人生チャレンジ20000km~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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●管理人の寄稿
規制緩和が生んだJR事故(国鉄闘争共闘会議パンフレット「国鉄分割民営化20年の検証」掲載)
ローカル鉄道に国・自治体・住民はどう向き合うべきか(月刊『住民と自治』 2022年8月号掲載)
核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

●安全問題研究会が、JRグループ再国有化をめざし日本鉄道公団法案を決定!

●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

民主主義、メディア、そして戦争~朝日新聞バッシングの先に見えるもの

2014-09-26 18:28:02 | その他社会・時事
(この記事は、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」に寄稿した原稿を掲載しています。なお、掲載に当たり、文字化けの恐れがある丸数字のみ、カッコつき数字に改めました。)

 軍靴の足音が聞こえる――こんな言い方をすると、使い古された、カビ臭い反戦論のように聞こえるかもしれない。しかし実際、軍靴の足音は、かつてはよく耳を澄まさなければ聞こえなかったが、安倍政権が成立してからは耳をふさいでもやかましく聞こえるようになった。大震災と社会不安、治安維持法と秘密保護法、朝鮮人大虐殺を生んだ関東大震災時の自警団に対し、在特会が生み出したヘイトスピーチ……何もかもが歴史教科書でしか知らない「あの頃」に似すぎていて背筋が寒くなる。

 だが逆に、あまりにも似すぎているからこそ、今、これからを生きなければならない私たちが、戦争と排外主義を止めるために、あの時代から何かを学ぶことができるのではないだろうか。

 東日本大震災以降、誰の目にもはっきりわかるほど時代の分岐点に立った私たち。世界情勢もあのころのように混沌としてきた今だからこそ、かつてとは違う道を歩めるように、あの時代から教訓をくみ取りたいと思う。

 ●市民を入れ込むシステム

 1981年生まれの若き社会評論家・荻上チキさんが主宰する「SYNODOS」に、今年2月、歴史学者・成田龍一さん(日本女子大学教員)のインタビューが掲載された。(1)1925年の普通選挙制の実施により、政治システムの外にいた市民が政治システムに組み込まれた(2)市民の政治システムへの組み込みにより、政治が市民の意向を無視できなくなった(3)1931年の満州事変以降、国民の政治的要求が排外主義的になるのに伴い、政治も排外主義的性格を強めていった(4)従って、アジア侵略戦争は大正デモクラシーの「成果」であり、大正デモクラシーがあった「にもかかわらず」戦争を止められなかったのではなく、大正デモクラシーがあった「からこそ」戦争を止められなかったのである――というのが成田さんの主張の根幹である。

 1925年は、普通選挙法と治安維持法が同時に成立したという意味で、まさに歴史の転換点になった年であったが、成田さんによれば、この2つの法律が同じ年に成立したのは決して偶然ではなく、両法は歴史的に見れば表裏一体のものだった。それまでの選挙制度は、一定以上の直接国税を納めた人に選挙権を限定する制限選挙だったが、1925年に初めて普通選挙となった。納めた税額にかかわらず、成人男子なら誰でも選挙権を持つこととなった一方、女性や植民地の人々は選挙権を与えられなかった。国民を「普通」の中に組み込む予定の人々(日本本土の成人男性)と「普通」から排除する人々(女性、植民地の人々)に分けた上で、前者には普通選挙法により権利を与え、後者、そして「普通」に甘んじることを潔しとしない人々を治安維持法により弾圧するという峻別政策だったと、成田さんは指摘する。

 こうした社会政策は、戦争への地ならしとしては大きな効果を持った。特に「民衆の意見を吸い上げなければ回っていかない仕組み」「民衆を制度的に入れ込むシステム」を確立したことである。

 ●選民民主主義

 成田さんは、「大正デモクラシーはなぜ戦争を止められなかったのか」とのインタビュアーの質問に対し、大正デモクラシーが天皇主権の大日本帝国憲法を基礎とした帝国のデモクラシーであったことを主因として挙げている。筆者はこの見解には疑問なく同意する。女性や植民地の人々を2級市民扱いし、1級市民のみで構成される「民主主義」が、奴隷制の存在を基礎とした古代ローマの「民主制」を超えるものになることはあり得なかった。

 こうした社会体制の下、昭和に入り満州事変が起きると、大正時代に「民本主義」を唱えていた人々の多くは、雪崩を打つように排外主義に転ずる。成田さんは「無産政党の人々」までが侵略と排外主義に翼賛し変質していったと主張する。国民世論が先に排外主義化し、すべての勢力がその波に飲まれていった。差別の存在を当然の前提として、「普通」に組み込まれた人々だけで運営される「選民民主主義」がこうした事態に批判的見解を持ち、対処していくことはもとより不可能だった。

 市民を制度的に入れ込んだシステムこそが、ファシズムの勃興を可能にし、戦争への地ならしとなった――自己矛盾に満ちた、一見不思議な説に思えるかもしれない。しかしこのことは、ドイツに目を転じてみれば明らかとなる。ナチスとヒトラーは、少なくとも政権獲得まではほとんど非合法的な手段を採らなかった。ユダヤ人排斥を「言論の自由」に基づいて主張し、粛々と選挙で勢力を拡大、最後は合法的に政権を獲得した。エーリッヒ・フロムは、民主主義的態度とは180度異なる権威主義的パーソナリティがファシズムを準備したと指摘する。権威ある者への絶対的服従と、自己より弱い者に対する攻撃的性格が共生、思考の柔軟性に欠けており、強い者や権威に従う単純な思考が目立ち、自分の意見や関心が社会でも常識だと誤解して捉える傾向が強い。外国人や少数民族を攻撃する傾向もよくある。このような社会的性格を持つ人々がファシズムを受け入れたとした。

 大正デモクラシーが盛り上がりを見せた1920年代と、5.15事件や2.26事件などを通じて民主主義が暴力的に殺されていった1930年代を、多くの識者は「時代の断絶」として捉える。しかし成田さんは、前述した論理構成の上に20年代と30年代は連続していると捉える「連続説」を唱えている。

 私は、このインタビューを大変興味深く読むと同時に、民主主義が、民主主義ゆえに招き寄せる戦争もあるのだということを改めて認識させられた。世論がメディアに率先して排外主義を煽り立て、メディアを包囲するかのような風潮が今また生まれている。

 現在放送されているNHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」は、フィクションではあるが、当時の時代の空気をうまく捉えている。文学誌編集者兼翻訳家として頭角を現したヒロインの村岡花子、その女学校の友人の蓮子を軸に物語は展開する。花子が雑誌編集者時代に接点を持った嫌味な女流作家・宇田川光代は戦争の時代になると従軍記者として軍国主義の先兵となった。対照的に蓮子は、戦争に賛成しなければ非国民とされる時代の中にあっても反戦を貫く。両者の中間に位置するのがヒロインの花子だ。時代の流れに翻弄され、大局的には戦争へと向かう時流に抗うことを避けながらも静かに抵抗、ラジオの朗読の仕事をしながら子どもたちに夢を与えようとするが、「子どもが夢を持つためには、まず日本の国が強くならなければならない」と一蹴される。周囲がその言葉に喝采するのを見て、花子は「ついて行けない」とその場を後にする。戦争へと向かう時代に抗えなかった自分に負い目を感じながらも自分を失わず、戦後も社会的立場を維持する。

 花子の人生に対し、ずるいという批判を持つ人もいるかもしれない。実際、花子が蓮子からずるいとなじられるシーンもある。花子の姿が、戦前戦後を連続して生きた日本人の大勢だったことに異論を持つ人はいないだろう。

 アジア侵略への(形だけではあっても)反省と、「戦争の時代に抗えなかったみずからへの負い目」を軸に、戦後の反戦平和運動はともかくもここまで何とか命脈を保ってきた。戦争体験者もほとんど鬼籍に入ろうとする今、いよいよその命脈も尽きようとしているように見える。だが、成田さんが指摘したように、民主主義を政治的基盤としても戦争は成立しうる。先に触れたナチスの成立過程はもとより、戦後、米英など多くの「民主主義国」が主権者である国民の委任と支持により戦争を繰り返してきたことからも明らかである。少なくとも20世紀以降の戦争は国民の熱狂的な支持を基盤としなければ行うことはできず、戦争指導者はいつも国民の支持をどのように獲得し、つなぎとめるかに苦心してきた。プロパガンダを重視し、ヒトラーが腹心ゲッベルスを宣伝大臣に据えたのは、国民動員のための戦争を最も端的に象徴している。

 ●「朝日叩き」の先にあるもの

 原発事故を巡り、福島第1原発所長として収束作業を指揮してきた吉田昌郎氏(2013年7月死去)の政府事故調査委員会における聴取録(いわゆる「吉田調書」)問題や大戦中の従軍慰安婦問題を巡り、ここに来て、朝日新聞の報道が相次いで「誤報」であったことが発覚、朝日新聞が対応に追われている。複数の情報源に接触して情報を客観的に検証せず、執筆した記事が結果的に適切さを欠いたと指摘されていることは、同社にとって失点には違いないが、今回の問題を巡って異様なのは、政府・自民党など支配層の側までが激しく朝日叩きを繰り広げていることだ。政府・自民党・官僚など社会の支配層は、20~30年前であれば、こうした事態に直面しても「メディアは批判するのが仕事で、我々は叩かれるのも仕事のうち」だと自覚して、よほどのことがなければ法的措置をとったり抗議したりすることはなかった。安倍政権は、NHK会長に「お友達」の籾井勝人氏を据え、政権に融和的な産経新聞だけに内閣改造人事のリークを通じて「点数稼ぎ」をさせるなど、かつてどの政権も行わなかったほどのメディア選別、介入を露骨に行っている。

 こうしたメディアに対する露骨な選別と介入、そして在特会による「ヘイトスピーチ」の放置が日本社会の未来に何をもたらすかは、本稿をきちんと読み込んだ方には説明不要だろう。安倍政権は明らかに戦争への国民動員を狙っており、「民主主義」を基盤とする21世紀の日本社会に最も適した方法でそれを実行してきている。

 現在の日本社会が、成田さんが指摘した大正期の日本社会と多くの共通点を持つことは指摘しておくべきだろう。在日外国人には参政権が与えられず、女性は選挙権こそ持つものの、政権みずから女性「活用」の旗を振らなければならないほどあらゆる点で社会参加の道が閉ざされている。このところ、本コラムで立て続けに指摘しているように、「世界経済フォーラム」(ダボス会議)が公表した「グローバル・ジェンダー・ギャップ」による女性の社会進出の度合いは世界105位。今年5月、母の日を前に国際人権NGO「セーブ・ザ・チルドレン」が発表した「母の日レポート~母親指標・お母さんにやさしい国ランキング~ (Mother’s Index)」によれば、日本の女性議員の比率は10.8%。女性議員の比率だけに絞ればランキング対象国中最下位のソマリアよりも低かった。在日外国人や女性を「2級市民」として排除しながら進む「民主主義」が、大正期の「民本主義」や古代ローマ「民主制」とどう違うのかと尋ねられたとき、明確な違いを説明することは筆者には難しい。その意味で現代日本社会もまた「選民民主主義」に過ぎないのではないだろうか。

 エーリッヒ・フロムが指摘した「権威主義的パーソナリティ」も、日本人に関して言えばあの頃とほとんど変わっていない気がする。フロムら研究者は、権威主義的パーソナリティについて、権威者への盲従と少数者への蔑視、排外主義という偏った思考を持ちながら「自分の意見が社会でも常識だと思い込む」ことをその顕著な特徴として挙げている。実際、在特会などに集い、差別主義的デモを繰り返す参加者へのインタビュー動画をインターネットなどで見ていると、彼らの多くが自分自身を「普通の日本人」と繰り返すことに驚かされる――何が普通で、何がそうでないのかの検証もないままに。同じ社会で共に生活する人々を「普通」と「それ以外」、「われわれ」と「彼ら」に峻別し、「普通」「われわれ」でない者には何をやっても許される――そうした単純思考こそが今、ファシズムを準備しつつあるのだ。

 朝日新聞に対する右翼・権力からの激しい攻撃は、朝日新聞が「普通と違う、われわれでない者」として攻撃対象に規定されたことを意味する。「花子とアン」の時代には「われわれ」と「彼ら」を規定していたのは軍部や特高、憲兵などの勢力であった。今は装いも新たに、自民党右派や在特会がその先頭に立っている。選民民主主義の中で、「アジア侵略への形だけの反省と、戦争の時代に抗えなかったみずからへの負い目」だけを根拠に平和を願っていた大多数の「花子」的日本人が、今、彼らが主導する大波に、さしたる抵抗もなく再び身を委ねようとしているように見えるのだ。

 だとすれば、今、私たちに求められるものは何か――大正時代の日本社会に関する考察は私たちに多くの解を与えてくれる。「普通」の人々の熱狂的支持があって初めて戦争が可能となる民主主義の時代には、「普通」でない人々が増えることが戦争への抑止力となる。「普通」が持つ欺瞞性、排他性を批判し、「普通」でない自分に誇りを持つこと。自分の頭で考え、少数者を尊重し、多様性を大事にすることである。時代の変わり目の今、私たちが再び進む道を誤らないために。

(2014.9.21 黒鉄好)

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【管理人よりお知らせ】さっぽろ自由学校「遊」での講演資料をアップしました。他

2014-09-25 21:35:49 | 運営方針・お知らせ
管理人よりお知らせです。

1.さっぽろ自由学校「遊」での講演資料掲載について

当ブログ管理人が、9月24日、さっぽろ自由学校「遊」で行った講演「福島を遠く離れて 2011年3月11日から3年、今、思いを聞く(5)事故から3年半~福島で今、起きていること」に使用した資料(レジュメ・スライド)を「汽車旅と温泉を愛する会」内「原発問題資料集」に掲載しました。ダウンロードはご自由にどうぞ。

2.Youtube「タブレットのチャンネル」への鉄道動画のアップロードを当分の間、中止します。

当ブログ管理人は、北海道転勤後、市街地から遠く離れた農村地帯に住んでおり、高速インターネット回線のサービスエリア外となっています。このため、数十メガバイト単位のデータのやり取りにすら苦労している状況にあります。

こうした回線状況で、Youtubeに鉄道動画をアップロードするのは不可能です。高速回線が使える出先のビジネスホテル等から、過去に何度か動画のアップロードを試みましたが、成功しませんでした。

このため、現在地に住んでいる間は、Youtube「タブレットのチャンネル」への新規鉄道動画の投稿は行わないこととしました。大変残念ですが、ご理解をいただきますようお願いします。動画のアップロードが不可能な分、その他のコンテンツの充実に努めていきたいと思います。

なお、せめて鉄道の走行音だけでも何とかアップロードができないか、現在、各種方法を検討中です。決まりましたら、また改めてお知らせいたします。

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【管理人よりお知らせ】明日、当ブログ管理人が札幌市で講演します

2014-09-23 18:11:24 | 原発問題/一般
管理人よりお知らせです。

直前のご案内になってしまいましたが、明日、札幌市内で当ブログ管理人が「福島を遠く離れて」と題した講演を行います。既に一度、当ブログ上でご案内していましたが、改めてご案内します。

さっぽろ自由学校「遊」2014年度上半期講座「福島を遠く離れて」

●演題「事故から3年半~福島で今、起きていること~」

 事故から3年半経った福島で今、何が起きているか? 漏れ続ける汚染水、進まない除染、増え続ける甲状腺ガン。それでも事故の責任追及を通じて希望の扉をこじ開けたい。

時間:19:00~21:00
場所:さっぽろ自由学校

当初、上記のような演題と講演内容を予定していましたが、明日の講演では汚染水問題、除染問題には触れません。1時間の講演時間のうち前半30分を福島原発告訴団による告訴・告発運動の概要と現状の説明に充て、残り30分間を福島を巡る諸問題の報告に充てます。後半は、チェルノブイリを含めた健康被害、原発を巡る利権構造、原発と差別を巡る問題(女性差別、地方差別と原発)がメインで、これに最近の話題として中間貯蔵施設問題、いわゆる「吉田調書」問題に少しだけ触れる予定です。

講演の後は質疑応答に1時間を充てます。質疑応答は、原発に関するものなら何でも受け付けます。お時間の許す方は、ぜひご参加いただきますようお願いします。

なお、当日配布するレジュメおよび講演で使用するスライドは、後日、安全問題研究会サイトにアップする予定です。

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9月16日12時28分頃の茨城県南部の地震について

2014-09-17 19:04:17 | 気象・地震
平成26年9月16日12時28分頃の茨城県南部の地震について(気象庁報道発表)

16日昼の地震は、茨城県の地震では珍しく震度5弱を記録した。東日本大震災以降、茨城県は地震活動が最も活発な地域だったが、震度4以下の弱いものが多く、震度5弱以上はこの地域ではなかなかあるようでなかった。

今回の地震の特徴は、地震の規模(M5.7)、震源深さ(47km)の割には震度5弱以上を記録した市町村が多かったことだ。栃木県佐野市、下野市(しもつけし)、群馬県前橋市、埼玉県熊谷市など15の市区町村に及んでいる。揺れの強かった地域は震源の西から北西にかけて分布しているが、これは発震機構が北西-南東方向に圧力軸を持つ逆断層型であったことが関係しているように思う。震源の深さなどはほぼ同一であることから、この地震は今年5月5日、5月13日の地震と関連がある。5月の2回の地震は今回の地震の「前震」だったとみるべきだろう。

さすがに、内陸・逆断層型で震源深さも47㎞となると、この地震を東日本大震災の関連地震と位置付けることは困難らしく、気象庁は全く別の地震として扱っている。当ブログも同様の見解だ。ただ、もともと5月から相次いでいる地震と今回の地震が関連していると見られることから、この地震に関しては今後、注意深く見守る必要がある。M5.7クラスで収まるようならさほどの心配はいらないと思うが、もしM6級に波及するようだと、当ブログとしても何らかの見解を表明するかもしれない。


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【管理人よりお知らせ】安全問題研究会が12日、国土交通省申し入れを行います。

2014-09-10 22:41:55 | 鉄道・公共交通/安全問題
管理人よりお知らせです。

安全問題研究会は、来る9月12日(金)午後、JR北海道の安全問題やリニア問題、ローカル線対策について、国土交通省に申し入れを行います。

申し入れ・要請内容は以下の通りとなる予定です。

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2014年9月12日

 国土交通省鉄道局長 様

安全問題研究会


   JR北海道の安全問題、リニア中央新幹線問題等に関する要請書

 当会は、各鉄道の安全や地域公共交通の存続及び利便性向上のための活動を行う鉄道ファンの任意団体です。これまで、国内各地の鉄道を初めとする公共交通に乗車して点検を行う活動、鉄道事故の原因調査や学習会などを通じて安全問題や地方ローカル線問題の検討を行ってきました。その結果、日本の鉄道や公共交通を巡る政策について、改善を要するいくつかの事項が認められるに至りました。

 本日は、そのような改善を要する事項のうち、特に緊急を要するもの及び影響が特に深刻なものについて、下記のとおり要請を行うこととしました。

 当会としては2012年以来の要請となりますが、貴職におかれましては、本要請の趣旨をご理解の上、ぜひ実現していただくとともに、本要請書に対して、2014年9月30日までに文書による回答を行われるよう要求いたします。

   記

《JR北海道問題》
1.JR北海道の特別保安監査、刑事告発及び監督命令を受けた安全対策について

 国土交通省による特別保安監査、刑事告発及び監督命令を受けたJR北海道について、法令遵守意識の徹底をはかるとともに、安全確保に必要な増員等の措置を行わせること。

【説明】
 JR北海道では、2009年頃からレール破断や信号配線ミス、富良野駅における営業列車と保線用車両の衝突などの事態が相次いでいたが、ついに2011年5月には石勝線トンネル内での特急列車火災事故が発生。2013年にもエンジンからの出火による車両火災や貨物列車を中心とした脱線事故、レール保線データの改ざん問題が連続的に起きたことから、国土交通省は特別保安監査の結果に基づき、JR北海道に対する刑事告発を行った。また、これと並行してJR会社法(旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律)による史上初の監督命令が行われたことは周知のとおりである。

 JR会社法に基づく監督命令は、主として経営陣に責任を求めるものであると同時に、国として、JR北海道の企業体質を問題視した結果であると当会は受け止めている。実際に、保線データの相次ぐ改ざんや「野帳」の破棄、また以下の2で取り上げた車両検査体制等の問題は、同社に法令遵守意識が全くなく、また、法令遵守したくてもできないほどの経営効率化を迫られていることを示すものである。また、これは全国1社方式による「内部補助」(儲かる路線で儲からない路線を支える)を否定し、儲からない地方路線だけを集中的にJR北海道に背負わせる形で出発した国鉄分割民営化の明らかな帰結である。

 JR北海道の社員数が、営業キロ1キロメートルあたりで比較した場合、JR東海のわずか3分の1である事実をふまえると、JR北海道には鉄道部門(特に保線、施設、車両部門)の早急な増員とともに、技術の継承を困難にしている業務の外注化を中止することが必要と考える。外注化の中止と増員に向けた具体的な方策を明らかにされたい。

 また、昨年11月、山本太郎参院議員が提出した「JR北海道で発生した連続事故及び日本国有鉄道改革の見直しに関する質問主意書」に対する答弁書において、政府は「JR北海道における輸送の安全を確保し、利用者の安心を確保するため、鉄道事業等監査規則第7条に基づき平成25年9月以降JR北海道に対して実施した保安監査の結果の整理・分析等を踏まえ、引き続き適切に対処してまいりたい」旨を表明している。保安監査の結果を受けたJR北海道の安全対策について、現時点で国として取り組むことが決まっているものがあれば、併せて明らかにされたい。

2.会計検査院から指摘を受けた車両検査体制の改善について

  会計検査院から指摘を受けたJR北海道の車両検査体制の不備について、同社に必要な対策をとらせること。

【説明】
 2012年11月2日に会計検査院が内閣に送付した平成23年度決算検査報告において、JR北海道の車両検査・修繕に不備が指摘され、「是正改善の処置」を行うよう意見表示が行われた。

 具体的には、(1)自動列車停止装置(ATS)車上子の作用範囲を確認する応動範囲試験について、整備標準では交番検査の都度、装置が動作する距離を測定することとされているのに、実際には、3回に1回しか測定しておらず、残りの2回は目視による動作確認を実施しただけであった、(2)整備標準に基づく交番検査の検査項目のうち、測定を行うこととされている項目(測定項目)について、記録状況を5運転所等で共通して配置されている気動車1車種についての測定項目を確認したところ、測定を行うこととされている27項目のうち6項目において、運転所等により検査記録に測定結果が記録されていたり、記録されていなかったりしていて、検査記録が運転所等により異なるものとなっていた、(3)電車の交番検査を実施している2運転所等の検査記録を比較したところ、1運転所等では、測定項目以外の装置の作用及び機能を検査する項目についても記録しているのに、他の1運転所等では、測定項目以外の項目は自動列車停止装置に関するものを除き記録しておらず、検査記録が運転所等により異なるものとなっていた――等である。

 こうした事態は、JR北海道が自社の制定した検査マニュアルさえ遵守せず、日常的、全社的に「手抜き検査・修繕」がまかり通っていたことを示している。また、外部から指摘を受けるまで社内で自浄作用も働かなかったことを意味しており、同社の法令遵守意識を根本から問い直さなければならない深刻な事態である。

 JR北海道は、今後、是正改善の処置を執ったうえで、会計検査院に報告を行う義務が生じるが、監督官庁としても鉄道事業者が日常的に行う車両の検査修繕に対し、不断に検証・指導を行うことは当然である。貴局として今後、どのような対策を考えているのか明らかにされたい。

3.石勝線での列車脱線火災事故に伴う安全基準の見直しについて

  JR北海道・石勝線での列車脱線火災事故を踏まえ、特に車両火災に関する安全基準を強化すること。

【説明】
 当会が、2008年に情報公開制度に基づいて貴局から公開を受けた「鉄道に関する技術上の基準を定める省令の解釈基準」(平成14年3月8日付け国鉄技第157号)を、JR北海道・石勝線での列車脱線火災事故を踏まえて再確認したところ、新幹線と地下鉄以外の車両では座席の表地に難燃性の材料の使用を義務づけているものの、詰め物にはその義務が課せられていなかった。

 新幹線や地下鉄以外の路線でも最近は長大トンネルが増える傾向にあり、新幹線や地下鉄と同様の安全基準が必要であると考える。全ての鉄道車両で座席の表地も詰め物も難燃性の材料使用を義務づける方向で上記解釈基準の改正を行うよう、2012年にも当会として要請を行っている。その後の検討状況はどのようになっているのか明らかにされたい。

4.気動車の検査周期に関する規制緩和について

  国土交通省が2001年に実施した気動車の検査周期の緩和を見直し、元の基準に戻すこと。

【説明】
 国土交通省では、2001年9月、気動車の検査周期について大幅に規制を緩和し、従来「3年(新車は使用開始から4年)または走行距離25万キロメートルを超えない期間」としていたものを「4年または走行距離50万キロメートルを超えない期間」とした。

 一方、この間の新聞報道によれば、2013年4月に発火トラブルを起こした特急「北斗」用車両(キハ183系)は前回の検査からの走行距離は21万キロメートルであったほか、昨年9月にも同様に直前の検査からの走行距離が21万キロメートルでトラブルを起こした例がある。

 長距離列車が多く運行1回あたり走行距離が長いこと、力行運転の時間が多いこと、寒冷地であることなど北海道特有の事情があるにせよ、このようなトラブルの事例から、2001年に行われた検査周期の緩和は全く不適切であったものと当会は考える。この規制緩和を見直し、少なくとも緩和前の基準に戻すよう求める。

《中央リニア新幹線問題》
5.JR東海が進める中央リニア新幹線計画について

  問題だらけの中央リニア新幹線については、全国新幹線鉄道整備法に基づく整備計画の承認を取り消し、建設を認めないこと。

【説明】
 JR東海が進めている中央リニア新幹線は、確たる需要予測もないまま建設が進められており、失敗公共事業の典型である。東京~大阪間全通予定の2045年度における「需要予測」は2011年度における東海道新幹線の輸送実績(443億人キロ)の約1.5倍(年間675億人キロ)という非現実的なもので、2013年9月には山田佳臣JR東海社長みずから「(リニア新幹線は)絶対にペイしない」と発言している。1988年10月には、葛西敬之JR東海会長(当時)が「3分の1は国のカネが必要。ナショナルプロジェクトで推進しなければならない」と発言しており、初めから税金投入ありきでの建設というのがJR東海の認識である。

 JR東海は、建設の根拠として「建設から50年経過し老朽化した東海道新幹線に代替路線が必要」としているが、東海道新幹線の老朽化、代替路線の必要性は認めるものの、リニアの大阪開通が31年後では遅すぎて代替路線とならない。工費を減らし、工期も短縮して現在の新幹線方式で代替路線を造るほうが、現在の新幹線と乗り換えなしで直通でき、適切といえる。

 また、(1)全区間の71%をトンネルが占める状態で事故が起きた場合の避難・救助体制、(2)超伝導磁気浮上式で動くリニアの電磁波の健康への影響、(3)山梨実験線での走行実験で明らかになった騒音問題、(4)静岡県内の生活用水として利用されている大井川での水量の減少、(5)南アルプスの直下、日本有数の地震帯である中央構造線をトンネルで貫くリニアの地震対策…等々、リニア中央新幹線には問題が山積している。一方、リニアによる時間短縮等のメリットは現行の新幹線方式でも実現できるものがほとんどであり、あえてリニア方式で建設する必要性は認められない。

 日本と同様にリニアの建設計画があったドイツでは、連邦議会が特別法を制定して自ら厳格な事業評価を実施した結果、投資回収の困難性、深刻な環境破壊、他の鉄道との直通運転が一切できないネットワーク性の欠如などの問題点が明らかになり、2000年に計画は中止されている。現在、リニア方式による鉄道の建設を計画しているのは世界的にも日本以外になく、今後も見通しは明るくない。このような中でリニア中央新幹線の建設を容認すれば将来に大きな禍根を残すことになる。当会としては、リニア中央新幹線計画を中止すべきと考える。

《整備新幹線及びローカル線問題》
6.整備新幹線及び並行在来線の取り扱いについて

  整備新幹線開業時に並行在来線の経営をJRから分離することを取り決めた「整備新幹線の取扱いについて」(平成8年12月25日政府与党合意)を破棄し、並行在来線の安易な第三セクター転換が行われないようにすること。

【説明】
 この合意のため、過去、1997年の長野新幹線開業時において信越本線・横川~軽井沢間が廃止となったほか、信越本線、東北本線、鹿児島本線のそれぞれ一部がJRから経営分離され、沿線自治体が出資する第三セクター鉄道への移管を余儀なくされた。この移管によって沿線自治体は衰退し、沿線住民は運賃値上げや不必要な乗り換えを強いられるなど、明らかなサービスの低下が見られる。こうした並行在来線の分離は、JRの公益企業としての責任放棄である。

 とりわけ北海道では、2016年に予定されている北海道新幹線新函館開業を機に、並行在来線である江差線が第三セクターに移行することが決まっているが、JR北海道でさえ既存路線の維持に苦しみ、民営化以降すでに道内で10線区が廃止される中で、江差線を第三セクター化することは、事実上同線を即時切り捨てるにも等しい暴挙である。

 鉄道の先人たちが現在に残してくれた在来線鉄道ネットワークを破壊し、「線路はつながっていても一体運行が存在しない」姿に変えた政府与党合意を直ちに破棄し、これ以上の並行在来線切り捨てが行われないよう求める。

7.災害復旧費の国庫補助の拡大について
  黒字鉄道事業者に対し、災害復旧費の国庫補助を禁じている鉄道軌道整備法を改正し、JRにも災害復旧費の国庫補助が行えるようにすること。

【説明】
 自然災害で被災した鉄道事業者に対する国庫補助については、現在、鉄道軌道整備法第8条第4項において、「その資力のみによつては当該災害復旧事業を施行することが著しく困難であると認めるとき」に限って国庫補助を行うことができるとされており、事実上、JRを含む黒字鉄道事業者に対しては国庫補助の道が閉ざされている。

 一方、2011年7月の「福島・新潟豪雨」以来一部区間が運休したままになっているJR只見線(福島県)について、地元からは復旧への強い要望が出ており、今年7月には、自民党国会議員連盟が只見線復旧に対する国庫補助の道を開くため鉄道軌道整備法の改正を目指す方針を確認するなど、政権与党内部からも法改正への動きがみられる。

 国鉄改革関連法案が審議されていた参議院日本国有鉄道改革に関する特別委員会において、1986年11月28日、「各旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社の輸送の安全の確保及び災害の防止のための施設の整備・維持、水害・雪害等による災害復旧に必要な資金の確保について特別の配慮を行うこと」を含む附帯決議が可決されるとともに、当時の運輸相、自治相が「決議の趣旨を尊重する」旨を表明している。国民の公共交通としての国鉄を引き継いだJR線の災害復旧に国が責任を持つことは、国会からの要請であると同時に、国民の基本的人権のひとつである交通権を確保する見地からも必要不可欠のものである。

 東日本大震災という未曾有の大災害により、東北地方のローカル線の多くが被災しており、いまだ復旧に至らない路線もある。資金力を有するJRであっても、災害の規模によっては復旧費の捻出が困難な状況が起こり得ることを示しており、当会としても、国民の交通権を確保するため、基幹交通であるJRの災害復旧には、鉄道事業者の経営状態にかかわらず国が資金拠出の道を開くことが必要と考える。黒字鉄道事業者に対しても国が災害復旧費を補助できるよう必要な法改正を求める。

(以  上)

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9月3日夕方、栃木県北部の地震について

2014-09-04 22:18:09 | 気象・地震
平成26年9月3日16時24分頃の栃木県北部の地震について(気象庁報道発表)

9月3日夕方、栃木県北部でM5.1(暫定値)の地震があり、日光市で震度5弱を記録した。震源深さは7km、発震機構(地震のメカニズム)は横ずれ断層型。断層が水平方向にずれる、比較的珍しい型だ。水平方向に断層がずれるため、震源が海底の時でも津波は正断層型、逆断層型ほど大きくならないことが多い。

この地震を、東日本大震災の余震とする解釈をとることは難しく、気象庁でもそのような見解はとっていないようだ。むしろ、今回の地震に近いのが、2013年2月25日に栃木県北部で起きた地震(参考資料)だ。震源も、横ずれ断層型である点も全く同じで、震源深さは昨年の地震が10km、今回の地震が7km。昨年の地震がM6.2だったことを考えると、むしろ今回の地震はこの地震の余震と見るべきだろう(昨年の地震のほうがマグニチュードが約1大きいので、地震のエネルギーは約32倍大きい)。

昨年2月の地震では、奥日光の旅館に通じる道路で土砂崩れが起き、旅館の客が1日足止めされるという騒ぎが起きている。また、当ブログ管理人自身、当時住んでいた福島・白河から東京に向かうため乗車していた新幹線で、ユレダス(早期地震検知警報システム)作動による急停車を初めて経験した。今回の地震が昨年2月の地震とそっくりであることに気づくことができた理由として、このときの記憶が残っていたという点も見逃せない。

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上甲監督、胆道ガンで死去

2014-09-02 23:56:21 | 芸能・スポーツ
済美 上甲正典監督が死去 67歳、胆道がん…センバツ2度制覇(スポニチ)

済美高校野球部監督だった上甲正典さんが、まだ67歳の若さで帰らぬ人となった。夏の甲子園大会期間中に体調を崩し、わずか半年あまりでの急逝だ。

当ブログは、上甲監督の精神主義的な選手起用のあり方には批判的で、昨夏、今年と甲子園総括で疑問を呈してきた。今年の大会後には、選手起用のあり方が時代遅れだとして引退勧告も行ったが、まさかこのような形で上甲さんが済美の監督を離れるときが来るとは夢にも思っていなかった。胆道ガンを患っていたことも報道で初めて知った。

取手二高~常総学院の監督を務めた木内幸男さんのように79歳まで監督を務めた人もいる中で、67歳とはあまりに早すぎる。最近は賛否両論あったが、一時代を築いた監督であることは確かだ。当ブログとしても謹んで哀悼の意を表する。

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