安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

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●管理人の著作(いずれも共著)
次世代へつなぐ地域の鉄道——国交省検討会提言を批判する(緑風出版)
地域における鉄道の復権─持続可能な社会への展望(緑風出版)
原発を止める55の方法(宝島社)

●管理人の寄稿
月刊『住民と自治』 2022年8月号 住民の足を守ろう―権利としての地域公共交通
核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

●安全問題研究会が、JRグループ再国有化をめざし日本鉄道公団法案を決定!

●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

【管理人よりお知らせ】さっぽろ自由学校「遊」2022年度上半期講座「北海道の問題から地球と共生の未来を考える」第3回講座資料を掲載しました

2022-07-26 21:11:58 | 鉄道・公共交通/交通政策
管理人よりお知らせです。

さっぽろ自由学校「遊」2022年度上半期講座「北海道の問題から地球と共生の未来を考える」第3回講座資料を掲載しました。

さっぽろ自由学校「遊」における2022年度上半期講座「北海道の問題から地球と共生の未来を考える」第3回の講座で、当研究会代表が「北海道における『持続可能な社会』と鉄道復権」と題して講演しました。「遊」からのテーマは、持続可能な環境政策に鉄道をどのように位置づけるべきかというもので、主として環境政策の面から鉄道の優位性を説明、できる限り廃線を避け活用する道を追求しています。紙に印刷する場合は、印刷版PDF資料も用意しています。

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「日本裁判史上最高額」13兆3210億円の弁償命じた東京地裁~法廷に拍手、鳴り止まず

2022-07-14 06:38:51 | 原発問題/一般
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」に発表した記事をそのまま掲載しています。)



 「被告勝俣、被告清水、被告武黒、被告武藤は、東京電力に対し、連帯して、13兆3210億円を支払え」。聞いた瞬間、その想像を絶する金額に、自分が原告でもないのに全身が震えた。朝倉佳秀裁判長は、さらに驚くべきひと言を付け加えた--「この判決は、第1項〔注:13兆3210億円の弁償〕に限り、仮に執行することができる」。

 勝俣恒久元会長、清水正孝元社長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の東京電力旧経営陣に、裁判が控訴で継続している間でも、13兆円を取り立てに行ってよいという仮執行が告げられたのだ。



 東京電力の株主が、福島原発事故の責任を問うため、事故当時の経営者に対し、事故によって生じた損害額を東電に弁償するよう求めた株主代表訴訟の判決が、7月13日午後3時、東京地裁で言い渡された。要求額は実に22兆円。民間企業の支払額をはるかに超えるため、東電株の54%を保有する「親会社」原子力損害賠償・廃炉等支援機構から東電に貸し付けられた金額に相当する。きちんとした根拠のある金額だが、東電の元経営者とはいえ、個人としての支払能力をはるかに超える兆単位の巨額の弁償責任を、司法が本当に認めるかどうかは半信半疑というのが、率直な気持ちだった。

 まさか本当に認めるとは--。あまりの衝撃に以降、読み上げられた判決要旨が頭に入ってこなくなった。それほどの衝撃だった。

 朝倉裁判長は、昨年10月、原発事故担当の裁判官として初めて福島第一原発の敷地内に入った。被害者が損害賠償を求めた民事訴訟で、帰還困難区域を現地視察した裁判官はいる。しかし、福島第一原発構内にまで入ったのは、この裁判長が初めてである。裁判長がこだわった現場検証は、判決の中にしっかり活かされていた。

 原発でひとたび事故が起きれば「我が国そのものの崩壊にもつながりかねない」として、電力会社には「過酷事故を万が一にも防止すべき社会的ないし公益的義務がある」と言い切った。武藤副社長が、津波対策を先送りしたことに対し、他の対策を代わりにとるなら理解もできるが、実際には東電は何もしていなかった、と断じた。研究者の見解について、対策先送りの結論を出す上で都合の良いものだけを見て、都合の悪いものは見ないようにすることにのみ腐心していたとしか思えない、として、東電経営陣4人の「善良な管理者の注意」義務違反を断じた。



 福島事故から11年。確かに事故前は半世紀で住民側が勝訴した原発訴訟は2件のみであり、上級審でそれも覆されたことを考えると、事故後の司法における住民側の勝率は大幅に上がった。だがそれでも、差し止め訴訟は上級審で覆され、結局、再稼働を遅らせる以上の効果は持たなかった。被害者が起こした賠償訴訟も、国の責任を認めたものは「2~3桁少ないのではないか」と思うほど賠償額が低く、賠償額がそれなりに認められたと感じたケースでは国の責任が認められないものが多かった。福島で被害を受けた元県民として、「これで枕を高くして眠れる」と思える納得のいく判決はひとつとしてなかった。

 それが、原子力ムラを一撃で奈落の底に突き落とす画期的判決がこの日、ついに出た。こんな天文学的な額を、経営者が個人の立場で弁償せよという判決が確定すれば、怖くて電力会社の経営者を受ける人などいなくなるだろうと思うが、その重みこそが必要なのだ。福島県民が11年間、1日たりとも途切れることなく抱き続けた苦しみ、悲しみ、怒りを思えば、この判決くらいでちょうどいいというのが、被害者としての率直な感想である。

 午後3時40分、朝倉裁判長が閉廷を告げると、傍聴席、原告席から拍手が起きた。退廷する3人の裁判官に「ありがとうございました!」という声がはっきりと聞こえた。拍手はいつまでも鳴り止まなかった。初めて福島県民、被害者が本当の意味で報われた。北海道からわざわざ上京してまで、聞きに行く価値のある判決だった。11年間、止まっていた被害者の歴史がこの日、ついに動いた。

(文責:黒鉄好)

2022.7.13 東電株主代表訴訟 判決後裁判所前報告

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【転載記事】アベさんに対する銃撃について思うこと(小出裕章さんホームページより)

2022-07-13 22:16:27 | 原発問題/一般
小出裕章さんホームページより

2022年 7 月 9 日

アベさんに対する銃撃について思うこと   小出 裕章

 アベさんが銃撃を受けて死んだ。悲しくはない。アベさんは私が最も嫌う、少なくとも片手で数えられる5人に入る人だった。アベさんがやったことは特定秘密保護法制定、集団的自衛権を認めた戦争法制定、共謀罪創設、フクシマ事故を忘れさせるための東京オリンピック誘致、そしてさらに憲法改悪まで進めようとしていた。彼のしたこと、しようとしてきたことはただただカネ儲け、戦争ができる国への道づくりだった。

 アベさんは弱い立場の国・人達に対しては居丈高になり、強い国・人達に対してはとことん卑屈になる最低の人だった。朝鮮を徹底的にバッシングし、トランプさんにはこびへつらって、彼の言いなりに膨大な武器を購入した。彼は息をするかのように嘘をついた。森友学園、加計学園、桜を観る会、アベノマスク…彼とその取り巻きの利権集団で、国民のカネを、あたかも自分のカネでもあるかのように使い放題にした。それがばれそうになると、丸ごと抱え込んだ官僚組織を使って証拠の隠ぺい、改ざん、廃棄をして自分の罪を逃れた。その中で、自死を強いられる人まで出たが、彼は何の責任も取らないまま逃げおおせた。私は彼の悪行を一つひとつ明らかにし、処罰したいと思ってきた。

 私は一人ひとりの人間は、他にかけがえのないその人であり、殺していい命も、殺されていい命も、一つとして存在していないと公言してきた。アベさんにはこれ以上の悪行を積む前に死んでほしいとは思ったが、殺していいとは思っていなかった。悪行についての責任を取らせることができないまま彼が殺されてしまったことをむしろ残念に思う。

 多くの人が「民主主義社会では許されない蛮行」と言うが、私はその意見に与しない。すべての行為、出来事は歴史の大河の中で生まれる。歴史と切り離して、個々の行為を評価することはもともと誤っている。そもそも日本というこの国が民主主義的であると本気で思っている人がいるとすれば、それこそ不思議である。

 国民、特に若い人たちを貧困に落とし、政治に関して考える力すら奪った。民主主義の根幹は選挙だなどと言いながら、自分に都合のいい小選挙区制を敷き、どんなに低投票率であっても、選挙に勝てば後は好き放題。国民の血税をあたかも自分のカネでもあるかのように、自分と身内にばらまいた。原子力など、どれほどの血税をつぎ込んで無駄にしたか考えるだけでもばかばかしい。日本で作られた57基の原発は全て自由民主党が政権をとっている時に安全だと言って認可された。もちろん福島第一原発だって、安全だとして認可された。その福島原発が事故を起こし、膨大な被害と被害者が出、事故後11年経った今も「原子力緊急事態宣言」が解除できないまま被害者たちが苦難にあえいでいる。それでも、アベさんを含め自民党の誰一人として、そして自民党を支えて原発を推進してきた官僚たちも誰一人として責任を取らない。もちろん裁判所すら原発を許してきた国の組織であり、その裁判所は国の責任を認めないし、東京電力の会長・社長以下の責任も認めない。どんな悲惨な事故を起こしても誰も責任を取らずに済むということをフクシマ事故から学んだ彼らはこれからもまた原子力を推進すると言っている。さらに、これからは軍事費を倍増させ、日本を戦争ができる国にしようとする。

 愚かな国民には愚かな政府。それが民主主義であるというのであれば、そうかもしれない。しかし、それなら、虐げられた人々、抑圧された人々の悲しみはいつの日か爆発する。今回、アベさんを銃撃した人の思いは分からない。でも、何度も言うが、はじめから「許しがたい蛮行」として非難する意見には私は与さない。

 心配なことは、投票日を目前にした参議院選挙に、アベさんが可哀想とかいう意見が反映されてしまわないかということだ。さらに、今回の出来事を理由に、治安維持法、共謀罪などがこれまで以上に強化され、この国がますます非民主主義的で息苦しい国にされてしまうのではないかと私は危惧する。

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【週刊 本の発見】日航123便墜落 圧力隔壁説をくつがえす

2022-07-07 21:07:28 | 書評・本の紹介
(この記事は、当ブログ管理人が「レイバーネット日本」の書評コーナー「週刊 本の発見」に寄稿した内容をそのまま転載したものです。)

【週刊 本の発見】やはりあれは事故ではなく「事件」だった

 『日航123便墜落 圧力隔壁説をくつがえす』(青山透子・著、河出書房新社、1,650円+税、2020年7月)評者:黒鉄好

 毎年、夏が来ると「御巣鷹」を思い出す。事故から37年も経つのに、運輸省航空機事故調査委員会(事故調)の当時の結論である「圧力隔壁崩壊説」に今なお納得していない人はおそらく数万人単位でいると思う。その事故調の「公式見解」に真っ向から挑んだ「過去最大級の問題作」である。

 著者・青山さんは元日航客室乗務員。事故で奇跡的に生還した4人のうちの1人で、「ダッチロール」の言葉とともに日本中に報じられた客室乗務員と同じグループに属していた経験から独自の原因究明活動を続けてきた。

 青山さんが外務省への情報公開請求で得た資料には驚くべき事実が記載されていた。事故わずか2日後の1985年8月14日付けでレーガン米大統領から中曽根康弘首相(いずれも当時)に送られた文書に、外務省職員が「日航機墜落事件に関するレーガン大統領発中曽根首相あて見舞いの書簡」と手書きしている。事故10日後、1985年8月22日付けの別の書類でもやはり公文書の件名が「JAL墜落事件(レーガン大統領よりの見舞電に対する総理よりの謝電)」と記載されている。公文書の件名は、特に慎重な検討を経て、上層部の決裁を受けて決められる。外務省上層部も「事件」と認識していたのだ。

 事故報告書の「別冊」に当たる「航空事故調査報告書付録――JA8119に関する試験研究資料」にも、1985年8月12日午後6時24分35.07秒に「異常外力」が発生したとの驚くべき記載がある。それはまさに「ドーン」という異常音がボイスレコーダーに記録されているのと同じ時間だ。垂直尾翼のほぼ中央部、異常外力が発生した場所を「異常外力着力点」として図示までしている。この日、ここで何らかの異常外力が発生したことが公文書で示されている。

 青山さんは直接事故原因と断定していないが、「圧力隔壁説否定派」が123便に衝突したと主張する「謎のオレンジ色の物体」として自衛隊の無人標的機「チャカII」の写真が巻頭カラーで掲載されている。国が関係文書の公開に応じないため証拠はないが、圧力隔壁より垂直尾翼が先に壊れたとする説に立てば、墜落現場の特定が難航したことなど、当時の不可解な出来事の多くを論理的に説明できる。事故調報告肯定派は自衛隊関与を「陰謀論」と切って捨てるが、事故調が正しいと思うなら相模湾沖に沈んでいるとわかっている垂直尾翼の引き揚げをなぜ国に求めないのか。知床遊覧船だって国費で引き揚げたのだから、できない理由などないはずだ。

 青山さんは今、遺族のひとり、吉備素子さんらとともに「日航123便墜落の真相を明らかにする会」を結成し、国に情報公開を求める活動を続ける。実を結ぶためには、全国からの支援が必要だ。

 余談だが、安全問題研究会のブログで本書を紹介した直後、記事に不満を持つ匿名の人物から、私宛に記事のアドレスとともに「死ね」というメールが送られてきた。この事故、いや「事件」の裏にはやはり何かがある。

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