安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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【鉄ちゃんのつぶや記 第16号】「横浜人活事件」と地位確認訴訟

2004-05-23 22:44:48 | 鉄道・公共交通/交通政策
 話はやや古くなるが、私の愛読紙である鉄道趣味雑誌「鉄道ジャーナル」6月号のニュース欄にベタ記事扱いで載っている小さなニュースがふと私の目に留まった。「職場復帰の国労組合員に勤続表彰」と題する記事は、横浜人活事件のでっち上げ逮捕者5人に永年勤続表彰が行われたことを報じている。大した記事量でもないので全文引用する。

 『旧国鉄時代に上司に暴行したとして1986年に逮捕され、その後1993年に無罪、2003年に懲戒免職処分の無効が確定した国労組合員5人が、国鉄を引き継いでいる独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構で、永年勤続の表彰状を受け取った。5人は2004年2月に同機構への職場復帰合意が成立して勤続年数も回復した。旧国鉄の解雇・免職者の職場復帰は史上初という』

 事実関係は記事の通りであり、付け加えることは何もない。記事の日付は3月31日付となっている。政府系特殊法人のほとんどはこの日が年度末であり、また職員のほとんどは4月1日付採用だから、この日に永年勤続者の表彰を行うのだろう。国家公務員、地方公務員、特殊法人、独立行政法人、旧公社(国鉄・電電・専売)職員は「国家公務員退職手当法」の規定により、国鉄から特殊法人に移ったり、特殊法人から国に移ったりしても勤続年数を通算する決まりになっているから、この永年勤続の表彰には当然、国鉄時代の勤続年数も含まれているはずである(余談だが、分割民営化当時の「再就職斡旋」で国家公務員・地方公務員へ移った人たちも基本的に同じである)。ただ、私もこの間、鉄建公団訴訟原告団関係者に何度か会ったが、この4人(1人は定年年齢に達していたため復帰できなかった)の復帰が国労本部主導で進められたせいか、ほとんど話題に上ることもなかった。

 しかし、この出来事の裏には、鉄建公団訴訟原告団が今後の闘いを進める上で極めて重要な点が含まれている。なによりも、運輸機構との話し合いで国労本部が5人全員を「国鉄職員」として認めさせたことは大きい。これにより、そもそも5人の免職処分そのものがなかったことになるのだから、5人は給与・ボーナスから昇給・昇格・昇任、さらには年金資格まですべてを当時にさかのぼって回復したことになる。もし国労本部に減点しなければならないところがあるとすれば、それは復帰先がJRでなかったことだけだろう。国鉄闘争が始まった当時、「俺たちをJRに戻せ」が運動のスローガンだったからだ。復帰先となった運輸機構は鉄建公団と運輸施設整備事業団が合併して発足した法人であり、もともと国鉄とは別法人だったのである。

要するに「地位確認」とはそういうことなのだ。解雇そのものを当時にさかのぼってなかったことにする。成功すれば、今度の5人のように、あたかも何事もなかったかのように表彰状を受け取るのである。ここに、地位確認を求める鉄建公団訴訟の意義がある。国労本部もそのことに気付いたからこそ、必死になって5人の地位確認に取り組んだのだ。

私は5人の地位確認をさせたことについて、国労本部にあれこれ言うつもりはない。18年間闘い続け、1度たりとも叶わなかった「復帰」を不十分な形とはいえ勝ち取ったのだ。本部が組合員のため、原則的に闘うのなら結構なことである。

 問題はその原則的な闘いが「本部に従順な者」に関してだけ取り組まれていることである。組合員を「従順かそうでないか」によって区別し、反対派に属する者は捨てて顧みない本部のやり方はダブルスタンダード(二重基準)そのものであり、国労本部の限界を示すものでもある。

 ともあれ、鉄建公団訴訟の「地位確認」路線の正しさを国労本部が身をもって示してくれたのだ。地位確認は本部の専売特許ではなく、鉄建公団訴訟原告団にとっても唯一の道である。

 さあ、原告団の皆さん、闘争団の皆さん。5人に続こう!

(2004/5/23・特急たから)

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