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【事故調報告書漏洩問題】委員の人選はいかにあるべきか

2009-09-30 22:39:26 | 鉄道・公共交通/安全問題
今年は本当にJRの不祥事が多い年だ。信濃川からのJR東日本発電所による不正取水に続き、国労バッジ着用職員への処分事件、新宿駅の飲食店「ベルク」追い出し問題、尼崎事故を巡る山崎正夫・JR西日本前社長の在宅起訴と来て、この事故調報告書漏洩問題だ。

もちろん彼らだって起こしたくてこれら不祥事を起こしているのではないのだろう。だが、当ブログが見る限り、国鉄官僚時代からただふんぞり返るだけの人生しか知らずに生きてきた彼らはガバナンス能力を失っている(というより最初から持ち合わせていない)し、押し寄せる機能不全を前になすすべを失っているように見える。内紛と混迷の果てに政権を追われた自民党と同じく、JR経営体制の自壊は確実に進行している。

このままろくに鉄道趣味活動もできず、JR各社の不祥事を追いかけるだけで2009年が終わるのではないかという予感がしてきた。しかしそれでも当ブログが頑張って不祥事追及を続けるのは、鉄道ファンにとって悪夢でしかなかった国鉄「改革」に一矢報いることのできる日が目前に近づいたように思われるからである。

20年前のあの「改革」によって鉄道ファンを捨てた多くの仲間がいた。「俺たちは鉄道をこんな姿にするためにやってきたんじゃない」と憤り、廃線跡にしか興味を示さなくなってしまった仲間の姿も見てきた。魅力に溢れていたローカル線を切り捨て、儲けのために効率しか考えなくなってしまったJR、夢もロマンもない薄っぺらな鉄道づくりを進めてきたJRに対する鉄道ファン20年の怨念をぶつけるときが、いよいよ来るのだ。

そんな中、読者のみなさまにはかなりくどいと思われるかもしれないが、事故調報告書の漏洩問題について、引き続き書く。今回は、事件を受け、事故調を引き継いだ運輸安全委員会の委員の人選をどうすべきか考えたい。

鉄道や航空機の事故調査は、高度な専門知識が求められることから、運輸安全委員会の委員や調査官はそうした知識・資質を持った人物でなければならないが、鉄道に限って言えば、安全運行のための技術・知識・経験は旧国鉄を中心に蓄積されてきた。現在、大学などの研究機関に在籍する鉄道工学などの研究者も多くが国鉄OBであり、旧国鉄と無関係な学識経験者を探すことは事実上困難である。

旧国鉄出身者を中心とした委員の手による事故調査が今後も避けられない以上、委員の規律の確保はこれまで以上に重要になる。委員が調査以外の目的で調査対象企業の幹部に接触することを禁止する規定を運輸安全委員会設置法に置き、守秘義務違反と併せて罰則を設けるなどの対策が必要だ。「運輸安全委員会の委員は、罰則の適用については、これを公務員とみなす」という条文も入れるべきだろう。こうすることによって、委員を接待することが刑法上の贈賄罪に当たるという認識を、関係者に持たせることができるからだ。

運輸安全委員会を国土交通省から分離し、人事院や会計検査院のような独立機関として政府への勧告権を与えることも重要である。

組織体質を点検し、癒着の元を断ち切るために、運輸安全委員会の委員に学識経験者以外で一定程度の知識を持つ人の積極的な登用を図ってはどうだろうか。さしあたり、委員に次のような枠を設けると委員会審議も活発化するのではないか。

1.「司法関係者」枠(弁護士など)
2.「事故被害者」枠(尼崎事故、信楽事故、日航123便事故の負傷者・遺族など)
3.「鉄道・航空会社の現場社員・労働組合」枠
4.「鉄道ファン・航空ファン」枠

運輸安全委員会委員の半数程度にこれらの人たちが入ってくれば、少なくとも今回のような委員と鉄道会社のなれ合いなどできなくなるに違いない。

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次々明らかになる旧事故調とJRの癒着

2009-09-29 23:07:42 | 鉄道・公共交通/安全問題
日本中を揺るがすスキャンダルとなった旧事故調による尼崎事故調査報告書の漏洩問題だが、JR西日本と事故調との驚くべき癒着が次々明るみに出始めた。

公務員に対する贈収賄事件では、通常、賄賂を渡そうとする業者側よりも受け取る公務員側がより罪が重いとされる。誘惑を断ち切るのも職務のうちというわけだ。

その論理で行くと、今回の漏洩問題も、事故調側により重い責任があるということになる。だが、メディア報道を見ているとJR西日本側にバッシングが集中しているように見える。その現象だけを見れば気の毒ではあるが、やはり当ブログとしてはJR西日本に同情する気にはなれない。こうしたバッシング集中の背景には、107人の死という重い現実があるのだから。

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事故調漏えい JR西前社長、中間報告書素案も入手(毎日新聞)

 JR福知山線脱線事故の最終調査報告書案が事前に漏えいしていた問題で、JR西日本の山崎正夫社長(当時)が航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)の山口浩一委員(当時)から、事実調査報告書案も入手していたことが、JR西への取材で分かった。06年12月の公表直前に提供を受けたとみられ、最終報告書案入手の約半年前にあたる。事実調査報告書は一連の調査の中間報告で、乗客106人が死亡した事故の全容や企業責任に言及していた。

 JR西によると、山崎前社長は事実調査報告書案を入手後、事故調との窓口となる同社の事故対策審議室に渡し、社内で共有していたという。同社は直後の07年2月、事故調が開いた意見聴取会に臨むが、その事前準備に活用したとみられる。報告書案の修正要求はしなかったという。

 事実調査報告書は、運転ミスの無線連絡に気を取られた運転士のブレーキ操作が遅れ、脱線した可能性を示唆。余裕のないダイヤ設定や安全投資の遅れなど、JR西の安全軽視の姿勢にも触れていた。事故調はこの事実調査報告書を基にさらに調査を進め、07年6月に最終調査報告書を公表した。

 山崎前社長によると、一連の問題を巡っては06年夏~秋ごろ、山崎前社長側から旧知の山口元委員に面会を打診。以降、東京の飲食店などで、3、4回、昼食や夕食を共にした。二つの報告書案はこの際に入手したとみられる。【鳴海崇】
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JR西日本は、2007年2月の事故調説明会の前にも中間報告書の案を極秘入手していた。それを意見聴取会対策に利用していたというのだから恐れ入る。愛する人を殺された遺族たちは、事前に報告書の内容も知らされないまま「丸腰」の闘いを強いられたというのに、事故調はJR西日本にだけこっそり武器を持たせていたのだ。なんという卑劣さだろうか。これではまるで「事故調=JR西日本連合軍」による遺族への空爆ではないか。

もっとも、事前に報告書の素案の内容を知っていたにしては、この意見聴取会でのJR西日本の言明はお粗末だった。なにせ、鉄道輸送の安全確保のため「日勤教育は必要」という弁明を繰り返し、事故調担当官が不快感を表明するほどの自己弁護一本やりの内容だったからだ。言っては悪いが、所詮この程度の経営陣だったということだろう。

いずれにしても、これで公正中立をもって旨とすべき事故調(現・運輸安全委員会)の権威は完全に失墜した。

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ATS資料、県警にも提出せず…JR西「意図的でない」(読売新聞)

 JR福知山線脱線事故で、JR西日本が航空・鉄道事故調査委員会に自動列車停止装置(ATS)に関する社内会議資料の一部を提出しなかった問題で、同社は兵庫県警にも同じ部分を提出していなかったことがわかった。

 JR西は、「県警からは、事故調に出したのと同じ資料の任意提出を求められた。意図的に隠したのではない」と説明している。

 JR西によると、提出していなかったのは、1996年に起きたJR函館線の脱線事故の後に開かれた同社鉄道本部内の会議用資料9枚のうち最後の2枚。この中には、ATSを設置していれば防げた事例として、函館線の事故が記載されていたとされる。

 山崎正夫・前社長(66)は当時、鉄道本部長だった。

 JR福知山線脱線事故の捜査では、現場の状況が似ていた函館線の事故を受け、JR西幹部らがカーブの危険性やATS設置の必要性を認識していたかが焦点の一つだった。
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当ブログの前のエントリを見てみればいい。「速照ATS不備が事故の原因」とする記述を変えさせようとしたJR西日本が、自動列車停止装置(ATS)に関する社内会議資料だけを「意図的にではなく」(=つまり「偶然」)提出し忘れたなんて、そんな説明、誰が信じるか。言い訳としてもあまりに下手すぎる。こんな見え透いた三文芝居、アマチュア芸人でもやらないだろう。

これで、「速度照査型ATSの不備」こそ尼崎事故の真の原因であることをJR西日本幹部らがまったく正確に認識していた可能性が、さらに強まった。現在、山崎正夫・JR西日本社長は業務上過失致死罪で起訴され刑事被告人の身だが、この隠蔽工作が山崎前社長にとって不利に働くことは決定的である。なぜならば、尼崎~塚口間のカーブが半径300メートルに付け替えられた際の鉄道本部長だった山崎前社長が、責任者として速照ATSの設置を社内決定しなかった不作為が業務上過失致死傷罪に問われているからである。

公正中立であるべき事故調を歪め、公表前の報告書案を不正入手したことも重大だが、隠蔽工作となればさらに悪質である。ただ、山崎前社長がみずからの個人的利益だけを目的としていたとは思えない。やはりこれは会社組織を守るために違いない。

いつまでもいつまでも、小手先の保身しか考えられないJR西日本幹部に忠告しておく。諸君が守らなければならないのは自分の社内の地位でもなければ、血にまみれた利益でもない。真に守るべきものは乗客の安全と信頼である。それが果たされない限り、JR西日本に対する社会からの厳しい批判が止むことはない。

さて、本日はここまで。次回は、望ましい事故調組織のあり方、とりわけ運輸安全委員会委員の人選のあり方について述べることにする。

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最高裁判所裁判官国民審査制度を考える

2009-09-29 22:23:51 | その他社会・時事
(当エントリは、当ブログ管理人が月刊誌に発表した原稿をそのまま掲載しています。)


 最高裁判所裁判官国民審査。衆議院総選挙と同時に行われ、罷免させたい最高裁判事を選ぶことができる制度だが、過去、最も不信任率が高かった人でも、それは15.17%に過ぎない(1972年12月実施の第9回国民審査における下田武三判事)。この制度によって罷免された裁判官はひとりもおらず、選挙公報も配られないまま実施されるのが常態化するなど、制度は今や完全に形骸化している。

 私がこの国民審査を初めて経験したのは1993年7月の総選挙時のことだが、最初から国民審査に対しては疑問だらけだった。衆議院選挙の投票用紙と国民審査の投票用紙を一緒に渡す投票方式も疑問のひとつで、このために毎回、必ず投票箱を間違え、せっかくの投票が無効となるケースがある。総選挙が実施されたばかりのこの機会に、改めて国民審査制度の問題点を考えてみることにしたい。

●独裁国家と同じ投票方式

 私は、なぜ国民審査の投票用紙だけが議員選挙の投票用紙と同時配布なのかという疑問を解明しようとしたが、その答えを教えてくれる文献をなかなか探し当てられないでいた。ところが思いがけない本の中に、そのヒントとなる記述が見つかった。「モスクワの市民生活」(今井博・著、講談社文庫、1992年)という本がそれだ。著者の今井さんは毎日新聞記者で、1970年代終わりから1980年代初めにかけて5年半をモスクワ特派員として過ごし、その経験を元にこの本を著した。ソ連のアフガニスタン侵攻(1979年)、西側諸国によるモスクワ五輪ボイコット(1980年)、大韓航空機撃墜事件(1983年)など東西冷戦が激しかった時期である。クレムリンの視点ではなく、ソ連の一般市民の視点で日常生活をまとめた同書を、私は優れたルポルタージュだと思った。

 「モスクワの市民生活」は、ソ連の選挙のことにも触れている。ソ連の選挙は党が指名した官選候補に対する信任投票だが、その投票方法が西側諸国では考えられないもので、官選候補を信任する場合には白紙のまま投票するのに対し、不信任にしたいときだけ投票用紙に×を付けるのである。お上の選んだ候補が気に入らないヘソ曲がりの有権者だけが記入所に入らなければならないわけだが、もしそんなことをすれば強制収容所に送られるか精神病院への強制入院が待っており、一般有権者は怖くてとても×など付けられなかったそうだ。旧ソ連で、選挙のたびに全ての官選候補が限りなく100%近い高信任率を得ていた背景には、こうした非民主的な投票制度があった。

 日本の最高裁裁判官国民審査も、裁判官を不信任にしたい人だけが×を付け、対象裁判官全員を信任する人は白紙のままで投票する旧ソ連と同じ投票方式である。「最高裁判所裁判官国民審査法」で決められているものだが、裁判官を不信任にしたい人だけが記入所に入らなければならないとしたら、秘密投票の原則は破られてしまう。しかし、国民審査の投票用紙を議員選挙の投票用紙と同時に配布することによって、誰が裁判官に×を付けたかわからないようにすることができる。幸い日本では旧ソ連のように裁判官に×を付けても強制収容所や精神病院に送られることはないが、この投票方式のせいで毎回、少なくない有権者が投票箱を間違えて逆に入れてしまい、主権行使の機会を奪われる事態が発生しているにもかかわらず、投票方式を改める動きも見られない。

●批判を恐れる者のためのシステム

 秘密投票の原則が守られているのだからいいではないか、という議論にはならないと私は思う。この投票方式の最大の問題は、旧ソ連と同様、政治的無関心を「国家体制支持」にすり替えてしまうところにある。たとえ信任投票であるとしても、多くの労働組合の役員選挙がそうであるように、信任の場合は○、不信任は×を付けるシステムに改めるだけで裁判官への信任率はかなり低下するのではないか(注)。なぜなら、不信任にするほどでないとしても、わざわざ記入所に入って○をつけるだけの労力をかけるに値する裁判官なのかを有権者が考え始め、その結果、不信任にはしないけれど信任もしないでおこう、という投票行動をすることが可能になるからである。少なくとも、そうした投票方式が導入されない限り、国民の裁判官に対する本当の信任率が明らかになることはないだろう。

 一方、裁判所側から見れば、法の番人である最高裁の権威を保つためには、裁判官に対する国民の信任が高いほうが望ましいことはいうまでもないが、そのためには国民が労力をかけず、またあまり深く考えることなく裁判官を信任してくれるような投票方式が望ましいということになる。結局のところ、投票箱を間違え、票が無効となるリスクを有権者に強いている現行の投票方式は、もっぱら裁判所の権威付けのために存在していると考えて良さそうである。

 それに、あれこれと難しいことを指摘するまでもなく、裁判官に対し、不信任の意思表示をする人だけが余計な労力を強いられるという投票方式は不公平に決まっている。裁判官国民審査を真に公正なものとするためには、有権者が信任、不信任どちらの意思表示をする場合でも、かける労力が同じでなければならないのは自明のことだ。裁判官を信任してくれる有権者にだけ、ちょっぴり負担を軽減してあげましょうなどというやり方が本当に民主主義といえるかどうか、そして、これと同じ投票方式が採用されていたソ連がその後どのような末路をたどったか、読者のみなさまも一緒に考えていただきたいと思う。

 このような、ある意味「汚い」やり方をする最高裁は、多分国民の批判を恐れているのだろう。確かに、今の裁判所を見ていると褒められたものではないし、最高裁というより「最低裁判所」と呼ぶ方がふさわしいような不当判決のオンパレードである。その上、法の番人にあぐらをかいて自己改革の姿勢もなく、最後には裁判員制度なるものによって判決まで国民にアウトソーシングしようというのだから、もう自民党並みに「終わっている」というべきだ。

 「どうせ選挙公報も配られないからわからないし、誰がどんな判決を書いていようと、自分が裁判の当事者になるわけでもないし」と、白紙のまま投票している有権者の皆さん!民主主義は労力をかけることから始まる。労力を厭うようでは近代民主主義の守護者たることはできない。せめて、みんなで労力をかけ、せっせと×を付けようではないか。裁判官を罷免させることはできなくても、不信任が増えれば裁判所は自己改革を迫られる。「最低裁」を最高裁へと飛躍させるのは、惰眠をむさぼることに慣れた裁判官ではなく主権者である私たちなのだ。

注)ここでいう信任率とは、有効投票数(無効票を除いた投票総数)に対する信任票の比率ではなく、投票総数に対する信任票の比率のことである。信任は○、不信任は×を付ける投票方式に改めたとしても、有効投票数に対する信任率は変わらないが、白紙投票が多くなれば、投票総数に対する信任票の割合はそれだけ低下することになる。

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【尼崎事故】謝罪では済まない旧事故調の情報漏洩

2009-09-25 22:05:27 | 鉄道・公共交通/安全問題
尼崎脱線 事故調報告案漏らす 元委員がJR西の前社長に(毎日新聞)

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 兵庫県尼崎市で05年4月に発生したJR福知山線脱線事故で、運輸安全委員会は25日、事故原因を調査した当時の航空・鉄道事故調査委員会(08年10月に運輸安全委に改組)の山口浩一・元委員(71)が、JR西日本の山崎正夫前社長に働きかけられ、調査状況の情報や報告書案を伝えていたと発表した。山口元委員は事故調で報告書案の修正を求める発言をしたが、報告書への影響はなかったという。事故調査委員会設置法では、委員の秘密保持義務があるが、罰則規定がなく、処分対象にはならない。

 安全委などによると、山口元委員は06年5月以降、山崎前社長に面会するなどして、委員会の進ちょく状況を教えた。さらに、報告書が07年6月に公表される直前の07年4~5月ごろ、報告書案のコピーを1、2回、山崎前社長に渡した。

 また、山崎前社長が報告書について「後出しじゃんけんであり、表現を柔らかくするか削除してほしい」と要求。山口元委員はそれに応じ、委員会で「現場カーブにATS(自動列車停止装置)があれば事故は回避できた」などとの記述を「後出しじゃんけんなのでいかがなものか」と発言していた。関係者によると、山崎前社長は山口元委員への飲食接待もしていたという。今回の漏えいは、事故に関する捜査で発覚。捜査当局が安全委に連絡したという。

 前原誠司国土交通相は25日の閣議後会見で「亡くなった方々やご遺族に心からおわびを申し上げる」と謝罪。運輸安全委の後藤昇弘委員長は「国民のみなさま、被害に遭われた方々に不快の念を与え、残念で申し訳ない。おわび申し上げる」と陳謝した。

 事故では乗客106人と運転士が死亡。事故調は07年6月、運転士がブレーキ操作を誤り、制限速度を約46キロ超過して現場カーブに進入したことが原因とする最終報告書を国交相に提出した。現場カーブにATSが設置されていれば、事故は回避できたと結論付け、「優先的に整備すべきだった」と指摘。運転士への懲罰的な日勤教育など、JR西の企業体質が事故に影響した可能性が高いとも指摘していた。

 山崎前社長は事故現場を現在の急カーブに付け替えた当時、安全対策全般を統括する常務鉄道本部長だったとして神戸地検が今年7月、業務上過失致死傷罪で神戸地裁に在宅起訴している。山崎前社長は06年2月、社長に就任し、起訴を受けて今年8月、社長を辞任した。一方、山口元委員は1961年、国鉄に入社。主に運転畑を歩み、01年に非常勤の事故調委員に任命され、07年まで務めた。

 安全委は情報漏えいを受け、委員などが原因に関係する恐れのある人とかかわりがある場合、委員会の会議へ参加停止できるなどの申し合わせをした。【平井桂月、長谷川豊、石原聖】

 ▽山崎正夫前社長の話 航空・鉄道事故調査委員会の調査に全面的に協力する中で、調査状況を把握し、迅速に対応するとの思いから報告書案などを事前にもらった。軽率で不適切な行為であったと反省しており、申し訳なく思っている。
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驚くべきことに、尼崎事故を巡って、今度は旧事故調(現・運輸安全委員会)元委員による調査報告書内容の漏洩が発覚した。今日午後7時のNHKニュースではこの事件がトップニュース扱いだった。107名が死亡した尼崎事故に対するメディアの関心は依然として高いが、それ自体は安全な鉄道づくりを進める上でよいことである。

さて、上記ニュースを含め、多くのメディアが「事故調委員には保秘義務が課せられているものの、罰則規定がない」などと報じているが、これはメディアによるミスリードではないか。確かに、旧事故調の法的根拠となっている航空・鉄道事故調査委員会設置法を読む限りではそのような規定になっている。しかし、ことはそう単純ではない。

●贈収賄事件に発展の可能性も
政府が仕事をする上で、新たな役所を作りたいとき、または廃止したいときは全て「設置法」に基づいて行う。設置法を作ったり廃止したりするわけだ。逆に言えば、設置法に根拠のない組織は、いかに政府が正式の機関だと宣伝しても、官僚有志が集まった私的懇談会に過ぎないわけである。

尼崎事故の調査を行った当時の事故調は、上述の航空・鉄道事故調査委員会設置法及び国土交通省設置法に定められた正式な国の組織である。そして、その委員に任命されている者も公務員ということになる。設置法に委員を公務員とする旨の条文は置かれていないが、次の各条文から判断して、事故調委員が特別職国家公務員であることがわかる。

○航空・鉄道事故調査委員会設置法
第六条 委員長及び委員は、委員会の所掌事務の遂行につき科学的かつ公正な判断を行うことができると認められる者のうちから、両議院の同意を得て、国土交通大臣が任命する。

国家公務員法
第二条 国家公務員の職は、これを一般職と特別職とに分つ。
3 特別職は、次に掲げる職員の職とする。
 九 就任について選挙によることを必要とし、あるいは国会の両院又は一院の議決又は同意によることを必要とする職員

事故調の委員というのは、この条文からわかるように国会同意人事である。そして、国会の同意がなければ就任させることができない官職を、国家公務員法は特別職国家公務員と定めている。

前置きが長くなったが、山崎前社長は特別職国家公務員である山口委員に対し、飲食接待を行いながら報告書の記述の変更を求めている。これは、「公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたとき」(刑法第197条)という収賄罪の要件に該当する。そして、賄賂の収受があった場合、公務員が請託を実行するかどうかに関係なく収賄罪は成立するのである。尼崎事故は、今回の情報漏洩を巡って贈収賄事件への発展も想定される波乱の展開になってきた。

それにしても、両氏は元国鉄職員である。国鉄時代には国鉄職員も公務員の身分を与えられていたのだから、「元公務員」だった両氏が収賄罪の成立要件を知らなかったはずはない。にもかかわらず、山崎前社長が身の危険を冒してまで、なぜ報告書の記述を変えさせようとしたのか。

●やはり山崎前社長は知っていた?
やはり、山崎前社長は知っていたのだろう。「速度照査型ATSの不備」こそが尼崎事故の真の原因であることを。報告書の記述が山崎前社長とJR西日本にとって取るに足らない内容であれば、そのまま放置しておけばよいからである。逆に言えば、それがJR西日本にとって核心に迫る「痛い」内容だったからこそ、山崎前社長は贈賄罪に問われる危険を承知の上で証拠もみ消しに走ったのではないか。

●このままでは遺族が浮かばれない
この事件を伝えるNHK7時のニュースは、「4・25ネットワーク」の淺野弥三一さんの憤る姿を伝えた。「事故調は、尼崎事故の説明会にも出席せず、その理由を自分たちの政治的中立性を守るためだと説明した。だが、これのどこが政治的中立なのか」と淺野さんは静かに、しかしはっきりと憤りを表明した。当然だが、まやかしの事故調説明に対する憤りは理解できる。

そう言えば、2006年9月15日、当ブログ管理人が安全問題に関して国土交通省へ要請に行ったとき、国土交通省側は安全管理官付課長補佐、施設課課長補佐、事故調担当の官僚など4名が出席したが、その中でも最も尊大でこちらをバカにし切った態度だったのが事故調担当の官僚だった。「ちゃんと報告書読んでくれました? そのことなら○○ページに書いてありますよ」などと、およそ公僕とは思えない態度だった。今思えば、あの時の彼の尊大な態度こそ事故調の体質そのものなのかもしれない。もしそうであるならば、運輸安全委員会などという立派な看板をいくら掛けたとしても、組織の体質は変わらないだろう。日勤教育に代表されるJR西日本の企業体質を問うのも結構だが、その前にみずからの組織体質を改善する方が先ではないのか。

107名の犠牲者を出したこの事故に対し、中立的立場はあり得ない。殺人企業JR西日本の側に立つか、それとも遺族の側に立つかの二者択一があるだけだ。当ブログは、遺族の藤崎光子さんとお会いし、JRと闘う決意をした藤崎さんを見て、最後まで遺族の側に立つと決意した。残念ながら事故調は私とは反対側に立っているように感じる。政権交代を機に、運輸安全委員会の淀んだ空気も一掃しなければならない。そうでなければ犠牲者の遺族たちが浮かばれない。

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シルバーウィーク総括

2009-09-23 23:36:54 | 日記
シルバーウィークが終わった。

このシルバーウィークだが、国民の祝日に関する法律(祝日法)の改正による「国民の祝日」制度と「ハッピーマンデー制度」のいたずらによって実現したものだ。

「国民の祝日」は、祝日と祝日に挟まれた日はこれを休日とするというもので、祝日法第3条第3項が根拠となっており、1985年12月の祝日法改正により制度化された。当時、年間総労働時間が2000時間を超え、欧米先進国と比べても「働き過ぎ」と言われた日本人を少しでも休ませたい政府と、飛び石連休を3連休にして行楽需要を創出したい産業界の思惑が一致した結果だった。休みが増え、労働時間が減るのだから労働組合側も基本的には賛成で、政労使が一致した形での制度化だった。

具体的には、5月4日を休日にするための改正だったが、祝日法の条文が5月4日に限定した形にならず、祝日と祝日に挟まれた日を休日とするものだったため、将来、祝日が変更され、他に前後を祝日に挟まれる日が現れた場合にも適用される可能性を含んでいた。

このため、労働組合の「連合」が5月1日をメーデーとして祝日にする運動を展開していた時期もある。これが実現すれば、4月30日と5月2日も前後を祝日に挟まれることになり、4月29日から5月3日まで5連休が実現するからだ。

ハッピーマンデー制度は、99年と2001年の2回にわたる祝日法改正で現在の制度が整えられた。この改正の中で、海の日、敬老の日などが月曜日に移されることになった。これも、3連休を増やして行楽需要を喚起したい産業界の意向を反映していた。敬老の日は9月の第3日曜日に移され、この結果、2009年は9月22日が敬老の日と秋分の日に挟まれることになった。9月22日に祝日法第3条第3項が適用され、国民の祝日となったのだ。

85年の祝日法改正で創設された「国民の祝日」制度は、5月4日を休みにするためというのが当時の政府の説明であり、国民も、よもやそれ以外の日にこの条項が適用されるとは思っていなかったのではないか。それが法律だと言ってしまえばそれまでだが、こんな嬉しい誤算もある。ちなみに、祝日法が変わらない限り、曜日の並びの関係で、次にシルバーウィークが発生するのは2015年である。

余談だが、祝日法では春分の日と秋分の日は具体的な日付が定められていない珍しい祝日である。だが、これは昼と夜の長さが同一になる日が年によって異なるため、やむを得ずそうしているものであり、シルバーウィークが発生するように秋分の日を勝手に動かすわけに行かない。具体的には、国立天文台の観測によって昼と夜の長さが同一となる日(太陽が黄道上の春分点・秋分点を通過する日)が計算され、その結果作成された「暦要項」を元に、毎年2月1日、翌年の春分の日・秋分の日が官報で告示されて正式決定することになっている。(参考:国立天文台サイト

さて、我がシルバーウィークだが、父の定年退職を機会に、九州から実家の両親が遊びに出てきた。そんなわけで、両親を案内して近郊にお出かけとあいなった。

9月20日
 昼過ぎ、両親が新幹線で新白河到着。車で出迎えの後、国道289号線で甲子峠を越え、大内宿へ。大渋滞に巻き込まれ、予定していた塔のへつり見学を最終日に延期する。湯けむり民宿会津野で日帰り入浴の後、帰宅。

9月21日
 朝早く出て、高速1000円を利用して日光へ。東照宮、中禅寺湖を見る。午後3時過ぎに帰れたので、一旦帰宅後、スパリゾートあぶくまで入浴。

9月22日
 車窓の美しい磐越西線に乗りたいという両親の希望で、JRで喜多方へ。喜多方市内を観光しつつ、名物の喜多方ラーメンを食す。この日も早く帰ることができたので、ちゃぽランド西郷で入浴。

9月23日
 シルバーウィーク最終日。再び国道289号で甲子峠を越え、9月20日目に果たせなかった塔のへつり(サムネイル写真)観光。昼頃、白河市に戻り、小峰城、南湖公園を見学。九州へ帰る両親を新白河駅に送る。

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公共交通「税金で利用しやすくすべきだ」44%

2009-09-22 23:38:38 | 鉄道・公共交通/交通政策
歩いて暮らせるまちづくりに関する世論調査(内閣府)

私の知る限り、この調査結果を報じたのはNHKだけだったようだ。

当ブログはかねてから「公共交通は公共的に維持すべきだ」と訴え続けてきたが、ようやく時代が当ブログに追いついてきたように思う。CO2削減という時代の要請もあり、いよいよマイカーから公共交通へのシフトが、少なくとも国民意識の面では前進し始めたようだ。

しかし、ことはそう簡単ではない。特に、公共交通が存在しない地方をどうするかが検討課題だろう。地方では、車を「使わざるを得ない」のである。

一方、2009年4月20日付け日本農業新聞論説によると、過疎集落ではひとり暮らし女性の8割が車を運転できないという。今、公共交通がないことでもっともしわ寄せを受けているのが、過疎地に住むおばあちゃんというわけだ。今後、高齢者にも免許を持った人が増えてくると予想されるものの、高齢者ドライバーによる事故が激増し、運動能力・認識能力・判断力の衰えた高齢者ドライバーに対し免許返上を求める声など圧力も強まるだろう。いずれにしても、今後、地方での公共交通の再建が政治的日程に上ってくると思うし、その方向で政策形成を図っていく必要がある。

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これで安全とは笑わせる

2009-09-17 23:37:35 | 鉄道・公共交通/安全問題
安全性向上の新型車両導入へ=衝撃吸収構造、来年完成-JR西(時事通信) - goo ニュース

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 JR西日本は16日、安全性を向上させた新型電車「225系」を導入すると発表した。京阪神エリアの新快速に約200両を投入し、投資額は約300億円。第1号が来年5月ごろ完成する。営業運転の開始時期は未定だが、佐々木隆之社長は「できるだけ早く開始したい」としている。

 225系は、多数の死傷者が出た福知山線脱線事故の教訓を生かし開発。車両前部に衝撃吸収構造を採用し、衝突時に乗客にかかる衝撃加速度を半減したという。

 また、乗客がとっさにつかみやすいように、つり手を大型化。目立ちやすいオレンジ色とし、数も従来型より50%増やした。 
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現物の車両を見ていないので何とも言えないが、福知山線事故が証明したのは車両の前部ではなく側面の脆弱さだったはずである。1991年に起きた信楽高原鉄道事故は、正面衝突であったにもかかわらず、実際には事故車両は中央部から「く」の字に折れ曲がって大破し、犠牲者もその部分に集中した。

事故の衝撃は、必ずしも車両の衝突した部分を破壊するとは限らない。むしろ、その車両の最も弱い部分に破壊のエネルギーが集中することは、これら先行事故の事例から見ても明らかだ。それなのに、JR西日本は「正面衝突に備えるには前部を強化すればいい」と考えている。あまりに思考が単純すぎ、信楽高原鉄道事故から何も学んでいないと思わざるを得ない。

それに、鉄道車両を新規調達した場合の価格は、第三セクター鉄道のレールバスと言われる車両で1両あたり約1億円、本格的な鉄道車両になるとそれより少し高く、1両あたり1億2~3千万円程度が相場と言われている。今回、JR西日本が安全と胸を張っている車両は200両で300億円だから1両あたり1.5億円。既存車両と比べて少し高い程度であり、これのどこが安全重視なのだと言いたくなる。

もちろん、やたらに金をかければいいというものではないし、金をかけずともできる安全対策は確かにある。しかし、しっかりした構造のものを造ればある程度金がかかるのは事実であり、そこに金をかけていないのでは話にもならない。

「乗客がとっさにつかみやすいように、つり手を大型化」に至っては噴飯ものである。人間が腕で支えられる衝撃は、せいぜい時速30km/h程度であると言われており、自動車の世界ではだからこそシートベルトが義務化されたのである。福知山線事故が起きたとき、列車の速度は100km/hを超えていた。そんな状況で、つり手を増やせば乗客が衝突の衝撃にみずから耐えてくれると本当にこの会社は信じているのか。もしそうだとすれば、冗談でもない限り、信じられない非科学的思考に支配されていることになる。

この程度のことさえ理解できず、そのまま記事にするマスコミも本当に情けない。配信した時事通信は、JR西日本の記者発表を鵜呑みにし、おそらくロクに取材もしていないだろう。ニュースで飯を食っているプロの記者なら、鉄道に詳しくなくても(というより、詳しくないならなおさら)「それは通常の車両と比べてどの程度製造費がかかったか」程度の質問はするべきだと思う。本人たちは気づいていないかもしれないが、私だったらこんな恥ずかしい記事、原稿料もらっても絶対に書けない。

残念ながら私の見る限り、今回の新車両の導入は「やらないよりは幾分まし」という程度の評価にとどまらざるを得ない。

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阪堺電軌に乗る

2009-09-14 22:48:49 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
所用で大阪に出かけなければならないので、ついでに未乗車だった阪堺電軌に乗ることにした。前から乗ってみたかった路線だ。

朝10時前、大阪環状線で新今宮へ行く。新今宮駅そばにある南霞町駅で全線フリーきっぷ(600円)を購入。今日の私のプランでは、ノーマル運賃で乗れば980円かかるはずなので、この方がお得である。

南霞町駅から恵美須町駅へ1駅戻り、まずは阪堺線(恵美須町~浜寺駅前)へ。専用軌道になったり、道路に出たりを繰り返しながら1時間で浜寺駅前に着く。阪堺は大阪の市街地を走るが、車が自由に線路内を走行できる区間は東玉出~住吉鳥居前くらいで、後はほとんどが専用軌道か、道路上でも車道と区切られた線路上を走る。専用軌道区間は50km/hくらいの速度は出ており、道路区間が少ないこともあって、かなり定時に近い運行ができるようだ。

浜寺駅前からは再び阪堺線で折り返す。阪堺はほとんどの区間が南海本線と並行しており、浜寺駅前~船尾間で南海をオーバークロスする。車道と区切られていても、道路区間は交通信号に従って走る。路面電車走行可を表す黄色い矢印のある信号も、ずいぶん少なくなってしまった。

住吉で列車を降り、住吉公園まで上町線に乗る。住吉公園からは天王寺駅前行き電車で折り返す。午後0時半過ぎ、天王寺駅前に着いた。

【完乗達成】阪堺電軌(阪堺線、上町線)

路面電車は日本国内を見ると少なくなってしまったが、それでも公営・民営合わせてそこそこの数の事業者が頑張っている。路面電車の企業は大きく分けて公営、民営(バスと兼業)、民営(路面電車専業)の3つに分かれるが、概してバスと兼業の大手私鉄は廃止が早かった。民営で残っているのは、路面電車専業のところやバスと兼業でも中小が多い。路面電車専業は阪堺や長崎電気軌道、バスと兼業は広島電鉄や豊橋鉄道などが代表的だろうか。公営では地下鉄を抱えながら路面電車も経営している東京都と札幌市が特異な例と言えるかもしれない。

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日航、米デルタ航空と資本提携を検討

2009-09-11 22:53:38 | 鉄道・公共交通/交通政策
<日航>米デルタ航空と資本提携を検討(毎日新聞)

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 経営不振に陥っている日本航空が、世界最大の航空会社である米デルタ航空との間で、デルタからの出資を含めた資本・業務提携を検討していることが明らかになった。路線数の多いデルタとの関係を強化することで、収支構造を改善する狙いがある。

 日航は昨秋の金融危機後の航空需要急減で業績が悪化し、09年3月期連結決算は631億円の最終赤字、同4~6月期も990億円の最終赤字となった。観光需要に一部回復の兆しは見られるものの、今後も厳しい経営環境が続く見通しだ。

 このため、政府の監督下で抜本的な再建のための経営改善計画を今月中にも策定する予定だ。海外の航空会社との提携拡大も再建策の柱の一つとなるとみられる。

 国際線のアライアンス(航空会社間の提携)で、日航は米アメリカン航空と同じ「ワンワールド」に参加しており、デルタが参加している「スカイチーム」とはグループが別。しかし、多くの路線を持つデルタとの提携効果は高いとの指摘がある。日航とデルタの資本提携が実現すれば、世界有数の航空グループとなる。

 航空法で、日本の航空会社への外資の出資は3分の1未満に制限されている。しかし、日航株の外資の保有比率は数%にとどまっており、制度上は外資が出資する余地がある。【位川一郎】

 ▽日本航空

 1951年に政府主導で設立された日本最大の航空会社。87年に完全民営化した。国際線が主力で、路線数は国内・海外計で約400。従業員数は4万7000人。09年3月期連結決算の売上高は1兆9491億円。最終損益は631億円の赤字。同4~6月期も990億円の最終赤字だった。

 ▽デルタ航空

 米ジョージア州アトランタ市に本社を置く世界最大の航空会社。1924年に空中農薬散布会社として創業、29年旅客サービスを開始した。05年に米連邦破産法の適用を申請したが、経営再建を進め、08年にノースウエスト航空を買収し、世界最大の航空会社になった。路線数は約300。
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経営不振により、政府主導での経営再建が進められている日本航空だが、ついに外資との提携が日程に上ってきたようだ。

航空法により、外資の出資比率が3分の1に制限されているそうで、デルタ航空が日航の経営を直接左右することはならないと思われるが、提携が現実となった場合、出資比率によってはデルタ航空が筆頭株主になるという事態も考えられる。

利用者としては、急激なリストラで安全性が低下しないか心配だし、離島便など搭乗率は低いものの生活に欠かせない路線の切り捨ても懸念される。政府・関係者はせめて安全性や利便性が低下しないようにしてほしい。

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フツーの女子に「鉄子」が急増殖中

2009-09-10 23:20:10 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
フツーの女子に「鉄子」が急増殖中(J-CASTニュース)

鉄子、急増殖中? これってホントなんだろうか。少なくとも、私が各地の鉄道を乗り歩いている限りでは、そんな実感は全くないが。むしろ、中高年のほうがずっと目立っている気がする。

ここ数年の鉄道ブームを煽っているのはマスコミではないか。確かに鉄道番組は増えたし、BS放送まで含めれば、毎日、どこかのチャンネルで鉄道番組が流れているような状況は確かにある。が、そうした番組を見ている人のうち実際に鉄道ファン活動をしている人がどれだけいるのだろうか。

私は、調子のいいマスコミに煽られているだけの鉄道ブームならさっさと終わってくれと思っていたが、最近はあまりそんな風に思わなくなった。過去、何回か起きたSLブームやブルトレブームなどと違い、今回の鉄道ブームにはあまり浮ついた雰囲気がなく、成熟した感じのするブームだと思えるようになったからである。

そう思えるようになったのは、今回の鉄道ブームが中高年層を中心としているからだろう。仕事一筋でやってきた団塊世代の間に、引退を機に日本を見つめ直してみようといったような雰囲気がある。それだけに、今回の鉄道ブームはもうしばらく続くのではないだろうか。

ただ、J-CASTの記事にあるような女性ファンが増えたという実感はあまりない。

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