安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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パナソニック偽装請負訴訟、最高裁判決へ

2009-11-27 22:01:58 | その他社会・時事
12月18日に最高裁判決 パナソニック系偽装請負訴訟(朝日新聞)

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 パナソニックプラズマディスプレイ(旧松下プラズマディスプレイ、大阪府茨木市)の工場で、違法な偽装請負状態で働かされていた吉岡力(つとむ)さん(35)が同社に雇用関係の確認を求めた訴訟の上告審で、最高裁第二小法廷(中川了滋裁判長)は27日、双方の主張を聞く弁論を開いた。パナソニック側は雇用関係があると認めた二審・大阪高裁判決の破棄を、吉岡さん側は維持をそれぞれ求めた。判決は12月18日に言い渡される。

 二審判決は、吉岡さんを雇っていた請負会社とパナソニック側が結んだ業務委託契約は「脱法的な労働者供給契約」で無効とする一方、吉岡さんとパナソニック側の間には「黙示の労働契約の成立が認められる」と判断した。

 この日の弁論でパナソニック側は「黙示の労働契約の成立は到底認められない」と主張。吉岡さん側は二審判決を「使用関係の実態を踏まえた正当な判断」と評価し、「偽装請負の違法な就労状態についてパナソニック側の責任を否定することは、司法によって脱法行為を積極的に容認することになる」と訴えた。
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いまの労働者派遣のあり方は、二重三重に犯罪的と言える。給与を派遣会社がピンハネすることはどう考えてもまともな公序良俗に反するし、仕事を指示しているものが給与を払わず、職場実態を何も知らないものが給与を払うというあり方もおかしい。

そして、指摘しておかなければならないのが、前日のエントリでお伝えした国鉄職員の解雇問題(JR不採用問題)とこの問題がうりふたつであるということだ。

それはどういうことかというと、労働者派遣法は1985年に制定施行されている。一方、国鉄分割民営化の枠組みが決められていくのも85年あたりからで、「改革法」が86年に成立、87年にJRが発足している。そしてこの時に、不採用問題も起きたのである。

働く人たちをゴミのように扱い、気に入らないものはクビにすればいいという経営者のモラル崩壊がスタートしたのは、まさにこの2つの出来事によってである。それから20年を経て、働く人の使い捨ては一層酷くなった。今、JR不採用者の問題、派遣労働者の問題が同時並行で進んでいるのは決して偶然ではないと当ブログは思うのだ。

政権交代によって今、私たちは再び時代の転換点に立った。今後20~30年後の日本の姿がここで決まるという重要な局面を迎えている。この重要な局面で、私たちは人間らしい働き方のルールを確立するために全力を挙げなければならない。

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JR不採用問題、解決求め集会

2009-11-26 23:57:11 | 鉄道・公共交通/交通政策
<JR不採用問題>集会で早期解決訴え(毎日新聞)

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 87年の国鉄分割・民営化で国労組合員ら1047人がJRに不採用になり、旧国鉄にも解雇された問題で、国労闘争団全国連絡会議などは26日、東京都内で集会を開き、早期解決を訴えた。夫が解雇された北海道・音威子府闘争団の千葉真貴子さん(51)が「ささやかな幸せを奪われて23年。既に59人が亡くなっており、一日も早い解決を願う」と述べた。

 不採用問題を巡っては旧国鉄を相手取った訴訟が複数続いているが、組合員側は政治解決も模索している。2月の集会では、当時民主党幹事長だった鳩山由紀夫首相が出席し「人道的な立場から政治的な解決ができれば」と前向きな姿勢を示している。
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この問題、数年前からずっと、明日にでも解決するように言われ続けているのだが、それがいつまでも解決しないのはひとえに指導部の力不足につきる。国労の指導部というのはいつも優柔不断で、ここぞと言うときに腰砕けになり、解決をいたずらに長引かせてきた。政権交代で、この問題にも千載一遇のチャンスが訪れているとは思うものの、もしここで解決しなかったら、たぶん永遠に解決の時が来ることはないだろう。

解決させたければ何をなすべきか? 簡単なことである。「こんな問題も解決できないようでは、先進国、文明国として恥ずかしい、自国民にも他国にも顔向けできない」という状況を作り出すことだ。

政権交代ごときで騒ぎになるような、政治的感度の鈍い日本国内だけでウダウダやっていても状況が好転しないなら、外国(特に政治的感度の高いフランスあたり)のメディアに出まくるとか、「この国の政府は、国民に23年間もまともな飯を食わせない極悪非道な政府です」とユーチューブで騒ぎまくるとか、もっと面白い仕掛けが必要である。少なくとも、若い人たちが「おっ、面白いことやってるな」と思わず身を乗り出すような仕掛けをひとつでも多く考えつけば、それだけ解決は早まるだろうし、逆もまた真なりであろう。

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水樹奈々 ついに紅白出場決定

2009-11-23 23:23:02 | 芸能・スポーツ
水樹奈々、初出場に大興奮「紅白は究極の目標の場所」(サンケイスポーツ)

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 23日、大みそかの「第60回NHK紅白歌合戦」(後7・15)の出場歌手が東京・渋谷の同局で発表され、紅白初出場の水樹奈々(29)は、23日にNHK放送センターで行われた記者会見で「紅白は毎年、家族そろって見ている番組で、私にとって夢のステージで究極の目標の場所でした」と喜びを爆発させた。

 水樹は「本当に小さいころから歌うことが大好きでした。両親が歌謡教室を開いていたこともあって、ずっと演歌を歌っていまして、そのころから紅白は毎年、家族そろって見ている番組で、私にとって夢のステージで究極の目標の場所でした。そこに立てるなんて本当にうれしく思います。全力、全開で力強く歌わせていただきたいと思います」と目を輝かせた。

 さらに「夢みたいで、心臓がバクバクしています。ふだんは声優としてアニメーションの世界を中心に活動をさせていただいているんですけども、このような大きなチャンスをくださったNHKの皆様に本当に感謝したいです。あと、これまで支えてくださったファンの皆さん、スタッフの皆さんに本当にありがとうという気持ちでいっぱいです」と「感謝」の気持ちを胸に歌うことを誓った。
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とうとう水樹奈々の紅白出場が決まった。調べたわけではないが、声優としては初かもしれない。

アルバムが7万枚も売れて初のオリコン首位となり、NHK「紅白デジタル応援隊」にも起用されたことで「当確」かなぁと思っていたが、実際に出場決定を聞くまでは信じられなかった。

果たしてどの曲を歌うのだろうと、興味がわく。順当に考えれば、「ULTIMATE DIAMOND」の中からということになるのだと思うが、曲目発表を楽しみに待つことにする。

声優ということで、一般歌手より歌唱力が一段下だなんて思っている人がいるとしたら、そうした認識を改めさせる第一歩になるだろう。ライブでは時々とちったりもする奈々ちゃんだが、本番では気負うことなく堂々と歌ってほしいと思う。

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気象庁、台風の温低化を遅らせ発表「防災のため」

2009-11-20 21:41:50 | 気象・地震
気象庁 台風の温帯低気圧化、遅らせて発表 「防災への喚起」「正しい情報を」(産経新聞)

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 気象庁が一元的に扱うことになっている台風情報のうち、台風から温帯低気圧に変わった時間を、同庁が故意に遅らせて発表していたことが明らかになり、波紋を呼んでいる。気象庁は「温帯低気圧に変わったとたん世間の関心が薄れ、防災上の注意もそがれる。必要な措置だ」と主張するが、一方で気象予報士や民間気象会社からは、「事実を曲げて発表すべきではない」とする批判の声も出ている。利用者が求めるのは防災への注意喚起か、それとも正しい情報か-。(豊吉広英)

  [フォト]天気予報は誰のモノ? 気象庁の情報に隠された真実は…

 ◆「意図的とは…」

 問題が明らかになったのは、10月29日に気象庁で行われた、民間気象情報会社など予報業務許可事業者に対する、台風解析の技術や予測の技術についての講習会の席。出席者から出た「最近、『台風が温帯低気圧となった』とする発表のタイミングが遅いようだが」との質問に対し、気象庁は「早い段階で台風が温帯低気圧になったと発表すると、防災対応に支障が出ることがある」として、あえて遅らせて発表していることを明らかにした。

 一般的な天気予報なら、気象予報士や気象予報会社は、気象庁と異なる予報や見解を示すことは可能だが、台風情報などの防災情報は、緊急時に無用な混乱を防ぐために気象庁の情報に一元化する必要がある。そのため、「台風はすでに温帯低気圧になった」と判断しても、気象庁が台風とする限り、そのまま伝えなければならない。

 「いままで何となく感じていたが意図的に遅くしていたというのは…。防災のためなら何でもしていいのかという気持ちはある」。質問をした日本テレビ気象キャスターで気象予報士の岩谷忠幸さんはこう話す。

 ◆「警戒ゆるむ」

 「防災のため」とする気象庁。その根拠としているのが、平成17年度に有識者を集めて行われた「台風情報の表示方法等に関する懇談会」だ。

 懇談会は、「『台風が温帯低気圧になった』と発表された段階で警戒がゆるむことが多い。温帯低気圧に変わった後も、台風に相当する被害が発生したケースがある」とした上で「災害の恐れがなくなるまでは、温帯低気圧の情報を台風情報として継続して発表することは有効」と提案。これを受け、気象庁は19年の台風から、暴風を伴い災害を及ぼすような場合、温帯低気圧に変わっても台風として情報の発表を継続することを決めたという。

 気象庁予報課の村中明主任予報官は、「気象庁が意図的に事実を曲げているとみられるのは心外」とした上で「台風から温帯低気圧になると、急激にマスコミが報道をしなくなる。気象庁は報道機関ではないので、多くの人々に情報を伝えるツールを持たないが、それでも気象庁として危険な現状を伝え、災害を防ぐ必要がある」と説明する。

 ◆さらなる議論を

 ただ、気象庁から情報を受ける側としては、納得がいかないようだ。気象情報会社「ウェザーマップ」(東京)の社長でTBSでも気象解説を行う森田正光さんは、「気象庁はあくまでも精度の高い正しい情報を発するべきだ。その上で、さまざまな気象上の危険性をわれわれが訴え、一般的な国民の知識レベルを増加させるというのが本来の姿では」と指摘する。

 こうした指摘については、村中予報官も「温帯低気圧の危険性を周知することは大事。その結果、『正しい情報』を流すことができるのが一番」と同意。「どういう情報提供の形がいいのか、さまざまな角度で議論をしていただければ」と話している。

 ■台風と温帯低気圧 熱帯の海上で発生した「熱帯低気圧」のうち、低気圧内の最大風速が17メートル以上になったものが「台風」。北上に伴って温かく湿った空気の台風に、上空から寒気が流入すると前線が発生し、渦が崩れ、中心にある暖気核がなくなるなど、次第に台風本来の性質を失うことで「温帯低気圧」に変わる。「台風が衰えたもの」と言われることが多い温帯低気圧だが、台風より広い範囲で強い風が吹くことも多く、低気圧として発達し、大きな被害をもたらすこともあるため、台風同様に注意が必要とされる。
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これは難しい問題だと思う。気象庁の気持ちもわからないでもない。台風が温帯低気圧になった瞬間、マスコミで報道もされなくなるということはよくあることだ。

引用した記事の最後でも解説されているが、そもそも熱帯低気圧・台風と温帯低気圧とはメカニズム的にどのように違うのか、台風が温帯低気圧になるとはどういうことを意味するのかを解説しておこう。

・熱帯低気圧/台風
海水温が摂氏28度以上の海域で、主に暖かい水蒸気の集まりが上昇気流を生ずるようになったものが熱帯低気圧である。これ以下の水温では発生することも発達することもない。1時間あたりの平均風速が毎秒17.2メートル以上となった熱帯低気圧が特に台風と呼ばれる。気象庁では、台風と区別するため台風以外の熱帯低気圧は全て「弱い熱帯低気圧」と呼ぶことにしている。

・温帯低気圧
温帯地域で、暖かい空気と冷たい空気がぶつかる地点で、冷たい空気の上に乗り上げようとする暖かい空気が上昇気流となることによって発生する。どれだけ勢力が強くなっても台風と呼ばれることはない。

熱帯低気圧と温帯低気圧の概略は以上のとおりである。これ以外にも、以下のような違いがある。

・前線の有無
温帯低気圧は前線を伴うことがあるのに対し、熱帯低気圧は前線を持たない。なぜなら、前線というのは暖かい空気と冷たい空気が触れあう地点にできるものであり、暖かい空気だけでできている熱帯低気圧には冷たい空気との接触点が存在しないからである。

以上の説明で、熱帯低気圧と温帯低気圧の違いがおわかりいただけたことと思う。両者は構造が根本的に違うのであり、「台風が弱まって温帯低気圧になる」という説明が全くのでたらめであることもご理解いただけるだろう。

ところで、当ブログ管理人は台風以外の熱帯低気圧の全てを「弱い熱帯低気圧」と呼ぶ気象庁の方針には賛成できない。なぜなら、ある熱帯低気圧が台風であるかないかは、1時間の平均風速が毎秒17.2メートル以上かそれ未満かだけが基準とされており、雨量に至っては基準すらないからだ。例えば、1時間に100ミリのゲリラ豪雨を降らせるような激しい水蒸気を持つ熱帯低気圧でも、1時間の平均風速が17.2メートルに満たなければ気象庁は「弱い熱帯低気圧」と呼ぶ。だが、これらの熱帯低気圧は単に台風でないという意味でそう呼ばれているに過ぎないのであり、実際には決して弱いとは言えないものもある。当ブログ管理人は、これらの熱帯低気圧の呼称は、単に熱帯低気圧でかまわないと思う。

では、台風が温帯低気圧に変わるとはどのようなことを意味するのか、そしてそれはどのような過程をたどるのか。

上でも述べたように、台風は熱帯低気圧の一種であり、水温が28度を下回ると発生することも発達することもできない。日本近海では、夏の最盛期を除き、水温は28度を下回っていることがほとんどだから、日本近海まで北上してきた台風には外部から冷たい空気が入り込み、次第に台風自身も冷え始める。台風内部の温度が低下していくと、台風は次第に崩壊を始め、勢力も衰退してゆく。

ところが、冷たい空気の流入で台風の崩壊が進んでいくと、今度は台風の中心部に入り込んだ冷たい空気の上に、暖かい空気が乗り上げ始める。この時、強烈な上昇気流が発生し、温帯低気圧発生の条件が整う。

台風は、このような過程を経て温帯低気圧へと変化を遂げるのである。温帯低気圧となることにより、水温が28度以下の地域の気象条件にも適応したことになり、逆に発達していくこともある。しかし、既にそれは温帯低気圧に変化しているから、どんなに勢力を強めてももはや台風と呼ばれることはない。

台風が温帯低気圧となった後、しばしば大きな被害を出すのは、こうした過程がきちんと理解されていないからである。「台風が温帯低気圧になる=弱まる」と思いこんでいるメディアがあるとしたら、直ちにその誤りを認め、正しい報道をしてほしい。

最後にもうひとつ考えておかなければならない問題がある。台風が温帯低気圧に変わったという判断をいつの時点で下すかということだ。

気象というのは長い時間を経て徐々に変化していくもので、ある瞬間を境に突然そうなるわけではない。台風の温帯低気圧化にしても、上で述べたように、冷たい空気の流入に伴って徐々にその過程は進行していくのである。

その中で、上で述べた「台風の中心部に入り込んだ冷たい空気の上に、暖かい空気が乗り上げ始め」て「温帯低気圧発生の条件が整」ったとき、というのが一応の結論ということになるだろう。これがいつの時点になるかは、気象学の専門家(気象予報士クラス)であればおのずと見当がつくはずである。そうした学問的な知見を踏まえ、気象庁には正確な情報の提供に努めてもらいたい。

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信濃川にサケ戻る

2009-11-19 22:54:12 | 鉄道・公共交通/交通政策
千曲川にサケ戻る、JR取水中止で水量豊かに(読売新聞) - goo ニュース

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 長野県の千曲川に今秋、サケが次々と 遡上 ( そじょう ) している。近年はほぼゼロだったのに、18日までに数十年来で最も多い21匹が確認された。

 下流の信濃川にあるJR東日本の宮中取水ダム(新潟県十日町市)が不正取水で水利権を取り消され、川の水量が戻ったためとみられる。

 「千曲川を泳ぐサケを見て、手にしたのは生まれて初めて。たまげた」。高水漁協(長野県飯山市)理事の小田切勝さん(67)は興奮した。9月30日に西大滝ダム(同市)上流にある寒川との合流点で、弱った雌のサケ(体長約72センチ)を見つけたときのことだ。

 小田切さんらは、西大滝ダムの魚道で10月に17匹、上流の2支流で3匹を確認。11月2日にはダムで1匹が死んでいるのを見つけた。

 千曲川は新潟県に入ると信濃川に名が変わる。かつて、信州は河口から遡上したサケの一大産地だったが、1938年に宮中取水ダム、40年に西大滝ダムができてからは遡上が激減。長野県などは、79年~2000年に840万匹の稚魚を放流した。しかし、遡上したサケは90年の21匹が最多で、21年間の合計で48匹だった。

 JR東は宮中取水ダムで最大で毎秒317トンを取り、発電所に送って下流に放水することになっており、電力は山手線など首都圏の電車運行に供給していた。ところが、2002年~08年の7年間だけでも3・1億トンの不正取水が発覚。国土交通省が今年3月に水利権を取り消した。このため、「歩いて渡れる」と言われるほど水量が減っていたダム下流に、再び水が流れるようになった。

 独自に稚魚放流などを続ける新潟水辺の会(新潟市)によると、宮中取水ダムの魚道でも今秋は過去最多の48匹を大きく上回る160匹が遡上。同会事務局の加藤功さんは「水利権取り消しは、天からの恵み物」と話す。同会などは08年、前年の倍以上に当たる稚魚を放流した。来年はその稚魚が大きくなり戻ってくる年で、加藤さんは、今年を上回る遡上を期待している。
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河川法違反の不正取水によってJR東日本が水利権停止(取水停止)処分を受けた信濃川に、サケが戻ってきた。

JR東日本が、いかに自然を破壊していたかが証明されたというものだ。
もうJR東日本には、一滴たりとも水を取ってもらいたくない。

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外部調査委、JR西・井手氏を断罪

2009-11-18 21:00:24 | 鉄道・公共交通/安全問題
「組織防衛を優先」漏えいで最終報告…JR西(読売新聞)

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 JR福知山線脱線事故を巡る国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の情報漏えい問題で、JR西日本の佐々木隆之社長は18日、前原国土交通相に、漏えい問題を検証していた同社の第三者調査機関「コンプライアンス特別委員会」がまとめた最終報告書を提出した。

 また、漏えいにかかわった役員や社員計35人に対する社内処分を発表した。一方、前原国交相はJR西が接触した委員のうち現職の宮本昌幸、楠木行雄の両氏を辞任させる意向を示した。

 最終報告書は、漏えい問題の背景に「被害者や社会の目よりも、組織防衛の意識が優先する企業風土があった」とし、「経営トップが先頭に立って、組織的・継続的に一連の行為に取り組んだ」と結論づけた。

 こうした企業風土が生み出された背景として、国鉄民営化後、社長、会長を務め、脱線事故後に相談役を退任した井手正敬氏(74)に言及。「他人の意見に耳を傾けない独裁的経営」を「経営のあやまり」とし、「井手氏の影響力が相談役になっても衰えず、『院政』が敷かれた」ことが、組織風土を作ったと指摘した。

 社内処分では、問題に直接関与し、「事故調の報告書の内容に影響を与える働きかけをした」とされる当時の副社長・鉄道本部長の丸尾和明・日本旅行社長が最も重く、現在の報酬月額3か月分の5割返上を求めた。ほかの13人の幹部らにも報酬返上を求めた。山崎正夫・前社長と土屋隆一郎・前副社長(いずれも現嘱託)は取締役を既に解任されており、追加処分は見送った。
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第三者機関「コンプライアンス特別委員会」の調査報告書がまとまった。この報道を見る限り、報告書の内容は概ね評価できるのではないか。とりわけ、井手正敬・元社長について「他人の意見に耳を傾けない独裁的経営」「院政」と指弾したことは、当ブログがこれまで主張してきたことと基本的に同じである。報告書不正入手問題を「組織的」であり、組織防衛第一の行動としたことも妥当である。

JR西日本幹部が加わらない第三者調査機関であれば、これだけ思い切った調査結果が出せるのだということがわかった。逆に言えば、JR西日本幹部がみずから加わって組織する調査委員会では思い切った結論は出せないということである。被告人が裁判長を務めるような調査委員会で、会社に不利になるような報告など書けるわけがない。

それにしても、丸尾和明・元副社長がいまだ日本旅行社長の職にのうのうと留まり続けているとはどういうつもりなのか。

丸尾氏が日本旅行に天下ることがJR西日本から発表されたのは2008年5月だった。2006年、幹部らを相次いで子会社に天下りさせ、尼崎事故遺族らから厳しい批判を受けたJR西日本は、これら天下り幹部を子会社の役員から退任させざるを得なくなった。ところが、その記憶も醒めやらぬうちに丸尾氏は天下りをしたのである。

これは遺族・被害者に対する背信行為そのものである。事故当時の幹部の天下りに対する批判を受け、彼らを退任させた後に再び天下りをした丸尾氏は、いわば確信犯的に天下りをしたのであり、その責任が退任させられた幹部連中より重いことはいうまでもない。それなのに、受ける制裁がたったの報酬5割返納、それもたったの3ヶ月間とは、寝言は寝てからにしろよと思う。報告書の内容がそれなりに適切だったと思われるだけに、それとあまりにかけ離れた丸尾氏への「大甘処分」はどうしても理解できない。

繰り返す。丸尾氏は日本旅行社長を直ちに退任し、退職金も返納すべきである。いまだに列車に乗れないほどの後遺症に苦しんでいる被害者がいる中で、JRの列車を利用したツアーなどの旅行商品を売る会社の社長を務める資格は、丸尾氏にはない。

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JR東、法令理解せず介助犬同伴拒否

2009-11-17 22:59:54 | 鉄道・公共交通/交通政策
<介助犬>JRが同伴拒否 受け入れ義務、職員理解せず(毎日新聞)

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 千葉県市原市で介助犬と暮らす男性(48)が10月、JR鎌取駅(千葉市緑区)で新幹線の乗車券を買う際、介助犬の同伴を一時断られていたことが分かった。身体障害者補助犬法(02年施行)はすべての施設や交通機関に対し、介助犬や盲導犬の受け入れを義務付けているが、窓口職員は理解していなかったという。「日本介助犬協会」(本部・東京都)などは16日、同駅を所管するJR東日本に対し、再発防止を求める要望書を送付した。

 男性によると、同伴拒否があったのは先月20日。男性の妻(43)が同駅でJR名古屋駅までの新幹線の乗車券を求め、介助犬の同伴を伝えたところ、窓口職員に「(東海道新幹線を運行する)JR東海は盲導犬のみ同伴を許可しており、介助犬は認めていない。他の交通機関を利用してほしい」と拒まれた。妻は受け入れが法的義務であると説明したが理解されず、男性本人が電話で交渉。最終的に職員は誤りを認めたが、発券まで3時間以上かかったという。

 男性は「あきらめて車で行こうかとも思ったが、ほかの介助犬使用者のためにも説明に努めた。JRには法に基づいた対応をお願いしたい」と話す。日本介助犬使用者の会の木村佳友会長は「法施行から7年たったにもかかわらず、公共交通機関で同伴拒否が起きたことは大変残念。全職員に法律を周知徹底させてほしい」と求める。

 JR東日本は毎日新聞の取材に対し「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。今後、このようなことがないよう社員教育を徹底し、再発防止に全力を尽くしたい」とコメントした。【川久保美紀】
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身体障害者補助犬法

本当にJR社員は上から下まで法律を全然知らないということを改めて認識させてくれる事件である。こんな無知だからこそ、河川法違反の不正取水や、国労バッジ着用社員への違法な処分が平気でできるのだろう。もっとも、不正取水やバッジ処分は相当確信犯的に行われているが。

JRには一度、大規模な法令教育が必要だと思う。コンプライアンス(法令遵守)体制を整えるのは結構だが、それ以前に法律を知らないのでは遵守のしようもない。新入社員、中堅職員、幹部の各階層ごとに必要な法令知識を身につけさせ、コンプライアンス意識を涵養する必要がある。

それにも増して大切なのが、「自分が法律」という意識をたたき直すことだ。これは、とりわけ国鉄時代から引き続き幹部を務めている各社首脳にこそ必要である。前述の河川法違反やバッジ処分問題、それにJR西日本の事故調報告書漏洩問題を見ていると、法律を知っているとか知らないとか、コンプライアンス意識があるとかないとかいう以前に、彼らは自分が法律だと思い上がり、何をしても許されると勘違いしているのではないか。社員を教育する前に、弁護士などの法曹専門家による教育機関を設立してまず幹部の心を入れ替えさせ、教育効果の上がらない者は役員から罷免するくらいの覚悟が必要だ。ここまでやらないと、JRはもうダメだと思う。

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名松線問題を巡る議論について

2009-11-16 23:57:17 | 運営方針・お知らせ
11月3日付けエントリで取り上げた名松線一部廃止問題について、当ブログとしては珍しく10件を超えるコメントがつきました。

その多くが、名松線家城~伊勢奥津間のバス転換に賛成する「しょくぱん」を名乗る人物によるものです。当サイト管理人は、当初、書きぶりを見て議論できる相手と判断し、議論を続けていましたが、しょくぱん氏が(当サイト管理人も)自説を強固に維持し、曲げないので、議論は次第に平行線をたどりました。

そのうち、しょくぱん氏から「自分が納得するまで粘着し続ける」という発言があったことから、建設的な議論は不可能になったと判断し、「内容いかんによっては今後のコメントを承認しないこともあり得る」としょくぱん氏に通告しました。

もちろん議論を否定するものではありませんが、当ブログは、鉄道を発展させるためにはどうしたらいいか、それを阻害している要因をどうしたら取り除いて安全で快適な鉄道を造っていけるかを考える場所であり、開設当初からこうした方針に基づいて運営しています。

当ブログが考える理想的な鉄道の姿とは、公共交通として鉄道が地域の中でその役割を十二分に果たしながら、鉄道ファンのみならず地域住民にも愛される中で発展していくというものです。そうした姿が維持されるならば、利益は必然的に拡大していくはずですし、逆に、鉄道の特性上採算を維持することが難しいとしても、そうした姿が維持されていれば、公費で鉄道を維持することに対する国民の理解は得られるはずだと信じます。そのことは、9月22日付エントリで紹介した内閣府の世論調査にも現れています。

従いまして、当ブログをご覧いただいている皆さまには、今一度、こうした当ブログの方針をご理解いただいた上で、鉄道の発展をみんなで一緒に考えるというスタンスで接していただきたいと思います。

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東北新幹線「はやて」廃止し新愛称へ

2009-11-14 21:22:59 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
東北新幹線 「はやて」廃止へ 新型導入で列車名公募(毎日新聞)

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 JR東日本は東北新幹線八戸-新青森間の開業に伴い2011年3月から次世代新幹線「E5系」を導入するのに合わせて、「はやて」の列車名を廃止する方針を固めた。「はやて」は02年12月の八戸延伸の際、当時の最新車両「E2系1000番代」としてデビュー、それまでの「やまびこ」と区別するため命名された。代わりにみちのく路を走る「E5系」の名称について、JR東日本は来春に公募して決める。

 「はやて」は長野新幹線「あさま」をベースにした改良型。安定感と快適性に優れ、最高速度275キロで疾走するシンプルでスマートな車体から一躍東北新幹線の顔となった。

 JR東日本は当初予定されていた11年3月の新青森開業時に航空機のファーストクラス並みの「スーパーグリーン車」を連結した「E5系」を投入し、12年度末までに世界最速の時速320キロ運転を計画していた。ところが地元の要望で開業が3カ月前倒しの来年12月になったため「E5系」の製造が間に合わず、異例の新型車両なしの営業開始となる。

 通常の新幹線延伸開業は新列車名を冠した最新型車両を順次投入し、既存の車両を減らす方式を採用してきたが、今回は「はやて」が旧名称のまま最後の大役を担い、東京-八戸間の1日15往復を東京-新青森間にすべて移行させる計画だ。

 JR東はスーパーグリーン車の愛称も決めたいとしている。【斎藤正利】
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「はやて」の愛称は、2002年12月の八戸延伸で誕生したから、記事にあるとおり2011年に廃止となると、たった9年ということになる。新幹線の愛称名としては史上最短命かもしれない。

「はやて」の愛称が、風に乗って疫病が流行するのをイメージさせるということで、導入当時からあまり評判が良くなかったことは事実だが、それにしても、延伸開業のたびに愛称名を変える必要があるんだろうか。北海道新幹線が函館開業したら、また変えるのか?

最近のJRはあまりにも列車愛称を軽く扱いすぎである。列車愛称はその列車の象徴であり、地元の人たちが最も大切にしているものだから、もっと大切にして欲しいと思う。

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東京メトロと都営地下鉄、経営統合で協議

2009-11-13 23:41:28 | 鉄道・公共交通/交通政策
東京メトロと都営地下鉄、経営統合で協議(読売新聞)

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 「東京メトロ」の愛称で地下鉄9路線を運行する東京地下鉄の梅崎寿社長は11日、都営地下鉄との経営統合について「(都と)話はしている」と述べ、統合を視野に協議中だと明らかにした。

 その上で「(都営地下鉄には)4000億円を超える累積欠損金がある」と、都営地下鉄の財務健全化が課題との認識を示した。

 2009年9月中間連結決算を発表する記者会見で質問に答えた。

 両社はともに都内を中心に地下鉄を運行しており、統合で経営効率の向上などが見込まれる。両地下鉄を乗り継いだ場合、それぞれで必要な初乗り料金が不要になる可能性があるなど、利便性の向上も期待される。

 ただ、欠損金のほかにも、旧営団から株式会社化した東京地下鉄と、公営の都営地下鉄の組織形態の違いや、コスト構造の差など、解決すべき問題も多い。

 東京地下鉄の株式は、国が約53%、東京都が約47%を保有しており、同社では上場に向けた準備を進めている。
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東京地下鉄(旧営団)と都営の統合話は、戦後、営団・都営の2社体制になってから何度も浮かんでは消えた。鉄道ピクトリアル誌の記事によれば、営業成績の悪い路線を多く抱える都営側が何度も営団に統合を持ちかけたが、営団を監督する運輸省の反対に遭い、実現しなかったという。

そうこうしているうちに、営団が株式会社化され、都営との統合は永遠になくなったものと理解していた。日本で利益の出ている地下鉄は、どう見ても営団だけだろうし、その営団の株式会社化は事実上の「勝ち逃げ」であって、東京地下鉄が赤字の都営を引き取るなんてこと、あり得ないと思ったからだ。

ただ、東京都にしてみれば、東京地下鉄にも47%出資しているわけで、両地下鉄を一体化して効率的な経営を目指したいと思うのは当然だろう。東京都は「帝都高速度交通営団法」の規定により、営団時代から47%の出資を行っていたから、営団が株式会社化されたといっても、実際には国と東京都の営団への出資をそのまま株式に振り替えただけという言い方もできる。全株式が公開前で、国と東京都の手中にある今なら、両社の協議で一体化は不可能ではないだろうし、おそらく今回を逃したら、東京地下鉄と都営の統合は永遠に不可能になると思う。

もし、統合が実現するとすれば、それは東京地下鉄による都営の吸収合併という形になるだろうが、東京地下鉄の株式が一般公開となった場合、JRで見られたように、大規模なリストラや安全性の低下が予想される。統合自体は結構だと思うが、最近の経済情勢も踏まえれば、東京地下鉄も株式売却を中止して、民営化のあり方を再検討すべきであると当ブログは考える。

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