安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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核のない未来を願って 松井英介遺稿・追悼集(緑風出版)

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●安全問題研究会政策ビラ・パンフレット
こんなにおかしい!ニッポンの鉄道政策
私たちは根室線をなくしてはならないと考えます
国は今こそ貨物列車迂回対策を!

スマホからガラケーとタブレットの2台持ちに移行

2014-10-31 21:30:19 | IT・PC・インターネット
2011年から使ってきたスマートフォン、IS03がだいぶ古くなった。古いモデルのため、ただでさえ性能の低いバッテリーの劣化はいかんともしがたく、機種変更を行うために、先日、auショップに行った。

…のはいいのだが、店員がケータイとタブレットの2台持ちをしつこく勧めてくるので、結局、2台持ちすることになってしまった。ケータイはGRATINA、そしてタブレットはASUS MeMO Pad(TM)8である。

我が家は北海道でもかなり都市部から離れた場所にあり、高速固定通信サービスのエリア外のため、自宅では固定回線の代わりにモバイルルーター、WI-FI WALKER DATA08Wを使ってきた。このモバイルルーターは便利なのだが、3G専用で、自宅がLTEのエリア内に入っていてもLTEの電波を受信できないため、動画や画像を見るときには重くて不便を感じることも多かった。これに対し、ASUS MeMO Pad(TM)8は、この端末でデータ通信を行うことができるほか、この端末をアクセスポイントとしてPCをネットにつなぐこともできる。LTEの電波も受信できるので、3G限定だったWI-FI WALKER DATA08Wより格段に通信速度は速くなる。WI-FI WALKER DATA08Wを解約してこのタブレットに切り替え、IS03をGRATINAに変えれば通信料が現状より安くなる。最後はそれが決め手になった。

唯一、後退したのは、WI-FI WALKER DATA08Wでは1か月のパケット通信料が無制限だったのに、このタブレットでは7Gbpsの制限がかかることだ。これでむやみやたらにradicoでラジオ放送などを聞いていたらすぐに制限を超えてしまう。ニュースなどの情報収集はパケットと無関係のワンセグTVにしようと思ったら、このタブレット、ワンセグチューナー機能がない。こんな大画面なのにもったいないと思う。一方、こんな小さい画面でワンセグなんて見たくもないよと思うGRATINAにはワンセグ機能がついていて、しかも受信感度も悪くない。世の中、うまくいかないもんだと思ってしまう。

しかし、まさか私のスマホ人生がIS03の1代限りで終わり、再びガラケーに戻す日が来るなんて思ってもいなかった。スマホからガラケーに戻す人の都合などメーカーもショップも全く考えていないらしいことは、auショップにIS03からGRATINAへの電話帳データの移行を頼んでみたところ、すぐにわかった。

「移行作業が終わりました」とショップ店員が言うので、GRATINAの電話帳を見てみて唖然とした。「あ」「か」「さ」などの行ごとに電話帳データが分けられておらず、全員の電話番号が「他」のところに入っている。それでも五十音順に並んでいるならまだ検索も苦にならないが、並び順はランダム。

「これ、何とかならないんですか」とショップ店員に聞いたが「ここではこういうふうにしかなりません」とのこと。仕方なく家に帰り、どうしたものかと思案した。電話帳データをケータイからPCにサルベージできる「LISMO Port」の配信はとっくに終わってしまったし、できたとしてもガラケーにしか対応していない。スマホからの電話帳サルベージは想定しておらず、全く対応していないことが分かった(実際、古いCDから「LISMO Port」をインストールしてみたが、スマホを認識すらしなかった)。

赤外線通信によるIS03からGRATINAへの電話帳移行もうまくいかず、仕方なく、Bruetoothを起動させてみたところ、ようやく電話帳データを「あ」「か」「さ」…行に振り分けながら移行させることに成功した。なんだか最近、ケータイショップの店員よりも私のほうがスキル持っているような気がする。今の仕事をやめる気はさらさらないけれど、もし辞めさせられても商売替えできるかもしれない。

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核とカジノとラスベガス~東京の未来はラスベガスか?

2014-10-30 22:03:50 | 原発問題/一般
すでに1ヶ月近く前のニュースだが、9月30日付け「ITmediaニュース」が次のように報じている。

「FC2」サービスの「ほとんどを開発」──家宅捜索受けた企業とは

無修正アダルト動画の配信など「無法地帯」と化していたインターネットサイト「FC2」が京都府警の強制捜査を受けた、という当ブログ的にはかなりどうでもいいニュースであり、当初、当ブログでは全く取り上げるつもりはなかった。だが、この記事の中の『FC2は1999年7月設立で、所在地は米国ネバダ州のラスベガスになっている』という記述が私の目を引いた。

当ブログ管理人は恥ずかしながらラスベガスがネバダ州にあることを、今回の記事で初めて知った。ラスベガスといえば、世界最大級のカジノとギャンブルの都市だ。そして、ネバダ州と言えば…?

ピンと来た方も多いだろう。世界最大といわれる米国の核実験場のある州--それがネバダ州である。そこで、今回、ラスベガスとネバダ核実験場の位置関係を調べてみることにした。同じ州なのだから、至近距離ではないとしても、そう遠くない位置関係にあるはずだ。

そして、私を待っていたのは、驚愕すべき結果だった。


ラスベガスとネバダ核実験場の位置関係~出典:ブログ「いたたた・・タイ」さんよりお借りしました

この位置関係を見て、ああなるほど、と私はすべてに合点がいった。ラスベガスとネバダ核実験場との距離は、わずか100km。東京を起点にすれば熱海や宇都宮とほぼ同じ距離。福島第1原発からの距離であれば、栃木県・那須塩原とほぼ同じ距離だ。福島第1原発事故によって、この那須塩原市がホットスポット化したのはよく知られている。その放射能汚染度は、私が福島時代に住んでいた白河地域よりも酷いくらいなのだ。

1963年に米国も加盟して部分的核実験禁止条約が締結され、地上での核実験(大気圏内核実験)は禁止されたが、それまでにネバダ核実験場では100回の大気圏内核実験が行われた。条約締結後の地下核実験を含めると1951~92年までに928回もの実験が行われたという。地下核実験でも、少なくない量の放射性物質が地上に放出されると言われる。

東京都民にとっての熱海や宇都宮と同じ距離のところで、100回もの大気圏内核実験が行われたのだ。実験は、西から東へ偏西風の強く吹く日を選んで行われたとされるが、これだけ至近距離にあるラスベガスが無事であろうはずがない。そして、この事実は何を意味するのか。

核実験が始まった後のラスベガスは強い放射能汚染都市となった。当然、農業は論外。それ以外に目を転じても、このような場所でまともな産業が育つはずもない。被曝させられた住民も、放射性物質の影響で疲れやすくなると長時間の労働は不可能となる(実際、チェルノブイリ事故後のウクライナやベラルーシでは、子どもたちが40分の授業に耐えられないため、授業ひとコマが20分に短縮されている例すらある)。結果として、ラスベガスは一攫千金の不労所得を目指す人たちの溜まり場になっていく。そうすると、ますますカジノが隆盛を誇り、まともな産業は淘汰されていく…。

歴史的に見れば、ラスベガスでカジノ建設が始まったのは第2次大戦終結直後の1946年であり、ネバダ核実験場の設置は1951年だ。カジノのほうが核実験場より先に作られたのだから、厳密に言えばラスベガスの「カジノ都市化」は核実験場が原因とは言えない。しかし、ネバダ核実験場稼働後のラスベガスの運命は、どう見ても核実験場を抜きにしては考えられない。

そのように考えると、今、安倍政権が「成長戦略」の一環として東京をカジノ特区にしようとしている「隠された真の理由」が見えてくる。カジノ構想自体は3.11以前からあり、天下り先を増やす野望に燃えた警察官僚が主導している、との根強い噂も聞こえてくる(注)。そうした下心が見え見えだったこともあり、一時は下火になりかけたカジノ構想が3.11を経て再び政治の表舞台に上ってくるのである。

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注)実際、カジノ解禁を目指して国会に提出されている「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」は、現在審議中の衆議院では内閣委員会に付託されている。内閣委員会は、内閣府に関する法案を扱う委員会で、これはすなわちこの法案が成立後は内閣府の所管法律となることを意味している。警察を所管する国家公安委員会が内閣府の外局であることを考えると、警察官僚が主導しているという見方は間違いではない。
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天下り先を増やすという警察官僚の野望がカジノ推進の理由なら、別にカジノ特区は東京でなくてもよく、北海道でも沖縄でも構わないはずだ。それがなぜ東京、しかも都内では最も放射能汚染が激しい地域であるお台場なのか。日本の支配層は口にこそ出さないが、ひょっとすると気づいているのかもしれない。「福島原発事故によって放射能に汚染されてしまった東京では、今後、まともな産業は育たない」「育つのはカジノくらい」だということに。

世界最大のカジノの街にして、世界最大の核実験場からわずか100kmの街・ラスベガス。その姿は、もしかすると放射能汚染都市、東京の近未来なのかもしれない。

もうひとつ、余談だが重要な事実を指摘しておく。ネバダ核実験場は米国「エネルギー省」が管理している。軍事部門である国防総省ではなく、原発産業を所管するエネルギー省がネバダ核実験場を管理しているという事実こそ、原子力「平和利用」の正体を余すところなく表している。未だに原発が原子力の「平和利用」と思っている人がいたら、この事実が何を意味するか、もう一度考えるべきだ。

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問題だらけのリニア新幹線計画はただちに撤回せよ

2014-10-28 22:17:28 | 鉄道・公共交通/交通政策
(この記事は、当ブログ管理人が月刊誌「地域と労働運動」に寄稿した原稿をそのまま掲載しています。)

 JR東海が九兆円を自前で調達してまで建設を表明した中央リニア新幹線。二〇一三年には、国土交通省が全国新幹線鉄道整備法(全幹法)にもとづく整備計画路線に指定し、正式に着工が認可された。全幹法は一九七〇年に作られ、いわゆる「整備新幹線」建設の根拠法となるものだ。

 JR東海は二〇一四年秋から本格的に建設に入りたいとしているが、はたしてリニアは推進派のいうような「夢の乗り物」なのだろうか。

 ●でたらめな需要予測

 日本では道路、空港などのインフラが過大な需要予測にもとづいて建設され、維持管理費に多額の税金が投入されている例がしばしば見られる。リニア新幹線もこうした過去の「失敗公共事業」の伝統をしっかりと受け継いでいる。

 鉄道を初めとする公共交通機関の需要予測は、通常は「輸送収入」によって行なう。輸送収入は乗客一人あたり平均支払額×輸送人員により導き出される。乗客一人あたり平均支払額は、賃率(営業キロ一キロメートルあたり運賃)×走行キロだ。こうした試算を行なうには、延べ何人の乗客が延べ何キロメートル乗車するかの基礎データが欠かせない。

 ところが、JR東海が行うリニアの需要予測はこうした当たり前の推計方法を用いず、現状の東海道新幹線の乗車人員がリニア開業でどの程度変化するかをおおざっぱに推計したものにすぎない。他の交通機関の動向、沿線の人口動態といった重要な要素さえ加味しておらず、需要予測と呼ぶにはあまりにお粗末なしろものだ。

 一般財団法人「運輸政策研究機構」が交通政策審議会に提出した需要予測にいたっては、二〇四五年、東京~大阪間全通時で年間六百七十五億人キロと見積もっている。二〇一一年度における東海道新幹線の輸送実績(四四三億人キロ)の約一・五倍だ。かりにこの需要予測通りの実績であれば、リニアは全列車・全車両満席でただちに増便が必要となる。現状の東海道新幹線でも座席使用率は八割であること、二〇四五年には日本の総人口が一億人を割り込むとの見通しもあることを考えると、この需要予測は噴飯ものである。

 ●JR東海社長の衝撃発言

 「(リニア新幹線計画は)絶対にペイしない。東海道新幹線の収入でリニア建設費をまかなって何とかやっていける程度だ」。二〇一三年九月十八日、山田佳臣JR東海社長の定例記者会見での発言は衝撃的だった。東海道新幹線の収入でリニアの建設費をまかなうといっても、その東海道新幹線の乗客の大半はリニアに転移すると同社みずから予測しているのだ。リニアを推進する企業トップみずから、始まる前から事実上、失敗を認める発言である。

 それでも読者のなかには、「建設費はJRが自前で調達し、税金は投入されないのだからいいではないか」と思う人がいるかもしれない。だが、JR東海は公共交通をになう基幹企業として独占が認められている。リニアが失敗し、多額の負債をかかえても同社を破綻処理できず多額の税金が投入されることになる。これはけっして杞憂ではない。福島第一原発事故によって東京電力に多額の税金が(それも責任さえ追及されることもなく)投じられていることを考えると、十分ありうるシナリオである。

 リニア推進派がしばしばもち出す建設根拠の一つに「建設から五十年経過し、老朽化した東海道新幹線に代替路線が必要」というものがあるが、この論理も破綻している。東海道新幹線の老朽化が事実としても、リニアの大阪開通が三十一年後では代替路線たりえない。工費を減らし、工期も短縮して現在の新幹線方式で代替路線を造れば済む。そのほうが現在の新幹線と直通できるから乗り換えもない。

 ●百害あって一利なし

 リニアの問題点は、ほかにも山ほどある。全区間の七一%をトンネルが占める状態で事故が起きた場合、避難や救助はどうするのか。南アルプスの直下、日本有数の地震帯である中央構造線をトンネルで貫くリニアに防災上の問題はないのか。超伝導磁気浮上式で動くリニアの電磁波は健康へ影響しないのか。岐阜県東濃地域の予定地は地中に大量の天然ウランをふくんでおり、トンネル掘削で出るウラン残土をどのように処分するのか。山梨実験線での走行試験で騒音の実態も明らかになった。そもそもリニアの走行には原発三基分の膨大な電力が必要という試算もある。三・一一以降の反原発の流れのなかで、リニアのためだけに浜岡原発を再稼働するなど言語道断だ。

 静岡県では、リニア建設によって地下水脈が断ち切られ、住民の水源地でもある下流の大井川で水量が毎秒二トンも減少するという。周辺七市、六十三万人の水利権量と同じ水量がリニアのために枯渇の危機を迎えているのだ。ここに来て事態を理解した静岡県内自治体も危機感をいだき、計画再考を求めている。一方、リニアによるメリット(時間短縮など)は現行の新幹線方式でも実現できるものばかり。リニアはまさに「百害あって一利なし」だ。

 筆者の政治的配慮で実名は伏せるが、中間駅候補となっているある市の市議会議員からは「リニアに反対しただけで村八分にされそうだ」という悲痛な声も筆者のもとに届いている。メディアでもリニア批判は完全に封じられ、週刊誌にすら批判記事が載ることはない。三・一一前の原発と同じ「リニア・ファシズム」とでも形容すべき異様な言論統制が地域社会の隅々まで支配している。

 かつて、日本と同様にリニアの建設計画があったドイツでは、連邦議会が特別法を制定して自ら厳格な事業評価を実施。投資回収の困難性、深刻な環境破壊、他の鉄道との直通運転が一切できないネットワーク性の欠如などの問題点が明らかになり、二〇〇〇年に計画は中止となった。原発もリニアも立ち止まって再考できるドイツ、できない日本。そのあまりの落差にがく然とする。

(2014.10.20 黒鉄好)

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福島県知事選を終えて

2014-10-27 22:25:28 | 原発問題/一般
福島県知事選が終わった。何の波乱も、ちょっとしたハプニングすらない、ベタ凪の選挙。地元政財界丸抱えの相乗り談合選挙という流れは最後まで変わらなかった。コメントはしないつもりだったが、某陣営に私自身が関わったこともあり、感想を述べておく。

言うまでもなく、3.11後初の選挙。投開票の行われた10月26日は奇しくも「原子力の日」だった。不思議な巡り合わせを思わせる、最も象徴的な日に投票が行われた選挙だったが、既成政党がこぞって前副知事に相乗りをする中で、昭和の時代にタイムスリップしたかのような時代錯誤の選挙風景が展開された。

来月投票が行われる沖縄県知事選と並んで、今後の日本の進路を占う重要な選挙として位置づけられるはずだったが、見せかけの「敗北隠し」をしたい自民党本部の思惑が先行し、終わってみれば混迷する日本政治の現状を反映した結果だったといえよう。

相乗りに関わった既成政党すべての反省を求めたいが、その中でも最も情けないのは、かつて55年体制を担った自民、社民の両党だ。

もともと、自民党福島県連は佐藤雄平前知事に不満で、独自候補を立てる意欲は大いにあった。岩城光英県連会長が佐藤知事の面前で「独自候補を立てる」と宣戦布告したほどだ。この動きに、自民党福島県議団(28人)の内紛が絡んでいた。県議団主流派(15人)を率いている斉藤健治・前福島県議会議長は内堀副知事嫌いで知られ、内堀副知事の知事就任を防ぐ思惑もあって、9月に入ってから元日銀福島支店長の鉢村健氏の擁立に動いた。だが、滋賀、福島、沖縄知事選での3連敗を避けたい党本部が、県議団反主流派(13人)と結んでなりふり構わず「鉢村下ろし」に動いた。鉢村氏の自宅に右翼が押しかけ、「降りろ降りろ」などと執拗な街宣を繰り返していたという情報まで当ブログは得ている。

結局、こうした一連のゴタゴタの挙げ句、鉢村氏は出馬断念に追い込まれた。県知事候補として、一時は自民党福島県連から「三顧の礼」で迎えられ、日銀を退職までしながら、鉢村氏は人生を狂わされただけでなく、政治的にも大きく傷ついた。地元誌「政経東北」(2014年10月号)の報道によれば、自民党福島県連が鉢村氏のためにあっせんした再就職先も断り、「県連関係者とは二度と会わない」と激怒して公の場から姿を消したという。選挙戦に入り、「週刊プレイボーイ」誌が接触を試みたが取材拒否に遭っている(関連記事)。

鉢村氏に対するこの冷酷な仕打ちに絶望し、県内の多くの自民党員が離党する見込みだとも伝えられる。福島の自民党組織は今回の知事選の過程で回復不能な打撃を受けた。共産党を除く各党の相乗りによって見せかけ上「敗北隠し」に成功しても、自民党にとって今回の知事選の代償は高くつくことになる。そうでなくとも、自民党は2006年の知事選では森雅子氏(第2次安倍内閣(改造前)の少子化担当相)を担いで佐藤雄平前知事に負け、2010年の県知事選では佐藤前知事に対立候補も立てられず、自主投票の屈辱を味わっている。そして今回、県議団を真っ二つに引き裂いての内部抗争の果てに、鉢村氏をいったんは担ぎ出しておきながらの裏切りだ。こんな醜態を演じられては、心ある自民党員は嫌になるのが当然であり、今後、福島で自民党が復活することは二度とないと思っていい。

自民党以上に情けないのが社民党だ。そもそも連合福島は、電力総連に牛耳られており、あれほどの大事故に県民が呻吟しているにもかかわらず脱原発宣言すらできないでいる。自民党福島県連さえ脱原発を宣言したのに、だ。福島で原発廃炉を目指す県民は、自民党とは手を結べるのに連合福島とは手を結べないという妙な状況になっており、これでは誰が労働者の味方か敵かまったくわからない。労働組合がこのていたらくでは福島県民には救いがない。

社民党内の一部に、内堀副知事への相乗りに反対する意見もありながら、「地元の県連がそれでいいなら」と何も考えずに内堀副知事への相乗りを容認したのは又市幹事長だという確度の高い情報もある。その上、選挙後の又市幹事長のコメントが、情けなさ過ぎて笑ってしまう。

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福島県知事選 元副知事の内堀氏 当選~各政党の反応(NHK)

社民党の又市幹事長は「政府・自民党が敗北を避けるために、内堀氏への相乗りに持ち込んだ結果、有権者に分かりづらく不満が残る選挙となったことは残念だ。社民党は、脱原発や再稼働阻止、原発事故の早期の完全収束などに全力で取り組むとともに、安倍政権の暴走をストップし、平和憲法をいかした県政の実現を求めていく」というコメントを発表しました。
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「政府・自民党が敗北を避けるために、内堀氏への相乗りに持ち込んだ結果、有権者に分かりづらく不満が残る選挙となったことは残念だ」って…その内堀氏に社民党も相乗りしていたわけだが。社民党にしてみれば「自分たちが擁立した候補に、自民党が後から勝手に飛び乗ってきた」という恨み節なのだろうが、自民党が内堀氏に相乗りするのを見て熊坂氏の支援に切り替えた共産党のように、「自民と一緒が嫌なら降りる」選択肢も当然あった。それをしなかった執行部の責任を棚に上げ、他人事のようなコメントをしているようでは、いよいよ社民党も終わりだろう。

元々社民党は、福島県議会に1議席も持っていない(現在の会派構成)が、こんなことをしていれば県民の支持が得られなくて当然だ。子どもたちを被曝から守るという使命も捨て、社民党は郡山市では市当局が打ち出してきた「屋外遊び場の増設」を容認する方向という。ここまで来れば、もう社民党は要らない。

投票率は過去2番目に低かったが、それでも前回は上回った。にもかかわらず、前回約61万票集めた佐藤前知事に対し、内堀氏は約48万票で約13万票も減らした。加えて、前回は対立候補が共産党単独推薦の佐藤克郎氏のみで約8万票だったのが、今回、内堀氏以外の5候補に投じられた票をすべて内堀批判票と見れば、合計で約23万票あり、前回の約3倍に増えたことになる。毎日新聞の記事にあるように、福島県では92年以降、知事選はすべて与野党相乗りであり、相乗り談合政治は福島の政治文化、宿痾といってもいいが、その文化をこの未曾有の危機にあってさえ変えられなかったことに深い落胆を覚える。しかも、この選挙結果を見て「がっかりした」と表明しているのは県外の人ばかりで、肝心の福島県内からは選挙結果への落胆の声がほとんど聞こえてこないことにも絶望させられる。

せめてもの救いは、当ブログがこれまで「県営新聞」「誤報だらけ」などと散々批判してきた地元紙「福島民報」がそれなりに読める社説を書いていることだ。同紙は選挙が明けた10月27日付けの社説でこう主張している――『今回の知事選で自民、民主、公明、維新、社民各党が内堀氏を支援した。だが内堀氏がよって立つべき基盤は政党や団体ではない。一人一人の県民だ。その時、一番悲しんでいる人と共に泣き、その時、一番傷ついている人と痛みを分かち、その時、一番怒っている人と共にこぶしを固く握り締めてほしい。「県民党」の立場に徹し、必要ならば政権与党とも厳しく対峙し、国や東電を動かしていく気概を示すべきだ。大いに物を言い、闘う知事を県民は求めている。』

この悲しむべき選挙結果は、当ブログが抱いていた「ある懸念」が正しかったことを証明してくれた。「自分の頭で考える福島県民、心ある福島県民はとっくに避難して県を捨て、後には命よりその日の経済が大事な県民が残ったのではないか」という懸念だ。もちろん、今なお福島県に残る県民全員がそうだと主張するつもりはないが、そうした人たちが主流を占める福島県の「岩盤」をどうしたら突き崩すことができるのか――今回の選挙結果にがっかりしている人たちの懸念と苦悩は、深まるばかりだ。

子どもたちを少しでも被曝から救いたい、健康被害から守りたいと考える人たちにとっての救済は、今回の選挙で大きく遠のいた。内堀氏は「これからが始まり」だと抱負を述べたが、なるほど、IAEAと一体化した「隠蔽とごまかしの県政」はこれからが本当の始まりだろう。もし内堀氏が「違う」と言うなら、少なくない県民が内堀氏を「SPEEDI隠蔽の主犯」だと考えていることについて釈明しなければならない。それが内堀新知事の最初の仕事であるべきだし、それがなければ、いくら県内原発全機廃炉などときれい事を言っても当ブログは信じられない。

週刊プレイボーイの記事によれば、今回の立候補者のひとり、伊関明子さんは「2大政党が相乗りを決める経緯をテレビで見ていた娘が、『お母さん、もう福島県に未来はない。今すぐ店をたたんで福島県を出よう』と言ったんです」と、出馬のきっかけを語っている。こうした話を聞くと、福島からの人口流出は放射能以前の問題のような気がする。県民に寄り添うことなく、「いかに適当にごまかして、文句を言っている県民を追っ払うか」だけを追求してきた福島県政の長年の「成果」が人口流出であることに、そろそろ福島県庁の官僚たちも気づくときではないか。

もっとも、内堀氏の当選は、福島県官僚たちに対するそのような貴重な「気づき」の機会も奪ってしまったように見える。ヒトラーとナチスが、ユダヤ人全員をガス室に送ることをユダヤ人問題の「最終的解決」と称したように、福島県は「反対派を根絶やしにする」ことが「放射能被害の最終的解決」なのだとでも思っているのだろう。もしそうだとするならば、今、福島県内にとどまって声を上げている人たちは、やはり福島から出るべきだと当ブログは考える。福島だけでしか生きたことのない多くの県民の皆さんは想像がつかないかもしれないが、全国転勤をしてきた当ブログ管理人の目で見れば、もっと住みやすい土地はどこにでもある。現状を打破する勇気が政治にも行政にも、そして現職副知事に投票する多くの県民にもないなら、残念だが自分の身は自分で守るよりほかにない。

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【転載記事】原子力に反対する100個の十分な理由

2014-10-22 22:56:01 | 原発問題/一般
ドイツ南西部のシェーナウ市で、チェルノブイリ原発事故をきっかけに作られた史上初の「市民の市民による市民のための」電力会社を描いたドキュメンタリー映画「シェーナウの想い~自然エネルギー社会を子どもたちに~」。

日本でも上映されているこの映画にも登場する「EWSシェーナウ電力会社」の関係者が作ったパンフレット「原子力に反対する100個の十分な理由」がこのほど日本語に翻訳されました。こちらからダウンロードできます(PDF版)。

「燃料とウラン採掘」「安全基準と健康被害」「事故と大災害のリスク」「核廃棄物と処分」「気候保護と電力供給」「権力と利権」「自由と民主主義」「戦争と平和」「エネルギー革命と未来」の各項目から構成されており、文字通りあらゆる角度から私たちが今、原子力に反対すべき理由が示されています。

「政・財・官・学・報」挙げての原子力推進キャンペーンに抗し、市民が手っ取り早く理論武装するために必見の資料です。ただし、各項目とも要点が簡潔に述べられているに過ぎず、また登場している事例の多くが海外のものです。国内外問わず、広く原子力一般がもたらす悪影響について、手っ取り早く概要が知りたいという人々に向いていると思います。

ただし、原子力ムラの推進キャンペーンの大部分はこのパンフレットの水準にすら遠く及ばない低劣なものが中心なので、初心者の方は、このパンフレットに収められている程度のことを知っているだけでも原子力ムラに対抗できると思います。

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【管理人よりお知らせ】10.25団結まつり前夜祭で、安全問題研究会が報告を行います

2014-10-18 21:57:26 | 鉄道・公共交通/交通政策
管理人よりお知らせです。

10月25日、東京で行われる「団結まつり前夜祭」で、当ブログ管理人がJR北海道問題・リニア問題を巡って報告を行います。ぜひご参加ください。

詳細は、団結まつりホームページをご覧ください。


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「火を噴くJR 北海道安全問題、暴走するリニア新幹線建設!」
10月25日(土)中央区立産業会館第一会議室
開場 17:50 開始18:10~20:30

《プログラム》
1)地方から本当に必要な公共交通を考える

2)リニア問題を取材して

このうち、「(1)地方から本当に必要な公共交通を考える」を当研究会が担当します。

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【管理人よりお知らせ】明日、リニア問題に関する院内集会が開催されます

2014-10-16 21:05:40 | 鉄道・公共交通/交通政策
管理人よりお知らせです。

直前のお知らせになってしまいましたが、明日(17日)午後1時30分から、「リニア新幹線の工事認可をするな! 院内集会」が開催されます。詳しくは、こちらのページをご覧ください。概要は以下の通りです。

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と き:10月17日(金) 午後1時30分~4時30分
ところ:参議院議員会館B(地下)108会議室

 リニア新幹線工事実施計画書が提出され、現在国交省が審査をしています。私たちはこの巨大プロジェクトが南アルプスの自然破壊や、地下水の枯渇や河川の流量減少を招き、膨大な工事残土の運搬や処理によって沿線住民の生活に重大な影響を与えると指摘し、国交大臣に対して、リニア計画の中止を求めて声を上げてきました。国民に十分な説明も無く、理解を得られない事業は直ちにやめるべきです。

 国交省や環境省もJR東海を責任をもって指導すべきであり、不明な点はJR東海に質して私たちに説明することが求められます。

 上記の日時で、改めて両省に対し不明な点を聞き、その上で、リニア新幹線に対する私たちの今後の活動について話し合います。

13:30~15:30 国交省、環境省交渉
15:30~16:30 報告:まさのあつこさん(公共事業改革市民会議)
               辻村千尋さん(日本自然保護協会)
               沿線各地域や公共事業に取り組むグループからの報告、今後の活動について

共催:日本自然保護協会/公共事業改革市民会議/リニア新幹線を考える沿線住民ネットワーク
連絡先:042−565−7478(かけひ)

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JR尼崎事故控訴審始まる 3社長、改めて無罪主張 次回で結審の報道も

2014-10-13 17:51:19 | 鉄道・公共交通/安全問題
尼崎JR脱線 3社長控訴審初公判、被告人質問を採用(神戸)

尼崎JR脱線控訴審 「情報収集で予見可能」指定弁護士、新たな主張(産経)

尼崎JR脱線控訴審初公判 一審から1年、遺族「やっと」(神戸)

2005年、乗客・運転士107名が死亡したJR尼崎事故を巡り、井手正敬元会長、南谷昌二郎元会長、垣内剛元社長に対する1審の無罪判決を不服として、検察官役の指定弁護士が控訴していた強制起訴裁判で、10月10日、3社長らに対する控訴審の第1回公判が大阪高裁で行われた。

出廷した3社長は、1審・神戸地裁に引き続き、事故は「予見不可能」として再び無罪判決を求めた。報道によれば「組織のトップは重要な経営事項に関し、高所的立場から的確な指示をすべきだ。(積極的な情報収集を課せられれば)経営事項の決定が遅れる上、専門的見地から離れた誤った判断に陥りかねない」と主張したが、これは「積極的に情報収集などしない方が的確な指示ができる」、別の言い方をすれば「経営トップは何もしない方がいい」というものだ。経営陣みずから己の無能をさらけ出すに等しいばかげた主張であり、当ブログとしては全く考慮に値しないと考える。

10日の公判では、次回、第2回公判を12月12日(金)に指定。ここで被告人質問を行うことが決まった。被告人を出廷させ、関係者(裁判官、検察官(今回の裁判では、検察官役の指定弁護士)、弁護側弁護士)が被告人に質問できるものだ。被害者参加制度が適用される場合は被害者も被告に質問できるが、今回は予定されていないという。

遺族など被害者19人が控訴審に参加するが、1審の41人から参加者が大幅に減った背景に、司法へのあきらめを指摘する声もある。神戸新聞の報道によれば、次回の第2回公判で早くも結審との報道もある。大阪高裁が1審の無罪判決を見直す気があるのかきわめて疑問だと言わざるを得ない。

この訴訟を担当する横田信之裁判官は、厚労省郵便不正事件の刑事訴訟を担当、村木厚子・厚生労働事務次官に無罪判決を言い渡した裁判長として知られる。量刑実務大系(大阪刑事実務研究会 編)という専門書の「被害者と量刑」という章の執筆も手がけている。えん罪を厳しく恐れ、検察側の立証に少しでも疑問があれば、無罪判決を書ける裁判官のようだ。「疑わしきは被告人の利益に」(最高裁白鳥決定)の原則からすれば、原則に忠実な仕事ができる良心的裁判官との評価も可能だが、企業など社会的強者の不作為による過失犯罪で、市民の多くが強い処罰感情を持つ事件にもこの原則を適用した場合にはかえって市民的利益を損なう可能性が高い。「疑わしきは被告人の利益に」の大原則は堅持しつつも、企業犯罪に対してはその適用の是非を再検討する時期にきている。

尼崎事故の遺族たちは、すでに今年2月、組織罰法制に関する勉強会を立ち上げ、賛成・反対様々な有識者の意見を聞きながら学習を進めている。日本に巣くう癌・経団連にとって不利になることは大手メディアが一切書かない中で、アジアプレス・ネットワークが伝える次の2本のニュースが、法人処罰を巡る動向を追った報道としては光っている。

●JR福知山線脱線事故判決、歴代3社長に無罪判決~法人処罰導入へ議論を

●JR脱線事故9年~「組織罰」導入を求める遺族たち

法人を処罰する法制度が不備であることは、福島原発事故でも改めて浮き彫りにされている。「『事故を予測できなかった』という理屈が通るなら、過去に例がない事故では誰の責任も問えない」(遺族・上田弘志さん)、「ATS整備について『他がやっていないから、うちはしなくもいいんだ』という考え方でいいのか。危険個所はないのか注意を払い、あれば対策を考えるのが経営者ではないのか。この判決だと、怠惰な経営者ほど責任追及ができない結果とならないか」(強制起訴第1号事件となった「明石歩道橋事故」で指定弁護士を務めた安原浩さん)との指摘は重い。

やはり、こうした事態を改善していくには法人処罰立法が必要だと思う。まだ具体化していないが、セウォル号沈没事故を契機に、韓国でも企業を処罰する法律を作る動きがあり、日本国内の法人処罰立法の検討状況に関する情報を提供してほしいとの依頼も当研究会にあった。法人処罰に関しては、2012年4月21日、「ノーモア尼崎! 生命と安全を守る4.21集会」で安全問題研究会が行った報告「尼崎と福島―今、私たちに問われているもの」をご覧いただきたい。

控訴審に参加する遺族が41人から19人へと半分以下に減ったとしても、当ブログと安全問題研究会に「諦め」の文字はない。当ブログは控訴審でも、引き続きこの裁判を追っていく。

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管理人の近況、そして福島県知事選

2014-10-08 23:43:10 | 日記
10月に入り、早いもので今年もあと3か月を切った。すでに、当ブログの更新頻度が、8月ごろから極度に落ちていることにお気づきの方も多いと思う。

御岳山の噴火、10月1日に開業50周年を迎えた東海道新幹線の今後に向けた課題など、書きたいと思っていることは山ほどあるが、とにかく時間がない。9月12~14日にかけ、乗り潰しを兼ねて旅した青森県のレポートも書かなければならないのだが…。9月24日にようやくさっぽろ自由学校「遊」での講演を終えたと思ったのもつかの間、今度は10月26日の「団結まつり」でJR北海道の安全問題、リニア問題の報告を行わなければならず、その準備に追われている。団結まつりが終わる11月以降も、地元・北海道の女性団体に招かれ原発問題の講演、12月にも北海道の労働組合系の集会で原発問題の発言要請があり、忙しい日々が続きそうだ。

しかも、あろうことか、明日告示、10月26日投開票の福島県知事選で、某陣営の運動にかかわることになってしまった。巻き込まれたというほうが適切かもしれない。当ブログ管理人は、好ましからざる人物ばかりが特定業界団体の組織票で当選し、市民が当選を望んでいる候補はどんなに頑張っても当選できない現行の選挙のあり方に根本的な疑問を抱いており、すでに現行の選挙方式は歴史的使命を終えたと思っている。そんなものにかかわるくらいならもっと違うことにエネルギーを向けたいのだが…

とはいえ、告示日以降は選挙についてあれこれ書けなくなってしまうので今のうちに書いておく。今回もまた、東京都知事選同様、脱原発陣営から2人の候補が立候補しており、候補一本化を求める意見がある。だが、与党が敗北した滋賀県知事選では野党候補が民主党系、共産党系に分裂していたが民主党系の候補が勝利した。一方、過去数回の沖縄県知事選のように民主・社民・共産が統一候補を立てても勝てないときもある。選挙というのは「統一すれば勝ち、分裂すれば負ける」というほど単純なものではない。

福島のように特殊な状況に置かれている県の場合、県内の原発全機廃炉を求めるのは当たり前で、それはおそらく争点にならない。だが、争点にならないことが脱原発の敗北を意味するのではない。むしろ政治的には逆であり、小熊英二氏が主張するように「全員が脱原発を掲げざるを得ないということは、事実上脱原発の勝利」なのである。争点がないというより、脱原発が完全勝利したため、推進派が原発再稼働を目指すには「選挙中は脱原発と言っておき、当選後に裏切る」以外に方法がないのである。

このように、脱原発そのものが争点としては後景に退く中で、それでも原発を争点として機能させるためには、「脱被曝」かそうでないかをメインに据えるしかない。そして、それをメインに据えるなら、脱原発2候補の一本化は事実上不可能だと思う。今回も、東京都知事選同様、それぞれが自分の主張を競い合い、切磋琢磨しながら脱原発票の全体的上積みを図る以外にない。脱原発2候補が互いの票を食い合って共倒れになるというのはゼロサムゲーム的発想であり、全体のパイが増えるなら、それは問題ではないのである。

福島県知事選は、おそらく史上最低の投票率となるだろう。候補者擁立を巡って二転三転どころか七転八転が繰り返された結果、福島県内はすでにしらけムードであり、投票率は50%を割ることになるかもしれない。これまでの流れから見て、当ブログが最も当選を望まない候補(元副知事)の当選という結果になるだろう。当ブログは少数派の声を代弁することを目的としているから、敗北には慣れており、いまさら失望などはしない。すでに述べたように、大多数の国民が望んでいる候補がことごとく当選できない選挙制度が歴史的使命を終えているというだけのことだ。

本来、金持ちも貧乏人も、平等に1票が与えられている選挙制度の下では、金持ちは一握りに過ぎないのだから、貧乏人を代表する候補者が勝つはずである。しかし現実はどこの国のいつの歴史を見てもそうはならなかった。ロシア革命の後、レーニンは、ロシア社会民主労働党(ボルシェヴィキ、後のロシア共産党)による一党独裁に踏み切るきっかけをつかめず、一度は資本主義国と同様の「自由選挙」で制憲議会選挙を実施した。しかし、第1党になったのは2月革命後の臨時政府を支えた社会革命党(エス・エル)であり、ボルシェヴィキは第2党にとどまった。この結果を見て、金持ちも貧乏人も平等に1票を行使できる「自由選挙」がまやかしであることに確信を抱いたレーニンは制憲議会を強制的に閉鎖・解散させ、ソビエト(人民議会)に全権限を集中。共産党による一党独裁の道へ入って行った。

いわゆる「自由選挙」がまやかしであることは、この時にすでに結論が出ている。ロシアが100年近くも前、レーニンの時代に否定した「自由選挙」に、我々がいまだにしがみついていることが本来、おかしいのである。当ブログはやるだけ無駄の「自由選挙」はもうやめて、ソビエトのような「労働者代表議会」を作り、そこで政府の意思決定をするようにしたらいいと、最近はかなり本気で思っている。

そんなわけで、当ブログ管理人の本格的なネット復帰は年内は無理かもしれない。だが、当ブログは「時間がない・意欲が湧かない・思考が安定しないときは無理をしてまで書かなくてもよい」が基本方針なので、今後ものんびりお付き合いいただければと思っている。

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【管理人よりお知らせ】Yahoo!メール復旧しました

2014-10-04 22:38:26 | 運営方針・お知らせ
管理人よりお知らせです。

障害に見舞われていた当ブログ管理人のYahoo!メールアドレスですが、10月4日以降、復旧しています。引き続き、管理人への連絡にYahoo!メールを使用いただいて構いません。

将来的には他のメールサービスへの移転は考えたいと思いますが、その際にはまた改めてお知らせします。

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