

気象庁の失態については、後に追記することがあればしたいと思う。

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【警告】南海トラフ巨大地震発生の切迫性が増してきたと考えます

2021-12-10 23:24:37 | 気象・地震
令和3年12月3日06時37分頃の山梨県東部・富士五湖の地震について(気象庁報道発表)
令和3年12月3日09時28分頃の紀伊水道の地震について(気象庁報道発表)
令和3年12月9日11時05分頃のトカラ列島近海の地震について(気象庁報道発表)

率直に言って、ここ最近の日本周辺での地震の多さは異常だと思う。東日本大震災の直前に匹敵するレベルだし、ここ数年来でも群を抜いている。12月3日からわずか1週間で震度5強が1回、震度5弱が2回。さらに、2ヶ月前までさかのぼると、首都圏を大混乱に陥れた10月7日深夜の地震も加わり、2ヶ月で震度5弱以上が4回というハイペースぶりだ。

令和3年10月7日22時41分頃の千葉県北西部の地震について(気象庁報道発表)

当ブログでは、以前は気象庁が会見を開くような震度5弱以上、または津波警報・注意報が発表されるような規模の地震については毎回必ずコメント記事を書いていた時期もあった。最近は以前ほどマメに書いていないが、それでも地震自体の分析は気象庁のプレス資料などを基に続けている。今回のように、気になるタイプの地震が続く場合には、気象庁から発表された震央の場所を、プレート境界地図の上にプロットする作業をしてみることもある。そうすることで、日本周辺の広域的な地殻変動に関して、何らかの傾向が見えることもあるからだ。

そして、今回も同様に、プレート境界地図の上に、上記各地震の震央の位置をプロットしてみたところ、恐るべき結果となった。これを戦慄と言わずして何と言うのか。



青い点は震央の位置、赤い矢印は逆断層型地震における圧力軸の方向、緑色の矢印は正断層型地震における張力軸の方向を表している。ここ最近の震度5弱以上を記録した地震はいずれもプレート境界に近い場所で起きているという共通点がある。12月3日の山梨県東部・富士五湖付近の地震に至っては、北米プレートとユーラシアプレートのほぼ境界上で起きている。

10月7日の首都圏地震は、圧力軸の方向が東西。12月3日に起きた2つの地震では、圧力軸の方向がいずれも北西~南東。そして、9日のトカラ列島の地震でも、張力軸の方向は北西~南東で、すべてプレートの移動方向と一致している。

そして、注目すべきは震源の深さだ。10月7日の東京都心の地震では75kmの深さだったが、次第に浅くなり、12月に入ってからの3回の地震はすべて18~20kmの深さで起きている。ちなみに、プレートの潜り込み地点(フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜り込んでいる場所)の深さは20km程度と言われており、ほぼ同じだということに注意する必要がある。

ここまで説明すれば、当ブログが何を主張したいかはおわかりだろう。向こう20~30年間の発生確率が70%と予測されている南海トラフ地震。当ブログはその発生時期を「早くても2020年代中盤」と見ていたが、この様子だともっと早くなりそうだということである。

あえて誤解を恐れず言えば、南海トラフ地震発生はかなり差し迫っているのではないか。トカラ列島での群発地震が今年4月にも発生したばかりなのに、わずか8ヶ月で再発し、震度5強、M6.0の揺れを記録した後も沈静化の兆しすら見せていないことを考えると、南海トラフ大地震は最悪の場合、今日明日にも起こる可能性があるし、最も楽観的な見通しでも向こう1年くらいのうちには発生するのではないかと思える。特にこの10月以降の状況はそれほどの異常さを示している。

当ブログ管理人は今日、南海トラフ大地震がここ数日のうちに発生してもいいように、車のガソリンを満タンにし、米、ガスボンベ、乾電池などの非常物資を買い増ししてきた。明日も、今日に引き続きミネラルウォーター、マスクの買い出し、また真冬の停電に備えてガスコンロ式ストーブの運転試験を行う予定である。

当ブログを読んでいるみなさんも、南海トラフ地震は差し迫っているものとして今のうちから備えをきちんとしてほしいと思っている。あさって12日には、避難を希望するトカラ列島・悪石島の島民のために村営フェリーが出ると聞いているが、私はできることなら全島民に避難してほしいと考えている。ここ1ヶ月くらいのうちに悪石島が巨大津波に洗われ、「あのときに避難しておけば……」と「遺族」が涙することにならないように願うからである。

私のこの警告が杞憂であることを願っている。

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【速報】東京23区で震度5強 余震・火災にご注意を!

2021-10-07 23:50:07 | 気象・地震
10月7日22時41分頃、首都圏で強い地震があり、東京23区内で震度5強の揺れを観測した。東京23区では、10年前の東日本大震災のときでさえ震度3~4の揺れしか観測していない。今回は首都圏のほとんどの地域で東日本大震災を上回る揺れを記録したものとみられ、首都圏に限れば被害は東日本大震災を上回るおそれがある。

なお、震源は千葉県北西部で、首都圏にきわめて近い場所だった。震源の場所から、北米プレート内部の地震で、震源深さは80km、地震の規模はM6.1。日本周辺では毎月1回程度は起きている規模の地震だが、内陸直下型であることで揺れが大きくなった。

現在まで、身体に感じる余震は観測されていないものの、1週間程度は同程度の余震のおそれがある。また、揺れが大きかったことから、東京都内の混乱は数日続く可能性があり、十分注意してほしい。また、新型コロナはピーク時に比べれば急速に新規感染者を減らしてきたものの、完全に収束したわけではない。避難所などが設けられ、避難する場合には、難しい場合もあるが、できる限り適度な距離も確保すべきだと考える。

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2月13日23時08分頃の福島県沖の地震について

2021-02-14 10:21:29 | 気象・地震
令和3年2月13日23時08分頃の福島県沖の地震について-「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第89報)-(気象庁報道発表)

衝撃的地震から一夜が明け、被害状況が次第に明らかになってきている。確認しておきたいのは、この地域での震度6強かつM7超えの地震は2011年4月8日に起きたもの(M7.4)以来、10年ぶりの規模であるという点だ。

気象庁報道発表を見ると、発震機構(地震のメカニズム)は西南西ー東北東方向に圧力軸を持つ逆断層型で、方向まで含め、東日本大震災と同じである。地震の規模はM7.3で、1995年の阪神・淡路大震災とほぼ同じ。東日本大震災はM9.0である。マグニチュードが1大きくなると、地震の規模は約32倍になるので、今回の地震の持つエネルギーは、東日本大震災のほぼ1000分の1だったことになる。巨大津波が10年前は発生し、今回はしなかったのは、このエネルギーの差にあるとみてよいだろう。

気象庁は、今回の地震について、東日本大震災の余震との見解を示している。同じ震源域でもあるし、そうしておきたいという思惑のようなものも見えるが、当ブログはこの点に関してはやや見解を異にする。

今年1月、政府の地震調査研究推進本部(地震本部)が「長期評価による地震発生確率値の更新について」という資料を公表している。添付資料(PDF版)には日本周辺で発生の可能性がある海溝型地震、活断層型地震の発生予測が示されている。A4で34ページにも及ぶ膨大なものだが、この資料の32ページに注目すべき見解が示されている。大半の読者にとって探すのが面倒な資料だと思うので、当ブログが抜き出して示すと、以下の部分である。



M7.0~7.5クラスの「IIIランク」の地震について、宮城県沖では発生周期が「12.6~14.7年」、発生確率は10年以内に50%、30年以内に90%、50年以内では「90%以上」と示されている(赤囲み部分)。東北の太平洋沖は地震の巣であり、発生確実とされる地震の中にはこのような周期の短いものもある。東日本大震災からまもなく10年ということを考えると、発生周期が10年程度の短い地震の中から、そろそろ「次」が来てもおかしくない状況になっているのである。

気象庁の報道発表資料に戻ると、昨夜発生した地震の震央は、日本海溝(プレート境界)よりかなり西側になっていて、北米プレート内部で発生した地震と評価せざるを得ないようにも思える。海溝型地震とするには、震央が海溝から遠いようにも思われるからだ。だが、観測網の整っている直下型地震と異なり、観測網の脆弱な海底を震源とする地震では後日の調査・研究の進展の結果、震源の位置を含めて見直されることもある。後の調査・研究の結果、昨夜の地震が長期評価に示された「宮城県沖IIIランク地震に該当する」として、データが見直される可能性もあるのだ。

この意味で、当ブログは気象庁の昨夜の発表にある「東日本大震災の余震」との評価には直ちに同意できない。別の新しい地震の可能性もあるということは見ておかなければならないと思う。新たな別の地震の場合、昨夜の地震が前震で、この後に本震が来る、という可能性は捨てきれない。大きな揺れに見舞われた地域では、避難所や避難経路、非常持ち出し品、避難する場合は避難先でのコロナ対策も含め再確認をするなどして備えてほしい。

最後に、地震本部が地震の発生確率をどのような手法で予測しているのかについて、この際、少し述べておこう。簡単に言うと、震源域ごとに過去の地震を調査して、発生の周期性を割り出した上で、前回の地震発生から現在まで何年経過しているかによって今後の発生確率を予測するのである。

子どもの頃、縁日や祭りなどに出かけた際、露店で回転式のおみくじを回した経験は誰しも持っているだろう。白玉ならハズレ、赤玉が出たら当たりで景品がもらえる、というものだ。このおみくじで、例えば10個あたり赤玉が1個(白9、赤1)の割合で玉が入れられており、一度誰かが引いた玉はおみくじ機には戻さない、と仮定しよう。最初の段階では赤玉が出る確率は10%だが、5人引いた段階でいずれも白玉だった場合、その後くじを引く5人の間で赤玉が出る確率は20%に上昇する。8人まで引いても赤が出なかった場合、最後の2人の間では赤玉を引ける確率は50%まで上がる。地震本部の発生予測はこれと同じシンプルな考え方である。平均100年周期の地震が50年起きなかった場合、残り50年間で発生する確率はそれまでの2倍--という形で予測しているのである。それだけに、地震本部の発生予測は比較的よく当たっている。

地震本部がこうした予測確実な手法を用いているにもかかわらず、原発運転差し止めや福島原発事故の賠償を求めた訴訟で半分近い裁判所がそれを「信頼性がない」として採用しないのは謎である。おそらく、運転容認の結論があらかじめ決まっていて、地震本部の予測はその結論と矛盾するため採用できないのであろう。こうした非科学的な判決が続いているのは残念としかいいようがない。3.11からまもなく10年を迎える今、当ブログは、改めて原発は不要であり、全国全原発は廃炉にすべきと強く訴えたい。

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