安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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JR福知山線事故から10年 遺族、今なお区切りにならず

2015-04-25 23:42:43 | 鉄道・公共交通/安全問題
<尼崎脱線事故10年>風化を感じる遺族、再発への不安にも(毎日)

宝塚線事故、遺族4割が「光景思い出す」(朝日)

尼崎JR脱線事故から10年 6割が「区切りにならず」(東京)

JR福知山線脱線事故から10年が経過した。10年は大きな節目ということもあり、大手メディアはこぞって福知山線脱線事故の特集を行ったが、今さら事故原因に関する新たな事実・証言は出ず、もっぱら遺族、関係者のこの10年がどのようなものであったかという面からの報道がほとんどだったと言える。しかし、そうした報道の中からでも、遺族・被害者の悲しみ、苦しみや、再起への胎動・決意といったものが見えてくる。

とりわけ重要なのは、今なお遺族の4割が「事故の光景を思い出す」、また6割が10年を「区切りにならない」と答えたことである。事故風化への恐れも遺族・被害者に共通した傾向だ。10年を迎えても、関係者にとって事故は「現在進行形」なのだ。

安全問題研究会は、事故10年に当たって声明かコメントを出すことも検討したが、今年3月、JR西日本歴代3社長の強制起訴裁判の控訴審判決の際に声明でこの件に触れていることもあって、最終的に見送った。事故の被害者が10年を区切りにならないと回答している以上、当ブログと安全問題研究会もこれを区切りとするつもりはなく、引き続き、3社長裁判の動向、組織罰法制をめぐる遺族の動きなどを中心に、この事故と向き合い続けることになる。

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信濃川不正取水巡るJR株主代表訴訟で、株主側敗訴の不当判決

2015-04-24 23:54:52 | 鉄道・公共交通/交通政策
JR東会長らの責任認めず=不正取水で株主訴訟-東京地裁(時事)

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 JR東日本が新潟県の信濃川で水力発電用の水を取り過ぎ、水利権を一時取り消された問題で、不正を見過ごし会社に損害を与えたとして、株主が清野智会長をはじめ経営陣ら18人に計57億円を会社に賠償するよう求めた株主代表訴訟の判決が23日、東京地裁であり、小野寺真也裁判長は請求を棄却した。

 小野寺裁判長は「発電所外部の者が不正取水に気付くのは著しく困難だった」と指摘。「管理体制に不備があったと認めることはできない」と述べた。

 判決によると、JR東の信濃川発電所(新潟県十日町市、小千谷市)は、信濃川に設置したダムから取った水で発電し、首都圏などの電車運行に充てていた。しかし、国から許可された量を超えて取水していたことが2008年に発覚。同社は09年、流域の3市町に謝罪し、計57億円の寄付金を支払った。

 JR東日本の話 現・旧役員と当社の主張の正当性が認められたと考えている。
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当ブログ管理人も原告のひとりとして加わっていたJR東日本の株主代表訴訟で、東京地裁は23日、株主側の請求を棄却する不当判決を出した。

この訴訟が提起されるまでの経過や訴訟の概要については、当ブログ2012年1月28日付け記事「JR株主訴訟、提訴へ~見えてきた福島と同じ構造 これは東京と地方の関係を問う裁判だ」をご覧いただきたいが、この57億円の「寄付金」は、そもそもJR東日本が不正取水を行わなければ払う必要のなかったものだ。JR東日本の経営陣は、本来なら自分たちが自費で支払うべき金を会社の金庫から持ち出したもので、いわば自分の失敗のツケを会社に肩代わりさせたものと言える。

こうしたやり方が認められるなら、株式会社とは社会の公器でも株主・従業員のものでもなく、単なる経営陣の私有物、私有財産でしかないことになる。資本主義経済の主要な担い手を株式会社のままとしておいてよいのか、世界的に考え直さなければならないほどの事態と言えるだろう。

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なお、こうしたことは、本来、当ブログに書くにはふさわしくないのかもしれないが、あえて書く。この信濃川不正取水をめぐる株主代表訴訟は、国鉄闘争(JR不採用問題)が解決に向け最終局面を迎える中で準備が進められたが、提訴とほぼ同時期にJR不採用問題が「政治決着」。その後は国鉄闘争を継承する会が訴訟を引き継いだ。提訴の段階では、JR不採用問題で国鉄を解雇された元国労組合員らの闘いを支援した人々と当ブログ管理人との関係は良好であり、彼らを「窓口」として訴訟に加わったが、その後、国鉄闘争を継承する会は著しい官僚的運営に陥り、当ブログ管理人らのグループは事務局から閉め出されるに至った。当ブログ管理人は原告として参加しながら、国鉄闘争を継承する会からは何の連絡もなく、判決の期日が23日であったことも、また判決の内容も、知ったのはリンク先の時事通信の記事を通じてのことである。

ついでに言えば、当ブログ2011年10月21日付け記事において、国鉄闘争共闘会議のサイトが、コラム常任執筆者であった当ブログ管理人にひとことの相談もなく突然閉鎖されたことに言及している。かつてこのサイトの突然の閉鎖を決めたのと、国鉄闘争を継承する会を独善的運営に陥らせたのは同じ連中であることも指摘しておく(彼らは否定するかもしれないが、少なくとも当ブログ管理人はそう思っている。彼らの実名を「晒し上げ」にしないのは当ブログ管理人のせめてもの「情け」である)。

同じ目標を目指し、共通の敵と闘っていた者同士がなぜこのような関係に陥らなければならないのだろうか。日本の運動には「誰それとは一緒にやりたくない」という子どもじみた内部抗争があまりに多すぎる。闘いをリードする人たちがこの体たらくだから、日本の運動はいつまで経っても自民党に勝てないのだ。

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4月20日午前、与那国島近海の地震について

2015-04-22 21:24:07 | 気象・地震
平成27年4月20日10時43分頃の与那国島近海の地震について (気象庁報道発表)

4月20日午前、与那国島近海で起きた地震では、短時間ながら宮古・八重山地方に津波注意報が発令されるなど一時、緊張感が高まった。地震の規模はM6.8と大きいもので、震源はごく浅く、発震機構(地震のメカニズム)は南北方向に圧力軸を持つ逆断層型(速報)とされた。

正直なところ、地震の規模、震源の浅さ、そして宮古・八重山地方が震源に近いという事情を考えると、よく最大震度が4で収まったな、という感想を持つ。震度5弱~5強が観測されてもおかしくないほどの規模だったと思っている。

気になるのは、この地震の震源がフィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界に近いということだ。いうまでもなく、この2つのプレートの境界は南海トラフにつながっている。過去の地震履歴を見る限り、この海域でM6を超える地震が起きたのは、2006年10月12日のM6.1以来、8年半ぶりという久しぶりのものだ。震源があまりに遠いという事情もあり、実感が持てないかもしれないが、遠くない将来、南海トラフ大地震が起きた後、「今振り返ると、広い意味ではあの地震も前兆のひとつだった」と言われることになる地震かもしれないと当ブログは考えている。

南海トラフ大地震に関しては、東南海・東海と異なり、長い目(10~50年スパン)で見ると、刻一刻と発生に向かって進んでいるとみて間違いないと思う。東日本大震災直前の数年間に、プレート内部での逆断層型地震(岩手・宮城内陸地震など)と三陸沖のプレート境界上での中規模の地震が連動するように増えた後、東日本大震災へとつながっていった。

南海トラフ大地震が、東日本大震災と同じような経過をたどるかどうかはわからないし、断定はできないが、過去から現在まで巨大地震を見つめ続けてきた当ブログの“皮膚感覚”では、南海トラフ地震は今、長期的前兆活動の中期を終え、後期に入ったのではないか。かつては、当ブログも南海トラフ地震について「西日本の太平洋沿岸地域で、防災など公共事業予算を確保するための方便」と思っていた時期もあったが、次第に予断を許さない段階にきたように思う。

個人レベルで備えをするのはまだ早いように思わなくもないが、備えておいて悪いことはないのだし、官公庁や企業の「備え」は「Xデー」後の多くの人の生活に影響を与える。南海トラフ沿岸地域の官公庁や企業では、避難誘導・救助計画の作成、備蓄品の計画的調達といった準備をそろそろ本気で始めた方がいいのではないかと当ブログは訴える。

荒唐無稽だと思われるかもしれないが、1978年の宮城県沖地震から30年以上経過していることなどを根拠に、当ブログが東日本大震災の3年近く前から、三陸沖での地震に警告を発していたことを思い出してほしいと思う(「気象・地震」カテゴリの過去の記事を参照)。現実から目を背け、自分たちの想定外のことが起こると無様な言い訳、屁理屈、ごまかし、はぐらかし、隠蔽の限りを尽くしてきた不誠実な「科学者」の言葉よりも有益な予測が詰まっているものと自負している。

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翁長沖縄県知事と菅官房長官との会談における知事冒頭発言全文

2015-04-15 21:12:38 | その他社会・時事
少し前のニュースになるが、4月6日、翁長雄志沖縄県知事と菅義偉官房長官との会談における翁長知事の冒頭発言が、沖縄県の地方紙2紙(琉球新報、沖縄タイムス)に掲載されているので全文をご紹介する。「移設」に名を借りた辺野古への新基地建設に反対する「沖縄の心」を表現したこの発言を、比屋根照夫琉球大名誉教授は「間違いなく日本の戦後史上、自治体史上に残る発言だろう。強調したのは、戦後一貫している沖縄の魂だ」と高く評価している。

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<翁長知事冒頭発言全文>「粛々」は上から目線

 お忙しい中、時間を割いていただき、意見交換の場をつくっていただいたことに感謝を申し上げたい。

 官房長官からも話があったが、沖縄は全国の面積のたった0・6%に74%の米軍専用施設が置かれている。まさしく戦後70年間、日本の安全保障を支えてきた自負もあり、無念さもある。今、官房長官からそういったことに対して大変理解のある言葉をもらった。そうであるならば、去年の暮れ、あるいはことしの初め、どんなに忙しかったかは分からないが、こういった形で話をする中で「物事を粛々と進める」ということがあったら、県民の理解ももう少し深くなったと思う。

 私は日米安保体制が重要だというのは、私の政治の経歴からいっても十二分に理解している。しかし、日本の安全保障を国民全体で負担するという気構えがなければ、今、尖閣の話もあったが、たった1県のこの沖縄県に多くの米軍施設を負担させて日本の国を守るんだと言ってもよその国から見るとその覚悟のほどがどうだろうかと思う。

 日本国民全体で負担する中で、日本の安全保障や日米安保体制、日米同盟をしっかりやってほしいというのが私の気持ちだ。

 オスプレイなどが本土で訓練する話もあったが、残念ながらいわゆる基幹基地を本土に持って行くという話がないから、訓練をしていずれ全て沖縄に戻ってくるのではないかという危惧は、今日までの70年間の歴史からすると、十二分に感じられることだ。不安がある。

 そして、どんなに言っても米軍の運用に自分たちは口を挟めないんだという形で物事が終わってしまう。環境問題もさることながら、日米地位協定の改定も抜本的な意味合いでやってもらわないと。沖縄の危惧は、今の日米地位協定の中では解決しにくいと思っている。

 今日まで沖縄県が自ら基地は提供したことはないということを強調しておきたい。普天間飛行場もそれ以外の取り沙汰される飛行場も基地も全部、戦争が終わって県民が収容所に入れられている間に、県民がいる所は銃剣とブルドーザーで、普天間飛行場も含め基地に変わった。

 私たちの思いとは全く別に全て強制接収された。自ら奪っておいて、県民に大変な苦しみを今日まで与えて、そして今や世界一危険になったから、普天間は危険だから大変だというような話になって、その危険性の除去のために「沖縄が負担しろ」と。「お前たち、代替案を持ってるのか」と。「日本の安全保障はどう考えているんだ」と。「沖縄県のことも考えているのか」と。こういった話がされること自体が日本の国の政治の堕落ではないかと思う。

 日本の国の品格という意味でも、世界から見ても、おかしいのではないかと思う。この70年間という期間の中で、基地の解決に向けてどれぐらい頑張ってこられたかということの検証を含め、そのスピードから言うと先にはどうなるのか。これもなかなか見えてこないと思う。

 一昨年、サンフランシスコ講和条約の発効の時にお祝いの式典があった。日本の独立を祝うんだという、若者に夢と希望を与えるんだという話があったが、沖縄にとっては、あれは日本と切り離された悲しい日だ。そういった思いがある中、あの万歳三唱を聞くと、沖縄に対する思いはないのではないかと率直に思う。

 27年間、サンフランシスコ講和条約で日本の独立と引き換えに米軍の軍政下に差し出されて。そして、その27年の間に日本は高度経済成長を謳歌(おうか)した。その間、私たちは米軍との過酷な自治権獲得運動をやってきた。想像を絶するようなものだった。

 官房長官と私は法政大学で一緒だが、私は22歳までパスポートを持ってドルで送金受けて日本に通った。そういったものなどを思い浮かべると、あの27年間、沖縄が支えたものは何だったのかなと思い出される。

 そして、官房長官が「粛々」という言葉を何回も使う。僕からすると、埋め立て工事に関して問答無用という姿勢が感じられる。その突き進む姿は、サンフランシスコ講和条約で米軍の軍政下に置かれた沖縄。その時の最高の権力者だったキャラウェイ高等弁務官は「沖縄の自治は神話である」と。「自治は神話」だとあの当時に言った。

 私たちの自治権獲得運動に対し、そのような言葉で、キャラウェイ高等弁務官が言っていて、なかなか物事は進まなかった。

 官房長官の「粛々」という言葉がしょっちゅう全国放送で出てくると、何となくキャラウェイ高等弁務官の姿が思い出される。何か重なり合う感じがして、私たちのこの70年間、何だったのかなと率直に思っている。

 そして、この27年間の苦しい中で強制接収された土地を、プライスさんという人がきて、プライス勧告というもので強制買い上げをしようとした。とても貧しい時期だったから、県民は喉から手が出るほどお金がほしかったと思うが、みんなで力を合わせてプライス勧告を阻止した。

 今、私たちは自分たちの手の中に基地(の土地)が残っている。こういった自治権獲得の歴史は「粛々」という言葉には決して脅かされない。そう思っている。上から目線の「粛々」という言葉を使えば使うほど、県民の心は離れて、怒りは増幅していくのではないのかと思っている。私は辺野古の新基地は絶対に建設することができないという確信を持っている。

 こういう県民のパワーが私たちの誇りと自信、祖先に対する思い、将来の子や孫に対する思いというものが全部重なっていて、私たち一人一人の生きざまになってくる。こういう形で「粛々」と進められるものがあったら、絶対に建設することはできない、不可能になるだろうなと私は思う。そうすると、建設途中で頓挫することによって、起こり得る事態は全て政府の責任だ。世界が注目しているので、日本の民主主義国家としての成熟度が多くの国に見透かされてしまうのではないかなと思っている。

 官房長官にお聞きしたい。ラムズフェルド国防長官(2003年当時)が「普天間は世界一危険な飛行場だ」と発言し、官房長官も国民や県民を洗脳するかのように「普天間の危険性除去のために、辺野古が唯一の政策」と言っている。辺野古基地ができない場合、本当に普天間は固定化されるのかどうか、聞かせていただきたい。

 ラムズフェルドさんも官房長官も多くの識者も世界一危険な基地だと言っているのに、辺野古ができなかったら固定化ができるのかどうか。これをぜひお聞かせ願いたい。

 普天間が返還され、辺野古に行って(面積が)4分の1になるという話がある。それから嘉手納以南の相当数が返されると言うんですが、一昨年に小野寺前防衛大臣が来た時に「それで、どれだけ基地は減るのか」と聞いたら、今の73・8%から73・1%にしか変わらない。0・7%だ。

 なぜかというと那覇軍港もキャンプキンザーもみんな県内移設だから。県内移設なので、普天間が4分の1の所に行こうがどうしようが、73・8%が73・1%にしか変わらない。

 官房長官の話を聞いたら全国民は「相当これは進むな」「なかなかやるじゃないか」と思うかもしれないけれど、パーセンテージで言うとそういうことだ。

 それからもう一つ。那覇軍港やキャンプキンザーなどは2025年まで、2028年までには返すと書いてあるが、その次に「またはその後」と書いてある。これは日本語としてどうなんだと思う。

 2025年、2028年までに返すんだと書いておいて、その次に「またはその後」という言葉が付いている。「ハナシクワッチー」と言って、沖縄では話のごちそうという言葉がある。いい話をして局面を乗り越えたら、このことにはまた知らんふりというのが、戦後70年間の沖縄の基地の問題だったと思う。だから、今こうしてオスプレイをどこそこに持って行くあるいはたくさんの基地が返るんだという話をされても「またはその後」が付けば、「50年ぐらい軽くかかるんじゃないか」という危惧を県民はみんな持っている。

 こういうところをぜひ、ご理解いただきたい。そして、安倍総理が「日本を取り戻す」と2期目の安倍政権から言っていた。私からすると、取り戻す日本の中に沖縄が入っているのか、率直な疑問だ。

 「戦後レジームからの脱却」ということもよく言うが、沖縄では「戦後レジームの死守」をしている感じがする。一方で憲法改正という形で日本の積極的平和主義を訴えながら、沖縄でこの「戦後レジームの死守」をすることは、本当の意味の国の在り方からいくと納得しにくい。

 昨日、一昨日の官房長官の「沖縄県民の民意」というものがあった。「いろんなものがあってあの選挙を戦ったんだよ」と。「だから(民意は)いろいろあるでしょう」という話があったが、昨年度の名護市長選挙、特に沖縄県知事選挙、衆院選挙の争点はただ一つだった。前知事が埋め立て承認をしたことに対する審判だった。テレビ討論や新聞討論で(議題は)教育、福祉、環境いろいろあるが、私と前知事の政策に、埋め立て承認以外では違いがなかった。

 あの埋め立て承認の審判が、今度の選挙の大きな争点であり、10万票差で私が当選したということは、もろもろの政策でやったものではないということを、ぜひ理解してほしい。辺野古基地の反対について、県民の圧倒的な考えが示されたと思っている。

 振興策の話もしていたが、沖縄県はいろいろ難しいところがある。例えば基地があることによって困ったことは何だったかというと、あの9・11の(米国)ニューヨークのテロでビルに飛行機がぶつかったときに、大変なことが起きたなと思ったら、1週間後には、沖縄に観光客が4割来なくなった。そして4割来ないということは大変な出来事で、あのときの沖縄の苦しみというのは大変だった。

 そして尖閣も日本固有の領土だし、守ることは結構だ。しかし、あの尖閣で何か小競り合いが起きると、石垣島に来ている100万人の観光客がすぐ10万人くらいに減るという危険性も十二分に持っている。そういう視点からも、沖縄は平和の中にあって初めて、沖縄のソフトパワー、自然、歴史、伝統、文化、万国津梁の精神、世界の懸け橋になる、日本のフロントランナーとなる。経済的にもどんどん伸びていき、平和の緩衝地帯として他の国々と摩擦が起きないような努力の中に沖縄を置くべきだと思う。米軍基地があると、お互いの国とも近くて、最近はミサイルが発達しているので1、2発で沖縄が危なくなる。

 こういったことを考え合わせると、米軍もアメリカももうちょっと遠いところに行きたがっているんじゃないか。日本の方がかえってそれを止めて「抑止力」という形でやっているのではないかという疑問がある。

 アジアを見据える、あるいは中東を見据えるところまで沖縄の基地が使われるのではないかと思っているが、この辺の根本的な説明がないと、新辺野古基地というのは恐らく難しい。

 県民の今日までのいろんな思いは絶対に小さくはならない。もっと大きくなって、この問題に関して、話が進んでいくと私は思っている。

 きょう官房長官にお会いさせていただいたが、安倍総理にもこのような形でお話しする機会があれば大変ありがたい。ぜひ、その面談の手配をお願いしたい。(官房長官は)基地負担軽減担当大臣でもあるので、辺野古建設の中止をされて、しっかりと話し合いをして、基地問題を解決していただきたいと思っている。よろしくお願いします。

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福井地裁、高浜原発3、4号機運転差し止め仮処分 決定文など

2015-04-14 22:04:24 | 原発問題/一般
すでにニュース等で報道されていますが、本日、福井地裁は、福井県内の住民が求めていた関西電力高浜原発3、4号機の運転差し止めの仮処分を認める決定を行いました。通常の裁判では、運転差し止めの判決が出された場合でも、判決が確定しなければ法的効力を生じませんが、仮処分の決定は確定前でも直ちに効力を生じます。このため、本日の決定が効力を及ぼしている間、関西電力は高浜原発3、4号機の再稼働ができなくなりました。

日本で、原発の運転を差し止める裁判所の決定が実際に効力を及ぼす状態になったのはこれが初めてです。これは、福島第1原発事故以降の福島の現実と市民の闘いが切り拓いた歴史的勝利だと思います。

なお、当ブログでは、以下、「決定文要旨」及び「大飯・高浜差止仮処分脱原発弁護団」の声明全文をご紹介します。この他、決定文の全文は「脱原発弁護団全国連絡会」サイトから読むことができます(こちら)。

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平成26年(ヨ)第31号 高浜原発3、4号機運転差止仮処分命令申立事件

主文

1 債務者(関西電力)は、福井県大飯郡高浜町田ノ浦1において、高浜発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。

2 申立費用は債務者の負担とする。

理由の要旨

1 基準地震動である700ガルを超える地震について

基準地震動は原発に到来することが想定できる最大の地震動であり、基準地震動を適切に策定することは、原発の耐震安全性確保の基礎であり、基準地震動を超える地震はあってはならないはずである。

しかし、全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が平成17年以後10年足らずの問に到来している。本件原発の地震想定が基本的には上記4つの原発におけるのと同様、過去における地震の記録と周辺の活断層の調査分析という手法に基づいてなされ、活断層の評価方法にも大きな違いがないにもかかわらず債務者の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見い出せない。

加えて、活断層の状況から地震動の強さを推定する方式の提言者である入倉孝次郎教授は、新聞記者の取材に応じて、「基準地震動は計算で出た一番大きな揺れの値のように思われることがあるが、そうではない。」「私は科学的な式を使って計算方法を提案してきたが、平均からずれた地震はいくらでもあり、観測そのものが間違っていることもある。」と答えている。地震の平均像を基礎として万一の事故に備えなければならない原子力発電所の基準地震動を策定することに合理性は見い出し難いから、基準地震動はその実績のみならず理論面でも信頼性を失っていることになる。

基準地震動を超える地震が到来すれば、施設が破損するおそれがあり、その場合、事態の把握の困難性や時間的な制約の下、収束を図るには多くの困難が伴い、炉心損傷に至る危険が認められる。

2 基準地震動である700ガル未満の地震について

本件原発の運転開始時の基準地震動は370ガルであったところ、安全余裕があるとの理由で根本的な耐震補強工事がなされることがないまま、550ガルに引き上げられ、更に新規制基準の実施を機に700ガルにまで引き上げられた。原発の耐震安全性確保の基礎となるべき基準地震動の数値だけを引き上げるという対応は社会的に許容できることではないし、債務者のいう安全設計思想と相容れないものと思われる。

基準地震動である700ガルを下回る地震によって外部電源が断たれ、かつ主給水ポンプが破損し主給水が断たれるおそれがあることは債務者においてこれを自認しているところである。外部電源と主給水によって冷却機能を維持するのが原子炉の本来の姿である。安全確保の上で不可欠な役割を第1次的に担う設備はこれを安全上重要な設備であるとして、その役割にふさわしい耐震性を求めるのが健全な社会通念であると考えられる。このような設備を安全上重要な設備でないとする債務者の主張は理解に苦しむ。

債務者は本件原発の安全設備は多重防護の考えに基づき安全性を確保する設計となっていると主張しているところ、多重防護とは堅固な第1陣が突破されたとしてもなお第2陣、第3陣が控えているという備えの在り方を指すと解されるのであって、第1陣の備えが貧弱なため、いきなり背水の陣となるような備えの在り方は多重防護の意義からはずれるものと思われる。

基準地震動である700ガル未満の地震によっても冷却機能喪失による炉心損傷に至る危険が認められる。

3 冷却機能の維持についての小括

日本列島は4つのプレートの境目に位置しており、全世界の地震の1割が我が国の国土で発生し、日本国内に地震の空白地帯は存在しない。債務者は基準地震動を超える地震が到来してしまった他の原発敷地についての地域的特性や高浜原発との地域差を強調しているが、これらはそれ自体確たるものではないし、我が国全体が置かれている上記のような厳然たる事実の前では大きな意味を持つこともないと考えられる。各地の原発敷地外に幾たびか到来した激しい地震や各地の原発敷地に5回にわたり到来した基準地震動を超える地震が高浜原発には到来しないというのは根拠に乏しい楽観的見通しにしかすぎない上、基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険は、万が一の危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険である。

4 使用済み核燃料について

使用済み核燃料は我が国の存続に関わるほどの被害を及ぼす可能性があるのに、格納容器のような堅固な施設によって閉じ込められていない。使用済み核燃料を閉じ込めておくための堅固な設備を設けるためには膨大な費用を要するということに加え、国民の安全が何よりも優先されるべきであるとの見識に立つのではなく、深刻な事故はめったに起きないだろうという見通しのもとにかような対応が成り立っているといわざるを得ない。また、使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性もBクラスである。

5 被保全債権について

本件原発の脆弱性は、(1)基準地震動の策定基準を見直し、基準地震動を大幅に引き上げ、それに応じた根本的な耐震工事を実施する、(2)外部電源と主給水の双方について基準地震動に耐えられるように耐震性をSクラスにする、(3)使用済み核燃料を堅固な施設で囲い込む、(4)使用済み核燃料プールの給水設備の耐震性をSクラスにするという各方策がとられることによってしか解消できない。

また、地震の際の事態の把握の困難性は使用済み核燃料プールに係る計測装置がSクラスであることの必要性を基礎付けるものであるし、中央制御室へ放射性物質が及ぶ危険性は耐震性及び放射性物質に対する防御機能が高い免震重要棟の設置の必要性を裏付けるものといえるのに、原子力規制委員会が策定した新規制基準は上記のいずれの点についても規制の対象としていない。免震重要棟についてはその設置が予定されてはいるものの、猶予期間が設けられているところ、地震が人間の計画、意図とは全く無関係に起こるものである以上、かような規制方法に合理性がないことは自明である。

原子力規制委員会が設置変更許可をするためには、申請に係る原子炉施設が新規制基準に適合するとの専門技術的な見地からする合理的な審査を経なければならないし、新規制基準自体も合理的なものでなければならないが、その趣旨は、当該原子炉施設の周辺住民の生命、身体に重大な危害を及ぼす等の深刻な災害が万が一にも起こらないようにするため、原発設備の安全性につき十分な審査を行わせることにある(最高裁判所平成4年10月29日第一小法廷判決、伊方最高裁判決)。そうすると、新規制基準に求められるべき合理性とは、原発の設備が基準に適合すれば深刻な災害を引き起こすおそれが万が一にもないといえるような厳格な内容を備えていることであると解すべきことになる。しかるに、新規制基準は上記のとおり、緩やかにすぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない。新規制基準は合理性を欠くものである。そうである以上、その新規制基準に本件原発施設が適合するか否かについて判断するまでもなく債権者らが人格権を侵害される具体的危険性即ち被保全債権の存在が認められる。

6 保全の必要性について

本件原発の事故によって債権者らは取り返しのつかない損害を被るおそれが生じることになり、本案訴訟の結論を待つ余裕がなく、また、原子力規制委員会の設置変更許可がなされた現時点においては、保全の必要性も認められる。

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高浜原発3・4号機運転差止仮処分命令を受けての弁護団声明

福井地裁は、本日、関西電力に対し、高浜原発3・4号機の運転差止めを命じる仮処分命令を発令しました。

高浜原発3・4号機については、規制委員会が設置変更許可を出しましたが、本命令によって再稼働することはできなくなりました。

司法が現実に原発の再稼働を止めた今日という日は、日本の脱原発を前進させる歴史的な一歩であると共に、司法の歴史においても住民の人格権ひいては子どもの未来を守るという司法の本懐を果たした輝かしい日であると思います。

もっとも、原発が人格権という最も重要な権利を侵害するものであることは,既に昨年5月21日の福井地裁判決が明らかにしていたところであり、この判決を無視して国と電力会社が原発の再稼働を進めようとしたことは、露骨な司法軽視であり、三権分立という日本の統治制度の根幹を揺るがしかねない重大な問題であると考えます。

本命令は、このような国と電力会社による暴挙を正したものといえますが、国と電力会社は、今度こそ司法の判断を厳粛に受け止めるべきです。

国と電力会社に対し、本命令を機に、福島原発事故という現実を直視し、高浜原発3・4号機のみならず、すべての原発の再稼働を断念し、脱原発に舵を切ることを強く求めます。

2015年(平成27年)4月14日
脱原発弁護団全国連絡会、大飯・高浜原発差止仮処分弁護団
共同代表 河合弘之・海渡雄一

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【管理人よりお知らせ】「交通権学会」で原発、リニア問題が取り上げられます

2015-04-13 22:07:03 | 鉄道・公共交通/交通政策
管理人よりお知らせです。

直前のご案内になってしまいましたが、来る4月18日に都内で開催予定の「交通権学会関東部会」で原発、リニア問題が取り上げられます。関心のある方はぜひご参加ください。

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交通権学会関東部会

2015年4月18日(土) 13:30~17:00
早稲田大学 早稲田キャンパス 11号館 1110号教室

13:30~ 曽田英夫「交通事故における死亡事故の現状」
14:40~ 上岡直見「エネルギー需給からみる自動車と原子力の関連」
15:50~ 天野捷一「リニア新幹線の光と影」

※時間は多少前後することがありますのでご了解下さい。

○上岡直見
「エネルギー需給からみる自動車と原子力の関連~自動車と原子力の共通性」

原子力関係者は福島事故前から「電力用途としての原子力の需要は飽和しつつあり今後は輸送用エネルギーに原子力の用途を見出す」としていた。すなわち原子力と自動車を結びつければ、原子力を維持する強力な手段となる。ここに燃料電池車に税金から1台200万円もの補助を与える背景が読み取れる。最近の原子力をめぐる政策動向を背景として、エネルギー需給からみる自動車と原子力の関連について考察する。同時に福島事故以前から、原子力への社会的抵抗を減少させるため「原子力のリスクは自動車(交通事故)のリスクより小さい」等の印象操作が続けられてきた。自動車と原子力に共通して推進するためのイデオロギーと、それに必然的に伴う事実の歪曲・隠蔽にも言及する。

※マスコミ関係の方で参加されない方には資料提供できます。

○天野捷一
リニア新幹線沿線住民ネットワーク・リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会共同代表
「リニア新幹線の光と影」

・リニア新幹線は国民の利便性に繋がらない

・リニア新幹線を進める権力構造と矛盾
  1. JR東海経営トップの思惑
  2. リニアムラとメディア対策

・リニア新幹線計画の弱点

・リニアを止めるには~市民ができること

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【緊急警告】茨城県沖でイルカ160頭座礁 念のため地震に注意を

2015-04-10 22:18:48 | 気象・地震
今回の記事の内容を信じるかどうかは読者の皆さんにお任せします。「念のため」の警告です。

海岸にイルカ150頭=地元住民ら救出活動―茨城(時事通信)

茨城県鉾田市の海岸で、約160頭ものイルカ(カズハゴンドウ)が座礁するという出来事が10日未明に起きた。イルカの座礁が起きたら100%巨大地震が発生するというわけではないが、2011年3月11日に起きた東日本大震災の直前の2011年3月4日にも、今回と全く同じカズハゴンドウが52頭も打ち上げられる出来事が起きている(当時のニュース報道)。日本の海岸で、これだけの規模のイルカが座礁したのは、少なくとも東日本大震災以降は初めてのことである。

地震の前兆現象のひとつと言われる「宏観異常現象」の中でも、全く当てにならない地震雲などと異なり、動物の異常行動はある程度信頼できるもののひとつだと思っている。イルカやクジラは地磁気や電磁波に敏感であり、天変地異の直前にはしばしばこのような行動がみられる。

地震情報サイトなどを見る限り、今のところ、巨大地震につながるような明確な兆候は認められないが、念のため、当ブログ管理人は車に満タン給油、ガソリン携行缶にも10リットル給油、灯油の買い出しを行った。東日本大震災の際、とにかく困ったのが燃料調達(ガソリンはどこのスタンドでも1台10リットルまでしか給油できなかった)だったからだ。

老朽化で性能が著しく低下した携帯ラジオも先日、四半世紀ぶりに新しい物に買い直したところだ。はっきりわかるほど良くなった感度にこの四半世紀の技術進歩を感じる。仮にイルカの大量座礁が地震の警告としては空振りに終わったとしても、ここ最近の株価上昇、浮かれムードの中で足下の防災対策を見つめ直すまたとない契機だと思う。

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JR福知山線事故を巡る3社長裁判で指定弁護士が上告、最高裁へ

2015-04-08 22:57:26 | 鉄道・公共交通/安全問題
指定弁護士が上告=歴代3社長無罪で-福知山線事故(時事)

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 兵庫県尼崎市で2005年4月、乗客106人が死亡した福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴されたJR西日本歴代社長の井手正敬(80)、南谷昌二郎(73)、垣内剛(70)3被告について、検察官役の指定弁護士が6日、大阪高裁の無罪判決を不服として最高裁に上告した。

 指定弁護士の河瀬真弁護士は同日、神戸市内で会見し、「高裁の判断は非常に狭い事情に基づいて即断している印象がある。もっといろいろな事情を取り込んで総合的に判断する最高裁の審理を仰ぎたい」と話した。

 一方、3人は弁護人を通じて「今後の裁判についても真摯(しんし)に対応したい」「事故の重さをしっかり受け止め、裁判に対応したい」などとコメントした。

 高裁は先月27日、一審神戸地裁に続いて、脱線事故の予見可能性を否定し、3人を無罪とした。指定弁護士が今月5日に開いた遺族らへの説明会では、出席したほぼ全員が上告を求めていた。
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JR福知山線脱線事故を巡るJR西日本歴代3社長の裁判は、2審・大阪高裁でも去る3月27日、無罪判決が言い渡されたが、指定弁護士は遺族・被害者の意向も受け、最高裁に上告手続きを取った。JR史上最悪の死亡事故の刑事責任を問う裁判はいよいよ最高裁に舞台が移る。検察が有罪は無理とみて不起訴にした事故だけに、もともと「無理筋」との意見も強かったが、当ブログが入手した情報によれば、指定弁護士側は、過失の予見可能性を広く認めたいくつかの判例を参考にして最高裁での裁判に備える模様だ。

すでに、当ブログの過去の記事で明らかにしているように、経営者個人の罪を問うことは難しくても、法人組織の罪は問われるべきだとする意見を裁判所が判決の中で述べている。このような判例、判示が積み重なれば、法制審議会などの機関もその意見を無視することは難しくなる。3社長を有罪にすることが目的の裁判ではあるが、遺族が裁判を続ける中で見据えるのは「その先」だ。最近、この裁判に関しては「続けても無理」「有罪になどできるわけがない」と短絡的、脊髄反射的な否定が目立つが、それらは遺族の心情をわかっていない。ある日突然、事故で身近な人を奪われた被害者がなぜ、遠くの知りもしない者たちから「仕方ない」などと言われなければならないのか。被害者だけが泣き寝入りさせられ、「仕方ない」で回ってきた戦後の日本社会を作り直すことがこの裁判の目的なのだ。

この裁判に関しては、強制起訴以降の6年間で、当ブログとして言いたいことはほぼ言い尽くしており、付け加えることはほとんどない。当ブログ、安全問題研究会のサイトにそれらはすべて掲載している。今後とも当ブログは裁判支援を通じて、日本社会から「仕方ない」を死語にするため全力を尽くしていく。

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【管理人よりお知らせ】東京地検がわずか2ヶ月半で2015年告訴に「不起訴」決定

2015-04-06 21:24:43 | 原発問題/一般
管理人よりお知らせです。

今年1月、福島原発告訴団が経産官僚らを対象に行った汚染水漏出問題での告訴・告発について、東京地検は4月3日、不起訴とすることを決定、福島原発告訴団に通知してきました。

告訴からわずか2ヶ月半での「スピード決定」であり、地検は捜査を事実上全く行わず、福島原発告訴団が追加提出した証拠資料も、まともに読みもしなかったと考えざるを得ません。この不当きわまる決定に対し、福島原発告訴団から団長声明が出されました。以下、転載します。

なお、この決定に対しても、福島原発告訴団は検察審査会に申し立てを行う予定です。

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福島原発告訴団 2015年4月3日付記事より

不起訴処分に対する団長声明

 今年の1月に新たな証拠を添えて行った告訴が、このように早々に不起訴という処分とされたことに驚き、憤りを感じています。十分な捜査が尽くされたとは到底思えません。5月には、全国よりたくさんの告訴人が2次告訴を行う予定であり、早々に幕引きを図ったのではと疑念を持たざるを得ません。

 検察は被害者の側にあるのでなければ、いったい何の側にあるのでしょうか。まったく納得がいきません。検察が自らその職責を放棄することに抗議いたします。

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検察は、私たちがどんなに明白な証拠を添えても原子力ムラを不起訴とする一方、全く潔白な岐阜県美濃加茂市長に対しては「美濃加茂市を焼け野原にする」などと脅し、1審で市長に無罪判決が出されても、控訴してまで徹底的に潰そうとしています(関連記事)。もはや検察は「自分の気に入った者はどんな手を使ってでも免罪し、気に入らない者はどんな手を使ってでも罪を着せ、陥れる堕落腐敗組織」としか言いようがありません。

当ブログは検察を絶対に許しません。今後は、この決定に関わった「不良検事」たちを、検察官適格審査会にかけることも含め、検討したいと思います。

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札幌市長選・自民推薦候補者が右翼集会で「生活保護は遺伝」と暴言

2015-04-05 15:45:41 | その他社会・時事
札幌市長選(4月12日投開票)に自民党推薦で立候補している本間奈々氏が、右翼団体の集会で「生活保護は遺伝」「生活保護が日本一多い大阪は吹き溜まりで、だからこそ橋下市長が出てきた」などの暴言を繰り返し、札幌市民の怒りが高まっている。問題の発言は以下の通りだ。

(以下の動画、約1分30秒あたりから)

日行会主催勉強会 本間 奈々氏 「覚悟を語る」-3


「生活保護がこれほど増えているのは大変問題だと思っていまして、(札幌市は)日本で2番目に生活保護が多いんですよね。大阪に次いで2番目に多いんです。これは私は非常に問題だと思っています。公共事業が減って、バラマキが減ったように見えると思いますけど、生活保護は増えています。生活保護を増やし続けると、私は財政的にも問題があると思っているんですけれども、それ以上に街としての魅力として、そういう街を魅力的な街だと言えるんだろうかと思うんですよね。そして、生活保護は遺伝するとか、世襲制だとかって言われてますけれども、生活保護をもらっている多くの家庭のお子さんたちは、また生活保護をもらうような状況に入ってしまう、安易にどんどん与えているのと同じ。勤労意欲を養うというのは、働くことはいいことだよという言葉じゃなくて、身近に働いている人がいて、それを見て働かなきゃと思うんですけれども、みんなが働いてなければそんなことは思えないですよね」

「小学校2年生の子どもが、将来なりたいものというので生活保護をもらえばいいと書いてあった(会場笑い)。普通の子どもが自分でそんなことを書くわけがないので、身近にそんな例があるのかなという感じ。そういう意味で言うと、根を腐らせてしまうという意味で、札幌にとっては問題だと思います」

「(生活保護が一番多い)大阪というのは特殊な地域で、橋下さんが出てきたのは、ああいった街の衰退感が橋下さんを生んでいるのだと思うんですが・・・(中略)・・・大阪というのは吹き溜まりなんですよ。でも、それに次いで札幌(の生活保護受給)が2番目でいいのかという問題があります」

日行会(にっこうかい)は正式名称を「日本のために行動する会」と言い、北海道を拠点に活動する右翼団体だ。最近の右傾化を「右傾化ではなく正常化」などと主張し、活発な活動を繰り返している。発言自体は2年前のものだが、札幌市長選に出馬を考えているのに堂々と右翼の集会で講演する本間氏の政治的センスは「凄い」。だがもっと凄いのはその講演会のタイトルだ。「本間奈々氏 覚悟を語る」――本間氏が札幌市長として示そうとしているのはいったいどのような「覚悟」なのか。

もちろん、本間氏が指摘するように、生活保護が親から子へ、世代を超えて受け継がれる状況は確かにあり、それが問題であることは事実だろう。しかし、それは「貧困の固定化」「貧困層が貧困から脱出できず、貧困が再生産される社会的背景は何か、そしてその解決のためにどのような貧困対策を講じなければならないか」という問題意識でなくてはならないのは当然だ。

今回、札幌市では、長く務めた上田文雄市長が引退を表明、市長選には本間氏を含む新人5名が立候補している。今のところ、本間氏は最有力候補とされているが、北海道民の3人に1人が住む150万都市、札幌の舵取りをこのような不見識きわまりない人物に委ねて良いのか。

同時に行われる北海道知事選でも、高橋はるみ氏が初の4選を目指している。こちらも自民党道連、公明党道本部が推薦しており、野党が支持、支援するフリーキャスター佐藤のりゆき氏と激しい一騎打ちを展開している。元経産官僚の高橋氏は泊原発再稼働問題にも黙して語らず、徹底した中央追随で国が「安全」審査を終えれば再稼働を容認するとみられている。3期12年の在任中、道職員の給与引き上げなどを内容とする人事委員会勧告を一度も完全実施しないなど、労働者敵視政策を採り続けている。

安倍政権が「活用」しようとしているのは、高橋氏や本間氏のような「女性」(という名の、ただスカートを履いているだけのオッサン)である。「女性」だから誰でもいいというわけではないことを、私たちもきちんと見極めなければならない。

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