人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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規制緩和が生んだJR事故(国鉄闘争共闘会議パンフレット「国鉄分割民営化20年の検証」掲載)
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●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

日比谷線事故現場を初めて見る

2010-03-28 22:05:29 | 鉄道・公共交通/安全問題
3月8日の記事で予告したJR日比谷線事故現場への慰霊訪問を、事故10年目にして初めて行った。事故現場は、中目黒駅近くだということはわかっていたので、中目黒駅を下り、とりあえず線路沿いを恵比寿方面に向かって歩くと、目指す現場はすぐ見つかった。

<写真1>事故現場の入口。警備員が常駐しており、入場時間に制限がある

入口を入ると、突き当たりに記帳所があり、亡くなった5人の犠牲者ごとに関係者が記帳できるようになっている。この他、東京メトロ関係者用、一般用の記帳所があり、全部で7冊に分かれている。私は一般用に記帳を行った。

現場を管理している警備員は、元営団地下鉄職員で、現在は関連の警備会社にいるという。元営団職員ということもあり、「こんな記帳所が設けられるのはここを最後にしてほしい」と語っていたのが印象的だった。もちろん私も同じ思いだ。

<写真2>営団が建てた「安全の誓い」の碑

記帳所から左に折れ、階段を上るとそこが事故現場である。サムネイル写真はその一部である。慰霊碑の横を電車が通り過ぎていった。

慰霊碑に手を合わせ、再び階段を下りて記帳所を見る。そこには、2009年3月8日付け記事で紹介した、山崎さんの遺族がメッセージを刻んだ給湯器?が置かれていた。

今回、日比谷線事故の現場を訪問したことで、当ブログ管理人は、1986年以降、乗客・乗務員に死者を出した鉄道事故のうち、余部鉄橋列車転落事故、信楽高原鉄道事故、日比谷線事故、京福電鉄(現・えちぜん鉄道)正面衝突事故、土佐くろしお鉄道宿毛駅事故、尼崎事故、羽越線事故の現場を訪問したことになる。国鉄分割民営化後の事故現場で、未訪問は東中野駅事故(1988年)と関東鉄道取手駅事故(1992年)の現場を残すのみとなった。

それぞれの事故の背景にはそれぞれ違う要因が潜んでいるが、概して言えるのはJRには利益優先で列車を止めないことによる事故が多く、ローカル私鉄は施設・設備の不備による事故が多いということである。これらは、JRに対しては極度の甘やかしともたれ合い、私鉄に関しては施設整備のための資金拠出の枠組みをきちんと設けなかったことが作用しており、いずれも国の責任が大きいと当ブログは考えている。これらのことに関しては、また改めて機会を設けて述べることにしたい。

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初のハイブリッドディーゼル機HD300、公開

2010-03-27 23:23:52 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
初のハイブリッド機関車公開=排出ガス40%削減目指す-JR貨物(時事通信)

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 JR貨物が開発を進めている日本初のハイブリッド機関車「HD300形」が完成し、25日午後、東京都府中市の工場で報道関係者に公開された。

 ハイブリッド機関車は、駅構内で貨車の入れ替え作業に使用されてきた「DE10形」ディーゼル機関車の老朽化に伴い、同社が2008年度に開発に着手。ディーゼルエンジンと蓄電池の併用により、DE10形より排出ガスを30~40%、騒音レベルを10デシベル以上、低減することを目指している。

 今後、約1年かけて機関車が苦手とする高地や寒冷地などを中心に試験走行し、性能確認した上で量産化。DE10形と順次交代していく。 
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ちなみに写真はこちら(産経新聞)。DE10型と同じセミセンターキャブ方式だ。DE10の本来の目的であった入換・小運転にセミセンターキャブ方式はとてもよく向いており、それはそっくりそのままHD300に引き継がれている。

DE10も登場から半世紀近く経ち、技術的にも陳腐化しているし、老朽化も目立つ。開発当時は、軸重制限が厳しい日本の線路でいかに牽引力をアップさせるかだけを主眼にDD51が作られ、そのマイナーチェンジとしてDE10が生まれたが、環境保護意識の高まりもあり、そろそろ新機軸がほしいところではあった。

私としては、ハイブリッド機関車がどんな走行音を出すのかがとても気になる。トヨタ「プリウス」のような走り方だとしたら、起動時は電気機関車のようなモーター音がし、中速域でエンジンが起動、高速域ではエンジン音がする…というような走りになるのではないだろうか。

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井手氏らJR西日本歴代3社長、強制起訴へ

2010-03-26 23:08:34 | 鉄道・公共交通/安全問題
<福知山線事故>JR西歴代3社長の起訴議決 神戸第1検審(毎日新聞)

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 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故(05年4月)で、神戸第1検察審査会は26日、神戸地検が不起訴としたJR西日本歴代社長の井手正敬(74)▽南谷昌二郎(68)▽垣内剛(65)の3氏について、業務上過失致死傷罪で「起訴議決」したと公表した。改正検察審査会法に基づき、神戸地裁が指定する弁護士が検察官役となり、3人を強制的に起訴する。元常務鉄道本部長の山崎正夫前社長(66)は同罪で既に地検が起訴しており、乗客106人が死亡したJR史上最大の惨事は、社長経験者4人が刑事責任を問われる事態となった。

 昨年12月の検察の不起訴を受けた再審査による議決は同日付。3人は社長かつ「総合安全対策委員会」(後に総合安全推進委員会)委員長として、事故防止を統括する立場だったと認定。同委員会で、自動列車停止装置(ATS)が整備されていれば防止できた事故例として96年のJR函館線脱線事故が挙げられていたほか、カーブ変更や高速走行が可能な列車を大量投入したことで現場は特に危険性の高いカーブとなったのに、ATSを整備する注意義務を怠ったため、事故が発生したと指摘した。3人について「現場の危険性を認識していなかったとは到底考えられない」とも述べた。

 再審査では、同地検の担当検事と遺族双方から意見を聞いた。審査員11人中、起訴議決に必要な8人以上が起訴すべきだと判断した。地裁から指定された弁護士は、県警や地検の捜査書類などをもとに起訴状を作成。05年4月30日に106人目の乗客が亡くなったため、公訴時効は今年4月30日となり、同日午前0時までに3人を起訴するとみられる。今回の議決で同検審は「議決時期が公訴時効完成後になることは絶対回避する必要がある」としている。

 地検は昨年7月、事故を唯一、予見できる立場だったのにATSを設置しなかったとして、カーブ付け替え当時に常務鉄道本部長だった山崎被告を在宅起訴。井手元社長ら3人は「安全管理の権限を山崎被告に一任していた」などとして不起訴にした。このため20遺族35人が8月、起訴を求めて神戸第1検審に審査を申し立て。同検審は10月、地検に3人の起訴を求める「起訴相当」を議決したが、地検は12月、3人を改めて不起訴にした。

 検察審査会の審査を巡っては今年1月27日、明石歩道橋事故で神戸第2検審が、当時の県警明石署副署長について起訴議決し、強制的に起訴されることが決まった。【吉川雄策】
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なお、この件に関しては、別サイトに掲載した当ブログの見解を示す。

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尼崎事故を巡るJR西日本歴代3社長への「起訴議決」を歓迎する
~今こそJR史上最大の事故の真相究明を~

 2005年4月25日、JR福知山線塚口~尼崎間において、速度超過を主因として列車が脱線・転覆し、乗客・運転士107名が死亡したいわゆる「尼崎事故」について、本日、神戸第1検察審査会は、JR西日本の井手正敬氏、南谷昌二郎氏、垣内剛氏の歴代3社長に対し再び「起訴相当」の議決をした。この結果、改正検察審査会法の規定に基づき、3社長は自動的に起訴されることになる。当ブログは、神戸第1検察審査会の勇気ある決定を歓迎する。

 起訴は刑事訴訟の入口であり、始まりに過ぎないが、この巨大な成果は、理不尽な死に直面した遺族、事故に人生を狂わされた負傷者たちによる粘り強い闘いによってもたらされたものである。また、この事故に先行して起訴議決制度適用第1号事件となった明石歩道橋事故関係者の10年近い闘いによって作り出された起訴議決の先例が、尼崎事故への起訴議決適用に大きく道を開いたことは明らかであり、当ブログは、明石歩道橋事故関係者に最大級の謝意を表明する。明石歩道橋事故と尼崎事故の両遺族らが連携して闘い、この結果を勝ち取ったことは、今後のモデルケースともなるだろう。

 「社長だった3人が、現場カーブを急角度に変更し、高速走行できる新型車両を大量投入したために特に危険性が高まっていたことを知っていた」「安全対策の基本方針を実行すべき最高責任者として、自動列車停止装置(ATS)を整備するよう職員に指示すべき注意義務があったのに放置した」(議決要旨)と検察審査会は断罪した。これこそが、現在までに明らかにされている3社長の罪状である。

昨年秋、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会委員による尼崎事故調査報告書の漏えい事件が発覚したが、この際、事故の最高責任者である井手氏は、遺族への漏えい問題の説明会にも出席せず逃げ回り続けた。南谷氏は、社長時代、政府が保有していたJR西日本株の売却に力を注ぎ、「株式会社としてきちんとした経営をやった方が利用者や株主のためになるというあるべき姿を示す」(1997年7月14日付「京都新聞」)と述べるなど、利益最優先・安全軽視の「完全民営化」に突き進んでいった。彼らのこうした姿勢こそが事故を引き起こしたのであり、尼崎事故はまさに民営化が生んだ犯罪である。

今回の起訴議決は、有罪立証の見込みが立たなければ起訴しない代わりに、起訴したからには100%有罪を目指すという、硬直した起訴制度のあり方を大きく変えるものとなった。それはまた、検察による公訴権の独占に阻まれ、硬直的で画一的な運用が行われてきた結果、有罪の確証が得られない事件は法廷での真相解明の機会すら得られずに来たこれまでの刑事訴訟のあり方にも大きな変化をもたらした。今後、3社長の裁判は、裁判所が指定する弁護士による論告求刑という前例のない事態を迎えることになるが、私たちは、先行する明石歩道橋事故裁判の関係者とも連携しながら、法廷において事故の真相を究明し、再発防止につなげていかなければならない。

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えん罪の菅谷さんに正式に無罪判決

2010-03-26 22:06:02 | その他社会・時事
足利事件再審 裁判長が菅家さんに謝罪(産経新聞)

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 足利事件の再審判決公判で宇都宮地裁の佐藤正信裁判長は、菅家利和さん(63)への無罪言い渡しの最後に、「菅家さんの真実の声に十分に耳を傾けられず、17年間の長きにわたり自由を奪ったことを再審公判を担当した裁判官として謝罪します。申し訳ありませんでした」と述べ、佐藤裁判長以下裁判官3人が起立し深々と頭を下げた。

 佐藤裁判長は、判決言い渡し後、「事件につきまして自戒の意味を込めて菅家さんに謝罪させていただこうと思います」と述べ、謝罪を始めた。裁判官3人で頭を下げた後、佐藤裁判長が「二度とこのようなことを起こしてはいけないとの思いを強くしました。今後の菅家さんの人生に幸多きことをお祈りします。菅家さんの思いを胸に刻み、再審公判を終わります」と述べ、閉廷を告げた。

 菅家さんは裁判長の言葉に黙って頭を下げた。
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「謝罪あり納得、感無量」=笑顔で会見-菅家さん・足利事件(時事通信)


 「謝罪があり納得した。感無量です」。足利事件再審で無罪判決を受けた菅家利和さん(63)は、栃木県庁内で笑顔で記者会見した。

 菅家さんは「考えていた通りの謝罪があり、納得した。まさか裁判官3人が、ああいう形で謝罪するとは思ってなかった」とひと言ひと言かみしめるように話した。

 一方、事件発生当時に犯人視されたことについて、菅家さんは「腹立たしいというよりほかない」と顔をしかめた。さらに「絶対にわたしと同じような冤罪(えんざい)をつくってほしくない」と語気を強めた。

 今後の生活について尋ねられると、菅家さんは「運転免許が取れたら温泉に行ってみたい」と楽しそうに話した。 
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晴れて「法的に」自由の身となった菅谷さん。しかし、奪われた17年間は永遠に戻ってこない。

謝罪をしたところに裁判長の良識は感じられるが、やはり警察・検察・裁判所の3者が誰ひとりとして誤りに気付かず、無実の人間を「犯罪者」にした事実は消えない。しかも検察は謝罪すらしていない。

関係者は今回の事件を教訓にしてほしいし、えん罪の生まれた背景を解析し、同様のことが再発しないようにしなければならない。

菅谷さんに謝罪もせず、「陥れたいと思う者」に対して恣意的な捜査を繰り返す検察への批判は、改めて機会を設けて書く。

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Wimaxケーブルが絡み付き、JR大停電で3時間不通

2010-03-25 22:45:55 | 鉄道・公共交通/交通政策
停電、埼京線など4700人缶詰め=最長3時間25分運転見合わせ-架線にケーブル(時事通信)

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 23日午後7時20分ごろ、JR山手線や埼京線の新宿-池袋間で停電が起き、両線と湘南新宿ラインが最長約3時間25分にわたって運転を見合わせた。一部の電車が立ち往生し、乗客約4700人が最長で2時間45分間、車内に閉じ込められた。

 JR東日本によると、60本が運休し122本に遅れが発生。帰宅ラッシュ時間と重なり、影響人員は約26万人に達した。

 約1500人が乗った新宿発武蔵浦和行き10両編成の埼京線下り電車が目白駅(東京都豊島区)付近で立ち往生。閉じ込められた乗客は午後9時ごろから順次下車、同社社員らが同駅まで誘導した。

 また計約3200人が乗った湘南新宿ラインの電車2本が新宿-池袋間で約1時間10分立ち往生した。

 東京消防庁によると、埼京線の18~29歳の女性乗客6人が体調不良を訴え、うち5人が病院に搬送された。

 JR東によると、埼京線の運転士が目白駅付近を走行中、「上から何かが落ちてきた」として緊急停車。ほぼ同時に停電が起きた。点検したところ、並走する山手線内回りの架線に、同駅に設置された長さ約50メートル、直径約1・5センチの高速データ通信用ケーブルが引っ掛かっていた。これによる電気ショートが停電の原因とみられる。 
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留め具が屋内用、劣化し通信線垂れる…JR停電(読売新聞)

 JR山手線の目白駅付近(東京都豊島区)で23日夜に起きた停電トラブルは、情報通信用ケーブルを屋外に設置した際、誤って屋内用の留め具を使ったため、留め具が紫外線で劣化して破損し、ケーブルが線路上に垂れ下がったことが原因だったことが24日、JR東日本の調査でわかった。

 JR東の説明によると、このケーブルは全長約160メートルで、昨年1月に設置工事が行われ、目白駅の駅舎の屋外の手すりなどに沿って1・8メートル間隔で留め具で固定されていた。本来なら屋外部分は、紫外線に強い留め具を使わなければならないが、このケーブルではすべての留め具が屋内用になっていた。このため、線路上部の留め具が太陽光で劣化、その部分のケーブルが線路上に垂れ下がり、埼京線上り線の架線と接触して同線が停電した。その直後に目白駅を通過しようとした同線下り線の武蔵浦和行き電車が垂れたケーブルに接触し、ケーブルが切断されたとみられるという。

 ケーブルは計約50メートル分が脱落し、電車の衝突などで五つに切断されていた。ケーブルはJR東の発注を受け、昨年1月に「日本電設工業」(東京都)が設置した。同社が留め具を取り違えた理由について同社とJR東は「単純ミス」としており、今後詳しく経緯を調査するという。

 ケーブルはインターネットに接続できるサービス「WiMAX(ワイマックス)」のためのもの。ワイマックスは目白駅のほかに主に首都圏の110駅に導入されており、うち8駅は目白駅と同様、屋外の線路上にケーブルが設置されているという。JR東は24日、同種ケーブルが設置されている駅の点検を行った。

 また23日夜に電車の運行を見合わせた際、池袋駅で「線路に支障物が投げ込まれた」などとの誤ったアナウンスを行ったことについて、JR東は「当時は情報が錯綜(さくそう)していた」と釈明。同社はこの日、トラブルの概要について国土交通省関東運輸局に説明した。
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屋外に屋内用の留め具を使ったことが原因とは…。本当に、JR東日本にはもうつける薬がない。アンチJR東の急先鋒・くもすけ氏ではないが、利用しないことが唯一の抵抗策だとさえ思えてくる。当ブログは、独占体制にある公共交通企業に対し、この戦術は有効ではないと思っているが…。

下請会社に委託した業務については知ろうともしない官僚的企業体質が背景にある、と当ブログは以前、指摘したことがあるが、残念ながらまったくこの体質は変化していないようだ。そもそも、JR東日本は駅ビル管理者でありながら、「大家」としての責務をまったく果たしていない。地方の三流不動産会社やマンションの管理組合でも、もっと上手くやるだろう。

一般的には、ビル管理者は、下請業者やテナントが何かの工事をやるときは、工事計画書や図面・仕様書、着工届や竣工届、工事完成写真などの書類を提出させてチェックするものだし、テナントも含めたビルの内部造作については知っているのが当然である。仕様書だって、国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「公共建築工事標準仕様書」というものが公表されており、建設業関係者でなくともある程度の標準的な仕様を知ることができるようになっている。

技術屋集団であるJRがこうしたことを知らなかったとは考えられないが、下請業者に丸投げした工事についてはこうした基本的なチェックさえ行っていなかったということは間違いなさそうだ。日頃、さんざん「大家」としての責務を放棄しておきながら、「ベルク」を初め自分たちの営業方針に従わないテナントを追い出す時にだけ「大家」面をするとはご都合主義にも程がある。

JR東日本の経営陣は、エキナカでいくら儲かっているかにしかきっと興味がないのだろうし、割引率の高い定期券で乗車する通勤客など客とも思っていないのだろう。しかし、JR各社に対する利用客、そして地方の住民の怒りのマグマが蓄積されていることを最近、あちこちで強く感じる。JRの経営陣はずいぶんな「鈍感力」をお持ちのようだが、そろそろ利用客の不満と真剣に向き合う姿勢を見せないと、そのうち国鉄時代の「上尾事件」のようなことが起きるのではないか。

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安全軽視のスカイマークに厳しい措置を!

2010-03-25 22:08:14 | 鉄道・公共交通/安全問題
(当エントリは、当ブログ管理人が月刊誌に発表した原稿をそのまま掲載しています。)


 格安航空会社の草分け的存在であるスカイマーク・エアラインズ(以下スカイマーク)。航空自由化・規制緩和策に乗って登場した業界の風雲児として、その格安運賃は多くの利用客に受け入れられ、ブームにもなった。しかし、同時に開業当時から安全問題が浮かんでは消え、社会的批判も浴びてきた。

 しかし、最近報道される「安全軽視」の数々は、公共交通としての許容範囲をもはや超えているように思われる。大きな事故につながる前に、いま一度、スカイマークの安全問題を全国民的に議論すべき時なのではないだろうか。

●国土交通省が公表した「衝撃の写真」

 〔公表された写真(国土交通省が顔を消す加工を行っている)。右側の席は本来なら副操縦士だが、客室乗務員を座らせている。しかも上空を飛行中に、誰も前を見ていない。〕

 2010年3月12日、国土交通省が公表した1枚の写真は、各方面に衝撃を与えるには十分すぎるものだった。スカイマークの機長が、上空を飛行中に、副操縦士席に客室乗務員を座らせた上、デジタルカメラで記念撮影をしていたのだ。ある30代の副操縦士に至っては、2009年4月から2010年2月にかけ、機長らと5回もこうした「記念撮影」をしていたという。

 記者会見した前原誠司・国交相は「(いずれの写真も)全員こっち(後方)を向いている。運航中です。お客さんが乗っている機内で、こういうことが起きるのは言語道断。許されざる行為だ」と述べ、また国土交通省の島村淳運航課長も「法律以前の問題。安定飛行中でも、客室乗務員を座らせれば、操縦桿(かん)や計器などに触れて危険が生じかねない」と、なかば呆れ気味にスカイマークの姿勢に疑問を投げかけた。

 これが遊園地での記念撮影だったら別にどうということはない。機内だったとしても、空港で駐機中だったのなら、大きな問題ではなかったのかもしれない。

●「速度への畏敬」と職業倫理を忘れた公共交通企業

 時速900km前後で飛行している航空機は、1分間で15km、4秒間に1km進む。まともな神経を持った人間なら、この速度に対して「恐れ」を抱き、前方を凝視せざるを得ないだろう。数百人の乗客の命を預かる機長、副操縦士が、客室乗務員と席を代わったり、そろいも揃って前方から目を離し、記念撮影に興じたりするなど信じられない。「たかが数秒」の話ではなく、仮に2人が揃って10秒間前方から目を離したら、無監視状態で2.5kmも進んでしまう。乗務員に、あまりにもそのことへの自覚、さらには高速で進む交通機関への「畏敬」の念がなさ過ぎる。

 スカイマークでは、この直前の2月5日にも不祥事があった。風邪で声が出ない副操縦士が緊急時に乗客の案内ができないため危険と判断した機長が、安全運行のためこの副操縦士の交代を会社に求めたところ、会長と社長はあろうことか、逆にこの機長を乗務から外した上に契約解除(=解雇)し、声の出ない副操縦士を乗務させたまま離陸を強行させていたことが明るみに出たのである。

 スカイマークでは、2008年6月にも、2名の機長が体調不良で欠勤したため乗務員のやりくりが付かず、168便が運休する騒ぎを引き起こしている。たった2名が休んだだけでこうした事態が起こるのは、いうまでもなくスカイマークがギリギリの運行体制で飛行機を飛ばしているからである。スカイマークの過重労働ぶりは航空業界では有名で、インターネット上には同社を「ブラック会社」(注)として告発する内容の書き込みも散見される。もちろん、機長の体調不良ですら飛行機が飛ばなくなるくらいだから、社員にとって年休行使など夢のまた夢だろう。

 2006年には、亀裂の入った機体を修理しないまま飛ばし続けていたことが発覚したほか、2008年3月には、機体に搭載されていた気象レーダーが故障しているのに修理しないまま運行を続けていたこともわかっている。「たかが気象レーダーくらい」という読者の方がおられるとしたら、それは誤りである。2009年6月、エールフランス機が大西洋に墜落し、乗客・乗員228名が死亡した事故は、速度計の異常の他、機体への落雷が原因といわれている。気象レーダーが故障すれば、操縦室がこうした危険を予知できなくなってしまう。

 鉄道ファン兼航空ファンである私の友人は、「パイロットが空港の待合室で、一般利用客の女性に声をかけ、交際を迫っているのを見てから同社を利用しないと決めている」と私に告白した。上層部から末端社員に至るまで、職業倫理は完全に崩壊している。

(注)ブラック会社とは、著しく労働条件が悪く、過労死寸前まで酷使される企業のことを指す。もともとは、インターネット上の匿名掲示板で「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」という題名の掲示板が作られ、その内容があまりに過酷だったことからこう呼ばれるようになった。「ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない」に書き込まれていた内容はその後、書籍化を経て映画化されている。

●締め付けの果てに安全が崩壊した日本、闘って安全を回復したフランス

 そもそも、スカイマークが許し難いのは、機体に異常があること、運行体制に余裕がないことを知りながら、航空機を飛ばし続けていることである。日本航空でも、2005年頃、車輪脱落や滑走路誤進入などのトラブルはあったが、異常を起こした機体はその都度運行中止しているし、運行前に異常がわかっている機体をそのまま飛ばし続けるような無謀なことは起きていない。そのように考えれば、スカイマークの危険度は日航の比ではない。誤解を恐れず言えば、これまで墜落しなかったのは奇跡に近いのではないか。

 こうしたギリギリの運行体制がとられた結果の安全崩壊の背後には、経営陣の誤った経営がある。スカイマークは2004年、インターネットプロバイダ事業を経営していたゼロ株式会社と「異業種合併」し、ゼロ社から送り込まれた西久保眞一氏が社長に就任したが、航空業界や航空機の安全のことなど何も知らない西久保社長が、ゼロ社で実施してきたのと同じような成果主義システムを導入した。この成果主義制度に反発したパイロットや整備士らが数十人規模で大量退職したことが、今日の慢性的人手不足につながっている。ゼロ社との合併で安全もゼロでは冗談にもならない。

 一方、2009年6月に墜落事故を起こしたエールフランスでは、落雷の他、速度計の異常が事故原因とされ、また事故機以外にも速度計異常のエアバスA330型、A340型が多数運行されていることがわかったことから、事故後、乗務員の労働組合が会社側に「(事故機と同型である)A330型、A340型の速度計が修理されない限り、この2機種の乗務に応じない」と乗務拒否を通告した。この「安全闘争」の結果、エールフランスは35機運行されているA330型、A340型の全機で速度計交換を行う措置をとった。「闘いなくして安全なし」は、ここでも見事に証明されたのである。

●国土交通省に「見せしめ」の資格はあるのか?

 安全運行が危惧されながら、旧自公政権で何の手も打たれなかったスカイマークに対し、国土交通省が写真の公開を含めた厳しい姿勢を見せたことは、政権交代のひとつの効果といえるかもしれない。しかし、そもそもこうした事態を招いた原因は、旧運輸省が進めた運賃自由化にある。

 運賃自由化は、1998年から始まり、その第1号として就航したのがスカイマークだった。しかし、既存大手航空から客を奪うことを目的としてスカイマークが設定した運賃は、大手航空会社の40%~50%という無謀なもので、採算ラインが搭乗率80%と言われた。みずからが設定した運賃に足を取られ、不採算の泥沼にはまりこんでいったスカイマークでは、利益を確保するために飛ばすことが最優先の企業風土が形作られた。ギリギリの運行体制、過酷な労働条件、危険を顧みない運行第一主義は運賃自由化の「成果」である。私は、スカイマークを「見せしめ」にする資格が国土交通省にあるとはとても思えない。

 政権交代を機に、こうした運賃自由化を見直すことが急務である。航空運賃自由化がある限り、スカイマークを見せしめにしても、第2、第3のスカイマークが現れるだけの結果に終わるだろう。安全にコストがかかることはやむを得ない。

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【お知らせ】ホームページ更新とアクセス解析結果

2010-03-22 23:40:32 | 運営方針・お知らせ
管理人よりお知らせです。

1.ホームページ「罪団法人 汽車旅と温泉を愛する会」を更新しました。2009年7月20日以来、8ヶ月ぶりの更新です。更新内容は以下のとおりです。

・トップ写真張り替えに伴い、旧トップ写真を鉄道写真館に追加。
日本の鉄道全線完全乗車活動の記録を更新。
鉄道コラムを2件追加。

2.アクセス解析の結果について
gooブログがオープン6周年となったのを機会に、3月上旬~中旬にかけて、無料でアクセス解析機能の「お試し」キャンペーンが行われたので、当ブログでもアクセス解析を実施しました。その結果、いろいろなことがわかりました。

まず、当ブログの来訪者数は1日100~150人程度、ページビューは200~500程度といったところですが、このうち「トップページ」から来た人とキーワード検索から来た人がほぼ半々という結果となりました。トップページから来た人は、当ブログをブックマークに入れている人が多いと見られますが、この結果から見る限り「固定客」はそれほど多いとは言えません。検索エンジン別では、圧倒的にgoogle。これは予想通りです。

次に、キーワード検索からの来訪者について、どのようなキーワードでの検索が多いかで見ると、「JR」「スカイマーク」「不採用問題」「前原(国土交通大臣)」などのキーワードが上位を占めました。スカイマークや不採用問題は、最近、一般メディアでも取り上げられたための一時的なものとみられます。

しかし、これらのキーワードを上回り、圧倒的な検索数で第1位となったキーワードがあります。それは、予想通りというべきか意外というべきか、「名松線」「名松線 廃止」だったのです。

名松線問題が、これほど多くの関心を集めているのには驚きを禁じ得ませんでした。同時に、昨年11月の名松線問題のエントリに対し、コメント欄を閉鎖せざるを得ないほどの反応があった理由が、ようやく理解できた気がします。ページごとの閲覧数でも、昨年11月のこのエントリが、継続的に上位を占めています。ちなみに、名松線問題に関しては、コメント欄閉鎖後も私宛てにメールで意見を送ってくる人がいます。

その他のキーワードでは、「東京地下鉄」「大阪市営地下鉄」「日比谷線事故」「尼崎事故」「日航」などの検索でたどり着いた人もいました。管理人は、ホームページ「汽車旅と温泉を愛する会」の過去のアクセス解析結果から、鉄道趣味ネタよりも安全問題や経営問題のエントリのほうが人気が高いのではないかと予想していましたが、それを裏付ける結果となりました。

当ブログが地震や津波などの分析をひとつの「売り」にしているせいか、最近、地震や津波が発生した際に、急激にアクセス数が伸びる現象が起きることから、これらの記事に閲覧が集まっているのではないかと思っていましたが、解析結果からこれが裏付けられました。地震・津波関係のエントリは、発生直後に大きく伸び、その後、急激にアクセスを減らしています。このことから、地震・津波の分析記事はやはり速報性が重視されています。

これ以外では、なぜか「オイミヤコン」「日本一寒い場所」というキーワード検索から来た人が多く見られました。オイミヤコンというのは、ロシア・サハ共和国の村で、人が住む場所としては世界一寒いところとして知られており、最低気温は氷点下70度を下回ることもあります。2008年1月21日付エントリで一度だけ取り上げたのですが、2年以上経った今もアクセス上位を占めています。

この他、触れておかなければならないのが、携帯からのアクセスが多かったことです。特にNTTドコモからの閲覧はコンスタントに行われているという解析結果が出ました。NTTドコモからの閲覧数は、firefoxからの閲覧数を上回ることもあり、今後は、携帯からの閲覧者により一層配慮した運営を心がける必要があると痛感しました。

こうした解析結果は今後の当ブログのあり方を考える際の大きな手がかりになります。

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羽越線事故、司令員ら3人不起訴に

2010-03-19 22:31:06 | 鉄道・公共交通/安全問題
<JR羽越線事故>「突風は予測不可能」で不起訴処分に(毎日新聞)

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 山形県庄内町のJR羽越線で05年12月25日、秋田発新潟行き特急「いなほ14号」(6両、乗員・乗客46人)が脱線転覆し、5人が死亡、33人が重軽傷を負った事故で、山形地検は19日、業務上過失致死傷容疑で書類送検されたJR東日本新潟支社の3人について「突風を予測することは不可能だった」として容疑不十分で不起訴処分とした。

 3人は、特急の運行を管理していたJR東日本新潟支社の当時の、輸送課指令室長(54)▽総括指令長(53)▽指令長(47)。

 県警は昨年12月、同線砂越(さごし)-北余目(きたあまるめ)間の現場付近に暴風雪警報が出ていたにもかかわらず、警報を認識せず列車を運行させ、脱線転覆で乗客を死傷させたとして書類送検した。

 しかし、山形地検は、事故原因は風速毎秒32~50メートルの竜巻かダウンバーストなどの局所的な突風によるものと判断。JRの風速計は事故前30分間に最大毎秒12メートルしか観測しておらず、速度規制すべき数値に達していないなどの点から、「仮に警報を認識していても、突風は予見できなかった」と結論付けた。

 JR東日本は「二度とこのような事故を発生させないよう、強風対策をはじめ安全対策に全力で取り組む」とコメントした。【浅妻博之】
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なお、この不起訴処分に関する当ブログの見解を、以下のとおり示す。

1.2005年12月25日、JR羽越本線砂越~北余目間において、強風により列車が脱線・転覆し、乗客5名が死亡した事故について、2010年3月19日、山形地検は、事故当時のJR東日本新潟支社運輸部輸送課指令室長、指令室副課長、指令室主席の3名を「嫌疑不十分」により不起訴とする決定をした。3名は、2009年12月、山形県警庄内警察署捜査本部から業務上過失致死傷罪で山形地検に書類送検されていたものである。当ブログは、事故の真相究明の道を閉ざす山形地検の消極的決定に強く抗議する。

2.当ブログ管理人は、2007年12月、事故現場を現地調査した。2年半で100回近くの風速規制が実施されるほどの区間でありながら、なぜ列車を止めること、徐行することができなかったのか。なぜ風速計は2カ所しか設置されていなかったのか。これほど多くの列車が走る幹線区間が、なぜ今なお一部単線区間のまま放置されているのか。列車が暴風の中、100キロメートル近い速度で走ったのは、1時間以上の遅れを回復させるためではなかったのか。これらの疑問は、事故から5年たった現在も何ら解明されていない。

3.山形県警の捜査により、事故現場を管轄するJR東日本・新潟支社の指令室では、気象情報受信用のFAXが事故数日前から故障したまま放置されていたことが判明している。こうした安全に対する気の緩みが羽越線事故の背景にあったことは明らかであり、JR東日本に事故の責任があったことは明らかである。当ブログは、引き続きこの事故の真相究明を求めていく。

4.事故発生から今日までの5年間で、刑事訴訟を巡る情勢は大きく変化した。2009年5月に導入された起訴議決制度を事故の真相究明のために活用しようという動きはすでに関西で現実化し、明石歩道橋事故では関係者がこの制度により起訴となった。尼崎事故を巡っても、井手正敬・元JR西日本社長らを自動的に起訴するかどうかの判断がまもなく出される。そのようなときに、法理論のみを基準とした不起訴の決定は、この事故の真相究明を願う遺族・負傷者らの願いに背を向けるものである。

5.当ブログは、事故から4年を経過したこの時期に、改めて犠牲者のご遺族に哀悼の意を表するとともに、今なお治療過程にある負傷者の方に対しても、お見舞いを申し上げるとともに1日も早いご快癒をお祈りする。そして、遺族・被害者と連携し、この事故の真相究明に今後も全力を尽くす決意である。

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JR不採用問題和解案受け入れへ 政府、「現実的」と評価

2010-03-18 22:09:21 | 鉄道・公共交通/交通政策
JR不採用問題和解案受け入れへ 政府、「現実的」と評価(47ニュース・共同通信)

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 国鉄分割・民営化に伴う国労組合員ら1047人のJR不採用問題で、与党3党と公明党の代表者が18日、前原誠司国土交通相に対し、解決金約230億円の支払いや約200人のJR各社への雇用要請を柱とする和解案を提示した。当初案の約287億円から減額した。

 4党は「人道上不可欠と判断した結論で、政治解決を強く要請する」と申し入れたのに対し、前原氏は「事前に出ていた額よりも現実的な額が提示された」と評価し、政府として受け入れ可能との考えを示した。官邸と協議し、最終判断する。

 鳩山由紀夫首相は同日夕、記者団に「超党派で方向性を出されたことであり、政府としても真剣に検討しなければならない」と述べた。

 戦後最大の労働問題といわれる不採用問題は23年ぶりの解決に向け、最終局面に入った。

 JRへの雇用要請について、前原国交相は「数社が関連会社に採用すると聞いている」として、一部実現する見込みであることを明らかにした。

 和解案によると、対象となるのは係争中の組合員や遺族910世帯。政府は国鉄の債権、債務を引き継いだ鉄道建設・運輸施設整備支援機構に、和解金として1人平均約2400万円と、不採用者が設立した18の事業会社に対する支援金10億円を支払うよう求める。
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最終局面に来たJR不採用問題だが、国土交通省の抵抗で50億円も支払額が削られた。本来なら、当初提示された1人2850万円ですら当ブログはまったく安すぎると思っている。

それにしても、287億円なら受け入れられず、230億円ならOKとはどういうことか。国土交通省の考えていることは、私のような凡人にはまったく理解できない。

この不採用事件が起きてから、20年間で日本は変わった。JRでは150人以上の乗客が事故で亡くなり、社会はリストラ、不安定雇用やり放題になった。本来なら、不採用になった1047名分の慰謝料に加え、尼崎事故、羽越線事故、信楽高原鉄道事故の犠牲者や不安定雇用に苦しむ非正規労働者に対する慰謝料要求まで運輸機構にぶつけてやりたいくらいなのだ。

労働争議の勝敗がどこで決まるかは一概にはいえない。誰が誰を相手に闘うのか、誰が支援しているのか、どれくらい強い相手か。そして、客観的な情勢はどうか。そうした要素により、ハードルは高くなることも低くなることもある。しかし、誰にとっても最も明確な勝利とわかるのは、「職場復帰」や「解決金獲得」であるに違いない。

そうした客観的な指標である「職場復帰」がこの闘いの勝敗ラインであるとするならば、原告団の多くが60歳を超えてしまったこの闘いは、すでに勝利とはいえないのかもしれない。しかし、そうした中にあっても闘い方というものはある。端的に言えば「労働者をナメると高くつく」ということを相手に知らしめられるかどうかということだ。

そのためには、相手から1円でも多くもぎ取り、1人でも多くをJRに帰すことが必要である。まだまだ闘いの山場は続く。当事者たちはせめて、悔いの残らないように精一杯力を出してほしい。「このために23年間やって来たんだ」と、胸を張って言えるように。

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大阪市地下鉄であわや追突の事故

2010-03-16 22:25:37 | 鉄道・公共交通/安全問題
大阪市営地下鉄 ポイント替えず通過 脱線、衝突の恐れ(毎日新聞)

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 15日午前5時50分ごろ、大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線の鶴見緑地駅で、構内のポイントが切り替わらなくなり、市交通局は同11時過ぎまで全線で運転を見合わせた。上下132本が運休し、約5万7000人に影響。市交通局は同日夜、本来通過できないポイントを無理に通過したことによるポイント故障が原因と発表した。

 運転指令が運転士に対し必要な指示をしなかった人為的ミスで、当該電車は、切り替わっていない別のポイントも通過。先行電車が停車中の線路に進入し、非常ブレーキで急停止していたことも分かった。国土交通省近畿運輸局は事態を重視し、同日、「衝突や脱線事故につながる恐れがあった」と市交通局を文書指導。原因究明と再発防止を求めた。

 市交通局によると、当該電車は大正発門真南行きの始発電車。午前5時27分ごろ、この電車に搭載されているATC(自動列車制御装置)が京橋駅付近で故障して停止。運転指令がATCを解除した上で、速度を落として注意運転をするよう指示したが、ポイントを切り替える作業を怠ったため、電車は不正常なポイントを2カ所通過した。

 鶴見緑地駅手前のポイントでは、進めないのに無理に進入した「割り出し」が発生。門真南駅手前では、1番線に入線すべきところ、乗客約20人を乗せたまま、先行電車が停車中の2番線に進入。この段階で運転指令が気づき、約70メートル手前で停止した。【石川隆宣】
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運転指令が運転士にどのような指示をしたのかがもっと詳しくわからないとコメントしようがないが、ATCが故障した列車をそのまま走らせた列車指令のミスということに尽きるのではないか。ATCが故障した時点でこの列車の運転を中止していれば、こうした混乱は避けられたであろうということである。混乱を最小限に抑えようとして、ATC故障の車両の運行を続けたことが「割り出し」を誘発し、かえって混乱を全線に広げることになってしまった。

輸送を確保することは大切であり、特に影響の大きな大都市線区で列車を止める判断をすることは大変であるに違いないが、混乱の中で運転を続けるより、この場合はやはりATCが故障した列車の除去に全力を注ぐべきだったと思う。

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