安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
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【福知山線事故16年】改めて「組織罰」について考える

2021-04-29 20:38:52 | 鉄道・公共交通/安全問題
《JR福知山線脱線事故16年》加害企業の刑事責任は?遺族・有識者が「組織罰」導入訴えブックレット出版(ラジオ関西)

《JR福知山線脱線事故16年》加害企業への「組織罰」は問えるのか?東電・福島原発事故 強制起訴裁判、関係者は語る(ラジオ関西)

新型コロナ感染拡大の影響で、関西では昨年に続き、今年もJR西日本主催の追悼の会が中止となった。この事故の検証がよほどいやなのか、「追悼の会」もセレモニー化させ、できるだけ早くに幕を引きたいとの思惑は、この間のJR西日本の姿勢から透けて見える。JRがプレスリリースする「公式発表」をなぞっているだけの大手メディアの報道からはそうは見えないであろうし、「JR西日本が何度も反省の意を示しているのに、そんな一方的な決めつけはひどい」と思う人もいるかもしれない。

しかし、当ブログが間近で見てきたJR西日本の姿勢からは、そんな反省、謝罪など口先だけの嘘っぱちにしか見えない。本当に反省しているなら、なぜ事故現場近くの「慰霊の園」や展示の写真撮影すらさせないのか。「遺族の意向」と言うが、誰がそんなことを言っているのか。少なくとも私の知る遺族、藤崎光子さんはそんなことは言っていない。

昨年、ノーモア尼崎集会の前日に訪れた「慰霊の園」で、私は公園管理者との間で撮影をめぐって散々やり合った。

 「なぜ撮影が禁止なのか。私は今まであらゆる大事故の現場に行ったが、どこも撮影自由だった。禁止はJR西日本だけだ」
 「他は関係ない。遺族の中に撮影してほしくないという人がいる」
 「どの遺族がそんなことを言っているのか。本当にいるなら今すぐここに連れてきてほしい。逆に、私の知る遺族は事故の起きた現場はできる限り公開してほしいと言っている。あなたが本当かどうか疑うなら本人に電話して、今すぐここに来てもらってもいい」
 「そんなことを言われても困る。とにかく禁止なので」
 「制服を見たところ、あなたはJR西日本の契約した警備会社の人のようだが、JR西は慰霊公園を訪れる人との応対などの重要な業務を警備員にやらせている。JRの社員とおぼしき人たちはあちらでさっきから掃除をしているが、本来なら逆ではないのか。なぜJR西日本の社員みずから慰霊の園の説明をしないで警備員にやらせているのか」
 「私は詳細を知りませんので、会社に聞いてください」

JR西日本とはつまるところこのようなクソ会社である。本当に事故を真摯に反省している会社ならあり得ない対応と思うが、いかがだろうか。

さて、そんなわけで福知山線事故から16年を迎えた。15年でもなく20年でもない、こう言ってはなんだが「中途半端」な年数であることに加え、会社主催の追悼行事が中止になったこともあり、例年になく追悼ムードに欠ける4.25となった。だがそれでも、先日お伝えしたとおり、中央のメディアでも事故16周年のことはきちんと報道された。

遺族のみなさんも集会や独自の追悼行事を開けなかった。大森重美さんらで作る「組織罰を実現する会」も、今年は例年のような行事を開けないので、「組織罰はなぜ必要か~事故のない安心・安全な社会を創るために」(現代人文社)と題したブックレットを作った。私も早速ネット経由で申し込んだ。この連休中にも届けば読みたいと思っている。

組織罰とは、責任や権限が分散し、運営が複雑化した現代の大規模組織(官庁や大企業など)の過失で事故や災害が起きた際に、法人に巨額の罰金刑を科する刑事罰法制のことである。責任や権限が分散しているため、大企業・組織ほど個人の責任は職務権限との関係で問いにくく、法人を罰する規定がないため企業も罪に問われない。こうした現状を正し、過失事故・災害の責任を巨額の罰金の形で企業に負わせようというものだ。

英国では、2008年に労働党政権下で「法人故殺法」が制定された。企業に対する罰金刑に上限を設けず、現実に生じさせた被害額に相当する額を賠償として企業に負わせることができる。この法律成立後、英国では公共交通機関の事故が3割も減少。法制定時、頑強に抵抗した英国産業連盟(経済団体。日本の経団連に相当)も「事故を起こさないことによって企業に信用が生まれ、かえってビジネスによい影響がもたらされた」として今では法人故殺法を承認している実態がある。

物事の表面をなぞっただけで本質など知る気もないネット住民を中心に、日本でも組織罰の法制化には否定論、反対論が多い。「高額の罰金刑が科せられれば、企業が訴追を逃れるため自社に不利な証拠を隠ぺいするようになり、かえって真相究明ができなくなる。むしろ司法取引を導入し、処罰しない代わりに原因究明に加害企業を協力させた方が、再発防止につながる」が反対論の主なものである。

そんなことは、事故以来今日までの16年間ですでに議論され尽くしている。福知山線事故被害者も、事故後はいくつかのグループに分かれた。当ブログ・安全問題研究会が把握しているだけでも、①JR西日本の責任追及は棚上げにし、JRと協力しながら再発防止に向け努力しようとするグループ、②あくまでJR西日本の責任追及にこだわるグループ、③「遺族中心の動きにはついて行けない」として生き残った負傷者だけで独自の行動を続けるグループ--の3つの潮流がある。①の中心が浅野弥三一さん、②の中心が「組織罰を実現する会」の大森さんや藤崎さん、そして③の中心にいるのが「JR福知山線事故・負傷者と家族等の会」の三井ハルコさんである。

②で責任追及を続けている人たちも、16年間の闘いの中、「JRが安全文化を身につけ、再発防止が徹底されるなら」と期待して①の人たちと一緒に再発防止に向け協力して動いた時期もあった。しかし、2008年に発生した運輸安全委員会の報告書事前漏洩事件や、遺族の前に一度も謝罪に出ず、刑事裁判でも無罪を主張し続けた井手正敬元会長の姿勢に絶望して、②の人たちは袂を分かつ決意をしたのである。JR西日本が口にする「反省」を本物と見るかどうかが決定的な分岐点だった(①の人たちも、おそらくJR西日本の「反省」を全員が本物と信じているわけではないと思う。JR西日本という巨大組織との長い闘いに疲れ、本物と信じることにした人たちも多くいるであろうことは付け加えておきたい)。

組織罰を実現する会がモデルとしている法人故殺法制定後の英国で、公共交通の事故が3割減ったことはすでに述べた。逆説的なようだが、組織罰制度は「安くない安全対策費を負担してでも、事故で賠償を払うのに比べれば安くつく可能性が高い」と企業に理解させ、安全対策をきちんと講じさせることに主眼が置かれている。つまり、組織罰法制は、発動させないようにするのが目的の法制度であり、逆に言えば、発動されるような事態が引き起こされれば負けなのである。

たかだか5千億円の津波対策費を出し渋ったために、福島第1原発が津波に襲われた結果、東京電力は現時点ですでに21兆円の賠償負担をしている。組織罰法制が日本にあれば、東京電力を21兆円の罰金刑に処し、その費用で国が被害者に賠償することができるわけだが、まともな思考回路を持った企業なら、そうなる前に5千億円の津波対策費を払うほうが安いと判断するだろう。そうした思考に企業を変え、事故を未然に防止させるのが組織罰制度の目的なのである。それゆえに組織罰制度は、発動されるような事態が引き起こされたらその時点で負けだと考えなければならないのである。

組織罰制度に反対している人はそのあたりの事情が分かっていない。証拠の隠ぺいをするような企業が出るから反対という人は、福知山線事故遺族の中で初めは①だった人が、②の立場に変わっていったのはなぜか考えてほしい。遺族がJR西日本の責任追及をあきらめてでも安全文化の確立に向け①の人たちと協力してきたのに、それが踏みにじられ、裏切られたという思いを抱いているからこそ②の立場に転じたのである。

組織罰を導入すれば、企業が証拠を隠ぺいする恐れは確かに検討すべき点のひとつだろう。それならば現在の原子力損害賠償法のように、過失責任の有無を問わない制度にすればよい。過失責任の有無にかかわらず、損害を発生させた時点でそれと同じ額の罰金刑が科せられるとなれば、証拠隠ぺいの意味もなくなる。仮に真相究明、再発防止ができなくても、JRや電力会社などの独占企業体は別として、一般の民間事業会社に対しては経営破たんして市場から追い出すという「最大級の制裁」を加えることができるのだ。

当ブログ・安全問題研究会は組織罰制度導入に賛成であり、そのために努力しているが、福知山線事故被害者のみなさんに対しては、①~③の立場の人すべてを協力対象と考えている。今後、それぞれ立場が異なっても、いろいろな協力要請があれば、①~③の立場の違いにかかわらず、すべてに応じるつもりでいる。

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【管理人よりお知らせ】ノーモア尼崎事故集会中止について、他

2021-04-27 22:13:24 | 鉄道・公共交通/安全問題
管理人よりお知らせです。

1.松木謙公候補当選! ご支援ありがとうございました

すでに報道でご承知の通り、4月25日投開票の衆院道2区補選は、当ブログ管理人が日本鉄道公団法案を託した松木謙公候補が当選しました。ご支援いただいたみなさまに厚く感謝申し上げます。当選しても松木さんの任期はわずか半年しかありませんが、当ブログ・安全問題研究会は、同法案の国会提出を各政党に働きかけていきます。

また、同日行われた参院長野選挙区補選、参院広島選挙区再選挙でも野党統一候補が当選しました。与党側は全敗を「想定外。広島では勝てると思っていた」とコメントしていますが、当ブログは広島在住の知人を通じて、選挙戦最終盤で「宮口治子さん(野党統一候補)優勢」との情報を得ており、その通りの結果になりました。

周囲をイエスマンばかりで固めた最近の首相官邸・自民党執行部を見ていると、明らかに情報収集能力が落ち、情勢評価も甘くなっています。当ブログのほうが、最近は正確に情勢評価できていると感じています。

2.「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る集会」は中止となりました

毎年、福知山線脱線事故の起きた4月25日周辺の日程で欠かすことなく開催されてきた「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る集会」は、関西における新型コロナの感染拡大を考慮した結果、今年はやむを得ず中止となりました。延期ではないので日程を再調整しての開催もありません。事故の起きた翌年、2006年にこの集会が始まって以降、中止となるのは初めてであり、大変残念ですがやむを得ません。

3.Youtube「タブレットのチャンネル」の更新(新動画投稿)を、今後は原則として行わないこととしました

当ブログの姉妹サイトであるYoutube「タブレットのチャンネル」への新規動画投稿を、今後は行わない方向にしたいと考えています。

すでにYoutubeは飽和状態で、最近は平凡な動画を投稿してもアクセスもされなくなっています。アクセスを稼ぐためには、よほどの工夫を凝らすか、奇をてらったものに編集することが必要ですが、当ブログ管理人にはそこまでの動機もモチベーションもありません。新型コロナの影響による外出自粛が長期化した結果、管理人の動画撮影能力も落ちており、最近は自分自身が撮影した動画のクオリティに納得できること自体がほとんどなく、撮影しては消去の繰り返しになっています。

自分には動画撮影の能力もなく、向かないと最近では考え始めていて、動画による情報発信は、得意な人やデジタルネイティブ世代に譲ろうと思っています。当ブログ管理人は、著書を出版したこともあり、やはり得意分野である文字での情報発信に集中すべきだとの思いも強まっています。

そういうわけで、今後、「安全問題研究会」チャンネルでは原発問題やJR問題の集会など一定の発信を続けますが、「タブレットのチャンネル」における鉄道動画の更新は、当分の間、しないことに決めました。多くの方がチャンネル登録していることを踏まえ、チャンネル自体は消去せず残しますが、管理人自身によほどこの分野に関する前向きな心境の変化がない限り、更新再開も考えられない状況なので、今後は過去に投稿済の動画のみでお楽しみください。

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【JR福知山線脱線事故16年】遺族の藤崎さんから久しぶりの電話

2021-04-25 23:12:49 | 鉄道・公共交通/安全問題
JR福知山線脱線事故から16年 遺族たちが犠牲者を追悼(NHK)

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107人が死亡したJR福知山線の脱線事故から25日で16年となりました。新型コロナウイルスの影響で、追悼慰霊式は2年連続で中止され、遺族たちはそれぞれの場所で祈りをささげました。

(中略)

●長女を亡くした藤崎光子さん

脱線事故で当時40歳だった長女を亡くした藤崎光子さん(81)は、自宅近くで取材に応じ「『年月が悲しみを癒やす』というのはうそだ。年月がたてばたつほどつらさは増し、悲しい思いの中で生きていくのが事故のあとの人生だ。今でも、娘の『なぜ私は殺されたの』という声が聞こえる。食事をしていても、『なぜ私はそこにいないの』という声が聞こえる。JR西日本には、安全な会社になってほしい。私のような遺族を生まないでほしい」と話していました。
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日曜日の昼、何気なく見ていたニュースが福知山線事故16年のニュースを報道しているのを見て、改めて、ああ、今日は「この日」だったな、と思い出す。新型コロナウィルスの感染拡大が続き、「○○祈念の日」などの節目の感覚も鈍くなっており、よくない傾向だと気を引き締め直す。

ニュースを見終わり、一息ついたところで電話がかかってきた。遺族の藤崎さんからだ。事故当日は現場を訪れ献花したり、講演活動に呼ばれたりするなど忙しい藤崎さん。事故が起きた4月25日の当日に電話がかかってくるのは初めてのことだ。新型コロナの影響で講演や追悼などの行事が中止になったせいだろう。

「午前中まで、マスコミの取材に応じていました。あなたのお連れ合いさんから写真立てをいただいたので、それに娘の写真を入れて取材に応じたんですよ」と言う。ちょうど、妻とその話をしていたところだった。夕方のNHKニュースで改めて福知山線事故16年のニュースが放映されたが、その際には写真立てに入れた娘さんの写真を持ってコメントする藤崎さんの姿が映し出された。

藤崎さんには、今後に役立ててもらえるよう、当ブログ管理人の共著「地域における鉄道の復権─持続可能な社会への展望」を1冊献本した。当ブログ管理人は、本文2節の他にコラムも1本、執筆を担当しており、「組織罰を実現する会」が取り組んでいる「組織罰」法制化運動と併せて藤崎さんを紹介している。鉄道や原発などで大事故が起きているのに、「大企業ほど責任と権限があちこちに分散しているため特定の個人には責任を負わせられず、かといって組織を裁く法律もないため法人も処罰できない」という理由で誰も責任を取らず、被害者だけが泣き寝入りしなければならない「後進国・日本」はいつまで続くのか。こういう無責任さが、今回の新型コロナでも「どうせ誰の責任も問われないのだから適当に“やってる感”だけ見せておけばいい」という惨劇につながっているのだ。想定される範囲できちんと安全対策を取らなかった経営者、政策責任者が刑事責任を問われる仕組みを作らないと、有事のたびに同じことが繰り返される。無責任の連鎖に終止符を打つため、当ブログも可能な限り藤崎さんに力添えをしていきたいと考えている。

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【北海道2区補選】松木謙公候補の事務所に「日本鉄道公団法案」を手交、公約化を依頼しました

2021-04-18 18:47:08 | 鉄道・公共交通/交通政策
アキタフーズからの献金で吉川貴盛元農相が議員辞職したことを受けて、北海道2区の補選が13日に告示された。これに先立つ4月10日、安全問題研究会は札幌市北区にある松木けんこう候補(立憲)の事務所を訪れ、日本鉄道公団法案及び関連資料を直接、事務所関係者に手交。当選したらこの法案の国会提出~成立を松木候補の公約としてほしい、と伝えた。

松木事務所は告示前、事務所開きの準備中とあって本人、秘書はもちろん、関係者も数人だけという状況だったが、コロナで密を避ける上ではかえってよかったと思っている。応対していただいたのは、勝部賢志参院議員の秘書の方。「政治家は選挙が忙しく、政策を勉強する時間がなかなか取れない状況にある」と日本の政治家を取り巻く現状を嘆きつつも「本人に渡し、勉強してもらうようにしたいと思います」との力強い言葉をいただいた。

実は、この秘書は、昨日の記事で報じた「北の鉄路守ろう! 根室本線は北海道の幹線! 災害復旧と存続を求める札幌集会」に参加しており、当研究会の発言も聞いていた方なので、話が早かった。「支援者の方からいろいろなアイデアをいただきますが、政策を実際に法案の形にしてご提案いただくというのは今まで聞いたことがありません。ここまで立派な形の法案に仕上げるのは、議員でもなかなかできないことです」とお墨付きをいただいた。

松木けんこう候補は、衆院議員だった2017年2月9日の衆院予算委員会で、麻生太郎副総理兼財務相から「例の答弁」を引き出したことで知られる。当日の国会会議録から改めて質疑内容を確認してみよう。

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松木議員 先ほど、局長さんからJRの安定基金のお話をお聞きいたしました。具体的に、宮沢喜一元総理が大蔵大臣を務めておられるときの答弁で、繰り返しになるんですけれども、今のマイナス金利時代というのは、多分、宮沢先生というのはすごく頭のいい方だったんですけれども、そうですよね、麻生先生。そうでもなかったですかね。まあまあ、そんなことはないと思う。非常に聡明な方だったと思うんですけれども、その方でもやはり予想できなかったということだと思うんです。

 麻生副総理、この宮沢大蔵大臣の答弁を振り返って、どのような感じに御感想を持たれるか、もしよかったらちょっと。御薫陶を受けられていると思いますので、よろしくお願いします。

麻生国務大臣 薫陶を受けたことは全くないんですけれども、この話は、国鉄という商売のわかっていない方で、やはり学校秀才が考えるとこういうことになるんだという典型ですよ。

 ちなみに、松木先生、僕は北海道のことを詳しいわけではありませんが、JR九州の全売上高がJR東日本品川駅の一日の売上高と同じ。はい、知っていた人は。ほとんど知りませんよね。JR四国は幾らですかといったら、田町駅と同じなんですよ、売上高が。一日の売り上げだよ。それは勝負になりませんがな、そんなもの。だから、あとのところは大体、推して知るべし、もっと低いと思ってください。

 そこで、商売が成り立って、七分割をして、七分割というのは、貨物も入れて七分割して、これが黒字になるか。なるのは三つで、ほかのところはならないと当時からみんな言っていたんです。鉄道関係者なら例外なく思っていましたよ。分割も反対、みんな突っ込みでやるべきと。分割、分割と言った人は自民党の中にもいたし、野党にもいっぱいいたんですよ、あのころ。経営がわかっていない人がやるとこういうことになるんだなと思って、僕は当時力がなかったので、今だったらとめられたかもしれぬなと。つくづくそう思って当時聞いていた記憶が私はあるんです。
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議員在職中、麻生副総理兼財務相から国鉄の民営化はともかく、7分割は誤りだったと認める答弁を引き出した。これは大きな功績である。安全問題研究会は、この経緯を知っているからこそ、他の誰でもなく松木候補に日本鉄道公団法案を手渡そうと考え、それを実行したのである。このような問題意識を持っている議員なら現在のJRのあり方を変えてくれるかもしれないし、そうあってもらわなければ困るのである。

松木候補は、新型コロナウィルスの感染拡大に右往左往するだけで、何もできず、目先の利権の維持に汲々とするばかりの腐りきった自公政権からの根本的転換を願う人々の期待を背負い、野党共闘候補として立候補している。自民党が失った議席を使って松木さんを国会の場に戻すことが、日本社会を変えるために必要だ。

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「北の鉄路守ろう! 根室本線は北海道の幹線! 災害復旧と存続を求める3.23札幌集会」開催

2021-04-17 19:01:01 | 鉄道・公共交通/交通政策
(この記事は、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」2021年5月号に発表した原稿の一部を掲載しています。)

 「北の鉄路守ろう! 根室本線は北海道の幹線! 災害復旧と存続を求める札幌集会」が3月23日、札幌市内で開催。ソーシャルディスタンスを確保しつつ、81人が全道から集まった。本来であれば昨年3月に開催予定だったがコロナ感染の急拡大で11月に延期、11月も直前に再延期された。この間、路線廃止反対の市民がコロナで動きを取れないでいるうちに、日高本線の廃線が決定(4/1付廃止)するなど、待ったなしの情勢だった。

 ●国の責任認めさせる

 主催団体「根室本線の災害復旧と存続を求める会」(根室本線の会)の平(ひら)良則代表が「2016年の台風災害に便乗した鉄路廃止・バス転換は、国鉄民営化当時の国会決議無視であり許されない」と開会あいさつ。1986年11月、国鉄分割民営化関連8法案の可決成立の際の付帯決議では、JR各社の「輸送の安全の確保及び災害の防止のための施設の整備・維持、水害・雪害等による災害復旧に必要な資金の確保」を求めている。

 池本柳次北海道議会議員(民主党・道民連合、元国労中央本部青年部長)は「青函トンネルを介して、本州、四国、九州へと人と物が安全にして大量に正確に運ばれた。日本の経済発展の原動力としての役割を鉄道は果たしてきた。その鉄道を分割民営後は、赤字路線という表現で片っ端から廃止をする。そんな事態を招いた分割民営化は失敗だったと国に認めさせよう」と、国の責任を追及し、国の責任で路線を維持させる地元からの決意を表明した。

 武田泉北海道教育大学札幌校准教授は、「改正」のたびに減便、廃駅、終電繰り上げが繰り返され、不便になっていく北海道内のJRダイヤを告発。わざと列車を不便にして乗客が減るように仕向け、廃線への布石にしようとしていると指摘。公共交通事業者としての責任を放棄するJR北海道を批判した。

 根室本線の会の佐野周二事務局長(元国労帯広闘争団長)は「冬こそ鉄道というイメージがあった。国鉄時代は少々の雪は何とか対応できた。今は安全のためといえば聞こえはいいが、ちょっとの雪ですぐ列車を止めてしまう。除雪要員を確保できていないからだ」と自身の国鉄時代の体験を踏まえ指摘。「根室本線がなくなるのは自分の身体が切られるのと同じ。何としてもオール北海道で鉄路を守りたい」と述べた。

 道内の各政党からは、畠山和也前衆院議員(共産)、浅野隆雄社民党道連幹事長、木山誠二新社会党札幌総支部書記長が連帯のあいさつをした(余談だが、立憲、社民両党の合流に当たって、社民党北海道連は立憲への合流はせず社民として残ることを決めている)。

 ●自治体騙し廃線狙う

 各界からのアピールでは、筆者も安全問題研究会代表として登壇した。「政治家も官僚も国民のための立法作業をしないなら、市民自ら対案を示すことも必要と考え、JRを全国一社に統合し再国有化するための法案を作成、公表した」と再国有化に向けたプランを披露。「日本より一足早く新自由主義時代に入った英国では1970年代に廃線にしたローカル線を復活する動きが出ている。新型コロナで失業した人の雇用の受け皿として廃線を復活させる計画だ」。労働集約型産業である鉄道で新たな雇用を作っていく英国の注目すべき動向を紹介しながら民営化見直しを訴えた。

 夕方の通学時間帯の列車をわざわざ減便にするJR北海道の姿勢に疑問と憤りを抱いた高教組組合員の教師らが調査したところ、廃線が狙われている留萌本線を通学に利用する多くの生徒がいることがわかった。高教組が沿線自治体首長に行った要請で「JRからは鉄道で通学する生徒はいないと聞かされていたので驚いた」と打ち明けられたことを高教組組合員は報告した。道民の生活の足である留萌本線を、沿線自治体にウソをついてまで廃線にしようとしているJR北海道の実態が暴かれた。

 集会は、路線維持を求めるアピールを採択。団結ガンバローで閉じた。

 ●JR支援延長決定

 経営危機のJR北海道、四国、貨物3社に対しては、民主党政権下の2010年に10年限りの経営支援策が決められた。菅政権は、この3月で期限切れの予定だった支援策をさらに10年延長するため国鉄清算事業団債務等処理法の延長法案を今国会に提出。3月26日、全会一致で可決成立した。

 延長法には、従来からの安全投資や観光振興などに加え、北海道・四国両社にとって重荷になっていた青函トンネルや瀬戸大橋の事実上の上下分離(維持管理の国への移管)、債務の株式化による追加出資と債務削減などが盛り込まれた。だが問題の根本原因である分割民営化体制には全く手を触れず、赤字のつど税金を投入するだけの問題先送りに過ぎない。

 集会で発言があったように、鉄道危機は歴代自民党政権が新自由主義政策によってみずから作り出したものだ。危機克服には抜本的な政策見直しが必要だ。


あいさつする畠山和也・前衆院議員


団結ガンバローで廃線阻止の決意を示す参加者

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鹿児島県南大隅町長選挙が18日投開票 核のごみ受け入れ推進派の当選阻止を!

2021-04-15 19:03:43 | 原発問題/一般
ギリギリになってしまったが、4/18(日)、鹿児島県大隅半島の最南端にある南大隅町で、町長選挙の投開票が行われる。現在は選挙戦の真っ最中だ。

この南大隅町、福島原発事故以前から高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分場の受け入れが狙われている。受け入れ推進派の汚い裏工作の実態が、2013年のTBS報道特集で暴かれ、大きな反響を呼んだ。

このときに処分場受け入れを表明した森田俊彦町長が今回、出馬せず引退する。選挙は3人が立候補しており、そのうちの1人が堂々と受け入れ推進を掲げて立候補している。呆れたことに、核のごみを受け入れた市町村に交付される交付金を使い、町民全員に30万円を配ると公約、白昼堂々の「町民買収宣言」である(サムネイル画像参照)。

こんなふざけた候補者の当選を許し、大隅町が核のゴミ捨て場になるような事態を許してはならない。「田中慧(けい)」候補にだけは絶対に投票しないよう、この記事を見た人で南大隅町民の知り合いがいたら働きかけてほしい。

なお、2013年4月27日に放送されたTBS「報道特集」を臨時にYoutubeにアップしている。推進側の手口を1人でも多くの人に知ってほしい。

【早めにご覧ください】2013.4.27 TBS報道特集「南大隅町核廃棄物処分場計画の実態」

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