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暴走車による悲惨な交通事故~自動車ファーストの道路政策改め幼い命守れ~

2019-05-27 21:45:15 | 鉄道・公共交通/交通政策
(この記事は、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」2019年6月号に発表した原稿をそのまま掲載しています。なお、管理人の判断により「原稿アーカイブ」ではなく「鉄道・公共交通/交通政策」カテゴリで掲載しました。)

 暴走車が歩道の歩行者を襲い、歩行者が死亡する悲惨な事故の報道が続いている。とりわけ今年4月、東京・池袋で87歳の高齢者が母子を死亡させた事故では、ドライバーが元通産省工業技術院長を務めた高級官僚で勲章受章者、しかも逮捕されず任意の事情聴取にとどまっていることもあいまって「上級国民は逮捕されない」という言説が広まり、激しいバッシングが続いている。5月8日には、滋賀県大津市でも園児の列に暴走車が突っ込み、幼い2つの命が失われた。

 交通事故それ自体は自動車の発達とともに昔からある問題だし、高度成長期には交通事故死者数が年間1万人を超え、交通戦争といわれた時期もあった。対照的に、ここ数年は年間の交通事故死者数が4千人を割り込んでおり、交通戦争は遠い昔の記憶になったということもできるだろう。もちろんそれでも、日本国内に限れば2005年12月のJR羽越線脱線事故以降1人の死者も出していない鉄道、1985年の日航機墜落事故以降、34年間にわたって1人の死者も出していない航空機と比べると自動車が巨大な「生命の無駄遣い」をしている事実には何ら変わりがないのである。

 それにもかかわらず、連日のメディア報道が続くのは、事故の“質”に大きな変化が生まれているからである。「交通戦争」時代は運転経験の未熟な若者がハンドルを握る車が子どもや高齢者をはねるというケースが比較的多かった。しかし最近は、身体機能や判断力の衰えた高齢者がハンドルを握る車が子どもや母子をはねるというケースが激増しているのである。子どもが犠牲者なのは今も昔も同じだが、かつてはたいていの場合被害者だった高齢者が加害者へと逆転。いささか失礼な言い方になるが「余命幾ばくもない高齢者の手で未来ある母子の命が次々に絶たれる」という“悲劇性”がメディア報道激増の背景にあるとみて間違いない。

 ●「自動車ファースト」の交通政策に有識者からも批判

 なぜ悲惨な事故が続くのか。交通戦争の時代から半世紀近く経つのになぜ状況が好転しないのか。

 栗生俊一警察庁長官は5月9日の記者会見で「日本の交通死亡事故は、諸外国に比べ歩行者が犠牲になる割合が高い」と述べたが、これを裏付けるデータがある。「国際道路交通事故データベース」(IRTAD)対象30カ国の中で「乗用車乗車中」つまりドライバーの人口10万人当たり死者数では、日本は3.8(2015年)と10番目に少ない。ノルウェー(1位)、スウェーデン(2位)、英国(3位)などには及ばないものの先進国水準といえる。

 しかし、これが歩行者となると事情は一変する。日本では交通事故死者数に占める歩行者の比率が37.3%もある。諸外国を見ると、スウェーデンは10.8%、ドイツ15.5%。島国で狭い道路が多いなど日本と事情が似ている英国でも23.7%だ。IRTAD対象30カ国の中でも交通事故死者に占める歩行者の割合が突出している。やや乱暴に例えるなら、他の先進国では自動車が「走る棺桶」であるのに対し、日本は「走る凶器」なのだ。

 こうした事態を引き起こしている原因を自動車優先、歩行者軽視の道路行政に求める識者は多い。ジャーナリストの窪田順生さんは、「歩道は狭過ぎて混雑し過ぎ。そして、なぜ道路を渡るのに、僕が階段を上らなければならないのか? 車が優先されていることに、僕は憤りを覚えた」というコリン・ジョイス氏(ニューズウィーク日本版コラム担当)の意見を紹介。訪日客を含む外国人の目には日本の道路とりわけ歩道の狭さが異様な光景に見えていることを指摘した。すれ違うと肩がぶつかったり、ベビーカーを押していると急いでいる人に舌打ちされたりする状況は異常だし、私自身、ただでさえ狭い道路に電柱が建っているところでは、雨の日に傘も通らなかった経験がある。そのときは「傘も通らないなんて、ここは収容所か」と思ったものだ。

 「ハンドルを握る高齢者の多くが、行き先はせいぜい数百メートル先のスーパーか商店街。そんな近くなら歩いて行け」と憤る意見もインターネット上には散見されるが、私のような若い世代でさえ収容所に押し込められているような感覚に襲われ、歩くのがイヤになる狭い歩道をわざわざ歩いてまで外出したいと思う高齢者はいないだろう。数分も歩けばたどり着くような至近距離でもわざわざ車に乗る高齢者が後を絶たない現状を、単なる心身の衰えだけで説明するのは難しい。非人道的なレベルで狭い歩道を歩きたくないというのも動機なのではないかと思われる。

 『道路が、ただ車を通すために計画され、豊かで多様な生活が奪われ、商業主義に毒されているところに、今日の都市の危機がある。人間のもっとも基本的な権利である歩行さえ安心して行えず、不断に警戒し、注意するのでなければ生命をおびやかされ、一家を塗炭の苦しみにおとしいれるような都市に、誰が誇りと愛着を感じるであろうか。そのような都市で、どうして市民の連帯をはぐくむことができようか。』

 これは、東京都総合交通対策担当専門委員報告『総合交通対策について』(都企画調整局総合交通対策室)からの引用である。オイルショック直前の1973年6月にまとめられた内容だが、私たちはこの報告に2つの意味で驚かされる。1つは言うまでもなくこの報告が持つ先見性だ。上記の一節を引用した廣岡治哉法政大学経営学部教授(当時)はこの報告を根拠に「歩行権」を新たな基本的人権に位置づける。

 もうひとつは、この報告から半世紀が経った現在も状況がまったく改善せず、当時と同じことが繰り返されている日本社会の絶望的なまでの進歩のなさだ。道路整備費を含む公共事業費はこの間、毎年4~5兆円を占め、国債費を除けば50兆円程度しかない日本の財政収入の実に1割を占めてきた。毎年毎年、これだけ投じられた巨額の道路整備費はいったいどこに消えたのか。こんなに巨費を投じたのに、なぜ今なお日本の歩道は雨の日に傘も通らないほど狭く劣悪なのか。

 この無駄遣いを早い段階で改め、公共交通の整備に予算を振り向けていれば、ローカル交通は充実し、これだけの幼い命が失われることも、移動の足を失った人たちが大量に都市へ移動することもなく、日本の国土はもっと都市と地方の均衡が取れた理想的な社会へと変貌していたに違いないのだ。

 2009年に民主党政権が成立して今年で10年を迎える。民主党政権の3年半が「悪夢」だったかどうかをめぐって政界では政策そっちのけの罵り合いが続いているが、少なくともこの政権が掲げた「コンクリートから人へ」のスローガンが間違っていたとは私はまったく思わない。国交省によれば、建設業界で働く人は今なお500万人以上いる。家族を含めれば少なくとも建設業を生活の糧にする人は1000万人を下らないだろう。この裾野の広さと利害関係者の多さこそ、コンクリートから人への転換を妨げてきた要因に違いない。すべての建設業界が公共事業で食べているわけではないとしても、私が仮に政治家で「公共事業を全廃して、突然1000万人が路頭に迷う事態になってもあなたは公共事業全廃を決断しますか」と聞かれたら、ハイとは答えられない。少なくとも削減は段階的でなければならないという結論に達するだろう。

 それでも、半世紀近くにわたって小さな命が毎週のように奪われる事態を放置しておいてよいわけがない。前出の窪田さんは当面の対策として(1)歩道の広さを見直し、ガードレールを整備、(2)子どもの多い通学路などは、時間帯によって進入制限や速度制限を設ける――等を提案している。小手先の対策であり抜本的な改革とはならないが、できることからすぐに始めるべきである。

 ●暴走事故の多い「プリウス」

 ところで、自動車メーカーから多額の献金を受ける政治家も、多額の広告費で稼いでいる大手メディアも絶対に指摘しない事実がある。暴走事故の多くがトヨタ「プリウス」なのだ。「上級国民」とネットで袋叩きにされている元工業技術院長が事故を起こしたのもプリウスだった。事故が起きるたび、警察はトヨタを立ち会わせて実況見分を繰り返しては「誤動作はなかった」で終わらせている。だが、特定の1車種になぜこれほど暴走事故が集中するのかはもっと社会問題にされるべきテーマだと思う。

 自動車に詳しい識者からはいくつか事故につながりかねない原因が指摘されている。シフトレバー操作後、他の車種では切り替えたレンジでレバーが固定されるのに対し、プリウスは切り替え後「N」(ニュートラル)の位置に戻ってしまうため、現在どこに切り替わっているのかをパネル表示でしか確認できないなど視認性に問題があるという見方や、小型車体なのに車内空間を広く確保する目的でタイヤハウスの上まで運転席が来るなど他の車種ではあり得ない構造になっており、そのために他の車種であればブレーキがあるような位置にアクセルがあり、ペダルの踏み間違いが起きやすいのではないかと指摘する声もある。トヨタは実況見分のたびに「誤動作はない」で終わらせているが、安全性とは単に誤動作が起きないことだけを意味するのではない。人間工学的な見地からドライバーが最も快適に、かつ最も正確に操作できるような構造に近づけることも安全性向上に重要であり、鉄道車両や航空機の機体といった公共交通の分野では当たり前のこととして行われている。

 インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」には、既にこうした視点からプリウス問題を指摘し、告発する動画の投稿が始まっており、アクセス数も増えてきている。もしトヨタがこうした現実を直視せず「我々は誤動作のないように造っているのだから、誤操作をするドライバーが悪い」という姿勢をとり続けるなら、トヨタへの大規模な社会的批判に発展することは避けられないだろう。安全問題研究会としても、それほど遠くない時期にプリウスの実態調査を含め検討している。

 ●高齢者の免許返納は幼い命を救うか

 いつまで経ってもやむことのない高齢ドライバーの事故を受けて、高齢者の免許返納を求める社会的圧力が増している。すでに、71歳以上のドライバーの免許の有効期限は短縮され、免許更新時に70歳以上は高齢者講習受講が、75歳以上は高齢者講習受講に加え認知機能検査受検が義務づけられた。認知機能検査で疑わしいとされたドライバーは専門医の診察を受け、医師の判断で免許返納が望ましいとされた場合は返納させられる。2017年には認知機能検査の厳格化により、75歳以上のドライバーの実に1割が免許返納となった。

 問題は、くだんの工業技術院長のように認知機能検査で決定的な異常が出ないながらも、本人の自覚する心身の衰えと実際のそれとの間に大きな乖離があるケースだと思う。最近は元気なうちから免許返納に踏み切る人も増えたが、そうした人は自分の現状をきちんと客観視できるからこそそのような行動が可能になるのである。やや意地悪な言い方をすれば「返納する必要がない人ほど返納し、真に返納が必要な人はなかなかしない」という状況が生まれている。ここでもまた世の中というものは上手くいかないようにできているのである。

 もうひとつ指摘しなければならないのは、免許返納したくても自動車以外の交通手段がないためできないという現実も地方にはあるということである。公共交通なんて、いつ廃止されたかも思い出せないほどとうの昔になくなってしまった地方で、車を取り上げることは高齢者に死刑宣告をするようなものだ。幼い命を奪う危険性を理解していても「乗らざるを得ない」という現実をどのようにしていくかの議論が、免許問題と別に必要である。

 公共交通をもう一度整備し、再建していくことが有力な選択肢となるが、このようなことを言うと「誰も乗らない公共交通にカネを出すなんて無駄」という批判、反論がすぐに出される。これは北海道で現在、問題とされている「維持困難路線」の廃止を推進する立場の論者にとっては有力な根拠となっている。ただでさえ少子高齢化で生まれる子どもの数はピーク時の半分にまで落ち込んでいるのに、そのかけがえのない命が公共交通未整備の「代償」に差し出されているという現実を直視すべきであろう。このような現実を直視もせず、半世紀で数百兆円もの道路整備費、公共事業費を浪費しながら50年前と同じ悲劇が今なお続く道路行政を変えることもできなかったみずからの責任を棚に上げ、歩くのも嫌になるような狭苦しい道路に「鉄道を廃止してバスでも走らせておけ」と主張するような愚か者は今すぐ政治の表舞台から退場すべきである。

 『公共交通機関のサービスの利用可能性が潜在的利用者にも与えられるという非市場的外部効果がある場合、公共交通機関にはサービス提供義務が課せられており、潜在的利用者に対する排除原則の適用が制度的に退けられているから、この利用可能性は公共財的性格を持ち、公共補助の根拠となる』。前出の廣岡教授の著書『市民と交通~現在の交通問題とその背景』ではこのようにして公共交通機関に対する政府からの補助金交付に正当性を与えている。経済学の知識のない人々には難解な表現だが、平易な表現に直せばこのようになる。『公共交通機関は、いつでも乗れるサービスであるために、誰かが乗る可能性がある場合には運行されなければならないが、運行を行ってみて結果的に誰も乗らなかった場合、乗らなかった人から運賃を徴収することはできないため、市場原理に委ねていてはいずれ運行そのものが不可能となる。そこで、誰もがいつでも乗りたいときに乗れるように一定の頻度で運行が行われるという公共交通機関の運行の実態そのものに公共財的性格を認めて補助金を支給することには根拠がある』。

 この本は今から32年も前の1987年に出版されている。国鉄がJRグループに分割解体された年だが、新自由主義の嵐が吹き荒れる前夜にもこうした冷静な考察が行われていることには注目すべきであろう。もちろん、ここで展開されている理論が現在でも有効であることは言うまでもない。

<参考資料・文献>
 日本の交通事故死者数と諸外国との比較については、平成29年版交通安全白書(内閣府)を参考にした。

(黒鉄好・2019年5月26日)

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【怒りの告発】「福島の人の前で原発推進と言えるか」と問われ「言えます。放射能は正しく恐れろ」と放言した史上最悪の大老害、南直哉(元東電社長)は今すぐ地球から出ていけ!

2019-05-26 23:03:59 | 原発問題/一般
許しがたい暴言が飛び出した。もう有料会員限定記事であることなどどうでもいい。全文晒し上げ、徹底的に糾弾する。

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東電元社長、原発の必要性に異例の言及 「必要悪だ」(朝日)

 政策シンクタンク「構想日本」が24日に東京都内で開いた原発問題をテーマにしたフォーラムに、元東京電力社長の南直哉(のぶや)氏(83)が参加し、原発の必要性を語った。2011年3月の福島第一原発の事故以降、東電の社長経験者が大衆の前で原発政策について語るのはまれだ。

 南氏は一般の参加者として、傍聴席の最前列に着席。開始から約1時間後、司会者からコメントを求められ、約90人を前に述べた。

 「地球上で今70億を超える人間がいて、現在でも十数億人は電力が欲しいけれども恩恵にあずかれないでいる。電力が足りないとき、エネルギー源として原子力なしでやれるかどうか。足りないとき原子力をどう考えるか。安全にするにはどうしたらいいかという議論が改めて必要だ」

 コメントは地球温暖化問題や産業革命の歴史などにも及び約10分。参加者は静かに聞いていた。

 この日のフォーラムは、松江市民が構想日本の協力のもと昨年11月から4回にわたり、中国電力島根原発の再稼働問題を「自分ごと」として話し合ってきた会議の報告がテーマだった。南氏も3回目に松江市を訪れ傍聴したという。

 南氏は「福島であの(松江のような)会議を開こうと思ったら不可能だったであろう。松江はすごいとつくづく思った」ともコメントした。

 フォーラム後、南氏は取材に対し「原子力がなくて済むなら、それにこしたことはないが、私は必要悪だと思っている」と説明。福島の事故後も考えに変化はないのか確認すると、「全く変わっていない。何十年も考え抜いた結論だ」。福島の人の前で同じ主張ができるか尋ねると、「もちろん言えますよ。専門家が言っていますが、放射能は正しく恐れたほうがいい」と話した。

 南氏は東電の企画部長などを経て1999年6月に東電社長に就任。2002年4月の朝日新聞社のインタビューには「原子力事業は高くついたとしても推進する必要がある」などと話していた。同年8月に同社原発で大量の「トラブル隠し」が発覚すると、会長だった荒木浩氏や、相談役だった平岩外四、那須翔両氏らとともに、経営責任を取って辞任した。(編集委員・大月規義)
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この惨劇を前にして原子力は必要という感覚自体、とうてい理解できないし、第一、電力不足に苦しんでいるのは海外の人々なのに、それを日本国内での原発の必要性に結びつけて議論する理由もまったくわからない。南氏はおそらく「国内の話はしていない」という腹づもりなのだろうが、福島の放射能汚染問題と絡めてみずから発言しているのだから、そんな理屈は通らない。

それに、佐藤栄佐久県知事時代にさんざん事故隠しやウソ・隠蔽を繰り返した挙げ句に原発停止に追い込まれ、引責辞任した輩が今ごろになってのこのこ人前に出てきて、何を意味不明な能書きを垂れているのだ。福島事故がたび重なる隠蔽・ごまかし・はぐらかし、無責任に無反省の結果だったことを今では誰でも知っている。そもそもこの事故隠しの時にお前がきちんとした対策を取っていたら、3.11での福島原発事故はなかったかもしれないのだ。

当ブログははっきり言う。福島原発事故はお前の責任だ。福島の人の前で放射能を正しく恐れろなどと犯罪企業の元責任者の分際で説教するなど100兆年早い。そこまで言うなら、福島で事故後2年生活し、塗炭の苦しみを味わった当ブログ管理人が福島で待っているから、自分の前で同じことを言ってみろ。福島への賠償21兆円、将来に向けた廃炉費用70兆円すべてお前が全私財をなげうって払え。原子炉の中に裸で入り、燃料デブリを素手でつかんで片付け、無害化するまで10万年、最後まできっちり見届けろ。お前の話を聞くのはその後だ。83歳にもなって事故の重大さも脱原発に向かう社会情勢の変化も理解できないお前のような輩は地球から今すぐ出ていけ!

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【金曜恒例】反原発北海道庁前行動(通算338回目)でのスピーチ/テロ対策工事遅れで再び原発ゼロが幕を開ける!

2019-05-24 21:42:27 | 原発問題/一般
 皆さんお疲れさまです。

 原子力規制委員会は4月24日、原発を持つ電力会社との意見交換会を開催し、特定重大事故等対象施設(いわゆるテロ対策施設)が工事認可から5年経っても完成しない場合、稼働中の原発であっても停止させる方針を決めました。更田豊志委員長ら規制委員3人一致の結論です。

 今回の事態は、福島原発事故を受けて2013年に施行された新規制基準により、テロ対策施設の設置が義務づけられたことに始まりました。大型航空機の衝突を受けた際などに原子炉を遠隔で冷却する緊急時制御室を設けることが再稼働の条件とされたのです。

 この対策の期限は新規制基準の施行から5年で、本来なら2018年7月までに終えていなければなりませんでした。しかし規制委は、新規制基準に基づく原発本体の審査が遅れていることを理由として2015年、「工事認可」から5年以内に勝手に変更しました。再稼働審査が遅れているのは規制委の責任だから工事認可を5年のスタートラインにしてもよいというもので、安全審査の趣旨からすれば本来あってはならない逸脱といえます。

 この日の意見交換会では、電力会社から前例のない施設であり工事が予想以上に大規模になっているため期限の再延長を求める意見が出されたそうです。しかし規制委は「前例のない施設というが、前例のない事故を経験した国だから事故の反省に立って出てきたもの」(更田委員長)、「工事をやってみたら大変でしたというのは理由にならない」(伴信彦委員)などとして認めませんでした。3.11を経験したのですから当たり前です。

 原発のテロ対策施設に前例はあります。例えば米国では、ハイジャックされた大型機の衝突によって世界貿易センタービルが破壊された9・11テロ後、大型機が原発に衝突しても原子炉が破壊されることがないようにすることを原発稼働の条件とする基準が原子力規制委員会(NRC)により策定されました。米国原子炉メーカー、ゼネラル・エレクトロニック社元技術者の佐藤暁(さとし)さんは「NRCの場合、対策の猶予を認める場合であっても代替策がきちんと機能するかどうか厳しく審査する」と指摘します。工事の遅れを理由に代替策もないままテロ対策の猶予を認めてきた日本との大きな違いです。

 福島原発事故では、原子炉自体は破壊されなくても、原発が全電源喪失に追い込まれれば炉心溶融につながることが示されました。原発内でのテロ対策に万全を期しても、遠く離れた送電線や送電設備が破壊されては意味がありません。原発敷地内だけの対策ではテロを防ぎ切れないのが現実なのです。

 規制委は電力会社に電源の多重化・分散を求めていますが、泊原発(北海道)のように非常用ディーゼル発電装置への電源コードの固定が不十分だった実例もあります。福島原発事故前と同じく「国に甘えれば認めてもらえる」と考え、事故から何も学ばない電力会社に原発を動かす資格はありません。

 福島原発事故後に再稼働した原発は今、全国で9基あります。高浜3・4号機、大飯3・4号機(関西電力)、伊方3号機(四国電力)、玄海3・4号機、川内1・2号機(九州電力)のすべてで工事は期限より1年~2年半程度遅れると見込まれています。関電ではテロ対策工事を週末休日返上、二交代制で行っていて、他の電力会社も含め、これ以上工事のペースを速めることは事実上不可能だからです。規制委の姿勢が変わらなければ来年春以降、9基すべてが停止に追い込まれ、再び原発ゼロが実現することになります。

 脱原発弁護団全国連絡会は4月23日、「特定重大事故等対処施設の完成期限超過に対して毅然とした措置を求める声明」を発表しました。延長された猶予期間すら守れず、期限再延長を求める関電、四電、九電3社の姿勢を「周辺住民のみならず、全国民に対する許しがたい裏切り行為」と批判。福島原発事故が「耐震バックチェックにおいて当初定めていた3年という期限を経過し長期にわたり基準不適合状態となった原発の運転を、なし崩し的に認めていたことによって発生したもの」と検証した上で、「期限を超過した基準不適合状態の原発の運転をなし崩し的に認めていては、(中略)近い将来に福島原発事故のような深刻な事故を繰り返す」として規制委に「毅然とした措置」を求めました。

 テロ対策を理由とした今回の原発停止の本当の目的が東京五輪のためだとする見方も一部にあります。しかし、何はともあれ原発ゼロの時代が再びやってきます。これを一時的なものに終わらせず、恒久的な原発廃止、廃炉につなげるために頑張っていきましょう。

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【金曜恒例】反原発北海道庁前行動(通算337回目)でのスピーチ/原発事故後、長く続く被害者の精神的苦痛

2019-05-18 10:09:41 | 原発問題/一般
 皆さんお疲れさまです。

 少し前になりますが、今年3月13日、順天堂大学大学院医学研究科・公衆衛生学の野田愛准教授、谷川武教授らの研究グループが、福島原発事故に伴う精神面への影響に関する調査研究結果を米国の医学雑誌“Sleep”で発表しました。

 事故直後から福島第一原発・第二原発作業員のメンタルヘルス、不眠症状等について追跡調査を実施した結果、原子力災害関連体験による不眠症状が、非常に強く持続することが明らかにされました。具体的には、(1)原子力災害関連体験による不眠症状は災害から3年経過しても強く持続する、(2)原子力災害関連体験は特に入眠障害(なかなか寝付けない)に影響している、(3)「差別・中傷」といった社会的批判は、惨事ストレス、被災者体験による影響を受けながら、全ての不眠症状(入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒)に関連している――というものです。

 この調査は、さらにいくつか重要な事実を明らかにしています。自分の命に直接、危険が迫る経験である「惨事ストレス」による不眠症状は、事故から年月が経つにつれて軽くなっているのに対し、財産喪失や自宅からの避難に伴う「被災者体験」や、差別・中傷等の「社会的批判」を受けた人はそうでない人に比べ、3年経った2014年の段階でも不眠症状が続いていたことです。特に大きな影響を与えているのが「社会的批判」で、入眠障害(なかなか寝付けない)、中途覚醒(途中で目が覚める)、早朝覚醒(明け方に目を覚ましてしまう)のすべてに影響を与えていることがわかりました。家族・同僚の死亡が不眠にまったく影響を与えていないとの結果が出ているのと比べ、あまりに対照的です。

 この調査結果の概要は、順天堂大学のホームページから見ることができます。医学部も持っている伝統ある大学の調査であり、またこの大学出身の人がいわゆる「原子力ムラ」界隈にほとんど送り込まれていないことを考えると、信頼できる調査結果だと思います。

 私にとってこの調査結果が衝撃的だったのは、事故の直接的な体験よりも、その後の誹謗中傷のほうが被害者に大きなダメージを与えているということです。「カネをもらったくせに被害者面するな」「被害者ビジネス」「賠償金のせいで俺たちの電気代が上がる」などの誹謗中傷はネットでは毎日のように行われています。事故の直接的経験、惨事ストレスは時間とともに風化しますが、ネットを中心とした被害者への誹謗中傷は終わりがなく続いていることを考えると、時間が経っても不眠が改善しないのはむしろ当然のように思います。

 被害者の名誉のため述べておかなければなりませんが、こうした誹謗中傷の大半は事実に基づかない「フェイク」です。原発立地自治体に国から支給されている補助金は自治体が受け取るもので住民は受け取っていないからです。そのおかげで身の丈に合わない豪華な公共施設が建ち、住民が恩恵に浴してきた部分もありますが、そのツケは自治体の膨大な借金となって住民にのしかかっています。立地自治体のこうした状況を知っていれば、住民にとって恩恵とばかりはいっていられない状況がすぐに理解できるはずです。事故後の賠償も不十分で、仕事を失った人、農業を続けられなくなり自殺した農家なども大勢いることを考えると、そうした誹謗中傷をしている人の口を縫い付けてやりたくなります。

 賠償金で電気代が上がること自体はあるとしても、それは危険な原発を安全対策も取らずに動かしてきた国や東電の責任です。東電を倒産させ、カネを貸してきた銀行、欠陥原子炉を造って納入したメーカーなどにきっちり責任を取らせれば、電気代への波及などさせないで済むのです。そうした正当な政策を取らず、原子力損害賠償・廃炉等支援機構から東電への賠償資金を交付ではなく貸付にして「電気代で稼いで返せ」といういびつな制度設計にしたことが、被害者への誹謗中傷という2次被害を生む原因になっているのです。

 事実に基づかない、こうした野放図で乱暴な書き込みにきちんと対処するどころか、「すべてのコメントが一覧表示できる」スマホアプリなどを配信し、むしろ積極的に推奨しているヤフーなどのニュースメディアに対しては、そろそろ社会的制裁が必要な段階に来ているといえるでしょう。コメント欄を閉鎖するまで絶対に利用しないという強い決意でボイコットすること、無根拠な誹謗中傷コメントに対して批判し、謝罪を求めていくこともそろそろ考えなければならないと思います。誹謗中傷コメントを書き込んだ者を割り出し、彼らに被害者の治療費を払わせる仕組みを作ってはどうでしょうか。

 今回の順天堂大学の調査では触れられていませんが、福島現地で原発事故を経験した私にとって、もうひとつ重要なことが指摘されているように思います。それは、加害者の側から提供される「心のケア」は被害者を悪化させるだけだということです。国も県も、被害者が本当に求めている森林除染や営業損害の補償、避難者への住宅支援といった対策はおざなりにしたまま「心のケア」ばかり強調しています。しかし、原発を造り、誘致した加害者である国や県が声高に「心のケア」を叫べば叫ぶほど、被害者の精神状態は悪化することはあっても改善することはないでしょう。加害者による「心のケア」は被害者にとっては2次加害行為に過ぎないからです。原発導入を決めた人、造った人、推進のためウソをついてきた人、原発で儲けてきた人、これらすべての加害者たちが潔く原子力の第一線から退場し、原発を推進した過去のない、「汚れていない」人たちが中心となって始めるまったく新しい心のケアでない限り、福島の被害者の皆さんを本当の意味で癒やすことにはならないと私は思います。

 かく言う私自身も、毎年3月が近づくと決まって眠れなくなります。3月頃から始まった不眠は、5月の連休前まで続くことが多く、今年も不本意ながら睡眠導入剤の世話になってしまいました。この道庁前に集う皆さんは理解ある方々ですが、一般の人になかなか伝わっていないことも事実です。ぜひ、今日ここで聞いた話を多くの人にしていただきたいと思います。

≪参考文献・資料≫
原子力災害関連体験による不眠症状は強く持続する~福島原子力発電所員の追跡調査から~(順天堂大学)

原子力災害関連の体験によって強く持続する不眠症状(関連記事、Dime)

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【管理人よりお知らせ】国鉄労働会館パンフレット「地方交通線存続の課題と提言」を公開しました

2019-05-11 16:24:39 | 鉄道・公共交通/交通政策
管理人よりお知らせです。

北海道のローカル線の約半分が「JR北海道単独では維持困難」と公表されたことを受け、一般財団法人「国鉄労働会館」がJR北海道研究会への委託研究事業の一環として、2018年9月にパンフレット「地方交通線存続の課題と提言」を発行しました。

北海道の鉄道の成り立ちから地域とともに発展~衰退してきた歴史、ローカル線問題の発生の背景から解決策に至るまで、北海道ローカル線を存続させるための課題と提言を約80ページにまとめています。問題を正しく理解する上で必見の資料ですが、国鉄労働会館でもごく少ない部数しか刊行されていない模様で、これほど価値ある資料なのにほとんど誰の目にも触れていないのは本当に残念なことです。

そこで今回、安全問題研究会ではこの資料をPDFデータ化し、公表することとしました。JR北海道の何が今、問題となっているのか、解決はどちらの方向に向けて行われるべきか、そもそも解決策はあるのか等、知りたい人にとって格好の材料となるでしょう。安全問題研究会公式サイト内に設けた専用コーナーから全文の閲覧・ダウンロードができます。

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5/10の日向灘を震源とする地震について

2019-05-11 13:16:18 | 気象・地震
令和元年5月10日08時48分頃の日向灘の地震について(気象庁報道発表)

5月10日午前、日向灘を震源とする地震があった。実は、当ブログはこの海域での地震が近々、あるのではないかと3月頃から注目していた。過去の地震履歴を見ていただくと分かるが、2018年に17回、2017年に21回しか発生しなかった日向灘を震源とする地震が今年に入り急増。2019年3月だけで9回も起きていたからだ。

気象庁は南海トラフ地震との関連はないと言い、M6.8以上になると開催される「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」も今回の地震がM6.3だったことから開かないとするが、あまりに甘いという気がする。遠くない将来に南海トラフ巨大地震が発生した後になって「今から思えば、これも中長期的前兆現象のひとつだった」と言われる地震にこの地震がなることは確実だ。その意味で、「あわや初の南海トラフ臨時情報 「気持ちの悪い」日向灘の地震」(5/10THE PAGE記事)の中で気象庁職員が漏らした「もしかしたら…と考えさせられるケースで、その意味では少し気持ち悪い地震。改めて臨時情報が発表された時にあわてないようにしておく必要性を感じた」という言葉は偽らざる心境だろう。

もともと、フィリピン海プレートがユーラシアプレートの下に潜り込んでいる日向灘は地震の巣といわれており、私が子どもの頃はもっと地震が多かった印象がある。それを裏付けるように、冒頭の気象庁の報道発表(5ページ目左下の図)では、この海域でのM7以上の地震は1941年、1968年、1984年とほぼ20年周期で起きているのに、これを最後に35年間1度も起きていない。今までがそもそも静かすぎたと考えるべきであり、そろそろ「次」を想定しておかなければならない時期に来ている。

この地震の後も余震と見られる地震が続いている。そのすべてがM4を超えており、地震のエネルギーに衰えが見られないのも気がかりだ。今朝もM4.9の地震があったが、震源の深さが40kmと若干、深い場所に移動する兆しが見られるのも気になるところだ。

南海トラフ地震の震源域に当たる場所で、このところM5~6程度の地震の起きるペースが速まっている。南海トラフ地震の発生は「かなり差し迫っている」と判断せざるを得ない状況になってきた。これから地震発生までにどのような準備ができるかが、発生後の生死や困難度を分けると思う。太平洋沿岸地域の人は真剣に準備をしてほしい。

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【転載記事】IPPNW共同会長/ICAN創立者・ティルマン・ラフ医学博士の論評 「フクシマ原子力災害から8年」

2019-05-08 00:13:32 | 原発問題/一般
はじめに

IPPNW (核戦争防止国際医師会議)は、1980年に設立されて以来、核戦争を医師の立場から防止するために活動してきた国際組織であり、1985年にはその功績を認められてノーベル平和賞を受賞した。2007年、IPPNWを母体にして、ICAN (核兵器廃絶国際キャンペーン)が発足した。ICANは、核兵器禁止条約の採択に貢献した功績などを認められて、2017年にノーベル平和賞を受賞した。ご紹介させていただく論評の著者であるティルマン・ラフ氏は、IPPNWの共同会長でありICANの創立者でもある。

論評は、今も進行中であるフクシマ大惨事を包括的に捉え、その実相を浮き彫りにしている。そして、わたしたちに様々な疑問を投げかけている。それらの疑問は、政府および原子力規制機関のフクシマ対策/原子力対策のあり方、収束の見込みの薄いフクシマ災害、東京オリンピック招致をめぐるスキャンダル、放射線が及ぼす健康被害、避難者の人権・健康への権利、などに及ぶ。ラフ氏は、このクリティカルな論評を通して、核エネルギーの危険性について、鋭い警報を鳴らし響かせている。

なお、論評を日本語訳することについては、ティルマン・ラフ氏から許諾を受けている。原文へのリンク

フクシマ原子力災害から8年
著者:ティルマン・ラフ (Tilman Ruff)

〈 医学博士/ IPPNW共同会長 / ICAN創設者 / メルボルン大学准教授 〉

(日本語訳:グローガー理恵)

2019年3月11日

今も進行中の福島第一原発事故は2011年3月11日に始まった

世界で最も複雑な核災害が発生してから8年。損壊された福島第一原発と核燃料プールからは、いまだに、放射能が漏洩し続け、危険であり、膨大な量の放射能汚染水が止まることなく蓄積されていっている。毎日、約8,000人の労働者がクリーンアップ作業に従事し、クリーンアップの作業は今後も、何十年もの間にわたり続行されていかねばならない。被ばくした人々のニーズは、いまだに無視され、東電と行政機関の過失がフクシマ原子力災害の根源的原因であったにもかかわらず、その責任を問われて刑務所に入っている者は一人もいない。留意しなけばならないフクシマ核災害の教訓の殆どが、いまだに軽視されている。

日本で最初の独立した調査委員会である国会事故調査委員会 (東京電力福島原子力発電所事故調査委員会)の委員長を務めた黒川 清教授は、最近、「2012年に国会事故調の提言が国会に提出されて以来、有意な進捗がほとんど見られなかった 」と、論文に書いている。[1] 彼は、(これまでに為された)規制組織の変革を「単なる表面的な模様替え(コズメティック・チェンジ)にすぎない」と評している。日本の原子力規制機関が一般市民の安全を守ることよりも原子力産業の利益のために奉仕していたという典型的な「規制の虜(とりこ)〈*訳注1〉」状況は殆ど変わっていない。黒川教授は、「国会事故調の報告書は〈*訳注2〉政府機関の変革を促した。しかし、実際に政府機関内で為された変革は、必要最小限レベルの形式的なものにすぎなかった」と述べる。さらに彼は、「いまだに規制の虜の構造体はしっかりと維持されている」と記述している。

原子力災害の影響を被るのは日本の市民である。そればかりではない。日本の市民は東電が国から受ける無利息の貸付金1190億ドルのような膨大なコストの大部分を、自分たちが支払う税金によって、負担することにもなるのである。

国会事故調は「一号機で放射能漏洩が始まったのは、津波が一号機に到達する前に、地震によってもたらされたものである、という主に間接的ではあるが有力な証拠に鑑みて、日本国内に立地するその他の原発においても、同様なことが起こる可能性があるということを慎重に検討すべきである」と、提言した。しかし、この提言が履行されることはなかった。2011年以来、日本では9基の原子炉が再稼働された。もし、福島原発やその他の原子力施設で再び、何らかの災害が起こったとしたら、現在の危機管理体制 が、はたして、8年前の福島第一原発事故においては、まったく機能しなかった危機管理体制よりも遥に改善されたものであるのか、確信を持つことはできない。

日本政府は、2020年の東京オリンピックを控えて、「フクシマの事態は基本的に正常に戻っており 状況は統御されているの(アンダーコントロール)であるから、フクシマ原子力災害は 『過去の問題』である」と、主張しようと決意しているようである。東京オリンピックの五輪聖火リレーは福島で始まり、ソフトボールや野球の試合も福島で催される予定になっている。2013年の安倍首相による真しやかな宣言は、日本のオリンピック招致のチャンスを補強した。彼は、「フクシマについて、お案じの向きには、私から保証をいたします。状況は、統御されています。東京には、いかなる悪影響にしろ、これまで及ぼしたことはなく、今後とも、及ぼすことはありません」と、断言したのである。

〈*訳注3〉

日本の2020年オリンピック招致の確保にかかわったのは、安倍首相の虚言だけではなかったようである。2018年12月10日、竹田恆和 JOC (日本オリンピック委員会) 会長が、フランスで、東京五輪招致の贈収賄容疑で訴追されたのである。フランスの経済犯罪検察官は、日本の五輪招致の支持票獲得のために、アフリカの国際オリンピック委員会関係者に賄賂が支払われた、と陳述している。[2]

〈*訳注4〉

フクシマの現状

福島原発事故発生以来8年間、ティルマン・ラフ医師はフクシマの健康影響を注意深くモニターしてきた。

“世界原子力産業現状報告書2018年版 (The 2018 Edition of the World Nuclear Industry Status Report) “は、フクシマの現状について適切な概観を提示している。[3]

損壊された原子炉(複数) から使用済燃料を取り出す計画が、何度も、いつの間にか、先延ばしにされ、どのようにして燃料デブリを取り出すのか、その方法が決定されることもなかった。溶融した燃料棒のデブリが、すべての原子炉の破損された格納容器内に存在し、同様に、その外側にあるペデスタル上にも存在する。メルトダウンした1号機から3号機までの原子炉に、それぞれ、毎時3m³の水が絶えず注水され続けなければならない。注水された水は損傷した格納容器の亀裂から流れ出し、破損された地下に侵入した地下水の水と混合される。

新たに生じる汚染水の増加率は下がったが、1,000,000 m³ 以上の汚染水が敷地に保管され、その量は増え続けている。汚染水に含まれた様々な放射性物質は多核種除去設備で除去されるが、トリチウムは除去できない。そのため汚染水には、まだ、高濃度のトリチウム(>500,000Bq/リットル) が含まれている。土地の人々は、トリチウムの含まれた汚染水の海洋放出に反対し続けている。

2016年、345億円が費やされたといわれる凍土遮水壁の運用が開始されたが、その効果が示されることはなかった。

2017年までに、計4万人の作業員が広範囲に及ぶ廃炉作業にかかわった。廃炉作業が終了するまでには、あと何十年もの歳月が必要とされている。現場では、およそ8千人の労働者が常に、継続的に、作業に取り組んでいる。 作業員の90%以上が下請け労働者であり、彼らは十分な訓練を受けておらず、酷い労働状況のもとに置かされている。彼らが受ける被ばく線量は、平均して、東電の従業員が受ける被ばく線量の2倍以上になる。

2018年1月に下請け労働者が受けた最高の被ばく線量は、ひと月に10ミリシーベルト(10mSv/月) 以上だった、と記録されている。これまで、クリーンアップ作業員の中で5人に発症した、がんの症例が、業務と関係した労災として正式に認定されている。これらの症例の内訳は:白血病が3例、甲状腺がん 1例、肺がん 1例 となっている。

日本政府は、福島県の放射能汚染された市町村の避難指示解除を積極的に推し進めてきた。こうすることで、避難することを公認された避難者の数を作為的に減らせることになる。日本政府は、フクシマは正常に戻ったのだという、人を惑わすファンタジーをつくり上げようと企む一方、フクシマ大惨事から8年経った今も、市民が受ける年間追加積算被ばく量の許容量を20 ミリシーベルトと決め、それを適用している。原子力災害の後、これほど高い追加積算被ばく線量を、これほど永年の間、容認した国は、世界中で日本だけである。

しかも、復興処点に指定された4つの区域において住民が年間に受ける追加積算被ばく線量が、50ミリシーベルト以上に及ぶことが確認されたのである。さらに、2023年までには、住民がこれらの高度汚染区域へ帰還することが計画されている。避難指示が解除された地域から避難している人たちは、許容できない危険な環境に帰還するようにと強い圧力をかけられているのである。そうしなければ、彼らはすべての経済援助を失うことになる。こうした政府の圧力にもかかわらず、避難指示解除された5市町村に帰還した住民は、たったの3%から29%であった。元住民の50%までが帰還しないことを決め、その多くは帰還すべきか否か、まだ決めていない。

日本政府は、相変わらず、国民の安全と健康を優先することを怠り、いまだに、「100ミリシーベルト以下の電離放射線が健康に有害であることは実証されていない」という科学的に不正な見解を推進しつづけている。

住民の放射線被ばくについての重要なデータが公表された。データは、2012年から、5万人以上の福島県・伊達市民を対象にして行われたガラスバッジ個人線量計モニタリングによる個人外部被ばく線量測定をベースにしたものである。福島市の東北に位置する伊達市は、福島第一原発から50キロ以上離れていて、市は最も放射能汚染された地域には含まれない。発表された2本の論文はいくつかの重大な調査結果を提供している:

★ ガラスバッジ個人線量計で測定された外部被曝線量が同時期に行われた航空機によるモニタリング調査によって得られたガラスバッジ装着者の住居の周辺線量と比例した;[4] 〈*訳注5〉

★ 除染による個人線量の低減効果は見られなかった;

★ 最近、論文の第一著者(早野龍吾教授)が、論文にある生涯被ばく線量の計算を1/3に過小評価していた誤りがあったことを認めた。[5][6] これを計算に入れると、伊達市の3つに分割された区域 *(区域A、区域B、区域C)における住民の生涯被ばく線量の平均値の範囲は、33mSvから54mSvとなり、99パーセンタイル値の範囲は、60mSvから105 mSvとなる。これらは、実際の被ばく線量測定に基づいた、かなり高い被ばく線量であり、最も汚染された地域外に住む住民を対象に推定された通例の被ばく線量よりはるかに高い。

― 遺憾ながら、この調査が進められたプロセスに関して、非常に深刻な倫理規範的問題があったという事実が浮かび上がった。[7] 〈*訳注6〉

2018年9月までに、日本の復興庁が確認した福島第一原発事故関連死の死者数は2202人であった。主な死因は自殺や医療が中断された事などとなっている。しかしながら日本では、原子力災害がもたらす住民への健康影響をモニターするための、包括的で長期的な将来も考慮に入れたメカニズムが確立されていない。目を背けたら、何も見つけ出すことはできないのだ。日本の断片的で不完全ながん登録の特徴に鑑みれば、被ばくによる健康影響が見つかることはないであろうという可能性が強い。

原発事故発生当時、18歳以下だった福島県民を対象に実施されている超音波エコーによる甲状腺スクリーニング検査は、特別なケースであるとみなされるかもしれない。甲状腺スクリーニング検査において、2018年12月までに、穿刺細胞診で悪性疑いと診断されたのは207人であった。その内、手術を受けて甲状腺がんと診断確定されたのは166人であった。独立した研究調査が行った福島県の甲状腺検査の分析は〈*訳注7〉:「スクリーニング効果というものはある。しかし、福島の非常に高い小児甲状腺がん発症率は、福島県の放射能汚染度をそのまま反映したものであり、日本全国の年間発生率よりも、はるかに高く、スクリーニング効果では説明できそうにないこと[8]」および「術後病理診断で、手術症例の92%にリンパ節転移、遠隔転移、甲状腺外浸潤があったことが判明したこと[9]」を指摘した。

しかし、甲状腺スクリーニングのプログラムが縮小される動きがあり、データの公開も時宜的でなく透明性に欠ける: 福島医科大学外で診断もしくは治療された症例がデータに含まれていない。さらに、甲状腺検査の受診率が低下している。 これは、甲状腺スクリーニング・プログラムに対する人々の信頼感が低下していることを反映しているようである。3巡目の甲状腺検査における受診率は、1次検査および2次検査においても、60パーセント台に低下し、その内、18歳以上の受診対象者の受診率は16%のみであった。[10]

その他 動物や植物への影響

調査された、ほとんど全ての動植物種類および生態群集において、有害な生物影響の証拠が放射能汚染度と正比例して累積しつづけている。この現象に、放射能汚染度の明白なしきい値は見られないー調査されたのは、チェルノブイリと福島の汚染地域における土壌細菌、樹木菌、種々様々な昆虫類、蜘蛛類、種々の鳥類、大型/ 小型の哺乳類などである。福島第一原発から30キロ圏内の福島海岸沿いの潮間帯においては、動植物種類の数や軟体動物の総数が、ずっと少なくなる。放射線の影響がはっきりと観察されるのは、殆どが、放射能汚染度の範囲が年間で1ミリグレイ~10ミリグレイ(1-10mGy/y)の地域においてである。放射線の人体影響と同じように、放射線が生態系にもたらす影響を知れば知るほど、その有害性がますます明らかになってくるようだ。

これを課題に、ティモシー・ムソーとアンダース・メラーが多くの重要な調査を行っている。[11] 彼らは、ありとあらゆる生物学的レベルにおける影響を記録したのである。これらの影響には、遺伝子突然変異の増加;発育異常、アルビノ(白化)、形態の非対称、縮小した脳のサイズ、白内障、低下した生殖力および減少した精子数、異常・不動精子の増加;腫瘍の増加;生物の行動異常 (鳥の鳴き声の変化など);個体数および生物多様性の減少などが含まれている。ティモシー・ムソーとアンダース・メラーの知見は、ありとあらゆる環境ストレス要因 (生物的・非生物的ストレス)のもとで生きる個体群の電離放射線に対する脆弱度が、従来の実験室をベースにした方法で推定される脆弱度よりも、だいたい10倍高いことを示している。

「人類は同じような悪影響をなんとか免れるだろう」というのは、生物学上、信じ難いことである。

人権問題について

2012年、「健康に生きる権利の実現化」に関する調査報告を任務としたアナンド・グローバー国連特別報告者が福島を訪れ、国連人権理事会にあてた報告書の中で多数の勧告を提起した。

〈*訳注8〉

国連特別報告者の勧告は下記の点を含んでいる:

(1)独立した、原子力産業の監視および規制。

(2)単に距離をベースにするのではなく、被ばく線量を規準にした(ホットスポットを含める)、公衆と避難のための正確な情報を提供する。

(3)政府は、放射線リスクについて偏りのない情報を提供する。

(4)いつまでに年間の追加被ばく線量を1mSvに低減することを達成すべきか、その期限を策定する。

(5)全ての放射能汚染地域の住民を対象にした包括的/長期的な健康管理調査を実施する。

(6)患者が自分たちの検査結果および健康情報を容易に入手できるようにする。

(7)原子力作業員の放射線による健康への影響を長期的にモニタリングし、必要な治療を提供する。

(8)被災者が、放射能汚染地域に留まるかーそれとも避難するかー何れの選択をしたにしても、被災者に経済援助を提供する。

(9)原子力災害のコストは納税者が支払うのではなく、東電が支払うべきである。

(10)避難所の計画、健康管理調査、除染の実施など、災害後の全面的な管理の計画策定に一般市民が参画する。

日本政府は、国連人権理事会がフクシマ被ばく問題に注意を払い、かかわったこと、および、国連特別報告者の重大な勧告に対し敵対的な態度を示し、ほとんどの勧告を履行しなかった(一例:現在、労働者の健康状態を調査する疫学的研究は進行中である)。〈*訳注9〉また、政府は、2013年に公表されたWHO (世界保健機関) の「フクシマ原子力災害健康リスク評価報告書」に対しても敵対的であり、この報告書の重要性を弱めようと努めた。

2017年、国連人事理事会による日本の人権状況の定期審査で、複数の国の政府代表者が、日本政府に、福島第一原発事故をめぐる対応について人権侵害の是正勧告をした:[12] 〈*訳注10〉

- オーストリアの勧告:福島の高放射線地域からの自主避難者に対して、住宅、金銭その他の生活援助や被災者、特に事故当時子どもだった人への定期的な健康モニタリングなどの支援提供を継続すること。

- ポルトガルの勧告:男性及び女性の両方に対して再定住に関する意思決定プロセスへの完全かつ平等な参加を確保するために、福島第一原発事故の全ての被災者に国内避難民に関する国連指導原則を適用すること。  ( *避難者の強制帰還はこれらの指導原則に反している )

- ドイツの勧告:特に許容放射線量を年間1ミリシーベルト以下に戻し、避難者及び住民への支援を継続することによって、福島地域に住んでいる人々、特に妊婦及び児童の最高水準の心身の健康に対する権利を尊重すること。

- メキシコの勧告:福島原発事故の被災者及び何世代もの核兵器被害者に対して、医療サービスへのアクセスを保証すること。

日本政府は、「これらの勧告をフォローアップすることを受け入れる(しかし核兵器被害者の子孫、後世ための特別な医療サービスは保証しない)」と、応えたが、まだ、なんの対応策も講じられていない。〈*訳注11〉

きわめて重要なのは:公衆衛生/保健医療に係わる国際的機関・コミュニティーが、災害に関連して進行中である保健医療のニーズをモニターすること、これらのニーズに取り組むための手段、リソース、その他の方策を提唱すること、日本で公衆衛生および環境衛生のために働く人々の努力を支援すること、である。

我々は、フクシマ原子力災害の教訓、そして、原子力災害によってもたらされた影響、ニーズを明らかにするために、2020年東京オリンピックを利用すべきである。さらに、我々は、これらの事実が隠蔽されたままにならないよう、確かめ、留意していかねばならない。

以上

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〈*訳注1〉規制の虜(英:Regulatory Capture): 規制機関が被規制側の勢力に実質的に支配されてしまうような状況であり、この状況下では、被規制産業が規制当局をコントロールできてしまう余地がありうる。国会事故調査委員会は、福島第一原発事故を人災と断言し、その根本的原因は政・官・財の一体化から生まれた「規制の虜」にあるとして、国民のいのちを守ることより”原子力ムラ”の利益を優先して安全対策を先送りにしたと明言した。(ソース:規制の虜は克服されたか)

〈*訳注2〉国会事故調査委員会の報告書

〈*訳注3〉安倍首相のIOC総会におけるプレゼンテーションの翻訳は首相官邸ウェブサイトを参照:

〈*訳注4〉参照記事:東京五輪招致汚職容疑、JOC竹田会長を訴追手続きーBBC報道

〈*訳注5〉参照文献:宮崎真氏・早野龍五氏 共著論文の和訳「パッシブな線量計による福島原発事故後5か月から51か月の期間における伊達市民全員の個人外部被曝線量モニタリング:2. 生涯にわたる追加実効線量の予測および個人線量にたいする除染の効果の検証」(和訳者:黒川眞一)

〈*訳注6〉参照記事:朝日新聞「市民の被曝線量、3分の1に過小評価 東大名誉教授論文」

〈*訳注7〉独立した研究調査が行った福島県の甲状腺検査の分析:2016年5月に”Epidemiology(疫学)”に掲載された論文”Thyroid Cancer Detection by Ultrasound Among Residents Ages 18 Years and Younger in Fukushima, Japan: 2011 to 2014(〈2011年から2014年の間に福島県の18歳以下の県民から超音波エコーにより検出された甲状腺がん” 第一著者:津田敏秀教授 論文(英文)

〈*訳注8〉アナンド・グローバー国連特別報告者の報告書「健康に対する権利」和訳

〈*訳注9〉グローバー報告に対する日本政府の見解・コメント(日本語仮訳)

〈*訳注10〉福島第一原発事故をめぐる対応について人権侵害の是正勧告ー4ヶ国の勧告の翻訳は外務省サイトに掲載された「日本政府審査・結果文書」を参照:

〈*訳注11〉外務省サイトに掲載された「日本政府審査・勧告に対する我が国対応(仮訳)」

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参考文献

[1] Kurokawa K, NInomiya AR. Examining regulatory capture: looking back at the Fukushima nuclear power plant disaster, seven years later. University of Pennsylvania Asian Law Review 2018;13(2), Article 2. https://scholarship.law.upenn.edu/alr/vol13/iss2/2/

[2] Panja T, Tabuchi H. Japan’s Olympics chief faces corruption charges in France. New York Times, 11 Jan 2019. https://www.nytimes.com/2019/01/11/world/europe/japan-olympics-corruption-tsunekazu-takeda.html

[3]Schneider M, Froggatt A et al. The world nuclear industry status report 2018. https://www.nytimes.com/2019/01/11/world/europe/japan-olympics-corruption-tsunekazu-takeda.html

https://www.worldnuclearreport.org/IMG/pdf/20180902wnisr2018-lr.pdf

[4] Miyazaki M, Hayano R. Individual external dose monitoring of all citizens of Date City by passive dosimeter 5 to 51 months after the Fukushima NPP accident (series): 1. Prediction of lifetime additional effective dose and evaluating the effect of decontamination on individual dose. J Radiol Prot 2017;37:623-34. https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1361-6498/aa6094/meta

[5] Miyazaki M, Hayano R. Individual external dose monitoring of all citizens of Date City by passive dosimeter 5 to 51 months after the Fukushima NPP accident (series): 1. Comparison of individual dose with ambient dose rate monitored by aircraft surveys. J Radiol Prot 2017;37:1-12. https://iopscience.iop.org/article/10.1088/1361-6498/37/1/1/meta

[6] Kurokawa S. Professor Emeritus Kurokawa sets straight dishonesty and misrepresentation in the “statement” by Ryugo Hayano, the author of the radiation dose study with alleged misconduct. Fukushima Voice Version 2E. 11 Fe 2019. http://fukushimavoice-eng2.blogspot.com/2019/02/shin-ichi-kurokawa-sets-straight.html

[7] Kurokawa S, Shima A. A Glass Badge Study That Failed and Betrayed Residents —A Study with Seven Violations of Ethical Guidelines Can Be No Ground for Government Policies. Kagaku. 2019;89(2):e0017-e0024.

https://www.iwanami.co.jp/kagaku/eKagaku_201902_Kurokawa_Shima.pdf

[8] Tsuda T, Tokinobu A, Yamamota E, Suzuki E. Thyroid cancer detection by ultrasound among residents ages 18 years and younger in Fukushima, Japan: 2011 to 2014. Epidemiology 2016;27: 316–22.

[9] Tsuda T, Tokinobu A, Suzuki E. Thyroid cancer under age 19 in Fukushima – as of 57 months after the accident. Presentation at International IPPNW Congress, 5 years living with Fukushima, 30 years living with Chernobyl, Berlin, 27 Feb 2016. http://www.tschernobylkongress.de/fileadmin/user_upload/T30F5/P1_Tsuda_pres_final.pdf

[10] Hiranuma Y. Fukushima thyroid examination December 2018: 166 surgically confirmed as thyroid cancer among 207 cytology suspected cases. 10 Jan 2019. http://fukushimavoice-eng2.blogspot.com/2019/01/fukushima-thyroid-examination-december.html

[11] Mousseau TA, Møller AP. Nuclear energy and its ecological byproducts: Lessons from Chernobyl and Fukushima. In: van Ness P, Gurtov M (eds.). Learning from Fukushima. Nuclear power in East Asia. Acton; ANU Press, 2017: 261-83. https://press.anu.edu.au/publications/learning-fukushima Released in Japanese on 13 Feb 2019: https://press.anu.edu.au/learning-fukushima-now-published-japanese

[12] Human Rights Council. Report of the Working Group on the Universal Periodic Review. Japan. 4 Jan 2018. UN Document A/HRC/37/15. https://documents-dds-ny.un.org/doc/UNDOC/GEN/G18/002/35/PDF/G1800235.pdf?OpenElement

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【管理人よりお知らせ】新年度開始1ヶ月、改めてご挨拶申し上げます。

2019-05-01 19:58:08 | 運営方針・お知らせ
管理人よりお知らせです。

2019年度に入り、1ヶ月が過ぎました。

当ブログでは、例年、管理人の転勤の有無を含め、新年度開始時にご挨拶をすることが多いのですが、今年は統一地方選への対応もあり、4月時点でのご挨拶ができないまま5月を迎えてしまいました。しかし、例年以上に重要なお知らせ事項もありますので、ここでご挨拶をいたします。

1.「安全問題研究会」「罪団法人 汽車旅と温泉を愛する会」サイトの移転について

すでにお気づきの方も多いかもしれませんが、4月から「安全問題研究会」「罪団法人 汽車旅と温泉を愛する会」のサイトが移転しました。

インターネット黎明期の1990年代末から20年近くにわたってWEBサーバーの無料サービスを提供してきたgeocities(ジオシティーズ)が3月末限りでサービスを打ち切ったことが理由です。打ち切りは昨年10月1日に予告されており、できるだけ早く移転をすべきでしたが、事後報告にならざるを得なかったのはひとえに管理人の多忙を理由とした遅延によるものです。まずこのことについて、閲覧いただいている皆さまに深くお詫び申し上げます。

インターネットの各種サービスのうち無料のものは近年、関係各社によりどんどん縮小されています。インターネット黎明期にはネット自体が拡大していたため、各社は無料でサービスを提供しても新規拡大等でペイする状況でしたが、ネットが完全に普及を終え飽和状態となった近年は、管理コストが膨大になった無料サービスを維持し続けることは民間企業にとって合理的な経営判断とはいえません。フリーメールや無料ブログサービスなどがこの間、どんどん打ち切られてきたのは時代の流れでありやむを得ないと思います。

安全問題研究会としては、改めて別の無料サービスに乗り換えた上でサイトを移転することも検討しましたが、上記のような最近のネット事情を考えると、わずかに残った別の無料サービスに移転しても、そこも数年後にはサービス提供中止となりまた新たに移転先を探すということになりかねません。加えて、親交のある何人かのネット管理者(得意分野や発信したいテーマがありサイトを運営している人物)がいずれも有料サービスを利用しているという状況も明らかになったことから、今回、思い切って安全問題研究会も公式サイトを有料サービスに移して再出発することとしました。

このような事情により、今後はアカウントを取得するたびに料金が発生するため、有料サービスで運営するサイトは1つに絞ることにしました。当ブログ管理人のここ最近の活動は、JR北海道のローカル線問題や公共交通の安全問題、原発問題が中心であり、鉄道趣味活動は年に数回、これらの活動に付随した形で行う程度になっています。このため、4月の移転後は「安全問題研究会」をメインサイトとし、趣味サイトである「罪団法人 汽車旅と温泉を愛する会」は安全問題研究会サイト内のコンテンツの1つとして吸収させることにしました。「罪団法人 汽車旅と温泉を愛する会」へ直接行きたい方は、上記リンク先へ直接飛んでいただくか、安全問題研究会のトップページにもリンクを設けていますので、そこから閲覧後、ブラウザのブックマークに登録していただくようお願いします。

2.「しらかわ・市民放射能測定所 ベク知る」サイトの移転について

当サイト管理人が設立当初から関わり、サイトの運営も行ってきた福島県白河市の市民放射能測定所「ベク知る」についても、サイトの置き場所がgeocitiesだったため、今回、移転を余儀なくされました。こちらも「しらかわ・市民放射能測定所 ベク知る」として再出発しています。これを機会にサイトの管理は当ブログ管理人の手を離れ、一緒に「ベク知る」設立に関わっていただいた福島県西郷村の方に引き継いでいます。

「安全問題研究会」「しらかわ・市民放射能測定所 ベク知る」両サイトにつきましては、当ブログの「ブックマーク」にも登録していますので、ここから閲覧もできます。

3.安全問題研究会のyoutubeチャンネル開設について

こちらも、すでにお気づきの向きもあると思いますが、サイト移転を契機に安全問題研究会のyoutubeチャンネルを開設しました。今後、JR北海道のローカル線問題や公共交通の安全問題、原発問題を中心に、管理人が撮影した動画を投稿します。当ブログでの投稿の告知は、必要に応じて行います。

4.「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る集会」の開催時期について

JR福知山線脱線事故以降、毎年、尼崎市で「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る集会」が行われています。この集会は、例年、事故の日である4月25日の直前の土曜日に行われることになっていますが、今年は統一地方選のため、6月8日に開催されます。この集会の報告記事を目当てに先月来、当ブログを訪問されている方もいるかもしれませんが、このような状況ですのでご承知ください。なお、今年も当研究会が集会で報告を行う予定になっています。

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天皇の代替わりにより、本日から新元号が施行されました。メディアでは代替わりと新元号報道一色で、先日まであれほど元号から西暦への切り替えの動きを報じていたにもかかわらず、まるで西暦など消えてなくなってしまったかのようです。「平成」移行時に見られた「弔意の押しつけ」「自粛ムード」に比べればまだましですが、「祭り」の強制という意味で鬱陶しさの本質は同じだと思います。押しつけられるのが「弔意」「自粛」か「祝意」「祭り」かという点に違いがあるだけで、政府とメディアが上から何かを押しつけてくるという意味で、同じ種類だという意味です。

当ブログと安全問題研究会はもともと元号制度そのものに反対であり、サイト内ではこれまでも西暦のみでの年の表示を行ってきました。今後もその方針に変わりありませんし、代替わりと新元号キャンペーンに「乗る」つもりもありません。企業がこの連休中を中心に行っている新元号記念セールなどにも出向きません。むしろ、こうしたバカ騒ぎに与することなく普段通りに行動することこそが、押しつけに対する最大の抵抗だと考えています。

幸いにも当ブログ管理人は10連休ですが、日給や時給制度が適用されている労働者の中には、休むことで給与が減り、かえって生活が成り立たないという人も大勢います(4月27日のTBS「報道特集」でこの問題が取り上げられています)。本当は非正規労働者の皆さんも、休日でも給与の減らない月給制の適用を望んでいるはずです。このような不安定雇用や、それによる貧困を生み出したことも「平成」最大の罪といえます。せめて新元号を報じるのであれば、「平成」がもたらしたこのような罪を踏まえ、次の元号の時代の社会がどのようにあるべきかについてくらいは論じるべきでしょう。

今日までで10連休も前半が終わったところですが、当ブログと安全問題研究会は、後半も「普段通り」に行動していきます。

TBS報道特集「10連休に困惑する人々・後呂良子さん」


昭和天皇逝去の際の「大喪の礼」を皮肉ったTHE TIMERS(忌野清志郎)の曲
カプリオーレ THE TIMERS 歌詞付き

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