実行委員会よりお知らせです。
6.16最高裁包囲ヒューマンチェーンの動画(3本目)が公開されました。こちらは「平和と民主主義チャンネル」にアップされたものです。開会宣言、各団体の発言を中心に15分に編集されています。
2025最高裁ヒューマンチェーン
実行委員会よりお知らせです。
6.16最高裁包囲ヒューマンチェーンの動画(3本目)が公開されました。こちらは「平和と民主主義チャンネル」にアップされたものです。開会宣言、各団体の発言を中心に15分に編集されています。
2025最高裁ヒューマンチェーン
実行委員会よりお知らせです。
6.16最高裁包囲ヒューマンチェーンの動画(2本目)が公開されました。こちらは「だまっちゃおれん原発事故人権侵害訴訟・愛知岐阜」チャンネルにアップされたものです。
6.17最高裁共同行動 6.16ヒューマンチェーン
実行委員会からお知らせです。
6.15シンポジウム・デモ及び6.16最高裁包囲行動当日の動画が、インターネットメディア「UPLAN」のYoutubeチャンネルで公開されました。以下からご覧になれます。
・2025.6.15 UPLAN【公開市民シンポジウム第3弾!】人権と司法~揺らぐ「最後の砦」を前にして
・2025.6.15 UPLAN【デモ】人権と司法~揺らぐ「最後の砦」を前にして
・2025.6.16 UPLAN 原発事故被害者が呼びかける最高裁包囲行動(ヒューマンチェーン)
続いて、私たちの行動に関する各メディアの報道(その2)です。
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・原発事故は国の責任 「不当判決ただせ」最高裁包囲(しんぶん赤旗)
東京電力福島第1原発事故をめぐる国の賠償責任を否定した3年前の最高裁判決を正し、公正な司法を取り戻そうと事故被害者や市民らが16日、最高裁を包囲するヒューマンチェーン(人間の鎖)に取り組みました。実行委員会によれば昨年を上回る約1150人が参加しました。
実行委員会は、原発事故被害者団体など22団体が加盟、多くの団体と個人が賛同しています。
同実行委員会共同代表の水戸喜世子さん(89)は、「現状を変える力を持っているのは主権者である私たちだ。隣の人と真剣に話し合い、最高裁の大掃除の出発点としよう」と呼びかけました。
各地の国賠訴訟の原告や元原告、原発の差し止め訴訟の原告、公害問題や事故被害者の支援者などがリレートーク。「司法は勇気と正義を取り戻せ」「原子力は倫理に反する」「私たちは諦めない」「原発最大限活用という無謀な計画をやめさせ、福島の復興を進めるためにも不当判決を覆すことが必要」と次々に発言しました。
実行委員会は、司法があるべき姿を取り戻し、かけがえのない人権が守られるまで「手をつないでたたかいを続け」るとする集会決議を発表しました。
日本共産党からは岩渕友参院議員が参加し、「国の責任を認めさせ、原発ゼロを実現させるために、皆さんと力を合わせていく」とあいさつ。また、立憲民主、社会民主、れいわ新選組の国会議員も参加しました。
2022年6月17日、最高裁は福島原発事故の国の責任を否定した判決(多数意見)を示し、それまで複数の高裁が国の責任を認める判断を示していましたが、その後の下級審の判決はすべて国の責任を否定しています。また、今年3月には、最高裁は業務上過失致死傷で強制起訴された東電元経営陣2人を無罪とする決定をしています。
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【原発事故と司法】下級審が次々とコピペする〝6・17最高裁判決〟から丸3年 猛暑のなか、全国集団訴訟の原告らが今年も最高裁囲みシュプレヒコール「原発事故は国の責任!」(民の声新聞)
原発事故後に起こされた「生業訴訟」、「群馬訴訟」、「千葉訴訟」、「愛媛訴訟」に対し、最高裁判所第二小法廷(菅野博之裁判長=退官後、大手法律事務所に天下り)が国の責任を否定してから丸3年。全国で原発事故関連訴訟を起こしている原告たちが16日午前、今年も最高裁を取り囲んで抗議の意思を示した。津波対策を防潮堤建設だけに絞り、「経産大臣が津波対策を命じても過酷事故は防げなかった」とした判決はその後、全国の下級審に次々とコピペされている。まるで、原発回帰へ大きく舵を切る国への免罪符であるかのように振る舞い、原告たちの前に立ちはだかる。吐き気を催すような猛暑だったが、参加者たちは「原発事故は国の責任」、「司法の独立どこ行った」などと何度も何度も拳を突き上げた。
【「〝6・17判決〟を再審理して正せ」】
最高裁前ではまず、実行委員会を代表して水戸喜世子さん(「子ども脱被ばく裁判」を長らく支援)が開会宣言。「2022年6月17日の最高裁判決は明らかに憲法違反の判決です。憲法では『人命こそが第一』としているからです。人命を第一に考えない判決だからです。その違憲判決が判例となり、主体性と憲法を忘れた(下級審の)裁判官らによって〝コピペ判決〟が無責任に量産され、立憲主義に基づく法治国家が崩壊の危機に瀕しています。主権者のみなさん、判決のたびに泣くのはやめましょう。腐った現状を変える力を持っているのは主権者である私たちだけです」と呼びかけた。
大腸ガン闘病中の鴨下祐也さん(「福島原発被害東京訴訟」原告団長、「原発被害者訴訟原告団全国連絡会」共同代表)は、次のようなメッセージを寄せた。新たに肺にガンが見つかったため、息子の全生(まつき)さんが代読した。
「『原訴連』は、全国23の訴訟団、原告1万3000人を超える怒りと正義の集合体です。その先頭に立って闘っていた4つの訴訟団が3年前、許しがたい不当判決を下されました。それ以降、順調に勝ち進んでいた全国各地の地裁・高裁判決が一転しました。私たちは、このような暴挙を許すことができません。原発事故は間違いなく推し進めた国の責任であり、国と東電は事故を防ぐ努力を怠った―それが真実です。司法は勇気と正義を取り戻せ!」
福島県の内堀雅雄知事は、東京都江東区の国家公務員宿舎に入居した複数の区域外避難者を相手取り〝追い出し訴訟〟を起こした。そのうち2世帯が福島地裁、仙台高裁での敗訴判決を不服として上告。現在、最高裁第二小法廷に係属している。
避難者(被告)を支援する「原発避難者の住宅追い出しを許さない会」事務局長、小川正明さんは「公的住宅を保障し避難者を救済することは福島県の責務ですが、追い出しを強行してきました。言語道断の暴挙です。追い出しは国際人権法上の権利侵害行為であり、断じて許すことはできません」と改めて訴えた。
「東海第二原発運転差止訴訟」は2021年3月の勝訴判決(水戸地裁の前田英子裁判長が日本原電に対し運転差止を命じた)を経て現在、東京高裁での控訴審が続いている。
原告団共同代表、大石光伸さんは「〝6・17最高裁判決〟以降、原発運転差止訴訟でも国の原発回帰政策に忖度した判決が次々と出されています。最高裁が『人権の砦』たる司法の役割を自覚し『法の番人』として自らの独立性を国民に示すには、〝6・17最高裁判決〟を再審理して正すことです」と求めた。
【「核と命は共存できぬ」】
避難計画の不備を争点にした「女川原発運転差止請求訴訟」は昨年11月、仙台高裁の倉澤守春裁判長が石巻市民の控訴を棄却。住民たちは熟慮の末、上告を断念した。原告団長だった原伸雄さんは「原発事故の国の責任を認めさせ原発ゼロを目指すためには、圧倒的な大衆世論を巻き起こさなければなりません。その軸となるスローガンは『三浦守裁判官の少数意見を最高裁の多数意見に!』ではないでしょうか」とのメッセージを寄せた。
全国の宗教者などが2020年3月、青森県六ケ所村の再処理工場などの運転差止(核燃サイクル事業の廃止)を求めて東京地裁に起こした「宗教者核燃裁判」。原告代表の内藤新吾さん(日本福音ルーテル教会)は「司法には、未来の子たちに恥じない決断をする気概を持ってほしいです。核と命は共存できません。司法よ責任を果たせ!」と訴えた。
最高裁第二小法廷(三浦守裁判長)は昨年11月、「子ども脱被ばく裁判」について「事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに民事訴訟法312条に規定する事由に該当しない」として上告を却下した。
原告代表を務めた今野さんは「この国の司法は死んでしまった。本来は『三権分立』のはずなのに、いまや行政に忖度する『三権連立』。最高裁や全国の裁判官は自己保身のために正義を捨てた判断をして、人として恥ずかしくないのか。黒い法衣の意味を忘れるな」と語気を強めた。
「原発事故被害者団体連絡会」(ひだんれん)共同代表の武藤類子さんは「加害者に対して反省と償いの責任を負わせなければ、次の原発事故が起きるのです。裁判所が襟を正し、真っ当な司法を実現してほしいと願っています」とスピーチ。「避難の協同センター」事務局長の瀬戸大作さんは14年間、原発避難者の避難先での困難を目の当たりにし、昼夜を問わず支援をしてきた。「裁判所はなぜ、13件もの強制執行(避難住宅からの追い出し)を容認したんだ!裁判所は弱い者に対してサポートする判決を出すべきだった。何をやっているんだ!」と最高裁に怒りをぶつけた。
季節外れの猛暑に参加者たちは汗だくになりながら、最高裁を「人間の鎖」で囲み、拳を突き上げてシュプレヒコールを行った。
【「全力尽くす」「あきらめない」】
前日に開かれたシンポジウムで、「ふるさとを返せ 津島原発訴訟」(仙台高裁で控訴審係争中)原告団長の今野秀則さんは「原発事故で人生を奪われ苦しんでいる被害者を顧みようとしない、住民の基本的人権をないがしろにして国に忖度し、利益優先の判断を下す司法のあり方を正すために、私たちは全力を尽くして闘います」と誓った。
「原発賠償関西訴訟」(12月24日大阪地裁で結審予定)原告団代表の森松明希子さんは、福島県郡山市からの母子避難を継続している。「司法が劣化し不当判決を出し続けても、私たち原発事故被害者がいま現在も受け続けている被害が、福島県境を越えて東日本の広範囲に拡がった放射能汚染が消えてなくなることはないのです。原発事故被害を語る人がいなくなることで、日本が原発事故を起こしたという記憶が忘れ去られないように、過去を忘れることで同じ失敗が繰り返されることのないように、無用な被曝を避けるという基本的人権を手放さない道を一緒に歩んでください」と呼びかけた。
「原発賠償京都訴訟」(上告済み)原告団共同代表の堀江みゆきさんも「今回の最高裁抗議行動が勝利へつながることを信じ、公正な最高裁判決を勝ち取れるよう、全力で取り組んでいきたい」と述べた。
「〝6・17最高裁判決〟の後に高裁で10、地裁で5、計15の判決が言い渡されましたが、すべて最高裁判決のコピペでした」。そう切り出したのは「かながわ訴訟」(上告済み)原告団長の村田弘さん。「でも、暗くなる必要はありません。いまも高裁で8、地裁で5の裁判が闘っています。絶対にあきらめません」と力を込めた。
抗議行動に先立ち「福島原発千葉訴訟」、「だまっちゃおれん!原発事故人権侵害訴訟愛知・岐阜」、「山形訴訟」など、最高裁に係属している8つの訴訟団が「大法廷へ回付し、改めて最高裁の全裁判官による良心に従った判断がなされることを切に求める」とする連名の意見書を最高裁に提出した。
〝6・17最高裁判決〟を巡っては、対談本「司法が原発を止める」(旬報社)のなかで、井戸謙一弁護士(2006年4月、金沢地裁の裁判官として北陸電力に対し志賀原発2号機の運転差止を命じた)が「下級審の裁判官はどんどんチャレンジすればいい」、「判決に責任を持つのは、裁判所という組織ではなくて個々の裁判官…最高裁がどう言おうが自分はこう考える、と書いていい」などと、裁判官たちにエールを送っている。
樋口英明さん(2014年5月、福井地裁の裁判官として関西電力に対し、大飯原発3、4号機の運転差止を命じた)も、「地裁の裁判官が最高裁に敬意を払い過ぎだ。権威に負けているというか、最高裁には正当性があるんだと頭から思い込んでいる」と指摘。下級審に主体的な判断を求めている。
(了)
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「司法の独立」求め最高裁で人間の鎖〜原発事故の「国の責任」否定から3年
OurPlanetTVの報道です。
6.16最高裁包囲行動お疲れ様でした。
私たちの行動に関する各メディアの報道(その1)です。
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・国の責任を認めなかった最高裁判決、3年たっても許せない 福島第1原発事故の避難者が「人間の鎖」に込めた思い(2025.6.17「東京新聞」)
東京電力福島第1原発事故で避難者が東京電力や国に損害賠償を求めた訴訟で、国の責任を否定した2022年の最高裁判決から3年を迎えるのを前に、避難者や支援者らが16日、東京都千代田区の最高裁前で敷地周囲を取り囲む「ヒューマンチェーン(人間の鎖)」をつくり抗議の声を上げた。また、最高裁には他の避難者の訴訟も上告中で原告や弁護団はこの日、最高裁に対し3年前の判決を見直すよう求める意見書を提出した。
◆「今も大勢の人がふるさとに帰れていない」
原発事故を巡っては、全国各地で国や東電に賠償を求める集団訴訟が起こされ、最高裁は2022年6月17日、群馬や千葉県など4件の訴訟で「津波対策が講じられていても事故が発生した可能性が相当ある」として国の賠償責任はないとする統一判断を示した。
最高裁前で「人間の鎖」をつくり抗議の声を上げる参加者たち=東京都千代田区で
ヒューマンチェーンの主催団体によると、参加したのは約1150人。炎天下、最高裁前で約1キロにわたって手をつなぎ、「原発事故は国の責任」「司法の独立どこいった」「未来に誇れる判断を」などとシュプレヒコールを上げた。
原告の一人だった福島県桑折町(こおりまち)の鈴木文夫さん(78)は「今も大勢の人がふるさとに帰れず、汚染土の問題も解決されていないのに、事故の風化を感じる。国の責任がないとした判決は許せない」と話した。
◆東京電力の株主代表訴訟の原告も参加
東京高裁で6日、東京電力旧経営陣の責任を否定する判決が出た株主代表訴訟の原告代表、木村結さん(72)=東京都杉並区=は「国も東電も誰ひとり責任を取っていない」と批判した。
現在も続く訴訟の原告弁護団によると、最高裁判決後に高裁で言い渡された判決は11件あり、いずれも国の責任を認めなかった。最高裁に見直しを求める意見書を提出後、原告代理人の平松真二郎弁護士は都内で会見し「最高裁判決はこれまでの判例の判断枠組みを無視し、勝手に結論だけを決めた。大法廷で審理し、全裁判官の矜持(きょうじ)を示してほしい」と話した。(浜崎陽介、小野沢健太)
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・1000人超が抗議 原発事故めぐる集団訴訟“国の責任認めず”最高裁判決から3年 福島(テレビユー福島)
東京電力福島第一原発の事故をめぐる裁判で、最高裁判所が国の責任を認めない判断を示してから、6月17日で3年となります。これに先立ち、16日、全国から集まった原告や支援者らが最高裁を囲み、判決に抗議しました。
16日、東京・千代田区の最高裁判所の前には、全国から駆け付けた原発事故の裁判の原告や、支援者が集まりました。今年は21の団体が参加し、代表者がスピーチをして、3年前の判決に抗議しました。
主催団体の共同代表・水戸喜世子さん「人命よりも国策が大事。原発は不可抗力の自然災害のせいだから、誰にも責任はないんだと。これは明らかに憲法違反の判決です」
原発被害者訴訟原告団全国連絡会・鴨下全生さん「間違いなく原発事故はそれを推し進めた国の責任であり、国と東電は防げた事故を防ぐ努力を怠った。それが真実です。司法は勇気と正義を取り戻せ」
2022年6月17日、原発事故の被害者が国と東京電力を訴えた4つの裁判で、最高裁は国の責任を認めない判決を出しました。3年前の裁判では▼大津波を予見できたか▼事故が回避できたかという2つが大きな争点でしたが、最高裁は「実際の津波は想定よりもはるかに大きかったために、対策をしても事故は防げなかった」などとして、国の責任を認めませんでした。それ以降、後続の裁判では、同様の判断が相次いでいます。
また、今年6月7日には、東電の旧経営陣に賠償を求めた株主代表訴訟の二審でも、東京高裁が、津波の予見可能性を否定し、株主側が逆転敗訴しています。
「司法の独立どこ行った、司法の独立どこ行った」
参加者は、スピーチの後、3回にわたって手をつなぎ、最高裁を囲んで、改めて、国の責任を認めるよう、訴えました。福島県内からは、いまも二審の裁判が続いている浪江町津島地区の住民も駆け付け、最高裁に向かって声を挙げました。
津島訴訟・今野秀則原告団長「司法の独立どこ行った!未来に誇れる判断を!」
最高裁の判決以降、津島訴訟では、原告側が「国が過酷事故に備えた対策のない原発を設置させ、その後も対策をしなかった」と新たな主張を展開して、国の責任を訴えています。主催者によりますと、16日は、去年よりもおよそ200人多い1154人が集まったということです。
原発事故をめぐる初の最高裁判決以降、後続の裁判では、原告側に厳しい判断が続いています。
去年4月、いわき市民などが、国と東電を訴えた裁判で、最高裁が上告を棄却し、国の責任を認めない二審の判断が確定しました。
また、下級審でも、同様の判決が相次いでいます。一審で国の責任が認められていた京都や東京、神奈川の裁判でも、二審で住民側が逆転敗訴となる判断が続いています。
こうした現状の中で、いまも審理が続く裁判の中には、新たな主張をする動きも出ています。津島訴訟では、国が率先して原発を推進した背景から、「実質的に国が設置した」と位置づけた上で、「過酷事故に対する危機意識を持っていなかった」と主張しています。
その一例として、旧原子力安全・保安院が2006年と08年に、アメリカの過酷事故対策について、調査していたことを挙げています。これは、アメリカからの連絡を受けて行われた調査でしたが、「保安院は必要性や緊急性が薄いとして、無視してしまった」と原告側は主張しています。
この主張に対し、国や東電は争う姿勢で、裁判所の判断が注目されています。14年が経過してなお、原発事故の責任を問う闘いが続いています。
6月15日~16日のシンポジウム・デモ&最高裁包囲行動に多数のご参加をいただき、ありがとうございました。
シンポジウムで紹介した国連 国内避難民の人権に関する元特別報告者 セシリア・ヒメネス=ダマリーさんのメッセージを以下、文字と動画でご紹介します。印刷に適したPDF版をご希望の方は、こちらからダウンロードできます。
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<国連 国内避難民の人権に関する元特別報告者 セシリア・ヒメネス=ダマリーさんのメッセージ>
公開市民シンポジウム第3弾 「人権と司法 〜揺らぐ「最後の砦」を前にして(2025.6.15)
このメッセージをお伝えできることを光栄に思います。私はセシリア・ヒメネス=ダマリーです。国際人権弁護士であり、国内避難民を含む強制移住問題の専門家です。また、2016年から2022年まで国連から任命され、国内避難民の人権に関する特別報告者を務めました。
私は特別報告者として、日本政府の招待を受け、2022年9月26日から10月7日まで日本を訪問しました。この間、福島を2日間訪問したほか、市、地区、県、国レベルで日本政府と協議を行い、国会議員から意見を聴取し、避難者、市民社会、弁護士から数多くの証言を得ました。この公式訪問は、2011年の福島原発事故によるいわゆる「避難者」(より正確には国内避難民)の人権の現状を評価することを目的としていました。2023年6月に国連人権理事会に提出した報告書には、避難民(国内避難民)の人権を国際基準に基づいて徹底的に評価し、その結果、国際基準で奨励する事例に基づく勧告が含まれていました。
2011年3月の東日本大震災と津波に続く福島第一原子力発電所の事故は、まさに日本国史上、前例のない壊滅的な出来事であり、47万人以上が避難を余儀なくされました。その後、避難者の大半が自宅に帰還または再定住しましたが、原子力災害によって避難した数万人もの人々は、放射線とその健康への不確実な長期的影響への恐怖、そして基本的な公共サービスへのアクセスへの懸念により、依然として不確実な将来に直面しています。
報告書では次を勧告しています。
VI.結論
96.前例のない大災害に直面し、緊急対応の迅速性と規模、国内避難民が賠償を請求するための複数のルートの確立、災害後の国内避難民へ国、県当局が支援を行っていることは賞賛されるべきである。しかし、日本政府が県の復興に焦点を移すにつれ、災害に関連する人権問題であるにも関わらず、保護と支援策、特に住宅援助や精神的苦痛への賠償は時間の経過とともに縮小された。避難を続けることを望む避難者、特に支援が少ない「自主的」避難者は、帰還するようにとの経済的、社会的圧力を感じている。
97.『福島原発事故』からのすべての避難者は、指示による避難であろうと、原子力災害の影響への恐怖による避難であるかを問わず、避難者として同じ権利を持つ国内避難民である。すべての国内避難民は、どのような持続的な解決策を追求するかについて意思決定するために、必要な情報を取得し、自らの意思によって決定する権利を有するが、これらは移動と居住の自由の権利に由来する。『国内避難に関する指導原則』は、すべての国内避難民が国内の別の地域で安全を求め、生命や健康が危険にさらされる可能性のある場所への強制帰還から保護される権利を確立しており、国内避難民が自発的、安全かつ尊厳を持って帰還できる、あるいは自発的に他の場所に定住できる条件を確保する第一義的な義務と責任を、政府が負うというものである。日本のすべての住民の安全と平等な保護は日本国憲法によって保障されている。
98.『国内避難民のための持続的な解決策に関する枠組み』は、国内避難民が誰からも強制されずに、この自発的に安全かつ尊厳をもって帰還または他の場所への定住の選択を確実に行使できることを当局に義務付けている。強制には、意図的に誤解を招く情報の提供、特定の選択への支援、持続的な解決策につながる最低条件が確立される前に支援の終了期限を恣意的に設定するなどの暗黙の形態の強制も含まれる。この観点から、放射線は心配ないとする情報のみを提供し、避難民よりも帰還者に手厚い支援を行い、帰還に十分な条件が整う前に国内避難民への支援を終了することは、国際法の基準に反し、持続性のある解決策の選択と避難の権利を侵害するものである。
99.『福島原発事故』の文脈では、長期的な影響がよく分からない放射線レベル、帰還地域での生計手段、教育、医療、必要不可欠なサービスの欠如、限定された範囲での除染、帰還した国内避難民の人権にも影響を及ぼす課題を考慮し、多くの国内避難民は依然として帰還に消極的である。持続的な解決策と元の生活への回復を確保するには、事実を包み隠すのではなく、対処することが重要だ。多くの国内避難民が日本の他の場所で永住する権利を行使する可能性があることを認識することも重要である。これらの国内避難民は、この選択によって差別されるべきではなく、定住を可能にするために、その避難が「自発的」であるか「強制的」であるかに関係なく、平等な条件で支援と損害賠償を受けるべきである。
100.全体的な勧告として、特別報告者は日本政府に対し、『福島原発事故』により国内避難民となったすべての人々、特に避難を継続している人に焦点を当てた保護、人道支援、持続的な解決策について人権に基づくアプローチを断固として採用するよう要請する。
101.この根底にあるものとして、特別報告者は、すべての行政および立法政策とその実施において、「強制的」国内避難民と「自主的」国内避難民との間の差別的区別を完全に撤廃することを強く勧告する。
102.日本政府の人権に関する国際公約、『国内避難に関する指導原則』および『国内避難民のための持続的な解決策の枠組み』に沿って、特別報告者は、『福島原発事故』からの避難民が直面する特定の人権課題に対処するためにセクションⅤで行われた勧告を、繰り返し表明する。
これらの勧告は、私の訪日を支援してくれた市民団体によって日本語訳され、ウェブサイトに掲載され、冊子にまとめられ、裁判や大学の授業でも活用されていると聞きました。
国内避難民や福島原発事故の被災者の状況が依然として悲惨であるにもかかわらず、皆様が被災者の権利のために闘い続け、私の公式報告書をこの目的のために活用してくださっていることを知り、心温まります。
日本政府は報告書のフォローアップに同意すると表明しているにもかかわらず、勧告を受け入れておらず、状況の改善も見られていないと報告を受けています。日本の司法当局が、私が行った現地調査だけでなく、国際人権基準に則った国際法の解釈に基づく調査結果を事実上却下したことに、私は失望しています。
また、福島県は裁判において、「(国内避難民に関する)指導原則は、国連の単なる一委員会が作成した意見に過ぎず、条約や国際慣習法といった法源とはみなせない」とし、「報告書には法的拘束力はない」と主張したとの情報を得ています。これは、国際人権法に関する驚くべき誤った認識です。なぜなら指導原則は、強行規範(国際法上いかなる逸脱も許されない規範)と条約法に既に存在する、主に拘束力のある国際規範の複合的な枠組みであるという国際的な承認を反映していないからです。また、この認識は、国連特別報告者の勧告は確かに「勧告」と呼ばれていますが、それは現場の現実に基づいた国際人権法の実際の実施に基づく勧告であることを理解していません。
2023年8月に発表された国連人権とビジネスに関する作業部会の調査後声明では、救済へのアクセスと国内司法メカニズムに関するセクションの問題点が指摘され、裁判官と弁護士に対する広範な人権研修の義務化が強く勧告されました。私はこの提案に強く賛同します。
特別報告者は、国連人権理事会によって任命され、特定の国または問題における人権状況を調査、監視、報告し、勧告を行う専門家です。いかなる政府や組織からも独立した個人の立場で活動し、給与やその他の金銭的報酬を一切受けず、中立的な立場で職務を遂行します。特に、訪問を通じて、政府、民間セクター、NGO、そして被害者から得た情報を活用し、人権侵害に対処します。この制度の権限は、国連憲章に基づいています。
その勧告や意見は、日本も批准し履行義務を負っている人権条約を含む国際人権基準に基づいており、国際法を反映しています。
他の国々では、政府が特別報告者と対話を行い、その勧告を受け入れ、自国の人権状況を改善してきました。また、新たな国内法の起草に際して、特別報告者からの意見を求める場合もあります。実際、指導原則を具体的に認識し、国内法に組み入れる国が増えています。
日本は大規模な自然災害が頻発する国であり、誰もがいつ国内避難民になるかわかりません。14年前に発生した福島原発事故もそのひとつであり、原子力災害もそのひとつです。国内避難民が発生した場合、日本の人々の人権が保障され、尊厳ある生活が送れるよう確保することは、日本、そして国連加盟国としての第一義的な責任です。実際、日本は、福島県や関連自治体を含む政府、行政機関、司法機関、裁判所を通じて、国際法の下で履行すべき国としての責任を負っています。
福島原発事故による避難者の人権が確実に保護され、履行されることは、今や不可欠です。国内避難による影響は依然として続いています。実際、国内避難民に関する国際的な指針は、避難民が経験する人権問題が残っている限り、政府にはそれらの人権を保障する責任が存在し続けると明言しています。これは福島原発事故による避難者の場合も同様です。2022年の日本公式訪問で示された勧告は依然として有効であり、履行される必要があります。
ご清聴ありがとうございました。
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国内避難民の人権に関する元国連特別報告者 セシリア・ヒメネス=ダマリーさんのメッセージ(2025.6.15)
実行委員会よりお知らせです。
1.6月16日の最高裁ヒューマンチェーン&デモ行動当日のデモ隊列配置図を掲載します。
パソコンでご覧の方は、サムネイル画像をクリックすると拡大します(下の画像をクリックしても拡大しません)。
また、印刷に適したPDF版をご希望の方は、こちらからダウンロードできます。
2.当日、現地に来られない方のため、Youtubeによる動画配信を実施します。
上のQRコードから、正面ステージでのスピーチ等の様子をライブ配信するYouTube画像を見ることができます。ぜひご覧ください。
実行委員会からお知らせです。
6月15~16日に予定している行動の紹介記事が東京新聞に掲載されたのでお知らせします。
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「人間の鎖」で最高裁を取り囲み抗議しよう 福島第1原発事故の避難者ら、16日に訴訟判決めぐるイベント/東京新聞 2025.6.7付け
続いて、「6・17最高裁共同行動2025実行委員会」のコメントは以下の通りです。
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東電株主代表訴訟の東京高裁判決に抗議します
2025年6月7日 6・17最高裁共同行動2025実行委員会
東電株主代表訴訟で東京高裁(木納敏和裁判長、伊藤正晴裁判官、森剛裁判官)は6月6日、福島原発事故の東電旧取締役の責任を認め13兆3210億円の支払いを命じた一審判決を破棄する不当判決を言い渡しました。一度起これば大事故になる原発の設置者が過酷事故を防止するのは当然の義務であり、津波対策を講じなかった経営陣の「不作為」は決して許されるものではありません。ところが高裁は、まるで自然災害であったかのように人災の責任を曖昧にし、損害賠償も認めない暴挙に出ました。
木納敏和裁判長は巨大津波を予見した長期評価について、速やかに巨大津波対策工事を行う根拠としては十分ではない、旧経営陣らが当時の情報から津波の危険性に切迫感を抱かなかったのはやむを得ないと判断しました。これでは、予防原則に立った対策や原子力規制委による規制権限行使の意味はなくなり、仮に原発事故が起きても国も企業も誰一人責任が問われないことになってしまいます。
原告は「木納裁判長の言い訳のような言葉が続いた。『これからの原子力事業者にとって事故前と同じではだめだ』とも。ならばなぜ、あの過酷事故を起こした原子力事業者たちの取締役誰一人に責任がなかったと、そんな判決が書けたのか。それが本当に信じられないし、許せない」と怒りいっぱいです。弁護団は「具体的な危険が切迫していない限り安全対策をしないという姿勢では、次の重大な原発事故の発生を準備するもの」との抗議声明を発しました。
最高裁の顔色をうかがって公正・中立性をかなぐり捨てた東京高裁は思考停止状態で、改めて、原発事故は国の責任なしとした6・17最高裁不当判決の犯罪性が問われています。実行委員会は、東電株代訴訟の上告を支持し、6・17 最高裁判決で反対意見を提出した三浦判事の真っ当な見解に沿った審理・判断が行われるよう、最高裁に求めます。
<6・17最高裁共同行動2025実行委員会参加団体>
原発被害者訴訟原告団全国連絡会/福島原発刑事訴訟支援団/子ども脱被ばく裁判の会/原発避難者の住宅追い出しを許さない会/東電株主代表訴訟/東海第二原発運転差止訴訟原告団/止めよう!東海第二原発首都圏連絡会/建設アスベスト東京訴訟弁護団/建設アスベスト全国連絡会/原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)/「避難の権利」を求める全国避難者の会/避難の協同センター/原発被害者訴訟全国支援ネットワーク・首都圏連絡会/公害総行動実行委員会/東京地方労働組合評議会/たんぽぽ舎/ノーモア原発公害市民連絡会/宗教者が核燃料サイクル事業廃止を求める裁判原告団/原発事故からの復旧・復興を求める会/日本環境会議/女川原発の避難計画を考える会/安保法制違憲訴訟全国ネットワーク(順不同、2025年6月現在)