安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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テント日誌(番外編)~原発と差別と「維新」から見える日本社会

2012-02-27 22:44:52 | 原発問題/一般
経産省前テントひろば
2012.2.26 第169日目 天気・曇(東京:最高気温9.2度/最低気温4.6度)

今年2度目のテント訪問。前回は、日誌を書けなかったが中野勇人さんのマラソン、佐久間忠夫さんハンスト支援と国土交通省要請の傍ら訪れた2月9日だった。あれから半月しか経っていないが、季節は明らかに春に向かっている。今日の最低気温4.6度は、福島の最高気温よりも高い。

一昨日、テントの経産省側に何もないのは寂しいということで「福島の母と子の声を聞け」との横断幕がかけられることになったそうだ。横断幕は確かにあり、経産省に対するアピール効果は抜群である。

今回の上京目的は「原発を問う民衆法廷」だ。市民が模擬法廷を作り、原発犯罪を引き起こした関係者の罪を明らかにする試みだ。権力法廷と違い、関係者の強制召喚も刑事罰を科することもできない。そのため「裁判ごっこ」などという批判が常につきまとってきたが、民衆法廷は、そうしたみずからの限界を理解した上で取り組むものだ。「民衆法廷では、裁くとは裁かれることである」との一文が資料にある。市民法廷である民衆法廷は、原発を許してきた市民もみずからを裁くのである。その意味ではきわめて哲学的・内省的な側面も持っている。

ただし、ここでご注意いただきたいことがある。「原発を許してきた市民もまたみずからを裁く」ということはとても意味あることだ。しかし、先の侵略戦争を引き起こした者たちが「一億総懺悔」と称して国民に罪を押しつけ、結局戦争犯罪の追及を逃れたように、「権力も悪いけど市民も悪い」が前面に出すぎると真の敵を免罪にしてしまう恐れがある。彼らを裁けないまま、欺瞞という名の衣を来て出発した戦後体制が結局はこの事態を招いたのだ。市民が自発的に己の罪を問うことはいい。しかしその崇高な目的が「総懺悔」などというたわごとで真の犯罪者に利用されないよう、細心の注意を払わなければならない。

福島で毎日被曝させられている身としては、もうどんなウソやごまかしもたくさんだ。2月9日の訪問時、テントにはわずか30分程度の短い滞在だったが、椎名千恵子さんがいらっしゃった。「私が一番恐れているのは、この大人たちの醜態を見て、子どもたちが、大人になったらウソをついてでも勝てばいいのだ、と思ってしまうことです」と椎名さんに申し上げると、その思いはストレートにご理解いただいた。…正直なところ、もう手遅れかもしれないけれど。

民衆法廷に話を戻す。筆者は、かつて名古屋時代、アフガン・イラク戦争での民衆法廷にスタッフとして関わった。その時も「模擬裁判ごっこ」に何の意味があるのか、という批判はあったようだ。だが、別の市民団体が起こした「イラク派兵差し止め訴訟」には、民衆法廷で集めた証拠が数多く提出・採用され、名古屋高裁でイラクでの自衛隊の活動が「違憲状態」にあった、とする勝訴判決につながった。一見、無駄なように思える模擬法廷でも、目的意識を持ち、散逸しがちな証拠を集積・保存して体系的に整理する作業が、現実の裁判を市民優位に導くことがある。このときのささやかな「成功体験」も私の原動力のひとつになっている。

一方、権力法廷が機能しないからこそ民衆法廷の出番なのだという厳しい現実も踏まえる必要がある。悪があまりに巨大すぎて国家の手にも負えないほどの状況だからこその市民法廷ということを考えるならば、その道のりはおのずから厳しい。

福島県在住者を中心とした申立人からは、行政から切り捨てられた自主避難者の苦労や、自然と共生し、自給自足をしながら生きてきた福島県民の生活が原発で破壊された苦悩が語られた。それらは福島県民のひとりとしてどれも共感できるものだ。東京都民からは想像もできないかもしれないが、地方での生活は、自然と対話し、その恵みに感謝することで成り立ってきた。原発事故から1年。事故が家族や地域の人間関係を破壊したということはようやく語られるようになってきた。しかし、もうひとつ大切なことは、事故が人間と自然との共生関係をも破壊したということである。

テントに立ち寄る。「男子みだりに立ち入るべからず」という不文律のある女性テントだが、今日は連れ合いと一緒ということで割合に気兼ねなく入る。実は、2月9日の訪問時、ここにマフラーを置き忘れてきてしまった。「忘れ物」の棚を見ると保管されている。女性テントの方にお礼を言い、マフラーを回収する。なにしろこのマフラーは、知る人ぞ知るあの「人らしくタオルマフラー」である(中央本部の闘争終結方針に反対し独自の闘いを始めたばかりの国労闘争団員が、一時、一生懸命売っていたものだ。今でも愛用している人が多く、私にとっても綿100%で皮膚に優しいこのマフラーは冬の必需品である)。

きょうは2月26日。右翼が集会をしているらしく、終了後、ここに来るかもしれないという情報が入り、緊張する。夕方、在特会を自称する差別主義者たちが相も変わらずのたわごとを喚き散らす。京都での朝鮮学校事件で有罪判決を受けて以降、彼らの街宣もパワーダウンした。自立した市民である我々に向かって「乞食」と喚こうが、私は哀れみしか感じないが、在日韓国・朝鮮人やロシア人を侮蔑する差別語を使うのは絶対に許せない。

民衆法廷の証人のひとりでもあり、長く靖国神社問題にも関わってこられた高橋哲哉さんが「犠牲のシステム 福島・沖縄」(集英社新書)という著書を出版された。大都市と地方、地方内部における行政と住民、「名士」である高齢男性と女性・子どもたち、正社員と請負などの非正規労働者…原発や基地は、何重もの差別構造の中で正当化されてきた。原発廃止の闘いは、最も鋭い差別との対決点でなければならない。差別の最底辺に置かれている福島・沖縄が、排外主義者たちの繰り広げる別の差別は認める、ということには決してならない。

もうひとつ。右翼が今日、集会を開いた理由は「2.26事件の日だからではないか」というのがテントに集うメンバーの一致した意見だった。侵略国家・日本を破滅的戦争に引きずり込む「歴史暗転」の引き金を引いた皇道派「青年将校」らの決起のスローガンは「昭和維新」だった。21世紀の今また、「維新」を名乗る勢力が右から政治的クーデターを引き起こそうとしている。閉塞感を強める社会、国民のうっ積した不満、右から「維新」を掲げる反動派の登場…。歴史が繰り返されようとしているように見える。私たち市民にとってここが頑張りどころだと思う。歴史は進歩している、あのときの歴史の繰り返しは許さないと、内外に強いメッセージを発することが求められている。

午後6時、喚き散らしていた右翼らが去った。テントから少し外れるが、在特会の名前が出たのを機会に重要なことを指摘しておかなければならない。中野勇人さんらのマラソンについては冒頭に少し述べたが、彼ら国鉄労働者1047名を解雇に追い込んだ元国鉄本社職員局長の葛西敬之氏(元JR東海社長)は、2006年2月から5年間にわたり国家公安委員会委員を務めた。その在任期間中の2010年9月2日、国家公安委員会定例会で、彼は、在特会を「適正に評価すべき」などと持ち上げる発言を行っている。葛西氏の発言内容は、国家公安委員会サイトに掲載されている議事録によれば以下のとおりである。

「このグループの出現は、非常に象徴的で、これまでは組織化された意見だけが強くアピールされ、また、マスコミによる国民の知る権利の事実上の統制御が行われていた。…特に、日本は、この65年間において、国家というものが国際社会において占める役割や、あるいは国内において果たすべき役割といったものを軽視・否定する方向での報道ばかりがなされてきた…このグループについては、『極右』と呼ぶべきものではないと思う。事前に、よく実態を知り、適正に評価することが大事なのではないかと思う」

国策に反対する労働組合に所属していたというだけで職員が解雇された戦後最大の「採用差別」事件。その「直接実行犯」が、差別排外主義を最も醜悪な形で表現している在特会を「適正に評価すべき」などと発言した事実をぜひ知っておいていただきたいと思う。一見、何のつながりもないように見える「悪」は全てつながっているのだ!

 ※   ※   ※

お堅い話ばかりしてきたので、最後に読者の皆さんに肩の力を抜いていただく意味で無駄話をひとつ、しておこう。東京駅に、最近「日本食堂」の経営するレストランがオープンした。日本食堂とは、国鉄時代、駅の食堂や食堂車の営業を担当していた企業である。テント訪問を終え福島に戻る新幹線の待ち時間に夕食を摂りに入り、カウンター席に案内されると、古い時代の鉄道路線図が貼っている。店員に聞いてみると「詳しいことはわかりませんが、1930(昭5)年頃のものと聞いています」とのこと。

だが、路線図をよく見ると、1930年だとした場合、明らかに矛盾する点があった。東海道本線が現在と同じ熱海回りになっていたことである。丹那トンネルが開通し、東海道本線が現在のルートになったのは1934年で、それまでは現在の御殿場線が東海道本線と呼ばれていた。東海道本線が現在と同じルートで描かれているこの鉄道路線図が1934年以前ということはあり得ない。

またよく見ると、関門トンネルは未開通の状態で路線図が描かれていた。関門鉄道トンネルが開通したのは1942(昭17)年だから、先の東海道本線と併せて考えると、この鉄道路線図は1934年~1942年の間のものということになる。

店を出るとき、店員にその旨を伝えておいた。どうでもよいことだが、今後は少しでも正しい案内が行われるようになれば、と思っている。

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身内からも集中砲火の経団連、相次ぐ企業犯罪…このままでは日本は世界から見放される

2012-02-25 21:48:40 | その他社会・時事
(この記事は、当ブログでいったん発表した内容を、修正・加筆後、月刊誌「地域と労働運動」2012年3月号に再掲したものです。)

 最近、テレビや新聞、雑誌で企業犯罪のニュースを見ない日がないほど、メディアは企業犯罪で覆い尽くされている。こうした企業犯罪は今に始まったことではなく、古くはロッキード事件から最近ではオリンパスや大王製紙の背任・粉飾決算に至るまで様々な企業犯罪が戦後日本史に刻まれてきた。

 最近の企業犯罪を見ていると、昔に比べてあまりに自分勝手で、経営者以前に人間としての基本的な資質が問われるような犯罪が多くなってきたような気がする。それらの犯罪は日本企業を取り巻く危機の深刻化を表している。

 ●良い制度を作っても全て骨抜き

 オリンパスでは、経営陣が10年以上も粉飾決算を続け、英国人取締役が問題を指摘すると彼のほうを解任し追い出してしまった。大王製紙では、経営者が自分の利益のため子会社に不正融資をさせたことが子会社に不当な損害を与えたとして特別背任罪で起訴されている。しかもこの経営者は、2011年12月に保釈金3億円を支払って保釈されると、妻以外の女性を伴って連日連夜、歓楽街で飲み歩く姿を目撃されている。

 日本では、政府が一念発起し、ガバナンス(企業統治)のために有効な制度を作りあげても、経済界が官僚と同様、何もかも骨抜きにする。最近も、コンプライアンス(法令遵守)や経理の適正化を目指した監査法人制度など様々な内部統制を導入したにもかかわらず、2010年に経営破たんした日本航空では監査法人も経営者の怠慢を放置。せっかくの制度も機能しないまま終わった。多くの経営者がなんとか自分たちだけは誰にも統制されることなく最大利益を追求できるようにしようと小手先だけの改革でお茶を濁し、また同じことが繰り返されるというのが日本のこれまでの歴史だった。

 一部の心ある経済人が強烈な危機感を抱いている一方、日本の経営者の大部分はこうした問題に全く気付いていないが、事実上ガバナンス不在の日本企業は今、国際社会からも「ビジネスパートナーとして不適切な相手」との烙印を押されつつある。意思決定は遅く、責任の所在は曖昧で、約束したことすらきちんと守らず、目の前で違法行為が行われていても見ないふりをして仲間と馴れ合う。こんな相手と一緒に仕事をしたいと一体誰が思うだろうか。

 最近、日本企業の国際競争力が弱まっていると感じている人も増えていると思うが、国際競争力の低下はみずからのガバナンス不在が招いた自業自得でもある。

 ●集中砲火を浴び四面楚歌の経団連

 このような日本企業の実態が明らかになるにつれ、経団連が集中砲火を浴び、次第に四面楚歌の状況に陥りつつある。経団連にとって痛いのは、経済誌や経営学者、元金融機関社員など、どちらかといえば経済界寄りと思われていた人々の中から厳しい批判が次々と上がっていることだ。

 例えば、「真のリーダーには高い視点が必要だ~経団連もJAも、業界の利害を主張するだけではリーダーになれない」(「日経ビジネス・オンライン」2011年12月5日)と題する記事は、経団連の総会で孫正義・ソフトバンク社長の脱原発の主張を「黙殺」した米倉会長を批判して次のように書く。

 『安全性の確認も十分にできていない状態で、原発の再稼働を提言してよいものか。それは、経団連が所属企業の利益を最優先しているに過ぎないのではないか。…その前にやるべきこと、守るべきものがある。申し上げるまでもない、国民の命の安全と安心だ。米倉さんが安全だと言いきるなら質問したい。「では、今すぐご家族とお子さん、お孫さんを連れて原発の隣に引っ越せますか?」と』

 金融機関に勤務した経験から、明晰な分析力を持ち、「自分のアタマで考えよう」という著書を出版、ご自身のブログは10万アクセスを誇るカリスマブロガーの「ちきりん」さんは、「今、日本で最も時代遅れな団体=経団連」という刺激的なタイトルの記事(「Chikirinの日記」2011年11月21日)で次のように書いている。

 『最近の彼らの発言は、自己の利益に誘導的です。そもそも業界利益団体とはいえ、昔はここまで露骨ではありませんでした。…最近の経団連はなにかというとすぐに「日本から出て行かざるを得ない」と(政治家や国民を)恫喝するけれど、狼少年みたいなことばっかり言ってないで、出て行きたければ出て行けよ!って感じです。「日本の雇用が維持できるよう製造業を大事にしろ!」とか言っておいて、景気がよくなれば「人手不足だから、単純労働者の移民を受け入れろ」と言い出すなんて、詐欺師以外の何者でもありません。…いまや経団連は、重厚長大産業への利益誘導団体であることを隠そうともしなくなりました。彼らが自然エネルギーなんて全くやる気になれないのは、中心メンバーである重電会社も電力会社もそんなものでは儲からないからです。特定産業の利益団体が存在すること自体はかまいませんが、(特定産業の利益しか見てないくせに)「日本の経済界の代表」のような顔をされては迷惑です』

 また、「会社法制の見直しでガバナンスは強化されるか~経団連が頑強に抵抗を続ける理由」(「ダイヤモンド・オンライン」2012年2月8日)と題した記事では、社外取締役選任の義務づけ等を柱とする政府の企業統治強化策に対し、社外取締役は不要などとして抵抗を続ける経団連を批判し、次のように断じている。

 『問題の根本は、メインバンク制度と株式持合いに代表される旧い日本企業の「もたれ合い」体質、社内論理で「仲間内」をかばい合う風土を生む社内取締役選任過程の問題、更に加えるなら、「(特に投資家との)利益相反」というものに感度が鈍い日本独特の甘えの構造にあり、どんなに制度をいじっても、「仏作って魂入れず」になってしまっては何の意味もない。…もしそういう根本的問題に手を付けず、会社法制だけをいじるというのであれば、そういう風土を一掃するくらいのインパクトのある制度、たとえば、「取締役会・監査役会の過半数を独立役員にすることの義務付け」などにまで踏み込まない限り、日本企業の活力は決して戻ってこない』

 カリスマブロガーからは「特定産業の利益しか見ていないくせに日本の経済界代表のような顔をする詐欺師」とまで酷評され、経済誌からは「所属企業の利益を優先しているだけ」「もたれ合い体質、社内論理で仲間内をかばい合う風土、利益相反というものに感度が鈍い日本独特の甘えの構造」とまで批判される。かつて経団連が「身内」からこれほど手厳しい批判を立て続けに受けたことはなかった。一部の心ある経済人にとって、最近の経団連や経済界はあまりに偏狭でもはや我慢も限界ということだろう。

 ●自分の利益しか考えない経団連も経営者も去れ

 オリンパスや大王製紙で起きた企業犯罪はあまりにお粗末すぎるし、福島原発事故をめぐる東京電力の醜態、事故やトラブルを巡るJR各社の対応には呆れかえるほどだが、経済界「総本山」の経団連がこの有様なのだから、その水準が反映しているに過ぎないとも言える。

 昔の経済事件は、ライバル社を出し抜いて自社が受注するための贈賄であったり、株主に配当を継続するための粉飾決算であったりした。それらはもちろん許されない犯罪ではあったが、経営者個人が私腹を肥やすためにやったものではなかったし、実際に「実行犯」である経営者個人がそれで得をするという性質のものでもなかった。経営者が責任を取って企業を去れば、社員や顧客は迷惑を被ることなく幕引となることも多かった。しかし最近の企業犯罪は経営者が企業を私物化して私腹を肥やし、あげくには事故を起こして社会全体に迷惑が及ぶというケースが多く、それだけに昔の企業犯罪と比べて救いがない。

 自社や自分の属する業界の利益のことしか頭にない偏狭な経営者は一度表舞台から去ってはどうか。その総本山としてお山の大将に成り下がった経団連も不要だ。寝ぼけているなら冷たい水で顔でも洗って解散し、一から出直した方がいい。

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本日の放射能測定値

2012-02-23 22:40:41 | 福島原発事故に伴う放射能測定値
・計測年月日、時間
 2012年2月23日 午後8時15分~8時25分

・計測場所
 福島県 JR新白河駅西口(高原口)

・計測時の気象条件(晴/曇/雨/雪の別及び風向、風速)
 天気:晴
 風向・風速:北西 10m

・計測結果(単位:マイクロシーベルト/時)
(1)新白河駅西口バス停横の土壌地
  大気中(高さ100cm)   0.67
  土壌(高さ10cm)    0.69

(2)新白河駅西口駐車場
  大気中(高さ100cm)   0.38
  舗装路面(高さ10cm)  0.45

<放射線量測定に関するお知らせ>
次の定期測定は、2012年3月1日(木)に実施する。

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欠陥だらけの「福島復興再生特別措置法案」に思う

2012-02-22 20:48:43 | 原発問題/一般
今国会に政府が提出している福島復興再生特別措置法案は、御用マスコミの「宣伝」によれば、被災地「復興」を促進するための特例を福島に限って上乗せするものだ、という。放射能被害が宮城・岩手に比べて深刻な福島に支援策を上乗せすべきだという議論自体は、否定する人はいないであろうし、その趣旨は国民の賛同を広く得られるだろう。

しかし、上記の法案の内容を見て、内容のあまりのひどさに愕然とした。ネットで公開されるよりも先に法案を見た「放射能から子どもたちを守る福島ネットワーク」関係者が、放射能への「不安」を取り除こうという方向だけの危うい法案との危惧を表明している、という話は私の元にも聞こえてきていた。しかし、この法案の内容は、単にそれだけにとどまらない深刻な欠陥を含んでいるというべきだろう。

当ブログ管理人の見る限り、この法案が抱える深刻な欠陥は以下の点にある。

1.自主避難者には一切支援がない。自主避難する者は「非国民」なのか?

第18条の規定を見ると、自治体等が被災者に公営住宅の斡旋をする場合、その対象者を政府の指示により避難した者に限る、とわざわざ限定的に書いている。この条文以外を見ても、福島県外に住居を移した人には支援どころか言及すらされていない。苦しんでいる被災者を見捨てて自分だけさっさと避難するような「非国民」は救済に値せず、ということだろう。

2.放射能の被害を認めず、「不安」を取り除くことだけに注力する内容。放射能を「根拠なく勝手に怖がる」市民が悪いとでも言うのか?

第30条では「国は、福島の地方公共団体と連携して、福島の学校及び児童福祉施設に在籍する児童、生徒等について、放射線による健康上の不安を解消するため、当該学校及び児童福祉施設の土地及び建物並びに通学路及びその周辺の地域について必要な措置を講ずるとともに、学校給食に係る検査についての支援その他の必要な措置を講ずるものとする」とある。

この条文のどこが問題なのか、という読者の方もいるかもしれないが、問題は放射線による「健康被害」の解消ではなく「健康上の不安」の解消になっていること。つまり、「勝手に怖がり、騒いでいる一部の奴らが悪い。国や“専門家”の指示に従い“正しく怖がれ”」ということである。

ちなみに、第35条でも「国は、…福島において、放射線による健康上の不安の解消その他の安心して暮らすことのできる生活環境の実現を図るために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする」となっている。ここでも「健康被害」の解消ではなく「健康上の不安」の解消になっている。放射能の被害はストレスしかなく、それ以外の実害はないのだから“メンタルヘルス対策”くらいはサポートしますよ、ということだろう。当ブログ管理人にとっては、政府と「自称」専門家どものこうした棄民政策こそが最大のストレスなのだが。

3.市民の自主的な動きは支援せず、支援の対象が自治体・企業のみ。庶民を助けなくてどうして「復興」と言えるのか?

第28条に「国は、福島の地方公共団体及び事業者が実施する福島で生産された農林水産物及びその加工品並びに鉱工業品の放射能濃度及び放射線量の測定及び評価を支援するため、必要な措置を講ずるものとする」とある。なぜ、食品放射能測定に対する支援が「福島の地方公共団体及び事業者(=企業・法人)」だけなのか? 市民による放射能自主測定の動きに対しては支援もしない。市民による自主測定など行政にとって目障りだということだろう。

「自治体や企業が計ってやっているのだから、市民は文句など言わず黙って食え」ということか。そもそも市民から食品自主測定の動きが出てきたのは情報隠しばかりする政府が信用できないからである。その根本を置き去りにしたまま信じろといわれても無理だ。

もっとも、当ブログ管理人は市民測定所に行政の支援がほしいなどとはこれっぽっちも思っていない。これは別に強がりではない。政府から金をもらえばどんな組織でも頑張りきれず、いずれは「御用」になる。「原子力専門家」を自称する連中を見ればわかることだ。

日本の行政や官僚というのは本当に狡猾で、最初は金だけ出すようなそぶりをしておいて、政府からの金がなければ組織が運営できなくなった頃合いを見計らって「言うことを聞かなければ金を引き揚げる」と脅す。彼らのこの「常套手段」で多くの心ある人々が「転んでいく」のを私は見てきた。

だから、私に金で言うことを聞かせようと思っている連中がいるなら「そんな腐った金は要らない」と事前に言っておく。

4.除染事業に「福島県民を優先雇用するよう求める」配慮規定があるが、除染以外の事業にはこの配慮義務すらない。「国策」遂行の役に立たない震災・原発失業者は見捨てられて当然なのか?

第29条2項に「国は、前項の除染等の措置等の実施に当たり、福島の住民が雇用されるよう配慮するものとする」という雇用配慮規定を置いているが、これ以外の事業には県民を優先的に雇用するよう求める規定は一切置かれていない。これでは震災・原発失業者は置き去りだ。

第36条~61条までで「産業復興再生計画」の立案と認定の制度を設けながら、福島県民優先雇用については言及せず。義務とまではいわないが、企業に配慮義務くらいは課すべきなのに何もない。

産経などの御用メディアを中心に、今「失業給付を受けながらパチンコをしている被災者」に代表される「被災者=怠け者」キャンペーンが繰り広げられている。実際には被災地での求人は建設業や医療・福祉など有資格者限定のものが多いのに対し、求職者は資格を持たない人が多いことが求人・求職のミスマッチの背景にある。産経の恥ずべき「怠け者」キャンペーンはこうした実情を知らないで(あるいは、知っていて)被災者に悪罵を投げつける最低のものだが、こうした失業者に対する「優先的雇用配慮義務」も課さないで、一体何が復興なのか。

5.福島産品種の開発奨励というこの法案の内容には恐怖すら覚える。放射能汚染地でこれ以上「作れ、出荷しろ、食べろ」を奨励するのか?

第51条~61条は「農林水産業の復興及び再生のための施策等」である。この時点で正気とは思えない。汚染された土地で気休めの除染をしたあとは「食べて応援」の大キャンペーン。この法律は「福島県民内部被曝促進法」に題名を変えた方がいい。

6.一の自治体だけに適用される特別法なのに住民投票の規定がない(手続き上の欠陥)

これは誰も指摘しない点かもしれないが、きわめて重要だ。この法律は、福島県だけに限って適用される法律で、「福島」とは「福島県の区域」をいう、と明確に定義もされている。

一方、日本国憲法第95条に、こんな規定がある。

「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない」

つまり、この法律は福島県民の住民投票を実施しなければ制定できない。その手続きを経ずに制定しても、無効である。当ブログは、この法律について、福島県民による住民投票を行うよう求めていく。

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南相馬市で明らかになった「破局的汚染」

2012-02-21 22:39:19 | 原発問題/一般
南相馬市で「108万ベクレル」 市民団体、土壌を測定(東京)

南相馬市で、1kg当たり108万ベクレルという殺人的レベルの高い放射能汚染土が見つかった。原子力安全委員会の指針に従って平方メートル当たりに換算すると、7020万ベクレル。空間線量で247μSv/h。一般公衆の年間被曝限度1mSvにわずか4時間で達してしまう。

内部被曝に詳しい矢ヶ崎克馬・琉球大名誉教授は「驚く数字です。どのような状態で降下しているのか大変に気になります。セシウムのみならず、α線核種、β線核種など、他の核種もあることは間違いありません。危険です。近づかないで下さい」とコメントしている。

今ごろになって、なぜこのような破滅的レベルの高濃度汚染が見つかったのか明らかでないが、南相馬市議会議員・大山こういち氏のブログによると、激しく汚染された土壌から謎の「黒い物質」が見つかったという。

この黒い物質について、大山氏は「核燃料棒の破片」ではないかとの見方をしている。3号機の爆発の際に飛び散った燃料の破片ではないかというのだ。

南相馬市は、福島県発表の環境放射能測定値を見る限り、福島県内で放射線量が高い方ではないが、福島第1原発からは20~30km程度しか離れておらず、燃料棒の破片が直接飛来したとしても決して不思議ではない。

大山氏の推測が事実なら、南相馬市はもはや人が住む場所ではない。市全域を放棄せざるを得ないほどの事態である。単に空間線量だけで判断をしてはならない。原発に近いということは、これほど大きな危険を伴うことなのだ。

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ネットで話題「東電の法則」

2012-02-20 21:54:36 | 原発問題/一般
東電の法則(高野只男さんのツイッター)

1.単位を毎回変えて数字を小さく見せる。
2.1/1000のデータをまず発表する。
3.様子を見ながら本当の数字を出す。
4.真の原因は突っ込まれるまで言わない。
5.ヤバイ情報は深夜に出す。
6.異常値を出した計器は故障とする。
7.言い訳が長い時は誤魔化そうとしている。

なかなかよくできているのではないかと思う。
特に、「異常値を出した計器は故障とする」は、最近の2号機温度計の温度上昇騒ぎでも使われたばかりなので、納得の方も多いと思う。

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茨城北部で震度5弱 東日本大震災の余震か

2012-02-19 21:43:19 | 気象・地震
茨城北部で震度5弱 東日本大震災の余震か(朝日)

この地震については、震度5弱を記録したにもかかわらず、気象庁から報道発表は行われなかった。このため発震機構は不明だが、このところ茨城県沖や茨城県北部では比較的浅い場所で中規模の地震が続いている。まもなく東日本大震災から1年になろうとしているが、茨城県沖での地震活動は全く衰えを見せていない。

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本日の放射能測定値

2012-02-17 22:28:11 | 福島原発事故に伴う放射能測定値
・計測年月日、時間
 2012年2月17日 午後7時00分~7時10分

・計測場所
 福島県 JR新白河駅西口(高原口)

・計測時の気象条件(晴/曇/雨/雪の別及び風向、風速)
 天気:晴
 風向・風速:北北西 4m

・計測結果(単位:マイクロシーベルト/時)
(1)新白河駅西口バス停横の土壌地
  大気中(高さ100cm)   0.59
  土壌(高さ10cm)    0.71

(2)新白河駅西口駐車場
  大気中(高さ100cm)   0.39
  舗装路面(高さ10cm)  0.48

<放射線量測定に関するお知らせとお詫び>
当ブログ管理人の急用に伴い、予定していた2月16日(木)に測定ができなかったため、本日測定を行った。予告なく測定日を1日延期したことについて、お詫びを申し上げたい。

なお、次の定期測定は、2012年2月23日(木)に実施する。

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「食べて応援」キャンペーンは何をもたらしたか

2012-02-12 22:03:57 | 原発問題/一般
外食には注意!生産地を確認しましょう!資本主義が被曝を拡げてます。(「無私」200%NPO的生活ブログ)

やはり、そんなことだろうと想像はしていたが、改めて事実を突きつけられると気が重くなってくる。ちなみに、福島県内のスーパーでは、福島産の価格は他地域産と同じで、全然安くなっていない。それなのに、福島産農産物が「過去最大の取引量で過去最低の売上」というのだ。

これで、「食べて応援」キャンペーンの正体がはっきり見えた。このキャンペーンで誰が笑い、誰が泣いているかを簡単に挙げると以下のようになる。

●笑っている者
・食品流通企業(福島産を買い叩き、売るときは通常価格でガッポリ儲ける)
・東電(安かろうが、ともかく「売れた」のだから農家に賠償しなくていい)
・国・自治体(元気に復興する福島をアピールできる)

●泣いている者
・農家(買い叩かれ生活できない)
・消費者(汚染食品を押しつけられ健康を奪われる)

予想通り、政府や企業など社会的強者だけが喜び、農家と消費者は共倒れという最悪の展開だ。この事態を脱するには、やはり「すべての食品の検査と数値の公表」「販売禁止となった食品に対する賠償」をきちんと行わせる必要がある。

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M7級首都圏直下型地震「4年以内に70%」に思う

2012-02-11 11:47:15 | 気象・地震
政府地震調査委、首都直下地震の確率「30年以内に70%」の評価に変わりないとする見解(フジテレビ)

1月23日、東大地震研による「M7級の首都圏直下型地震が4年以内に70%」との試算を読売が報じて以降、日本国内はちょっとした混乱に陥っているようだ。

当ブログが地震の解説記事をひとつの重要なコンテンツにしているためか、最近、「この予測は本当なのか」という問い合わせを、主に首都圏在住の人から何件かいただいた。きょうはこれに少し答えてみたい。

結論から言えば、この予測が本当なのかと聞かれても、「わからない」としか答えようがない。大地震の確率が1%で明日来ることもあるし、逆に99%でも50年先まで来ないこともある。はっきり言ってしまえば、地震の発生予測の精度は星占いレベルだし、そういう認識を持っていただきたいと思う(確実に当たると言えない反面、確実に外れるとも断言できない)。

確実に地震の発生時期や場所を予測できる技術があったら、私自身がサラリーマンなど辞めて地震予測を本業にする。地震国・日本では地震が社会に与える影響が大きいので、それが事前に予測できる技術がある場合、ビジネスにすればサラリーマンなどよりよほど儲かると思う。

この東大のセンセーショナルな予測はあくまで可能性のひとつに過ぎない。にもかかわらず、地震そのものよりも発表が引き起こすパニックを恐れるような保守的な組織である東大がなぜこの時期(発表自体は昨年9月だが)に、こんなセンセーショナルな予測を公表したのかということが大きな謎だ。

東大というのは日本国民が思っている以上に政治的な組織である。みずからのネームバリューが引き起こす影響も自覚しており、その上で意思決定をしている。ここからは私の想像だが、おそらく東大は、事ここに至ってもなお地震への備えをしようとしない首都圏の個人や企業に深刻な危機感を持ち、あえてこのような発表をしたのではないだろうか。

当ブログの過去ログに記載したとおり、直下型地震に備えた本社機能の分散先が同じ東京23区内、地震発生時の措置は「ただちに出社できる社員を本社に招集する」。交通機関も止まり、道路も渋滞で動かなくなるのに、社員は「頑張れば集められる」という認識しか持っていない。そんな企業が首都圏にはまだたくさんある。「みんなで集まり、群れるのが危機管理」とはおめでたい限りだ。3.11を経験したこの期に及んでも、状況はそれほど変わっていないだろう。

今回の報道とその後の一連の混乱を見ていて私が不思議に思うのは、「いざというときの備え」をするのがなぜみんなここまで嫌なのか、ということである。日頃からろくに準備もせず、星占い程度の精度しかない地震予測にここまですがり、当たらなかったら袋だたきにするというのはどう見ても普通ではないし、3.11後の状況を見れば備えておかなければ生き残れないと考えるのが通常の人間の意識だろう。豊かな生活を捨てたくないのか、遊びなど楽しいことを優先したいのか、疲れていてそんなことまで考えていられないのか、あるいは単に面倒なので「近々自然災害が来そうだ」とわかった段階で準備したいのか。

天気予報でさえ的中率は70%程度。長期予報(2~3ヶ月予報)に至っては、気象庁はここ数年はろくに的中させたことがない。そんな状況なのに数年先、ましてや数十年先のことなんて予測できるはずもない。だとしたら、せめて我々にできることはその時が明日来ても慌てずに済むよう、備えておくことくらいである。

その程度の備えでさえ「面倒くさい。やりたくない。それより地震がいつ来るか教えてほしい」と思っている人の面倒まで当ブログは見きれないし見る必要もない。残念ながら「勝手にしてください」と申し上げる他はない。

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