安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る4.27集会の帰途、関西各線に乗る

2024-04-28 21:19:41 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る4.27集会」については、後日、当研究会会長の報告内容を掲載する予定だが、この集会の帰途、関西各線に乗車した。

【完乗達成】阪急京都本線、嵐山線、京福電鉄嵐山本線、北野線、京阪本線

この結果、今年新年に掲げた目標「5路線乗車」を一気に達成してしまった。今年はまだ8か月あるので、目標を10路線乗車に上方修正する。

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2023年 鉄道全線完乗達成状況まとめ

2023-12-30 22:04:12 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
年の瀬も押し詰まり、ここで2023年の鉄道全線完乗達成状況をまとめる。

【2月】関東鉄道竜ヶ崎線、常総線
【7月】富山地方鉄道不二越・上滝線、立山線、富山ライトレール(富山駅~岩瀬浜;奪還)、立山ケーブル富山地鉄本線、黒部峡谷鉄道、相鉄新横浜線、東急新横浜線、京急大師線、逗子線、本線
【10月】宇都宮ライトレール
【11月】福岡市営地下鉄七隈線(博多~天神南;奪還)

以上のとおり、7社13線(参考記録を含めると8社14線)となった。内訳は以下のとおり。

【大手私鉄】3社5線(相鉄新横浜線、東急新横浜線、京急大師線、逗子線、本線)
【中小私鉄】5社7線(関東鉄道竜ヶ崎線、常総線、富山地方鉄道不二越・上滝線、立山線、富山ライトレール、黒部峡谷鉄道、宇都宮ライトレール)
【公営】1社1線(福岡市営地下鉄七隈線)
【参考記録】立山ケーブル富山地鉄本線

また、現(奪還含む)/廃/新の別では、廃止予定線はなく、新規開業(開業日から1年以内)が相鉄新横浜線、東急新横浜線、宇都宮ライトレールの3社3線。現存路線のうち奪還(延長開業区間を全線乗車したことによる「完乗タイトル奪還」)が2社2線(富山ライトレール、福岡市営地下鉄七隈線)で、残りは現存路線の未乗車区間に乗車したものである。

立山ケーブル富山地鉄本線はケーブルカーで、鉄道事業法適用(索道事業)であるものの、鉄道にも軌道にも含まれないため、当ブログのルールでは参考記録として正式記録には含めないことにしているが、これを含めて8社14線にも上る。

2023年の新年目標は5路線乗車だったが、大幅に超過達成した7月に目標を15路線乗車まで大幅に上方修正した。上方修正後の目標にはわずか1路線及ばず達成できなかったが、年初に掲げた5路線は軽く達成した。

特に7月は、史上最悪レベルの猛暑の中、参考記録含めわずか1か月の間に7社10線に乗車しており、我ながら狂っているとしか言いようがない。ほとんど休みらしい休みは取っておらず、体調面でよく乗り切れたなぁと今振り返ってもつくづく思う。

2023年は自分で自分を褒めてあげたいと思う。そして、来年以降はもっと無理なく自分のペースで全線乗車活動をしていけたら、と思う。2024年の目標は年明けに発表予定である。

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第4回「全国未成線・廃線サミット」参加(2日目)~エクスカーションでトロッコ列車に乗り、紅葉真っ盛りの高千穂峡を巡る

2023-11-26 23:17:39 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
高千穂町内のホテルで朝食。8時過ぎにチェックアウトするが、帰りのバスに乗るまで使うことのないキャリーバックをホテルで預かってもらう(宿泊客のこのような要望には、ほとんどのホテルは応じてくれる)。サミット2日目の「エクスカーション」参加者は、高千穂町武道館に朝9時に集合だ。交通機関がないことは前日に調査済みで、距離は約1kmと歩けない距離ではないため、歩いて向かう。

武道館に8:45頃到着すると、さすが地方は朝に強い。ほとんどの人が集まってきている。町のマイクロバスで旧高千穂駅に向かう。エクスカーションの最初は「高千穂あまてらす鉄道」のトロッコに乗車する。通常料金は1,800円だが、サミット参加者はエクスカーション参加費に含まれている。

駅に着くと、昨日のサミットで高千穂鉄道の復活を大まじめに語っていた齊藤拓由・同社副社長が待っている。実は齊藤さんは、廃止前の高千穂鉄道で運転士を務めていた。鉄橋に向かったトロッコが戻ってくるまでの間、動態保存のレールバスを駅構内で往復させるので、乗せてくれるという。早速乗り込む。

<動画>2023.11.26 旧高千穂鉄道保存レールバス 高千穂駅構内試運転



レールバスが往復して高千穂駅に戻った後、待つことしばし。トロッコが戻ってくるので、乗り込む。高千穂鉄橋は川の水面からの高さが105mもあり、東アジアで最も高い鉄道鉄橋だ。廃線でこのまま朽ちてしまうにはあまりにもったいない。トロッコ運転はもっと評価されるべきだろう。

2023.11.26 高千穂あまてらす鉄道トロッコ列車 高千穂駅から鉄橋まで



齊藤さんの説明に私は思わずのけぞった。高千穂あまてらす鉄道は法律上の鉄道ではない「遊具」扱いなので、鉄道のようなレールや枕木、駅舎、車両等の補修に対する補助は一切ない。傷んだ木製の枕木もすべて自社負担で交換しているが、なんと、交換後はコンクリート枕木にしているという。

確かに、コンクリート枕木は木製と比べ、傷みにくいため交換頻度を少なくできるメリットはある。しかしそれは長期間にわたって運転し続けなければならない通常鉄道の場合には考慮すべきことではあっても、いつまで続くかもわからない保存鉄道、それもトロッコ運転のためには過剰な投資ではないのか。現役の鉄道でも木製枕木のところがたくさんあるのに、トロッコしか走らない保存鉄道でコンクリート枕木なんて、鉄道の常識から考えれば「あり得ない」レベルの話である。齊藤さんの狙い通りに高千穂鉄道として復活後は貨物列車でも走らせるつもりなのか。

高千穂あまてらす鉄道乗車後は、「トンネルの駅 高千穂観光物産館」に行く。昨日の記事でも触れたとおり、旧高森線と高千穂線を連結する工事は凍結前に進められたが、異常湧水で中断、そのまま建設計画自体がなくなった。とはいえ、トンネルを何かに活用できないかと地元が思案した結果、気温は年間通じて7~17℃、湿度は70%でほぼ一定という「低温多湿」な特性を生かして、地元の酒造メーカー「神楽酒造」が焼酎の醸造をここで行っているという。

どんな方法で焼酎造りが行われているかは、以下の動画を参考にしてほしい。

2023.11.26 高千穂観光物産館 未成線トンネルを利用した焼酎熟成についての説明(by「神楽酒造」)



物産館の後はいよいよ高千穂峡だ。町のバスで移動する。観光客でごった返していた。

<写真>高千穂峡と言えばボート。絵はがきになりそうな写真が撮れた


<写真>標高が高い高千穂峡では、例年なら紅葉はすでに終わっているが、今年は記録的暑さだったためかなり遅れていて、今まさに見頃という


高千穂峡を30分ほど歩いてバスに戻る。今朝の出発地である高千穂町武道館で正午前、解散。1泊2日のサミットは全日程を終了した。

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帰りも宮崎~福岡で運行する高速バス「ごかせ号」を利用するが、高千穂バスターミナル発車は16:37で、なんと4時間以上もある。町内を歩いていると、「cafe terrace TAKACHIHOYA」なるギャラリー付きのカフェを発見。少し待って入る。地元産小麦にこだわったパンケーキを昼食とする。しばらく休んだり、ギャラリーの展示を見たりした後、午後3時半過ぎ、ホテルに預けていたキャリーバッグを回収。16:37発のごかせ号で20時過ぎ、博多駅バスターミナル着。一昨日と同じ場所に投宿し、帰途につく。

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第4回「全国未成線・廃線サミット」参加(1日目)~タレント六角精児さんのトークを聞く

2023-11-25 22:33:34 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
第4回全国未成線・廃線サミットin高千穂 鉄道遺産からの挑戦」に参加するため、宮崎県高千穂町に来ている。高千穂町を走っていた高千穂鉄道は2005年の水害からの復旧を断念し廃止となったが、そのせいでただでさえ遠かった高千穂町はさらに遠くなった。北海道から宮崎空港への直行便などあろうはずがなく、羽田や成田からの乗り継ぎ便でも高い航空賃を払った上に前泊しなければならない。それなら、陸上を安く移動できる九州内の方がましなので、千歳~福岡便に乗ることにし、昨日から福岡市内の旅館に泊まることにした。

せっかくなので、今年3月に延伸した福岡市営地下鉄七隈線博多~天神南の区間に乗車することにする。天神南から終点・橋本までの区間は、開業初年、2005年の年末に乗車している(参考記事:当ブログ2006年1月21日付記事「福岡市営地下鉄七隈線、苦戦す。」)。天神南~橋本の開業から実に18年かかったわけだ。

〔完乗達成〕福岡市営地下鉄七隈線(奪還)

延伸区間を全区間乗車したため、七隈線を「奪還」した。博多~天神南は2023年3月に延長開業しており、1年以内の乗車だが、当ブログの全線乗車ルールでは「独立した名称を持つ線路の全区間に、その開業から1年以内に乗車した場合」のみを新規開業線の完乗として扱うことにしている。今回のように延長開業区間に1年以内に乗車して「奪還」をしても、新規開業線の完全乗車には含めないことになる。

2023年の完乗達成路線は、8社14線(参考記録を含めると9社15線)。7月に上方修正した今年の目標、15線にあと1線と迫った。参考記録を含めると15線に到達したが、これを目標達成に含めるかどうかは、初のケースなので年末に最終的に決めたい。

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博多駅バスターミナルを朝8:25に発車する高速バス「ごかせ号」で高千穂へ。熊本県内の一般道路が水害で崩壊しているため30分遅延と宮崎交通ホームページには書かれていたが、実際は高千穂バスターミナルに11:50着。40分も早着だ。予定通りの到着時間であれば到着後に昼食を取る時間はないと思い、博多発車前に買っておいたパンを食べながら、これならもっと町内の飲食店を回れたな、と思う。

ただ、最近はコロナで飲食業界を離れた人手が戻ってこず、飲食店はどこも人手不足。かき入れ時なのに人手不足で休業や時間短縮していたり、営業していてもなかなか注文すら取りに来ないことも経験している。次のスケジュールありきで動いている旅先で、そんな状態の飲食店に多くをゆだねるわけに行かず、コロナ明け後はパンや弁当を事前調達することが増えた。この傾向はしばらく続きそうな気がする。サミット会場の国民宿舎「ホテル高千穂」には正午すぎ到着。受付を済ませる。

午後1時。サミットが始まる。冒頭、高千穂の魅力を発信する地元ケーブルテレビ局「ケーブルメディアワイワイ」制作のオープニング映像が流れる。20分ほどの映像だが、地元の魅力を良くまとめており、この会場参加者限りで終わってしまうのは惜しい(1日目終了後、会場に来ていた「ケーブルメディアワイワイ」関係者に、DVD発売や配信の予定はないのか聞いたが、現時点では未定とのこと。ただし、全国のケーブルテレビ網で後日放送の可能性はあるという)。

開会式では、主催者を代表して甲斐宗之・高千穂町長が挨拶。参加者へのお礼やサミットの意義などが述べられたが、なんと言っても特徴的だったのは甲斐町長がこのように述べたことだ。「私は、高千穂鉄道の廃線は天災ではなく人災だと思っている。過疎化が進み、中山間地域に住んで山の手入れをする人がいなくなった。ローカル線ばかりが災害に襲われるようになった」。

地方に長く住んでいると、櫛の歯が抜けるように、1人、また1人と中山間地域から人が出ていく様子がわかるのだろう。北海道でもエゾシカが札幌の市街地に出没するようになって久しいが、最近はこれに加え、ヒグマまでが市街地に出てくるようになった。人獣の境界線であり、土砂崩れをせき止めていた防災の要衝でもある中山間地域を人が住めないようにし、崩壊させた。それがローカル線の相次ぐ被災や人間生活圏への野生動物出没などいろいろな弊害を生んでいる。ひとつひとつは別々に見える問題は水面下でつながっているのだ。

甲斐町長には行政トップとしてのお立場もあり、国に不満があっても言えないことも当然ある。これくらいの発言でも「行政トップとしては思い切った発言だな」と実感する。これ以上は町長の立場上、難しいだろうから、ここはそのぶん私がそうした地方の声をここに伝えておきたい。地方を衰退させた政府の責任を問わなければならない局面だ。

未成線・廃線を抱える地域の「活動事例発表」では、島根大学大学院自然科学研究科環境システム科学専攻の平川真衣さんが「鉄道遺産『未成線』における活用実態とその課題」として全国の鉄道遺産の活用の実態やその課題等を報告した。私は、平川さんに直接お願いして報告スライド資料を入手したが、大変よくまとまっている。未成線跡・廃線跡の活用とはいえ、やはりそこで何かをやるには行政の資金面での支援が重要であることなどが明らかにされた。「どのようにすれば鉄道遺産の活用が軌道に乗るか」を明らかにしたという意味で大変有意義な発表だと思う。

この他、岩日線(未成線)を抱える山口県岩国市、南阿蘇鉄道(旧国鉄高森線)と高千穂鉄道(旧国鉄高千穂線)を結ぶ予定だった未成線トンネル工事が異常湧水で中止となった熊本県高森町、宮崎県日之影町、高千穂鉄道が2005年の大雨災害から復旧しないまま廃線の憂き目に遭った地元高千穂町からの報告が続いた。

高千穂鉄道に関しては、再開発された延岡市内の一部区間及び被災した区間を除き、線路や駅はほぼ完全に残されている。現役当時のレールバスも動態保存されており、いつでも動かすことができる。廃線跡の一部区間(高千穂駅~高千穂鉄橋)でトロッコ列車を運行するため、廃線後「高千穂あまてらす鉄道」が設立されたが、同社副社長の齊藤拓由さんは「いつの日か、高千穂鉄道を復活させるため、当時使われていたものはすべて残している」のだと、大まじめに話していた。私は、高千穂鉄道沿線が割と本気で復活を目指していることを伝え聞いてはいたが、ここまで本気とは思っていなかった。

ただ、終了後の質疑応答で、参加者から「復活までの具体的なプランはあるのか」と尋ねられた齊藤さんは「ありません」と答えていた。今のところは熱意だけのようだが、高千穂鉄道が廃線となった2005年当時、地域公共交通活性化再生法はまだなかった(制定は2007年)。今は法制度が変わっているため、当時はできなかった新たな枠組みがあり得るかもしれない。

延岡市内の線路は再開発でなくなっているが、7月に訪れた富山ライトレールのように、市街地区間のみLRTにする手もある(直通運転でなくても良い)。富山市や宇都宮ライトレールが画期的なのは、「在来線鉄道は廃止されるためにある」と思っていた日本人の後ろ向きなマインドを、いくばくかでも転換させるとともに、行政が本気になればいろいろなことができると市民に理解させたことにあると思っている。

休憩を挟んだ後半はいよいよ今日のメインであるトークイベントだ。NHK「呑み鉄本線・日本旅」でおなじみのタレント六角精児さんと、地元で活躍するフリーアナウンサー(鉄アナ)の田代剛さんが約1時間にわたって軽妙なトークを繰り広げる。

意外だったのは、六角精児さんが子どもの頃から鉄だったわけではないとわかったことだ。「元々はギャンブルにのめり込んでいて、このままでは身を持ち崩すと思った。ギャンブルからフェードアウトするために、他に熱中できる何かが必要だった。タレントとして、ロケなどで鉄道で移動しているうちに、あ、鉄道っていいなと思ったのがこの道に進むきっかけだった」(本人談)。

「未成線・廃線サミット」参加自治体が西日本に偏っており、東日本への展開を考える必要があることなど、お二人の指摘はきわめて適切だった。「今後、廃線が増えることが見込まれる中で、未成線・廃線跡を抱える地域が全国的に連携し、盛り上げていく上でどんなことができるか」との田代アナの質問に対し、六角精児さんは「交通機関として現役で走っている鉄道と違い、廃線跡活用は観光客だけに頼らなければならないため独特の難しさがある」とした上で、「いろいろ難しいとは思うけど、全国の未成線・廃線を抱える地域がスタンプラリーなどで盛り上げていってはどうか」と提案した。これなら大きな予算も必要ないし、今すぐ全国化は無理でも、参加できる地域から順に広げていく方法もある。現状ではベストでなくとも、ベターなアイデアだと私には思えた。

トークイベント後、売れっ子の六角さんが退場。第5回サミットの開催地である岩国市副市長に、甲斐町長から引き継ぎを行い、サミットは無事終了した。

<参考>国鉄時代の高森線(現・南阿蘇鉄道)の日常を記録した貴重な映画「鉄路の昭和史ー朝日ニュース「ある生活.赤字路線の駅を守って」」

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10月29日、宇都宮ライトレールに乗る

2023-11-05 19:19:51 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
10月28~29日の2日間、都内のイベントで「次世代へつなぐ地域の鉄道——国交省検討会提言を批判する」を発売するため上京したのに伴い、8月に開業したばかりの宇都宮ライトレールに乗ってきました。

<写真>芳賀・高根沢工業団地電停にて


28日朝に千歳を発ち、昼前に羽田着。28日夕方5時半から都内で人との約束があるため、正午過ぎの新幹線で宇都宮に行き、往復乗ったらすぐ新幹線で都内に戻るという超駆け足での訪問でした。そもそも宇都宮市自体、新幹線で何度も通過していますが、前回降り立ったのがいつか思い出せないほど久しぶりです。もしかすると、福島勤務時代に車で訪れて以来、10数年ぶりかもしれません。街の印象含め、率直に感じたことを書きます。

<写真>ライトレール乗り場 JR宇都宮駅と直結している


<写真>宇都宮電停から線路を望む


7月に富山市のライトレールに乗った際にも感じましたが、まちづくりと一体化した公共交通という、今後の1つの方向性を示しているのではないかというのが率直な印象です。

「平石」電停から「清陵高校前」電停まで専用軌道区間で、「清陵高校前」から「芳賀・高根沢工業団地」電停(終点)までの区間も道路上を走りますが、道路と線路は区切られています。

<写真>芳賀・高根沢工業団地電停からは横断歩道で直接工場に通じている


富山のライトレールと大きく違うのは、信号のコントロールがライトレール優先であることです。富山は路面電車の前を横切って右折する自動車を含め、通常信号と変わりませんが、宇都宮ライトレールは、道路側の信号を「赤」+「直進・左折矢印」表示にして、ライトレールが走る際に自動車が電車の前を横切って右折できないようにしていること。これによって定時運転を確保していました。

乗っている間、今までの路面電車と「何かが違う」と思っていましたが、専用軌道区間でも、道路との平面交差地点に踏切を置いていません。ライトレールが通るとき、平面交差する車道側の交通信号を赤にする運用になっていました。夜間など、踏切警報音による周辺住民からの苦情をなくせる上、電車の定時運転も確保できる新しい方法です(今の法制度では踏切の新設が認められないという事情もありますが)。

富山も宇都宮も、(私が乗りに行ったのがいずれも休日という点もありますが)乗客にとにかく若者層(運転免許を取れない18歳未満)が多かったことも印象的でした。

2017年に内閣府が行った「公共交通に関する世論調査」で「あなたは、鉄道やバスがもっと利用しやすければ、出かける回数が今より増えると思いますか」という質問に対し、「増えると思う」「少しは増えると思う」と答えた人の比率が、18~29歳までの若年層で最も高かった調査結果と合致しています(リンク先調査の8ページ、問3参照)。

今回、宇都宮ライトレールに特徴的なこととして、小さな子どもを連れた母親が、子どもの分の運賃もまとめて払うのではなく、子ども自身に現金を持たせ、払い方を覚えさせていたことです。親がまとめて払うやり方だと、子どもは親と一緒のときしか公共交通に乗れませんが、自分で払えるようにきちんと教えれば、子どもが自分1人だけでも乗車できるようになります。「次世代の公共交通の担い手」を、みずからの手で積極的に育てていこうという市民意識は、富山よりも宇都宮のほうが強いと感じました。

それはとてもいいことなのですが、気になる点もありました。家族連れが下車する際、大人はICカードで支払っていますが、子どもの分の半額運賃は、現金でしか支払えないことです。これだけ子どもの利用が多いのであれば、子ども用のICカードがあってもよいのでは? と感じました。

運賃箱の上に表示されている運賃が、大人表示のまま子どもに切り替えられないことも気になりました。たとえば150円区間の場合、子どもが現金払いをする際も表示は150円のまま、運転士が目視で80円(端数の5円は切り上げ)の投入を確認していました。

<写真>運賃箱


これだと、大人2人に子ども1人がまとめて下車するような場合、いくら払えばいいのかわからなくなりそうです。子どもが1人でも乗れるように育てようという意識がせっかく市民の側に生まれているのですから、せめて運賃表示が子ども用に切り替えられるよう、早急にシステムを改修すべきだと感じました。

路面を走る大都市中心部と、専用軌道を走る郊外区間を連結するという点では、富山も宇都宮も共通しており、今後のトレンドになりそうです。既存の鉄道でこの形態を取るものとしては、広島電鉄(市内線(路面)と宮島線(専用軌道)の直通)や筑豊電鉄などがありますが、今回、改めてこれらの先進性を感じました。

特に筑豊電鉄は、乗り入れしていた西鉄北九州市内線の路面電車が1992年に廃止されています。こんな時代が来ると思わず、何とか廃止を免れるのが精一杯の状況の中、生きながらえてきたのでしょう。それが、ぐるっと時代が1周し、「都心~郊外直通運転」が脚光を浴びる時代が再び来たのですから、世の中はわからないものです。

宇都宮名物の餃子を食べる暇すらなく、足早に宇都宮を後にしましたが、驚いたのは新幹線「やまびこ・つばさ」のうち「つばさ」編成から自由席がなくなっていたこと。帰宅後に調べたところ、2022年春改正から全車指定席化されていました。「はやぶさ」以外にしばらく乗っていなかったため、今回初めて気づきました。

しかも、行き帰りともに新幹線「やまびこ」指定席が売り切れで、自由席も満席のため、東京~宇都宮の全区間で立ちっぱなしだったことです。新幹線で、往復の全区間座れなかったのは、年末年始以外では初めてのことで驚きました。しかし、福島原発訴訟関係の用事でしばしば東京~福島・仙台間に乗っている妻によると「東北新幹線は最近はいつ乗ってもこんな状況」とのことでさらに驚きました。東北新幹線は需要に供給が追いついておらず、このままの状況が今後も続くのであれば、増結や増発などの抜本的対策が必要だと思います。

〔完乗達成〕宇都宮ライトレール

2023年の完乗達成路線は、7社13線(参考記録を含めると8社14線)。7月に上方修正した今年の目標、15線にあと2線と迫った。ただ、今後は遠征機会もあまりなさそうで、達成は微妙になってきた。

<動画>【祝・開業!】2023.10.28 宇都宮ライトレール 芳賀・高根沢工業団地発車

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7月29日~30日 猛暑の中、京急線完乗達成

2023-07-30 23:29:22 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
7月29日は午後から横須賀市内で所用だが、その前に全線完乗活動をさらに進める。午前中、未乗区間となっている京急大師線に全線乗り小島新田へ。京急川崎まで折り返した後は本線に乗車。金沢八景から逗子線を逗子・葉山まで乗り通す。

翌29日、横須賀市で所要を終えた後は、横須賀中央から京急本線で浦賀まで乗り通す。京急本線は堀之内~浦賀が未乗車だったが、これで完全乗車となった。

<完乗達成>京急大師線、逗子線、本線

これで、会社としての京急も全線完乗となった。

なおこの結果、7月の新規完乗達成は、富山地方鉄道不二越・上滝線、立山線、富山ライトレール(富山駅~岩瀬浜、以上7月16日)、富山地鉄本線、黒部峡谷鉄道(7月17日)、相鉄新横浜線、東急新横浜線(7月28日)と合わせて、これで5社10線となった。上半期の1社2線と合わせると6社12線である(参考記録を含めると7社13線)。ここで、今年の新年目標だった「5路線乗車」どころか、10線も軽く越えてしまった。

今年もまだ5ヶ月も残っていること、最近の体調も悪くないことを考えると、まだまだ行けそうだ。そういうわけで、2023年の新年目標(5路線乗車)を大幅に上方修正し、15路線乗車の目標を新たに設定する。残り3線なので、頑張れば達成できない数字ではない。

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7月28日~相鉄・東急新横浜線の完全乗車をあっけなく達成

2023-07-28 23:57:36 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
予告通り、7月28日から上京し、7月30日まで都内に滞在している。

7月28日午前、羽田から京急で横浜に向かう。横浜から相鉄に乗り換え西谷へ。ここから今年3月に開業した相鉄・東急新横浜線日吉までの区間を乗り通し、そのまま武蔵小杉へ。今日もうだるような猛暑だが、熱中症対策には有効なうどんを昼食に摂った後、武蔵小杉から横須賀線で都内に出る。

<完乗達成>相鉄新横浜線、東急新横浜線

3度目の挑戦でようやく完乗を達成。相鉄・東急新横浜線が私にとって「第2の只見線」になる事態は、何とか避けられた。

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真夏の北陸の旅(第3~4日目)~長年の悲願だった黒部峡谷鉄道に!

2023-07-18 23:25:59 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
あいの風とやま鉄道・黒部駅前「ホテルアクア黒部」で朝6時に目覚める。今朝も電鉄黒部を7:14発の富山地鉄本線・宇奈月温泉行きに乗らなければならない。普段の仕事の時でもこんなに早く起きないのに、因果なものだ。

電鉄黒部駅は、あいの風とやま鉄道・黒部駅から少し離れており、徒歩で10分程度かかる。遅くとも7時にはホテルをチェックアウトしなければならない。・・・が、朝食開始は平日は6時だが、土日祝は7時で、とても間に合わない。せっかく朝食付きプランを予約したのに、ついてないな……と昨夜のチェックイン時にフロントでぼやいたら、「6:45に食堂に来てください。せっかく朝食付きの代金を支払ってくれているのですから、何とかします」と取りはからってくれた。食堂従業員は準備のため6:30頃には出社しており、1~2人分なら対応できるという。ホテル側の取り計らいに謝意を伝え、約束通り6:45分に朝食を摂る。胃の手術を受けて以来、早食いは厳禁なのだが、こんな時は仕方ない。最近は早食いもけっこうできるようになってきた。

7時ちょうどに、改めてフロントに謝意を伝え、チェックアウト。通常、当ブログでは宿泊した旅館・ホテルの名前は紹介しないルールにしているが、このような特別な取り計らいやサービスを受けた場合には、感謝の意を込めて紹介することがある。

朝から汗だくの猛暑の中を歩いて電鉄黒部に到着。7:14発、宇奈月温泉行きに乗る。宇奈月温泉に7:46に到着。いよいよ長年の悲願だった黒部峡谷鉄道に乗る。宇奈月温泉駅から、黒部峡谷鉄道・宇奈月駅までは大人の足なら徒歩5分だ。予約している宇奈月8:17発のトロッコ列車に乗る。

もともと交通の便の悪い地域の上、冬季運休という壁もあり、黒部峡谷鉄道の乗車は望んでもなかなかかなわず、長年の悲願だった。東京方面からは、北陸新幹線・黒部宇奈月温泉駅ができて多少は訪れやすくなったかもしれないが、それも気持ち程度だろう。



定刻通り、トロッコ列車は宇奈月駅をゆっくりと滑り出す。曲がりくねった762mmのナローゲージを、2両編成の電気機関車の牽引するトロッコ車両が40km/h程度の速度で走るが、観光列車にはこのくらいの速度がちょうどいい。地元出身のタレント室井滋さんの観光案内が、リズムがあって乗客を和ませる。9:33、欅平に到着。

<動画>2023.7.17 黒部峡谷鉄道 宇奈月~欅平(全区間ノーカット)


欅平に、ガイドブックに載っていない思わぬ見所があるかもしれないと考え、帰りは11:04欅平発まで1時間半を確保している。駅屋上の展望台などを見るが、とにかくこのうだるような猛暑には参った。まだ昼食には早いと思ったが、朝6時に起きて動き回っているため空腹を感じる。欅平駅2階のレストランで早めの昼にする。

11:04、欅平発の黒部峡谷鉄道の列車は、雨天など悪天候の場合に備えて「リラックス車両」を事前予約していた。窓が閉まる箱形の一般車両で、トロッコと乗り比べてみようと思い、運賃の他、わざわざ500円の料金まで払ったが、いざ乗り込んでみると冷房がない。窓は全開になっているが、停車中など風が吹き抜けないときは車内が暑い。

天気がどうなるかわからないための「賭け」の要素が大きかったが、抜けるような青空の下、この猛暑ではどう見てもトロッコが正解だった。改札通過後、車内改札が行われていないこと、トロッコ車両も座席に余裕を持たせる運用になっていることは往路でわかっていたので、こっそりトロッコ車両に乗り込む手もあったかもしれない。

欅平を定刻通り発車した列車は、宇奈月に12:23着。富山地鉄・宇奈月温泉発の列車は12:45発で、少し時間がある。外はうだるような猛暑なので、駅前に関西電力が設置している発電所記念館(入場無料)を見る。富山地鉄本線に乗り、今度は新黒部で下車(13:09着)。黒部宇奈月13:34発北陸新幹線「はくたか564号」で大宮まで行き、南浦和から武蔵野線に乗る。

武蔵野線に乗るのは本当に久しぶりだ。記憶に間違いがなければ、横浜勤務時代の1998年か99年を最後に乗っていない。実に四半世紀ぶりだ。そのまま立川へ向かい、知人と落ち合う。この日は立川市内のホテルに泊まる。夜になっても30度を超える異様な猛暑の中、飲食店を歩いて探すのも面倒になり、コンビニで食材を買い込んでホテルに戻った。

翌18日朝。立川のホテルを出て八王子に向かう。八王子から横浜線で新横浜に出る。いよいよここから3月に開業したばかりの相鉄・東急新横浜線の乗車をめざしたが、ここで思わぬ事態が起きた。東急線内での「車両故障」のため、ダイヤが大幅に乱れている。次の日吉方面の発車は30分後の午前11時過ぎで、あまりに遅すぎる。ここにこだわっていたら、この日、年休を取ってまで遠征を続けた最大目的である「ストップ!リニア訴訟」東京地裁判決(13:00から傍聴抽選)に間に合わなくなる。

なんてことだ……と無念の思いがするが、やむを得ない。相鉄・東急新横浜線乗車は断念し、そのまま東海道線で東京に向かう。

<完乗達成>富山地鉄本線、黒部峡谷鉄道

結局、今回の北陸の旅の3~4日目で完乗達成したのはこの2社2路線のみ。2日目の2社3路線と合わせ、2社5路線(この他、参考記録1社1路線)にとどまった。北陸鉄道を落としたのも痛かったが、簡単に乗れると思っていた相鉄・東急新横浜線まで落とすとは思っていなかった。

北陸鉄道は、いずれ北陸新幹線敦賀開業(2024年春に予定)後のいずれかの段階で、乗りに行くチャンスはあると思う。相鉄・東急新横浜線は、6月3日にも挑戦したが、よもやの台風襲来で失敗している。2度続けての失敗とは……。

鉄道乗車に限らず、私のルールでは、3度続けて失敗したことからは、しばらく「冷却期間」を置くと決めている。今後、7月末と10月下旬に上京予定があるが、もしもう1回失敗した場合は、3度目となるので、相鉄・東急新横浜線の乗車はしばらく(数年スパンで)延期することになると思う。悪い流れも数年置けば、変わる可能性があるからだ。

完乗に3回挑戦したが、台風、地震発生、大雨により3度とも失敗した只見線は「冷却期間」を3年置くことに決めた。実際には、その間に大雨による不通期間があり、結局、4度目の挑戦までに4年もの間を置くことになった。4度目の挑戦では、「俺の行くところ、晴れなかったことがない」というファン仲間でも屈指の晴れ男、J・S氏に全区間、同行を求めてようやく達成したことがある。

全線完乗には時に困難が伴う。相鉄・東急新横浜線は、もしかすると私にとって「第2の只見線」になるかもしれない。

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真夏の北陸の旅(第2日目)~富山地鉄に乗る

2023-07-16 20:59:20 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
2日目となる7月16日早朝、ホテルを午前6時に出て、地下鉄で大阪駅へ。「サンダーバード1号」に金沢までの全区間乗る。経営悪化で上下分離の動きが出ている北陸鉄道には「乗れたら乗りたい」くらいの気持ちだったが、朝から35度近い猛暑に加え、北鉄金沢駅の場所がなかなかわからないため、結局乗れずじまいになってしまった。北鉄に乗れなかったために生まれた中途半端な空き時間は、金沢屈指の観光名所である近江町市場や兼六園に行くには短すぎるし、ちょっとした用事を済ますには長すぎる。結局、金沢駅の散策で終わった。

当初計画では金沢10:58発、北陸新幹線「はくたか560号」に乗る予定だった。北鉄浅野川線を往復してから乗り継ぐには最速でもこの列車になるはずだったが、北鉄に乗り損ねたため、予定を早め金沢10:34発「つるぎ706号」(富山行き)に全区間乗り通す。はっきり言えば新幹線に乗るような距離ではないが、新幹線と在来線の乗継割引が多くの区間で廃止となる中、同じJR西日本エリア内ということもあってか北陸本線特急と北陸新幹線とはいまだに乗継割引が適用される。トータルで見るとあまり変わらない。

10:57、富山駅着。昼食を摂るにはまだ早すぎるので、手荷物預かり所にキャリーバッグを預け、電鉄富山駅に向かう。北陸新幹線を1本早めたのだから、富山地鉄も1本速い列車に乗れることを期待したが、……結局、乗り継ぎできるのは当初計画と同じ列車だった。

富山地鉄には初めて乗る。はるか昔は国鉄からの乗り入れや連絡運輸(乗車券類の通し販売)も行われていたが、だいぶ前に姿を消した。駅窓口で聞くと、1日フリーパスがあるという。買おうとしたが、富山地鉄のような営業キロの長い私鉄では、ひょっとすると2日間フリーパスがあるかもしれないと思い、聞けばそれもあるという。おおざっぱな計算でも、今後、当初の計画通りに乗り進められれば確実に元が取れるので、購入する。2日間で4,600円だが、地方私鉄とは思えない富山地鉄の路線の長さを思えば安いものだ。





11:45に電鉄富山駅を出て、まずは不二越・上滝線を岩峅寺(いわくらじ)まで乗り通す。12:20、岩峅寺着。すぐに12:26発の立山線・立山行きに乗り換える。12:54、立山着。

立山駅からは、立山ケーブルで美女平をめざす。ケーブルカーは鉄道事業法適用であるものの、索道に分類され、私の全線乗車ルールでは対象外。乗車しても参考記録扱いだが、多くの登山客やスキー客が訪れる「立山黒部アルペンルート」の一部をなすこのケーブルカーに、ここまで来て乗らない手はない。それに、もし将来「ケーブルカーも乗車対象」とルールを変更するようなことがあったときに、「やっぱりあのとき乗っておけばよかった」とは思いたくない。乗れるものには乗っておけ、と自分を奮い立たせ、駅に並ぶ。

正直なところ、ごった返す登山客でケーブルカーは臨時便を運転しなければならないほどの大混雑。長蛇の列ができていたが、1本待つことで乗れた。何しろ新型コロナの5類移行後としては初の3連休なのだ。

観光地なのだから昼食を摂れる場所は美女平にあるだろうと思ったが、考えが少々甘かった。数軒ある飲食店はどこも満員で、すぐに入れそうな様子には見えない。やむを得ず、帰りのケーブルカーに乗り、再び立山駅に下りる。駅構内に登山客向けの軽食店があったので、うどんを食す。塩分・水分ともに豊富なうどんは、熱中症対策としてはとても適したメニューといえる。

<動画>2023.7.16 立山ケーブル 立山~美女平


立山からは、岩峅寺まで立山線を折り返した後、寺田まで立山線を走り、本線に直通する14:00発電鉄富山行きに乗る。予定通り、15:10電鉄富山駅着。

ここで、地域公共交通活性化再生「優良事例」とされるライトレールをめざす。JR西日本・富山港線時代に一度乗っているが、一部区間は道路上に付け替えられるなどして、旧富山港線とまったく同じではない。少なくとも、ルートが変わった区間には乗っておかなければならない。

富山駅は、もともと駅南側を走っている市内電車と、北側を岩瀬浜まで走っていた旧富山港線転換ライトレールを直通運転できるようにするため、富山駅をぶち抜き、線路を駅構内でつなげるという大胆なもの。市内電車からやってきたLRT車両に乗る。途中、単線区間があるためLRTはなかなか富山駅を発車できなかったが、対向列車が富山駅に入線するとようやく道路信号が青になった。

道路信号に従いしばらく路面区間を走る。「奥田中学校前」電停付近で、LRTは大きく左折して道路を外れると、旧富山港線のレールに乗る。ここで右側を見ると、道路の向かいに遊歩道のような細い道があり、これが旧富山港線の跡地だとすぐにわかった。長年、鉄道ファンをやっていると、廃線跡は何となくわかるようになる。

旧富山港線区間に入ると、LRT車両は急にスピードアップする。60~80km/hくらいは出していることが速度計からわかる。停留所の数は旧富山港線時代より大幅に増えた。国鉄系気動車から床面の低いLRTに変わったため、JR時代のプラットホームは廃棄され、新たに電停が作られている。

岩瀬浜に到着すると、駅前のロータリー付近で待機していた「フィーダーバス」がロータリー内に進入してくる。列車とバスの乗り換え待ち時間をなくすためで、全駅ではないものの、主要駅では行われている。正直、「ここまでやるのか!」と驚かされるが、冷静に考えれば、列車の到着に合わせてバスを運行するというのは、乗客目線で考えれば当たり前のことだ。この「当たり前」が日本ではなかなか実現せず、近年ではできなくて当たり前というある種のあきらめムードが支配的だった。富山港線時代は乗れば必ず座れるほど空いていたのが、いまや始発駅でも座れないのが当たり前なほど車内は混んでおり、しかも休日のせいか、明らかに中高生とわかる若年層が多いことも特筆すべきだろう。



なるほど、国が地域公共交通活性化再生「優良事例」に挙げたくなるのもわかる。「当たり前」のことを、当たり前にやることが実は最も難しいのだ。その当たり前のことを、当たり前に実現した富山市の努力を多としたい。

同時に、指摘しておかなければならないのは、日本中、どこでも富山市のようにできるわけではないということである。もともと、富山地鉄という地元に広く定着した有力な私鉄が長大な路線網を持っており、その会社にJRのローカル線を引き受けてもらうことができた。市内電車と旧富山港線転換ライトレールがうまく接続できたのも、両者が富山地鉄という1事業者の中で完結しているという背景を抜きにすることはできない。複数の公共交通事業者の枠を超えた連携という、国がめざす本来の活性化再生の域にはまだ達していない。それに、富山のような好条件が重なっている場所はほとんどない。地元に根ざした有力な私鉄も市内電車も持たない他都市が同じようにしたくても、できないのが実情だろう。

国が、地域公共交通活性化再生の旗を振ることに反対はしないが、他のすべての地域にこれと同じことを求めるのは、「みんなに大谷翔平になれ」と求めるようなものだ。所与の条件が揃っているのかどうかを見極めてからでないと、単なる公共交通のコンパクト化、縮小だけに終わりかねない。そんな危惧も同時に感じた。

富山駅に戻ってきた私は、午前中、預けたキャリーバッグを手荷物預かり所で回収。富山地鉄本線を、電鉄黒部まで乗る。あいの風とやま鉄道・黒部駅にほど近い「ホテルアクア黒部」に投宿。明日も早朝の出発になるため、早めに就寝、猛暑下の遠征による疲れの回復に努める。

<完乗達成>〔新規乗車〕富山地方鉄道不二越・上滝線、立山線、〔奪還〕富山ライトレール(富山駅~岩瀬浜)、〔参考記録〕立山ケーブル

※立山ケーブルは索道のため参考記録。また、富山ライトレールは旧富山港線時代に一度全線完乗しているが、富山駅~奥田中学校前電停付近までは旧富山港線時代の場所から、道路上にルートが変わっている。このため、富山駅~奥田中学校前までの区間を新規乗車区間とみなし、富山ライトレールの富山駅~岩瀬浜を「奪還」(完全乗車達成後、線路付け替えにより再び未乗車区間が発生した場合において、当該未乗車区間の全部に再度乗車し、全線乗車状態を取り戻すこと)として整理した。

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2023年上半期 鉄道全線完乗達成状況まとめ

2023-06-30 21:04:55 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
早いもので、2023年も上半期が終わる。ここで、2023年上半期鉄道全線完乗達成状況をまとめる。

【2月】関東鉄道竜ヶ崎線・常総線

新年目標として、今年は5線区の乗車達成を掲げた。2月、関東鉄道竜ヶ崎線・常総線に乗り、幸先のよいスタートと思ったが、結局この両線のみで上半期は終わった。

実は、「レイバーネット日本」でリニア問題を扱う企画を予定しており、その事前取材のため、6月3~4日に長野県大鹿村に入ることになっていた。東京駅に集合、車に乗り合わせて現地に向かうため、東京滞在ついでに開業間もない相鉄・東急新横浜線に乗ろうと考えていたが、あろう事か、6月2日深夜、日本に最接近した台風2号の影響で現地取材が中止となった。

すでに東京入りしていた私は、6月3日、天候回復を待って相鉄・東急新横浜線だけでも何とか乗ろうと考えていた。しかし、ホテル最寄りの京急蒲田駅から、横浜方面の列車はダイヤの乱れでいつ来るか駅員にもわからないという。東海道新幹線も3日午前中まで運休というニュースを聞いたところで完全に気持ちが切れてしまった。急きょ、動いていたリムジンバスで空港に向かい、空いていた航空便で北海道に戻ることにした。

結局、目と鼻の先まで来ていながら、このとき相鉄・東急新横浜線の乗車はお預けとなってしまった。悔しいが、全線完乗活動は登山と同じで、危険だと思ったときは撤退する勇気を持つことも必要である。下半期に再度、乗車を目指すが、新年目標の5線区乗車を達成できるかどうかは微妙な状況になってきたと思っている。

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