明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1283)伊方原発3号機ポンプ故障事故は大問題!再稼働を断念すべきだ!下

2016年07月24日 07時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160724 07:30)

伊方原発3号機ポンプ故障事故に関する分析の続きです。

今回、調べてみて分かった重大な事実は、実はこのシール部分からの水漏れ故障事故が過去にも起こっていることです。その一つは2005年に起きた美浜原発1号機での故障事故です。
これを報じた関西電力のプレスリリースをご紹介します。(実は僕自身はこの関電の報告図によってこの3重のシールの構造の概略を理解することができました。)

 美浜発電所1号機 A-1次冷却材ポンプシール水漏えいの原因と対策について
 2005年10月19日 関西電力
 http://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2005/__icsFiles/afieldfile/2005/10/19/1019_1j_1.pdf

いやそれだけではありません。同様の1次冷却材ポンプ部分からの水漏れは、なんと伊方原発3号機そのものでも2003年に起こっているのです。

 伊方発電所3号機一次冷却材ポンプのモータ用冷却水(純水)の漏えいについて
 2003年10月31日 四国電力
 http://www.yonden.co.jp/press/re0310/j0ypr010.htm

これは極めて重大な問題です。なぜならこの部分からの水漏れ故障事故がこれまで少なくとも2回も起こっており、なおかつそのうちの1回は伊方原発3号機そのもので起こっていたからです。
だからこそ四国電力は、3号機を再稼働するにあたってこの部分の部品を新品に代えていたわけですが、それでも同じような水漏れを防げなかったのでした。
ということは蒸気発生器と同じように、三菱重工はこの高圧でまわっている冷却材の中に攪拌のためにプロペラを差し込むにあたっての、モーターの軸受け部が水漏れを起こしやすいという難問を解決できていないことを物語います。

この問題は原子力規制委員会の新規制基準に基づいた検査が安全を担保するものになっていないことをも明らかにしています。
なぜか。2003年、2005年と同じポンプの同じシール部で似たような水漏れ故障が起こっていたのに、その部分を三菱重工と電力会社に克服させることができていなかったからです。だからまた同じ個所で故障事故が起こったので

す。
このため満を持して再稼働を迎えるはずだった伊方原発3号機が、スケジュールをストップさせて、部品交換を余儀なくされてしまいました。しかし最近、交換したばかりのものが再度の交換で直るのでしょうか?まったくその保障はあ

りません。

少なくとも安全な再稼働を目指すならば、なぜ新品の部品をもってしても再度のこのポンプのシール部分からの漏水が防げなかったのか、徹底解明を行うべきです。
もちろんそれは数週間などでできるものではありません。なにせ2003年、2005年にあって、今年2016年にまたしても起こったことだからです。要するにこのポンプには構造的な欠陥があって克服できていないのです。蒸気発

生器と同じようにです。

いやそれだけではありません。そもそも一次冷却水ポンプそのものの故障事故で言えば、川内原発1号機で2008年4月にプロペラを回している主軸が破断する事故も起きています。
玄海原発3号機でも2011年12月に同様の主軸破断が起こっていて、このときも水漏れが起こっています。いずれも同じ三菱重工製のポンプです。これらからも技術的に未確立な欠陥ポンプであることが明らかです。
そのポンプが再び三度壊れたのだから、四国電力は伊方3号機の再稼働を断念すべきなのです。再稼動反対の大きな声を上げていきましょう!

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守田敏也 MORITA Toshiya
[blog] http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011
[website] http://toshikyoto.com/
[twitter] https://twitter.com/toshikyoto
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[著書]『原発からの命の守り方』(海象社)
http://www.kaizosha.co.jp/HTML/DEKaizo58.html
[共著]『内部被曝』(岩波ブックレット)
https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-270832-4

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明日に向けて(1282)伊方原発3号機ポンプ故障事故は大問題!再稼働を断念すべきだ!上

2016年07月24日 07時00分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160724 07:00)

先週末、講演で再び各地を駆け巡りました。
16日に奈良県橿原市で講演、17日に岡山県岡山市で放射性廃棄物問題の学習会に参加、18日に京都府宮津市で講演しました。
どの地域でも多くの方が熊本・九州地震の最中に川内原発が停められなかったこと、さらに中央構造線の上にのっかっている伊方原発が再稼働されていることに怒りを語られていました。

さらに参院選が終わるや否や、安倍政権は沖縄の高江に本土からたくさんの機動隊を送り込み、ヘリパット建設を極めて強行に推し進めようとしています。
沖縄で現職大臣が落選し基地反対候補が勝ったことに顕著なように、県民の基地を許さないという意志が明確に投票で示された直後にです。まるでこれでは選挙での民衆の勝利への暴力的報復に他なりません。
安倍政権の沖縄への蛮行を心の底から糾弾し、沖縄の方たちとともに平和の道を歩むこと、そのために危険な原発の稼働に反対し続けることをここで表明しておきたいと思います。

さてその原発問題ですが、7月26日に再稼働が予定されていた伊方原発3号機で17日に早くも故障が起こり、再稼働が8月にずれ込むことが四国電力により表明されました。トラブルは次のように説明されています。

 「定期検査中の伊方発電所3号機においては、1次冷却材ポンプの調整運転を実施していたところ、1次冷却材ポンプ3Bの第3シールリークオフ流量が増加するという事象が認められました。
 このため第3シールのシート状態を改善するための調整作業を行いましたが、運転状態を改善することができなかったため、本日9時20分、当該シールを予備品と取り替えることとしました。」

 伊方発電所3号機 1次冷却材ポンプの第3シール部のリークオフ流量増加について
 http://www.yonden.co.jp/press/re1607/data/pr003.pdf

これを朝日新聞は次のように報じています。
「四電によると、17日午前7時半ごろ、放射性物質を含む1次冷却水を循環させるポンプの調整運転中、ポンプの軸付近からの水漏れを防ぐ部品に不具合が見つかり、密封機能が低下している恐れがあることが判明。
四電はポンプを分解して原因を調べ、部品を交換する。」

各社それぞれで少しずつニュアンスが違ったりもしますが、ほぼ四国電力のプレスリリースにさらに質問をした内容にとどまっていて、それ以上、詳しい説明を試みていている新聞社はありません。
これが原発の中のどういう部分であり、故障の意味するものが何かという掘り下げがなされていない。それでここで分析を行いたいと思います。長いので上下に分けます。

今回の故障事故が起こったのは、加圧水型原発の核心部である一次冷却水系統です。ここには150気圧に加圧された水がまわっている。なぜ加圧しているのかというと、水の沸点をあげてよりたくさんの熱を水が媒介できるようにするためです。
なぜかというと、原子炉内で一次冷却水を沸騰させて、蒸気を発生させてタービンを回し、発電につなげている「沸騰水型原発」と違って、加圧水型原発では「蒸気発生器」という特有の装置を使っています。
ここまで300℃まで熱せられた水がまわっていき、たくさんの細管が二次冷却系統の水と配管を通して接して温度を移し、この二次系統で水が沸騰して蒸気が発生してタービンを回しているのです。

もともと原子炉内で沸騰させずにこのような方式をとったのは、この原子炉が潜水艦などのエンジンとして開発されたのだからだそうです。
なぜかと言えば、水中を自在に動き回る必要がある潜水艦では、原子炉内に水面があり、空間があると原子炉が傾いたときにさまざまな問題が発生する可能性があるからです。
このため原子炉内は完全に一次冷却系の中に水没しており、その熱を蒸気発生器を通じて二次系に移し、まさにそこで蒸気を作りだしてタービンを回す方式をとったのです。

しかしこの加圧水型原発は、この蒸気発生器に致命的な欠陥を抱えていることをこれまで繰り返し述べてきました。
そもそも蒸気発生器の中を無数に走っている細管には2つの課題がある。一つは熱を配管を通して伝えることで、そのためには当然にも肉厚が薄い方がいい。もう一つは150気圧の水圧に耐えることでそのためには肉厚が厚い方がいい。
この矛盾的なあり方を越える細管の開発がうまくいかず、熱を伝えるようにすると配管にピンホールがあいてしまうことが繰り返されてきたのでした。美浜原発ではピンホールが拡大し、配管が完全に破断して冷却水が急速に漏れ出す深刻な事故も起こりました。

さて今回、問題になったのはこの一次冷却材がまわっている途中に設置されている「一次冷却水ポンプ」でした。このポンプは蒸気発生器で熱を伝え、温度が低くなって戻ってきた冷却水が流れるところに設置されています。
どのような構造になっているのかというと、配管に吸い込み口と吹き出し口で接していて、その中をプロペラがまわり、流れを強める働きをしているのです。プロペラはそこに取り付けられたモーターによって回されます。
この際、技術的に問題になるのは、冷却材がまわっているところにプロペラを配置してモーターで回すと、モーターの軸の部分に回転に必要な隙間があるわけで、その隙間から150気圧の冷却材が漏れ出してしまいかねないことです。

このためこの軸受け部分には3つのシール部品が付けられているのです。冷却材に近いところから第1、第2、第3シールで、第3シールのすぐそばにプロペラを回しているモーターがあることになります。
このうち主に第1と第2のシールが冷却材漏れを防ぐためのものとされていますが、回転軸のための隙間をどうシールするのかというと、ここにも水(純水)をまわして隙間の封入を行っているのです。
つまりここにこの隙間を埋めるための水がこれまた別のポンプを介して循環しており、それで冷却材が入ってこないようにしているわけです。

理解を容易にするためにここでこのポンプを図示している加圧水型原子炉メーカーの三菱重工のページをご紹介します。
 1次冷却材ポンプ 三菱重工HPより
 https://www.mhi.co.jp/products/detail/reactor_coolant_pump.html

では第3シールの役目は何かと言うと、この軸受けの隙間にまわっている純水が漏れないように封じているのです。とくに第2シールの下流に流れている純水が、同時にシール部分を洗浄する役目を負っているのですが、それをシールするものとされています。
今回の事故が発生したのはこの第3シールであったとされていますが、報道を追いかけていくと、なんとこの部品は再稼働を前に新品に交換されているので、経年劣化以外の何らかの不具合が生じたことになります。
四国電力は部品を交換すると表明していますが、そもそもまだ今回の故障事故の原因も不明で、21日からやっとポンプの分解が始められたばかりです。

ここまでが故障事故の説明ですが、問題はこのポンプが1次冷却系統にとって極めて重大な位置を担っていることです。
冷却材は炉心の熱を運ぶものですから、この循環に何らかの問題が生じた場合、炉心の熱を取り去ることができず、最悪の場合、メルトダウンに向かいはじめてしまいかねないからです。
またなんといっても冷却材は150気圧の高圧でまわっていますから、シールがきちんとなされなければ、そこから漏れ出しが起こり、一気に冷却材の喪失が起こることにもなりかねません。それほどこの装置には重大な位置があるのです。

続く
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守田敏也 MORITA Toshiya
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明日に向けて(1281)参院選の結果から見えるもの・・・平和を守るための与野党共闘を発展させよう!

2016年07月16日 10時00分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160716 10:00)

参院選の結果を受けて、今後、私たちがいかに安倍政権と対決していくのかの考察の後半をお届けします。

私たちが見ておくべきことは、野党共闘が効果を発揮したのは基本的には統一候補を立てた1人区でのことで、複数区ではまだまだ十分な連携が実現されたとは言えないことです。
安倍首相はこうした中で野党、とりわけ民進党を意識して「改憲論議を進めるべきだ」と匙を投げてきました。
これに対し、少なくとも安倍政権のもとでの改憲には応じないというのが民進党の態度でしたが、14日になって岡田代表が「軌道修正を図った」と報道されています。

安倍首相が現行憲法を連合国軍総司令部(GHQ)による「押し付け憲法」と捉える見解を撤回し、立憲主義を順守するとの条件を守れば、9条以外の条文の議論に応じる余地があるというのです。
岡田氏の言う「立憲主義の順守」をどのように担保させようとしているのか良く分かりません。そもそも立憲主義を順守するなら自民党改憲草案そのものを捨てなければならない。
その点でこの流れがどう次につながるのか見えにくいですが、ともあれ今の時点で言えることは、こうした動きに私たちの側からも積極的な意見表明を行いつつ、野党共闘を守り、強化していくことが必要だということです。

安倍首相が狙っているのは産声を上げ、効果を示し出したばかりの野党共闘の分断です。自分がまわった重点区がほぼ全敗したため怖いのでしょう。だからこその分断策を押し返す努力が必要です。
おりしも東京都知事選で最も東京都政に詳しく、都民のことを最もリアルに考え抜いてきた宇都宮弁護士が退かれました。野党共闘を優先されたのです。まさに身を切る努力です。心から受け止めたいです。
今、問われているのはこの共闘の潤滑油となったすべての方たちのさらなる活躍です。そのために私たちが、互いの違いを越えた柔らかくて豊かな団結を保持し抜くことが大切です。

そのためにも、平和を守ろうとする勢力の中の意見の違いに寛大な姿勢を示し会うことが必要です。中でもアグレッシブで相手へのリスペクトが欠けた批判や批難を戒めましょう。
韓国の友人にこういわれたことがありました。「君ら日本人は意見が食い違うとすぐに相手を嫌いになって話さなくなる。俺たちは相手の意見を嫌って徹底して論争するからその後に打ち解けることができるのさ」。なるほどと思いました。
こうした私たちの限界を越えるために、1人区での共闘のもとでの選挙戦に勝利したり善戦をした地域のリアリティに学び、複数区で生かす道を切り開きましょう。

さらに鹿児島新知事の背中を全国から押して、川内原発を停めることに力を集中しましょう。
そのためにこの知事選で、必ずしも川内原発稼働の是非が一番の焦点ではなかったこと、前知事の多選批判の方が強かったことも見ておく必要があります。
また保守王国の鹿児島は県議会でも保守勢力が強く、新知事が意志を押し通していくためにはたくさんの障害もあります。

最も新知事の三反園さんはさっそく「川内原発の停止の申し入れを考えたい」と表明されています。これに全国から圧倒的な応援の声を届ける必要があります。ぜひすぐにも取り組みましょう。
ここで川内原発を停止となれば、伊方原発差止訴訟を含め、各地の原発差止訴訟に影響が広がります。多くの人々が連携して大きな流れが作りだされれば、裁判所も良心的な判決を出しやすくなるからです。
この試みに、各地での避難計画の見直し、原子力災害対策への下からの取り組みをリンクさせてヨウ素剤事前配布を実現する運動などを連結させていきましょう。

さらにその上に付け加えるべき大きなポイントは、今回の選挙にほとんど課題となっていなかった原発避難者・被災者の権利獲得問題、被曝防護の運動を野党共闘の運動に上乗せしていくことです。
なぜならばこの国の中でもっともラディカルな行動を行ってきたのが率先避難を担ってきた方たち、あるいは被曝地で放射線防護活動を展開して方たちだからです。
あの2011年の3月以降にすべての政党や革新勢力が飛び越えられたこと、そのことでこの国の政治状況が根本から変えられ始めたことを私たちは見ておく必要があります。

この率先避難者の行動こそが、もっとも先鋭に今の社会の矛盾に立ち向かうものとなり、各地の原発ゼロの動きをひっぱってきたのです。
戦争法に反対するSEALDsの若者たちや安保関連法に反対するママの会の感動的な活動も、この方たちを先頭に各地で切り開かれたてきた運動に続くものです。
この方たちはものすごいアピール力を持っています。被曝問題を軸に現代社会の根本矛盾にまで踏み込んでいるからです。この力をもっと生かすためにも避難者、被災者の権利獲得を野党共闘の重要な課題へと押し上げましょう。

さらにもう一つ、ぜひみなさんに呼び掛けたいのは、安倍政治を覆す「与野党共闘」の形成へとみなさんの眼を向けていただきたいということです。
米軍基地建設反対の運動の中で与野党共闘を実現した沖縄に学んでです。いや大阪でも維新による都構想に対して部分的な与野党共闘が実現したこともありました。こうした可能性をもっと追及していきましょう。
その中でも重要なのが災害対策です。なぜか。真にリアルに「国を守る」ことを考えるならば、東南海トラフ地震をはじめ大地震や大水害などに備えることこそが内政の最重要課題だからです。

アメリカ軍の補完勢力として自衛隊を海外展開しようとしている安倍政権には、こうした現実の危機から国を守ろうとするリアリティがまったくありません。
そもそもこの原発列島を軍隊で守り抜くのは不可能です。さらに日本列島を襲うさまざまな自然災害に対して、軍備はなんらの役にも立ちません。イージス艦が何隻あったって台風一つ、撃ち落とやしないのです。
にもかかわらず安倍政権は、中央構造線という大きな断層帯の上に立つ伊方原発の再稼働を進めようとしています。まったくもって愚かの窮みです。

さらに原発問題だけでなく、現政権は災害対策のリアリティに立っていません。実はその際たるものが憲法改悪の筆頭に上げられつつある「緊急事態条項」の新設の画策なのでもあります。
東日本大震災で辛酸をなめた東北の首長たちは、大災害に対してむしろ地方自治体の権限の強化を求めています。一部の国家官僚が災害への対応のすべてを見通すことなど不可能だからです。
もっと大胆に現場の裁量を認め、それぞれの地域に力を付けていくことが災害対策の基本なのです。そうでなければ世界的な気候変動の中での災害発生におぼつかないのです。

必要なのは国より自治体へ権限を渡し、現場の臨機応変な対応力をアップしていくこと。行政に任せきりでなく市民の力、災害に対する市民の能動性を底上げしていくことです。
真っ当に災害対策を進めていくことが問われているのですが、この領域では地域を守る意識の強い保守の方たちとの人たちとの連携が可能です。災害対策はイデオロギー的相違を一度横において取り組むことができるからです。
おそらく今回、鹿児島でもこうした意識変化が劇的に進んだのでしょう。

またこうしたことに関わり、保守の方たちと地域で連携してみるとすぐにも見えてくるのは、総じて各地域の「保守」と呼ばれる方たちが、今や「中央」の安倍政権と大きくズレていることです。
これは僕自身が篠山市で原子力災害対策に関わってくる中でも実感してきたことです。保守の方たちの多くがけして安倍政権が進めようとしているような戦争政策など望んでいません。自民党改憲草案にあるような独裁国家の出現も望んでいません。
安倍政治は実は広範な自民党の地域組織の中にすら浸透しきっていないのです。

沖縄では数年前からこうした与党の中の矛盾と亀裂が深まり、伝統的な野党共闘の上をいく基地反対の与野党共闘が成立しました。そしていま、福島や東北でも新しい流れが動き出しています。
これらを踏まえて、私たちはいま、自民党支持層、公明党ないし創価学会支持層に大胆に平和の訴えを広げていくことを進めましょう。
私たちはこれまでの支持層への訴えにとどまっていてはいけないし、とどまっている必要もありません。伝統的な保守層にこそ訴えを広げていく必要があるのです。そのことで与党の支持基盤の中に平和の声を広げていきましょう。

なぜなら保守層の方たちもまた大切に思ってきたこの国の平和を危機にさらし、貧富の格差も拡大して、コミュニティをバラバラにしているのが安倍政権なのだからです。
私たちにとって問われているのは「保守層は変わらない、〇〇の会員に呼び掛けてもダメだ・・・」という発想を過去のものとすることです。
いやそのためにも保守とか革新とかいう枠組みも越えて、およそ「連中は〇〇だからダメだ」というあらゆる固定観念を捨て、まずは意見の違う他者、他党派、他勢力に話を聴きにいき、その上で自分の主張を説得する行為を広めましょう。

とくに保守層、自民党や公明党・創価学会支持者の人々との接点を増やしましょう。各地のJAにも話にいきましょう。伝統的な自民党支持を止めた方々の話を傾聴しましょう。
保守層の中にもあの戦争の悲惨な体験を悲しみ、心の底から平和を愛している人々はたくさんいるのです。繰り返しますがこうした人々の多くは安倍政治を全面的に支持しているわけではありません。
実はそこにも安倍政権が、選挙になると争点を徹底してぼかす根拠があります。安倍政治の姿が選挙の前に鮮明になったら、保守票が離れて行ってしまうのです。

だからこそこうした人々にこちらから近づきましょう。誠意をもって安倍政権が保守層の人々をも手酷く裏切っていることを懇切丁寧に解き明かしていきましょう。
同時に革新層への懸念がどこにあるのかにも虚心坦懐に耳を傾け、正すべきものを正していきましょう。
そうした行為を地道に重ねていけば、僕は安倍政権を孤立に追い込むことはまったく可能だと思います。

そのためにも「マスコミがちゃんと報道しないから悪い」とか「無関心層が悪い」とかの言葉ももう封印しましょう。それではマスコミや無関心層を遠ざけるだけです。
マスコミがちゃんと報道しないなら報道するように働きかけ、良い記事を書いている記者さんを応援しましょう。
無関心層をなくしたいのならその人々にもっと近づき、その深層心理に迫って、心ある説得を進めましょう。

こうした粘り強い行動を貫けば、安倍政権を倒すことは絶対に可能です。
いや安倍政権を倒すと言う小さなことよりも、この国のこれまでの政治的土壌を根本的に入れ替えるような大仕事も僕は可能になると思います。
頑張りましょう!

終わり

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明日に向けて(1280)原発と放射能に関する知恵を高め市民力をアップしよう!(講演のお知らせ)

2016年07月15日 23時30分00秒 | 講演予定一覧

守田です。(20160715 23:30)

選挙が終わって多くの方が何はともあれ一息ついている時だと思いますが、さっそく次に向けて各地に講演に出向きます。
遅い告知で恐縮ですが、その初めは明日(16日)午後、奈良県橿原市中央公民館においてです。
奈良教組養護教員部の主催です。

みなさん、身体に関するさまざまなことにとくに興味があるので、内部被曝のメカニズムや、被曝した場合の対処の仕方、食べ物の選び方などをしっかり教えて欲しいとのことで、パワーポイントを作り込みました。
被曝と障害者差別の問題にもしっかりと触れます。
今日の明日で間に合わないかもしれませんが、一般の当日参加も可能だそうですので、可能な方はぜひお越しください。

翌17日の日曜日は、午前中に滋賀県近江舞子でのある企画に顔を出してから、新快速と新幹線を乗り継いで岡山に向かいます。
「放射能汚染防止法」を制定しよう!というきわめて重要な講演・ワークショップに参加します。講師としてではなく一参加者としてです。(主催者からお招きいただけました)
場所は岡山コンベンションセンター403会議室。15時から18時までの開催です。

福島原発がまったくコントロールできず、今なお放射能を垂れ流しが止められない状態の中で、政府は膨大に出てきた放射性物質の全国へのバラマキを行おうとしています。
このままでは日本中が核のゴミにされてしまう。そのことと同時に被曝防護がより杜撰にな、被曝強要が強まることはセットです。だからこそこの暴挙を食い止める必要性があります。
僕自身、徹底して学ぶために岡山まで駆けつけます。お近くの方、ぜひご参加下さい。

18日には新幹線とJR特急を乗り継いで京都府北部の宮津市に向かいます。原発ゼロをめざす宮津・与謝ネットワーク総会で講演させていただきます。
みやづ歴史の館大会議室で13時半から16時までです。
いただいているタイトルは「熊本震災の経験からあらたに原発問題を問う」です。この内容に沿ってじっくりとお話します。

翌週になりますが、7月24日に岡山県瀬戸内市前島の「啓明学院 前島キャンプ」にて20日から29日にかけて行われている「瀬戸内交流プロジェクト」に参加し講演します。
保養キャンプでのお話です。一般の方の参加も可能だそうです。

この他、27日に京都市内の市民環境研究所で放射性廃棄物問題の学習会を僕が講師となって行います。
17日に行われる岡山の学習会で学んだことなども披露します。

ともあれ暴走する安倍政権の憲法改悪と戦争への道を食い止めるには市民力を上げることが一番。
学習に継ぐ学習、討論に継ぐ討論で賢くなっていきましょう。賢くなって、命と平和を守り、発展させていく力を培いましょう。
可能な場にぜひお越しください!

*****

7月16日 奈良県橿原市

奈良教組 養護教員部学習会

『放射能・原発からの身の守り方』
 ~未来へ命をつなぐ知恵を学ぼう~

ジャーナリストの守田敏也さんをお招きして、学習会を開催します。
5年前に福島で何が起こったかを私たちは忘れかけていませんか?悲しくも私たちにとって放射能は身近な物となってしまいました。
原発とは、放射能とは何なのか?科学と歴史の視点からとても分かりやすく解説してくださいます。
放射能から私たちの命と健康を私たち自身で守る力をより強くするために、みんなで学びましょう。
みなさんお誘いあわせの上、多数ご参加ください!

日時 2016年7月16日(土)
   13:30~15:30(受付13:15~) 
場所 橿原中央公民館 研修室(2階)
講師 守田敏也さん (ジャーナリスト)

参加申し込みは奈良教組までFAXで!(FAX0742-64-1023)
当日参加もOK

*****

7月17日 岡山県岡山市

「放射能汚染防止法」を制定しよう
HKB47市民勉強会 IN岡山2016

2016年7月17日
15:00~18:00(開場14:30)

会場:岡山コンベンションセンター 403会議室(定員30名)
 〒700‐0024 岡山県岡山市北区駅元町14-1
参加費:1000円

講師:山本行雄弁護士
プログラム
15:00~16:10 山本先生講演会『放射能汚染防止法』について
(休憩)
16:30~質疑応答・ワークショップ

【山本行雄弁護士 プロフィール】
「法の空白」となっている放射性物質を規制し、排出者責任等を盛り込んだ「放射能汚染防止法」の法整備を提唱。
各地で市民勉強会を開催。札幌市在住。
今年2月には参院議員会館で院内集会を行った。

「放射能汚染防止法制定を」罰則を新設
札幌発の市民運動
(東京新聞、2016.2.17)
http://lituum.exblog.jp/25397056/

お問い合わせ先: 上田(080‐6304‐1360)

*****

7月18日 京都府宮津市

原発ゼロをめざす宮津・与謝ネットワーク総会と講演
~熊本震災の経験からあらたに原発問題を問う~

講演:守田敏也さん(フリーライター)
「原発からの命の守り方」

○2016年7月18日
○みやづ歴史の館大会議室
○13:30~16:00

13:30 あいさつ
13:35 ゼロネット活動報告
13:50 活動交流
14:20 休憩
14:30 講演「原発からの命の守り方」

~原発の想定を超す熊本地震~
 地震学者も「想定外の地震」と発言する熊本震災が起きました。マグニチュード7の地震が2度もあり、震度1以上の地震は1400回を超えました。
 重力加速度は1580ガルを超え、原発設計基準の500~700ガルはるかに超えています。
 活断層は日本中にあり分かっているだけで2000、分かっていないものはその3倍以上と言われています。
このような地震は日本のどこに起きてもおかしくないといわれている今、危険な原発はやっぱり動かしてはいけないし、なくしていかなければなりません。

主催 原発ゼロをめざす宮津・与謝ネットワーク
連絡先:与謝地方教育文化センター内0772-22-0321

*****

7月24日 岡山県瀬戸内市

せとうち交流プロジェクト
「啓明学院 前島キャンプ」にて7月20日~29日に開催
http://setouchi-kouryu-project.com/program-2016/

この中の企画として24日午後に守田敏也講演を行います!

全国各地の保養イベントで放射能について、世界の原発事情について講演会をしているフリーライターの守田さん。
放射能からの身を守り方、食についてのお話しや、防災の話など、幅広いテーマを分かりやすくお話ししてくださいます。

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明日に向けて(1279)参院選の結果から見えるもの・・・安倍政権を倒す可能性はここにある!

2016年07月13日 08時00分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160713 08:00)

歴史的な参院選が終わりました。戦争への流れや憲法改悪への流れを食い止めんとそれぞれの場で奮闘されたみなさん、どうもお疲れさまでした。
問題はこの間の奮闘を次の展開にどうつなげるかだと思います。そのことに頭を使い抜きましょう。
そのために選挙の捉え返しを行っておこうと思います。

まず何よりも改憲勢力の3分の2席獲得を食い止められなかったことは残念ですしとても悔しいです。
改憲派の獲得議席は77。当初のラインとされた78議席はぎりぎりで阻止できましたが、非改選議員の4人が改憲派となったため、3分の2をわずかに上回ってしまいました。
これをうけて、さっそく安倍首相から選挙中はまったく出ていなかった改憲の言葉が出始めました。私たちは今後、この流れと全面対決していく必要があります。

その場合、何を捉え返しておく必要があるでしょうか。
今回の安倍与党の選挙の勝利のカギはまたしても完全な争点ぼかしでした。これはこの間の一貫したやり方です。
7月5日の高知新聞にこの点で非常に象徴的な記事が出ました。

 【参院選 土佐から】改憲への「3分の2」 高知で83%意味知らず
 2016.07.05 08:45
 http://www.kochinews.co.jp/article/32968/

高知新聞の記者たちが高知市内で100人に「3分の2」の意味を問うたところ、なんと83人が知らなかったというのです。理解していたのはわずかに17人。
これほど重要なことに8割超の人が気づかないままに選挙が行われてしまったわけです。まったくの騙しの世界です。
しかし今回の選挙ではこの「国民総騙し」という言える構造が通用しなかったところ、ほころびが見えたところも結構あり、それが野党共闘の勝利に繋がりました。

もっとも顕著だったのは沖縄です。与党の閣僚である島尻安伊子沖縄・北方担当相が、島ぐるみ共闘が推した伊波洋一氏に完敗しました。
同じく福島でも与党閣僚である岩城光英法務相が、野党共闘の増子輝彦氏に敗れました。
とても象徴的な気がします。安倍政権がもっとも強権的に襲いかかっている沖縄と、被曝地への帰還強制が行われている福島で現職閣僚が落とされたのです。

さらに一人区でも象徴的だったのは秋田をのぞく東北全県で野党共闘が勝利したことです。野党共闘はこの東北と地続きで柏崎刈羽原発を抱える新潟県でも勝利しました。
ちなみに東北と新潟は、明治維新の際に最後まで新政権に抵抗した土地柄です。會津藩を中心に奥羽越列藩同盟を形成し、抵抗線が闘われました。今でもこの地域の人々はこの戦いを「南北戦争」と呼んでいます。
このときも東北で唯一維新政府側についたのは秋田でした・・・。

その後、長い間、東北地方は日本の経済成長の踏み台になってきました。東電の福島・柏崎刈羽原発はその歴史を象徴もしています。東京に電力を供給していながら、東電の管内の外に作られているからです。
危ないことが分かっているから東京からうんと離して作り、東北電力を電源として稼動させて、遠く離れた東京に電力を送らせてきたのです。

もちろん今回の選挙で、この歴史まで意識した票はそれほど多くはないかもしれませんが、問題は東北が再び三度、棄民政策に遭おうとしていることです。
大震災からの復興も途上なのに、東京オリンピックの大嘘による獲得以降、ゼネコンの多くが東京にひきあげてしまったことに顕著なごとく、酷い切り捨て政策が行われているのです。
そればかりではありません。農業の強いこれらの地域にとって「TPP断固反対」を唱えていた自民党の政権与党になったとたんのたちまちの裏切りは、さらに棄民政策を際立たせるものになっています。

こうした状態の中で、もういい加減、自民党に騙されるのは止めようと言う流れが強まり、東北のJAの多くが伝統だった自民党推薦を止めたのでした。
今回の東北・新潟での野党共闘の秋田をのぞく勝利にはこうした流れがあったことがみてとれます。

同じくかつて満蒙開拓団をもっとも多く輩出して辛酸をなめ尽くした長野で野党共闘が勝利したことも象徴的なことのように僕には思えます。
山梨、三重、大分の勝利は、民進党がなんとか牙城を守ったものと言えると思うのですが、しかしその勝利にも野党共闘の効果が極めて強く表れていました。

実はこれら激戦が予想された選挙区を自民党は「重点区」と位置づけていました。安倍首相もこれらの県を繰り返し遊説しました。以下の12選挙区です。
青森、岩手、宮城、山形、福島、新潟、長野、山梨、三重、滋賀、大分、沖縄。
しかしこのうち惜しくも野党共闘が敗れたのは滋賀のみで11勝1敗という結果でした。その滋賀選挙区もかなり肉薄した上での惜敗でした。
もちろんこの勝利の内、幾つかは薄氷踏んだ末のものでしたが、それだけにJAが自民党推薦を止めたことが大きな作用を及ぼしたと言えます。その意味でこれらの地域では選挙に関わった人々のさまざまな努力が大きな成果に結びつきました。

そもそも参議院選の1人区は小選挙区であり、しかも農村を基盤としていてもともと自民党に有利な選挙区です。このため野党共闘が成立しなかった前回選挙ではなんと与党の29勝2敗という結果をもたらしました。
こうした民意の反映しない選挙のあり方そのものが今後問い直されるべきですが、今回その1人区で11議席も野党共闘が獲得できたのは極めて大きなことです。
端的に言って保守層の一部が野党共闘側にまわったのです。このことをしっかりと見据えておくことが大事です。

さて今回はもう一つ、極めて特徴的なことがありました。参院選と同時に行われた鹿児島知事選で、現職の伊藤祐一郎氏を脱原発派の三反園訓氏が破ったことです。これまた凄い。
三反園氏は「熊本地震を受け、原発をいったん停止して再検査し、活断層の調査をすべきだ」と訴えて当選しました。これで稼働原発が再びゼロになる可能性も出てきました。
明らかに熊本・九州地震のあの最中に、川内原発が停められなかったことへの不安、怒りがこの結果に結びついたのです。大分の勝利にもこれが幾分かは影響していたと思われます。
残念ながら野党共闘はまだ原発ゼロ共闘にまで発展はしていないので、熊本や鹿児島での参院選には・・・争点ぼかしによって・・・十分に波及しきらなかったのでしょう。

こうしてみると安倍政権の悪政による被害がより顕著に見えだしているところでとくに野党共闘がうまく機能したと言えることが見えてきます。
この点から見えてくることは、安倍与党の戦略は徹底した争点ぼかしによる議席の獲得ですが、矛盾が表面化しているところではそれが通用しなくなっているということです。
とくに与党を支持してきた人々からの離反が始まっていることが極めて重要です。

だとすれば大事なポイントは、こちらからどんどん積極的に安倍政治の矛盾を明らかにし、争点を作っていくことだということです。
とくに安倍政権の狙う憲法改悪ステップでは国民投票というハードルがあるわけで、こればかりは争点隠しができません。この点をしっかりと見据えておく必要があります。
もちろん安倍政権はその点を踏まえて、「受け入れやすいものから」行ってくるでしょう。あるいは緊急事態条項がそれでしょう。
しかしそうであれば今から、こちらから、この条項がどんなに民主主義に反するものであり、なおかつ緊急事態への対応そのものとしても役に立たないものであるかを積極的に明らかにすることが大切です。

この点でもぜひとも注目しておくべきことは、すでに東北各県の知事たちが、東日本大震災の教訓として「こんな非常大権はいらない。むしろ地方自治体の権限を上げて欲しい。その方がリアルな対策がとれる」という声をあげていることです。
僕自身、災害対策に積極的に取り組んできているので、その点のリアリティからもこうした発言を増やしていきたいと思います。
これも含めて「改憲」論議を与党のペースでやらせず、こちら側からどんどん争点を作りだしていくこと、そのための大きな運動を草の根的に巻き起こしていくことが重要です。

また「国民投票」ばかりでなく衆院解散-総選挙も近いうちに行われる可能性がありますが、これに向けても今から積極的な準備をしていきましょう。
数ある小選挙区で再び野党共闘を成立させることが大きなポイントです。
そのために今回の11勝がどのように実現されたのか、また滋賀を含めていかに肉薄した選挙戦が展開できたのか、学ぶべき点を積極的に交流しあい、互いの力に変えていきましょう。

安倍政治は大きくほころび始めています。冷静に分析すれば今回の選挙にもそれが象徴されていたことが分かります。
このことをしっかりと見据えて、ただちに次に向かって歩み始めましょう!

続く

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守田敏也 MORITA Toshiya
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[著書]『原発からの命の守り方』(海象社)
http://www.kaizosha.co.jp/HTML/DEKaizo58.html
[共著]『内部被曝』(岩波ブックレット)
https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-270832-4

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明日に向けて(1278)憲法と平和を守るために選挙に行こう!

2016年07月06日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160706 23:30)

このところ講演や選挙の応援演説などで猛烈に各地を走り回っており、なかなか「明日に向けて」が書けない日々が続いています。
申し訳なく思いますが、ともあれ憲法と平和の行く末がかかったこの選挙戦の最終版に、みなさんへのアピールを行おうと思います。


今回の選挙での大きな課題は、憲法違反の戦争法を強行可決した安倍政権の暴走を許さないことです。
ぜひそのために戦争法反対で成立した野党共闘のもと、統一候補が立っている場合にはその方を、また複数区の場合はもっともこうしたことを推し進めうる候補を応援して欲しいです。

戦争法で自衛隊が連携する相手は、沖縄で島袋りなさんをレイプして殺害したような人物を生んでいるアメリカ海兵隊やアメリカ軍です。
あんな事件が起こることには理由があります。海兵隊が人を直接に殺す部隊で残酷な訓練を行っているからです。

新人訓練では個性を徹底的に潰してどんな命令にもイエッサーと言わせる訓練をしています。
耳元で繰り返し聴くに堪えない差別的な言葉を叫んで兵士を罵倒し、イエッサーと言わせ続けます。
そのことで人権意識を摩滅させ、どんな理不尽な命令にも従う兵士を作っていくのです。

例えば海兵隊は新兵訓練でミリタリーケイデンスという歌を歌います。ランニングしながらみんなで唱和して走るのです。
どんな歌なのか。ベトナム戦争の時に実際に歌われていたフレーズはこうです。

I wanna Rape Kill Pillage・ Burn,annnn・ Eat dead Baaa-bies
レイプするぞ  ぶっ殺すぞ  ぶんどって 焼き捨てて 死んだ赤ん坊を 食ってやる

あるいはこんな歌も歌います。

ママとパパはベッドでゴロゴロ ママが転がり、こう言った 
お願い、欲しいの・・・ しごいて!

不愉快になったら申し訳ありませんが、でも本当にこんな歌を歌ってきたのです。
なんでこんな歌を歌わせるのか。新兵の心を残虐な行為にならしていくためです。
同時に兵士たちの人間としての温かい心を支えているお父さんとお母さんを愚弄し、親の愛との絆を断つためです。

とくに重視されているのが心の中のお母さんを殺すことです。そうでないとアメリカの平均的な青年は殺人ができないのです。
こんな残虐な自分をみてお母さんはどう思うだろうという気持ちが若者にとっての暴力の最も大きな抑制力だからです。
それを潰し切った時、人は、若者は、殺人マシーンに変えられてしまいます。
だから軍隊、とくに海兵隊は残虐な集団になるとともに性暴力にも親和的になってしまうのです。

そもそも性暴力は米軍の中でも多発しています。アフガン・イラク戦争に派遣された米軍女性兵士のなんと33%がレイプ被害にあっているそうです。
あるいは2012年には全軍で14000人もの男性兵士がレイプにあっています。米軍の中でレイプ被害は実数では男性兵士の方が多いほどです。
しかもこれらの数は「勇気ある告発」でやっと明らかになった数であり、実際にはもっと多くのレイプが行われています。

私たちが知っておくべきことは、こんな米軍にそもそも犯罪が繰り返されるごとに叫ばれる「綱紀粛正」などできるわけがないことです。
そのためには殺人訓練を止める必要があるからです。

同時に大事なことは、こんな海兵隊と一緒に行動し戦闘を共にするためには、自衛官も同じような人格破綻者=殺人マシーンにしなければならないことです。
それでなければ戦争ができないからですが、そんなことは絶対に認められません。

若者を人殺しマシーンにすることが心の中の親を、お母さんを、殺すことならば、私たちはその反対の道を行きましょう!
若者に、子どもに、「戦争に行くな。人を殺すな。レイプをするな。略奪をするな」と心を込めて語り続けましょう。
人を愛することの尊さと素晴らしさを、何度でも語り聞かせましょう。

そのためにも今こそ国会の場で大きく人権思想を輝かせていく必要があります。愛を語れる議員を増やしていく必要があります。
これにもっともふさわしい、ないし「近い」とみなさんが思う候補を力強く応援してください!


同時に今回の選挙では国会で安倍与党と改憲勢力が3分の2の議席を獲得して憲法を変えようとすることを阻止することが重要な争点です。
野党共闘はこのためにも成立が促進され、参院選のすべての一人区で統一候補が誕生しました。かつてない画期的なことですが、これは平和を願う多くの人々のさまざまな努力によって達成されたものです。
その意味で誰もが努力を傾けた結果ですが、僕はここであえて誰よりも貢献した政党の名を上げるなら日本共産党だと思っています。
平和のために、憲法を守るためにもっとも大きな譲歩をされたからです。心から感謝したいと思います。

ただ一方でみておかなければならないのは、野党共闘はまだ原発ゼロにまで成長はしてないことです。
ご存知のように熊本や九州で大変な地震がありました。4月14日益城町で震度7の地震が起こり、さらに16日にも、震度7の地震が起こりました。観測史上初めてのことです。
さらに4月14日から5月14日までの震度1以上の地震回数は1440回、昨年1年間の日本全体の同じ地震総数1842回の実に8割が一月でおこってしまったのです。
これも観測史上初めてのこと。このことは現代科学はまだまだ地震のことをはっきりとつかめていないことを示しました。

にもかかわらず今回揺れた断層の近くにある川内原発はとまりませんでした。まったくもって愚かしいです。
さらに大きな断層帯である中央構造線の上に乗っている伊方原発が7月末に再稼働させられようとしています。
さらに6月20日には老朽化して40年も経っている高浜原発1、2号機の20年の運転延長すらが認められてしまいました。

これらに共通する点でとくに重要なのは、高浜も川内も伊方も同じ三菱重工製の加圧水型と呼ばれる原発で致命的な欠陥を抱えていることです。蒸気発生器と呼ばれる部品です。
炉心の中を150気圧300度の熱湯を回していて、それと細管で接して二次冷却水に熱を移し、蒸気を発生させてタービンを回す大きな部品なのですが、この細管に穴があいて壊れるとても深刻な事故が繰り返されているのです。
そのため三菱は何度も蒸気発生器に改良を加え、古いものを新しいものに交換していますが、この技術が未確立なのです。

どういうことかというと、2008年にアメリカで作られたサンオノフレ原発に三菱が最新型の蒸気発生器を輸出し、2010年に交換が行われたのですが、これがとりかえて2年も経たないうちに大きな事故を起こしてしまったのです。
このためアメリカの原子力規制庁が査察に入ったのですが、最終的な答えは危険すぎて修理不能だというもので、なんとこの原発は廃炉になり、三菱は9300億円もの損害賠償を請求されています。

このことが川内原発にも波及しました。川内1号機は最新型に交換してから再稼働を迎えたのですが、2号機は最新型をすぐそばまで運び込んでいたにも関わらず交換をやめて旧型のまま再稼働を迎えたのです。
サンオノフレで致命的な事故があったので最新型が怖くなったのだと思いますが、でももともともとの部品が老朽化して危険だと判断されたから交換する予定だったのです。
だから川内1号機は最新型をつけているから危険であり、2号機は古い老朽化したものをつけたままだから危険なのです。

ましてや高浜1号機2号機はあちこちが古びていますから危険度もっと高い。
こんな形で原発を再稼働するのはばくちをうつようなものです。私たちの命をさらす全くもって愚かで許しがたいばくちです。

この流れを止めるためには原発ゼロを訴える議員の数を増やす必要があります。
そのもとで野党共闘がさらに原発ゼロ共闘に育って行って欲しい。これをみんなで実現したいと思います。
そのためにも今回の選挙で、原発反対を唱える議席を大きく伸びすために努力しましょう。とくに比例区にはこうした観点も踏まえて臨むことが大切だと思います。

みなさん。憲法と平和を守り、危険な原発を停めるために選挙に行きましょう!投票を呼びかけましょう!
最後までみんなで力を振り絞りましょう!

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明日に向けて(1277)「放射線を浴びたX年後」について語り合う(川口美砂さんとの対談-6終わり)

2016年06月28日 10時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160628 10:30)

6月24日から26日の後藤さんとのジョイント企画、各地でたくさんの方にご参加いただき大成功でした。
おいおいご報告を載せていきたいと思います。

今回は川口美砂さんとの対談の最終回をお届けします。

ちなみに26日深夜に放送された以下の番組はご覧になられたでしょうか。
その後も続く川口さんの聴き取りに感動しました。
お父さんと一緒の船に乗られ、大変親しくされたいたおんちゃんも登場していました・・・。

 NNNドキュメント’16
 『汚名 〜放射線を浴びたX年後〜』(1時間・日本テレビ)
 放送時間 6月26日(日) 深夜24時55分〜
 語り 樹木希林
 https://www.facebook.com/video.php?v=1042961179126965

見逃された方、再放送があります!ぜひこちらで!

 再放送:7月3日(日)11:00~ BS日テレ
 7月3日(日)5:00~/24:00~ CS「日テレNEWS24」 

 詳しくは以下から
 https://www.facebook.com/nnndocument/

それでは川口さんの対談の最終回、質疑応答の後半部分をお届けします。

*****

連載第6回

京都「被爆2世3世の会」2016年度年次総会
記念トーク「父の死が放射線のためだと知った時」
川口美砂×守田敏也

感想交流と質疑応答の時間(抜粋)-2

倉本
3つ質問です。
①妹さんはどういう経緯で川口さんを『X年後1』を観ることに誘われたのでしょうか?
②自分とは関係ないと思っていたことが、お父さんとの関係で当事者であると自覚されるようになってきた。その時の感想は?
③労災申請は、一人でもできる手続きではあるけれども、それほど簡単ではないと思います。結構勉強しなければならない。高知県にも民医連があるのでアドバイスを受けられればいいのではないでしょか。

川口
①『X年後1』の上映が東京で行われていた時、たまたま室戸市出身の人がそれを観ていて、「この映画は室戸でやらな(上映しなければ)アカンやろう」と思って、地元の人と一緒に企画されたのですね。
それで室戸市で上映されることになって、それを妹が知って、私を誘ってくれたのです。
②被曝とか放射能とかは自分とは無縁のものと思っていたので、身近にいた父が被ばくしていた事実を知った時、すごく戸惑いました。
自分が二世だということも理解しました。でも今、そのことを率先して話題にすることはちょっとまだできないでいます。二世なんていうと、室戸の私の世代、妹もそうですが、ほぼ全員そうなるのですね。
さらに日本国中マグロ漁船はあります。マグロ漁船だけではないのです。
一つ聞いたことがあるのは、大型の外洋貨物船に当時乗り組んでいたおじさんがいて、事件後すぐに健康診断を受けたのだそうです。つまり事情を分っていて経済的に対応力があり、かつ意識の高いところではちゃんとそういうことをしていたのですね。
ところがマグロ漁船の船員さんたちは全然何もされていない。もし定期健診が義務付けられていたら、ガンも初期に見つかったかもしれない。そういう悔しさも持っています。当事者として。
③労災申請のアドバイスありがとうございます。申請手続きは、私ぐらいの人間でもできると思っています。ただその先は非常に難しいということは私の耳にも届いています。
第五福竜丸のみなさんの申請は受理されましたけど、他のマグロ漁船の船員さんたちの申請は非常に険しい途が待ち構えているのでしょうね。でも、何人も何人もやっている内にかなうこともきはっとあるだろうと思っています。それが今の私の支えです。

井坂
午前中の原水爆被災者懇談会の総会でも報告があったのですが、昨年が被爆70年で、被爆者の平均年齢も80歳を超えました。80歳も超えて被爆者がどんどん亡くなっていく中で、あの被爆当時、広島・長崎で何が起きたのかを語る人がどんどん少なくなっている。それで、川口さんがおっしゃいましたが、1954年のビキニで、働き盛りの30代の方たちが経験したことというのは今の被爆者の平均年齢と合致しますよね。
私の父も昨年87歳で亡くなりました。父が当時のことをしゃべりだしたのはその一年前なのです。それまでは私がいろいろ聞き出そうとしてもなかなか語ろうとはしなかった。
亡くなる一年前になって鮮明に記憶していたことを突然しゃべりだした。入市被爆して見た光景を思い出して語りながら「あんなむごいことをしてはいけん」と言いました。

川口さんが一生懸命聞き取りされている被曝された人たちの思いというのは、船主などから言われて、自分の中では何とか被曝というものを消し去ろうとしてしてきた思いが、解きほぐされたということがあったのではないかと思います。
素朴な質問ですが、映画のタイトル『X年後』ですが、Xの意味ですが、X年後とはどれぐらいのイメージなのかと。今、福島原発事故という大きなことがあって、それはわりとオープンに語られていて、今がX年後ではないかという気がしながら、でもまだまだ

隠蔽しようとする動きがある中で、国民的、世界的に明らかにしていくX年後というのがこの映画のテーマなのかと思いますけど、映画製作に参加された川口さんの思いと、守田さんのX年後についてのお考えを聞かせて下さい。

川口
X年後というのは、起こってから、どれぐらい経てば何かが分るという一つの暗示としてのXだと思うんですね。実際にビキニ事件に関しては、山下先生や伊東監督は長く関わってこられましたけど、世の中にはまだほとんど伝わっていないというのが現状だと思うのです。被曝をされた方も高齢になられてきましたが、高齢になってしまって消えていくのを待つことはできません。着地点はないと私は認識しています。

守田
「X年後」というタイトルを監督がつけた理由はさきほど紹介したこの本の中に書いてあるのですが、僕が思うのは、X年後は多分一人ひとりにとってのX年後なのだと思います。X年後が実は数ヶ月後だった方もあるのですよね。
漁から帰られてすぐに亡くなられた方もおられたわけですから。これまで僕が見聞してきたことからすると、人間の放射線に対する感受性には個人差、個体差が相当あるのだと思うのです。
感受性が強い方は影響が早く出るだろうし、弱い方はもっと後から出てくる。一人ひとりにとって、X年後がそれぞれにあるというのが実際ではないでしょうか。今X年後が来ている方もあるし、もっと早く来た方もある。逆に大丈夫な方もあるでしょう。

一般参加者
先ほど被ばく二世という言葉がありましたけれど、私は40歳で、親は1946年生まれです。1962年まで頻繁に核実験されていたので、ひょっとしたら私の親も被ばく者で、私も二世かもしれない。
食べものにどれほど放射性物質が当てられているか分りませんが、ひょっとすると私自身が被ばく当事者かもしれないと思いました。
川口さんにお聞きしたいのは、聞き取り調査をされていて、怒りはありましたか?映画を観ていると、真実を明らかにしようとするすごく強いメッセージがあるわけではなく、淡々と「こういうことがありました、ああいうことがありました」というふうに映画は構成されていたように思うのです。
「アメリカが憎い」とか、「日本政府が悪い」とかおっしゃるわけでもなく、大変な人にはこんなサポートをしていきたいとおっしゃるわけなのですけれど、怒りというものをどこかに向けられていなかったのかな、ということをお聞きしてみたかったのです。

川口
いろんなことを知るごとに、何も知らされていなかったおんちゃんたちのことを思います。第五福竜丸でさえも、あの時、読売新聞のスクープがなかったら闇に葬られていたのだと思います。
1954年の10ヶ月間の記録は確かにあったので、情報開示を求めて父のことを知ることができました。怒りはやっぱりあります。何も漁師に通告しないまま「無かったことにしよう」とされたことにやっぱり怒りますよ。
怒りますけど、拳を挙げて政治や思想を語ることは私はしない。私の知恵や能力のこともありますし。

漁師のおんちゃんたちは格好いいです。話していても苦労話や恨み話は言わない。思い出話と武勇伝ばかりです。
魚を捨てたことはおそらく怒っているのでしょうけど、本当は漁師のおんちゃんたちこそ怒って当たり前なのですけれど、そういう態度はしないのです。
そういう漁師のおんちゃんたちに寄り添っているわけですから、私がけしかけるような訴えをしようなんて気持ちには絶対にならないのです。怒りはあります。ありますけどそれを表に出してヒステリックに叫ぶようなことは今後も多分ないでしょう。

守田
映画を観ていて思いましたけど、まず「捨て置かれた被害者」という前に、すごく誇り高く生きてきた漁師さんたちの姿と、それに思いを馳せようとするものが強く出ているのですね。
そしてその中に悲しみとか怒りとかも折り込まれているのだと思うのです。漁師さんたちも、悲しみ、怒りをぶちまけるのではなくて、雄々しく生きてきた自分を保とうとして語られているのではないかと思いました。
それに本当に寄り添って、そのスタンスからこの時にあったことを語り継いでいった方が、真実がより伝わるのではないかという気がしています。
漁師さんたちに寄り添っていて、そんな漁師さんたちが次々と亡くなっていってきたことに深い悲しみと怒りを持ちながら、しかしそれ以上の愛情でもってこの問題を解き明かしていくことが大事なのだと思います。
すべてのみなさんの幸福のために、この漁師さんたちが辿ってきたことを明らかにしていくことが大切だし、漁師さんたちも何よりもそれを望まれているのではないかと思います。

川口
最後に、今日はみなさん長時間ありがとうございました。守田さんにかなりフォローしていただきましたが、私の拙い話がみなさんにどこまで届いたか不安です。
とにかく一人でも多くの方々にこのビキニ事件の真実を知って欲しいと強く思っております。
本当に今日はありがとうございました。

(了)

連載終わり

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守田敏也 MORITA Toshiya
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[著書]『原発からの命の守り方』(海象社)
http://www.kaizosha.co.jp/HTML/DEKaizo58.html
[共著]『内部被曝』(岩波ブックレット)
https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-270832-4

 

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明日に向けて(1276)「放射線を浴びたX年後」について語り合う(川口美砂さんとの対談ー5)

2016年06月23日 08時00分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(2016623 08:00)

5回にわたって掲載してきた川口美砂さんとの対談の最終回をお届けします。
今回は対談後の会場との質疑応答部分です。対談には盛り込めなかった話がずいぶんフォローしてもらえました。

なおすでにお知らせしましたが、6月26日に『放射線を浴びたX年後2』の「その後」とでも言える番組が6月26日深夜にテレビで放映されます。
ぜひご覧下さい。

NNNドキュメント’16
『汚名 〜放射線を浴びたX年後〜』(1時間・日本テレビ)
放送時間 6月26日(日) 深夜24時55分〜
語り 樹木希林
https://www.facebook.com/video.php?v=1042961179126965

ちなみに僕はこれから京都府北部の綾部市に向かいます。
今日から綾部・舞鶴・高浜・舞鶴・向日・彦根とまわってきます。明日からは後藤政志さんと一緒です。
次の「明日に向けて」の配信は、この旅の後になる予定です・・・。

*****

感想交流と質疑応答の時間 (抜粋)

守田
これからは是非、みなさんからも質問とかご意見を伺いたいと思いますが、初めに僕のことを少しお話させて下さい。
僕にとってもこの映画とのつながりは特別なものがありまして、『X年後1』は2012年に上映されたものですけれど、その前に2011年の7月にこの映画の作成に参加された方々が京都に来てシンポジュウムを開かれたのです。
高橋博子さんや山下先生などが来られたのですけど、その中に琉球大学の矢ヶ崎克馬先生もおられました。矢ヶ崎さんは内部被曝研究の第一人者で、僕はその矢ヶ崎さんに会うためにこのシンポジュウムに出かけて行ったのです。

2011年3月11日に福島第一原発事故があったとき、僕はそれまで「日本で原発事故があったら政府は絶対に住民をきちんと逃がしてはくれない」という確信があったので、もしもそうなったら、自分の近くの原発だったらとっと逃げる、遠いところだったら逃げることを呼びかけると、前から決めていて、すぐに避難することを訴えだしたのです。
ところがそんな僕も、原発の危険性について見識は積み上げていたのですが、被曝そのものには向い合ったことがなかったので、そのメカニズムについてもよく知らなかったのです。

でもそのことについては専門家がたくさんいるのだから、その内に次々に出てきて、被曝がいかに危険なことかを人々に伝えてくれると思って、そういう人の登場を待っていたのです。ところが待てど暮らせど出てこない。
出てこないどころか「被曝はたいして危険ではない。少しなら安全だ」とか言うとんでもない人ばかり出てきて、ひどいことになってきました。この時、「これも俺がやらなければいけないのか」と悟って、すごくショックを受けたことを覚えています。

でももうやるしかないと考えて、ではどうしたらいいだのろうと思って、ネットをずっと検索していたら、「これは」と思えた方が肥田舜太郎さんと矢ヶ崎克馬さんでした。この方たちのおっしゃっていることを広めるのが良いのではないかと思いました。
そうしたら岩波書店から「守田さん、『世界』誌上で肥田さんのインタビューをしてくれませんか?」という話が飛び込んできました。そして丁度、肥田さんにインタビューにうかがう前日が、京都でのシンポジウムの日だったのです。
僕はその前に矢ヶ崎さんの書かれた『隠された被曝』という著書を読んで、「素晴らしい。素晴らしいけれど、これを普通の人が読み解くのは難しい」と思っていたので、当日の懇親会の席上で、矢ヶ崎さんの前に飛び出して行って「矢ヶ崎さん、この本を僕に翻訳させて下さい」と言ったのです。今、思えば失礼千万だったのですが、そうしたら矢ヶ崎さんは「そういうことを言ってくれる人が出てくるのを待ってました」とおっしゃって下さった。
それで翌日に肥田先生にお会いしてインタビューするとともに、矢ヶ崎さんからのインタビューで構成した『内部被曝』(岩波ブックレット)を作ったのです。こう考えると、この映画のスキームの中で肥田先生や矢ヶ崎さんとも出会えたと言えます。

その後に『X年後2』ができました。その『X年後2』を僕に最初に紹介してくれたのは、僕の親友の気功師の方なのですけれど、なんとその方が川口さんと何十年来の友だちだったのです。なんという偶然のつながりなのだろうと思いました。
それで川口さんが京都の上映会で挨拶される時、是非、お会いしたいと駆け付けて、お話して、もうその場で今日の対談をお誘いしたのです。
ここでも僕は、核の被害に遭われた方に、その無念さや思いを「お前が代わりに語れ」、そして「人々の未来の幸せに役だたせよ」と言われているような気がしています。
それで今日こういう形でお話しさせていただいて、とてもありがたいことだと思っています。この経験を次の何かに大切につなげていきたいと思います。


まず感想からですが、私も前作『X年後1』を観た時、非常に衝撃的で、これで日本の歴史は書き変えられなければならない、教科書も書き換えられなければならない、と思った、そういうインパクトのある映画でした。
次の『X年後2』が公開されると聞いた時、おそらく『X年後1』で告発された真実というものがもっと広く明らかにされて、追及されて行くのがストーリーの中心だろうと、いわば面的な広さを勝手に想像していました。

事実そういう側面もありましたけど、『X年後2』の後半で、80歳を超えた高齢の方が登場され、自分は生きてるけれど息子が41歳でガンでなくなったという告白のシーンを観た時、私が直感的に思ったのは、ビキニの被災者にも2世がいるんだというということでした。当然、ビキニの被災者にも家族があり、お子さんやお孫さんがあって当たり前なのですけれど、そのことの深い意味に初めて思い至ったような感じでした。
そして、今にして思えば自分自身迂闊だったなと思ったのは、映画の主人公である川口さんや、それから映画にも登場される漫画家の和気さんたち、あの人たちも、後でパンフレットを見て、年齢とかお父さんの被ばくされた年度とかを見て、2世ではないかと思いました。おそらくご本人たちにはそういう2世とか3世とかいう思いは、私たちと同じようにはないだろうと思うし、そういうことを押しつけるつもりも全然ないのですけれど。

何が言いたいかと言うと、『X年後1』が『X年後2』でさらに広がっていくと同時に、それは水平的な広がりだけではなく、世代を超えた深みのようなものをすごく感じたわけです。
しかもそれは2世にあたる川口さんのような方が映画の中心になって真相を究めていこうとする、そこに2作目の映画の凄さというか、深みのようなものを、とても強く感じて、今日もとてもいい企画にしていただけたなと思いました。
質問は、今全国で上映会、舞台あいさつもされていますが、全国で聞かれている反応、感想などありましたら是非紹介して下さい。

川口
一番代表的な反応、感想は、「知らなかった」「事実を教えてくれてありがとう」というものですね。ほとんどの人が知らなかった。
『X年後1』を観られている方はある程度知識をもって来られていますが、『X年後2』で初めて観られた方は、とても衝撃的で、「こんなことがあったのか」と思われます。
他にこんなエピソードもありました。岩手県の宮古で上映会があった時、岩手県は石川啄木の故郷なのですが、父が啄木が好きだったことを知って「啄木の碑が港のこのあたりにあるよ」とか、「私は啄木のこの歌が好きだった」とか言っていただけた方がおられました。父に対して、そうやって思いを込めて観てくれているのだなあと、個人的にはとても印象的でした。

萩原
私は福島県の郡山市から避難してきています。外部被曝はしていないと思いますけれど、いろんな事情が重なって内部被曝したと確信しています。大変な被曝症状が出て、京都に来てから食材を変えたら体調が良くなってきた経験をしています。
それで3点質問があります。
①漁師さんたちは汚染されたマグロを食べたというお話ですが、どれくらいの期間、だれだけの量を食べられたのでしょうか?
②原発事故後、子どもの避難者の中には乳歯が抜けた後に新しい歯が1年以上もはえてこないという人がいます。漁師さんたちの中に似たようなことはないでしょうか?
③映画のパンフレットに「文部科学省選定」とあるのですが、私たちは政府といろんな交渉をしていてとても冷たい人たちだと感じています。文科省選定というのはすごいことなのではないかと思いますけれど、どうしたらこんなに選定を受けらけれるのですか?

川口
①マグロ船の漁師は、木造船時代は冷凍設備がないので、氷を積んでそこに野菜とか食料を入れて行くのですが、食料が無くなると釣った魚の傷ものとかをほぼ毎日食べていました。
釣ったものを捌いて、生で食べたり、焼いて食べたりしたのですね。1回の航海で40日ぐらい。年に5~6回は航海に出ていました。

②歯の抜ける話は、とても印象的な例は、聞き取りの訪問先の方が末期ガンで苦しまれていましたが、話を始めると目がランランと輝き始め、昭和29年当時のビキニ事件のことや航海のお話をして下さいました。
その方は30代で奥歯のガンになられていました。削って処置されたのですが、若い頃から晩年にかけて全身に転移して、次に訪問した時には亡くなっていました。非常に印象に深く残っている方です。
それから30代後半で歯が全部抜けてしまったいう漁師さんもいらっしゃいました。その方もビキニで操業されていた方です。
私が聞き取りさせていただいた漁師さんもまだ少なく100人にもなっていません。いろんな症状にこれからも出遭っていくのではないかと思います。歯についてはそういうことでこれまでに2件ありました。
聞き取りでは病気された時の話を中心に聞いていますので、健康状態など日常の体調についてはこれまでは聞いていないのですね。症状をお聞きすると、盲腸が多かったり、背骨を悪くされている方が多いですかね。
私の父は糖尿病があったのですけれど、伊東監督のお話では漁師さんたちに糖尿病の患者さんは結構いるらしいとのことでした。
③文科省の推薦は政府とか政治とかは関係なくて、文科省の中の映像部門というところがあって、映像の研究者などが委員となり、その方々が認定審査を行ない、そこで作品が評価されているのだと認識しています。

守田
今の質疑はとても重要なところで、放射線被曝でどういうことが起きるのか、まだ分っていないことの方が圧倒的に多いのですね。だから見過ごされていることも凄く多いのだと思います。
私たちの行なった「被爆二世の健康実態調査」でも、行なってみたら、みんな小さい頃よく鼻血を出していたというこれまであまり分っていなかった事実が浮き上がってきたり、二世、三世の間であまり話されていなかったことがいっぱい出てきました。
そこに調査の重要性があると思います。

続く

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明日に向けて(1275)原発の寿命延長と老朽化の考え方(後藤政志さん談)

2016年06月22日 08時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160622 08:30)

後藤政志さんと6月24日舞鶴、25日向日市、26日彦根と講演と対談でご一緒させていただくことに向けて、後藤さんの最新のネットでの発信を前回より文字起こししています。
今回は後半の部分、「原発の寿命延長と老朽化の考え方」についてです。
ちょうど6月20日に、原子力規制委員会が高浜原発1号機2号機の40年を超えた使用延長への認可を与えてしまったことも踏まえつつ、ぜひ以下の後藤さんの指摘をお読み下さい。
(今回も文字起こし文の責任は守田にあります)

*****

科学の原則を無視した原子力規制
2016年5月25日公開 後藤政志
https://www.youtube.com/watch?v=gFNmpcA3qlA&feature=youtu.be

②原発の寿命延長と老朽化の考え方

もう一つ、最近の重要な話をします。原発の寿命延長の話が出ています。40年延長の議論が盛んにされています。その時に老朽化の問題、40年を超えてどうこうという問題には当然、幾つかの技術的課題があります。
代表的なものが原子炉の内部構造物の照射脆化、中性子があたって金属が脆くなる。とくに圧力容器、原子炉容器が万一のときは脆化して割れてしまう可能性があるということを口にされる。だからものすごく慎重になるのですね。
それで知見をつけてデータをとりながらやる。ですがここにいろいろな不確定性がある。どうも、予測式の間違いさえ指摘されています。

それから容器や配管の腐食・疲労・減肉・SCC(応力腐食割れ)、こういうものの壊れ方がいっぱいあって欠陥が時間と共に増えるわけですね。そうすると初期のころは問題はないのですけれども、10年、20年、30年となるとだんだんそれが溜まってくるわけです。

そうすると思わぬところに欠陥を内包しているというのが常識なのですね。同時に鉄筋コンクリートも劣化して亀裂が入る。亀裂と言うのは乾燥収縮といってコンクリートが乾く段階で小さな亀裂が入ります。さらに地震が加わると大きな亀裂が入っていく。
しかし亀裂が少々入っても、実は鉄筋コンクリートは簡単には壊れない。力をけっこう受けられる。ただし亀裂が生じるとそこから水が入って鉄筋が腐食するのです。ですから老朽化したときに怖いのは鉄筋の腐食なのです。コンクリート自身の劣化もあります。
いずれにせよ、鉄筋コンクリートといえども長い間経つと劣化があって、とくに亀裂が入ると、構造物の剛性といって硬さが変わるわけですね。すると揺れ方が変わるというのが大きな問題です。

それともう一つはケーブルの劣化です。ケーブルが劣化しますとケーブル間がショートします。絶縁によってケーブルとケーブルの間に電気が流れないようになっていますが、絶縁抵抗が減ってショートしてしまうと当然、いろいろな問題が起こる。
かなり深刻な問題なことが起こるのです。そういうことがきちんとできなくなるのが老朽化問題です。

これに関して私の申し上げたいことは、これについては「維持基準」といって、検査のやり方、どうやって検査をして判断するかの基準があります。
それはいいのですが、検査をして欠陥がなければOKということになるわけです。これは他にしょうがないからと言えばそうなのですけれども、ここが問題なのです。
実は実際には原子炉圧力容器も、全部検査できるか、溶接線を全部できるかというと検査ができないところがある。なぜかというと複雑になっていてものを外したくても溶接線を出して検査できない場所がある。
そういうところはできる範囲でやれば良いとなっている。本当にそれでいいのだろうかということです。

さらに非破壊検査などでいろいろなデータがでたときに、これは傷があるのかないのか、大きさはどうだとか、欠陥に対して、本当に大丈夫か大丈夫でないのか、いわゆるグレーゾーンの問題が起こります。
グレーゾーンのときにどうするかということが、きちんと安全側の評価基準になっていないと、極めて危ないわけですね。そういうことが言えます。

ですからここからが一番私の言いたいことの一つになるのですけれども、欠陥というものがあるのは危険なのは明らかですね。しかし欠陥が見つからないといういことは本当に安全なのかということです。
まあ、一般的には調べて「欠陥が見つからなければいいよね」となるのは分かりますけれども、老朽化した原発というのは40年経っていてそこら中に欠陥があることが推測されるのです。

老朽化しているということは、それだけ欠陥が多く多発している、容器や配管で言えば腐食とか疲労とか減肉、応力腐食割れ、こういうことが発生している蓋然性が高いのですよ。そのときに発見できなかったらいいというのはおかしい。
その時は全部確かめたらいいというべきであって、確かめられないのだったらホールドをかける。つまり「確かめることができないので、安全に運転できるとは言えない。だからちょっと待て」というのが原則です。
そうすると安全が確認できない、少なくとも主要な部位が検査がてきない場合、これは諦めて廃炉にすると言うのが当たり前だと思うのですね。
それが貫かれないようなら原子力規制はあってなきがごとしで、老朽化原発についての非常に問題なところだと思います。

これは考え方によるわけですけれども、福島でもまさかと思った電源喪失をしています。こういう形である面では技術的には常識的なこと、それがあったらダメなことを分かっていることを甘くみた結果が福島なのですね。
同じことなのです。老朽化して「いや調べたよ。調べた範囲はなかったよ」と。だけど「分からない場は当然あるよ」と。そこはたまたま見落としてしまった。では見落としたのは許されるのかと言うとこれは許されない。
40年経っているのですから。見落としなんてありえない。あっちゃいけない。だから40年が原則なのです。
それを超えていいというのは特別な原則として全部を見たからいいと。そういう関係になるということを忘れてはいけない。このことは一番老朽化問題のキモなわけですね。そのことを忘れて細かい議論をしても意味がないというのが私の意見です。

もちろん個々の問題について追及していくことは必要だと思います。ですけれども大原則としてそういうものの見方が一番大切であると私なりに感じましたので今日はあえてそういう話をさせていただきました。
どうもありがとうございました。

(後藤さん談・終わり)

以下、後藤さんの講演会と守田との対談連続企画をお知らせします。

*****

ほんとに大丈夫?私たちのまち(舞鶴)
https://www.facebook.com/events/2046900525535211/

6月24日 19:00
舞鶴市政記念館

講師 後藤 政志さん
コーディネーター 守田 敏也さん

主催 子どもの未来を考える舞鶴ママの会

*****

原発をなくす向日市民の会 第5回
記念講演会・総会のお知らせ

日時 6月25日(土) 1時30分開場 2~4時
第1部  記念講演 講師 後藤政志さん
     後藤政志さんと守田敏也さんのトーク
第2部 第5回総会
場所 慶昌院 (寺戸町西野2)
*年会費を集めます。講演は無料ですが、会場でカンパを募ります

お問い合わせは TEL/FAX(事務局 筒井) 075-931-3788
メールアドレス genpatsu.zero.20120714@gmail.com

*****

原発学習会「原発のほんまのこと」
https://www.facebook.com/events/1613695418958424/

2016年6月26日 13:30 - 17:00
滋賀大学経済学部 第6講義室(校舎棟1階)
〒522-8522 滋賀県 彦根市馬場1-1-1

原発技術者の後藤政志さんと、ジャーナリストの守田敏也さんに原発の実態について詳しくお伺いします。

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守田敏也 MORITA Toshiya
[blog] http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011
[website] http://toshikyoto.com/
[twitter] https://twitter.com/toshikyoto
[facebook] https://www.facebook.com/toshiya.morita.90

[著書]『原発からの命の守り方』(海象社)
http://www.kaizosha.co.jp/HTML/DEKaizo58.html
[共著]『内部被曝』(岩波ブックレット)
https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-270832-4

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明日に向けて(1274)科学の原則を無視した原子力規制(後藤政志さん談)

2016年06月21日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1201~1300)

守田です。(20160621 23:30)

川口さんとの対談の最終章(質疑応答部分)がまだ残っているのですが、元格納容器設計者の後藤政志さんとのジョイント企画が迫ってきましたので今回はそのことを特集します。
まず後藤さんとご一緒させていただく企画ですが、6月24日舞鶴市、25日に向日市、26日彦根市と3日連続で行います。いずれの場でもまずは1時間、後藤さんにお話いただいて、後の1時間、僕が対談させていただきます。
それぞれの企画の案内を最後に貼りつけますので、詳細はそちらをご覧下さい。

今回は後藤さんがネットで話されている最新の見解をご紹介します。
以下のYouTubeでのお話を2回に分けてお伝えします。
なお今回も文字起こしした上で、一部、話し言葉を書き言葉に改めていますので、文責は守田にあります。この点をご注意ください。

*****

科学の原則を無視した原子力規制
2016年5月25日公開 後藤政志
https://www.youtube.com/watch?v=gFNmpcA3qlA&feature=youtu.be

①科学の原則を無視した原子力規制

原子力規制では常に「科学的」という言葉が使われます。しかしどうも気になるのは「科学的に最新のデータを基に」とか言ったときに本当に中身を伴っているのかです。
「科学的」と言えばすべてが客観性を帯びるかのように言われるふしがあるのですけれども、中身が伴っていない場合が多い。
科学的な言葉を使いながら、科学的な実証性や、誰しもが認める客観性を伴わないままに科学的という装いをもって、すごく主観的なことが言われている。というより規制においても使われているのではないかという危惧を持ちます。

そもそも科学と言うものは、仮説、理屈上こういうことではないかという説を建てるわけですね。それを実験やデータその他によって実質的に証明する。それが実証性です。
科学では仮説の段階は科学の入り口でありまして、実証されてない段階は、「実証されてない」と言わなくてはいけないのです。
ところが、これは地震とか津波とかを専門的にやっている方にお叱りをうけるかもしれませんけれども、あえて私なりに言わせていただくと、研究として理論的な部分はその通りで、ある面で科学的な理論を建てて、調べながらやっている。それはそう思います。

ただ内容で、土のメカニズム、壊れ方、地球のプレートがぶつかってこすれて摩擦でひずみが集中して跳ね返ってとか、その途中が壊れるとか、直下型の断層の地震とかですね。そういうものの壊れ方が絡んでいます。
そうすると理論上は分かっているけれども、データで全部カバーできるわけではないのです。
つい最近でも南海トラフの話で、全体のひずみが5センチぐらい動いていると、これは大変なことだと、今までと違った結論になると、その限りでは科学的な話をしています。
ですけどそれを原子力規制において、そのひずみからどういう地震が来ると分かるかというと実証性がないのです。それをもとにあたかも「何ガル」ということを(分かっているかのように-守田補足)出してくる。私はこれはおかしいと思います。
原子力規制の根幹の問題です。

可能性としてこれが一番高いということは言えるかもしれないけれどもそれで断定できないのは明らかです。
この科学の実証性ということでは、裁判でも課題になっていましたけれども、活断層の長さと地震のエネルギーはある相関関係にある。平均化すると活断層の長さが分かると地震の規模が分かるというのが地震学の理論なのですね。データを平均化していわれる。
ですけれどそれはばらつきがある。しかも大きなばらつきがあるというのがある種の常識なわけです。ところがそれが科学的にあたかも真の値であるかのごとく喧伝されていく。それが非常におかしいわけです。

地震のエネルギーについて分かっていることと分からないことがあって、熊本の地震を見ると分からないことだらけなのですね。
今まで余震、本震という言葉を使ってきましたけれども、今回は震度7の地震が2回もおきて、最初のは実は本震ではなくて前震だったという定義づけがされました。
ある意味では科学者が後付けて解釈したわけですが、問題なのは解釈をするのはよろしいと思いますが、予測の段階で信憑性が問われるときには、分からないことを分かっているように言うなということなのです。

こういう風に思われてこういう可能性が高い。例えばひずみがこうたまってきたからこういう可能性が高い。そこまでは言っていいと思うのですね。しかしそうだけれど、「それはどこまで言えて、ここは分からない」とはっきり言うべきなのです。
だからテレビを見ているとこういう状況になることを予知できなくてはいけない。予知できるようにやって欲しい。予知を出してくれとみなさんが言うわけですがそれは無理な面があるのです。科学的にできないことを予知できると言うのはナンセンスなのです。

私は地震学者ではありません。工学者ですが、物が壊れる破壊現象は扱ってきています。破壊現象というのは非常に不確定なもので、断定しがたい。不確定性がいろいろある。ある場合には確率がからんでくることになります。
たかだか人工物でもそうですから地球規模ではより大きな不確定性があるのは明らかなのですね。その不確定性をなぜに科学者が明確に言わないのか。それは科学者としての怠慢であり、科学者として許されないことだと思います。
とくに社会的に影響のあることについてはまずいと思います。

もちろんきちんと話されている方も存じ上げています。しかしそうでない方も結構いる。それが問題だと思います。それにのっかって規制が動いている。この間代表的だったのは地震もそうですけれども火山ですね。
川内原発の火山の話を観ますと火山学者がとても(噴火を-守田補足)予測できないと言っているのに、原子力規制委員会の方は、火山が動くのは何万年とか十万年とかの単位なので、十分にその前に予知をして使用済み燃料を取り出せるのだと言っています。
それは何に基づいているのかというと「科学的」という「科学に基づいている」という嘘っぱちです。科学的に分かりもしないことを科学と称して勝手に引用している。

日本はとくに「科学」に対しての幻想が大きすぎます。「科学的」ということをもってものを考えていますけれども、実は非科学的です。科学的ではまったくない。単なる推測の域を出ない。占いの域を出ません。
そんなものをもとに原子力規制をやるというのは根幹が間違っているということになるのです。

それに関連して申し上げたいのはリスクについてです。リスクをテイクするという場合、どういうリスクがあるか。例えばどういう地震でどのようにプラントが壊れるか、それによってどこの人たちが被害を受けるかということになります。
そのリスクを背負う、被害を受ける人たちがどういう人たちなのかということと、もともとになる原発の有用性とリスクを比較します。
そのときに有用性を理由にリスクを押し付けているわけです。これは大都市と現地の人たちの問題です。原発のリスクを一番抱えているのは、原発の地元、近くが多いです。

それに対して原発の利益を受けるのは電力会社が一番ですが、大都市の人たちなわけですね。つまりリスクと有用性、メリットが明確にならなければいけないわけですが、リスクのすり替えと押しつけが行われている。最悪です。
こういうことを止めようというのが私の意見です。それが科学的な装いのもとになされていることが非常に気になることです。

もう一つ付け加えると、原子力規制では完全な安全はできないのです。本質的安全はできない。フェールセーフといって、何があっても安全側に落とすということができない。
だから「多層防護」といって、安全対策を5段階に分けて、第一が突破されたら第二、第二が突破されたら第三と考えている。
もともとは軍事用語なのですが、これでもって多層防護でやるからいいのだと言っているわけですけれども、多層防護というのは突破されてやむを得ないからやるのであって、そもそも突破されるなどということがあってはいけないのですね。
働かない安全装置は安全装置ではないのです。安全学の中で一番大事にするのですけれども、何かが壊れて使い物にならなくなるならそれは安全装置ではない。それが安全学の常識なのです。

例えば火災報知器だって火災でケーブルが焼けてしまうのならそれは火災報知器ではないのです。火災で情報が出ませんから。本来では火災で断線したら火災報知器がなるようなシステムになっていなくてはならない。
しかしそうなってないものがいっぱいある。原発はその典型です。これが「科学を無視した原子力規制」ということについての私の意見です。

(後半に続く)

以下、後藤さんの講演会と守田との対談連続企画をお知らせします。

*****

ほんとに大丈夫?私たちのまち(舞鶴)
https://www.facebook.com/events/2046900525535211/

6月24日 19:00
舞鶴市政記念館

講師 後藤 政志さん
コーディネーター 守田 敏也さん

主催 子どもの未来を考える舞鶴ママの会

*****

原発をなくす向日市民の会 第5回
記念講演会・総会のお知らせ

日時 6月25日(土) 1時30分開場 2~4時
第1部  記念講演 講師 後藤政志さん
     後藤政志さんと守田敏也さんのトーク
第2部 第5回総会
場所 慶昌院 (寺戸町西野2)
*年会費を集めます。講演は無料ですが、会場でカンパを募ります

お問い合わせは TEL/FAX(事務局 筒井) 075-931-3788
メールアドレス genpatsu.zero.20120714@gmail.com

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原発学習会「原発のほんまのこと」
https://www.facebook.com/events/1613695418958424/

2016年6月26日 13:30 - 17:00
滋賀大学経済学部 第6講義室(校舎棟1階)
〒522-8522 滋賀県 彦根市馬場1-1-1

原発技術者の後藤政志さんと、ジャーナリストの守田敏也さんに原発の実態について詳しくお伺いします。

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守田敏也 MORITA Toshiya
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[著書]『原発からの命の守り方』(海象社)
http://www.kaizosha.co.jp/HTML/DEKaizo58.html
[共著]『内部被曝』(岩波ブックレット)
https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-270832-4

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