安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

公共交通と原発を中心に社会を幅広く考える。連帯を求めて孤立を恐れず、理想に近づくため毎日をより良く生きる。

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●管理人の寄稿
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核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

●安全問題研究会が、JRグループ再国有化をめざし日本鉄道公団法案を決定!

●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

【管理人よりお知らせ】新規カテゴリを設置しました

2014-04-30 22:55:43 | 運営方針・お知らせ
2012年10月以来、1年半ぶりにカテゴリ再編(新カテゴリ追加)を行ったのでお知らせします。

新しいカテゴリとして、「書評・本の紹介」を設置し、過去に書いた書評や本の紹介記事をこのカテゴリに移しました。

このカテゴリは、当ブログ管理人が発行に協力した図書の他、管理人が当ブログ読者向けに紹介したい図書を取り上げるためのものです。従来、本の紹介や書評は、「原発問題」「鉄道・公共交通安全問題」など問題の性質ごとに各カテゴリで扱ってきましたが、特に原発事故以降、当ブログで取り上げる図書が増えたことにより、次第に管理人にとっても過去の書評や本の紹介記事を探すのが困難になってきました。当ブログで紹介した図書は、ネット外でも友人・知人に紹介する機会や、当ブログ以外の媒体で書評を書く機会が多く、その際、先に執筆した当ブログの書評・本の紹介記事を検索しにくいため、管理人は実務上の不便を抱えていました。極めて個人的な事情ですが、こうした不便を解消するため、書評・本の紹介記事を別カテゴリに分離することにしたものです。

出版不況といわれる中、政治的内容を扱った図書の出版は、一時低迷していましたが、原発事故や特定秘密保護法制定などを受け、少し盛り返してきているように思います。開設から8年目を迎え、当ブログがきっかけで管理人が図書の発行に協力(資料提供・取材対応など)するケースも出てきました。それに伴って、当ブログで書評・本の紹介記事を書くことも増えると思います。

今後ともよろしくお願いします。

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【書評】リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」

2014-04-29 23:28:24 | 書評・本の紹介
リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」(集英社新書)

昨年、JR東海の発表したリニア中央新幹線計画は、全国新幹線鉄道整備法(全幹法)に基づく整備計画路線として認可され、いよいよ今年から着工へ向けた準備作業が始まることになる。リニア新幹線計画を止めるなら、事実上、これが最後のタイミングだ。本書はそうしたタイミングを捉えて出版されたリニア計画全面批判だ。

リニア中央新幹線計画に批判的な長野県飯田市議会議員から当ブログ管理人宛に「地元ではリニアに関し、全くものがいえない状態」というメールが送られてきたこともある。リニア計画に対する批判は、どうやらこの国にとって、3.11以前の原発同様「完全なタブー」のようだ。極端な言い方をすれば、3.11以前の原発と同様、リニアに批判的な人は村八分にされるか、頭がおかしいと思われる。そうしたファシズム的状況が社会を覆っている。大手メディアはもちろん、週刊誌にすらリニアに対する批判記事が載ることはない。それだけに、本書が出版されたことは大変貴重といえる。

本書を読めば、リニアが百害あって一利なしということが良く理解できる。現在の東海道新幹線の乗客の8割がリニアに転移したとしても、建設費を償還できるかどうかは微妙。国土交通省の審議会とJR東海が「お手盛り」で見積もった需要予測は、なんと「全列車全車両満席」が前提になっているというから、驚きを通り越して呆れてしまう。現在の東海道新幹線すら座席使用率は8割、しかもこれから人口減少社会が待っているというのに…。

全行程の8割がトンネル内で車窓もろくに楽しめず、電磁波の身体への影響を心配しながら乗車し、東海道新幹線なら新大阪まで乗り換えなしで行けるところをわざわざ名古屋で乗り換えなければならないリニアに、東海道新幹線の乗客の8割もが転移するなんてことがあるわけがない(どうしても転移させたいなら、東海道新幹線の東京~名古屋間を廃止するくらいの荒療治をやらなければならないだろう)。

本書では、さらに驚愕の事実が明らかにされる。JR東海社長みずから、定例記者会見で「(リニア中央新幹線は)絶対にペイしない」と発言したというのだ。だとすれば、この計画は、誰が何のために進めているのか。ここまで来ると全くわけがわからないが、思えばこうした「意味不明な金食い虫公共事業」は八ツ場ダムに典型的に見られるように、これまでもあちこちにあった。アベノミクスは明らかにこうした「昭和型公共事業」復活を目指しており、「新幹線はいらないけど新幹線工事は欲しい」「高速道路はいらないけど高速道路工事は欲しい」という人たちに向けた政治的ばらまきとして、この中央リニア新幹線計画もまた位置づけられていると考えるべきだろう(昨年末、2014年度予算の財務省原案が決定する直前の国土交通省1階ロビーで、公共事業を求める「背広に鉢巻き姿の業界関係者」が「エイエイオー」と拳を振り上げていた、という話まであるくらいだ)。

著者の橋山禮治郎氏は極めて冷静に、データを示して論証しながら、中央リニア計画を「失敗が決定づけられているプロジェクト」と断ずる。その上で、リニア方式をやめ、従来型新幹線方式で中央新幹線を建設してはどうか、と提案している。当ブログ管理人はその見解に全面的に同意する。奇しくも今年でちょうど開業から50年を迎えた東海道新幹線は老朽化が進む。民営化後は国鉄時代のような「リフレッシュ運休」も行っておらず、運行の安全面はかなり危機的な状況にある。酷使が続いている東海道新幹線の「代替路線」を確保する意味からも、また近い将来襲来が噂される南海トラフ地震によって太平洋沿岸の輸送が途絶する事態を避ける意味からも、中央新幹線で東京~大阪を結んでおくこと自体は有意義なことだと思うのだ。「ネットワークとしての既存の鉄道路線網を有効活用せよ。従来の鉄道網のどことも接続できないリニアは鉄道ネットワークを破壊する」という橋山氏の主張に、改めて鉄道関係者としての深い見識を見る思いがする。

本書の中で、橋山氏はさすがにここまでの指摘はしていないが、私は、青森から鹿児島中央までが新幹線で結ばれた今、そろそろ新幹線を貨物輸送にも活用したらどうかと思っている。新幹線を活用できれば、「その日の朝、大間で揚がったマグロを新鮮な状態のまま、昼に都内の料亭で食べる」などという、現在ではほとんど不可能なことが可能になる。過労運転で疲弊しきっているトラック業界の労働条件改善の一助にもなるだろう。

「新幹線で、軸重の大きな機関車牽引方式の列車の高速運転なんてできるのか」という疑問をお持ちの方もいるかもしれないが、すでに技術面では克服されている。東海道本線で1日1往復、運転されている貨物電車「スーパーレールカーゴ」JR貨物M250系電車を標準軌化し、交流25000V、50/60Hz共用に改造するだけですぐにも新幹線に投入できるだろう。電車方式で超高速貨物輸送を行う先例を世界で初めて作れれば、「貨物列車は機関車牽引方式が当然」という世界の鉄道界に衝撃を与えることができる。リニアなどよりそのほうがよほど私には価値のあることだと思うが…。

このように考えると、国鉄分割民営化から27年という時の流れを改めて強く感じる。新幹線を貨物輸送に使うことができれば、新幹線は旅客輸送、在来線は貨物輸送というJR発足時の前提条件も大きく変わる。現状の旅客6社+貨物という枠組み自体、意味を成さなくなり、この点からも限界に達したJR体制は再編が避けられないだろう。

いずれにせよ、本書は難しい技術論争の隘路に迷い込むのではなく、技術的知見を持たない一般市民にも理解できるよう、経済性(費用対効果)や環境問題の観点からリニア計画を論証している。本書を読めば、リニア計画の無謀さは余すところなく理解できるであろう。

2014年、JR体制との最大の攻防は北海道の安全問題とリニア建設問題である。いずれもJR体制の根幹に関わる問題だ。当ブログと安全問題研究会は、本書を「推薦図書」に指定するので、ぜひこの本を読んでほしいと思っている。

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台湾、市民の抗議行動で原発建設凍結へ

2014-04-28 22:53:36 | 原発問題/一般
台湾が第4原発の建設を凍結、住民が反原発の大規模デモ(ロイター)

台湾で、住民の反対運動によって原発建設が凍結される見込みとなった。凍結となるのは第4原発で、主要な部品は日本製だ。台湾の市民は、単に自国の原発の建設を凍結させたのみならず、日本の原発輸出政策も「粉砕」したことになる。

記事にもあるように、台湾では、第4原発の建設に反対する数万人規模のデモが続いていたほか、野党・民主進歩党の元党首が「死を覚悟」の無期限ハンストに突入するなどしていた。こうした市民の闘いが原発建設を阻止する力となったのである。

強調しておかなければならないのは、台湾では反原発運動以外にも、学生が中国本土との経済協定に反対し、国会を占拠して座り込むなどの闘いが続いていたことである。原発に限らず、反市民的な政権に対するこうした全面的な闘いが、国民党・馬政権を窮地に追い込んでいったのだ。

日本では、首相官邸前金曜行動が今週でいよいよ100回目を迎えるなど息長く続けられている。東京で数万人規模の集会・デモを成功させた昨年末の秘密保護法反対闘争に続き、今は解釈改憲反対・集団的自衛権反対で市民の結集が生まれつつある。だが、日本で市民の希望する政策が実現しないのは、政権を弱体化させる闘いがまだまだ台湾より弱いからだ。

台湾の運動が私たちに教えていることは、脱原発という私たちの主張を支配層に受け入れさせるためには、まず第1に政権を弱体化させることが必要であり、そのためにはあらゆる課題で政権と闘わなければならないということである。国境なき記者団が発表した報道の自由度指数で、日本は福島原発事故以降順位が急落を続け、ついに台湾を下回った。このように考えると、報道の自由度指数は、案外、その国の市民の「闘い方度数」を反映しているようにも思う。

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<安全問題研究会声明>JR福知山線脱線事故9周年に関する声明

2014-04-26 23:15:36 | 鉄道・公共交通/安全問題
<安全問題研究会声明>9回目の「4.25」を迎えて~JR体制崩壊のカウントダウンが始まった 今こそJR再編、再国有化へ総力結集を


 乗客・乗務員107名が犠牲となったJR福知山線脱線事故から4月25日で9年を迎えた。安全問題研究会は、今年も尼崎市現地での追悼行動に参加するとともに、「ノーモア尼崎事故! 生命と安全を守る4.19集会」においてJR北海道問題に関する報告を行った。9回目の追悼の日を迎え、改めて犠牲者に哀悼の意を表するとともに、今なお治療過程にある負傷者にお見舞いを申し上げる。

 この1年間は、「分割民営化」から27年を迎えたJR体制の矛盾が、ついに「最終的解決」に向け爆発を開始した年であった。JR西日本歴代3社長の強制起訴裁判を不当きわまる「全員無罪」の反動判決で抑え込もうとする支配層の野望とは裏腹に、JR北海道の車両や施設・設備の安全崩壊は覆いがたいものとして市民の前にさらけ出された。保線に拠出するカネもなく、次々に列車が脱線していくJR北海道を尻目に、JR東海は援助を行うどころか、9兆円もの資金を自前で拠出してリニア建設に向け暴走し始めた。しかも、豪雨で長期不通になったままの名松線の復旧費をすべて地元自治体に押しつけた上でのリニア建設だ。石破自民党幹事長は昨年11月、「JR北海道は誰が経営しても無理だ」と述べた。分割民営化を仕掛けた自民党自身がJR体制再編の可能性に言及せざるを得ないほど、事態は重大局面を迎えている。

 JR体制からの民心離反も深刻だ。4.25を前にメディアが行った世論調査によれば、福知山線脱線事故遺族の6割がJR西日本を「安全優先とは思わない」と回答。同じく遺族の7割が「社長の無罪判決に納得できない」と回答、JR・司法を断罪した。

 企業犯罪に対し、組織に罰則を与える「組織罰」制度については、遺族の6割が導入に賛成と回答した。今年2月には、福知山線事故の遺族が「組織罰を求める勉強会」を立ち上げ、導入に向けた最初の一歩が始まった。すでに、福島第1原発事故の責任追及のため、政府・東京電力関係者を刑事告訴して闘っている福島原発告訴団と福知山線事故遺族とは日常的に情報交換をしている。「企業が世界一活動しやすい国」というアベノミクスの旗の下、無法の限りを尽くすグローバル企業に適切な制裁を科せるようにすることは、今や自民党と経済界を除く全国民の悲願である。

 今年4月、東日本大震災で甚大な被害を受けた三陸鉄道が3年ぶりに全面復旧したが、その復旧費には全額、国の補助金が充てられた。この背景には、2007年に制定された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」(地域交通活性化法)があり、赤字鉄道事業者が上下分離を実施しやすくなる体制がこの法律により整えられた。現在国は、公益性の高い鉄道事業者とはいえ、民間事業体に対して税による全面補助はできないとの姿勢を崩していないが、三陸鉄道は、あらかじめ鉄道施設を自治体に譲渡していたため、全額補助金による復旧が可能となったのである。

 国民を切り捨て我が物顔で振る舞う企業から、鉄道をはじめとする公共交通を「公共財産」として取り戻すことの重要性をこの事例は教えている。最も経営困難な地方の中小私鉄から始まった「民から公へ」の試みは、幾多の消長を繰り返しながらも今後、地域が主体となって公共交通を取り戻す動きとして揺るぎないものとなるだろう。

 分割民営化から27年――多くの鉄道労働者を解雇・自殺に至らしめ、おびただしい乗客の命を奪った「国鉄改革」について、政府・自民党にもJRにも反省は全く見られない。しかし事実がすべてを語る。JR北海道で次々と列車が脱線していく一方で、公共財産として未曾有の災害から復旧を遂げた三陸鉄道――「官から民へ」に象徴される民営化路線は、少なくとも鉄道・公共交通に関する限り、無残に敗北したのである。

 2014年、私たちは引き続き重大な課題に直面している。1つには、JR北海道に安全を取り戻す闘いである。安全崩壊が民営化と地域分割に起因している以上、JR体制の再編は不可避である。私たちは、昨年秋の東京団結まつりにおいて呼びかけられたとおり、当面の緊急課題として、技術の継承を不可能にする外注化をはじめ合理化を直ちに中止し、運転・施設を問わず経験豊富な職員を大幅に増員すること、また、国鉄分割民営化の際の労働組合差別を反省して各組合を平等に扱い、安全を求める声に耳を傾けるよう強く求める。その後の究極的な課題として、信楽高原鉄道事故(1991年)以来の鉄道事故は分割民営化路線がもたらした必然的なものである以上、破綻した分割民営化を改め、全国を一体的に運営する公共鉄道機関の復活・JRの再国有化を重ねて要求する。また、この闘いのため、労働運動を再生させることも不可欠の課題だ。

2つ目は、JR東海が強力に推進するリニア建設を中止させる闘いである。すでに橋山禮治郎氏が指摘しているとおり、リニアは過大な需要予測に基づいており、過去、ゼネコン主導で繰り返された無駄な公共事業と同じ経過をたどっている。環境破壊も伴う失敗必至のプロジェクトであり、福島第1原発同様、国策として失敗時には国民にツケが回される。求められているのは人口減少時代に即した小回りの利く交通機関であり、間違ってもリニアでないことを、当研究会はこれからあらゆる場で暴露していく計画だ。

 3つ目の課題は組織罰制度の導入と、国鉄を葬った政府、自民党、経済界の責任を追及する闘いである。地域交通活性化法の制定は、国による国鉄「改革」のなし崩し的修正であり部分的否定に他ならない。最大の責任者である国のごまかしを許さず、責任を追及することが必要だ。

 27年前、矛盾と危険をはらんだままごり押しされた国鉄「改革」と、それによって生み出されたJR体制は、どの面から見ても限界に直面しており、これから数年で再編に突入するだろう。当研究会は来るべき時代に備え、「民から公へ」を基本とする公共交通とJRの再編に向けた諸活動をいっそう発展・強化させるため、今後とも奮闘する決意である。

 2014年4月25日
 安全問題研究会

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【転載記事】韓国の大型客船沈没事故の背景に「命より利益優先の非正規化」

2014-04-24 20:53:54 | 鉄道・公共交通/安全問題
韓国の大型客船「セウォル号」沈没事故からすでに1週間近く経つが、この事故の背景に「船員の大量非正規化」があることがわかってきた。驚くべきことに、船長まで非正規職員(契約社員)だったという。賃金も安い非正規職では、乗客に対する安全上の責任など芽生えようはずもない。

日本では、公共交通でここまでひどい非正規職化は行われていないが、乗務員以外の非正規化(保線職員など)は進行しており、JR北海道の保線の安全崩壊の背景に非正規職化がある。日本でも決して他人事ではない。

以下、「レイバーネット日本」に転載された韓国のニュースサイト「チャムセサン」の記事を引用する。

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原文(チャムセサン)はこちら

不安な大韓民国、生命に直結する業務に大量の「非正規職」

災難救助隊、鉄道保守、操縦士も非正規職...安全脆弱救助を生産

ユン・ジヨン記者 2014.04.23 12:11

セウォル号の沈没と共に、韓国政府の「安全イデオロギー」も一緒に海の下に沈没してしまった。 今回の事件を契機として政府の不十分な災難管理システム、事件隠蔽疑惑、不十分な対処などが俎上に上がり、これまで朴槿恵政権が掲げてきた「安全社会」という旗じるしの虚構の素顔があらわれた。

特にこれまで政府は国民の安全、生命に直結する核心業務を不安定な雇用の形態で拡散してきたため、「安全」への不安感はさらに増幅されている状況だ。 セウォル号の非正規職雇用が安全に弱い構造にしたという事実があらわれ、今後、国民の生命に直結する多くの業務の非正規職雇用への改善の要求も続きそうだ。

不安な大韓民国、生命に直結する核心業務にも大量の「非正規職」

セウォル号沈没惨事の過程で言論を通じ、船長をはじめとする核心乗務員の多くが大挙非正規職として雇用されていたという事実がわかった。 安全および対応管理に脆弱だったセウォル号の非正規職雇用の形態が今回の大惨事を大きくしたという指摘だった。

実際、セウォル号の全乗務員のうち非正規職は15人で、全体の半分以上を占めていた。 非常状況になった時、乗客安全と救助などの責任があるセウォル号の総指揮者格の船長は1年契約職だった。 機関部、甲板部などの核心乗務員人員の70%も非正規職だった。

しかしセウォル号の惨事でわかった安全核心人員の非正規職雇用は氷山の一角でしかない。 飛行機の操縦士や鉄道施設の維持補修、バスの運転手などをはじめ、災難救助隊のような国民の安全や生命に直結する核心業務がすでに非正規職で埋められている状態だからだ。

これまで労働界や市民社会は、安全、生命に直結する核心業務での正規職雇用を要求してきた。 国民の足である船舶や飛行機、バス、鉄道などの交通手段は、大惨事を呼び起こしかねないので、雇用の安定を通じ、安全性や専門性を確保しなければならないためだ。

それでも巨大航空会社の操縦士と乗務員、鉄道維持補修業務、バスの運転手などは多くが不安な非正規職の身分だ。 大韓航空では、すでに11年前の2003年から外国人操縦士を非正規職として採用してきた。 外国人用役業者を通じて人員の供給を受ける方式だった。 その後、外国人操縦士に対する不法派遣の疑惑が起き、雇用労働部から何度か不法派遣と指摘された。

だが大韓航空側はこうした議論にもかかわらず、政府に操縦士と乗務員にも派遣を認めるよう要求した。 会社側は昨年6月、徐昇煥(ソ・ソンファン)国土交通部長官に対し、操縦士と客室乗務員にも派遣を認めるように派遣法改正を建議した。 2012年末基準で大韓航空の全操縦士は2224人、客室乗務員は5708人だ。 操縦士の約15%は非正規職外国人操縦士だ。

安全に脆弱な構造に...操縦士、鉄道保守、災難救助隊も非正規職

鉄道公社も鉄道安全の核心業務の維持、保守業務をすべて外注化した。 これにより鉄道施設の維持補修業務を遂行する労働者は、外注業者の非正規職労働者で満たされた。 線路保守外注業者のコレイルテックに所属する労働者のうち非正規職の割合は96%に達する。 その上、2011年12月、コレイルテックの安全無視で労働者5人が列車にひかれて死亡する事件が発生した。

貸切りバスの労働者の場合、状況はさらに深刻だ。 2010年の運輸労働政策研究所の研究報告書によれば、貸切りバス労働者の90%が 「持込労働者」と呼ばれる特殊雇用労働者として雇用されている。 貸切りバス労働者の平均月給は2007年基準で104万ウォンだ。 労働者たちは月25万ウォンの持込料と会社代行経費40万ウォン、斡旋料、減価償却費、燃料費、道路費などを直接支払わなければならない。

その上、北漢山、雪岳山、智異山などの国立公園の災難救助隊もほとんどが非正規職だ。 政府の雇用率達成のために、国立公園安全管理業務を非正規職雇用に拡大したからだ。 昨年の20の国立公園で勤務している安全管理要員は合計147人だ。 そのうち安全管理班は44人、災難救助隊は103人と集計されている。

昨年の国政監査でセヌリ党の李宗勲(イ・ジョンフン)議員は、安全管理要員のうち運営業務職の7人を除きすべてが非正規職の身分だと指摘した。 災難救助隊の約100人もすべて非正規職で、国立公園内の全安全管理専門担当者の95%が非正規職ということだ。

そればかりか山岳事故が発生して負傷者1人を担架にのせて降りてくる時に必要な人員は最低4人だが、 国立公園別の安全管理専門担当者は3~4人しかいないことが明らかになった。 事故が発生した時に敏捷な対応どころか、救助にも出られない状況だ。

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【管理人よりお知らせ】4.19尼崎集会における安全問題研究会の報告レジュメをアップしました

2014-04-21 23:49:06 | 鉄道・公共交通/安全問題
管理人よりお知らせです。

4月19日、尼崎市で行われた「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る4.19集会」で、安全問題研究会が行った報告のレジュメを、安全問題研究会サイトに掲載しました。PDF版のみで、直接行くにはこちらをクリックしてください。ファイルを開けない場合には、いったん、安全問題研究会サイトのトップページに行くと見ることができます。「NEW!」マークの付いているものが該当するコンテンツです。

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【管理人よりお知らせ】4月19日、JR問題で2つの集会が開催されます。

2014-04-14 23:42:09 | 鉄道・公共交通/安全問題
直前になりましたので、管理人よりお知らせ(主に名古屋・関西地区向け)です。

1.「ノーモア尼崎事故! 生命と安全を守る4.19集会」が尼崎市で開催されます【関西地区】

JR福知山線脱線事故が発生した4月25日が近づきました。現地・尼崎市では、例年通り、今年も「ノーモア尼崎事故! 生命と安全を守る4.19集会」が開催されます。

今年の集会では、昨年から相次いだJR北海道の安全崩壊を受けて、安全問題研究会が「JR北海道で今、何が起きているか」と題して報告を行うことになっています。このほか、JR職場からの報告、尼崎事故遺族からの訴えとJR西日本3社長裁判の動向、「大阪市営交通民営化は必要か」と題した報告、日本航空被解雇者の訴え…と盛りだくさんの内容となっています。集会終了後は、デモ行進と脱線事故現場での献花を行いますので、特に関西地区の方はふるってご参加ください。

日時:2014年4月19日 14:00~
場所:尼崎市・小田公民館(JR尼崎駅前)

なお、安全問題研究会が会場で配布するレジュメは、集会終了後、安全問題研究会サイトに掲載予定です。

2.「今、リニアを問う! リニア計画の真実と終着駅」と題した講演会が開催されます【名古屋地区】

JR東海が、自費で9兆円もの建設費を負担して建設を表明したリニア中央新幹線。しかし、世間の関心は低いのが実情です。「税金が投入されない(=国民負担がない)からそれでいいのか? 原発同様、「国策だから潰せない」と、無制限に税金が投入される事態にならないか?

リニア計画に対し、そのような疑問をお持ちの方には特にお勧めです。『リニア新幹線 巨大プロジェクトの「真実」』(集英社新書)の著者・橋山禮治郎さんが講演します。

日時:2014年4月19日(土)13:30~16:00 
場所:日本特殊陶業市民会館(旧名古屋市民会館)3F第1会議室

詳細は、「東濃リニアを考える会」ブログをご覧ください。当日のチラシも、こちらからダウンロードできます。

また、リニア計画の無謀さ、杜撰さについては、以下の記事が参考になります。

未来世代の不良債権リニア新幹線ゴリ押しでJR東海がJAL・東電の二の舞になる危険~すべては国民のツケに(BLOGOS)

なんのためのリニア新幹線か…利用者もJRもメリットない?巨額負債抱え売上は微増(ビジネスジャーナル)

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小説執筆って難しい

2014-04-10 22:02:36 | 日記
今年の新年目標で、ネット小説の執筆に取り組みたいと宣言してから3ヶ月。今年ももう4分の1が過ぎたが、結論から言えば、執筆は完全に行き詰まった。このままでは、今まで書きためたものはすべてボツ稿としてお蔵入りさせざるを得ないと思っている。

公開? とんでもない。自分自身が読んでいて全く面白いと思えないものを、面白くもないのに公開する、というのは物書きとして自殺行為に近い。

途中まで執筆してみて、改めて、小説家には筆力以外の能力が必要なのだということを痛感した。小説家に必要で、ノンフィクション・ライターには全く不要な能力…それは「物語構成力」「キャラ構成力」など、無から有を生み出す創造的能力(芸術力、といってもいい)。これがないと、小説家としては全く話にならない。

当ブログ管理人は、過去、人生のほとんどをノンフィクションだけで勝負してきた。多種多様な集会・デモの報告、社会評論・コラム、ルポルタージュ…ノンフィクションと呼ばれるものは、すべて「現実に起きていること」を題材としている。テーマは「すでにそこにある」のだから構想力などまるで必要がなく、目の前で起きている出来事を評価し、料理する能力のみが問われる。だからこそ、ノンフィクションの世界は私のように想像力が貧困な人間でもやっていけるのである(誤解のないように付け加えておくと、ノンフィクション・ライターに想像力が「全く不要」というわけではない。例えば、取材が行き届かなかった部分を想像で埋めることはこの世界にもあるし、限られた時間・リソースでの取材結果を基に、例えば震災のルポを書くためには、被災者の暮らしの「断片」からその全体像を想像し、寄り添うような作業は必要だからである。小説家に求められる想像力と、ノンフィクション・ライターに求められる想像力は全く別物である、という言い方をしたほうが正確だろう)。現実に起きている、いま目の前に起きていることがテーマのノンフィクションは、事実関係をある程度脚色することはあっても、「盛る」ことは基本的に御法度の世界だから、小説家のような逞しい想像力は、ノンフィクションの世界ではむしろ障害にすらなることがある。

このように考えると、小説家とノンフィクション・ライターは、ただ単に同じ「物書き」「文筆業」のカテゴリーに入る、という以外の共通点は何もないような気がしてきた。ノンフィクション・ライターをしながら同時に小説家でもあろうとするのは、そのこと自体が自己矛盾のような気がしてきたのである。

だが、日本の文壇には、実際に起きた出来事を基に、社会問題を「実録小説」の形で世に問う「小説家」が少ないながらも存在する。昨年亡くなった山崎豊子さんや、存命中の方では高杉良さんのような方である。最近では「原発ホワイトアウト」を出版した若杉冽さん(正体は某省の覆面官僚といわれる)も、実績が少ないだけで基本的にはこのカテゴリーに入るだろう。実は、私が目指したかったのはこの分野である。

ノンフィクションの文体では限界があって描けなくても小説としてなら描ける、という出来事は世の中に多く存在する。具体的に言うと、狭い関係者の間では事実として共有されていても、世間一般では「証拠や裏付けがない」ために流言の類とされるようなネタを料理するのに、実録小説は都合がよいのである。どこまでが事実でどこまでが創作なのかを曖昧にしたまま書き続けることが、ノンフィクションの世界では許されないが、小説ではそれが許されているからである。若杉さんが「原発ホワイトアウト」を社会評論でもコラムでもルポルタージュでもなく小説という形式にしたのは、まさにこうした「グレーゾーン」的ネタを適切に料理するのに、小説の形態が最も適していたからだろう。原発のような情報隠蔽が激しい分野で社会問題を告発するには、こうした手法が必要なことがあり、それを身につけるため、小説という新しい分野に挑戦してみたいというのが執筆の動機だった。

だが、小説としては最初の作品だから勢いでとにかく書いてみよう、と書き連ねた原稿群は、残念ながら当初の目的からは逸脱した(というより正反対に近い)、当ブログとしては公開不能なシロモノになりつつある。どう見ても、凡庸な展開かつ「初めにキャラありき」のもので、このまま書き進んだ場合、ライトノベルとしては破綻なく完結させられたとしても、ただそれだけの作品で終わってしまうだろう。構想段階では差別やいじめ、女性の社会進出といった、現代日本社会が抱える構造的問題をテーマとした社会派小説にしたかったが、このままでは本題に入れないまま、なし崩し的にラノベに方向転換した挙げ句に沈没という悲劇的結末になってしまう。

その上、ラノベとして読むにはファンタジー性が不足し、ケータイ小説として読むにはケータイ小説的リアリティが不足し、実録小説として読むには社会的テーマ性が不足していて、結局はどれとしても読めない。一度すべてご破算にして、ラノベ、ケータイ小説、実録小説のどの路線で行くのかから再構築せざるを得ないところまで追い込まれてしまった。

日本では、ライトノベルやケータイ小説の市場はすでに飽和状態で、ポジションを確立した作家群に伍して後発組が割り込むためにはよほどの努力がいる。人生も折り返し点を過ぎたこの年齢になって、「その他大勢」に埋没するだけの作品を量産することに意味があるとも思えない。どうせやるなら、他の作家が誰もやらなかったことをやるしかないが、どうも難しそうな気配だ。

当ブログ管理人は、ノンフィクションの世界では、「地域と労働運動」誌読者の中に私の原稿のファンが少なからずいる、との話を編集長からは聞いているし(お世辞の可能性もあるが)、「レイバーネット日本」からは、もっとコラムを書いてくれ、と拝み倒されたこともある。「週刊金曜日」等で活躍しているフリージャーナリストの男性からは、(出版不況だから売れないよ、と前置きしつつ)「あなたの文章力なら商業出版も可能」と言われたこともあるし、週刊「AERA」誌の契約記者の女性からは「あなたならうちの媒体でも今すぐやれるし、率直に言えば、文章力より合った媒体を見つけられるかどうかだと思います」と言われたこともある。自分で言うのもなんだが、ノンフィクションの分野ではそれなりにやれると思っている。小説などあらぬ方向に色目を使うより、ノンフィクション・ライターとしていま以上に実力を磨くことの方がずっと大事なのではないかという気がしてきた。

そういうわけで、まだ3ヶ月しか経っていないが、今年の新年目標「ネット小説の執筆」は撤回する。自分には小説家に必要な「物語構成力」が決定的に欠けていることが書いてみてわかったからである。私が小説家になるには、物語やストーリーを考える「原作者」が別に必要だろう。今しばらくはノンフィクションの世界で精進という「自分としての原点」に帰ることにする。

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【管理人よりお知らせ】アクセス解析の結果について

2014-04-09 23:21:18 | 運営方針・お知らせ
3月下旬、gooブログのアクセス解析無料キャンペーンが実施されたのに伴い、アクセス解析を実施しました。その結果をお知らせします。

まず、この間のアクセス数は、ユニーク(来訪者数)が200~250程度と、それ以前と同程度で推移しましたが、3月末になって100~150程度に急落しました。年度末は進学や就職、転勤などで環境の変わる人が多いせいか、毎年、アクセスが一時的に急落する傾向があります。人々の生活が落ち着く4月下旬頃には例年、アクセス数も持ち直しますので、今回も急落は一時的なものと思います。

この間、検索されたキーワード上位で特徴的なものを挙げると、「郡山市長」「田子倉駅」の2語は相変わらず1、2位を争っており、もはやネット閲覧者が当ブログにたどり着く上で「鉄板キーワード」と化した感すらあります。今後も検索上位が当分続くでしょう。「中村重男」「ながほり」というキーワードも根強く検索がありますが、これはJR福知山線事故の影響です(NHK「プロフェッショナル・仕事の流儀」で取り上げられた居酒屋「ながほり」の店主、中村重男さんは、妻をJR福知山線で失っています)。「日本航空」「123便」「墜落事故」「管制官 失職」など航空安全に関係するキーワードも相変わらず検索されています。アクセス解析期間が3月だったせいか、地下鉄日比谷線事故に関係するキーワード、「甲子園 珍しいプレー」など選抜高校野球に関係するキーワードも上位に来ています。

これまで、当ブログのアクセス解析では常に検索キーワード上位に来ているのに取り上げてこなかったものとして、「杉原千畝」「杉原幸子」というキーワードがありますが、今回も上位に来ました。杉原千畝は、言うまでもなく、第2次世界大戦中に在リトアニア・カウナス総領事を務め、日本政府の命令に背いて、ナチスの虐殺からユダヤ人を救うため、通過ビザを発給し続けた人物。また、杉原幸子はその妻です。「6千人の命のビザ」という作品でご存じの方も多いと思いますが、当ブログでは、杉原幸子さんの訃報を2008年10月11日付記事で伝えています。

杉原千畝、幸子夫妻の名前でのキーワード検索は、断続的にアクセス上位に来ていましたが、昨年からキーワード検索上位が固定しています。推測ですが、このキーワードが上位固定になった原因として、昨年の麻生副首相兼財務相による「(改憲に関して)ナチスの手口に学んだらどうかね」発言や、今年、都内で相次いだ「アンネの日記」破損事件などが影響していると見て間違いないと思います。6千人のユダヤ人の命を救った杉原の業績に光が当たるのは当ブログとしても嬉しいことですが、そのきっかけが日本国内での差別排外主義の高まりであるとするなら、手放しで喜ぶことはできません。

対照的に、今回、JR北海道の安全問題では動きがほとんどなかったせいか、JR北海道関係の検索キーワードはほとんど圏外でした。

1日の中でアクセスの多い時間帯は、概ね7時~8時台、19時~0時台が多く、朝の通勤時間帯、また夜から深夜にかけての時間帯となっています。

アクセスに使われているブラウザは、Bingbot、Googlebot、safariがアクセス解析期間中、ずっと3強を独占し続けました。しばらくこの傾向は変わらないのではないかと思います。safariは、iPhoneに標準で実装されており、当ブログのiPhoneによる閲覧が多いことが前回に続いて示されました。7時~8時台にアクセスが多いことと併せると、当ブログが都市部の通勤・通学者によって、主にiPhoneで閲覧されている様子が窺えます。

以上が、今回のアクセス解析の結果です。

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【本の紹介】原発災害下の福島朝鮮学校の記録

2014-04-08 22:46:39 | 書評・本の紹介
このたび、「原発災害下の福島朝鮮学校の記録~子どもたちとの県外避難204日」が明石書店から刊行された。

郡山市の福島朝鮮初中級学校が、原発事故直後の2011年5月から2学期の終了する12月まで、新潟朝鮮初中級学校に「疎開」していたことは、福島県内でもあまり知られていない。この本は、その福島朝鮮初中級学校の学校疎開の記録として、極めて重要だ。著者の具永泰(ク・ヨンテ)氏は、福島朝鮮初中級学校の疎開当時の校長である。

この本を知るきっかけになったのは、私がたまに(月1~2回程度)ウォッチしている「日刊イオ」というブログだ。在日韓国・朝鮮人コミュニティ向けに日本語で発行されている同名の雑誌の編集部員がつづっているブログで、在日の人々を巡る問題を理解するのに役立つと同時に、在日の人たちにも私たちと同じような日常生活があるのだということも実感できる。「原発災害下の福島朝鮮学校の記録~子どもたちとの県外避難204日」は、「日刊イオ」ブログの4月4日付の記事で紹介されている。

福島朝鮮初中級学校が学校疎開をしていた事実は、日本国内ではほぼ完全に「黙殺」された。大手メディアでこの事実を伝えたのは、2011年11月9日付「日経ビジネスオンライン」に掲載された「放射能「集団疎開」の成果と課題 福島朝鮮学校が新潟に、市民団体がネットワーク結成の動き」と題した記事がほとんど唯一と思われる(全文を読むには登録(無料)が必要)。執筆したのは、この間、被曝・健康問題や「子ども・被災者支援法」などを追ってきた環境ジャーナリスト、藍原寛子さんだ。

この日経ビジネスオンラインの記事は、福島朝鮮初中級学校の「疎開」が現在進行形の段階で書かれたものだが、「原発災害下の福島朝鮮学校の記録~子どもたちとの県外避難204日」は、疎開終了から2年を経過し、落ち着いてその状況を振り返ることができるようになった段階で出版されたものだけに、これから移住を考えようとしている人々にとって重要な示唆を与えてくれるだろう。

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